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コロコロ便は大腸がんのサイン?関係性から初期症状まで医師が解説

コロコロ便 大腸がん
公開日: 2025.04.30

コロコロした便が続いていて「これって大腸がんの兆候?」と心配していませんか。

忙しい日常では病院に行く時間を確保しづらく、体調の悩みを後回しにしがちです。しかし、この症状が長引く背後には、なんらかの異常が隠れているかもしれません。

そこで本記事では、「もしかして大腸がん?」と心配を抱える方に向け、コロコロ便の原因から大腸がんの初期症状、そして検査や予防法まで網羅的に解説します。

前もって正しい知識を持つことで、必要以上に怖がらずに済むこともあれば「早めに検査しておこう」と行動を促すきっかけになるかもしれません。

ぜひ最後まで読み進めてください。

コロコロ便とは?どのような原因で起きるのか

コロコロ便とは、小さな硬い塊状の便(ウサギの糞のような形状)を指します。腸内で便の水分が過剰に吸収されると硬く細切れになり、コロコロ便が生じます。

水分摂取不足や食物繊維不足、運動不足などで腸の蠕動(ぜんどう)運動が低下し便が長く留まると、必要以上に水分が吸収されて便が硬くなるため、生活習慣の乱れがコロコロ便の主な原因になります。

一方で、過度な緊張やストレスによる自律神経の乱れも腸の働きを弱め、便を硬くする要因となり得ます。(文献1)コロコロ便自体は便秘の一症状としてよくみられ、必ずしも大腸がんを意味するものではありません。

ただし、場合によっては過敏性腸症候群や大腸がんなどの疾患が背景にあることも報告されています。

大腸がんは早期にはほとんど自覚症状がありませんが、進行すると下痢や便秘を繰り返したり便が細くなる、血便が出現するなどなんらかの症状が現れることがあります。

しかし初期の大腸がんは無症状のことが多いため、コロコロ便だけで直ちに大腸がんを疑うことはできません。

他に血液が混じる、体重減少や腹痛を伴うなど明らかな異常がない限り、コロコロ便の多くは生活習慣の見直しで改善可能ですが、コロコロ便が長期間続く場合や便に血が付着する場合は念のため、医療機関で検査を受けることをおすすめします。(文献2

コロコロ便の原因と大腸がんの関係性

大腸がんに特徴的な症状として、便に血が混じる(血便)ことや便の表面に血が付着することがよく挙げられます。また腫瘍からの慢性的な出血により貧血(めまいなど)が起こることもあります。

このほか排便習慣の変化(下痢と便秘を繰り返す)、便が細くなる(鉛筆のような細い便)、残便感(出し切れていない感じ)、腹部の張りや痛みなどさまざまな症状が現れます。

がんが進行して腸管が狭くなると便が出にくくなり腹痛や嘔吐を伴うこともあります。

特に血便や便が細くなる症状は比較的頻繁にみられますが、これらは痔などの良性疾患でも起こり得るため自己判断は禁物です。少しでも気になる症状があれば早めに消化器科などを受診し、原因を調べてもらうことが大切です。(文献3

大腸がんの症状と便の関係について

実は、大腸がんは初期段階ではほとんど症状がありません。そのため、コロコロ便だけでなく、便秘や便の形や色に違和感を感じたり、血が混じっていたりなどこうした変化が見られても、よほど意識していないと単なる食生活の乱れとして見過ごしがちです。

しかし、がんが進行して腸管が狭くなるほど、便は通りにくくなり、細くなったり詰まりやすくなったりします。(文献3

便秘がちになったかと思えば急に下痢をするなど、排便リズムが大きく崩れる場合は要注意です。

加えて、腫瘍から出血している場合は便の表面に赤い線が入ったり、トイレの水が血で赤く染まることもありますが、切れ痔などが原因で血便が出ることもあるため、自己判断だけでは確定できません。

便が固くコロコロとしていると、肛門に負担がかかって痔を引き起こすケースもありますので、「血が出た=即がん」とは限りません。

大事なのは、普段との違いに気づいたときに早めに専門家へ相談することです。とくに、大腸がんは進行すると貧血や体重減少、腹痛、嘔吐などの症状を伴う可能性もあり、こうした変化が複数重なっている場合は放置せず検査を受けることをおすすめします。

大腸がんの検査方法・種類について

まず、大腸がんが疑われる際に一般的なのは「便潜血検査」と呼ばれる検査方法です。市町村などが実施する検診で使われることが多く、便の中に血液が混じっていないかを調べるシンプルな仕組みになっています。結果が陽性でも、必ずしもがんと確定するわけではありませんが、次のステップである「精密検査」のきっかけとしては非常に重要です。

精密検査としては、「大腸カメラ(内視鏡検査)」が代表的でしょう。肛門からカメラを挿入して腸内を直接観察できるため、がんだけでなくポリープや炎症なども確認できます。

また、必要に応じて組織を採取して詳しく調べられます。ほかにはCT検査やX線検査、MRIなどで腸の状態や周辺臓器への転移をチェックすることもあります。

検診の時点で「要精密検査」となったのに、忙しさや怖さを理由に検査を先延ばしにすると、もしもがんが進行していた場合、取り返しのつかない事態になる可能性があります。

早期がんなら治療の選択肢が広いため、コロコロ便が気になる方や検診で引っかかった方は、余裕のあるうちに詳しい検査を受けてみてください。

検診の方法

自覚症状の少ない早期の大腸がんを発見するには、大腸がん検診を定期的に受けることが有効です。

日本では一般的に便潜血検査が一次検診として行われていますが、便潜血検査とは2日分の便を採取して肉眼では見えない微量の出血(ヘモグロビン)を検出する検査で、体への負担が少ない方法です。

大腸がん検診の対象年齢は40歳以上で、年に1回の検査が推奨されています。市区町村が実施する住民検診では数百~千円程度の自己負担で受けられる場合が多く、自治体によっては無料で検査できるところもあります。(文献4

会社の健診や人間ドックに大腸がん検診が組み込まれている場合もありますので、まずはお住まいの地域の検診制度を確認し、適切な頻度で便潜血検査を受けましょう。

便潜血検査の結果陽性(血液反応あり)となった場合は、精密検査(二次検診)として大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を受けなければなりません。(文献4

検査で陽性となっても、まだ大腸がんと確定したわけではなく実際には痔など良性の要因やポリープによる偽陽性も多く、要精密検査となった人から大腸がんが見つかる割合は1%未満とも言われます。(文献5

しかし、大腸がんは便潜血検査で陽性が一度でも出たら見逃さず精密検査を受けることが重要です。「痔による出血だろう」と自己判断して二次検査を受けないのは危険ですので、必ず医師の指示に従い精密検査を受けてください。

精密検査の方法

大腸がんが疑われる場合に行われる代表的な精密検査は、全大腸内視鏡検査(コロノスコピー)です。(文献6

大腸内視鏡検査では、事前に下剤で腸内を空っぽにした上で内視鏡(カメラ)を肛門から挿入し、直腸から盲腸まで大腸全域の粘膜を直接観察します。

ポリープや腫瘤が見つかれば、一部または全部をその場で切除・採取して病理検査(顕微鏡による組織検査)が可能です。

早期がんで粘膜内に留まるものなら内視鏡で完全切除できるため、診断と同時に治療まで行えるケースもあります。このように大腸内視鏡検査は診断から小さな病変の治療まで対応できる第一選択の精密検査です。検査自体は通常日帰りで実施され、鎮静剤を使用すると苦痛も軽減できますのでご安心ください。

大腸内視鏡検査以外の精密検査としては、大腸X線検査(注腸造影)や大腸CT検査(CTコロノグラフィ)などがあります。大腸X線検査はバリウム液と空気を肛門から注入してレントゲン撮影する方法で、内視鏡が挿入困難な場合に併用されることがあります。

一方、大腸CT検査は腸内を炭酸ガスで膨らませてCT撮影することで、仮想内視鏡のように大腸の内部を立体的に評価する検査です。CT検査は体への負担が少なく内視鏡に抵抗がある方には有用ですが、画像で異常が見つかった場合は組織検査のため結局内視鏡が必要になる点に留意が必要です。(文献7

いずれの方法も長所短所がありますが、まずは医師と相談の上で適切な検査を受けることが大切です。

\まずは当院にお問い合わせください/

コロコロ便から卒業!大腸がんを防ぐ生活習慣改善と予防法

検査を受けるとはいえ、日常の中で腸への負担を減らしていかないと、コロコロ便が改善しにくいだけでなく、大腸がんのリスクにも対応しづらくなります。忙しい方でも無理なく取り組める生活習慣の見直しポイントを、下記の見出しで具体例とともに紹介します。少しずつ行動を変え、コロコロ便から卒業しましょう。

食事改善

コロコロ便を解消するには、食生活の見直しが重要です。便の材料となる食事の量が少なすぎると便のかさが減り排出が滞るため、朝食を含め1日3食きちんと食べるよう心がけましょう。(文献8)ダイエットなどで極端に食事量を減らすと便の量も不足し、十分な排便ができなくなりがちです。

また、食物繊維や水分を食事からしっかり摂取も欠かせません。食物繊維には大腸で便に水分を与えて柔らかくする水溶性食物繊維と、便の量を増やして腸を刺激する不溶性食物繊維があります。

一般に現代人は食物繊維が不足しがちと言われており、便秘が続く人は意識的に野菜や果物、海藻類などに多く含まれる水溶性食物繊維を摂ると良いでしょう。

不溶性食物繊維も大切ですが、摂りすぎると便が硬くなる場合があるためバランスが重要です。食物繊維のバランスは水溶性:不溶性を1:2程度の割合が理想とされています。

腸内環境を整える食品も積極的に利用しましょう。たとえばヨーグルトなどの発酵食品に含まれるビフィズス菌や乳酸菌は腸内の善玉菌を増やしお通じを改善する働きがあります。

さらにオリゴ糖は大腸で善玉菌のエサとなり腸内環境の改善に役立つため、乳酸菌飲料やオリゴ糖を含む食品もコロコロ便の解消に有効です。(文献8

毎日の食事でこれら善玉菌やオリゴ糖を上手に取り入れ、腸内フローラのバランス改善を図りましょう。

こまめな水分摂取

硬いコロコロ便が続く人は、日々の水分補給の量を確認してください。体内の水分が不足すると便から水分が奪われてしまい、うさぎの糞のようなコロコロ便になりやすくなります。

厚生労働省の資料によれば1日に必要な飲み水の量は約1.2リットルとされています。(文献9

喉が渇いたと感じる前に、意識してこまめに水やお茶を飲む習慣をつけることが大切です。

特に起床時にコップ一杯の水を飲むことは胃を刺激して胃・大腸反射(胃に食べ物や水分が入ると大腸の蠕動(ぜんどう)が活発になる反応)を促し、朝のスムーズな排便につながります。

そのほか入浴前後や就寝前後などは脱水になりやすいタイミングですので、水分補給を忘れないようにしましょう。

日中も少量ずつ水分を摂り、常に体内の水分バランスを保つことで便を適度に柔らかく保てるようになります。

適度な運動

適度な運動習慣を身につけることもコロコロ便の改善に有効です。運動によって体を動かすと腸が刺激され、蠕動(ぜんどう)運動が活発になって排便を促します。(文献9

逆に運動不足だと腸の動きが鈍くなり便が硬くなりがちです。特に腹筋が弱いと排便時に十分な腹圧がかけられず、便を押し出す力が不足して便秘につながってしまいます。

ウォーキングや軽い体操など無理のない範囲で構いませんので、日常的に体を動かす時間を作りましょう。

定期的な運動は腸の働きを整えるだけでなく、自律神経のバランス改善やストレス解消にも役立つため一石二鳥です。適度な運動習慣を続けることで硬い便を解消しましょう。

ストレスケア

ストレスや緊張が続くことも、実はコロコロ便の一因になります。人間は強いストレスや疲労を感じると交感神経が優位になり、大腸の動きが抑制されて便が腸内に滞留しやすくなります。(文献10

精神的なストレスによって自律神経のバランスが乱れると腸の蠕動(ぜんどう)運動が低下し、便の水分が過剰に吸収されてしまうためです。

ストレスが原因で便秘傾向になる人も多く、男性に多い下痢型の過敏性腸症候群でもストレスで症状が悪化すると言われています。

心身のリラックスを心がけてストレスを溜め込まないことも固い便を防ぐ方法の一つです。十分な睡眠をとり規則正しい生活リズムを維持する、趣味や入浴などで意識的にリラクゼーションの時間を作るなど、副交感神経が働くリラックス状態を増やすようにしましょう。

日頃から適度にストレス発散し、自律神経のバランスを整えることがコロコロ便解消につながります。

コロコロ便と大腸がんの関係性を理解し健康を維持しよう

コロコロ便は主に生活習慣の乱れから生じますが、大腸がんの初期サインとしても見逃せません。とくに便の細さや形状の変化が顕著で、下痢と便秘を繰り返す場合は注意が必要です。

まずは水分補給、食物繊維の摂取、ストレスケアなど生活改善を試みましょう。

生活習慣の改善で便通が正常化した場合、機能性の便秘や過敏性腸症候群などが原因だった可能性が高いといえます。

ただし、大腸がんの初期は症状が軽微なこともあるため、40歳以上の方は症状の有無にかかわらず定期的な検診を受けることをおすすめします。

大腸がんは早期に見つけられれば治療成功率が高いがんとも言われています。検診や精密検査の手間を感じるかもしれませんが、自分や家族の健康を守るためには投資する価値があるはずです。日々忙しく過ごしている方ほど、後回しにせずアクションを起こしてみてください。

予防や早期発見によって、心の負担もぐっと軽減し、コロコロ便の悩みから卒業できるきっかけをつかめることでしょう。

 

参考文献

(文献1)医療法人良耕会大阪天王寺胃と大腸消化器内視鏡クリニック「便がコロコロ硬い原因と改善方法について医師が詳しく解説」大阪天王寺胃と大腸消化器内視鏡クリニック,2024年06月01日

URL:https://www.tennoji-endoscope.com/hard-stool/ (最終アクセス:2025年04月17日)

(文献2)国立がん研究センター中央病院「大腸がんの症状について」国立がん研究センター中央病院, 公開日不明

URL:https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/clnic/colorectal_surgery/150/index.html (最終アクセス:2025年04月17日)

(文献3)国立研究開発法人 国立がん研究センターがん情報サービス「大腸がん(結腸がん・直腸がん)について」国立がん研究センター がん情報サービス, 2025https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/clinic/colorectal_surgery/150/index.html03月24日

URL:https://ganjoho.jp/public/cancer/colon/about.html(最終アクセス:2025年04月17日)

(文献4)公益財団法人日本対がん協会「大腸がん検診について」日本対がん協会, 公開日不明

URL:https://www.jcancer.jp/about_cancer_and_checkup/%E5%90%84%E7%A8%AE%E3%81%AE%E6%A4%9C%E8%A8%BA%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/%E5%A4%A7%E8%85%B8%E3%81%8C%E3%82%93%E6%A4%9C%E8%A8%BA%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6 (最終アクセス:2025年04月17日)

(文献5)公益財団法人 東京都予防医学協会「大腸がん検診」東京都予防医学協会, 公開日不明

URL:https://www.yobouigaku-tokyo.or.jp/gan/daichougan.html (最終アクセス:2025年04月17日)

(文献6)国立研究開発法人 国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん検診について」国立がん研究センター がん情報サービス, 2024年09月20日

URL:https://ganjoho.jp/public/pre_scr/screening/colon.html (最終アクセス:2025年04月17日)

(文献7)国立がん研究センター中央病院「大腸がん検査について」国立がん研究センター中央病院, 公開日不明

URL:https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/clinic/colorectal_surgery/170/index.html (最終アクセス:2025年04月17日)

(文献8)ロート製薬株式会社「コロコロ便が続く場合はどうする?原因と対策で気になる症状を改善しよう」ロート製薬, 公開日不明

URL:https://jp.rohto.com/learn-more/gastrointestinal/benpi/korokoroben01/(最終アクセス:2025年04月17日)

(文献9)森永乳業株式会社「便が硬い…….コロコロうんちになる原因と対処法」毎朝爽快(森永乳業), 2024年06月01日

URL:https://www.morinagamilk.co.jp/products/brand/maiasa_soukai/column/hard/ (最終アクセス:2025年04月17日)

(文献10)健栄製薬株式会社「コロコロ便しか出ない便秘の原因は?症状が続くリスクと解消方法を紹介」健栄製薬, 公開日不明

URL:https://www.kenei-pharm.com/ebenpi/column/column_115/ (最終アクセス:2025年04月17日)

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