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貧血に良い食べ物は5種類に分けられる!おすすめの献立も紹介

「貧血があるので食事に気をつけてくださいと言われた」
「貧血に良い食べ物を知りたい」
このような状況の方も多いことでしょう。
貧血に良い食べ物としては、鉄分やビタミンB12、葉酸などを多く含むものがあげられます。本記事では、貧血に良い食べ物や献立例などを中心に解説します。
貧血に悪い食べ物も紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
貧血に良い食べ物
貧血に良い食べ物は、主に以下の5種類に分類できます。
- 鉄分を多く含むもの
- ビタミンB12を多く含むもの
- 葉酸を多く含むもの
- ビタミンCを多く含むもの
- タンパク質を多く含むもの
これらをまんべんなく摂るためには、栄養バランスの良い食事が必要です。
鉄分を多く含むもの
1日に必要な鉄分推奨量を以下に示しました。(文献1)
- 18~74歳の女性:5.5mg
- 18~29歳の男性:7.0mg
- 30~49歳の男性:7.5mg
- 50~74歳の男性:7.0mg
鉄分には、ヘム鉄と非ヘム鉄の2種類があります。両者の主な違いは、体内への吸収率です。
以下の記事でも、鉄分に関して詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
ヘム鉄
ヘム鉄は、鉄分の中でも吸収率が15~20%程度と高いもので、肉類や魚介類などの動物性食品に多く含まれます。(文献2)
ヘム鉄を含む主な食品は、レバーや牛肉、あさりなどです。
非ヘム鉄
非ヘム鉄は、鉄分の中でも吸収率が2~5%程度と低いもので、野菜や海藻類、大豆製品などの植物性食品に多く含まれます。(文献2)
非ヘム鉄を多く含む食品は、納豆やほうれん草、のり、ひじきなどです。
ビタミンB12を多く含むもの
ビタミンB12は、正常な赤血球を作るために必要な栄養素で、魚介類やチーズ、のりなどに多く含まれます。
日本人の食事摂取基準(2025年版)によると、1日のビタミンB12摂取推奨量は、18歳以上の男女ともに4.0㎍です。(文献3)
葉酸を多く含むもの
葉酸も、ビタミンB12同様、正常な赤血球を作るために必要な栄養素で、ブロッコリーや納豆、ほうれん草、卵黄などに多く含まれます。
1日の葉酸摂取推奨量は、18歳以上の男女ともに240㎍です。(文献4)
妊娠を計画している女性、あるいは妊娠中の女性は、サプリメントなどを通じて付加的に葉酸を1日あたり400µg程度の摂取が望まれています。胎児の神経管閉鎖障害のリスクを低減するためです。
ビタミンCを多く含むもの
ビタミンCには、鉄の吸収率を高める働きがあり、レモンやオレンジ、柿などの果物、ブロッコリーやパプリカなどの野菜類に多く含まれます。
成人における1日のビタミンC摂取推奨量は100㎎程度であり、食品からの摂取が基本です。(文献5)
タンパク質を多く含むもの
タンパク質は、血液中の赤血球やヘモグロビンを作る材料で、肉、魚介類、大豆製品に多く含まれます。1日の摂取推奨量は、以下のとおりです。(文献6)
- 18~64歳の男性:65g
- 65歳以上の男性:60g
- 18歳以上の女性:50g
タンパク質は体の中にためておけないため、毎食食べる必要があります。
貧血に良い食べ物を使用した献立
ここでは、貧血に良い食べ物を使ったメニューとして、主食・主菜・副菜を3種類ずつ紹介します。
主食
ここで紹介するのは、以下の3つです。
- あさりと水菜のパスタ
- ほうれん草と卵のチャーハン
- 雑穀入りご飯
詳しくは、下記の表をご覧ください。
献立名 | 主な材料 | 作り方 |
---|---|---|
あさりと水菜のパスタ |
パスタ あさりの水煮缶 水菜 オリーブオイル しょうゆ 塩、こしょう |
1.たっぷりの沸騰したお湯の中にパスタを入れて、所定の時間でゆでる 2.刻んだ水菜とあさりの水煮をフライパンで炒めてから、ゆであがったパスタを加える 3.しょうゆと塩、こしょうなどで味をととのえる (味付けはお好みで) |
ほうれん草と卵のチャーハン |
ごはん ほうれん草 卵 サラダ油 しょうゆ 塩、こしょう |
1.溶きほぐした卵をフライパンで炒める 2.粗く刻んだほうれん草とご飯を加えて、しょうゆと塩、こしょうで味をととのえる 3.ひき肉やソーセージ、ツナ缶などを入れても良い |
雑穀入りご飯 |
米 雑穀 |
1.洗った米に雑穀を合わせて、水を加える 2.30分ほど吸水させてから、炊飯する |
あさりやほうれん草で鉄分、卵でタンパク質を摂取できます。雑穀には、鉄分やタンパク質などの栄養素が豊富に含まれています。
主菜
ここで紹介するのは、以下の3つです。
- レバーのカレー粉炒め
- 厚揚げと小松菜の炒め物
- 鮭のホイル焼き
詳しくは、下記の表をご覧ください。
献立名 | 主な材料 | 作り方 |
---|---|---|
レバーのカレー粉炒め |
レバー 小松菜 サラダ油 カレー粉 しょうゆ 酒 塩、こしょう |
1.食べやすい大きさに切ったレバーを水か牛乳に5分程度つけて下処理する 2.下処理をしたレバーをしょうゆと酒につけて下味をつける 3.フライパンでレバーと小松菜を炒めて、カレー粉と塩、こしょうで味をととのえる |
厚揚げと小松菜の炒め物 |
厚揚げ 小松菜 サラダ油 しょうゆ 塩、こしょう |
1.食べやすい大きさに切った厚揚げと小松菜をフライパンで炒める 2.しょうゆや塩、こしょうで味をととのえる |
鮭のホイル焼き |
鮭 生しいたけ しめじ えのきだけ 玉ねぎ バター塩、こしょう |
1.鮭は塩、こしょうで下味をつける 2.玉ねぎやきのこ類は食べやすい大きさに切る 3.鮭と玉ねぎ、きのこ類をアルミホイルに載せて包み、フライパンで焼く |
レバーには鉄分が豊富に含まれています。小松菜はビタミンCや葉酸、鉄分を多く含む野菜です。鮭や厚揚げには、良質なタンパク質が含まれています。
副菜
ここで紹介するのは、以下の3つです。
- 切り干し大根とわかめの味噌汁
- ほうれん草のおひたし
- ひじきの煮つけ
詳しくは、下記の表をご覧ください。
献立名 | 主な材料 | 作り方 |
---|---|---|
切り干し大根とわかめの味噌汁 |
切り干し大根 わかめ 油揚げ だし汁 味噌 |
1.切り干し大根は、水でもどしてから食べやすい大きさに切る 2.油揚げも食べやすい大きさに切る 3.だしが入った鍋に、切り干し大根、油揚げ、わかめを入れてから味噌を溶きながら加える |
ほうれん草のおひたし |
ほうれん草 だし汁 みりん しょうゆ |
1.ほうれん草をサッと水洗いして汚れを落とす 2.沸騰したお湯の中にほうれん草を入れて30秒ほどゆでる 3.ゆであがったほうれん草を食べやすい大きさに切る 4.だしとしょうゆ、みりんを合わせたつけ汁の中にほうれん草を入れて、15分程度ひたしておく |
ひじきの煮つけ |
ひじき にんじん 油揚げ だし サラダ油 しょうゆ 砂糖 酒 みりん |
1.水で戻したひじきと、食べやすい大きさに切った人参と油揚げを、フライパンで炒める 2.だし、しょうゆ、砂糖、酒、みりんを入れて、煮汁がほとんどなくなるまで煮る |
ひじきには、鉄分や葉酸が豊富に含まれています。切り干し大根も葉酸が豊富に含まれる食品です。副菜に野菜を多く入れると、ビタミンCを多く摂れるでしょう。
貧血に悪い食べ物や飲み物
ここでは、貧血に悪い食べ物や飲み物について詳しく解説します。
緑茶
緑茶やコーヒー、紅茶に含まれる成分であるタンニンは、鉄分の吸収を妨げます。食事中や食後に飲むのは控えましょう。
食事中や食後の飲み物は、水や麦茶など、タンニンが含まれていないものがおすすめです。
玄米
玄米に含まれている不溶性食物繊維は、鉄分を吸着して便として排泄させてしまうため、貧血には逆効果です。
不溶性食物繊維が含まれる食品としては、玄米のほかにおからや、根菜類、豆類などがあります。根菜類や豆類にはビタミンCやタンパク質も含まれているため、貧血に良い食品でもありますが、毎食食べると食べ過ぎにつながります。
根菜類や豆類を入れた献立は、1日1~2食までにとどめましょう。
加工食品
ハムやソーセージ、ベーコンなどの加工食品、インスタント食品、スナック菓子などに含まれるリン酸塩は鉄分の吸収を阻害する成分です。貧血予防のためには、控える方が良いでしょう。
加工食品やインスタント食品を購入する際には、なるべくリン酸塩が添加されていないものを選びましょう。リン酸塩の過剰摂取は、貧血だけではなく骨や関節にも良くない影響を与えます。
リン酸塩を多く含む食品については、以下の記事でも紹介していますので、あわせてご覧ください。
食生活を改善しても貧血が続く場合は当院にご相談ください
貧血の多くは血液中の鉄分が不足する鉄欠乏性貧血であり、貧血に良い食べ物を意識して摂ることにより改善する可能性が高いとされています。
食生活を改善しても貧血が続く場合は、鉄剤の内服や注射といった治療が必要です。貧血には、鉄欠乏性貧血以外にも、慢性疾患や造血機能低下によるものも考えられます。
食生活を改善しても貧血が続くときは放置せず、当院にご相談ください。メール相談やオンラインカウンセリングも実施しております。
貧血に良い食べ物に関するよくある質問
チョコレートは貧血に良い食べ物ですか?
チョコレートの中でも、ダークチョコレートと呼ばれるカカオの含有率が高いものは、鉄分が多く含まれているため、貧血に良い食べ物とされます。
しかし、チョコレートは糖質や脂質も多いため、食べ過ぎは禁物です。1日量の目安は5~10g程度とされています。
貧血に良い食べ物に即効性はありますか?
貧血に良い食べ物は数多くありますが、あくまでも食品であり医薬品ではないので、即効性は期待できません。毎日の食事で適量を食べ続けましょう。食べ続けても貧血の症状が続く場合は、医療機関を受診して、必要な治療を受けてください。
参考文献
(文献1)公益財団法人長寿科学振興財団「ミネラル成分の鉄分の働きと1日の摂取量」健康長寿ネット, 2025年2月26日
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/mineral-tetsu.html
(最終アクセス:2025年4月17日)
(文献2)国立がん研究センター東病院 栄養管理室「貧血がある方のお食事」2018年 https://www.ncc.go.jp/jp/ncce/division/nutrition_management/info/seminar/recipe/recipe209.pdf
(最終アクセス:2025年4月17日)
(文献3)公益財団法人長寿科学振興財団「ビタミンB6/B12の働きと1日の摂取量」健康長寿ネット, 2025年2月21日
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-b6.html
(最終アクセス:2025年4月17日)
(文献4)公益財団法人長寿科学振興財団「葉酸の働きと1日の摂取量」健康長寿ネット,2024年12月17日
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-yousan-biotin.html
(最終アクセス:2025年4月17日)
(文献5)公益財団法人長寿科学振興財団「ビタミンCの働きと1日の摂取量」健康長寿ネット, 2025年2月21日
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/vitamin-c.html
(最終アクセス:2025年4月17日)
(文献6)公益財団法人長寿科学振興財団「三大栄養素のたんぱく質の働きと1日の摂取量」健康長寿ネット, 2025年3月3日
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/tanpaku-amino.html
(最終アクセス:2025年4月17日)