脊柱管狭窄症の手術|入院期間や費用、手術からリハビリまでの流れ
目次
脊柱管狭窄症の手術|入院期間や費用、手術からリハビリまでの流れ
「脊柱管狭窄症の手術はどれくらい入院するの?」
「手術費用がいくらかかるか不安」
脊柱管狭窄症は足の痺れや痛みで歩けなくなる病気で、症状が悪化すると手術による治療が必要になります。
どのような手術やリハビリをするかはもちろんですが、入院期間や費用がどのくらいかかるかが気になる方も多いのではないでしょうか。
そこで、脊柱管狭窄症について、手術からリハビリまでの流れ、入院期間や必要な費用を詳しく解説します。
脊柱管狭窄症とは?原因とその症状
脊柱管狭窄症はさまざまな原因により、背中にある神経の通り道が狭くなり、神経を圧迫することで症状を引き起こす状態です。
まずは脊柱管狭窄症についての理解を深めるために、原因や症状を紹介します。
脊柱管狭窄症の原因
多くの場合は、加齢により「脊柱の変形による神経の圧迫」が原因となります。
脊柱は小さな積み木のような骨が積み重なってできており、後方の脊柱管という空間に脳から伸びた神経(脊髄:せきずい)が通っています。また、脊髄から枝分かれした神経は脊柱の左右の隙間を通って、手足につながり感覚や運動を司っています。
脊柱の変形のため、これらの通り道が狭くなってしまうと、神経にダメージを与えてしまい、脊柱管狭窄症の症状につながるのです。
加齢による変形の他に、骨の代謝障害や生まれつきの変形によるものなどがあります。
脊柱管狭窄症の症状
お尻から脚全体にかけての痺れや痛み、脱力といった神経の症状が特徴です。
また、ある程度の距離を歩くと痛みや痺れなどが悪化して歩けなくなるものの、数分間休憩して前屈みの姿勢をとると再び歩けるようになる間欠性跛行(かんけつせいはこう)という症状がみられます。
症状が悪化すると排泄の障害や性機能が不全になるなどの膀胱直腸障害(ぼうこうちょくちょうしょうがい)がみられます。
脊柱管狭窄症の治療方法について
脊柱管狭窄症の治療は、保存療法と手術療法があります。まず選択されるのは、手術をしない保存療法です。
脊柱管狭窄症の保存療法
保存療法は次のようなものがあります。
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薬物療法は、痛み止めや神経の働きを改善する薬を服用します。
神経ブロック注射は、傷害された神経に麻酔薬を注射して一時的に神経働きを麻痺させ痛みの軽減や神経症状の改善を目的とします。
また、運動や生活の工夫で腰部の負担を軽くして、症状の改善や悪化予防を図ります。
それでも回復しなかったり、症状が悪化したりする場合は、手術の適応となります。
脊柱管狭窄症の手術療法
脊柱管狭窄症の手術は大きく分けて「除圧術」と「除圧固定術」の 2 種類あります。
1 つ目は、神経を圧迫している背骨の一部を取り除いて、圧迫されている部分の除圧をする手術(除圧術)です。
もう 1 つは、除圧術をしたあとに、その部分を別の箇所の骨を移植して固定する手術(除圧固定術)です。
背骨が狭窄だけでなく、ずれがあったり変形が強かったりする場合、除圧術をすると背骨の関節が不安定になってしまいます。そのため、除圧に加えて固定をする必要があり、除圧固定術が適応となります。
最近では小型のカメラを使用して、わずかな傷で手術を行う内視鏡での手術が多くなっています。手術は全身麻酔で行われ、手術箇所や状態によりますが 1〜3 時間以内で終了することが多いです。
傷口が小さくて回復も早いため、従来の切開して行う手術に比べて入院期間が短くなっています。
脊柱管狭窄症の入院期間と費用
脊柱管狭窄症は状態に合わせて手術の方法が異なるため、入院期間や費用は手術内容に応じて変わってきます。
そこで、手術ごとの入院期間や費用の目安を紹介します。
入院期間の目安
内視鏡を使用した手術の場合、入院期間は 1 〜 2 週間程度です。
病院や状態によっては 1 週間以内で退院が可能になる場合もあります。
入院期間は除圧術の方が固定術に比べて短く、手術箇所が多いほど入院が長くなる傾向にあります。
また、脊柱管狭窄症にヘルニアなどの合併している場合も入院期間が長くなります。
費用の目安
費用は除圧術の場合、25 万円〜 40 万円程度になります。
除圧固定術は除圧術に比べて費用がかかり、 60 万円〜 85 万円程度になります。
術式や入院期間、リハビリの量などによって差が出ますので、手術を検討する病院でしっかり確認をしましょう。
脊柱管狭窄症の手術からリハビリまでの流れ
脊柱管狭窄症で内視鏡手術をした場合、早期からベッドを離れて、体を動かすことができます。
そこで、手術からリハビリまでの流れについて解説します。
手術の翌日からリハビリ開始
手術当日は安静にしますが、翌日からリハビリが始まります。
ベッドから起きたり、座ったりという動きを確認したあと、経過が良好であれば、コルセットを装着して歩くことも可能です。
コルセットは術後の背骨が安定するまで約 3 カ月間装着する必要があり、手術の翌日から正しい装着方法を習得することが重要です。
2日目以降は状態に応じて積極的なリハビリを実施
2 日目以降は歩行練習を含めて、活動的な生活を送るためのリハビリがしっかり行われます。
歩行が安定してくると、階段の昇降や屋外での歩行も開始して、退院が可能な状態まで回復を目指します。
中腰の作業や重い荷物を持つなどは腰に負担がかかるため、しばらくは行ってはいけません。
退院までに日常生活での注意点もしっかり理解を深めておくことが重要です。
退院後も必要に応じて外来でのリハビリを受けることがあります。
脊柱管狭窄症の手術内容やリハビリまでの流れを知って不安を減らそう
脊柱管狭窄症は症状が悪化して、手術を勧められても、手術の費用や入院期間やリハビリまでの流れを知らないと不安になるのも仕方ありません。
紹介した情報を知ることで、少しでも不安を減らしていただければ幸いです。
脊柱管狭窄症により神経症状が悪化すると、日常生活を送るのに支障をきたします。手術が必要になる前に、早めに整形外科を受診し、症状の悪化を防ぎましょう。
▼こちらの動画もご参考になれば幸いです。術後後遺症でお困りでしたら当院にご相談ください。
No.102
監修:医師 坂本貞範