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脊髄損傷は歩けるようになる?レベル別の症状や治療法を現役医師が解説

「脊髄損傷でも歩ける可能性はある?」「脊髄損傷で治療を受けていれば歩ける?」
上記のように、脊髄損傷でも歩けるようになるのか気になっている方もいるでしょう。脊髄損傷とは「脊髄」と呼ばれる部分が損傷する状態を指します。
本記事では、脊髄損傷と歩行の関係性を紹介します。レベル別の症状や治療法なども解説しているので、興味がある方はぜひご覧ください。
目次
【結論】脊髄損傷でも歩ける可能性はある
結論からお伝えすると、脊髄損傷になっても歩ける可能性はあります。人間が歩行するには、筋肉がリズミカルに動かなくてはなりません。脊髄が損傷すると、全身の筋肉が協調的に動かなくなってしまいます。
対して、歩行に関するリハビリテーションを続けると、麻痺した筋肉の機能が部分的に回復する可能性があります。軽度の麻痺であれば、適切なリハビリテーションにより歩行機能の回復が期待できるのです。
脊髄損傷と歩行の関係性
脊髄損傷で歩行を再開するには、脊髄損傷の程度により異なります。なかでも、脊髄損傷には、完全損傷と不完全損傷があります。
ここでは、脊髄損傷と歩行の可能性を詳しく見ていきましょう。
完全損傷|歩ける可能性は極めて低い
脊髄損傷のなかでも完全損傷は、脊髄の機能が完全に失われ、歩ける可能性は極めて低い状態を指します。脳からの命令が届かないだけでなく、脳へ命令を送ることもできなくなります。そのため、感覚知覚機能も失われるのが完全損傷の特徴です。
しかし、感覚知覚機能が失われるからといって、痛みを全く感じなくなるわけではありません。怪我をした部位より下の麻痺した部分には、痛みや異常な感覚を覚えます。
不完全損傷|歩ける可能性がある
不完全損傷とは、脊髄の一部の機能が損傷した状態であり、歩ける可能性があります。感覚知覚機能が残った重度の人もいれば、軽度の運動機能が残った状態の人もおり、症状は人によって異なります。
受傷してから6カ月以内に適切なリハビリや治療を受ければ、歩行の回復が見込まれるケースもあるため、できるだけ早めの対処が大切です。
脊髄損傷のレベル別の症状
脊髄損傷はレベル分けがされており、レベルによって症状が異なります。ここでは、脊髄損傷のレベル別の症状を紹介します。
頚髄損傷(C1-C8)
頚髄損傷は、脊髄損傷のなかで最も深刻な症状を引き起こします。C1からC8までレベルがあり、各レベルによって引き起こされる症状は異なります。
レベル |
症状 |
---|---|
C1〜C4 |
・呼吸機能に障害が出る ・全身麻痺に加え、話したり首から下の動きだったりが制限される |
C5 |
・肩と肘の動きは可能だが、手首以外の動きは制限される ・自力での食事は不可能 |
C6 |
・手首の伸展は可能 ・精密な手首の伸展は不可能なものの、日常生活の多くで介助が必要 |
C7 |
・肘の伸展が可能になり、多くの自立が可能 ・精密な動きはできないため、日常タスクの一部で介助が必要 |
C8 |
・手足の一部の動きが可能 ・食事や筆記などが可能になるが、一部は支援が必要 |
多くのレベルで日常生活の制限を受けるため、介助や支援が必要になります。またリハビリテーションには、個々のニーズに合わせたアプローチが必要不可欠です
胸髄損傷(T1-T12)
胸髄損傷は、胸部にある脊髄が損傷する状態を指します。体幹や下肢の機能に影響を与え、レベルごとの症状は以下の通りです。
レベル |
症状 |
---|---|
T1-T6 |
・上半身の筋力が低下する ・体幹の制御が困難になり、座位を保つのが難しくなる ・長時間座位を維持するには、サポートが必要 |
T7-T12 |
・体幹機能が損なわれ、立位や歩行が困難になる ・車椅子を使用した生活が一般的 |
胸髄損傷は、リハビリテーションを行い、できるだけ患者が自立した生活を送れるようサポートをします。家族や専門家のサポートが必要不可欠です。
腰髄損傷(L1-S5)
腰髄損傷(仙髄損傷)は、主に下半身に影響をもたらします。レベルごとの症状を見ていきましょう。
レベル |
症状 |
---|---|
L1-L2 |
・腰から下の機能が失われ、歩行困難になる ・下半身に痛みやしびれが生じる可能性もある |
L3-L5 |
・足首の運動に制限がかかるものの、膝の制御が部分的に可能 ・リハビリテーションが必要だが、装具を用いた歩行が可能になるケースもある |
S1-S5 |
・膀胱と直腸の機能に影響を与え、排泄管理が必要 ・足の裏や会陰部の感覚障害がみられる可能性もある |
リハビリテーションをして、機能回復や生活の質の向上を目指します。
歩けるようになるまでのステップ|脊髄損傷の治療法
脊髄損傷で歩けるようになるには、適切な治療を受けなくてはなりません。適切な治療は、急性期と慢性期によって異なります。
急性期では、脊髄を固定したり、生命維持を優先したりするのが一般的です。一方で、慢性期では症状の程度に応じて、長期的な視点を持ち治療を進めます。それぞれの主な治療法は、以下の通りです。
急性期 |
慢性期 |
---|---|
・ギプスや装具固定 ・ステロイド治療 |
・リハビリテーション ・抗生物質の投与 ・ビタミン剤の投与 ・放射線治療 ・外科手術 |
脊髄損傷の治療法について詳しく知りたい方は、以下記事もご覧ください。
脊髄損傷で歩けるようになるには再生医療も選択肢のひとつ
脊髄損傷の治療法は、従来のステロイド治療や放射線治療だけでなく、再生医療も選択肢にあげられます。脊髄損傷の再生医療は、骨髄由来の幹細胞や脂肪由来の幹細胞を使用します。従来の治療法で思うような効果を得られない場合は、再生医療も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
リペアセルクリニックでは、脊髄損傷の再生医療を提供しています。詳しくは、以下からお問い合わせください。
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脊髄損傷と歩行の関係性を知って治療に挑もう
脊髄損傷は、損傷の程度によっては歩けるようになる可能性があります。受傷後に歩けるようになるには、適切なリハビリテーションや治療を受けることが大切です。また慢性期の治療法は、放射線治療や外科手術があげられますが、近年では再生医療も選択肢の1つになっています。
従来の治療で効果を得られなかった方は、再生医療を検討してみてはいかがでしょうか。再生医療に興味がある方は、ぜひ一度リペアセルクリニックにご相談ください。