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潰瘍性大腸炎は性行為でうつる?医学的根拠に基づいて現役医師が解説

「潰瘍性大腸炎は性行為でうつると聞いたが本当か?」
「潰瘍性大腸炎を患うと一生性行為ができないというのは本当?」
潰瘍性大腸炎は難病のひとつであり、性行為で感染するという噂を聞いて心配する声が多くあります。血便や粘膜の炎症がある難病と聞くと感染症を思い浮かべ、周囲に相談しにくく、悩みをひとりで抱えてしまう患者も少なくありません。
しかし、結論として潰瘍性大腸炎は性行為でうつる難病ではありません。本記事では、現役医師が潰瘍性大腸炎は性行為でうつらない理由を医学的根拠に基づいて詳しく解説します。
記事の最後には、潰瘍性大腸炎と性行為に関するよくある質問をまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
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目次
【結論】潰瘍性大腸炎は性行為でうつらない
| うつらない理由 | 詳細 |
|---|---|
| 潰瘍性大腸炎は体内の免疫異常によって起こるため感染しない | 免疫システムが腸管を誤って攻撃することで炎症が起こる自己免疫性疾患であり、外部から人へうつる性質を持たない状態 |
| 潰瘍性大腸炎の発症に関わる感染性の病原体が存在しないため他人にうつらない | 細菌やウイルスといった伝播性病原体が確認されておらず、性行為や日常接触で感染を媒介する要素がない状態 |
潰瘍性大腸炎は免疫異常が関与する非感染性の疾患であり、性行為を含む日常的な接触で他者に感染することはありません。
血便や炎症といった症状から「人にうつるのでは」と心配される方がいますが、病原体が存在しないため伝播の可能性はありません。
ただし、腹部症状や治療に伴う体調変化、通院などが性生活に影響を及ぼすことはあります。パートナーとのコミュニケーションを大切にしながら、無理のない範囲で日常生活を送ることが重要です。
感染症ではなく免疫の異常が原因のため
潰瘍性大腸炎は大腸粘膜に炎症を起こす疾患ですが、細菌やウイルスによる感染症ではありません。免疫機能の異常により自己の粘膜を攻撃することで炎症が持続すると考えられています。
そのため、インフルエンザや感染性胃腸炎のように接触で伝播することはありません。性行為を含む日常生活において相手に感染させる心配はありません。
「炎症」という言葉から感染を連想しやすいですが、これは免疫学的機序に基づく非感染性の病態です。
他者に伝播する病原体は存在しないため
潰瘍性大腸炎は、細菌やウイルスのように他者へ広がる病原体が原因ではなく、免疫機能の異常によって腸の粘膜に炎症が続く疾患です。
性行為での接触や体液の共有によって相手に伝わる仕組みは存在しません。また、家族や同居者間で連続して発症する傾向も認められておらず、生活環境や接触とは無関係です。
潰瘍性大腸炎が性行為でうつるといわれる要因
| 誤解される理由 | 詳細 |
|---|---|
| 血便=感染症と連想されやすいこと | 血便を細菌感染と誤認し血液接触で感染すると考えてしまう状況 |
| SNS・口コミで感染症と混同されること | IBD(炎症性腸疾患)が感染性腸炎と名称が似ており誤情報が拡散しやすい状況 |
| 同居・接触でうつると誤解されること | 接触や生活を共有で感染すると考えがちな誤認 |
| 性行為=感染リスクと感じやすいこと | 粘膜接触がある行為を感染源と誤って捉えてしまう状況 |
潰瘍性大腸炎は免疫の異常によって腸に炎症が生じる疾患であり、細菌やウイルスが原因ではありません。そのため、性行為や日常生活の接触で他者にうつることはありません。
しかし、血便や「腸炎」という言葉から感染症を連想してしまい、SNSの誤情報や噂話などで感染性と混同されることがあります。
潰瘍性大腸炎が性行為に与える影響
| 性行為に与える影響 | 詳細 |
|---|---|
| 腹部の違和感や腸の動きによる不快感 | 炎症による腹部圧迫感や腸の動きによる痛みが刺激で増強しやすい状態 |
| 排便の不安による精神的な負担 | 便意や漏れへの不安が緊張を高め行為への心理的抵抗につながる状況 |
| 治療薬の影響や心理面の変化による性への意欲低下 | 免疫調整薬・ステロイド等の影響や疾患による自己肯定感低下が性への関心を弱める状態 |
潰瘍性大腸炎は性行為で感染することはありませんが、腹部症状や体力低下、心理的変化が性生活に影響を及ぼす可能性があります。
活動期には腹部膨満感や排便への不安から行為に集中できないことがあり、治療薬の副作用で気分の落ち込みを経験する方もいます。
これらは疾患に伴う身体的・精神的変化であり、感染リスクとは異なる問題です。症状が安定した時期を選び、無理のない体位を工夫するなど、自身の体調に合わせた対応が大切です。
腹部の違和感や腸の動きによる不快感
潰瘍性大腸炎では腸粘膜の炎症により腹部膨満感や重さが生じやすく、性行為中の体位変換で症状が意識されることがあります。
炎症によって腸が敏感になると蠕動運動を感じやすくなり、腹部圧迫を伴う姿勢で違和感が増強する場合があります。またガスの貯留も腹部不快感の一因です。
排便が近い感覚があるときは心身の緊張が高まり、行為への集中が妨げられることもあります。これらは炎症に伴う身体反応であり、症状の程度に応じた配慮が必要です。
排便の不安による精神的な負担
排便に対する不安が強まり、性行為への意欲や集中力に影響することがあります。排便が近い感覚や急な便意への心配は緊張を生み、行為に支障をきたすことがあります。
「相手に迷惑をかけたくない」という思いから、心理的負担が増加し行為を避けるようになり、性生活やパートナーとの関係に影響を及ぼします。
治療薬の影響や心理面の変化による性への意欲低下
潰瘍性大腸炎の治療では、薬の影響や病気に伴う心理的負担が性への意欲に影響することがあります。
治療薬による気分の変動や体調の揺れ、慢性症状によるストレス、自己イメージの低下などが関心を弱める要因になります。
これらの変化が続く場合には、医師と相談し治療内容を調整することが大切です。
以下の記事では、潰瘍性大腸炎の治療薬について詳しく解説しています。
潰瘍性大腸炎患者が性行為を行う際の注意点
| 注意点 | 詳細 |
|---|---|
| 体調が落ち着いている時期を選ぶ | 寛解期など腸の炎症や腹部症状が安定している時期を選ぶことで負担を減らす状況 |
| 腹部への負担が少ない姿勢や動作を選ぶ | 腹部圧迫を避け横向き姿勢など無理のない体勢で違和感を抑える状況 |
| 治療薬の影響や体調の変化が気になるときは事前に伝えておく | 薬の作用や体調の揺れを共有し無理のない進め方を調整しやすくする状況 |
性行為を行う際は、体調に配慮したタイミングと姿勢の選択が欠かせません。
活動期は腸の動きが不安定で腹部の違和感が強まりやすいため、症状が落ち着いた寛解期を選ぶことで負担を軽減できます。
具体的には、腹部を圧迫しない体勢を選び、治療薬の影響や体調の変化については事前にパートナーへ伝えておくと良いでしょう。
潰瘍性大腸炎が相手に感染することはありませんが、身体の状態には波があるため、自分のペースを尊重した対応が大切です。
体調が落ち着いている時期を選ぶ
潰瘍性大腸炎は症状が変動しやすいため、性行為は体調が落ち着いている時期に行うことが重要です。
活動期は腹部の張りや違和感が強まり、姿勢の変化で不快感が増えることがあります。また、排便回数の増加や急な便意への不安が緊張を高め、行為に集中しにくくなります。
さらに、症状が強い時期は体力低下や疲労感が出やすく、無理がききにくい状態です。一方、寛解期は腹部症状や排便が安定し、心身に余裕が生まれるため、より自然にパートナーとの時間を過ごしやすくなります。
腹部への負担が少ない姿勢や動作を選ぶ
潰瘍性大腸炎は腸に炎症があるため、性行為の際に腹部への負担が不快感につながりやすく、姿勢や動作の工夫が欠かせません。
腹部が敏感な状態では圧迫により違和感が強まり、腹圧が高まる姿勢では張りや痛みが出やすくなります。
急な動作を避けて柔らかく動き、腹部への圧迫が少ない姿勢を選ぶことで身体的負担が軽減され、パートナーと無理なく快適に過ごせるようになります。
治療薬の影響や体調の変化が気になるときは事前に伝えておく
潰瘍性大腸炎の治療中は、薬の作用や体調の変化が性行為に影響することがあるため、気になる点を事前にパートナーへ伝えることが大切です。
ステロイド剤などは気分や体調に変動をもたらすことがあり、相手の理解があれば無理のないタイミングを選びやすくなります。
症状は日によって変動しやすく、腹部膨満感や疲労、排便への不安が強い日は行為に集中しにくくなります。事前に懸念点をパートナーに共有しておくことは良好な関係維持につながるでしょう。
以下の記事では、潰瘍性大腸炎の治療について詳しく解説しています。
片桐作成KW:潰瘍性大腸炎の治療
潰瘍性大腸炎患者は無理のない性行為を心がけよう
潰瘍性大腸炎は性行為で相手に感染することはありませんが、症状の変動や治療の影響で体調や気持ちが変化します。
寛解期を選び、腹部への負担が少ない姿勢で進めることで負担が軽減されます。パートナーと状況を共有し、無理のないペースで行うことが大切です。
潰瘍性大腸炎についてお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、潰瘍性大腸炎に対して再生医療を用いた治療を行っています。
潰瘍性大腸炎では、幹細胞を用いて損傷した腸粘膜の再生を促す再生医療の研究が進んでおり、炎症による粘膜障害を改善できる可能性があります。
ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。
潰瘍性大腸炎と性行為に関するよくある質問
潰瘍性大腸炎は性機能に影響を与えますか?
症状の悪化時や一部の治療薬の影響で性欲低下や勃起不全がみられることがあります。
一方、寛解期には多くの患者が通常の性生活を送れており、医師と相談すれば治療調整で対応可能です。
適切な治療とコミュニケーションがあれば、性機能に大きな支障が出ない場合もあります。
潰瘍性大腸炎と診断されましたが妊活を行なっても大丈夫でしょうか?
潰瘍性大腸炎の患者でも妊活は問題なく行えます。ただし、活動期の妊娠は流産や早産のリスクがやや高まるため注意が必要です。
治療薬の多くは妊娠中も使用可能です。自己判断で治療薬の中断は避け、医師と相談しながら継続することが重要です。
潰瘍性大腸炎は子どもに遺伝しますか?
潰瘍性大腸炎は、親から必ず遺伝する疾患ではありません。しかし、遺伝的素因が発症リスクの一因となることが示されています。
複数の遺伝子多型が免疫応答や腸管の性質に影響する可能性が報告されています。(文献1)
また、近親者に潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患がある場合は一般集団より発症リスクが高まるという研究結果があるため、注意が必要です。(文献2)
ただし、家族歴があっても発症しない人のほうが圧倒的に多く、発症は遺伝要因と食生活・腸内細菌・生活習慣などの環境要因が組み合わさって決まると考えられています。(文献3)
潰瘍性大腸炎のパートナーと性行為を行う際に気をつけるべきことはありますか?
潰瘍性大腸炎のパートナーとの性行為では、相手の体調を尊重し、無理のないタイミングを選ぶことが重要です。
体調や不安を共有して理解を深め、腹部への負担が少ない姿勢や穏やかな動きを心がけましょう。
参考文献
Familial and ethnic risk in inflammatory bowel disease|PMC PubMed Central®
















