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ヘバーデン結節にエクオールは効かない?医学的根拠や保険適用の有無、市販品の選び方を解説
指の変形や痛みに悩み、「エクオールは本当に効くのか」「飲んでも意味がないのではないか」と不安を感じていませんか。
ヘバーデン結節に対するエクオールの効果については、さまざまな情報があり、判断に迷う方も多いはずです。
結論からいうと、エクオールはヘバーデン結節を根本的に治す治療ではありません。ただ、症状緩和の観点から研究が行われている成分の一つです。
本記事では、ヘバーデン結節とエクオールの関係について、医学的な根拠をもとに整理し、保険適用の可否や市販サプリメントの選び方、十分な変化を感じられなかった場合の選択肢までをわかりやすく解説します。
ご自身に合った治療法を検討する際の参考にしてください。
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目次
ヘバーデン結節へのエクオール摂取は緩和と予防目的
ヘバーデン結節の治療において、エクオールは補助的な選択肢に位置づけられています。軟骨のすり減りや関節変形そのものを元に戻す作用はないため、注意が必要です。
ヘバーデン結節におけるエクオールの主な目的は、以下のとおりです。
それぞれ詳しく解説します。
ヘバーデン結節とエクオールの関係性
ヘバーデン結節の発症には、更年期における女性ホルモン(エストロゲン)の急激な減少が関与していると考えられています。エストロゲンは、関節や腱の健康維持に関わるホルモンであり、分泌量が低下すると、手指の関節に負担がかかりやすくなります。
一方でエクオールは、エストロゲンと似た構造を持つ成分です。関節や腱に存在するエストロゲン受容体に結合すると、ホルモン不足による影響を補う働きがあるとされています。
そのため、更年期に発症しやすいヘバーデン結節において、痛みなどの症状を和らげる目的で補助的に用いられることがあります。(文献1)
エクオールで期待されるのは「痛みの緩和」と「進行抑制」
エクオールは、ヘバーデン結節そのものを治すものではありませんが、痛みの緩和や症状の進行を穏やかにする目的で補助的に用いられます。
ヘバーデン結節に関する臨床試験では、エクオールを摂取した人で「痛みの軽減がみられた」と報告されており、科学的根拠に基づいたケアといえます。(文献2)
また、ヘバーデン結節と併発しやすい手指腱鞘炎でも、エクオール摂取のみで痛みの軽減が確認されました。
こうした知見から、手指の痛みや炎症が関与する疾患に対し、症状の悪化を抑える目的でエクオールは活用されています。
日本人の2人に1人はエクオールを作れない点に注意
エクオールは、大豆に含まれるイソフラボンが体の中で変化してできる物質です。大豆食品を食べると、体内でエクオールが作られる場合がありますが、そのためには腸内細菌の働きが必要になります。
ただ、腸内細菌の状態により日本人の約50%は、体の中でエクオールを十分に作り出せない体質であるとされています。必要な腸内細菌を持たない場合、大豆食品を摂取してもエクオールは体内で作られません。
エクオールを摂取しても「効かない」と感じる場合には、こうした体質が関係している可能性があるのです。
自分がエクオールを体内で作れる体質かどうかは、ソイチェック(尿検査)などで確認できます。エクオールを含むサプリメントの利用を検討する際には、事前に自身の体質を把握する方法の一つとして参考にしてみてください。
エクオールは保険適用になる?病院処方と市販品の違い
結論からいうと、エクオールは医薬品として認可されていません。ただし、医療機関で取り扱われる製品と市販品とでは、位置づけや考え方が異なります。
ここでは、以下のポイントに分けて整理します。
エクオール利用を検討する際の参考にしてください。
現在は「食品(サプリメント)」扱いのため保険適用外
エクオールは、医薬品として認可されておらず、サプリメントを含む「食品」として扱われています。
そのため、医療機関で推奨や販売が行われた場合でも、健康保険は適用されません。
また、エクオールは一定期間の継続摂取が前提となることが多いです。そのため、製品ごとの特徴だけでなく、継続した場合の金額負担も含めて、利用を検討しましょう。
整形外科で販売されるエクオールの特徴
エクオールを含むサプリメントの中には、医療機関でのみ取り扱われる「医療機関専売品」があります。医療機関専売品は、医師の管理や説明のもとでの使用を想定しており、流通経路が限定されている点が特徴です。
整形外科などで取り扱われる製品は、臨床研究で使用された成分設計や品質管理基準に準じて製造されているものもあります。
成分や製造体制を重視する方は、選択肢の1つとして参考にしてください。
エクオール市販品の失敗しない選び方
エクオールサプリメントは医薬品ではないため、製品によって品質にばらつきがあります。エクオールサプリメント選びに失敗しないための基準として、以下のポイントを確認してください。
| 確認項目 | 確認時のポイント |
|---|---|
| エクオール含有量 | ・臨床研究で用いられている目安は1日10mg ・1日あたり10mgを摂取できる設計かを確認 ・含有量が少ない場合、十分な作用が得られない可能性がある |
| メーカーの信頼性 | ・医療機関で取り扱われている実績があるか ・製造過程や原材料の管理体制が明示されているか ・品質管理に関する情報が確認できるか |
これらのポイントを整理しながら比較すると、自身の目的や継続のしやすさに合った製品を選びやすくなります。
エクオールが効かない場合のヘバーデン結節の治療法は?
エクオールを取り入れても痛みや症状の変化が見られない場合、症状の程度や日常生活への影響に応じて、医療機関で以下の治療法が検討されます。
また、以下の記事では治療法の他にも予防法を紹介しています。ぜひ参考にしてください。
保存療法
ヘバーデン結節の基本となる治療法は、局所の安静です。第1関節をできるだけ動かさないようにし、テーピング固定や指用サポーター(装具)を用いて関節への負担を軽減します。
また、温熱療法(パラフィン浴など)を行うことで、関節周囲の血行を促し、痛みの緩和を図る方法もあります。(文献3)
薬物療法
痛みが強い場合には、ロキソニンなどのNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の内服や、湿布などの外用薬が用いられます。これらは炎症を抑え、痛みを和らげる目的で処方されるものです。
また、急性期で痛みが強い場合には、少量の関節内ステロイド注射(トリアムシノロンなど)が実施されることもあります。
ただし、ステロイド注射は繰り返し行うことで軟骨や腱への悪影響が懸念されるため、使用については医師が慎重に判断します。
手術療法
保存療法や薬物療法でも十分な効果が得られず、変形や痛みにより日常生活に支障をきたす場合には、手術療法が検討されます。
手術法には、関節を固定する関節固定術や、関節形成術などがあり、稀に人工指関節置換術が行われることもあります。
ただし、手術後に関節の可動域が制限される場合もあるため、治療の目的や生活への影響について、医師と十分に話し合っておくことが大切です。(文献3)
ヘバーデン結節の新しい治療法「再生医療」
保存療法や薬物療法では十分な効果が得られないものの、手術は避けたい方には、再生医療も選択肢の一つです。
再生医療には、主に幹細胞治療とPRP療法の2つの治療法があります。
幹細胞治療では、患者様自身から採取した幹細胞を培養し、患部に投与します。幹細胞が他の細胞に変化する能力「分化能」を活用する治療法です。
一方、PRP療法(多血小板血漿注入)では、患者様の血液から血小板を多く含む成分を抽出し、患部に注入します。血小板には、成長因子と呼ばれる組織の修復を促す成分や、炎症を抑える成分が含まれています。ただし、PRP療法は軟骨を新たに作り出す治療ではなく、炎症を抑えて症状の緩和を目指すものです。
再生医療について詳しく知りたい方は、以下のページも参考にしてください。
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まとめ|ヘバーデン結節のケアにはエクオールを補助的に取り入れよう
ヘバーデン結節は完治が難しい疾患ですが、適切なケアにより症状のコントロールは可能です。
エクオールは副作用の少ない「緩和・予防」の補助ツールとして有用であり、科学的根拠に基づいたアプローチとして活用できます。まずは3カ月を目安に試してみてください。
それでも効果が実感できない場合は、医療機関での専門的な治療を検討しましょう。薬物療法や再生医療など、手術以外の選択肢もあります。
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ヘバーデン結節とエクオールに関するよくある質問
男性のヘバーデン結節にもエクオールは使える?
男性でもエクオールは使用可能です。ただし、ヘバーデン結節に対するエクオールの効果は、主に女性ホルモンの減少を補うことにあるため、男性ではホルモン作用への期待は薄いといえます。
一方で、エクオールには抗炎症作用や抗酸化作用もあるため、健康維持目的での摂取は問題ありません。ただし、女性ほどの劇的な緩和効果は保証されていない点に注意してください。
エクオールはどれくらい飲み続ければ良いの?
エクオールの効果を実感するためには、細胞の代謝サイクルを考慮して最低3カ月の継続をおすすめします。
3カ月経過しても変化が感じられない場合は、体質的な問題や他の原因が考えられるため、医師への相談を検討してください。
痛みが落ち着く「静止期(変形完了後)」になれば減量・中止しても良いですが、骨粗鬆症予防なども兼ねて継続する方も多くいらっしゃいます。
参考文献
(文献1)
Hand osteoarthritis, menopause and menopausal hormone therapy|Maturitas
(文献2)
手指腱鞘炎に対するエクオール摂取,ステロイド腱鞘内注射の治療成績|日本手外科学会雑誌
(文献3)
ヘバーデン結節|日本整形外科学会









