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男性更年期障害とは?症状や原因、セルフチェック方法を解説

男性更年期障害とは?
公開日: 2025.07.31 更新日: 2026.06.27

「最近、疲れやすくなった」
「手足の関節が痛い」
「以前より怒りっぽくなった気がする」

これらの症状は、もしかすると男性更年期障害が関係しているかもしれません。更年期障害は女性だけのものではなく、男性ホルモン(テストステロン)が低下すると男性にも起きます。

本記事では、男性更年期障害の概要から症状、原因、なりやすい人の特徴、診断・検査方法、治療方法までを解説します。中高年以降の男性は参考にしてください。

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男性更年期障害(LOH症候群)とは

男性更年期障害は、医学的にはLOH症候群(加齢男性性腺機能低下症)と呼びます。加齢によるテストステロンのゆるやかな低下によって生じる症状の総称です。

更年期は女性特有のものとイメージされがちですが、男性にも同様の症状が現れることが医学的に認められています。

女性の更年期障害には閉経という明確な転換点があります。一方、男性の場合はテストステロンがゆるやかに低下していくのが特徴です。

そのため「年齢のせいだろう」「疲れているのだろう」と見過ごされやすい傾向があります。身体・精神・性機能に関する症状を理解して、適切な対処を行うことが大切です。

男性更年期障害の症状

男性更年期障害の症状は多岐にわたり、一見すると「ただの疲れ」やうつ症状と見分けがつかないことがあります。

症状は大きく分けて以下の3つです。

それぞれの症状について具体的に解説します。

身体的症状

男性更年期障害の身体的症状は、以下のように体のさまざまな部位に現れます。

症状 具体的な内容
疲労・倦怠感 疲れがとれない、体が重く感じる
筋力・体力の低下 以前のように運動ができない
発汗・ほてり 急に汗をかく、顔や体がほてる
関節痛・筋肉痛 腰が痛い、手足の関節が痛い、筋肉が痛い
睡眠障害 寝つけない、目覚めが悪い、眠りが浅い
頻尿・排尿障害 排尿の回数が増える

また、テストステロンの低下は、高血圧や2型糖尿病、動脈硬化、がんなどの発症リスクにも関連があります。

精神的症状

男性更年期障害では、以下のように精神面にも大きな影響が出ることがあります。

症状 具体的な内容
気力・集中力の低下 仕事や趣味への意欲がわかない、集中力が続かない
易怒性 些細なことでイライラして、怒りっぽくなる
不安感・抑うつ症状 理由もなく不安を感じたり、気分が落ち込んだりする
記憶力の低下 物忘れが多くなる
不眠 寝つけない

テストステロンと抑うつ症状には関連があり、テストステロンが低い人では、正常な人と比べてうつ病と診断される割合が約3倍高いとの報告があります。(文献1

ただし、テストステロンがすべての抑うつ症状の原因とは限らないため、精神疾患の可能性も考慮して総合的に評価できる医療機関の受診を推奨します。

性機能に関する症状

以下のような性機能への影響は、本人が気づきやすい症状の一つです。

症状 具体的な内容
性欲の低下 以前と比較して性への関心が薄れてきた、性行為の頻度が減った
勃起機能の低下 勃起力が減退した、早朝勃起の回数が減った
射精障害 射精までに時間がかかる、射精できない

性機能に関する症状はデリケートな問題であるため、受診をためらう方も多く、症状を抱えたまま放置されやすい傾向があります。

「年齢のせいだから仕方ない」と諦める必要はなく、治療によって改善できる可能性があります。恥ずかしいからといって一人で抱え込まず、医療機関に相談することが大切です。

男性に更年期障害が起こる原因

男性に更年期障害が起こる主な原因は以下の2つです。

それぞれについて詳しく解説します。

加齢による男性ホルモンの低下

男性更年期障害の主な原因は加齢によるテストステロンの低下です。テストステロンは、筋力・気力・骨・性機能・排尿機能など、男性の心身のさまざまな機能を支える重要なホルモンです。

血液中のテストステロンは20〜30代にピークを迎え、30歳以降は加齢に伴って緩やかに低下していき、年間0.4〜1.0%ずつ低下するとされています。文献1

遊離テストステロン値(血液中で活性の高い状態のテストステロン)において、以下のような基準があります。

項目 分類 基準値
遊離テストステロン 境界域 8.5〜11.8pg/mL
治療介入域 8.5pg/mL未満

文献1

この基準に照らすと、境界域以下に該当する割合は、40歳代で約10%、50歳代で約20%、60歳代で約50%でした。この調査を参考にすると、日本人男性は遊離テストステロン値が加齢とともに明らかに低下することが示されています。

生活習慣病などのなんらかの病気の影響

男性更年期障害の原因は加齢だけではありません。肥満や2型糖尿病などの生活習慣病も、テストステロンの低下を引き起こすことが明らかになっています。

糖尿病や肥満があると、体内で炎症を引き起こす物質「炎症性サイトカイン」が以下のように作用するためです。

  • 炎症性サイトカインが肝臓に作用すると、テストステロンを血液中に運ぶタンパク質の産生が抑えられ、血液中のテストステロンの総量が減る
  • 炎症性サイトカインが脳に働きかけて、男性ホルモンの分泌を促すホルモンの放出を妨げる

さらに、テストステロンが減ると生活習慣病を悪化させるため悪循環も生じます。男性更年期障害の治療は、生活習慣病の改善にもつながります。

男性更年期障害になりやすい人の特徴

男性更年期障害になりやすい人の特徴として、以下が挙げられます。

それぞれについて詳しく解説します。

生活習慣が乱れている

食生活の乱れや運動不足、不規則な睡眠などは、テストステロンの分泌に悪影響を及ぼします。

生活習慣の乱れ 悪影響
睡眠の乱れ 睡眠の質が悪くなるテストステロンの分泌量が低下する
運動不足 筋肉量の減少を招き、テストステロンの分泌量が低下する
食生活の乱れ 亜鉛やマグネシウムなどミネラルが不足するとテストステロンの分泌量が低下する

生活習慣を整えれば、テストステロンの分泌量を維持・改善できる可能性があります。食事・睡眠・運動を見直すことが、男性更年期障害の予防と改善の基本です。

慢性的なストレスを感じている

慢性的なストレスは、テストステロンの分泌を抑制する要因の一つです。現代社会では、仕事上の責任の増大や長時間労働、親の介護などさまざまな場面でストレスを感じやすい環境が続いています。

また、几帳面で責任感が強く、ストレスをため込みやすい性格の男性は、テストステロンの分泌量の低下を引き起こしやすい傾向があるとも考えられています。

「自分でも気づかないうちにストレスが蓄積していた」というケースも考えられるため、仕事でのプレッシャーや人間関係の悩みが長期にわたって続いている方は注意が必要です。

過度な飲酒・喫煙をしている

以下のように過度な飲酒や喫煙はテストステロンの分泌に悪影響を与えます。

飲酒の影響 ・精巣におけるテストステロンの分泌を抑制する
・大量飲酒が続くと精巣の組織が傷つき、精子がうまく作れなくなるリスクもある
喫煙の影響 ・テストステロンの濃度を低下させる
・陰茎の血流を悪化させて、勃起機能を低下させるリスクもある

男性更年期障害の診断・検査方法

男性更年期障害の診断には、以下の診察や検査を行います。

診断・検査方法 詳細
問診と症状の確認 医師が問診票をもとに現在の症状や経過を確認する
血液検査 血液中のテストステロン値を調べる

血液中のテストステロン値は午前中に高く、夕方にかけて低下します。そのため、採血はテストステロン値が高くなる午前8〜11時に行うことが推奨されています。

なお、LOH症候群の診断におけるテストステロンの基準値は以下のとおりです。

検査項目 診断基準値
総テストステロン 250ng/dL 未満
遊離テストステロン 7.5pg/mL未満

文献1

LOH症候群の診断は、基準値だけでなく症状なども合わせて総合的に判断します。テストステロン値は生活習慣病をはじめとするさまざまな要因によって変動するため、数字だけで判断せず複数の要因を踏まえた上で総合的に評価して診断します。

うつ病など他の疾患との見極めも重要です。気になる症状がある場合は専門医を受診しましょう。

男性更年期障害のセルフチェック方法「AMSスコア」

自分で症状の程度を確認したい方には、AMSスコア(Aging Males’ Symptoms)が役立ちます。

AMSスコアとは、男性更年期障害の症状を数値化するための国際的な自己評価ツールで、17項目の質問に答えることで症状の重症度を把握できます。

項目 なし 軽い 中等度 重い 非常に重い
1点 2点 3点 4点 5点
総合的に調子が思わしくない          
関節や筋肉の痛みがある          
ひどい発汗がある          
睡眠の悩みがある          
よく眠くなる・しばしば疲れを感じる          
いらいらする          
神経質になった          
漠然とした不安を感じる          
からだの疲労や行動力の減退がある          
筋力が低下した          
憂うつな気分になる          
「絶頂期は過ぎた」と感じる          
力尽きた・どん底にいると感じる          
ひげの伸びが遅くなった          
性的能力が衰えた          
早朝勃起(朝立ち)の回数の減少した          
性欲が低下した          
合計得点 重症度の目安
17〜26点 症状なし
27〜36点 軽度
37〜49点 中等度
50点以上 重度

37点以上は医療機関の受診を推奨する目安とされています。AMSスコアはあくまでスクリーニング(ふるい分け)ツールであり、スコアだけで診断の確定はできません。スコアが高かった場合は、自己判断で終わらせず医療機関の受診を検討してください。

男性更年期障害の治療方法

男性更年期障害の主な治療方法は、以下のとおりです。

それぞれの治療方法を詳しく解説します。

男性ホルモン補充療法

男性ホルモン補充療法は、男性更年期障害の症状や徴候が見られる40歳以上の方に適応かどうかを判断します。テストステロンを直接体内に補充することで、さまざまな症状の改善を図る治療方法です。

適応と判断された場合は、2〜4週間後に1回のペースで筋肉内注射を行います。治療開始後は3カ月ごとに効果を評価し、副作用の有無を確認しながら継続するかどうかを判断します。

血液検査でテストステロン値が一定の基準値よりも下回り、LOH症候群と診断されている場合は保険適用となります。一方、診断基準を満たしていなくても、疲れや意欲の低下などの症状の改善を希望する場合は、全額自己負担で治療を受けることも可能です。

漢方薬治療

漢方薬治療は以下のような既往歴があり、男性ホルモン補充療法を行えない場合などに検討されます。

  • 睡眠時無呼吸症候群
  • 脂質異常症
  • 前立腺肥大症
  • 前立腺癌
  • 多血症(血液が過剰に作られる状態)

処方される漢方薬の例は以下のとおりです。

種類 適応症状
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん) 疲れやすさ、足腰の冷え
加味逍遙散(かみしょうようさん) 肩こり、疲れやすさ、不安
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう) 不眠、うつ症状
八味地黄丸(はちみじおうがん) 疲れ、だるさ、頻尿
抑肝散(よくかんさん) イライラ感、不眠

漢方薬にも副作用や組み合わせに注意が必要な薬があります。自己判断による服用は避けて、医師に相談した上で使用してください。

運動療法

適度な運動はテストステロンの分泌を促す効果を期待できます。

有効とされているのは以下のような有酸素運動です。

  • ウォーキング
  • ジョギング
  • エアロビクス
  • 水泳
  • サイクリング

これらの運動を1回あたり30〜60分程度、週に3〜5回の頻度で行うことが推奨されています。文献1

また、胸や背中、太ももなど体の大きな筋肉を鍛える筋力トレーニングも有効です。なお、重りを用いた筋力トレーニングは怪我のリスクが高まるため、無理のない範囲で行うことが大切です。

食事療法

食生活もテストステロンの維持・改善に役立つ可能性があります。

以下の栄養素には、テストステロンの分泌促進または低下の抑制の効果を期待できます。

栄養素 根拠
炭水化物・アミノ酸 適切な運動療法と組み合わせることでテストステロンの上昇が確認されている
亜鉛、セレン、ホウ素、マグネシウム、マンガン これらのミネラルが不足するとテストステロンの低下が確認されている
不飽和脂肪酸 オリーブオイルやアルガンオイルを使う地中海式の食事でテストステロンの上昇が確認されている

文献1

一方、脂質の多い食事による肥満の進行がテストステロンの低下につながることも知られています。また、ミネラルの過剰摂取によって、テストステロンの分泌が抑制される場合もあります。栄養は適正量をバランス良く摂ることが大切です。

男性更年期障害を理解し、適切な診断・治療へつなげよう

男性更年期障害は、加齢に伴うテストステロンの低下により発症することがあります。テストステロンはゆるやかに低下していく特徴があるため、「年齢のせいだろう」「疲れているのだろう」と見過ごされやすいです。

以前よりも「疲れやすい」「些細なことでイライラする」「性への関心がなくなった」といった症状が現れている方は、男性更年期障害の可能性があります。

加齢だけでなく、生活習慣の乱れや慢性的なストレスなどがある方は更年期障害になりやすいとされています。また、肥満や2型糖尿病などの生活習慣病は、テストステロンの低下の原因になることがあるため適切な治療を受けることが大切です。

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男性更年期障害に関するよくある質問

何科を受診すれば良いですか?

主に泌尿器科で診察・治療が受けられます。近年では、より専門的な診断・治療が受けられる男性更年期外来やメンズヘルス外来なども設立されています。

サプリメントは効果がありますか?

アルギニンやクレアチン、コエンザイムQ10などでテストステロンが上昇したとの報告があります。一方で変化が見られなかったとの研究結果もあります。(文献1サプリメントを使用する場合は医師に相談してから判断しましょう。

何歳からなりやすいですか?

テストステロンは緩やかに低下するため、何歳からなりやすいかは明確にされていません。遊離テストステロン値が治療介入域に達するのは、40歳代で約10%、50歳代で約20%、60歳代で約50%との報告があります。文献1

バナナは症状の軽減に効果がありますか?

バナナが男性更年期障害の改善に効果があるという科学的根拠はありません。詳しく知りたい方は、以下を参考にしてください。

 

参考文献

(文献1)
LOH症候群診療の手引き|日本泌尿器学会