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捻挫の後遺症とは|症状のチェック項目や治し方を現役医師が解説

捻挫後遺症
公開日: 2025.07.31

「捻挫が治ったと思ったのに、足首に違和感が残っている……」
「痛みの原因が後遺症からくるものなのか判断したい」

このような悩みを抱える方は多いでしょう。

捻挫は一見、軽いケガに思われがちです。

しかし、適切な処置やリハビリを行わずに放置してしまうと、後遺症として長く症状が残るケースもあります。

本記事では、捻挫後遺症か判断するためのチェック項目や原因、治し方を詳しく解説しています。

症状が悪化した場合の選択肢も紹介しているので、最後までご覧ください。

足首捻挫における後遺症の症状【3つのチェック項目】

捻挫後の後遺症を見極めるためには、以下3つの症状がないかをチェックします。

  • 足首がぐらぐらして安定しない
  • 痛みや腫れが引かない
  • くるぶしを押すと痛い

これらの症状が一つでも当てはまる場合は、後遺症の可能性があります。

それぞれの症状の中身を詳しく見ていきましょう。

足首がぐらぐらして安定しない

足首がぐらぐらして安定感がない場合は、捻挫後遺症の可能性があります。

靭帯が伸びきったり部分的に断裂したりすると、関節を支える力が弱くなり不安定になるためです。

たとえば、階段を降りる際にふらつきを感じたり、でこぼこした道を歩くときに足首をひねりやすくなったりします。

足首がゆるむと関節を動かすたびに軟骨などの柔らかい組織と骨がこすれやすくなり、ポキポキといった音が鳴る場合もあります。

痛みや腫れが引かない

捻挫で損傷した靭帯が回復するまでにかかる期間は、少なくとも6週間〜3ヶ月と言われています。(文献1

そのため、捻挫から約3カ月経過しても痛みや腫れが続く場合は、後遺症の可能性があります。

主な症状は、朝起きたときの足首のこわばりや、長時間歩いた後の痛みの増強などです。

また、天気が悪いときや天候が崩れるときは気圧が大きく変動し、体内の神経や血管に影響を及ぼし痛みが出ることもあります。

くるぶしを押すと痛い

くるぶし(足首の内側・外側にある骨が突出した部分)を触ったときの痛みは、骨や靭帯の損傷が治癒していないサインです。

以下のようなくるぶしの痛みが続く場合は、後遺症の可能性があります。

  • 物にぶつかったときに痛みがある
  • 靴着用時に圧迫されて痛みを感じる
  • 靴下を脱ぎ着する際に痛みが生じる

該当する症状があれば後遺症を疑い、専門医に相談してみましょう。

以下の記事では、足首捻挫の後遺症セルフチェックリストを紹介しています。後遺症の見逃しを防ぐために役立つので、参考にしてみてください。

関連記事:足首捻挫の後遺症セルフチェックリスト!リハビリ期間を短縮できる再生医療についても解説 | 大阪 リペアセルクリニック

捻挫の後遺症が出る原因

足首捻挫の後遺症が出る主な原因は、初期治療の不備や安静期間の不足です。

捻挫直後の応急処置を怠ったり、適切な治療を受けないまま足首に負荷をかけたりすると、損傷した靭帯が緩んだままになり、関節が不安定な状態で固まってしまいます。

捻挫で痛めた靭帯や筋肉、関節包などの軟部組織は、完全に治癒するまでに約6週間から3カ月の期間を要します。(文献1

そのため、治癒期間中に無理な負荷をかけると、組織の修復が不完全になり慢性的な症状が残りかねません。

また、痛みが引いたからといって早期に運動を再開すると、損傷した組織が十分に修復されず、症状がぶり返す可能性もあります。

以下の記事では足首捻挫を放置するリスクについて解説しています。適切な治療を進める大切さがわかるので、あわせてご覧ください。

関連記事:足首の捻挫を放置したらどうなる?主な後遺症や治るまでの期間について解説 | 大阪 リペアセルクリニック

捻挫における後遺症の治し方

後遺症の治療方法として、以下3つの治し方があります。

  • テーピングの使用
  • ストレッチ
  • リハビリテーション

これらの治療法を組み合わせることで、症状の改善が期待できます。

テーピングの使用

テーピングの使用は足首の安定性を向上させ、再発防止に効果的な治療法です。(文献1

テーピングを適切に巻くことにより関節の可動域を制限し、損傷した靭帯への負担を軽減できます。

一般的なテーピングの巻き方は以下のとおりです。

  1. 足首が直角(90度)になるように足首の角度を整える
  2. テープはくるぶしの少し下から始め、かかとをぐるっと包み込むように巻く
  3. 足の裏から土踏まずを支えるように、テープを斜め上に貼り上げる
  4. テープで8の字を描くように、くるぶしのまわりを巻く
  5. 足首全体を包み込むようにテープを巻き上げる

強く巻きすぎると血流を妨げる可能性があるため、巻いた部位が冷たくなったり、色が変わったりしない適度な強さで巻きましょう。

ストレッチ

ストレッチは関節の柔軟性を回復し、筋肉の緊張をほぐす治療法です。

足首の可動域が制限されると、周辺の筋肉が硬くなり血流が悪化します。

以下に捻挫後遺症の際におすすめのストレッチの種類とやり方を紹介します。

種類

やり方

アキレス腱伸ばし

・足を前後に開いて立つ

・後ろ足のかかとは床につけたまま、体重を前に移動する

つま先立ち

・立った状態で母指球(親指の付け根)に体重を乗せる

・そのままかかとを高く上げて、ゆっくり下ろす

足趾ひらき

・椅子に座って足裏を床につける

・親指から小指までしっかり横に広げながら、足の裏全体で床を押す

ストレッチの効果はすぐに現れない場合もあるため、継続しておこないましょう。

リハビリテーション

リハビリテーションは筋力と関節機能の回復を目的とした専門的な治療法です。

理学療法士の指導のもと、段階的に負荷を増やしながら足首の機能を回復させます。

治療法としては、テーピングやサポーター(ブレース)を使用して関節の安定性を高める方法が一般的です。(文献2

これらの補助具は、関節への負担を軽減し、回復を促すための手段として、専門的な知識と技術を持つ理学療法士が指導します。

さらに、バランスボードを使った平衡感覚の訓練やゴムチューブを用いた筋力強化する方法もあります。

指導者と相談しながら、自身の状態に合わせたプログラムを実践しましょう。

捻挫の後遺症が悪化した場合の選択肢

後遺症が悪化した際の選択肢として、以下の方法があります。

  • 手術
  • 再生医療

保存的治療で改善が見られない場合は、より高度な治療法を検討する必要があります。

症状の程度や生活スタイルに応じて、適した治療法を選択しましょう。

手術

手術は重度の靭帯損傷や関節不安定性に対する根本的な治療法です。

断裂した靭帯の修復や再建により、関節の安定性が改善されます。

主な手術の種類と内容は以下のとおりです。

手術名

内容

関節鏡

関節の中をカメラで確認し、炎症を起こした滑膜を焼灼、損傷した軟骨を処置する

靭帯縫合術(Bronstrom-Gould変法)

ゆるんだ靭帯を縫い縮めて補強し、人工靭帯でさらに強度を持たせる

靭帯再建術

自分の太ももの腱(大腿四頭筋腱)を使って、靭帯を新たに作り直す

担当医の相談のもと、症状の程度や生活スタイルに応じて患者様にあった手術方法が選択されます。

再生医療

 

再生医療はご自身の細胞を活用する治療法です。

再生医療には「幹細胞治療」と「PRP(多血小板血漿)療法」があります。

「幹細胞治療」はご自身の脂肪などから幹細胞を採取・培養し体内へ注射する治療です。

「PRP(多血小板血漿)療法」はご自身の血液から血小板を多く含む成分を抽出し体内へ注射します。

再生医療は、拒否反応やアレルギーのリスクが低く、治療期間を短縮できる可能性があります。

再生医療を提供する当院では、メール相談オンラインカウンセリングを承っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

捻挫による後遺症は放置せず早めに対処しよう

捻挫の後遺症は放置すると症状が悪化し、日常生活に支障をきたします。

早期の適切な治療により、多くの場合で症状の改善が可能です。

捻挫における後遺症の治し方は以下の3つです。

  • テーピングの使用
  • ストレッチ
  • リハビリテーション

本記事ではそれぞれの症状について解説していますので、ご自身の症状に合わせて、治療法を進めてみてください。

捻挫の後遺症が悪化した場合は、手術または再生医療の治療法が選択肢に挙げられます。

再生医療は患者様の細胞を活用した治療法で、副作用が少なく入院なしで治療できる点が特徴です。

再生医療を提供する当院では、メール相談オンラインカウンセリングを承っておりますので、ぜひご活用ください。

捻挫の後遺症に関するよくある質問

捻挫の後遺症で正座ができない場合もありますか?

捻挫の後遺症により正座ができない場合があります。

後遺症による痛みや可動域の制限により、膝を深く曲げる姿勢が取れなくなるためです。

また、足首の不安定性により、正座の維持が困難になる場合もあります。

以下の記事では正座をすると足首が痛いときのストレッチ法を紹介しています。セルフケアをする際の参考にしてみてください。

関連記事:正座をすると足首が痛い原因まとめ!有効なストレッチも紹介 | 大阪 リペアセルクリニック

足首の古傷が痛む原因は捻挫後遺症の可能性はありますか?

古傷が痛む現象について、はっきりとした原因はまだ解明されていません。

しかし、けがをした部分の組織は、回復後も血行が悪くなりやすいと言われています。

気温の変化や気圧の低下によって血管が収縮すると、さらに血流が悪くなります。

古傷の痛みや違和感を感じたら、医療機関に相談してください。

参考文献

(文献1)
スポーツ活動における足関節捻挫―後遺症と捻挫再発予防について―|日本アスレティックトレーニング学会誌

(文献2)
足関節捻挫の病態と治療|日本アスレティックトレーニング学会誌

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