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更年期障害になりやすい女性の特徴とは?体質・性格・生活習慣でわかるリスクを紹介

40代以降の女性にとって避けて通れないのが更年期です。
ホットフラッシュ(更年期に起こる急なほてりや発汗)やイライラ、眠れないといった不調を感じながらも、「年齢のせい」と我慢している方もいるのではないでしょうか。
更年期障害はすべての方に起こるわけではありませんが、発症しやすい体質や生活習慣、性格には一定の特徴があります。
本記事では、更年期障害になりやすい女性の特徴やリスク要因をわかりやすく解説し、重症化を防ぐためのポイントも紹介します。症状に悩む方は、ぜひ参考にしてください。
目次
更年期障害になりやすい女性の5大特徴を解説
更年期障害はすべての女性が経験する可能性がありますが、症状の出やすさや重さには個人差があります。ここでは、なりやすい女性に共通する以下の「生理的要因」について詳しく解説します。
生理的要因(年齢・ホルモンバランス)
以下のような生理的背景を持つ女性は、更年期障害が起こりやすくなる傾向があります。
- 早期閉経
- 月経不順になりがち
- 子宮・卵巣の手術歴がある
早期閉経
閉経が40歳未満で起こる「早発閉経(POI)」の女性は、エストロゲンが急激に減少してしまいます。(文献1)その結果、自律神経の不調やうつ症状、骨粗しょう症などのリスクが高まるため、注意が必要です。
また、早発閉経は自己免疫疾患や染色体異常、卵巣手術などが要因となることもあります。加齢による更年期とは異なり、ホルモンが急激に減少するため、体が急な変化に対応しにくく、重い更年期症状を引き起こす可能性もあります。
婦人科でのホルモン補充療法や漢方薬の活用、定期的な婦人科受診で、早めに自分の体の変化を把握することが大切です。
月経不順になりがち
月経が不規則な女性は、ホルモンの変動に体が慣れていません。そのため、更年期に入った際のエストロゲンの減少に敏感で、自律神経症状が出やすくなります。(文献2)
不眠や動悸、集中力低下などを感じやすく、精神面の不調も目立ちます。月経不順になりがちの女性は、規則正しい生活習慣だけでなく、基礎体温や月経周期の記録を残して自分のホルモンの変化に気づきやすくすると、症状を和らげる準備が可能です。
子宮・卵巣の手術歴がある
卵巣や子宮を摘出すると、エストロゲンの分泌が急に止まり、自然な閉経とは異なり「外科的閉経」となります。(文献3)この急激なホルモン断絶により、強い更年期症状が出やすくなります。
術後の不調にはホルモン補充療法が効果を期待できるといわれており、体の変化に合わせた定期的な医療サポートが不可欠です。子宮・卵巣の手術の予定がある女性は、術前・術後に医師と今後の体調管理について相談しておきましょう。
ライフスタイル要因
更年期症状を軽くするためには、生活習慣の改善が重要です。
以下では、代表的な4つの要因について説明します。
睡眠不足
睡眠不足は夜間のホットフラッシュや不眠を悪化させ、自律神経のバランスを乱します。(文献4)さらに、睡眠が不足するとストレスホルモン(コルチゾール)が増加し、更年期症状としてのイライラや集中力低下を引き起こしやすくなります。
睡眠不足を防ぐためには、就寝前のスマホ制限や寝室の環境(遮光カーテン・騒音対策)を整えるのが有効です。また、就寝時間を毎日一定にすることで、症状の悪化を防ぎやすく効果も期待できます。
運動不足
定期的に運動をする習慣がないと、筋力低下や骨密度の低下が進みやすくなります。(文献5)加えて、軽度な運動でもセロトニンやエンドルフィンの分泌が促され、メンタル面や睡眠の質の改善に影響してきます。
運動不足はうつ・不安・不眠などの更年期症状を強めることにつながります。そのため、運動不足が気になる方は、週に3〜5日ほど、ウォーキングや軽めの筋トレを取り入れてみましょう。
定期的な運動は、骨の健康を保ち、気分を安定させる効果が期待できます。毎日の生活に無理なく続けられる範囲で、体を動かす習慣をつけましょう。
偏食・過度なダイエット
極端なダイエットや特定の栄養に偏った食事を続けると、女性ホルモン(エストロゲン)をつくるために必要なビタミンやミネラルが不足してしまいます。その結果、ホルモンのバランスが乱れやすくなり、更年期の不調が強く出る原因になることがあります。
とくに栄養不足が続くと、骨量減少や身体疲労、免疫力低下を招き、更年期不調を増幅させやすくなります。
偏食やダイエット中の女性でも、カルシウムやビタミンD、タンパク質、良質な脂質を含むバランスの取れた食事を心がけてください。和食のように多様な食材を取り入れ、極端な減量は避けることが望ましいです。
飲酒・喫煙
喫煙はエストロゲンの代謝速度を速めて早期閉経を引き起こし、飲酒はホットフラッシュや不安症状を悪化させます。
また、重度の飲酒やたばこは更年期以外の骨粗しょう症や心疾患といった健康リスクを引き上げます。飲酒や喫煙が要因の可能性があるなら、禁煙を目指すことはもちろん、飲酒も1日1杯程度の節度ある量にとどめましょう。
心理的要因
人によっては、ストレスに敏感な性格や感情表現の苦手さが、更年期症状の悪化につながることがあります。以下4つのタイプを解説します。
真面目・神経質・完璧主義・責任感が強い
完璧主義や責任感が強い方は、自己への評価が厳しく、失敗への不安から慢性的なストレス状態に陥りがちです。これはコルチゾール分泌の増加につながり、更年期に伴うイライラや不眠、うつ傾向を悪化させます。
真面目で神経質、完璧主義、責任感が強い方は、自分の考え方のくせに気づき、少しずつ変えていきましょう。
その方法の一つが、「認知行動療法」です。これは気になる考え方や感じ方を整理する方法で「少し失敗しても次に活かせばよい」といった別の考え方を持てるよう練習します。
また、失敗したときやつらいときには、自分を責めすぎず、やさしく接することも大切です。
感情を表に出すのが苦手
自らの感情を抑え続ける傾向がある方は、外から見えないストレスが蓄積しやすく、その反動として不安感や身体症状(頭痛・動悸・消化不良など)が現れることもあります。
感情を表に出すのが苦手な方は、日記や信頼できる方への相談、自分の心の声に耳を傾ける時間を持つことが大切です。自分の気持ちを表現し、共感してもらえる環境を作ることで、内向的な緊張を軽減できます。
感情の起伏が激しい・ストレス耐性が低い
感情の起伏が激しい方は、ホルモンバランスの揺らぎに対しても敏感に反応します。とくに、うつ・不安・更年期のイライラ・涙もろさが強く出やすい傾向にあります。
対処法としては、呼吸法やヨガなどのリラクセーション法を習慣化し、心拍数を安定させる「自律神経トレーニング」が効果的です。また、専門家との定期カウンセリングもおすすめです。
社会的・環境的要因
仕事や家庭・社会的環境からのストレスが、更年期の症状をさらに悪化させます。以下3点について解説します。
仕事のストレス
職場の過大な業務負担や不明瞭な役割、上司や同僚のサポート不足も更年期障害を引き起こす可能性があります。とくに、転職や昇進による責任の増加、職場の人間関係の変化、プレッシャーの強いポジションへの就任などは、自律神経を乱しやすくなるでしょう。
強いストレスは、ホットフラッシュや不眠、抑うつ感などの症状を悪化させる要因となります。仕事でストレスを感じている方は、テレワークや時差出勤などの柔軟な勤務方法や休憩、職場環境の調整を上司や人事に相談してみるのがおすすめです。
家族問題によるストレス
更年期世代の女性は、家庭内でも多くの課題を抱えがちです。親の介護負担や、子どもの反抗期・受験・進学・独り立ちなどによるストレスは、精神的な消耗を招きます。
とくに、子どもが巣立った後の喪失感や孤独感は、更年期うつの要因の一つです。こうした家庭の問題は、女性ホルモンの変動による心身の不安定さと重なり、更年期の症状をさらに悪化させる要因となります。
家族問題は一人で抱え込まず、地域の介護支援センターや教育相談窓口の活用、家族や専門家との対話を通じて負担を分散することが重要です。
更年期障害に対する周りのサポート(理解)がない
更年期症状への理解が職場や家庭で不足していると、症状を気兼ねなく話せなくなる方もいるでしょう。すると、孤立感や羞恥感が強まり、不調を助長してしまいます。
まずは自身が更年期について正しい知識を持ち、周囲に理解を促すことが大切です。
職場では、管理職や人事、産業医などが中心となって勉強会や支援制度の導入を進めることで、環境全体の理解が深まります。
こうした環境が整うことで、更年期の症状に対して安心して向き合えるようになります。
遺伝的要因
更年期障害の症状や重症度には、遺伝的な影響があるとされています。とくに母親や姉妹が更年期障害で強い不調を経験していた場合、自分も同様に重い症状が出るリスクが高まります。
さらに、更年期症状を和らげる効果があるとされる「エクオール」という成分を体内で作れない体質の方は、症状が重くなりやすい傾向があります。エクオールは大豆イソフラボンから作られる女性ホルモンに似た成分です。これを作れるかどうかは、遺伝的に決まります。
家族に更年期が重かった方がいる場合は、生活習慣の改善や早期の医療相談、必要に応じたサプリメントの活用などで、事前に対策しておきましょう。
更年期障害に関連する健康リスク
更年期障害の主な症状に加えて、エストロゲンの急速な低下が引き金となり、さまざまな健康リスクが高まります。リスクがある症状(病気)は主に以下です。
- 骨粗しょう症
- 生活習慣病
- 肥満
エストロゲンの減少によって骨密度が急激に低下し、骨折リスクが増加します。また、体脂肪の内臓への蓄積や血糖・血圧・脂質の乱れが起こりやすくなり、糖尿病・心疾患・脳卒中などのリスクが上昇します。
さらに、 中年期以降は腹部脂肪が増えやすく肥満の原因になりがちです。リスクを軽減するためには、骨密度を保つ運動(ウエイトトレーニングなど)、カルシウム・ビタミンD摂取、バランスの取れた食生活、適度な有酸素運動が効果的とされています。
これら対策は更年期症状を和らげつつ、将来の骨折や心血管疾患の予防にも直結します。更年期障害の自覚を少しでも感じたら、早めに生活習慣を見直すことが大切です。
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更年期障害はすべての女性に起こるわけではありません。しかし、実際には「症状を自覚していない人」「症状があっても軽度な人」も多く存在します。
厚生労働省の調査では、年齢ごとの発症傾向が以下のように示されています。(文献6)
年齢層 | 医療機関を受診したことはないが、更年期障害を疑ったことがある/疑っている | 更年期障害と診断されたことがある |
---|---|---|
40〜49歳 | 24.3% | 3.6% |
50〜59歳 | 34.5% | 9.1% |
60〜64歳 | 24.9% | 6.9% |
更年期症状を感じる方が多いのは50〜59歳の層で、約3割以上が「更年期障害を疑ったことがある/疑っている」と回答しています。一方で、実際に婦人科などの医療機関を受診している方は全体の10%未満にとどまり、多くの女性は「症状が軽い」「我慢できる」と判断して受診を控えているのが現状です。
この結果から、更年期障害は症状の重さに大きな個人差があることがわかります。約6〜8割の女性は軽い症状にとどまるか、医療機関での治療が不要なレベルで済んでいます。更年期を穏やかに過ごすには、日頃からの生活習慣管理や早めの情報収集がカギとなるでしょう。
更年期障害の症状が気になる場合は医師へ早めに相談しましょう
更年期障害は、年齢・性格・生活習慣・ストレス環境・遺伝的背景など、さまざまな要因が複雑に影響して発症します。ホットフラッシュや不眠、イライラなどの症状が現れても、すべての方に重い不調が出るわけではありません。
また、生活習慣病や骨粗しょう症、メンタル不調など将来的な健康リスクと関わることもあり、早めの対策が重要です。気になる症状がある場合は、婦人科や女性外来など専門医に相談し、適切なケアを受けましょう。
早めの対応が、健康的な更年期とその後の人生の第一歩になります。
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(文献1)
早発閉経|MSDマニュアル
(文献2)
更年期以降、エストロゲン減少に伴う症状はどのように変化するのか?|医療法人社団 冬城産婦人科医院
(文献3)
自然閉経と外科的閉経の更年期症状の違い|医療法人社団 冬城産婦人科医院
(文献4)
不眠の原因・症状と対策方法|更年期ラボ
(文献5)
運動で更年期症状を緩和|大塚製薬
(文献6)
更年期症状・障害に関する意識調査|厚生労働省