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LDL(悪玉)コレステロールを下げる薬の種類一覧|服用を始める目安や必要性を解説

コレステロール下げる薬
公開日: 2025.07.30 更新日: 2026.04.30

LDL(悪玉)コレステロールは、過剰になると動脈硬化や心筋梗塞・脳梗塞を引き起こすリスクがある物質です。食事や運動などの生活習慣を改善しても数値が下がらない場合、薬による治療が検討されます。

LDLコレステロールを下げる薬には複数の種類があり、それぞれ動脈硬化の進行を抑えるなどの効果が期待できます。一方で、正しく理解せずに服用すると思わぬ副作用を招くリスクがある薬です。

本記事では、LDLコレステロールを下げる薬の種類や副作用、服用を始める目安について解説します。薬の特徴を正しく把握することで、医師との相談や治療の選択をよりスムーズに進めることができます。

副作用や注意点などを詳しく解説しているため、LDLコレステロール値を下げる薬の服用を始める予定の方は参考にしてください。

脂質異常症の合併症である脳卒中に対しては、再生医療も治療選択肢の一つです。

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LDL(悪玉)コレステロールを下げる薬の種類【一覧表】

LDLコレステロールを下げる主な薬の種類は以下の通りです。

分類 効果 主な副作用
スタチン系製剤 肝臓でコレステロールが合成されるのを抑える 肝臓障害、間質性肺炎、横紋筋融解症
小腸コレステロールトランスポーター阻害薬 食事または胆汁由来のコレステロールの吸収を抑える 肝臓障害、ミオパチー様症状
陰イオン交換樹脂 小腸でコレステロールが吸収されるのを抑える 便秘、腹部の張り
プロブコール コレステロールの分解または胆汁への排出を促す 腹痛、吐き気、便秘、下痢
PCSK9阻害薬 血液中のLDLコレステロールを肝臓へ回収する 胃腸炎、鼻咽頭炎
ニコチン酸誘導体 脂質を運ぶタンパク質の合成を抑える かゆみ、顔面紅潮、高尿酸血症

それぞれの薬について詳しく解説します。

スタチン系製剤

スタチン系製剤は、肝臓でコレステロールが合成されるのを抑える薬です。

一般名 シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン
投与方法 経口投与
副作用 ・肝臓障害(肝臓の働きが低下している状態)
・間質性肺炎(かんしつせいはいえん:肺が線維化して硬くなる病気)
・横紋筋融解症(おうもんきんゆうかいしょう:筋肉の細胞が壊れる病気)
・ミオパチー様症状(筋肉の痛みや脱力感)

スタチン系製剤を用いた治療において、動脈硬化を抑える効果を示す数多くのエビデンスが報告されています。文献1)そのため、LDLコレステロール値が高い場合の第一選択の薬として使用されています。

スタチン系製剤は妊娠を希望する女性や授乳中の女性、妊婦は服用してはいけません。胎児や新生児に奇形が生じるリスクがあるためです。また、腎臓に障害がある方が服用すると、副作用のリスクが高まるため注意が必要です。

小腸コレステロールトランスポーター阻害薬

小腸コレステロールトランスポーター阻害薬とは、食事または胆汁由来のコレステロールの吸収を抑える薬です。

一般名 エゼチミブ
投与方法 経口投与
副作用 ・肝臓障害
・ミオパチー様症状
・腹痛や吐き気、便秘、下痢など

スタチン系製剤と組み合わせて服用すると高い効果が得られるとされています。ワルファリンとエゼチミブを併用すると、作用が増強される可能性があるため併用してはいけません。

陰イオン交換樹脂

陰イオン交換樹脂は、小腸でコレステロールが吸収されるのを抑える薬です。

一般名 コレスチミド、コレスチラミン
投与方法 経口投与
副作用 便秘、腹部の張り

副作用などの理由により、スタチン系製剤の服用にリスクがある場合に使用が検討されます。陰イオン交換樹脂は重い副作用が見られていません。

ただし、脂溶性ビタミン(A、D、E、K)や葉酸の吸収を阻害することがあるため、長期服用をする場合は、補給を検討する必要があります。また、中性脂肪値を上昇させることがあるため、中性脂肪値が高い方は服用を避ける場合があります。

プロブコール

プロブコールは、コレステロールの分解または胆汁への排出を促し、LDLコレステロール値を下げる薬です。

一般名 プロブコール
投与方法 経口投与
副作用 ・腹痛や吐き気、便秘、下痢など
・肝臓障害
・発疹(皮膚にできるぶつぶつなどのこと)
・不整脈(心臓の拍動のリズムが乱れる病気)

スタチンとプロブコールの併用をすると、脳卒中や心筋梗塞などの合併症リスクが下がったとの報告があります。文献1

PCSK9阻害薬

PCSK9阻害薬は、肝臓にあるLDLコレステロールを取り込む受容体を保護することで、血液中のLDLコレステロールを肝臓へ回収しやすくする薬です。その結果、血液中のLDLコレステロール値を下げる効果が期待できます。

一般名 エボロクマブ
投与方法 皮下注射
副作用 ・注射部位の腫れや痛み、かゆみ
・胃腸炎(胃や腸の粘膜に炎症が起きる病気)
・鼻咽頭炎(びいんとうえん:鼻と喉の間の粘膜に炎症が起きる病気)

PCSK9阻害薬は、以下に該当する場合に使用が検討されます。

  • 家族性高コレステロール血症または脳卒中や心筋梗塞などの合併症リスクが高い方
  • 最大耐容量のスタチン系製剤による治療効果が不十分または適さない方

PCSK9阻害薬は、LDLコレステロール値を下げる薬として、高い効果が期待できます。

ニコチン酸誘導体

ニコチン酸誘導体は、LDLコレステロール値だけでなく中性脂肪値が高いときにも服用を検討します。

一般名 ニコモール、ニコチン酸トコフェロール
投与方法 経口投与
副作用 ・かゆみ
・顔面紅潮(顔の毛細血管が広がり赤くなる症状)
・高尿酸血症(血液中の尿酸が多い状態)

ニコチン酸誘導体は肝臓でのリポタンパクの合成を抑制します。リポタンパクとは、LDLコレステロールや中性脂肪が含まれる粒子のことです。血液中の脂質を運搬する役割を担っています。

リポタンパクの合成を抑えることで、LDLコレステロール値や中性脂肪値を下げることができます。なお、糖尿病の方はニコチン酸誘導体の服用には注意が必要です。ニコチン酸誘導体を服用すると、血糖値を下げる「インスリン」が効きにくくなる可能性があるためです。

コレステロールを下げる薬と併用してはいけない薬一覧

コレステロールを下げる薬と併用してはいけない主な薬は以下の通りです。

分類 一般名 併用してはいけない薬
スタチン系製剤 アトルバスタチンカルシウム フィブラート系薬剤、テラプレビル、オムビタスビル・パリタプレビル・リトナビル配合錠
ピタバスタチンカルシウム フィブラート系薬剤、シクロスポリン
ロスバスタチンカルシウム フィブラート系薬剤、シクロスポリン
シンバスタチン フィブラート系薬剤、イトラコナゾール、ミコナゾール、アタザナビル、サキナビル、テラプレビル、コビシスタット
プラバスタチンナトリウム フィブラート系薬剤
フルバスタチンナトリウム フィブラート系薬剤
小腸コレステロールトランスポーター阻害薬 エゼチミブ ワルファリン

その他にも併用に注意すべき薬があります。医療機関を受診した際は、服用中の薬をすべて医師に報告してください。

薬物療法を始める目安や服用の必要性

薬物療法を始める目安は、生活習慣の改善でLDLコレステロール値や中性脂肪値などが管理できない場合です。

LDLコレステロールの管理目標値は以下のように設定されています。

カテゴリー LDLコレステロールの目標値 治療方針
カテゴリー1
(低リスク)
160mg/dL未満 一次予防
(生活習慣の改善から始める)
カテゴリー2
(中リスク)
140mg/dL未満
カテゴリー3
(高リスク)
120mg/dL未満
冠動脈疾患の既往あり 100mg/dL未満 二次予防
(生活習慣の改善と同時に薬物療法を始める)

文献2

カテゴリーは性別や年齢、喫煙歴、血圧値、コレステロール値などを評価して求めます。冠動脈疾患とは、心臓の重要な血管が動脈硬化により狭くなるまたは閉塞する病気のことです。

また、糖尿病や慢性腎臓病の既往歴がある方や、LDLコレステロール値が180mg/dL以上である方は、早期に薬物療法を検討しなければなりません。

脂質異常症の合併症は、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞などで命に関わるリスクがあります。生活習慣の改善により、LDLコレステロール値などを管理できない場合は、適切な薬物療法を始める必要があります。

【関連記事】
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まとめ|コレステロールを下げる薬の効果や副作用を正しく知ろう

コレステロール値を下げる薬は、血液中のLDLコレステロールが通常よりも多いときに使用する薬です。副作用が現れることもあるため、定期的に医療機関を受診して適切な診察を受ける必要があります。また、スタチン系製剤には併用してはいけない薬が複数あるため、受診をした際は服用中の薬をすべて医師に伝えてください。

脂質異常症は、適切な治療を受けないと脳梗塞や心筋梗塞などの合併症リスクが高まります。生活習慣の改善により数値を管理できない場合は、薬物療法の検討をしなければなりません。

当院「リペアセルクリニック」では、脂質異常症の合併症である脳卒中の後遺症や再発予防などに対して再生医療を行っています。脳卒中の後遺症や再発予防については、気になることがあれば相談だけでもお気軽にご連絡してください。

LDLコレステロールを下げる薬に関するよくある質問

痩せる効果はある?

LDLコレステロール値を下げる薬には、脂質の吸収を抑える効果をもつ薬があります。しかし、これらの薬は痩せることを目的として服用する薬ではありません。

飲み続けるとどうなる?

適切に服用を続ければ、動脈硬化の進行を抑える効果を期待できます。その結果、心筋梗塞や脳梗塞といった合併症リスクを下げることができます。

自己判断でやめるとどうなる?

十分に数値が下がりきっていないにも関わらず自己判断でやめると、合併症リスクが残ったままになります。自己判断による中断はしないで、適切な治療を進めてください。

いつまで飲む必要がある?

生活習慣を改善して、LDLコレステロール値が安定するまでです。なお、合併症リスクや既往歴によって、目標とする数値は異なります。医師の指示のもと適切な脂質の管理を行ってください。

グレープフルーツと飲み合わせてはいけない理由は?

グレープフルーツに含まれるベルガモチンは、薬の代謝に関与するCYP(シトクロムP450)の働きを妨げる可能性があります。CYPは主に肝臓や小腸に多く存在する酵素です。

そのため、CYPによって代謝されるスタチン系製剤とグレープフルーツジュースを併用すると、薬の血中濃度が必要以上に上昇し、副作用のリスクが高まるおそれがあります。

参考文献

(文献1)
動脈硬化性疾患予防 ガイドライン 2022年版|日本動脈硬化学会

(文献2)
動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症治療のエッセンス|日本動脈硬化学会