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帯状疱疹発症時における仕事への対応を現役医師が解説|リスクと予防対策も紹介

「皮膚が赤くなって、ピリピリと痛む」
「痛みが強いので病院を受診したところ、帯状疱疹と診断された」
「痛みが続いている上に、発疹や水ぶくれも出てきている」
帯状疱疹と診断されたときに、「仕事には行くべき?休むべき?」と悩まれる方も多いことでしょう。
帯状疱疹で仕事を休むかどうかは、現在の症状によって判断が異なります。
本記事では、帯状疱疹発症時における仕事への対応や帯状疱疹の疾患概要、知っておきたい他者への感染リスクなどについて解説します。
帯状疱疹発症時の仕事に関する迷いや悩みが解決できる内容になっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
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目次
帯状疱疹発症時における仕事への対応
帯状疱疹発症時に仕事を休むかどうかの判断は、症状により異なります。
この章では、仕事を休む方が望ましい場合と出勤可能と想定される状態を中心に、詳しく解説します。
症状が強い場合は休むことが望ましい
以下の表で、仕事を休む方が望ましい場合と出勤可能な状態を整理しました。
状態 | 詳細 | 理由 |
---|---|---|
休む方が望ましい場合 |
発疹や水ぶくれがある 咳やくしゃみが出ている |
他者への感染リスクがある |
痛みが強い 発熱や頭痛、倦怠感といった風邪症状がある |
無理して仕事をすると回復が遅れる可能性がある | |
出勤可能と想定される状態 |
水ぶくれをガーゼで保護している 水ぶくれがかさぶたになった |
他者への感染リスクが低下している |
痛みや風邪症状がない | 帯状疱疹が回復に向かいつつある |
介護施設や幼稚園・保育園、医療機関などに勤務している方は、高齢者や乳幼児、基礎疾患保有者など、免疫力が低い方と接する機会が多い状況です。
自分の体調が安定していても出勤を控えるのが望ましいケースもあるため、必ず職場の方針を確認しましょう。
判断に迷う場合は医師に相談しよう
出勤に関して判断に迷う場合は、自己判断せず医師に相談しましょう。
判断に迷うケースとしては以下のような状況が考えられます。
- 発疹や水ぶくれがかさぶたになっているものの、痛みが続いている(体調面での不安)
- 職場に妊娠中の女性がいる(他の人に感染させることへの不安)
そもそも帯状疱疹とは
帯状疱疹とは、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)が再活性化されることで引き起こされる疾患です。VZVとは、水ぼうそうと帯状疱疹、両方の原因となるウイルスです。
子どもの頃水ぼうそうにかかり回復したあとも、その方の体内にはウイルスが潜んでいます。
なんらかの原因で免疫力が低下すると、ウイルスが再び活性化し、帯状疱疹発症につながるのです。
帯状疱疹の主な症状
帯状疱疹の主な症状としてあげられるものは、神経の走行に沿った、ヒリヒリと感じるような皮膚の痛みやかゆみです。「痛みが続いて辛い」「焼けるような痛みがある」「刺されたように痛む」などの訴えが聞かれます。ほとんどの場合、片方だけに現れ、左右対称になることはありません。
微熱や頭痛、倦怠感といった風邪のような症状も現れます。
痛みや風邪症状が出てから、赤い発疹が現れ、次第に水ぶくれに変化します。水ぶくれの中にはウイルスが含まれており、かさぶたになるまでは感染性があります。(文献1)
水ぶくれが破れると、他の人に水ぼうそうがうつる可能性があるため、仕事をはじめとする外出時は、ガーゼや包帯などで水ぶくれを保護しましょう。
帯状疱疹による痛みの部位や程度および持続期間
帯状疱疹の痛みは、人によって部位や程度、持続期間が大きく異なります。チクチクする軽い痛みから、焼けるような激痛まで、本当にさまざまです。痛みの程度は、神経へのダメージの大きさや、個人の痛みの感じ方の違いによって変わってきます。
痛みが続く期間も数週間から数カ月、場合によっては数年続くこともあります。
帯状疱疹後神経痛
帯状疱疹の症状が治まった後も、痛みが続くことがあります。これが「帯状疱疹後神経痛」と呼ばれる後遺症です。これは、帯状疱疹ウイルスによって神経がダメージを受けたことが原因で起こります。帯状疱疹後神経痛の痛みは、非常に強く、日常生活に大きな影響を与えてしまうことも少なくありません。服を着ることさえも苦痛に感じたり、夜も眠れないほどの痛みを感じたりする方もいます。
とくに高齢者や免疫力が低下している方は、帯状疱疹後神経痛を発症するリスクが高いと言われています。主なリスク要因は、加齢やストレス、他の感染症、免疫抑制などです。最近の研究では、新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチン接種後にも帯状疱疹の再活性化が観察されているといった報告もあります。
帯状疱疹後神経痛および治療法については、以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
帯状疱疹の合併症
帯状疱疹は、皮膚の症状だけでなく、さまざまな合併症を引き起こす可能性があります。
まれに起こりえる重篤な合併症を、以下に示しました。(文献1)
- 髄膜炎(脳と脊髄を覆う膜の炎症)
- 脳神経麻痺(脳神経の機能障害)
- Ramsay Hunt症候群(顔面神経麻痺)
- 眼の合併症
- 血管炎
- 腎臓や消化器系の合併症
顔面に帯状疱疹が出た場合は、視力や聴力に影響が出る可能性もあるため、早急に医療機関を受診しましょう。
帯状疱疹の人が仕事に行く際の感染リスクと予防対策
帯状疱疹を発症した方が仕事に行く場合に考えなくてはならないことは、他者への感染リスクと予防対策です。
この章で、詳しく解説していきます。
職場内における感染リスクの有無
帯状疱疹の方が仕事に行くと想定した場合、発疹や水ぶくれがあるときは感染リスクが高い状況です。水ぼうそう未感染の方が、発疹や水ぶくれ内の液体に触れたり、ウイルス粒子を吸い込んだりすると、感染するリスクがあります。(文献2)
帯状疱疹患者の唾液からもウイルスが検出されるため、咳やくしゃみなどによる飛沫感染の可能性もあります。
とくに、妊娠中の女性や免疫力が低下している方では感染リスクが高まります。
他者への感染予防対策
帯状疱疹の方が仕事に行く場合、他者への感染予防対策が必要です。一例を以下に示しました。(文献2)
- 発疹や水ぶくれをガーゼや包帯などで隠す
- 発疹に触れたり掻いたりしないようにする
- くしゃみや咳が出る場合はマスクを着用する
- こまめに手を洗いウイルスを洗い流す
手を洗う際は、少なくとも1回につき20秒以上時間をかけてください。(文献2)
帯状疱疹発症時の仕事については慎重に判断しよう
帯状疱疹の主な症状は、神経に沿った痛みや発疹、水ぶくれなどです。頭痛や微熱、倦怠感など風邪に似た症状が出る場合もあります。
帯状疱疹の症状が続いている場合、無理をして仕事をすると回復が遅れる可能性があるほか、発疹や水ぶくれが出ている間は他の方への感染リスクもあります。
帯状疱疹発症時の仕事については、医師とも相談の上慎重に判断しましょう。帯状疱疹発症後、できるかぎり早い仕事復帰を希望される場合は、症状を放置せずに早めに医療機関を受診してください。
リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。
帯状疱疹の症状や後遺症、仕事復帰の目安など、気がかりな点がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
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帯状疱疹と仕事に関するよくある質問
帯状疱疹になった場合出勤停止になりますか?
帯状疱疹の場合、基本的に出勤停止とはなりません。感染症法や学校保健安全法により、出勤停止(あるいは出席停止)が厳密に義務付けられている感染症には分類されていないためです。
しかし、発疹や水ぶくれがある時期は、他者への感染リスクが高いため、かさぶたになるまでは休むことが望ましいでしょう。
医師の指示や勤務先の就業規則に従って行動してください。
帯状疱疹で仕事を休むとき、診断書は必要ですか?
診断書の提出に関する法的義務はありません。勤務先の就業規則に「病気で休む際には診断書の提出が必要」と記載されている場合は、規則に従って診断書を提出してください。
仕事を休むことになった時点で、勤務先の上司や人事担当者に問い合わせておくと良いでしょう。
参考文献
帯状疱疹診療ガイドライン 2025|日本皮膚科学会ガイドライン
Shingles (Herpes Zoster)|Centers for Disease Control and Prevention (CDC)