- 脊椎
- 脊椎、その他疾患
化膿性脊椎炎の後遺症|手足のしびれ・痛みのリハビリと再発リスクを下げる方法

「化膿性脊椎炎に後遺症はある?」
「再発のリスクを下げる方法も知りたい」
化膿性脊椎炎は手足のしびれや痛み、運動能力の低下などの後遺症が発生する場合があります。これらの後遺症を発生させないためには、早期発見や適切な治療、リハビリテーションが重要です。
後遺症が発生してしまった際は、医師やリハビリスタッフの指示のもとで適切なリハビリテーションを進めることが大切です。本記事では、化膿性脊椎炎に関する以下のことを解説します。
化膿性脊椎炎の後遺症や再発リスクの理解を深めるために本記事を役立ててください。
目次
化膿性脊椎炎の後遺症は手足のしびれや痛み
化膿性脊椎炎の後遺症には以下のようなものがあります。
- 手足のしびれや痛み
- 運動能力の低下
- 筋力の低下
- 排尿障害
化膿性脊椎炎を発症した方の約1/3は、神経症状の後遺症に悩まされていると報告があります。(文献1)
後遺症を発生させないためには、早期発見と適切な治療が重要です。治療が遅れると脊椎に元に戻らない変化が起きてしまう恐れがあるためです。その場合、たとえ治療を行っても、神経症状などの後遺症は期待通りに回復しない恐れがあります。
なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報発信や簡易オンライン診断を実施しています。気になる症状がある方は、ぜひ一度お試しください。
\無料オンライン診断実施中!/
化膿性脊椎炎の後遺症に対するリハビリテーション
化膿性脊椎炎の手足のしびれや痛みに対するリハビリテーションにおいては、症状を悪化させない方法を身につけることが重要です。
例えば、手のしびれに対しては以下のようなアプローチがあります。
- 長時間の手の作業は避ける
- 一定時間ごとに使用する手を替える
- しびれが現れたら無理をしないで休ませる
- 手首や肘はできるだけ伸ばした状態にして作業を行う
- 肘や手首を圧迫しないようにする
(文献2)
以上のリハビリテーションはあくまで一例です。必要なリハビリテーションは人それぞれ異なるため、医師やリハビリスタッフに相談しながら進めましょう。
化膿性脊椎炎の治療において安静が重要な理由
化膿性脊椎炎の治療において安静が重要な理由は、骨破壊(細菌感染により骨が破壊されること)を防止するためです。また、脊椎を安定させることにより感染の鎮静化に役立つとされています。(文献3)
実際に、徹底した安静臥床と適切な抗菌薬の治療による保存療法で、良好な治療成績を得られると報告があります。(文献7)しかし、化膿性脊椎炎の治療において、多くの場合に感染部位の安静を保持できていないのが現状です。
安静を保つために、例えば脊椎の場合は体幹ギプスや硬いコルセットを着用することがあります。
化膿性脊椎炎の再発リスクを下げる方法
化膿性脊椎炎の再発リスクを下げる方法は、適切な期間治療を受けることです。化膿性脊椎炎は、医師の診察や画像による診断が難しく、原因不明の発熱として見過ごされやすいです。その結果、十分な期間の抗菌薬の投与ができず再発してしまうこともあります。
実際に抗菌薬の投与による治療が4週間未満である場合は、再発率25%に上ると報告があります。(文献4)適切な診断を受けて必要な期間の抗菌薬の投与をしてもらうために、脊椎等を専門とする医師に相談したほうが良いでしょう。
化膿性脊椎炎の再発を早期発見するポイント
化膿性脊椎炎の再発に気づかず治療が遅れてしまうと、後遺症が発生するリスクがあるため早期発見が重要です。早期発見するポイントは以下の通りです。
それぞれの詳細を解説します。
基本的な症状を理解する
化膿性脊椎炎には3つの型があり、それぞれ発症の仕方が以下のように異なります。
症状の発症の仕方 | |
---|---|
急性発症型 | 激しい頚部痛、背部痛、腰痛などの痛みと高熱で発症する。 |
亜急性発症型 | 頚部痛、背部痛、腰痛などの痛みと微熱で発症する。 |
慢性発症型 |
軽微で治りにくい頚部痛、背部痛、腰痛などの痛みと間欠的な発熱(発熱したり解熱したりすること)で発症する。 |
痛みの部位は感染の場所により異なります。以上のような症状が現れたら再発を疑いましょう。なお、化膿性脊椎炎の好発部位は、腰椎が最も多く50%以上、胸椎が30%強、頚椎が10%ほどです。(文献5)
症状の特徴を理解する
化膿性脊椎炎の症状の特徴は、腰痛や背部痛などの痛みがいくら時間がたっても治まらないことです。ぎっくり腰などでは体勢を変えると痛みは軽減しますが、化膿性脊椎炎ではどんな体勢をとっても改善はしません。
退院後に以下のような症状が現れた場合は再発を疑ってください。
- 高熱や微熱、間欠的な発熱などのいずれかが現れている
- 頚部痛、背部痛、腰痛などの痛みが現れており、体勢を変えても改善しない
このような症状が現れている場合は、再発を疑い整形外科を受診しましょう。
化膿性脊椎炎の予後
化膿性脊椎炎は、かつては感染の長期化や再発が多いことに加えて、敗血症(はいけつしょう:感染症が原因で全身の臓器に障害が及ぶ状態)などにより予後が不良な病気でした。
しかし、近年では適切な抗菌薬の投与や手術療法により、死亡率が5〜16%と予後の改善が見られています。(文献6)とはいえ、診断が診断が遅れて適切な治療を迅速に開始できなかった場合、重度の敗血症を合併することはあります。
化膿性脊椎炎は、早期発見と適切な治療により予後が大きく左右されます。前述した症状が現れた際は、化膿性脊椎炎を疑い速やかに整形外科を受診してください。
まとめ|適切な治療とリハビリで後遺症を最小限に抑えよう
化膿性脊椎炎の後遺症は、手足のしびれや痛み、運動能力の低下、筋力の低下などです。
化膿性脊椎炎の後遺症を発生させないためには、早期発見と適切な期間の抗菌薬の投与が重要です。
適切な期間の治療により、再発リスクを下げることもできます。治療中は悪化を防ぐために安静を保持しましょう。
発生してしまったしびれや痛みに対しては、リハビリテーションを通して悪化させない方法を身につけることも大切です。
医師やリハビリスタッフの指示のもと適切な治療やリハビリテーションを進めましょう。
(文献1)
化膿性脊椎炎と診断されて手術に至った 30 症例の検討|日本ペインクリニック学会誌
(文献2)
神経のリハビリ|JCHO東京高輪病院リハビリテーション
(文献3)
化膿性脊椎炎における治療開始初期のCRP値改善率と保存的治療期間との関係について|日本脊椎脊髄病学会
(文献4)
化膿性脊椎炎の診断におけるMRIの有用性:3例報告|日臨救急医会誌
(文献5)
化膿性脊椎炎|日本脊髄外科学会