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【医師監修】男性乳がんとは|原因や発症・生存確率など詳しく解説

男性乳がん
公開日: 2025.04.30 更新日: 2025.08.31

「男性でも乳がんになるの?」
「胸にしこりがあるけど、まさか乳がん?」

こうした疑問や不安を抱く方は多いでしょう。

男性の乳がんは、女性より発症数は少ないものの発症しうるがんです。

男性が乳がんになる認識の薄さから、発見が遅れやすいリスクがあります。そのため、病気の理解を深め、早期発見できるための知識を備えることが求められます。

本記事では、男性乳がんの原因や主な症状、発症確率や生存率を解説します。セルフチェックのポイントも紹介しているので、胸や胸周辺の状態を確かめる際の参考にしてみてください。

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男性乳がんとは

男性乳がんとは、男性の乳腺にがん細胞が発生する病気で、がん全体の中ではまれな疾患です。

ただし、男性にも少量ながら母乳を作る乳腺組織があるため、乳がんを発症する可能性があります。(文献1

そのため、乳がんは男性にとっても決して「自分には関係のない病気」ではないのです。

男性乳がんの原因

男性乳がんの発症には、複数の要因が関与していると言われています。代表的な原因は以下の3つです。

  • 加齢によるもの
  • 家族歴や遺伝子によるもの
  • ホルモンバランスの乱れによるもの

それぞれの原因を詳しく解説します。

加齢によるもの

女性の乳がんは40代〜50代に多く見られますが、男性乳がんは60代後半の発症が多い傾向です。(文献2)そのため、女性よりも高齢で発症しやすいのが特徴です。(文献3

高齢者よりも頻度は低いものの、若年層でも発症するリスクはあります。

乳房に違和感があれば、早めにセルフチェックや検査を行うようにしましょう。

家族歴や遺伝子によるもの

家族歴や遺伝子による遺伝的な要因で発症リスクが高まることがあります。

とくに、BRCA1またはBRCA2遺伝子に変異があると「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)」と呼ばれる体質になり、乳がんのリスクが高いです。

HBOCの男性では、12人に1人が乳がんを発症するリスクがあるとされており、他の男性よりも高いリスクを抱えています。(文献4

家族に乳がんや卵巣がんの治療歴がある方、またはHBOCの診断を受けている方は、こまめにセルフチェックや定期健診を受けましょう。

ホルモンバランスの乱れによるもの

男性の体内でも女性ホルモン(エストロゲンなど)は少量ながら分泌されています。このバランスが崩れると乳腺が刺激されやすくなります。

具体的に、以下の要因で女性ホルモンが相対的に増える傾向があります。

  • 肝機能障害
  • 肥満
  • ホルモン分泌に関わる病気

こうしたホルモンバランスの乱れが長く続くと乳腺細胞が増殖し、がんを発症するリスクが高まります。

胸部にしこりや腫れなどの異変を感じたら、早めに医療機関を受診しましょう。

男性乳がんの発症確率

男性乳がんの発症確率は乳がん全体の約0.6%を占め、日本では男性の約10万人に1人が発症するとの報告もあります。(文献3

さらに海外では、40年間で男性がんの発症率が40%上昇しているとの報告があります。(文献5

このように発症頻度は少ないながらも、発見が遅れると進行してしまう恐れがあるため、男性も乳房の異変に注意を払うことが大切です。

男性乳がんの生存確率

男性乳がんの生存確率は、女性乳がんに比べて全体的に低い傾向が見られます。

統計によると、すべての病期を通じて女性の生存率の方が高いという結果が出ています。(文献6)

 

男性生存率

女性生存率

備考

全生存率(全期間)

45.8%

60.4%

すべての病期を含む全体割合

3年後の生存率

86.4%

91.7%

診断から3年後の時点

5年後の生存率

77.6%

86.4%

診断から5年後の時点

経過年数を追っても差は縮まらず、男性の方が死亡率が高い傾向が続きます。

背景には、男性では発症に気づきにくく受診や診断が遅れることが多い点や、発見時にすでに進行した病期である割合が高いことが影響していると考えられます。

こうしたデータからは、男性でも乳がんを軽視せず、日常的なセルフチェックと早期受診の意識が大切です。

男性乳がんのステージ

男性乳がんのステージは、進行度に応じて0期からⅣ期までに分類されます。ステージが上がるほどがんは広がり、治療の難易度や再発リスクも高まります。

以下の表は、それぞれのステージの定義や特徴をまとめたものです。

ステージ

定義・特徴

0期

非浸潤がん(発生部位にとどまり、広がりや転移がない状態)

Ⅰ期

がんの大きさ2cm以下+リンパ節転移なし

ⅡA期

① がん2cm以下+腋窩リンパ節に転移あり(固定されておらず動く)

② がん2〜5cm+リンパ節転移なし

ⅡB期

① がん2〜5cm+腋窩リンパ節に転移あり(固定されておらず動く)

② がん5cm以上+リンパ節転移なし

ⅢA期

① がん5cm以下+腋窩リンパ節に転移あり(固定または癒着)

② がん5cm以下+腋窩リンパ節転移なし+内胸リンパ節に転移あり

③ がん5cm以上+腋窩リンパ節または内胸リンパ節のいずれかに転移あり

ⅢB期

がんが胸壁に固定されている/皮膚に食い込む・皮膚から突出している/炎症性乳がん(乳房が腫れ・発赤など炎症症状あり)

ⅢC期

腋窩リンパ節と内胸リンパ節の両方に転移あり/鎖骨上または下のリンパ節に転移あり

Ⅳ期

がんが骨・肝臓・肺・脳など他臓器に転移している(遠隔転移あり)

ステージの進行度は治療方針や予後に直結する重要な指標です。

【予兆を察知】男性乳がんセルフチェックポイント

今すぐできる男性乳がんのチェックポイントは以下の3つです。

  • 乳頭近くにこぶはあるか
  • 乳頭から血液や液体の分泌はないか
  • 乳頭の形に異変はないか

男性は女性に比べて乳腺組織が少ないため、乳頭周辺に異変があらわれやすい傾向があります。(文献1)そのため、鏡の前で定期的に確認する習慣が早期発見につながります。

本章を参考に、男性乳がんのセルフチェックを行ってみましょう。

乳頭近くにこぶはあるか

男性乳がんの初期症状のひとつが「乳頭付近のこぶ(しこり)」です。以下の方法でセルフチェックを行ってみましょう。

  1. 片手を上げる
  2. 反対の手であばら骨から乳頭に向かって優しく触れる
  3. 乳頭の上下方向に沿って手を滑らせる
  4. 「の」の字を書くように乳房全体をまんべんなく触る

乳頭の近くのこぶは痛みを伴わない場合もあるため症状がなくても油断せず、定期的なセルフチェックを行いましょう。

乳頭から血液や液体の分泌はないか

乳頭からの分泌物も、男性乳がんの初期症状の一つです。セルフチェックでは、乳頭を優しくつまみ、液体が出ないか確認しましょう。もし分泌がある場合は、以下をチェックして記録を取っておくことが重要です。

  • 左右片方または両方
  • 液体の色や量
  • しこりの有無
  • 症状が続いている期間

とくに赤や茶色の分泌物が出る場合は血液が混ざっている可能性があるため、すぐに医療機関を受診するようにしましょう。診察をスムーズに行うために、具体的な症状をまとめておくと医師に詳しく説明しやすくなります。

乳頭の形は以前と変わっていないか

乳頭の形状変化やへこみも、男性乳がんの初期症状のひとつです。乳頭の形をチェックする方法は以下のように、鏡の前でまっすぐ立って確認してみましょう。

  • 乳頭の形に違和感はないか
  • 乳頭周辺の皮膚の見た目や感覚に異常はないか
  • 両手を上に上げてみて、手を上げる前後で乳頭の高さや方向に変わりはないか

日頃から乳頭の形を意識して確認すると、微細な変化に気づきやすくなります。

また、今回解説したチェック方法は、入浴や着替えのついでに短時間で行えます。チェックする習慣をつけて早期発見できるようにしましょう。

【関連記事】
セルフチェックで乳がんはわかる?やり方やしこりの感触を医師が解説
乳がんかもしれない12の症状を医師が解説|早期発見のポイントもあわせて紹介

男性乳がんの検査方法

男性乳がんの疑いがある場合、女性と同様の検査方法を用いるのが一般的です。主な検査方法は、以下のとおりです。

検査の種類

検査方法

検査からわかること

マンモグラフィー
(乳房にX線を照射して撮影する画像診断)

乳房を板で挟み、あらゆる方向から圧迫して撮影

触診ではわからないしこりを発見できる

超音波検査(エコー)

専用の機械を患部に当て、音波を使用し乳腺の内部を画像化する

腫瘍の有無や増殖を確認できる

このほか、必要に応じて針でがん組織を採取する「生検検査」のような、より詳しい状態がわかる検査を行う場合もあります。

どのような検査があるか事前に知りたい方は、受診する病院のホームページや電話・メール問い合わせなどで確認しましょう。

男性乳がんの治療方法

男性乳がんの治療は、女性と同様にがんの進行度によって選択されます。

がんのステージが初期段階(ステージ0期からⅢA期)の場合、切除可能なら手術による乳房切除が行われます。

また、症状に応じて医師の判断で放射線治療や術後の薬物療法が選択される場合もあるでしょう。(文献2

さらに、男性乳がんでも、女性にも使用されるようなホルモン療法も治療方法の対象です。

ただし、男性と女性ではホルモンの仕組みが異なるため、女性と同じ薬剤がそのまま使用されるとは限りません。

治療法は個人の病状により異なるため、専門医と相談しながら自分にあった方法を選びます。

乳がんの手術については、以下の記事にて詳しく解説しています。あわせて参考にしてみてください。

男性乳がんの理解を深めて早期発見につなげよう

男性乳がんは、早期に発見し適切な治療を受ければ、予後が良好になる可能性が高まります。

日頃から乳房のセルフチェックを行い、しこりや分泌物などの異変に気づいた場合は、早めの受診が大切です。

当院では、人体にもともと存在する幹細胞を用いた乳がん手術後の後遺症に対する再生医療を行っています。

再生医療について詳しく知りたい方は、メール相談オンラインカウンセリングにて当院へお気軽にお問い合わせください。

男性乳がんに関するよくある質問

男性の乳がんの死亡率は?

男性乳がんは発症率が低いものの、診断後の死亡率は女性よりも高い傾向です。

海外の研究では、2004年〜2014年に乳がんと診断された人の死亡率は、女性が17.4%、男性は27.2%だったという報告があります。(文献5

ただし、がんが進行していないうちに早期に治療すると、予後が良好となる可能性が高まります。

女性より死亡率が高い報告もあることから、少しでも異常を感じたら早期に検査を受けることが、命を守る上で重要です。

男性の乳がんは何科を受診しますか?

男性乳がんが疑われる場合は、乳腺外科の受診が専門です。

受診に抵抗がある場合は、女性専門としていない乳腺外来を選んだり、パートナーと一緒に受診したりして、受診のハードルを下げるのも一つの手です。

早めに専門医に相談すると、違和感の有無が男性乳がんかどうかがわかるでしょう。

男性の10代で乳がんになる可能性はありますか?

男性乳がんは主に60代以降の中高年で多く見られ、10代での発症は極めて稀です。(文献2

若年層では乳腺組織が未成熟で、がん細胞が生じる条件が整いにくいためです。しかし、男性乳がんは乳房のふくらみが目立たず、多くは乳頭の真下に発生します。

そのため、診断された時点で皮膚や乳頭にまでがんが広がっていることが少なくありません。

ほとんどの10代男性は心配する必要はありませんが、気になる症状がある場合は、年齢に関係なく医療機関で確認しましょう。

男性乳がんは痛みがありますか?

男性乳がんは初期段階では痛みを伴わないことが多く、しこりや乳頭の変化だけが現れる場合があります。

痛みがないため発見が遅れ、進行してから診断される場合も少なくありません。

そのため、痛みの有無に関わらず、しこりや異常を感じたら速やかに医療機関を受診しましょう。

参考文献

(文献1)
38年間に経験した男性乳癌6例の検討|信州医誌

(文献2)
性差医療(1)乳腺外科領域」|東女医大誌

(文献3)
乳房(がん種別統計情報)|国立がん研究センターがん情報サービス

(文献4)
Q36 男性の乳がん対策について教えてください。」遺伝性 乳がん卵巣がんを知ろう!|日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構(JOHBOC)

(文献5)
Epidemiology of male breast cancer|The Breast

(文献6)
Comparative Net Survival Analysis of Men and Women With Breast Cancer in Japan: A Population-Based Study|Cancer Sci