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「数日前に交通事故でけがをしてから、頭痛やめまいが続いている」 「寝ていると楽だけれど、座ったり起きたりすると頭痛が強くなる」 「頭痛やめまいは事故の後遺症なのだろうか」 外傷後にこのような症状が出た場合、多くの方が不安に感じるでしょう。これらの症状は、脳脊髄液減少症によるものかもしれません。 結論から申し上げますと、多くの場合、脳脊髄液減少症を発症するまでの期間は外傷後30分~数週間程度です。事故から数週間たってから症状が出ることもあるため、「時間が経っているから関係ない」とは限りません。 また、症状に気づいてから1カ月以内であれば、安静と水分補給だけで自然に治ることもあるとされています(文献1)。早く気づいて手を打つほど、治るまでの期間は短くなりやすい病気です。 本記事では、脳脊髄液減少症について以下を解説します。 発症までの期間と、急性型・遅発型という2つの発症パターン 事故直後ではなく後から発症する仕組み むちうちと見分けるポイント 治るまでの期間と、治療を切り替える目安 死亡率や後遺症について分かっていること 不安を感じている方の助けになりますので、ぜひ最後までご覧ください。 なお、安静と水分補給で改善しない場合は、硬膜外自家血注入療法(ブラッドパッチ)が保険診療の選択肢になります(文献2)。それでも症状が戻ってしまう方に向けて、当院リペアセルクリニックでは再生医療という選択肢もご用意しています。 治療を検討する前に情報を集めたい方は、再生医療に関する情報や症例を公開している当院の公式LINEもご活用ください。 脳脊髄液減少症を発症するまでの期間 脳脊髄液減少症の症状は、外傷後30分から数週間程度で現れることが多いとされています(文献1)。 ただし、全員が同じ経過をたどるわけではありません。発症の仕方は大きく2つに分かれます。 項目 症状が出るまでの期間 気づきやすさ 急性型 受傷直後から数日以内 激しい頭痛やめまいが突然起こるため、けがとの関連に気づきやすい 遅発型 数週間から数カ月後 首の痛みやだるさから徐々に悪化するため、けがとの関連に気づきにくい なお、尾道市は脳脊髄液減少症を疑うポイントの1つとして「外傷から1カ月以内に発症」を挙げています(文献3)。事故やけがから1カ月以内に起き上がると悪化する頭痛が出てきた場合は、本症の可能性を考えて受診する目安になります。 受傷直後から数日で現れる急性型 強い衝撃を受けた直後から、今までに経験したことのない激しい頭痛やめまいが出るタイプです。硬膜に大きな傷がつき、脳脊髄液が一度に多く漏れ出している状態にあたります。 済生会は、交通事故による頭部打撲、むちうち症、スポーツ外傷、尻もちをついたなどの衝撃のあと、3時間以内に立ち上がると悪化する頭痛、めまい、吐き気、倦怠感や脱力を感じた場合は本症を疑うとしています(文献4)。 症状とけがの時期が近いため、本人も周囲も関連に気づきやすいのが特徴です。 数週間から数カ月かけて現れる遅発型 受傷したときは首の痛みや肩こり程度で、しばらくしてから起き上がると悪化する頭痛が強まっていくタイプです。漏れる量が少しずつ増えていくため、症状の出方もゆるやかになります。 このタイプで問題になるのは、けがとの関連に気づきにくいことです。事故から時間が経っているため「別の原因ではないか」と考えてしまい、受診が遅れることがあります。 脳脊髄液減少症は医療関係者の間でも認識が十分ではなく、誤った診断や治療がなされることがあると指摘されています(文献5)。事故やけがのあとに体調の変化が続いている場合は、受診時にその経緯を必ず伝えてください。 発症が遅れて起こる仕組み 傷がいったん塞がっていたものが、あとから開いてしまうためです。外傷直後ではなく少し遅れて発症する主な原因としては、以下の2つが考えられます(文献6)。 項目 起きていること 血栓の消失 外傷後に一時的にできた血栓が脳脊髄液の漏れを塞いでいた場合、血栓が消失すると再び漏れ始める 脳浮腫の軽減 外傷により硬膜やくも膜にできた傷が脳浮腫で一時的に塞がれ、浮腫が引くと傷が開いて漏れ始める 脳脊髄液減少症を発症するきっかけ 脳脊髄液減少症を発症するきっかけは、主に以下の4つです。 項目 主なきっかけ 外傷性 交通事故、スポーツ外傷、転倒、打撲などの強い衝撃 医原性 脊椎や脊髄の手術、腰椎穿刺、硬膜外麻酔などの医療処置 特発性 明らかな外傷がなく発症するもの その他 出産時のいきみ、運動後の水分補給不足など 済生会は、交通事故による頭部打撲、むちうち症、スポーツ外傷、尻もちをついたなどの外的なショックにより髄液が漏れるとしています(文献4)。東京都保健医療局も、外傷等により脳脊髄を覆っている膜が損傷を受けることを契機として挙げています(文献2)。 発症したあとに現れる初期症状については、以下の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。 なお、脳脊髄液漏出症や低髄液圧症候群という病名で説明されることもあります。呼び方の違いは以下の記事で解説しています。 脳脊髄液漏出症と脳脊髄液減少症の違い 低髄液圧症候群の原因 脳脊髄液減少症を疑うときのポイント 最も分かりやすい手がかりは、起き上がると悪化し、横になると楽になる頭痛です。尾道市は、本症を疑うポイントとして次の6つを挙げています(文献3)。 項目 内容 発症の時期 外傷から1カ月以内に発症している 頭痛の出方 起立時に頭痛が起こる、または強くなる 頭痛以外の症状 首の痛み、めまい、吐き気、全身のだるさ、不眠などを伴う 水分との関係 水分を摂ると症状が軽くなる 天候との関係 天候によって症状が変動する 薬の効き方 内服薬が効きにくい 日本内科学会雑誌の総説では、脳脊髄液の減少により頭痛、頸部痛、めまい、耳鳴、視機能障害、倦怠・易疲労感など、さまざまな症状が現れる疾患と定義されています(文献5)。頭痛だけで判断せず、複数の症状が重なっていないかを確認してください。 症状のセルフチェックと、初期に現れやすい症状は以下の記事で詳しく解説しています。 脳脊髄液減少症のセルフチェック方法 脳脊髄液減少症の初期症状 むちうちと脳脊髄液減少症の見分け方 横になると楽になるかどうかが、見分けるうえで分かりやすい違いです。むちうち(頚椎捻挫)では首の動きに伴って痛みが出ますが、体を起こしたり横になったりする姿勢の変化で痛みが大きく変わることは多くありません。 項目 むちうち(頚椎捻挫) 脳脊髄液減少症 痛みが変わる要因 首を動かしたとき 体を起こしたとき 横になったとき 大きくは変わらない 楽になることが多い 伴いやすい症状 首から後頭部の痛みや張り めまい、耳鳴り、視機能障害、強い倦怠感 経過 安静や理学療法で徐々に軽快することが多い 早期なら安静で軽快することもあるが、長引く場合がある なお、むちうちそのものが脳脊髄液減少症のきっかけになることもあります。どちらか一方とは限らず、両方が重なっている場合もあります。 交通事故のあとに頚椎捻挫と診断されたものの、なかなか改善せず、起き上がると頭痛が強くなる状態が続いている場合は、本症の可能性を医師に相談してください。 むちうちの症状や経過については以下の記事で解説しています。 むちうちの痛みと症状 むち打ちの治し方と完治期間 脳脊髄液減少症が治るまでの期間 気づいてから1カ月以内であれば、安静と水分補給だけで自然に治ることもあります。一方で、症状が長く続いている場合は、治療に数カ月から年単位かかることもあります。 項目 治療の内容 期間の目安 症状に気づいてから1カ月以内 安静臥床と水分補給、点滴 この段階で自然に治ることがある 1カ月以上たっても改善しない ブラッドパッチ(硬膜外自家血注入療法) 1回で治まることもあるが、複数回必要になることが多い 慢性化している ブラッドパッチを繰り返しながら経過をみる 数カ月から年単位かかることがある 大切なのは、症状に気づいてから医療機関にかかるまでの時間です。千葉市医師会も、症状を自覚してから病気が発見されるまでの時間がとても重要だとしています(文献1)。 安静と水分補給で様子をみる期間 症状を自覚してから1カ月以内の早期であれば、ベッドで安静に過ごし、水分補給や点滴を行うことで自然に治ることがあります(文献1)。 横になって過ごすことで、下がった脳への負担を減らしながら、傷が自然に塞がるのを待つという考え方です。日本内科学会雑誌の総説でも、治療は安静臥床と輸液による保存的治療が一般的とされています(文献5)。 済生会も、治療は安静を保つことが基本であり、吐き気や食欲不振で食べられないときは点滴注射で水分補給をするとしています(文献4)。 この期間に無理をして起き上がったり、仕事や家事を続けたりすると、漏れが続いて治りが遅くなることがあります。自己判断で動かず、医師の指示に従ってください。 ブラッドパッチを検討する目安と治療の回数 症状を自覚してから1カ月以上たっても改善しない場合は、脳脊髄液が漏れ続けている可能性が高いとされています(文献1)。この場合に検討されるのがブラッドパッチ(硬膜外自家血注入療法)です。 硬膜の外側に自分の血液を注入し、のりのように固めて漏れている部位を塞ぐ治療です。1回の注入で完治することもありますが、多くは複数回の注入が必要になります。 ブラッドパッチは保険診療で受けられますが、誰でも受けられるわけではありません。東京都保健医療局によると、関係学会の診断基準で「確実」または「確定」とされたものが保険適用の対象です(文献2)。 そのためには、画像検査で漏れを確かめる必要があります。 診断基準と検査の内容、治療法そのものについては以下の記事で詳しく解説しています。 脳脊髄液減少症のセルフチェック方法と治療方法 低髄液圧症候群の診断基準と治療法 慢性化した場合にかかる期間 症状が出てから診断までに時間がかかった場合は、治療に数カ月から年単位かかることがあります。本症の診断や治療を行っている医療機関にたどり着くまでに、時間がかかることが多いためです。 尾道市は、この病気の診断や治療を行っている医療機関が少なく、受診できる医療機関を探すことが困難だとしています(文献3)。 長引いている方ほど、まずは本症に対応している医療機関にたどり着くことが治療期間を左右します。 ブラッドパッチを繰り返しても症状が戻ってしまう方に向けて、当院リペアセルクリニックでは再生医療という選択肢もご用意しています。 再生医療は、患者様ご自身の細胞や血液を用いる治療法です。ほかの治療法についても知っておきたい方は、再生医療に関する情報や症例を当院の公式LINEでご覧いただけます。 脳脊髄液減少症の死亡率と後遺症のリスク この章では、脳脊髄液減少症の死亡率、寝たきりになる確率、後遺症について、分かっていることと分かっていないことを整理します。 脳脊髄液減少症の死亡率 脳脊髄液減少症そのものの死亡率を示したデータは、公表されていません。 近い病態として、頭部外傷のあとに鼻や耳から髄液が漏れるケースを調べた研究があります。台湾で頭部外傷の患者10,638人を対象に行われた調査では、髄液漏れがあった1,773人の1年以内の死亡率は9.0%、髄液漏れがなかった8,865人では2.8%でした(文献7)。 ただし、この研究が扱っているのは頭蓋底の骨折などに伴って鼻や耳から髄液が漏れる病態であり、脊髄からの漏れを主体とする脳脊髄液減少症とは別のものです。この数値をそのまま自分に当てはめる必要はありません。 鼻や耳から髄液が漏れる場合は、頭の中が外とつながるため、髄膜炎などの感染症につながるおそれがあります。脊髄からの漏れが主体の脳脊髄液減少症とは、リスクの性質が異なります。 鼻や耳から水のような透明な液が出る場合は、脳脊髄液減少症とは別に、早急な受診が必要です。 脳脊髄液減少症で寝たきりになる確率 脳脊髄液減少症により寝たきりになる確率を明確に示したデータも、公表されていません。 ただし、症状が重い場合や長期化した場合に、起き上がっていられる時間が短くなり、日常生活が大きく制限されることはあります。尾道市も、症状が長期間続く場合は学業や就労に支障をきたすことがあるとしています(文献3)。 なお、頭部外傷に伴う髄液漏れでは、頭の中に空気が入って圧力が上がる緊張性気脳症を合併することがあります(文献7)。ただしこれも鼻や耳から髄液が漏れる病態でみられるもので、脳脊髄液減少症とは別のものです。 いずれにしても、寝たきりを心配するよりも、起立性頭痛が続いているうちに受診して漏れを止めることが優先されます。 以下の記事では、髄膜炎を含む頭痛と吐き気の原因を紹介していますので、あわせてご覧ください。 治療後も症状が続くときに考えられること 治療を受けたあとも症状が続く場合は、漏れが完全には止まっていない可能性があります。ブラッドパッチは1回で治まることもありますが、多くは複数回の注入が必要になります。 症状が続いている場合は、あらためて検査で漏れの有無を確かめ、追加のブラッドパッチが必要かどうかを主治医と相談します。自己判断で通院をやめたり、症状を我慢したまま生活を続けたりせず、経過を主治医に伝えてください。 受診の際は、次のような点を記録しておくと、医師が経過を判断しやすくなります。 頭痛が起こる時間帯と、姿勢による変化(起き上がったとき、横になったとき) 頭痛以外の症状(めまい、耳鳴り、倦怠感など)の有無 治療前と比べて、起き上がっていられる時間がどう変わったか また、残っている症状が本当に本症によるものか、別の原因があるのかを確かめることも大切です。片頭痛や起立性調節障害など、似た症状が出る病気と見分ける必要がある場合もあります。 まとめ|脳脊髄液減少症発症までの期間を理解して対処の遅れを防ごう 脳脊髄液減少症は、原因不明のものもありますが、多くは交通事故を含む外傷が原因です。 外傷性の場合、受傷後30分から数週間後の発症が多いとされています。数週間から数カ月たってから症状が出る遅発型もあるため、事故から時間が経っていても関係がないとは限りません。 症状に気づいてから1カ月以内であれば安静と水分補給で自然に治ることもあり、改善しない場合はブラッドパッチが保険診療の選択肢になります(文献1)(文献2)。 外傷後に頭痛やめまい、倦怠感といった体調の異変が現れた場合は、脳脊髄液減少症を疑い脳神経外科や整形外科などを受診しましょう。受診の際は、いつけがをしたか、起き上がると頭痛が強くなるかを必ず伝えてください。 多くの都道府県公式ホームページでは、脳脊髄液減少症に関する情報が記載されているため、検索をおすすめします。 治療を検討する前に情報を集めたい方は、再生医療に関する情報や症例を公開している当院の公式LINEもご活用ください。 実際の経過は「低髄液圧症候群の症例」でご覧いただけます。 脳脊髄液減少症の発症までの期間に関するよくある質問 脳脊髄液減少症を発症するとどのような症状が現れますか? 脳脊髄液減少症で特徴的な症状が、起立性頭痛です。起立性頭痛とは、起き上がったり座ったりすると発生、もしくは悪化する頭痛のことです。 その他の症状としては、首の痛み、めまい、耳鳴り、視機能障害、倦怠感などがあります。 脳脊髄液減少症は特徴的な症状が少なく病気の認知度も低いため、起立性調節障害や片頭痛、うつ病などと診断されるケースも少なくありません。 脳脊髄液減少症は何カ月で治りますか? 症状に気づいた時期によって大きく異なります。 1カ月以内の早い段階であれば、安静と水分補給だけで自然に治ることもあります。改善しない場合はブラッドパッチが検討されます。1回で治まることもありますが、多くは複数回必要になります。診断までに時間がかかった方では、数カ月から年単位かかることもあります。 脳脊髄液減少症は自然に治りますか? 症状を自覚してから1カ月以内の早期段階では、ベッドで安静に過ごし、水分補給や点滴を行うことで自然に治ることがあります(文献1)。 ただし、1カ月以上たっても改善しない場合は、脳脊髄液が漏れ続けている可能性が高いとされています。自然に治るのを待ち続けるのではなく、一度医療機関で漏れの有無を確かめてください。 脳脊髄液減少症を発症してから診断されるまでの期間はどのくらいですか? 数年かかる方も少なくありません。 医療関係者の間でも本症の認識が十分ではなく、診断や治療を行っている医療機関も少ないためです(文献3)(文献5)。 受診の際に、けがをした時期と、起き上がると頭痛が強くなることを具体的に伝えると、本症を疑ってもらいやすくなります。 脳脊髄液減少症で寿命が縮むことはありますか? 脳脊髄液減少症そのものの死亡率を示したデータは公表されていません。 頭部外傷のあとに鼻や耳から髄液が漏れる病態では死亡率が高くなるという報告がありますが、これは脳脊髄液減少症とは別の病態です。(文献7) 過度に心配するよりも、症状が続いているうちに受診して漏れを止めることを優先してください。 交通事故から時間が経ってからの受診でも問題ありませんか? 時間が経っていても受診してください。 事故から数週間たってから症状が現れる遅発型があるため、時間が経っていることは本症を否定する理由になりません。ただし、受診が遅れるほど診断までの期間も治療期間も長くなりやすいため、体調の異変に気づいた時点で受診することが大切です。 受診の際は、いつ事故やけががあったか、起き上がると頭痛が強くなるかを医師に伝え、記録してもらいましょう。 交通事故後の症状の経過については「むち打ちの後遺症と認定のポイント」もあわせてご覧ください。 参考文献 (文献1) 事故後に不調が続いたらすぐ病院へ「脳脊髄液減少症」|一般社団法人千葉市医師会 (文献2) 脳脊髄液漏出症について|東京都保健医療局 難病ポータルサイト (文献3) 脳脊髄液減少症について|尾道市 (文献4) 低髄液圧症候群|社会福祉法人恩賜財団済生会 (文献5) 脳脊髄液減少症|松本英之・宇川義一 日本内科学会雑誌 100巻4号 (文献6) Traumatic Cerebrospinal Fluid Leak: Diagnosis and Management|Ji-Woong Oh, et al. Korean Journal of Neurotrauma (文献7) Risk of death in patients with post-traumatic cerebrospinal fluid leakage: Analysis of 1773 cases|Liao KH, et al. Journal of the Chinese Medical Association
2025.04.30 -
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「立ったり座ったりすると頭痛がする」 「ふわふわとしためまいが続く」 「いつも体がだるい」 このような症状でお悩みの方も多いでしょう。これらはいずれも、脳脊髄液減少症の初期症状の1つです。 脳脊髄液減少症は、原因不明のものもあれば、外傷や疾患が原因で発症するものもあります。 本記事では脳脊髄液減少症の初期症状や、放置するリスクなどを解説します。脳脊髄液減少症を発症した芸能人の体験談も紹介しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。 脳脊髄液減少症の初期症状 脳脊髄液減少症の初期症状で特徴的なものは、起立性頭痛です。(文献1)起立性頭痛とは、立ったり座ったりすると出現・悪化する頭痛のことです。 それ以外の初期症状としては、主に以下のようなものがあげられます。 首の痛み めまい 目の奥の痛み 耳鳴り 慢性的な症状としては、頭痛や疲れやすさ、注意力・思考力の低下、腰痛などがあげられます。 特徴的な症状が少ないため、片頭痛や頚椎椎間板ヘルニア、メニエール病、うつ病といった疾患と診断されるケースも少なくありません。 脳脊髄液減少症の概要・治療法、初期症状の1つ「目の奥の痛み」について詳しく知りたい方は、以下の記事をあわせてご覧ください。 【関連記事】 脳脊髄液減少症のセルフチェック方法を紹介|治療方法もあわせて解説 目の奥が痛いのは脳梗塞の前兆?目の病気との見分け方や対処法を解説【医師監修】 脳脊髄液減少症の初期症状を放置するとどうなる? 脳脊髄液減少症は、初期段階であれば、充分な水分補給と安静といった保存的治療で回復する可能性が高い疾患です。(文献1)しかし、初期症状を放置すると、慢性化、もしくは重症化する可能性もあります。 重症化した場合、頭の中に血のかたまり(慢性硬膜下血腫)ができることもあります。脳脊髄液が減少すると、脳を包む硬膜と脳の間にあるすき間が広がり、そこに血液が溜まるためです。血のかたまりが大きくなると、脳が圧迫されるため、溜まった血液を取り除く手術が必要です。 初期症状に気づいた時点で医療機関にかかることが、重症化を防ぐ大事なポイントといえるでしょう。 脳脊髄液減少症の初期症状が見られたときの受診先については、以下の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。 脳脊髄液減少症の主な原因 この章では、脳脊髄液減少症発症の主な原因を表にまとめました。 原因 詳細・具体例 特発性 原因不明のもの 外傷性 なんらかの外傷によるもの (例) 交通事故 スポーツ中の転倒や打撲 階段からの転倒 医原性 なんらかの疾患や医療処置によるもの (例) 発熱による脱水 腰椎穿刺検査 整体治療 その他 外傷や疾患、医療処置以外によるもの (例) 出産 金管楽器を強く吹く スポーツ後の水分補給が不十分であったために、発症したケースもあります。 脳脊髄液減少症の検査方法 脳脊髄液減少症の検査方法は、主に以下の4つです。 病歴の聴き取り 脳脊髄液の検査 頭部MRI検査脳槽 シンチグラフィー検査 病歴の聴き取り 脳脊髄液減少症の検査および診断の第一歩は、病歴の聴き取りです。 もともと、片頭痛や緊張型頭痛、薬の飲み過ぎによる頭痛などがある方の場合、脳脊髄液減少症の症状と区別する必要があります。そのような頭痛がある方は、隠さずに医師へ伝えましょう。 めまいや体のだるさなど、頭痛以外の症状がある場合もていねいに伝える必要があります。 片頭痛や緊張型頭痛に関しては、以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 脳脊髄液の検査 腰椎(腰の背骨)に針を刺す腰椎穿刺により、脳脊髄液の圧力を調べる検査です。最初の検査結果で、圧力が6cm水柱以下のときは脳脊髄液減少症の可能性があります。ただし、正常値であっても、脳脊髄液減少症を完全に否定できない場合もあります。(文献2) なお、腰椎穿刺により脳脊髄液の漏れが悪化する可能性があるため、この検査は必須ではありません。 頭部MRI検査 頭部MRI検査で見られる主な所見を表でまとめました。 所見 詳細 脳の下方変位 脳と硬膜との間のすき間が広がる 小脳の一部が下がる脳幹が 平たく変形する 側脳室(脳脊髄液で満たされた空間)が狭くなる 血液量増加 硬膜が広範囲で厚くなる 頭の中の静脈が太くなる 脳下垂体が大きくなる ただし、慢性期には、このような所見が見られない場合もあります。MRI検査の結果は、あくまでも参考情報の1つです。 脳槽シンチグラフィー検査 脳槽シンチグラフィーとは、髄液の流れや漏れを調べる検査です。 腰椎穿刺で特殊な物質であるインジウムを注入し、30分~1時間後のインジウム量を100%として、24時間後に、再度インジウム量を測定します。 インジウム減少量や特定の場所への貯留状況などが、脳脊髄液の流れや漏れを調べる指標です。 胸椎や腰椎において、脳脊髄液がどこから漏れているかを調べるのに適した検査とされています。 脳脊髄液減少症を公表した芸能人 芸能人の中にも、脳脊髄液減少症を発症したことを公開している方がいます。 俳優の米倉涼子さんは2019年に脳脊髄液減少症を発症し、まっすぐ歩けない、身体がだるくて立ち上がれないといった症状に見舞われました。複数の医療機関を受診して、脳ドックや脳の検査を受けた結果、ようやく病名が判明しました。2023年8月に治療を受けて、翌年5月頃から重い症状が少し改善してきたとテレビ番組で語っています。 岐阜県を中心に活動しているタレントの塚本明里さんも、脳脊髄液減少症を発症した1人です。塚本さんは、発症してから病名がわかるまでに7年間かかりました。病名がわかるまでは、周りの人に説明できず辛い思いをしたそうです。長い時間頭を立てていると倒れることもあるため、外出時はリクライニング式の車椅子を使っていると語っています。 脳脊髄液減少症の初期症状がある場合は放置せずに医療機関を受診しよう 脳脊髄液減少症は、なんらかの原因によるものもあれば、原因不明のものもあります。 主な初期症状は起立性の頭痛ですが、それ以外にも、めまいや首の痛みなどさまざまな症状があります。 早期発見により早期回復が見込めるため、本記事で紹介したような症状がある場合は、放置せずに医療機関を受診しましょう。多くの都道府県公式ホームページでは、検査・治療ができる医療機関を紹介しているため、症状がある方は検索してみると良いでしょう。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。脳脊髄液減少症の初期症状が見られる方は、お気軽にお問い合わせください。 参考文献 (文献1) 松本英之,宇川 義一.「脳脊髄液減少症」『日本内科学会雑誌』100(4), pp.1076-1083, 2011年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/100/4/100_1076/_pdf (最終アクセス:2025年4月19日) (文献2) 脳脊髄液減少症研究会ガイドライン作成委員会「脳脊髄液減少症ガイドライン2007」2007年 http://www.npo-aswp.org/data/2007-0330.pdf (最終アクセス:2025年4月18日)
2025.04.30 -
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「めまいや頭痛が続いている」 「貧血が原因だと思っていたが、血液検査では異常なしだった」 「異常がないのに、なぜめまいや頭痛が続いているのだろう?」 このような不安や疑問をお持ちの方も多いでしょう。原因不明のめまいや頭痛などが続くときには、脳脊髄液減少症の可能性があります。 本記事では脳脊髄液減少症のセルフチェック項目や、病気の概要、治療法について解説します。 症状が続く不安を軽減するために、ぜひ最後までご覧ください。 脳脊髄液減少症のセルフチェック方法 この章では、脳脊髄液減少症のセルフチェック項目を表にまとめました。 セルフチェック項目 詳細 主な症状 頭痛(起立性頭痛) 首の痛み めまい 耳鳴り 見え方の異常 身体のだるさ 疲れやすさ その他の症状 顔の痛みやしびれ 意識障害 症状の現れ方 座ったり起き上がったりしてから3時間以内に症状が出現・悪化しやすい 起立性頭痛とは、立ち上がったときや座っているときなどに強くなる頭痛のことです。 当てはまる項目が多く、過去に病院で「異常なし」と診断された方は、脳脊髄液減少症を発症している可能性があります。 脳脊髄液減少症の症状について詳しく知りたい方は、以下の記事をあわせてご覧ください。 そもそも脳脊髄液減少症とは 脳脊髄液減少症とは、脳脊髄液が常に、もしくは断続的に漏れ出してしまう疾患です。(文献1)脳脊髄液の役割は、脳と脊髄を守ることです。 脳脊髄液が漏れ出て量が減ると、頭痛や首の痛み、めまい、耳鳴り、見え方の異常、体のだるさなど、さまざまな症状が現れます。 脳脊髄液減少症は、以下の2種類に分けられます。 症候性:病気やけがが原因で発症する 特発性:発症の原因が不明である 発症しやすい年齢は40歳前後であり、女性に多い疾患です。 脳脊髄液減少症は現在も研究が進められており、診断基準や治療法は確立されていません。(文献2) 脳脊髄液減少症に症状が似ている疾患 脳脊髄液減少症に症状が似ている疾患としては、以下のようなものがあげられます。(文献2) 慢性頭痛 頸椎症 頚椎椎間板ヘルニア むち打ち症 うつ病 脳脊髄液減少症は正確な診断基準が確立されていないため、別の疾患名で診断されてきたケースも少なくありません。もしくは、異常なしと診断された方も多い状況です。 原因がわからずに症状が続いたため、苦しんできた方も多いことが想定されます。 以下の記事では、脳脊髄液減少症と症状が似ている、むち打ち症について詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 脳脊髄液減少症の治療方法【セルフチェック該当者向け】 この章では、セルフチェックにおいて脳脊髄液減少症の可能性が高かった方に向けて、治療方法を詳しく解説します。 保存的治療 保存的治療では、水分補給と安静が必要です。1~2週間程度は、追加摂取1日1000~2000mlの水分を摂り、安静にして過ごしましょう。(文献3)脳脊髄液の減少を止める効果が期待できます。 水分補給に関しては、入院やもしくは通院により、医療機関で点滴を受けるケースもあります。 水分補給時に経口補水液が効果的という説もありますが、科学的な根拠は提示されていません。 ブラッドパッチ ブラッドパッチとは、自分の血液を髄液が漏れ出ている部分に注入する治療法で、平成28年度から保険適用されました。 注入量は漏れ出ている部分によって異なります。腰椎(腰の背骨)で20〜40ml、胸椎(胸の背骨)で15~20ml、頚椎(首の背骨)で10~15mlです。 ブラッドパッチ治療後は1週間程度の安静が望ましく、同じ場所に再度治療する場合は、3か月以上の経過観察期間を設けることが望ましいとされています。(文献1) 硬膜外生理食塩水注入療法 腰椎からカテーテルを挿入して、生理食塩水を48~72時間持続的に注入する治療法で、注入のペースは1時間につき20ml程度です。(文献2) 生理食塩水のみ注入する方法に加えて、ブラッドパッチのときに、生理食塩水を35〜50ml程度注入する方法もあります。 セルフチェックで脳脊髄液減少症を疑う際は医療機関を受診しよう セルフチェックで当てはまる症状が多かった方や、症状があるにもかかわらず、異常なし、もしくは原因不明と診断された方は脳脊髄液減少症の可能性があります。 脳脊髄液減少症は、研究段階の疾患であるため、診断・治療できる医療機関が限られていますが、出来る限り早い受診をおすすめします。 お住まいの都道府県庁ホームページ内に、脳脊髄液減少症に関する情報が記載されていることも多いため、受診を検討される方は、検索してみましょう。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。脳脊髄液減少症と思われる症状でお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 脳脊髄液減少症に関するよくある質問 脳脊髄液減少症は何科を受診すると良いでしょうか? 脳脊髄液減少症に対応している主な診療科は、以下のとおりです。 脳神経外科 脳神経内科 神経内科 整形外科 麻酔科 ただし、「治療まで可能」、「相談・検査のみ」など医療機関によって対応が異なります。治療においても、ブラッドパッチ対応可能なところと、不可能なところにわかれます。 多くの都道府県ホームページでは、脳脊髄液減少症の医療機関に関する情報を公開しているので、検索してみましょう。 脳脊髄液減少症と起立性調節障害の違いは何ですか? 起立性調節障害とは、交感神経や副交感神経のバランスの乱れによりさまざまな症状が起こる疾患で、小学校高学年から高校生の方に多く見られます。(文献4) めまいや頭痛、立ちくらみといった症状は脳脊髄液減少症と共通していますが、脳脊髄液減少症の原因は、文字どおり脳脊髄液の減少です。そのため両者は、原因や治療法に違いがあります。 脳脊髄液減少症は難病指定されていますか? 2025年(令和7年)4月1日の時点で、国の指定難病は348種類存在しますが、脳脊髄液減少症は含まれていません。(文献5) 脳脊髄液減少症に関しては、2007年度(平成19年度)から厚生労働科学研究費補助金、2015年度(平成27年度)からは日本医療研究開発機構(AMED)において、研究が実施されています。(文献6) 脳脊髄液減少症は、さらなる研究および難病指定が求められる疾患といえるでしょう。 参考文献 (文献1) 脳脊髄液減少症研究会ガイドライン作成委員会「脳脊髄液減少症ガイドライン2007」2007年 http://www.npo-aswp.org/data/2007-0330.pdf (最終アクセス:2025年4月18日) (文献2) 松本英之,宇川 義一.「脳脊髄液減少症」『日本内科学会雑誌』100(4), pp.1076-1083, 2011年 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/100/4/100_1076/_pdf (最終アクセス:2025年4月18日) (文献3) 兵庫県神河町「脳脊髄液減少症をご存知ですか?」https://www.town.kamikawa.hyogo.jp/cmsfiles/contents/0000000/507/nouekizui.pdf (最終アクセス:2025年4月18日) (文献4) 一般社団法人 起立性調節障害改善協会「脳脊髄液減少症と起立性調節障害の違いを解説-どちらに該当するかセルフチェック」一般社団法人 起立性調節障害改善協会ホームページ, 2024年2月25日 https://odod.or.jp/kiritsusei-tohaod-6279/ (最終アクセス:2025年4月18日) (文献5) 厚生労働省「指定難病の概要、診断基準等、臨床調査個人票(告示番号1~348)※令和7年4月1日より適用」厚生労働省ホームページ https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_53881.html (最終アクセス:2025年4月18日) (文献6) 厚生労働省「脳脊髄液減少症について」厚生労働省ホームページhttps://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/nanbyo/100402-1.html (最終アクセス:2025年4月18日)
2025.04.30 -
- 頭部
- 脊椎
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「足が思うように動かない」「以前より歩きづらくなった」と感じることはありませんか? 歩行は日常生活の基本であり、その障害は日々の行動や心の状態にも大きな影響を与えます。 突然の変化に戸惑い、原因が分からず不安を抱えている方も多いでしょう。 この記事では、痙性歩行やパーキンソン歩行など9つの主な歩行障害の種類と、それぞれの原因となる疾患について詳しく解説します。 原因を知ることは、回復の第一歩ですので、ぜひ最後までご覧ください。 主な歩行障害の種類と原因疾患 主な歩行障害としては、以下の9種類があげられます。 痙性歩行(けいせいほこう) はさみ足歩行 ぶん回し歩行 鶏歩(けいほ) 失調歩行 パーキンソン歩行 間欠性跛行 墜落性跛行 心因性歩行障害 歩行障害の状況と原因疾患について、それぞれ解説します。 痙性歩行(けいせいほこう) 痙性歩行とは、脚が伸び切った状態でつま先立ちの姿勢になり、つま先を引きずって歩く状態です。 原因疾患としては、以下のようなものがあげられます。 脳血管疾患 多発性硬化症 脊髄損傷 頚椎症性脊髄症(頚髄症) つま先を引きずって歩く関係で、靴の前側部分がすり減りやすい特徴があります。(文献1) はさみ足歩行 はさみ足歩行とは、両足ともつま先立ちで床をこすりながら、両足をはさみのように交差させて歩く状態です。 原因疾患としては、以下のようなものがあげられます。 脳血管疾患 多発性硬化症 脊髄損傷 X脚のため、膝をすり合わせるような歩き方も、はさみ足歩行と呼ばれるケースがあります。 ぶん回し歩行 ぶん回し歩行とは、弧を描くように足を動かして歩く状態です。 ぶん回し歩行の主な原因を、以下に示しました。 脳血管疾患による片麻痺 下肢の筋力低下 膝関節や足関節の柔軟性低下 歩幅は正常ですが、つま先を上げる動作が難しいため、少しの段差にもつま先が引っかかり、転倒の可能性があります。 鶏歩(けいほ) 鶏歩とは、足首が下がったまま歩いている状態です。つま先を引きずりながらぱたぱたと歩きます。 原因疾患としては、以下のようなものがあげられます。 腓骨神経麻痺(腓骨:ふくらはぎにある細い骨) 筋萎縮性側索硬化症 ポリオ 鶏歩の特徴は、つまずき防止のため、歩くときに股関節を強く曲げて、膝を高く上げることです。 失調歩行 失調歩行とは、麻痺や筋力低下がないにもかかわらず、バランスが悪くスムーズに歩けない状態です。 原因疾患としては、以下のようなものがあげられます。 脊髄小脳変性症 脊髄腫瘍 脳腫瘍 失調歩行の具体例は、よろめきながらの歩行や開脚した状態での歩行などです。 パーキンソン歩行 パーキンソン歩行とは、名前のとおりパーキンソン病特有の歩行障害です。 パーキンソン病以外の原因疾患としては、以下のようなものがあげられます。 パーキンソン症候群 レビー小体型認知症 前かがみの姿勢、狭い歩幅、最初の一歩が出ないすくみ足、徐々に早足になる突進歩行などが特徴としてあげられます。方向転換時にバランスが取りにくいため、転倒の危険性が高い状況です。 間欠性跛行 間欠性跛行とは、しばらく歩いていると、手足のしびれや痛みといった症状が出現し、休憩すると症状が緩和する状態です。 原因疾患としては、以下のようなものがあげられます。 脊柱管狭窄症 閉塞性動脈硬化症 歩くと痛み、休むと治まる。再び歩くと痛む。この状況を繰り返す歩行障害です。 以下の記事で、脊柱管狭窄症について解説していますので、あわせてご覧ください。 墜落性跛行 墜落性跛行とは、左右の足の長さが異なるため、歩く際に片方の足が地面に墜落するように落下する動きになる歩行障害です。 原因疾患としては、以下のようなものがあげられます。 変形性股関節症 先天性股関節脱臼 足の長さが異なる場合、片足立ちのときに、反対側の骨盤が下降しています。 以下の記事で、股関節の病気を詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 心因性歩行障害 心因性歩行障害とは、身体機能や運動機能に異常がないにもかかわらず、歩けなくなる状態です。ただし、介助により歩行可能です。 強い不安や心理的ストレスが身体症状に現れる、転換性障害(機能性神経症状症)のひとつとされています。 発症年齢は10代から30代前半までがほとんどと言われており、男性より女性に多く見られる症状です。 歩行障害の治療・リハビリテーション この章では、歩行障害に対する治療およびリハビリテーションについて詳しく解説します。 原因疾患の治療 ほとんどの歩行障害には原因となる疾患があるため、その治療が必要です。 治療方法としては、薬物療法やブロック注射、手術療法、再生医療などがあります。 再生医療は、脳血管疾患やパーキンソン病、脊髄損傷などさまざまな疾患に対して効果を示しています。 筋力トレーニング 筋力トレーニングの種類としては、以下のようなものがあげられます。 椅子に座って膝の曲げ伸ばし かかとの上げ下ろし 踏み台昇降 スクワット リハビリ専門職の指導により、トレッドミルやレッグプレスといった専用のマシーンで行う筋力トレーニングもあります。 バランストレーニング 代表的なバランストレーニングは、以下のとおりです。 ゆっくりとした片足立ち 横歩き 後ろ歩き 歩いている途中の方向転換 つま先上げ 障害物を乗り越えながら歩くことも、バランストレーニングのひとつです。(文献2) ご自宅でバランストレーニングを行うときは、転倒しないように壁やいす、手すりなどにつかまりましょう。 歩行補助器具の選定・指導 歩行障害は治療によって軽減するものもありますが、原因疾患によっては回復に時間がかかり、障害が固定される場合もあります。 移動能力や生活の質向上のために、歩行補助器具を使うこともリハビリのひとつです。歩行補助器具には、杖(一点杖、多点杖)や歩行器、シルバーカーなどの種類があります。 まとめ|歩行障害の種類を知り、適切な治療を受けよう 歩行障害にはさまざまな種類があり、原因もそれぞれ異なります。歩行障害は転倒のリスクを高め、閉じこもりや、さらなる身体機能低下につながるものです。 自分の歩きにくさはどのようなものかを理解した上で、状況に合った医療機関を受診し、適切な治療やリハビリを受けましょう。 歩行障害の種類に関するよくある質問 ここでは、歩行障害の種類に関するよくある質問を3つ紹介します。 歩行困難になったら何科を受診すれば良いですか? 歩行困難の種類と原因疾患別に、受診する診療科を表にまとめましたので、ご覧ください。 歩行障害の種類 疾患 受診する診療科 痙性歩行 はさみ足歩行 ぶん回し歩行 失調歩行など 脳梗塞 脳出血 くも膜下出血 脳腫瘍など 脳神経外科 パーキンソン歩行 失調歩行 鶏歩(けいほ)など パーキンソン病 脊髄小脳変性症 筋萎縮性側索硬化症など 神経内科 間欠性跛行 痙性歩行 墜落性跛行など 椎間板ヘルニア 脊柱管狭窄症 変形性関節症 頚髄症など 整形外科 心因性歩行障害 強い不安や心理的ストレスによる不調 (転換性障害も含まれる) 精神神経科 間欠性跛行 閉塞性動脈硬化症 内科 どの診療科を受診すると良いのか不明な場合は、かかりつけ医への相談をおすすめします。 歩行障害は若い人にも起こりますか? 若い人にも歩行障害は起こりえます。 若年者の歩行障害の原因としては、多発性硬化症、脊髄損傷、脳性麻痺、先天性疾患、あるいは外傷後の後遺症などがあります。若年性パーキンソン病も原因のひとつです。 パーキンソン病を40歳以下で発症した場合に、若年性パーキンソン病と呼ばれます。若年性パーキンソン病の特徴は、病気の進行がゆるやかであることや、薬の効きが良いことなどです。 ペンギンみたいな歩き方は病気の症状ですか? 正常圧水頭症やパーキンソン病、シャルコー・マリー・トゥース病といった病気の症状であると考えられます。 足の筋力や足首の柔軟性が低下して、歩くときに足を上げられないため、すり足や小さい歩幅での歩行になります。 正常圧水頭症については、以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。 参考文献 (文献1) 和田直樹「歩行障害の種類と原因疾患」55(9), pp.730-734, 2018 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/55/9/55_55.730/_pdf (最終アクセス:2025年3月21日)
2025.03.31 -
- 糖尿病
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- 頭部
- 足部、その他疾患
- 脊椎
- 手根管症候群
- 内科疾患
- 内科疾患、その他
- 手部、その他疾患
- 脊柱管狭窄症
- 手部
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「寝起きに手足がしびれ原因は?」 「しびれの原因が病気ではないか不安」 寝て起きただけなのに手足のしびれを感じたことがある方には、上記のような疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。 寝起きの一時的な手足のしびれは、寝ている時の姿勢によるものがほとんどですが、まれに神経系疾患や脳血管疾患の前兆である可能性があります。 本記事では、寝起きに手足のしびれが起きる原因や自宅でできるセルフケアについて解説します。 「ただの手足のしびれ」と放置されてしまいがちですが、少しでも不安な方はまずは医療機関へ相談してみましょう。 また、寝起きに手足がしびれる原因が神経系疾患や脳血管疾患の場合、「再生医療」も選択肢の一つです。 \手足のしびれの原因に有効な再生医療とは/ 再生医療は、患者さま自身の細胞や血液を用いて、損傷した神経や血管の再生・修復を促すことで、手足のしびれの改善が期待できます。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 手足のしびれや痛みを早く治したい 根本的に治療したいが、手術はできるだけ避けたい 痛み止めや湿布が効かない、あるいはすぐに痛みがぶり返す リハビリやマッサージを続けているが、期待した効果が得られない >>再生医療専門の「リペアセルクリニック」に無料相談する 具体的な治療法については、当院リペアセルクリニックで無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。 まずは「手足のしびれ」の治療について無料相談! 寝起きに手足がしびれる原因 寝起きに手足がしびれるときに考えられる原因は、主に以下の5つです。 寝ているときの姿勢 神経系疾患 糖尿病による神経障害 脳血管疾患 その他の疾患 寝姿勢による一時的なものから、神経系や脳血管などからくる神経症状として「しびれ」が生じる可能性もあります。 以下でそれぞれの原因について詳しく見ていきましょう。 寝ているときの姿勢 寝起きに手足がしびれる原因の1つが、寝ているときの姿勢です。 腕に頭をのせて寝た 腕を頭より上にして寝た 狭い場所で寝たために寝返りを打てなかった このような体勢が長時間続くと、手足の神経が圧迫されてしまい、しびれを引き起こします。 枕が合わないこともしびれの一因です。枕が高すぎると、あごを強く引いた体勢になります。その結果生じるのが、肩や肩甲骨周辺の筋緊張です。筋肉の緊張が血行不良を引き起こし、しびれにつながります。 神経系疾患 変形性頚椎症や脊柱管狭窄症、手根管症候群、椎間板ヘルニアなどの疾患により、神経が圧迫されて、手足のしびれが生じるケースもあります。 適切な治療を受けずに放置すると、激しい痛みやしびれが慢性化するリスクがあるため、注意が必要です。 従来の治療では、一定期間の保存療法によって改善しない場合、手術で神経の圧迫を取り除く治療が一般的でした。 しかし、近年の治療では、手術せずにしびれの原因となっている損傷した神経の再生・修復を促す再生医療が注目されています。 具体的な治療法については、当院リペアセルクリニックで無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。 >>再生医療専門の「リペアセルクリニック」に無料相談する また、神経系疾患と手足のしびれの関係については、以下の記事でも解説していますので、併せてご覧ください。 糖尿病による神経障害 糖尿病の三大合併症の1つが神経障害です。手足のしびれは、感覚神経の障害に分類されます。 高血糖が続くと神経に栄養を与える血管に傷がつきます。その結果血流が悪くなり、神経の働きが障害されるのです。 糖尿病による神経障害では、手足のしびれのほか、感覚の低下や筋力の低下などの症状も現れます。(文献1) 糖尿病の合併症については以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。 脳血管疾患 脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などの脳血管疾患でも、手足のしびれが起こります。 手足のしびれ以外に、手足の麻痺や激しい頭痛、視野の異常などの症状が現れたら、速やかに脳神経外科を受診しましょう。 チェックポイントは「ACT-FAST」です。(文献2) Face:顔の片方がゆがむ Arm:片方の腕に力が入らない Speech:いつもどおり話せない Time:時間を空けずに ACT:救急車を呼ぼう 脳血管疾患は命に関わるものなので、迅速な行動が大切です。 その他の疾患 過換気症候群や更年期障害などでも、手足のしびれが起こる場合があります。 過換気症候群とは、強い不安や緊張などが原因で、何度も激しく息を吸ったり吐いたりする状態です。 二酸化炭素が過剰に吐き出されることで血中の二酸化炭素濃度が低くなり、血液がアルカリ性に傾きます。血液がアルカリ性に傾くと、血管が収縮されてしまい、手足のしびれが生じるのです。 更年期障害の場合、女性ホルモンの低下が手足のしびれに関係しているとされています。 寝起きに手足がしびれるときの対処法(セルフケア) 寝起きに手足がしびれるときに推奨される対処法(セルフケア)は、以下の3つです。 寝る姿勢や枕を調整する 身体を温める 身体を適度に動かす 以下でそれぞれの対処法について詳しく見ていきましょう。 寝る姿勢や枕を調整する 寝る姿勢や枕の調整に関してのポイントを、表に示しました。 ポイント 調整方法 寝る姿勢 横向きで寝るときは、しびれやすい方を上にする あおむけで寝るときは、膝の下にクッションを入れるか腕の位置を少し高くする 枕選び 横幅50㎝以上、奥行き35㎝以上 中央が低く両サイドが高めの立体的な形 自然に立った姿勢をそのままキープできる高さが望ましい 1日の約3分の1は、睡眠時間です。筋肉の緊張や神経の圧迫がない自然な姿勢が、手足のしびれ予防のポイントといえるでしょう。 身体を温める しびれる部分を温めたり、揉んだりすると血流が改善されて、しびれがやわらぐこともあります。具体的な方法は、ゆっくりお風呂につかる、やさしくマッサージするなどです。 ただし、神経障害の方は皮膚の感覚が鈍くなることがあるため、やけどに注意する必要があります。寒いときも、長時間ストーブの前に座らないように心がけましょう。カイロで温めるときは肌に直接当てず、決められた時間を守ってご使用ください。 身体を適度に動かす ウォーキングやストレッチなどの適度な運動を行うことで、血流改善によるしびれの緩和が期待できます。 手を握ったり開いたりする、手首や足首をゆっくり曲げ伸ばしするなどもストレッチの一種です。 ただし、症状が強いときには無理に動かさず、安静にしましょう。 下記の記事では、手根管症候群による手のしびれを自分で治すためのストレッチが紹介されています。あわせてご覧ください。 まとめ|セルフケアを行っても寝起きに手足がしびれるときは医療機関を受診しよう 寝起きに手足がしびれる原因は、寝るときの姿勢から脳血管疾患までさまざまです。 自分でできるセルフケアもありますが、ケアを続けても手足のしびれが改善されない場合は、放置せず医療機関を受診しましょう。 とくに「手足が動かない」「ろれつが回らない」などの症状を伴う場合は、脳血管疾患の可能性があるため、ためらわず救急車を呼ぶことが重要です。 また、糖尿病を治療中で徐々に手足のしびれが出てきた方は、神経障害の可能性があるため、早めに主治医へ相談しましょう。 当院リペアセルクリニックでは、しびれの原因となる脳卒中や椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、糖尿病などの疾患に対して再生医療を提供しています。 以下のような方は、ぜひ再生医療をご検討ください。 手足のしびれや痛みを早く治したい 根本的に治療したいが、手術はできるだけ避けたい 痛み止めや湿布が効かない、あるいはすぐに痛みがぶり返す リハビリやマッサージを続けているが、期待した効果が得られない >>再生医療専門の「リペアセルクリニック」に無料相談する 具体的な治療法については、当院リペアセルクリニックで無料カウンセリングを行っておりますので、ぜひご相談ください。 まずは「手足のしびれ」の治療について無料相談! 寝起きに手足がしびれることに関するよくある質問 ここでは、寝起きに手足がしびれることに関するよくある質問を2つ紹介します。 手足がしびれるときは何科に行くと良いでしょうか? 更年期になると朝起きたら手がしびれるのはなぜですか? 以下でそれぞれの内容について詳しく見ていきましょう。 手足がしびれるときは何科に行くと良いでしょうか? 手足がしびれるときの受診先としてあげられるのは、整形外科や神経内科、脳神経外科などです。 しびれが急に出てきて、手足の麻痺があるときは早急に脳神経外科を受診しましょう。 脳血管疾患の可能性が高く、初期症状が見られた時点で医療機関への相談が推奨されます。 「ただの手足のしびれ」と放置されてしまいがちですが、少しでも不安な方はまずは医療機関へ相談してみましょう。 当院リペアセルクリニックでは、寝起きの手足のしびれの原因となっている「神経系疾患」「脳血管疾患」の改善が期待できる再生医療をご提供しています。 「手足のしびれが病気ではないか不安」「病気だった場合にすぐ治療したい」という方は、ぜひ当院までお気軽にご相談ください。 ▼まずは「手足のしびれ」の治療について無料相談! >>再生医療専門の「リペアセルクリニック」に無料相談する 更年期になると朝起きたら手がしびれるのはなぜですか? 原因として考えられるものが、女性ホルモンの1つ、エストロゲンの減少です。エストロゲンの減少は、自律神経の乱れにも関係しています。自律神経の乱れが、血流の悪化、ひいては手のしびれにつながっています。 エストロゲン減少の影響としてもう1つあげられるのが、皮膚の乾燥です。乾燥した皮膚は敏感であるため、しびれを感じやすくなるといわれてます。 参考文献 (文献1) 出口尚寿,西尾善彦.「糖尿病性末梢神経障害」『日本内科学会雑誌』108(8), pp.1538-1544, 2019 https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/108/8/108_1538/_pdf (最終アクセス:2025年3月20日) (文献2) 厚生労働省「みんなで知ろう! からだのこと」厚生労働省ホームページ https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou_kouhou/kouhou_shuppan/magazine/202410_006.html (最終アクセス:2025年3月20日)
2025.03.31 -
- 脳卒中
- 頭部
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- 手根管症候群
- 手部
手のしびれは一時的なものと思われがちですが、実は重大な病気の前兆の可能性もあります。 とくに、片側だけのしびれや、痛み、脱力感を伴う場合は注意が必要です。 本記事では、手がしびれる原因となる病気の特徴やセルフチェックの方法、医師が推奨する治療・予防法について詳しく解説します。 理解を深めて日常の違和感に気付けるようになって、早めの対処につなげましょう。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、手のしびれの治療にも用いられている再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しているので、ぜひご登録ください。 手がしびれる病気の前兆とセルフチェック方法 手のしびれは、誰しも一度は経験する身近な症状ですが、実は重大な病気のサインである可能性も潜んでいます。 手がしびれる病気の前兆に気づいて早期治療するためにも、ご自身のしびれをよく観察し、セルフチェックしましょう。 以下では、チェックする場所や範囲、時間帯などさまざまな面からセルフチェックする方法を解説します。 しびれの場所 手のしびれを感じたとき、まず確認すべきなのは「しびれが出ている部位」です。 たとえば、親指・人差し指・中指にしびれが出ている場合、手首の中を通る神経が圧迫されて起こる「手根管症候群」が疑われます。 手根管症候群は、手首のトンネル(手根管)がなんらかの原因で狭くなり、その中を通る正中神経が圧迫されることで、しびれや痛みを生じる病気です。 Point! 薬指の内側(中指側)と外側(小指側)を、指でなぞってみてください。もし中指側だけがしびれているなら、高い確率で手根管症候群が疑われます。 両手の母指球筋を比べ、平らになって筋肉が痩せているなら、進行した手根管症候群になります。 しびれが弱くても母指球筋が小さくなっていたら、今以上に悪くならないように手術した方が良いでしょう。 進行すると、服のボタンが付けにくくなったり、お箸が持ちにくくなったりするなど、手術しても後遺症として残ってしまうケースもあります。 一方、小指や薬指にしびれがある場合は、「肘部管(ちゅうぶかん)症候群」の可能性も考えられます。 肘部管症候群は、肘の神経の通り道が狭くなって起こるしびれです。たとえば、椅子などに肘の内側をぶつけると指までしびれる場合がありますが、肘部管症候群の原因である尺骨神経によるものです。 また、手の甲側がしびれる場合は、「橈骨(とうこつ)神経麻痺」の疑いもあります。 橈骨神経麻痺は、腕の外側から手の甲にかけて走る神経が圧迫されることで起こるのが特徴です。 たとえば、腕枕をして寝てしまった後に手がしびれるのは、橈骨神経圧迫による一時的な麻痺による可能性を否定できません。 ひどい場合は手のひらがだらんと垂れて動かなくなる場合もありますが、2〜3カ月ほどリハビリを行って様子を見れば、改善するケースもあります。 しびれの範囲 しびれが出ている範囲も、原因を見極める上で重要な手がかりです。 たとえば、しびれが手全体に広がっている場合は、首や肩まわりの神経が圧迫される「頚椎症」や「胸郭出口(きょうかくでぐち)症候群」が疑われます。 首の骨の変形や筋肉による圧迫が原因で、手先まで神経の信号がうまく伝わらなくなる状態です。 一方で、手根管症候群は手首より先(手のひらや指)に限ってしびれ、肘や腕まで広がるケースはほとんどありません。 また、片側の手だけが急にしびれた場合は、脳の血管が詰まったり破れたりする「脳卒中」の可能性もあります。 脳卒中を発症すると手足の麻痺、ろれつの回らなさ、意識障害などが一緒に現れる場合があり、早急な対応が必要です。 ただし、頚椎症でも片方だけにしびれが出るケースはあります。 症状の出方は人によって異なるため、気になる変化があれば早めに医療機関で診察を受けましょう。 しびれの時間帯 しびれの原因を考えるときは、「いつ強く出るか」という時間帯にも注目です。 一日中続くのか、特定の時間だけなのか、ある姿勢をとったときだけなのかなどの情報は、診断の重要な手がかりになります。 たとえば、手根管症候群は夜間から明け方にかけてしびれや痛みが強くなり、目が覚めたときに親指〜中指あたりがビリビリする、手を振ると少し楽になるといった特徴があります。 「いつ・どのくらい続くしびれなのか」をメモしておくと、医療機関で原因を絞り込む際に役立つでしょう。 動作との関連性(特定の姿勢、動作で悪化など) 手のしびれを感じたときは、以下のように「どんな姿勢や動作で症状が変化するか」もあわせてチェックしてみましょう。 姿勢・動作 考えられる原因 パソコン作業やスマホ操作の後にしびれが強くなる 手根管症候群 首を後ろに反らすとしびれが悪化する 頚椎症 腕を頭の上に上げるとしびれが軽くなる 胸郭出口症候群 日常生活の中で、しびれが「いつ強くなるのか」「どうすれば楽になるのか」を意識すると、医師への相談時にも的確な情報を伝えやすくなります。 随伴症状(痛み、感覚異常、脱力など) 手のしびれに加えて、他の症状が同時に現れることがあります。 以下のような「随伴症状」は、原因を特定する上で重要な手がかりです。 しびれ以外の症状 考えられる原因や疾患 鋭い痛みがある 神経腫瘍 脱力感・感覚の鈍さを伴う 神経の損傷や圧迫が深刻な可能性 手のむくみや冷感がある 血流障害や神経圧迫による症状 たとえば、指の神経にできる「叢状シュワン腫(良性腫瘍)」では、しびれと同時に鋭い痛みを感じるケースもあります。 また、筋力が低下したり、触った感覚が鈍くなったりする場合は、神経の損傷が進行しているサインかもしれません。 こうした症状がある場合は早めに医療機関を受診し、詳細な検査を受けることが大切です。 過去の病歴 手のしびれの原因を正確に判断するためには、「過去の病歴」も大きな手がかりになります。 以下のような既往歴がある場合は、しびれの背景に何らかの疾患が関係している可能性があります。 関連する病歴 しびれとの関係性 糖尿病 末梢神経障害を起こし、手足のしびれの原因になることがある 高血圧 血流障害により、神経に影響が及ぶ可能性がある 神経系の既往症 再発や別の神経疾患の可能性がある 健康診断の結果やこれまでにかかった病気・治療内容も含めて、医師にできるだけ詳しく伝えると、的確な診断と治療につながります。 危険信号(麻痺の進行、意識障害など) 手のしびれに加えて、以下のような症状が現れた場合は脳卒中の可能性が高いため、迅速な対応が求められます。 症状 考えられる状態 麻痺の進行 脳の損傷による運動障害の悪化 意識障害 脳全体への影響が進行している可能性 ろれつが回らない・言葉が出ない 言語中枢へのダメージが疑われる 激しい頭痛 出血性の脳卒中(くも膜下出血など)の可能性 片側の手足や顔のしびれ 脳の片側への血流障害のサイン このような症状が少しでも見られたら、ためらわずに救急車を呼ぶ、もしくは速やかに医療機関に連絡することが大切です。 時間が経つほど、後遺症のリスクが高まります。 手がしびれる「脳卒中」の特徴・前兆チェックリスト 脳梗塞・脳出血などの脳卒中では、「手のしびれ」が前兆として現れる場合があります。 とくに、片側だけのしびれや急に力が入りにくくなる症状には要注意です。 次のチェック項目に当てはまるものがある場合は、早急な受診が必要になる可能性があります。 チェック項目 該当 片側の手だけ、または片側の手足に突然しびれが出た □ 顔の片側のゆがみ(口角が下がるなど)に気づいた □ ろれつが回らない、言葉がうまく出てこない、言葉が聞き取りにくい □ 片方の目が見えにくい、物が二重に見えるなど急な見え方の異常がある □ 原因不明のふらつきや、真っ直ぐ歩けない感じが突然あらわれた □ これらの症状が、数分〜数十分でいったん治まったことがある(TIAの可能性) □ これらの症状は、一時的におさまっても「一過性脳虚血発作(TIA)」など、将来の脳梗塞につながる重要なサインの可能性があります。 顔・腕・言葉に異変を感じたら、「そのうち治るだろう」と様子を見ず、至急救急外来や脳神経外科・脳神経内科の受診を検討してください。 手がしびれる病気|主な原因と発症メカニズム 軽いしびれであっても、放っておくと後々治療しにくくなるケースがあります。神経は一度傷ついてしまうと、一生後遺症として残る恐れがあるのです。 ここでは、手がしびれる病気の主な原因と発症メカニズムについて解説します。 首近くの神経が圧迫されて手がしびれる「頚椎症」 手のしびれの原因として、首の骨(頚椎)の異常が関係しているケースがあります。 とくに多いのが「頚椎症」で、加齢とともに首の骨が変形したり、骨のとげ(骨棘)ができたりにより、神経が圧迫されて起こります。 たとえるなら、長年使い続けた家の柱や梁が少しずつ歪んだり、ひびが入ったりするようなものです。 長時間のパソコン作業やスマートフォン操作で猫背になっている人は、頚椎に負担がかかりやすくなっているので注意しましょう。 手と足がしびれる可能性がある「椎間板ヘルニア」 椎間板ヘルニアとは、背骨の間でクッションの役割をする「椎間板」が飛び出し、近くの神経を圧迫してしまう病気です。 まるで饅頭の中身が押し出されるように椎間板の一部が突出し、神経を強く刺激する場合があります。 若い人でも、重いものを急に持ち上げたときなどに発症することがあり、ぎっくり腰のように突然の激しい痛みやしびれに襲われるケースもあるため注意が必要です。 首のあたりで起こる「頚椎ヘルニア」では、手や足の両方にしびれが出る可能性があります。 一方、腰で起こる「腰椎ヘルニア」は手にしびれは出ず、主に足に症状が現れるのが特徴です。 手のしびれ・痛み・だるさを引き起こす「胸郭出口症候群」 胸郭出口症候群は、首から腕、指先へと伸びる神経や血管が通る「胸郭出口」と呼ばれる狭い通路が、何らかの原因により圧迫されて起こります。 圧迫により、手のしびれや痛み、腕のだるさ、冷感などの症状を引き起こすのが特徴です。 胸郭出口は鎖骨と肋骨の間に位置するため、なで肩の人や重い荷物をよく持つ人だとスペースが狭まりやすく、症状が出やすくなります。 整形外科の外来では比較的まれなケースとされており、診断までに時間がかかる場合も少なくありません。 診断された場合は、まずリハビリや筋力トレーニングによる治療が基本です。 指にしびれや痛みが生じる「手根管症候群」 手首にある「手根管」というトンネル状の部分で正中神経が圧迫されると、「手根管症候群」が起こります。 正中神経は、親指・人差し指・中指・薬指の半分に感覚を伝えているため、圧迫されると指先のしびれや痛み、腫れぼったさなどの症状が現れるのです。 とくに、妊娠中や更年期の女性に多く見られ、ホルモンバランスの変化で手根管周辺が腫れやすくなるのが一因とされています。 また、手をよく使う作業や趣味がある方にも発症しやすい傾向があります。 両手がしびれることもある「末梢神経障害」 末梢神経は、脳や脊髄から体の各部へ信号を送る神経のネットワークです。 障害が起きると手足のしびれや痛み、感覚の異常が現れます。 糖尿病やビタミン不足などが主な原因で、とくに両手や両足にしびれが出やすいのが特徴です。 手のしびれが片側だけに現れたら要注意「脳卒中」 手のしびれでもっとも注意したいのが、脳卒中です。 脳の血管が詰まったり、破れたりすることで脳の機能が障害を受けます。 手のしびれだけでなく、片側の手足の麻痺、ろれつが回らない、意識がもうろうとするなど、重い症状が突然現れるケースも少なくありません。 とくに、しびれが片側だけに出ている場合や他の神経症状を伴う際は、早急に医療機関を受診する必要があります。 進行すると手全体がしびれる「糖尿病」 糖尿病が長期間続くと合併症として「糖尿病性神経障害」が起こり、手足のしびれや痛みが出る場合があります。 高血糖状態が続くと末梢神経の細胞内にソルビトールなどの物質が溜まり、神経が傷つくのが主な原因です。また、血流障害なども原因になります。 初期には足や手の指先の軽いしびれや違和感から始まり、進行すると手足全体へ広がり、感覚低下や触覚の低下、痛みを伴うケースもあります。 手のしびれが続く場合、「歳のせい」や「疲れ」と決めつけず、糖尿病の有無や血糖コントロールの状況も含めて医師に相談しましょう。 手がしびれる病気の治し方と予防法 手がしびれる病気にはさまざまな原因が潜んでおり、放置すると深刻な事態を招くため注意が必要です。 ここでは、手のしびれの主な治療法と、日常生活での予防ケアについて解説します。 薬物療法 手のしびれに対しては、原因や症状の程度に応じて以下のような薬が用いられます。 神経の炎症や痛みを抑える薬:炎症性のしびれ。重症の場合は、ステロイド薬も使用 血行を改善する薬:血流不足が原因のしびれ ビタミン剤(とくにビタミンB群):神経の働きを助ける作用 糖尿病に伴うしびれ:血糖コントロールを改善するための薬 ただし、しびれは薬だけで完全に治すのが難しい症状でもあります。また、治療の効果には個人差があるため、焦らず根気強く取り組むことが大切です。 理学療法・作業療法 薬物療法だけでなく、理学療法や作業療法も手のしびれに対する治療で重要な役割を担っています。 <理学療法(フィジカルセラピー)> ストレッチやマッサージ、温熱療法などで筋肉や関節の柔軟性を高めて血行を促進することで、しびれの軽減を目指します。 胸郭出口症候群では、両腕の重みを支える筋肉の強化が有効です。 <作業療法(オキュペーショナルセラピー)> 日常生活の中で支障が出ないように、動作の練習や自助具の活用を通じて生活の質をサポートします。 たとえば、手根管症候群では手首に負担をかけない使い方の練習や、専用の装具による安静保持の指導が行われます。 装具療法 手首・指を固定するサポーターや頚椎を支えるコルセットなどの装具は、患部を安静に保つことで神経への負担を軽減し、しびれの緩和に役立ちます。 とくに、手根管症候群や腱鞘炎など、手首の使い過ぎが原因となるケースで有効です。 たとえば、就寝中に手首をサポーターで固定すると、夜間のしびれを軽くできる場合があります。 ただし、装具にはさまざまな種類があるため、医師や理学療法士の指導のもと、自分に合ったものを選んで正しく使うことが重要です。 手術療法 手のしびれは、薬物療法・理学療法・装具療法などの保存療法で改善が期待できますが、神経の圧迫が強い場合や保存療法で効果がみられない場合には、手術が検討されます。 たとえば、手根管症候群で母指球筋がやせる、細かい動作が難しくなる(巧緻障害:こうちしょうがい)といった症状が出た場合、圧迫している靭帯を切開して神経を解放する手術が必要です。 また、頚椎症や頚椎椎間板ヘルニアが原因の場合には、首の骨に対する手術が行われるケースもあります。 一般的に、筋力低下や排尿・排便障害が出ている場合は手術の対象となるほか、しびれが我慢できないほど強い場合も手術が選択肢になります。 再生医療 手のしびれには、再生医療という選択肢もあります。 再生医療とは、本来の機能を失った組織や細胞に対して、自分自身の幹細胞や血液を用いる治療法です。 当院「リペアセルクリニック」では、幹細胞がさまざまな種類の細胞に変化する「分化能」という能力を活かし、患者様自身から採取した幹細胞を培養・増殖させて用いる再生医療の「幹細胞治療」を実施しています。 入院や手術を必要とせず、日帰りでの施術が可能です。 以下の記事では、15年以上にわたって四肢のしびれや筋力低下に悩まされていた70代女性の症例をご紹介しているので、参考までにご覧ください。 日常生活での注意点と予防法 手のしびれを防ぐには、日常の習慣を見直すことも大切です。 長時間同じ姿勢を続けたり、手首や指に負担をかける作業を繰り返したりは避けてください。 パソコンやスマートフォンの使用中はこまめに休憩を取り、ストレッチをするようにしましょう。 デスクワークでは、椅子や机の高さを調整して正しい姿勢を保つと、首や肩への負担軽減につながります。 また、バランスの取れた食事・適度な運動・十分な睡眠も大切です。 なお、しびれを感じたら「そのうち治る」と自己判断せず、早めに医療機関を受診してください。重症化の予防と改善のためには、早期治療が重要です。 まとめ|手がしびれる病気の前兆をチェックしよう 手のしびれには、神経の圧迫や血流障害、代謝異常などさまざまな原因が隠れています。 放置すると後遺症が残る病気もあるため、しびれが続いている、もしくは悪化している場合は注意が必要です。 セルフチェックで症状の変化に気づき、理学療法や薬物療法など適切な治療を受けることで、改善も期待できます。 今回の内容を参考に、手のしびれから疑われる病気の前兆をチェックし、早めに医療機関を受診しましょう。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、手のしびれに対する治療選択肢の一つ、再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しています。ぜひ一度ご利用ください。
2025.02.15 -
- 頭部
- 脳出血
俳優の下條アトムさんの訃報で注目された「急性硬膜下血腫」。 脳を覆う膜の下に出血し、血腫ができるこの病気は、実は誰にでも起こりうる身近な危険をはらんでいます。日常生活での転倒や交通事故など、一見軽微な外傷でも発症する可能性があり、特に高齢者は注意が必要です。頭痛や吐き気といった初期症状は他の病気と見分けにくいため、早期発見が困難なケースも少なくありません。 この記事では、急性硬膜下血腫の原因、症状、診断方法、そして治療法や予後まで、詳しく解説していきます。ご自身やご家族の健康を守るためにも、ぜひ一度、急性硬膜下血腫について理解を深めてみませんか? 急性硬膜下血腫とは?原因・症状・診断 突然ですが、皆さんは「急性硬膜下血腫」という病気を聞いたことがありますか? これは、脳を覆う膜の一つである硬膜の下に出血が起こり、血腫(血の塊)ができてしまう病気です。実は、俳優の下條アトムさんもこの病気で亡くなられました。 「脳の病気」と聞くと、どこか遠い世界の話のように感じてしまうかもしれません。しかし、日常生活での転倒や交通事故など、誰にでも起こりうる原因で発症する可能性がある病気なのです。 今回は、急性硬膜下血腫について、原因や症状、診断方法などを分かりやすく解説していきます。 急性硬膜下血腫のメカニズム 私たちの脳は、まるで3層構造のヘルメットのように、「硬膜」「くも膜」「軟膜」という3つの膜で守られています。急性硬膜下血腫は、このうち硬膜とくも膜の間に血が溜まってしまう状態です。 頭の外傷によって、脳の表面にある血管、特に「架橋静脈」と呼ばれる脆い血管が損傷し、出血が起こります。この出血が硬膜とくも膜の間に広がり、三日月のような形をした血腫を形成するのです。 この血腫が脳を圧迫することで、様々な神経症状が現れます。さらに、血腫が大きくなると、脳への圧迫が強まり、生命に関わる危険な状態に陥ることもあります。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「脳卒中」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 主な原因:頭部外傷(転倒、交通事故など) 急性硬膜下血腫の主な原因は、頭部外傷です。交通事故やスポーツ中の衝突など、強い衝撃が加わることで発症することが多いです。 高齢者の場合、骨が脆くなっていたり、バランス感覚が低下していたりするため、軽い転倒でも急性硬膜下血腫を発症するリスクがあります。若い世代に比べて、高齢者の硬膜下腔は広く、架橋静脈も伸びやすくなっているため、比較的軽い外傷でも架橋静脈が損傷しやすく、急性硬膜下血腫を発症しやすいのです。 また、一度の強い衝撃だけでなく、繰り返し頭部に軽い外傷を受けることでも発症する可能性があります。例えば、ラグビーやアメリカンフットボールなどのコンタクトスポーツで、何度も頭部に衝撃を受けていると、気づかないうちに急性硬膜下血腫を発症しているケースもあるのです。 気づきにくい症状:頭痛、吐き気、意識障害など 急性硬膜下血腫の初期症状は、頭痛、吐き気、嘔吐など、風邪や他の病気と間違えやすい症状であることが多く、見逃してしまう可能性があります。 また、症状の現れ方には個人差があり、軽微な場合や、数時間から数日経ってから現れる場合もあります。特に高齢者の場合、症状をうまく伝えられないケースもあるため、周囲の人が注意深く観察することが重要です。 意識障害は、初期には軽度で、時間経過とともに悪化していくこともあります。「いつもよりぼんやりしている」「反応が鈍い」などの変化に気づいたら、すぐに医療機関を受診するようにしましょう。急性硬膜下血腫は、初期の段階では症状が軽微であるため、発見が遅れてしまうことが少なくありません。しかし、適切な治療を行わないと、意識障害が進行し、最悪の場合、死に至る可能性もあります。 下條アトムさんの事例 俳優の下條アトムさんは、自宅で転倒し、頭を強打したことが原因で急性硬膜下血腫を発症し、亡くなりました。下條さんの事例は、高齢者にとって転倒がいかに危険であるかを改めて私たちに教えてくれました。 高齢者の場合、若い人に比べて骨が脆くなっていたり、バランスを崩しやすくなっていたりするため、転倒のリスクが高くなります。自宅での転倒予防対策を徹底的に行うことが重要です。具体的には、家の中の段差をなくしたり、手すりを設置したり、滑りにくい床材を使用したりするなど、転倒のリスクを減らす工夫をしましょう。 診断方法:CT検査、MRI検査 急性硬膜下血腫の診断には、CT検査とMRI検査が用いられます。CT検査では、硬膜とくも膜の間に三日月型の血腫が確認できます。MRI検査は、CT検査よりも詳細な画像を得ることができ、脳の状態をより詳しく把握するのに役立ちます。 急性硬膜下血腫は一刻を争う病気です。迅速な診断と適切な治療開始のために、これらの検査は非常に重要です。 慢性硬膜下血腫、くも膜下出血、脳内出血との違い 急性硬膜下血腫と似たような病気に、慢性硬膜下血腫、くも膜下出血、脳内出血などがあります。これらの病気は、出血の場所や症状、治療法が異なります。 慢性硬膜下血腫:急性と異なり出血がゆっくり進むため、症状が現れるまでに数週間から数ヶ月かかる場合があります。 くも膜下出血:くも膜と軟膜の間に出血が起こる病気です。バットで殴られたような激しい頭痛が特徴です。 脳内出血:脳の実質内に出血が起こる病気です。高血圧が主な原因となります。 それぞれの病気の特徴を理解しておくことが大切です。 急性硬膜下血腫の治療法と予後 下條アトムさんの訃報は、急性硬膜下血腫という病気を多くの方に知らしめるきっかけとなりました。この病気は、頭部外傷により脳を覆う硬膜の下に出血が起こり、血腫(血の塊)ができてしまう深刻な疾患です。 「血腫」と聞くと、すぐに手術が必要なのでは?と不安になる方もいらっしゃるかもしれません。そこで、今回は急性硬膜下血腫の治療法と予後について、患者さんの不安を少しでも和らげられるよう、詳しく解説します。 外科的治療:開頭血腫除去術、穿頭血腫ドレナージ術 急性硬膜下血腫の治療は、大きく分けて外科的治療と保存的治療の2種類があります。外科的治療は、文字通り手術によって血腫を取り除く方法です。 主な手術方法には、「開頭血腫除去術」と「穿頭血腫ドレナージ術」があります。 開頭血腫除去術は、頭蓋骨の一部を切開し、直接血腫を取り除く方法です。血腫が大きく、脳への圧迫が強い場合に有効です。より確実な血腫除去が可能ですが、身体への負担は大きくなります。 一方、穿頭血腫ドレナージ術は、ドリルで頭蓋骨に小さな穴を開け、そこから細い管を入れて血腫を吸引する方法です。開頭血腫除去術に比べて身体への負担が少ないため、高齢者や全身状態が良くない方にも行われます。しかし、血腫が硬かったり、複雑な形状をしている場合は、完全に取り除くことが難しい場合もあります。 どちらの手術方法が適切かは、患者さんの年齢、全身状態、血腫の大きさや位置などを総合的に判断して決定されます。例えば、意識レベルが著しく低下している重症患者さんでは、開頭血腫除去術が選択されることが多いです。これは、開頭することで損傷した脳組織の状態も直接確認できるため、より迅速で適切な処置が可能になるからです。GCSスコアが9未満の昏睡状態の患者さんでは、開頭術が選択されることが多いという研究結果もあります。 保存的治療:経過観察、薬物療法 血腫が小さく、症状が軽い場合は、保存的治療が選択されることもあります。保存的治療は、手術を行わずに、安静、薬物療法、経過観察などによって病状の改善を図る方法です。定期的なCT検査で血腫の大きさや症状の変化を注意深く観察しながら、脳圧を下げる薬や合併症を予防する薬などを用います。 保存的治療は身体への負担が少ないというメリットがありますが、血腫が自然に吸収されるのを待つため、外科的治療に比べて治療期間が長くなる傾向があります。また、症状が急変する可能性もあるため、慎重な経過観察が必要です。 手術のリスクと合併症 どんな手術にもリスクはつきものです。急性硬膜下血腫の手術も例外ではありません。考えられるリスクや合併症には、感染症、出血、脳腫脹、麻酔による合併症などがあります。 高齢者や持病のある方は、これらのリスクが高まる可能性があります。手術を受けるかどうかは、担当医と十分に話し合い、メリットとデメリットを理解した上で、最終的に患者さん自身が決めることが重要です。 治療期間と入院期間 治療期間と入院期間は、患者さんの状態や治療方法によって大きく異なります。軽症の場合は数週間で退院できる場合もありますが、重症の場合は数ヶ月かかることもあります。また、後遺症が残った場合は、リハビリテーションが必要となり、さらに長期間の入院が必要になる場合もあります。 後遺症(麻痺、言語障害、認知機能障害など) 急性硬膜下血腫では、麻痺、言語障害、認知機能障害などの後遺症が残る可能性があります。後遺症の重症度は、血腫の大きさや脳へのダメージの程度、治療のタイミングなどによって大きく左右されます。 日常生活に支障が出るほどの後遺症が残ってしまう場合もあります。そのため、後遺症を最小限に抑えるためには、早期発見・早期治療が何よりも重要です。 ▼脳梗塞の後遺症について、併せてお読みください。 予後(社会復帰、生活への影響) 急性硬膜下血腫の予後は、意識障害の程度と深く関係しています。意識障害が重症の場合、残念ながら死亡率が高く、社会復帰が困難になることもあります。軽症の場合でも、後遺症が残る可能性があり、日常生活や社会生活への影響は避けられません。 ある研究では、急性硬膜下血腫の死亡率は65%にも達すると報告されています。また、社会復帰できる割合は18%程度と低いという結果も出ています。高齢者や手術前に抗凝固薬や抗血小板薬を服用していた患者さんでは、特に予後が悪化する傾向があります。 急性硬膜下血腫の死亡率 急性硬膜下血腫は、迅速な診断と適切な治療が求められる深刻な病気です。死亡率は高く、早期に適切な治療を行わなければ、命に関わる危険性があります。 特に高齢者では、頭部外傷による急性硬膜下血腫のリスクが高いため、転倒などの事故には十分に注意する必要があります。 少しでも異変を感じたら、すぐに医療機関を受診することが大切です。早期発見・早期治療が、予後を改善し、社会復帰の可能性を高めることに繋がります。 まとめ 急性硬膜下血腫は、頭部外傷による脳への出血で、深刻な症状を引き起こす可能性があります。特に高齢者は転倒などで発症しやすく、下條アトムさんの事例からもわかるように、命に関わる危険な病気です。 頭痛や吐き気など、初期症状は分かりにくいため、少しでも異変を感じたらすぐに医療機関を受診することが大切です。CTやMRI検査で診断し、血腫の大きさや症状に応じて手術や保存的治療を行います。後遺症が残る可能性もあり、早期発見・早期治療が予後を大きく左右します。日常生活での転倒予防など、意識して対策を行いましょう。 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「脳卒中」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 参考文献 Vega RA, Valadka AB. "Natural History of Acute Subdural Hematoma." Neurosurgery clinics of North America 28, no. 2 (2017): 247-255. Karibe H, Hayashi T, Hirano T, Kameyama M, Nakagawa A, Tominaga T. "Surgical management of traumatic acute subdural hematoma in adults: a review." Neurologia medico-chirurgica 54, no. 11 (2014): 887-94. Bullock MR, Chesnut R, Ghajar J, Gordon D, Hartl R, Newell DW, Servadei F, Walters BC, Wilberger JE and Surgical Management of Traumatic Brain Injury Author Group. "Surgical management of acute subdural hematomas." Neurosurgery 58, no. 3 Suppl (2006): S16-24; discussion Si-iv.
2025.02.13 -
- 頭部
- 頭部、その他疾患
「頭痛と吐き気が同時に現れてつらい」「医療機関を受診すべきか悩む」 繰り返す吐き気を伴うつらい頭痛に対して、治し方がわからず悩んでいる方もいるでしょう。 吐き気を伴う頭痛は風邪やストレスだけが原因ではなく、脳卒中や脳腫瘍など、命に関わる疾患が潜んでいる可能性も少なくありません。 本記事では、吐き気を伴う頭痛が起きた際の治し方を頭痛のタイプ別に詳しく解説します。医療機関を受診すべき目安と予防法も紹介するので、参考にしてください。 また、当院リペアセルクリニックでは、無料の電話相談もご利用いただけます。 【タイプ別】吐き気を伴う頭痛 吐き気を伴う頭痛は、原因によって「一次性頭痛」と「二次性頭痛」に分類されます。各頭痛の原因や詳細は、以下のとおりです。 タイプ 原因 詳細 一次性頭痛 ・ストレス ・生活習慣 ・片頭痛(文献1) ・緊張型頭痛(文献2) ・群発(ぐんぱつ)頭痛 二次性頭痛(文献3) ・疾患 ・脳卒中 ・脳腫瘍 ・髄膜炎など 一次性頭痛とは、CTやMRI検査で脳に異常が見つからない頭痛で、ストレスや生活習慣が引き金となり、慢性的に痛みを繰り返す特徴があります。 一方、二次性頭痛はなんらかの疾患が背景にあって起こる頭痛を指します。脳卒中や脳腫瘍といった、命に関わる疾患のサインである可能性も否定できません。「いつもの頭痛と違う」と感じたら、医療機関への相談をおすすめします。 当院(リペアセルクリニック)では、無料の電話相談を実施しておりますので、自身の症状に不安を感じた場合はすぐにご相談ください。 その他の対処法については、こちらの記事で解説していますので、ぜひ参考にしてください。 リペアセルクリニックは「脳卒中」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 【タイプ別】自宅でできる頭痛と吐き気の治し方 頭痛と吐き気は、原因となる頭痛のタイプによって対処法が異なります。自分の症状に合わない方法を選ぶと、かえって痛みを悪化させてしまう可能性も少なくありません。 ここでは、自宅でも実践できる具体的な治し方を解説します。まずは自分の頭痛タイプに合ったケアを取り入れ、つらい症状を和らげましょう。 ただし、これらの方法を試しても症状が改善しない、あるいは悪化する場合は、自己判断せずに医療機関を受診してください。 【緊張型頭痛】温かいタオルで首や肩を温める 肩や首の筋肉の緊張が原因で起こる緊張型頭痛の場合、温かいタオルで首や肩を温めるのが効果的です。温められると血行が促進され、筋肉の緊張が和らぐため、痛みの軽減が期待できます。 吐き気も、同様の原因で起こる場合があるため、温めると症状が改善される可能性があります。 首や肩を温めるには、以下の方法がおすすめです。 蒸しタオルを使用する 40~42度くらいのぬるめのお湯に15~20分程度浸かる 入浴して全身を温めるのもおすすめですが、時間がない場合は蒸しタオルが便利です。濡らしたタオルを電子レンジで1分ほど温めた蒸しタオルを数分当てるだけでも効果がみられます。 【緊張型頭痛】カフェインを控える カフェインは過剰に摂取すると自律神経が刺激され、筋肉の緊張を招いて頭痛を悪化させるケースがあります。 また、カフェインには利尿作用があるため、体内の水分が失われ脱水症状を引き起こす可能性があるのも事実です。 仕事中の眠気覚ましにコーヒーやエナジードリンクを飲んでいる方は、摂取量を見直してみましょう。とくに、夕方以降のカフェイン摂取は睡眠の質を低下させ、翌日の疲労や頭痛につながるため注意が必要です。 デカフェやハーブティーなど、体に優しい飲み物へ切り替えるようにし、日常的な摂取を控えるだけで、慢性的な不調が改善するケースも少なくありません。 【片頭痛】冷却シートで頭を冷やす ズキズキと脈打つ片頭痛は、脳の血管が急激に拡張して炎症が起きている状態であるため、患部を冷却シートで冷やすのが効果的です。 冷却シートや氷枕、保冷剤をタオルで巻き、こめかみや首筋に当ててください。冷気によって拡張した血管が収縮し、炎症の広がりを抑えられます。 ただし、冷やしすぎは逆効果になる場合もあるため、15〜20分を目安に使用しましょう。入浴やマッサージは血流を促進し、痛みを増幅させるので避けてください。 【片頭痛】水分を十分に摂る 片頭痛と吐き気は、軽度の脱水が引き金となるケースもあります。脱水状態は血液の循環を悪くし、頭痛を誘発・悪化させる要因となります。 とくに、吐き気がある際は水分が失われやすいため、常温の水や経口補水液を少しずつ飲みましょう。一度に大量に飲むと胃を刺激してしまうため、一口ずつゆっくり含むのがポイントです。 カフェインを含まない麦茶や白湯も体に優しく、水分不足による不調を防ぐ助けになります。冷たい飲み物は、胃腸を刺激し、吐き気を悪化させる可能性がありますので、避けてください。 【群発頭痛】刺激物を避ける 「群発頭痛」は、ある期間に集中して激しい痛みが起こるのが特徴です。この時期は、強い光や音、においなどの刺激が発作の引き金となるため避けるようにしてください。 たとえば、以下のような工夫が効果的です。 明るい場所にいる際は、暗い場所に移動したり、目を閉じたりする 大きな音がする場所にいる際は、耳栓や静かな場所に移動する 香辛料の効いた食べ物やアルコールなどは避ける 香りの強い香水や柔軟剤の使用を避ける 発作が起こりやすい時期は、普段の何気ない行動が頭痛の引き金になるため、注意しましょう。 【共通】市販薬(鎮痛薬)を服用する 頭痛と吐き気がつらい場合、市販の鎮痛薬を使用する方法も効果的です。アセトアミノフェンやイブプロフェンなど自分の体質に合う市販薬を常備しておくと良いでしょう。 痛みがピークに達してからでは、薬の効果が十分に発揮されないケースがあります。「痛くなりそう」と感じた段階で鎮痛薬を服用するのが、つらい時間を短くするポイントです。 鎮痛薬を服用する際には、用法・用量の厳守が重要です。用量や用法を守らない使用は、薬物乱用頭痛を招く恐れがあります。 頻繁に服用している場合や効き目を感じない場合は、自己判断を続けず医療機関への相談が必要です。 また、持病がある方や他の薬を服用している方は、医師や薬剤師に相談の上、市販薬との飲み合わせを確認しましょう。 【共通】静かな場所で休息する 頭痛や吐き気がある場合は、光や音、匂いといった外部からの刺激が脳への大きな負担となります。無理をして活動を続けず、できるだけ静かで薄暗い部屋へ移動して休息をとりましょう。 横になれる環境であれば、ベルトや衣服など体を締め付けるものを緩め、リラックスできる姿勢を保ちます。そのまま短時間の睡眠をとるか、目を閉じて休むだけでも症状の緩和に効果的です。 また、脳を休ませると過敏になった神経が鎮まり、症状の回復が早まります。パソコンやスマートフォンの使用を控え、目を閉じて安静に過ごしてください。 吐き気が伴う頭痛で受診すべき目安 吐き気を伴う頭痛は、よくある不調に見えても重大な病気が隠れている場合があります。自己判断で様子を見るか迷った際は「緊急性が高い症状」と「受診を検討すべき目安」を知っておくことが重要です。 早期に医療機関を受診できれば、重症化の回避が期待できます。ここでは、受診の判断に役立つポイントを整理するので、参考にしてください。 緊急度の高い症状 突然経験したことのない激しい頭痛が起き、吐き気や嘔吐を伴う場合は注意が必要です。以下の症状が現れた場合は、重大な病気が関与している可能性もあるため、ためらわず救急車を呼ぶか、すぐに病院へ向かってください。 意識障害:呼びかけに反応が鈍い、意識がもうろうとする 呂律が回らない、言葉が出てこない 手足のしびれや麻痺 激しい嘔吐 高熱 けいれん 首の痛みやこわばり 突発的な激しい頭痛(今まで経験したことのないような痛み) 「バットで殴られたような」突然の強い頭痛や、手足のしびれ、呂律が回らないなどの症状は、くも膜下出血や脳卒中の代表的なサインです。 また、高熱を伴う場合や、意識が朦朧(もうろう)としたり、激しい嘔吐を繰り返したりする際も同様です。 「大げさかもしれない」とためらわず、すぐに救急外来への受診や救急要請を行ってください。迅速な行動が、あなた自身の命と予後を守ることにつながります。 受診の目安 緊急性の高い症状がなくても、以下の項目に当てはまる場合は、医療機関への受診がおすすめです。 頭痛が慢性的に続いている 吐き気が慢性的に続いている 市販薬を服用しても症状が改善しない 日常生活に支障が出ている 不安が強い 緊急性が低く見えても、頭痛と吐き気が1週間以上続いたり、頻度が増えたりしている場合は医療機関へ相談しましょう。 市販薬が効かない、以前より痛みが強くなった、生理周期や気圧変化と無関係に起こるといった変化も受診のサインです。日常生活に支障が出ている場合は、早めに受診してください。 受診する診療科 頭痛と吐き気が主症状の場合、まずは「脳神経外科」や「脳神経内科」を受診するのが一般的です。原因がはっきりしない場合でも、MRIやCTなどの画像検査を行い、脳に異常がないかを詳しく調べられます。 また、目の奥が痛むなら眼科、鼻詰まりを感じるなら耳鼻咽喉科など、併発している症状に合わせた診療科の受診が必要なケースもあります。 近くに専門科がない場合は、まず内科を受診しても問題ありません。症状に応じて適切な診療科を紹介してもらえる点も内科のメリットです。 診察時の注意事項 限られた診察時間で医師に正確な情報を伝えるには、事前の準備が重要です。以下の情報を整理して、伝えられるようにしておきましょう。 症状が始まった時期 痛みの種類(ズキズキする、締め付けられるなど) 痛みの強さ(軽い、中等度、激しい) 痛む場所 吐き気の程度 その他の症状の有無(発熱、めまい、視覚異常など) 現在服用している薬 過去の病気 生活習慣(食事、睡眠、運動、喫煙、飲酒など) 「いつから」「どのくらいの頻度で」「どんな痛みか」を具体的にメモしておくことが重要です。痛みの強さを10段階で表し、吐き気以外の症状があれば説明すると診断がスムーズです。 また、現在服用している薬やサプリメント、生理周期との関連性も重要な判断材料になります。可能であれば頭痛が起きる状況を記録し、持参するとより的確な治療方針が見つかりやすくなります。 頭痛と吐き気を予防するための生活習慣改善 繰り返す頭痛と吐き気を予防するためにも、以下の生活習慣を見直しましょう。 十分な睡眠と規則正しい生活を心がける ストレスを減らす リラックスする手段を考える 適度に運動する アルコールや喫煙の回数を減らす 頭痛と吐き気の予防に重要なのは睡眠の質です。就寝前のスマートフォン操作を控え、就寝時間を一定に保つだけでも自律神経の安定につながります。 また、ストレスを溜め込まない工夫も重要です。深呼吸や軽い運動を取り入れると、心身の緊張が和らぎ、頭痛と吐き気の予防につながります。 食事面では、欠食を避け、アルコールの摂取量や喫煙回数を調整してください。群発頭痛の発症には、飲酒や喫煙が影響するといわれています。頭痛を繰り返す方で、飲酒や喫煙の習慣がある方は、見直すと良いでしょう。 吐き気を伴う頭痛は命に関わる疾患のサインの可能性も!早期に医療機関を受診しよう 吐き気を伴う頭痛の多くは片頭痛や緊張型頭痛などの慢性的な頭痛ですが、なかには脳卒中のような命に関わる疾患が潜んでいる場合もあります。 「いつもの症状だから」と自己判断で放置するのは危険です。とくに、経験したことのない激しい痛みや、手足のしびれ、嘔吐がなかなか改善しない場合は、ためらわずに脳神経外科などの専門機関を受診してください。 忙しいとつい自分の体調を後回しにしがちですが、脳疾患が原因の場合、早期発見が未来のあなたを守ります。少しでも不安な症状があるなら、医師の診断を受けましょう。 自身の症状が病院を受診すべき状態か不安な方は、当院(リペアセルクリニック)でも無料の電話相談を行っておりますので、ご相談ください。 吐き気を伴う頭痛に関するよくある質問 女性で頭痛と嘔吐が起きる原因は? 女性で頭痛と嘔吐が起きる原因は、以下のとおりです。 片頭痛 緊張型頭痛 群発頭痛 月経前症候群(PMS)など 女性特有の原因として多いのが、ホルモンバランスの変動による「片頭痛」です。生理前や生理中は女性ホルモンが急激に減少し、脳内の血管が拡張しやすく、ズキズキする痛みや吐き気を引き起こす直接的な要因となります。 月経周期だけでなく、更年期に差しかかると自律神経の乱れも影響し、症状が強く出やすくなります。自分の生理周期と頭痛のタイミングを記録しておくと、予防や対策が立てやすくなるでしょう。 頭痛や嘔吐が頻繁に起こる場合は、早めに医療機関を受診するのが重要ですが、病院に行く時間がない・まずは話だけでも聞きたい方は、以下から無料相談をご利用ください。 頭痛と吐き気はあるけれど熱なしの場合の対処法は? 頭痛と吐き気があり熱がない場合は、部屋を薄暗くして安静にし、光や音の刺激を遮断してください。 脈打つような頭痛なら患部を冷やし、締め付けられるような重い痛みなら首筋を温めるのが基本の対処法です。無理に食事を摂る必要はありませんが、脱水を防ぐために少量の水分は補給しましょう。 市販の鎮痛剤を使用するのも有効ですが、他にも内服薬がある方は飲み合わせに注意してください。 それでも症状が改善されない、あるいは意識がぼんやりする場合は、熱がなくても脳疾患が原因であるケースも少なくありません。早急に医療機関を受診してください。 頭痛と吐き気はツボ押しで対処できますか? 頭痛と吐き気がある場合、以下のツボを刺激すると、症状の緩和が期待できます。 名称 部位 内関(ないかん) 手首のしわから指3本分下がった中央 崑崙(こんろん) 外側のくるぶしとアキレス腱の間にあるくぼみ 内関は手首のしわから指3本分下がった位置にあり、自律神経の乱れや吐き気の緩和に役立つとされています。反対の手の親指で、痛気持ち良い強さで数秒押し、ゆっくり離す動作を繰り返しましょう。 崑崙は外側のくるぶしとアキレス腱の間にあり、頭痛や首肩の緊張に関係するツボです。座った状態で無理のない姿勢を保ち、深呼吸しながら刺激するとリラックス効果も期待できます。 ただし、ツボ押しはあくまで補助的な対処法です。症状が強い場合や繰り返す場合は、休息や医療機関の受診を優先してください。 参考文献 (文献1) 国際頭痛分類第3版 片頭痛|一般社団法人 日本頭痛学会 (文献2) 国際頭痛分類第3版 緊張型頭痛|一般社団法人 日本頭痛学会 (文献3) 国際頭痛分類第3版 頭頸部血管障害による頭痛|一般社団法人 日本頭痛学会
2025.02.10 -
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ある日突然、手足のしびれや筋力低下を感じたことはありませんか?もしかしたら、それはギラン・バレー症候群の初期症状かもしれません。 聞き慣れない病名かもしれませんが、年間10万人あたり1〜2人が発症する病気で、2021年のLancet誌では世界で最も一般的な急性弛緩性麻痺の原因と報告されています。 免疫システムが誤って自分の神経を攻撃してしまうこの病気、実は風邪や下痢といった感染症がきっかけで発症することも。 重症化すると呼吸困難に至るケースもありますが、迅速な診断と治療の開始により、後遺症のリスクを減らすことが可能です。 この記事では、ギラン・バレー症候群の症状、原因や治療法、その後の経過について、わかりやすく説明します。正しく理解し、もしもの時に備えましょう。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 ギラン・バレー症候群の後遺症にお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 ギラン・バレー症候群(GBS)とは?発症するメカニズムを解説 引用:日本神経学会「ギラン・バレー症候群」 ギラン・バレー症候群とは、免疫システムが誤って自分自身の末梢神経を標的にしてしまう自己免疫疾患です。本来は細菌やウイルスと戦うはずの免疫が暴走し、神経のはたらきを損なうことが特徴とされています。 神経への攻撃が続くことで電気信号の伝達が乱れ、手足のしびれや筋力低下を引き起こします。さらに、炎症物質が長く神経周囲にとどまると髄鞘(神経線維を覆っている膜)の損傷が進み、信号伝達の効率が一層低下します。 免疫異常と神経損傷が並行して起こるメカニズムにより、症状が急速に拡大する点がこの疾患の特徴です。 ギラン・バレー症候群の原因 ギラン・バレー症候群の明確な原因は、現段階ではまだ解明されていません。現時点で、もっとも関係が深いとされているのが、感染症の後に起こる免疫反応の異常です。 風邪や胃腸炎などの感染をきっかけに、免疫機能が誤って自分の末梢神経を攻撃対象としてしまい、その結果しびれや筋力低下を引き起こすことが明らかになっています。 この免疫の誤認は、病原体と神経細胞の一部が似ているために起こると考えられており、研究によって関連性が徐々に明らかになりつつあります。しかし、どの感染症が強く影響するのか、誰が発症しやすいのかといった詳細は、まだ特定されていません。 ギラン・バレー症候群の種類 ギラン・バレー症候群には、主に3つのタイプがあります。 タイプ 詳細 脱髄が優勢である 神経線維を覆うミエリン鞘が障害され、神経伝達が阻害される。代表例は急性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(AIDP)で、最も一般的。 軸索が侵される 神経線維自体が損傷されることで情報伝達が低下。急性運動軸索神経障害(AMAN)が代表例 フィッシャー症候群 眼球運動障害や運動失調、腱反射の消失が特徴で、手足の筋力低下は目立たない。 ギラン・バレー症候群は神経のどの部分が障害されるかによって症状や経過が異なるため、診断や治療方針を決める際にはタイプの特定が重要です。 ギラン・バレー症候群の主な症状 ギラン・バレー症候群の初期には他の疾患と共通する症状が多く見られ、診断の判断が難しいケースもあります。 風邪のような軽い症状だと安易に考えて放置すると、後遺症が残る可能性もあるため、早期発見・早期治療が非常に重要です。ここからは、ギラン・バレー症候群の主な症状を解説します。 初期症状 ギラン・バレー症候群では、発症初期に体の異変を感じることが多く、以下の症状が現れます。 手足のしびれ 筋力の低下 疲労感 これらの症状は数日以内に進行することがあり、手足の動きや日常生活に影響を及ぼす場合があります。症状が現れたら早めに医療機関での受診を検討しましょう。 手足のしびれ ギラン・バレー症候群では、発症初期に両側の手足の指先や足首にしびれ、あるいはチクチクとした異常感覚が生じることがあります。左右対称に症状が出る点が特徴です。 患者様の中には「最初は足が少しジンジンするだけだったのに、数日で両足全体にしびれが広がり、歩行が困難になった」と訴える方もいます。 筋力の低下 初期段階で筋力が弱まり、しびれと併発して手足の細かい動作が困難になります。具体的には、以下のような症状が現れます。 ボタンをかける、箸を持つといった、指先を使う動作が困難になる ペットボトルの蓋を開けられない 文字を書くのが困難になる 歩行がふらつく 階段の上り下りが難しくなる これらは筋力の低下による初期症状の特徴で、日常生活に影響を及ぼす場合があります。 疲労感 疲れやすさや体のだるさも、ギラン・バレー症候群の初期症状としてよく見られます。患者様の中には「少し歩いただけで体が重く感じる」「朝起きても疲れがとれない」と訴える方もいます。 これらの疲労感は風邪や過労と誤認されやすいものの、実際には症状が急速に進行する場合があるため注意が必要です。 とくに手足のしびれや筋力低下を伴う場合は、症状が進む前に医療機関での診断を受けることが回復の鍵となります。 進行期の症状 ギラン・バレー症候群が進行すると、症状はより顕著になります。とくに以下の症状が現れます。 手足の麻痺 歩行困難 呼吸困難 各症状は急速に悪化することがあるため、進行のスピードが速い場合はギラン・バレー症候群の可能性を疑い、早めに医療機関を受診することが大切です。 手足の麻痺 発症から数日~数週間が経過すると、筋力低下が一層強まり、手足に麻痺が生じます。 患者様の中には、指先や足先の細かい動きが困難になり、日常動作が制限されるケースも少なくありません。 衣服の着脱や食事、洗面、トイレなど、一人では行いにくくなる場合もあります。症状は左右対称に出ることが多く、進行の速さが特徴です。 歩行困難 足の筋力低下が進むと歩行が困難になります。初めは軽いしびれ程度でも、数日で杖や補助具が必要になる場合もあります。 症状が進行すると歩行だけでなく、日常生活の動作全般に支障が出ることがあり、移動や立位の安定性が著しく低下するでしょう。 呼吸困難 呼吸困難は、呼吸に必要な筋肉や嚥下に関わる筋肉の麻痺により起こります。 症状が進むと自力での呼吸や食事が困難になり、人工呼吸器や経管栄養が必要となるケースもあります。呼吸困難は全身症状の中でもとくに重篤で、生命の危険に直結する症状です。 ギラン・バレー症候群の診断方法 ギラン・バレー症候群の診断方法は主に、以下の2つです。 神経伝導検査 髄液検査 神経伝導検査 神経伝導検査は、ギラン・バレー症候群を診断する上で有用な検査です。神経に微弱な電気刺激を与え、その伝わる速度や反応を詳細に測定します。 神経線維を覆うミエリン鞘が損傷していたり、神経線維自体に障害があったりする場合、伝導速度の低下や反応の減弱が確認できます。 神経伝導検査は、症状の原因や病型を客観的に判断でき、治療方針の検討にも役立つ検査です。 髄液検査 髄液検査では、腰椎穿刺によって採取した髄液を分析し、ギラン・バレー症候群に特徴的な所見である「蛋白細胞解離」を確認します。 これは、髄液中のタンパク質が増加している一方で細胞数は正常という状態を指し、神経の炎症が進行していることを示唆します。 初期段階の診断補助として非常に有用で、症状の程度や病型の判断にも役立つ検査です。 ギラン・バレー症候群と類似する疾患との鑑別に注意! ギラン・バレー症候群は、他の神経疾患と症状が似ていて、鑑別が難しいケースがあります。とくに四肢の筋力低下やしびれ、感覚異常が共通して現れる疾患では、診断に慎重さが求められます。 症状の持続時間や左右対称性、感覚異常の有無、自律神経症状の有無などの総合的な判断が重要です。 鑑別が難しい主な疾患は以下です。 疾患名 特徴 重症筋無力症 日内変動する筋力低下、眼瞼下垂や複視などの眼症状が特徴 ボツリヌス症 眼球運動障害、嚥下障害、構音障害が目立ち、四肢の筋力低下は対称性に起こりにくい ポリオ 急性期に四肢麻痺が現れることがある ダニ麻痺症 末梢神経麻痺を引き起こす場合がある ウエストナイルウイルス感染症 神経系への影響で筋力低下やしびれが見られる場合がある 医師はこれらの特徴を確認し、各疾患の特有の症状や経過を把握した上で、正しい診断と適切な治療方針を決定します。(文献1) ギラン・バレー症候群の治療法 ギラン・バレー症候群の治療では、症状の改善と回復を目指し、以下の薬物療法や交換療法、運動療法などが組み合わされます。 免疫グロブリン療法 血漿交換 リハビリテーション 最新の治療法と研究 免疫グロブリン療法 免疫グロブリン療法は、ギラン・バレー症候群の症状改善に有効な治療法です。健康な人の血液から抽出した免疫グロブリンを点滴投与することで、誤って神経を攻撃する免疫反応を鎮めます。 治療は入院して行われることが多く、まれに頭痛や発熱、吐き気、血管痛などの副作用が現れる場合があります。 副作用は多くの場合短期間で治まりますが、体調に変化があれば早めに医師の診察を受けることが重要です。 血漿交換 血漿交換は、血液中の液体成分である血漿を専用の機器で取り出し、神経を攻撃する抗体を含む成分を除去してから、新しい血漿やアルブミン製剤で補充する治療法です。 この手法により、免疫の異常反応を抑え、神経へのダメージを軽減します。治療は入院で行われることが多く、副作用として血圧低下、アレルギー反応、出血や血栓、低カルシウム血症などがまれに起こる場合があります。 リハビリテーション ギラン・バレー症候群の回復には、リハビリテーションが欠かせません。症状の重い初期段階では、関節の拘縮を防ぎ、寝たきりを避けるために関節可動域訓練や体位変換を中心に行います。 症状が軽くなると、筋力強化や歩行訓練、日常生活動作訓練などが追加され、段階的に身体機能の回復を目指します。 専門職のスタッフと連携し、個々の体力や合併症に合わせた無理のないリハビリテーションが重要です。 最新の治療法と研究 ギラン・バレー症候群の治療は、現在も研究開発が進められています。 新しい治療薬の開発や既存療法の改良が行われており、補体阻害剤などの新薬の臨床試験も進行中です。これらの薬剤は神経へのダメージをより効果的に抑えることが期待されています。 加えて、国際共同研究も活発で、病態の解明や新たな治療法の確立に向けた取り組みが続けられています。 ギラン・バレー症候群の予後|後遺症や再発の可能性 ギラン・バレー症候群の回復は多くの場合順調で、発症から数カ月から1年程度で改善が期待できます。 しかし、患者様によっては筋力低下やしびれ、倦怠感などが後遺症として出るケースがあります。とくに重症例や高齢者では、後遺症が出る可能性が高まる傾向です。 また、再発はまれですが2~5%程度報告されており、再発時も初回と同様の治療が行われます。(文献2) 予後は、治療への反応や基礎疾患の有無など、個々の状況によって左右される点にも注意が必要です。 ギラン・バレー症候群の日常生活上の注意点 ギラン・バレー症候群を発症した場合、日常生活での安全対策が重要です。症状が落ち着くまでは無理をせず安静を心がけましょう。 日常生活では以下のような工夫が必要になります。 転倒防止のため、手すりや杖を活用する 入浴時には滑り止めマットやシャワーチェアを使用する トイレや衣服は安全性や着脱のしやすさを考慮する 食事は介助が必要な場合、家族の協力を得る また、精神的なサポートも重要です。不安や恐怖、焦りを感じやすいため、家族や医療従事者と積極的にコミュニケーションをとるようにしましょう。 ギラン・バレー症候群は早期発見・早期治療が大切 ギラン・バレー症候群は、手足のしびれや筋力低下などの症状から始まり、進行すると歩行困難や呼吸麻痺など日常生活に深刻な影響を及ぼす可能性がある疾患です。 治療には免疫グロブリン療法や血漿交換などがあり、適切な治療の早期開始により回復の可能性が高まります。 後遺症の軽減や再発防止の観点からも、症状を感じたら速やかに医療機関での診断を受けることが重要です。 さらに、治療後に残る筋力低下やしびれなどの後遺症については、当院「リペアセルクリニック」で再生医療を用いたサポートが可能な場合があります。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供や簡易オンライン診断を行っております。気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 参考文献 (文献1) ギラン・バレー症候群,フィッシャー症候群診療ガイドライン2024|日本神経学会 (文献2) Guillain-Barré 症候群および Fisher 症候群の 再発に関する臨床分析 |日本神経学会
2025.02.10 -
- 幹細胞治療
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「一日中ベッドから起き上がろうとしない」「声をかけても寝てばかりいる」 脳梗塞を発症したご家族の様子に、このような戸惑いを感じてはいないでしょうか。 日中に眠ってばかりいる状態は、本人の気力の問題ではありません。脳の回復に伴う消耗や麻痺した体の疲れやすさ、睡眠のリズムの乱れなど複数の要因が重なって起こります。 本記事では、寝てばかりになる医学的な理由を整理したうえで、そのまま様子を見た場合に起こる変化と家族ができる関わり方を解説します。あわせて脳梗塞の後遺症全体についても取り上げます。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、脳梗塞の後遺症治療にも用いられている再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しています。ぜひご登録ください。 脳梗塞の後遺症で寝てばかりになる要因 脳梗塞の後に日中も眠って過ごす状態は、単一の理由では説明できません。体の要因と脳そのものの要因、気持ちの要因や薬の要因が絡み合って起こります。 主な要因を整理すると以下の通りです。 要因 何が起きているか 見られやすい様子 脳の回復に伴う消耗 傷ついた脳が働きを補うためにエネルギーを使っている 短い活動で強く疲れる、午後になると座っていられない 体の疲れやすさ 麻痺した体は健常時と異なる筋肉を使って姿勢を保っている 着替えや数分の会話だけで消耗する 睡眠と覚醒のリズムの乱れ 夜間に十分眠れておらず、日中に眠気が出ている 会話の途中で眠る、大きないびき、朝方の頭痛 意欲の低下 感情や自発性に関わる脳の働きが落ちている 声をかければ起きるが自分からは動かない、表情が乏しい 薬の影響 服用中の薬の作用が翌日まで残っている 薬が変わった時期から反応が鈍くなった 体調の変化 感染や脱水、栄養や血糖の状態が悪化している 熱や痛みは出ず、活気の低下だけが現れる いずれも本人の意志では変えられない要因です。順番に見ていきましょう。 脳の回復にエネルギーが使われている 脳梗塞によって一時的に途切れた神経のつながりは、残った細胞が働きを補うことで少しずつ再編されていきます。発症の直後は、この再編が起こりやすい時期とされています。(文献3) この再編には多くのエネルギーと休息が必要です。傷ついた脳が機能を補うためにフル回転している状態のため、体は自然な防御反応として長い睡眠を求めます。 外から見ると何もしていないように映りますが、体の内側では回復のための作業が進んでいます。 麻痺のある体は動くだけで疲れやすい 片麻痺や感覚の障害がある場合、姿勢を保つことや起き上がることに、健常時とは異なる筋肉や神経の経路が使われます。 同じ動作でも消費するエネルギーが大きくなるため、着替えや洗面、数分の会話といった日常の動作だけで消耗します。 短い活動で強く疲れ、頻繁に横にならざるを得ない状態を易疲労性(いひろうせい)と呼びます。怠けているのではなく、体の使い方が変わったことによる結果です。 睡眠と覚醒のリズムが乱れている 日中の眠気は、夜間に十分な睡眠が取れていないことの裏返しである場合があります。 覚醒のリズムを調整している脳の領域が障害を受けると、日中の覚醒を保つことが難しくなります。夜間の頻尿や麻痺側の姿勢の不快感、関節の痛みなども夜の睡眠を妨げます。 以下のような様子が見られる場合は、夜間の睡眠に問題がある可能性があります。 大きないびきをかいている 眠っている間に呼吸が止まっているように見える 朝方に頭痛を訴える 夜中に何度もトイレに起きている これらは日中の眠気の原因として治療の対象になる場合があります。気づいた点は主治医に伝えてください。 意欲が出にくくなっている 脳梗塞の後には、自発的に行動を起こす力そのものが低下することがあります。 感情や意欲に関わる脳の回路が損傷を受けると、本人は悲しさやつらさを感じていないにもかかわらず、自分から動き出せなくなります。促されれば指示に従って動けることが多いのが特徴です。 一方で、体の機能を失った経験や心理的な負担から気分が落ち込む状態は別のものです。脳卒中の後に意欲や活動性の低下をきたして脳卒中後うつ病と診断される場合があり、その割合は脳卒中患者の約30%程度と報告されています。(文献2) 自発性が落ちている状態 気分が落ち込んでいる状態 本人の自覚 つらさや困りごとの自覚がほとんどない 落ち込んでいる、つらいという自覚がある 表情・感情 感情が平坦で淡々としている 悲観的な発言、涙もろさ 促したときの反応 促されれば指示に従って動ける 促されても行きたくないと強く拒む その他の様子 喜怒哀楽が乏しい 眠れない、食欲がない ※ 両方が重なっている場合もあります。判断は医師が行います。 この2つは対応が異なります。自発性の低下には外からの働きかけと生活の組み立てが必要になり、気分の落ち込みには薬物療法やカウンセリングが有効な場合があります。(文献2)どちらなのかを家族が判断する必要はありません。様子を具体的に伝えて、主治医に相談してください。 薬の影響で日中の眠気が出ている 服用している薬の作用が翌日まで残り、日中の眠気として現れる場合があります。 痛み止めや睡眠導入薬、抗不安薬や抗てんかん薬などは、高齢の方では代謝や排泄の働きが落ちているため作用が長引きやすくなります。 薬が変わった時期から反応が鈍くなったという場合は、時期と薬の変更が重なっていないか確認してください。自己判断で中止せず、気づいた点を主治医に伝えることが大切です。 体調の変化が眠気として現れている 高齢の方では、感染や脱水、栄養状態の悪化が起きても熱や痛みといったわかりやすい症状が出ないことがあります。 そのかわりに、活気の低下、一日中ぼんやりして寝ているという形で現れます。 普段と比べて急に眠っている時間が増えた場合は、体調の変化を疑ってください。数日のうちに変化が起きたときは、早めに受診が必要です。 脳梗塞の後遺症で寝てばかりの状態を放置するとどうなるか 回復のために休息が必要である一方、生活の大部分をベッドの上で過ごす状態が固定すると、体を使わないこと自体による機能の低下が進みます。 長期間の安静によって身体の能力が極めて低下した状態は、廃用症候群と呼ばれます。(文献3) 問題は、この変化が悪循環を作ることです。動かないことで動けなくなり、動けないことでさらに動かなくなります。 影響を受ける部分 起こる変化 そのまま続いた場合 筋肉・関節 筋肉がやせる、関節が固まる 立つ・歩く力が失われ、着替えや清拭が難しくなる 皮膚・血管 同じ姿勢による圧迫で血行が悪くなる 床ずれができ、感染につながる 心臓・肺 心肺の働きが落ちる、起き上がると血圧が下がる わずかな動きで息切れする、立ちくらみで転倒する 消化管 腸の動きが落ちる 頑固な便秘、食欲の低下、栄養状態の悪化 脳・神経 外からの刺激が減る 昼夜逆転が固定し、認知機能の低下が進む 筋力が落ち関節が固まる 体を使わない状態が続くと、まず下肢の筋肉がやせていきます。立つ、歩くといった動作を支える筋肉から先に落ちるためです。 同時に、動かさない関節の周りの組織が固くなり、動かせる範囲が狭くなる関節拘縮が起こります。 麻痺した側のひじや指が曲がったまま固まると着替えや清拭に大きな支障が出て、介護の負担が一気に増えます。拘縮は進んでから戻すことが難しいため、早い段階での予防が重要です。 皮膚・呼吸・消化のトラブルが起こる 長時間の同じ姿勢は、骨の出っ張った部分の皮膚を圧迫します。血行が悪くなった部分の組織が傷み、床ずれができます。 心臓と肺の働きも同時に落ちるため、わずかな動きで息切れするようになります。起き上がったときに血圧が下がって立ちくらみが起こると、転倒への恐怖からさらに横になる時間が延びます。 腸の動きも落ちるため、便秘や食欲の低下を招きます。飲み込む力が落ちることで、誤嚥性肺炎の危険も高まります。 なお、発症から半年経過しても飲み込みの障害が残る方は約10%と報告されています。(文献2)飲み込みに不安がある場合は、寝たきりを防ぐこととあわせて対応が必要です。 昼夜逆転と認知機能の低下が進む 起き上がって周囲を眺める、人と会話するといった日常的な刺激が減ると、脳の活動レベルが下がります。 日中に眠る時間が増えるほど夜は眠れなくなり、昼夜逆転が固定します。日中の過眠と夜間の不眠は、互いを強め合う関係にあります。 この状態が続くと、見当識の障害や認知機能の低下が進みやすくなります。脳の回復のために必要だった休息が、いつのまにか回復を妨げる要因に変わってしまうことになります。 脳梗塞の後遺症で寝てばかりのときに家族ができること ここからは、脳梗塞の後遺症で寝てばかりの状態が続いている方をそばで支えるご家族に向けた内容です。 日中に眠っている時間が長い様子を前にすると、起こしたほうがよいのか、そっとしておいたほうがよいのか判断がつきません。無理に起こせば負担をかけ、放っておけば動けなくなるという板挟みになります。 必要なのは、本人の意志に訴えることではありません。疲れやすさを前提にしたうえで、一日の活動の量を組み立て直すことです。 本人にとっては、起きていること自体がエネルギーを使う作業になっています。頑張らせる方向で働きかけても翌日以降の活動量が落ちるだけに終わり、支えるご家族の側も消耗します。 以下では、ご家族が今日から取り入れられる関わり方を5つに分けて解説します。 短い活動と休息を組み合わせる 本人が疲れを感じてから休むのではなく、疲れる前に休息を挟む形にご家族が調整します。 活動の時間は1回あたり20〜30分程度に区切ってください。その合間に10〜15分ほど横になる、目を閉じるといった積極的な休息をはさみます。 限界まで活動してから力尽きるという流れを避けることが目的です。一度使い果たすと回復に時間がかかり、翌日以降の活動量まで落ちます。 達成できる小さな目標を置く 1日の予定は、午前に1〜2回、午後に1回程度の少ないタスクに絞ります。 内容はご家族が一方的に決めるのではなく、本人と一緒に選んでください。そのうえで目標は、確実に達成できる水準まで下げます。 5分間だけ車椅子に座る コップ1杯の水を自分の力で飲む 窓のところまで移動して外を見る できたという実感を積み重ねることが、動く意欲を取り戻す近道です。達成できない目標を置くと、本人も家族も消耗します。 朝はカーテンを開けて生活リズムを整える 朝一番にカーテンを開けて日光を室内に入れると、本人の体内時計を調整しやすくなります。 日中は、短い時間でもベッドから離れて過ごす機会を作ってください。食事を椅子で取る、テレビを居間で見るといった変化でも効果があります。 夜間の頻尿が睡眠を妨げている場合は、薬を飲む時間の調整で改善する場合があります。主治医にご相談ください。 主治医に相談したほうがよいサイン 以下に当てはまる場合は、様子を見ずに相談してください。 数日のうちに急に眠っている時間が増えた 薬が変わった時期と、反応が鈍くなった時期が重なっている 大きないびきや、眠っている間に呼吸が止まる様子がある 食事の量が明らかに減った、水分をあまり取らない 呼びかけへの反応が以前より弱くなった 皮膚に赤みや傷ができている とくに、急な変化には体調の悪化が隠れている場合があります。後遺症によるものと決めつけず、確認を取ってください。 家族だけで抱えないための相談先 在宅での介護が続くと、家族の側にも限界が来ます。早い段階で外部の支援につながることが、結果として本人の生活を守ります。 入院中であれば、病院の医療ソーシャルワーカー 退院後であれば、お住まいの地域包括支援センター すでに介護保険を利用している場合は、担当のケアマネジャー 介護保険は65歳以上の方だけの制度ではありません。脳梗塞を含む脳血管疾患は、40歳から64歳の方でも介護保険のサービスを利用できる対象に含まれています。 手続きには時間がかかるため、退院前から相談を始めておくことをおすすめします。訪問でのリハビリテーションなど、自宅で受けられる支援もあります。 脳梗塞の後遺症とは?代表的な6つの症状 脳梗塞後遺症の種類と症状は以下の通りです。 運動麻痺(片麻痺、対麻痺) 感覚障害(しびれ、痛み) 言語障害(失語症) 高次脳機能障害(記憶障害、注意障害) 嚥下障害 排尿障害・排便障害 脳梗塞は、脳の血管が詰まって脳細胞に酸素や栄養が届かなくなり、脳の機能が損なわれる病気です。 一命を取り留めたとしても後遺症が残る可能性があるため、一刻も早い治療開始が重要です。 脳梗塞の後遺症について、以下でさらに詳しく解説します。 運動麻痺(片麻痺、対麻痺) 脳梗塞の後遺症で最も典型的なのが「運動麻痺」です。 脳梗塞で運動機能を司る脳の領域が損なわれると、筋肉へ「動け」という指令が正しく伝わらず、手足が思いどおりに動かせなくなります。 運動麻痺には主に次のような種類があります。 片麻痺:体の片側だけに麻痺が出る 対麻痺:両下肢に麻痺が出る 脳から出た神経線維は途中で交差しているため、脳梗塞では右脳に梗塞が起きると左半身に、左脳に起きると右半身に麻痺が出るのが一般的です。 麻痺の程度は、人によって異なります。動かしにくさや力が入りにくい程度の軽い症状から、腕や足をまったく動かせない重度の症状までさまざまです。 長期間麻痺が続くと、筋肉や関節が硬くなる「関節拘縮(かんせつこうしゅく)」が起きやすくなり、以下のような二次的な合併症による日常生活への影響が大きくなります。 箸を使う、ボタンを留めるなどの手先の細かい動作が難しくなる 歩行が不安定になり転倒しやすくなる 寝返りや体位変換が自力で難しくなり、床ずれのリスクが高まる 血流やリンパの流れが滞ってむくみが出やすくなる また、運動麻痺に加えて、筋肉の緊張が異常に高まる「痙縮(けいしゅく)」が起こる場合もあります。 痙縮は、筋肉が常にこわばった状態になって関節の動きが制限されたり、異常な姿勢や痛みを引き起こしたりする状態です。 発症直後に麻痺が重い人ほど将来的に痙縮を合併しやすい傾向があり、痙縮や拘縮が進行すると着替え・移乗・歩行などの動作がさらに困難になり、生活の質(QOL)にも大きな影響を及ぼします。 脳梗塞の合併症については、以下の記事もご覧ください。 感覚障害(しびれ、痛み) 脳梗塞によって皮膚の感覚を司る脳の領域が損傷を受けると、触覚・温度覚・痛覚などの感じ方が変化し、「感じにくくなる」「逆に過敏になる」などの症状が現れます。 なかでも典型的なのは、しびれて感覚が鈍くなる症状です。 手足の先端に起こりやすく、手袋や靴下をはいているような違和感を感じる場合があります。 脳梗塞による感覚障害では、片側だけにしびれや鈍さ、温度・痛覚の異常がみられるのが特徴です。 また、損傷した神経の情報処理が乱れ、刺激に対して過剰に反応して痛みを感じるケースもあります。 痛みの感じ方には個人差があり、ピリピリ・ズキズキ・焼けるような熱さなどさまざまです。 ごく軽い触れただけで強い痛みや不快感が生じる「知覚過敏」や、何も触れていないのにビリビリする「異常感覚」が続く場合もあり、日常生活の負担になりやすいとされています。 感覚障害は安全面にも影響します。たとえば、温度感覚が鈍いと熱いものに触れても気づきにくく、やけどやけがの発見が遅れる恐れがあるのです。 また、触覚が低下すると物を持つときの力加減がつかみにくく、物を落としたり強く握りすぎたりする場合もあります。 さらに、足裏やかかとの感覚が鈍いと、靴ずれや小さな傷に気づかず、床ずれや感染など別のトラブルにつながる危険性もあるため注意が必要です。 言語障害(失語症) 脳梗塞で言語をつかさどる脳の部位(言語中枢)が損傷されると、失語症と呼ばれる言葉の障害が起こるケースがあります。 単に話しにくくなるだけでなく、聞く・話す・読む・書くといった言語全体の働きに影響する可能性があり、日常のコミュニケーションに大きな困難をもたらすのが特徴です。 失語症には、以下のようにいくつかのタイプがあります。 タイプ 特徴 表出性失語 ・自分の考えはあっても、それをうまく言葉にできない ・言葉が出てこない、違う言葉になる、話が途切れ途切れになる 受容性失語 ・相手の話す内容は聞こえていても、その意味が理解しにくい ・質問に対し、的外れな返答になる 混合性失語 ・表出性と受容性の両方に障害が出る ・話す、聞き取るが困難になる 失語症があると、家族や周囲とのやりとりがうまくいかず、買い物や電話といった日常の行動にも支障が出ます。 伝えたい気持ちがあるのに言葉にできないもどかしさから、精神的なストレスを抱える人も多く、周囲の理解とサポートが欠かせません。 高次脳機能障害(記憶障害、注意障害) 高次脳機能障害とは、記憶や注意、思考、判断など日常生活を支える「認知機能」に支障が出る後遺症です。 身体の麻痺とは異なり、外見からはわかりにくいものの、以下のように社会生活や対人関係に影響が出やすい特徴があります。 症状名 主な特徴 記憶障害 ・新しいことを覚えられない ・直前の出来事をすぐ忘れる ・同じ質問を繰り返す ・過去の記憶が曖昧になる 注意障害 ・集中力が続かない ・物音に気を取られやすい ・テレビと会話など複数の刺激に同時対応できない 実行機能障害 ・計画を立てる・順序立てて行動するのが困難になる ・家事の手順を忘れる ・途中で目的を見失う 半側空間無視 ・視覚や意識が片側に偏る ・片側の食事を残す ・壁や障害物に一方の体をぶつける 失行 ・道具の使い方を知っていても実行できない ・服の着方・歯磨きなどの日常動作がうまくできない 失認 ・見えていても物や人を認識できない ・身近な人や物を見分けられない これらの症状は複数が同時に現れることが多く、外見では分かりにくいです。そのため、本人の悩み・苦労が周囲からは理解されないことも少なくありません。 「怠けている」「性格が変わった」と誤解されやすいため、家族や周囲が障害の特性を正しく理解し、リハビリテーションや生活支援を通じた適切なサポートが大切です。 嚥下障害 嚥下障害とは、食べ物や飲み物を口から胃までスムーズに送り込めなくなる症状です。 以下のように、飲み込みに関わる神経や筋肉の協調が崩れ、発生しやすくなります。 問題点 内容 むせやすくなる 飲み込みの反射が遅れて気管に入りやすくなる 飲み込み残り 食物や水分が口やのどに残りやすくなる 誤嚥(ごえん) 食べ物・飲み物・唾液が気管に入ってしまう 不顕性誤嚥 むせずに誤嚥が起こり、気づかないまま肺炎になるケースがある 誤嚥性肺炎 誤嚥をきっかけに肺に炎症が起き、重症化のリスクもある 誤嚥性肺炎は命に関わるリスクがあるため、次のような対応が重要です。 食事の姿勢(背筋を伸ばし、顎を引いた姿勢) 一口の量を少なめにする とろみや軟らかさなど食事形態の工夫 嚥下機能に合わせた食事指導やリハビリテーション 嚥下訓練や必要に応じて経管栄養の検討 飲み込みに不安がある場合は、医師・言語聴覚士(ST)などに相談しましょう。 排尿障害・排便障害 脳梗塞によって、排尿や排便をコントロールする神経の通り道や中枢が損傷すると、排尿障害や排便障害が起こります。 尿意や便意を感じにくくなったり、逆に頻繁に感じたり、トイレまで我慢できずに失禁してしまったりするケースがあるのです。 また、尿や便が出にくくなり、いきんでも少ししか出ない、残っている感じが続くといった症状が見られる場合もあります。 これらの症状は、外出や仕事、睡眠など日常生活のあらゆる場面に影響し、生活の質を大きく低下させる可能性があります。 失禁への不安から人前に出ることを控えたり、トイレの場所が気になって行動範囲が狭くなったりすることも少なくありません。 排尿・排便障害は、適切な薬物治療やリハビリテーション、生活上の工夫によって軽減が期待できる場合もあるため、恥ずかしさから抱え込まず、主治医や専門スタッフに相談しましょう。 脳梗塞の症状や原因、早めの発見方法については、以下の記事もあわせてお読みください。 脳梗塞で後遺症が残る原因 脳梗塞によって壊れた脳の神経細胞は再生しにくいため、後遺症が残る場合があります。 血流が途絶えた部位の細胞が壊死すると、そこが担っていた運動や言語などの機能が失われ、麻痺やしびれなどの後遺症につながるのです。 一方で、生き残った細胞が代わりに機能を補う「神経可塑性(しんけいかそせい)」により、ある程度の回復は期待できます。 発症の直後は、この神経可塑性がとくに高まる時期とされています。(文献3)早い時期から体を起こし、リハビリテーションを始めることが重視されるのはこのためです。 ただし、完全に元の状態に戻るとは限りません。回復の程度は、損傷の範囲やリハビリテーションの内容によって大きく左右されます。 脳梗塞の後遺症はダメージを受けた部位で異なる 脳梗塞でどのような後遺症が残るかは、「どの部位がダメージを受けたか」によって大きく変わります。 以下のように、脳にはそれぞれ役割をもつ領域があり、損傷部位によって現れやすい症状が異なるのです。 脳の部位 主な役割・症状の例 前頭葉 ・行動・感情・人格などを司る ・感情のコントロールが難しくなる、集中力の低下、計画的な行動が困難になるなど 頭頂葉 ・知覚に関わる ・知覚障害、失行症、失認症、ゲルストマン症候群など 側頭葉 ・聴覚・嗅覚・記憶の中枢 ・左側で失語症、右側で失見当識、聴覚性言語障害など 視床 ・感覚の中継点 ・反対側の感覚障害(しびれ、感覚低下)、異常感覚、視床痛、意識レベルの低下 など 視床下部 ・自律神経・ホルモンのコントロール ・ホルモン分泌異常、体温調節異常、睡眠障害など 大脳基底核系 ・姿勢保持や運動の調節 ・不随意運動、筋緊張の変化など 大脳辺縁 ・情動・記憶に関わる ・てんかん発作、コルサコフ症候群、見当識障害など 小脳 ・平衡・協調運動を司る ・平衡障害、運動失調、測定障害、企図振戦など このように、同じ脳梗塞でも障害される領域によって、感情の変化から歩行障害まで症状の出方は大きく異なります。 どの部位にダメージがあるかを理解することが、適切なリハビリテーションにつなげる上で重要です。 あわせて、左右のどちら側に起きたかによっても症状の傾向が変わります。脳から出た神経は途中で交差しているため右脳の脳梗塞では左半身に、左脳の脳梗塞では右半身に麻痺が出るのが一般的です。 右脳の脳梗塞で起こりやすい後遺症 右脳に脳梗塞が起きると、左半身の麻痺や感覚の障害が現れます。 右脳は、空間の把握や全体像をとらえる働きを担っています。そのため、麻痺以外に以下のような症状が出やすくなります。 左側にあるものに気づかない(半側空間無視) 食事の左半分を残す、左側の壁や障害物にぶつかる 自分の状態を正しく把握できず、できないことをできると思い込む 感情や状況を読み取ることが難しくなる 右脳の脳梗塞では、本人に困りごとの自覚が乏しい場合があります。無理に動こうとして転倒につながることがあるため、周囲が環境を整えて見守ることが大切です。 左脳の脳梗塞で起こりやすい後遺症 左脳に脳梗塞が起きると、右半身の麻痺や感覚の障害が現れます。 多くの方では、言語をつかさどる中枢が左脳にあります。そのため、左脳の脳梗塞では以下のような症状が加わりやすくなります。 言葉が出てこない、違う言葉になる(失語症) 相手の話す内容の意味が理解しにくい 読む・書くことが難しくなる 計算や順序立てた作業が難しくなる 言葉でのやりとりが難しくなるため意思の疎通に工夫が必要です。短い文でゆっくりと、ひとつずつ伝えることを心がけてください。絵や写真を使う方法も有効です。 伝えたい気持ちがあるのに言葉にできないもどかしさは、本人にとって大きな負担になります。急かさず、答えを待つ姿勢が支えになります。 脳梗塞の後遺症は治るのか|治療とリハビリテーション 脳梗塞の後遺症を完治させるのは難しいですが、症状の軽減は可能です。 脳梗塞後遺症の治療とリハビリテーションには、以下のような方法があります。 薬物療法 リハビリテーション(理学療法、作業療法、言語療法) 再発予防(生活習慣改善、服薬管理) 再生医療 脳梗塞の後遺症は、患者様一人ひとりの生活に大きな影響を及ぼす可能性があります。 後遺症によるさまざまな困難を少しでも軽減し、より良い生活を送るためには、適切な治療と地道なリハビリテーションが欠かせません。 以下で、それぞれの治療やリハビリテーションについて詳しく解説します。 薬物療法 脳梗塞の薬物療法は、再発の予防と後遺症の進行防止を目的に行われます。 脳梗塞は再発しやすいため、退院後も長期的な薬の服用が重要です。 以下のような薬の種類から、脳梗塞のタイプや発症時期、合併症の有無などを総合的に判断します。 薬の種類 主な役割・特徴 使用時期の例 血栓溶解薬 血管をふさいでいる血栓を溶かして再開通させる 発症から早期(数時間以内) 抗血小板薬 血小板の凝集を抑え、血栓ができるのを防ぐ 急性期〜退院後の再発予防 抗凝固薬 血液の凝固を抑制し、血栓ができにくい状態にする 心房細動などの合併症がある場合 リハビリテーション(理学療法、作業療法、言語療法) 脳梗塞後のリハビリテーションは、後遺症として現れる運動麻痺、感覚障害、言語障害、高次脳機能障害などをできる限り改善し、日常生活の自立度を高めることを目的としています。 脳梗塞の後遺症は個人差が大きいため、画一的な内容ではなく、一人ひとりの状態に応じたオーダーメイドのリハビリテーションプログラムが重要です。 リハビリテーションは、以下のように分けて行われます。 リハビリテーションの種類 目的・内容 理学療法(PT) ・体の動きや基本機能の回復を目指す ・筋力トレーニング、関節可動域訓練、座る・立つ・歩くなどの練習を行い、移動や歩行の再獲得を支援 作業療法(OT) ・日常生活動作(ADL)や生活の質向上を目的とする ・食事・着替え・トイレ・入浴の練習、家事や趣味の再開支援、自宅環境に合わせた調整など 言語療法(ST) ・言語機能や嚥下機能の回復を目指す ・発声・発音の訓練、言葉の理解・表現の練習、嚥下の評価と訓練も行う リハビリテーションは発症後できるだけ早く始め、急性期・回復期・生活期を通じた継続が望まれます。 リハビリテーションの継続は症状の改善だけでなく、福祉用具や住環境の調整を含めた「その人らしい生活」の再構築のためにも欠かせません。 再発予防(生活習慣改善、服薬管理) 脳梗塞の再発を防ぐためには、生活習慣の見直しと処方された薬を正しく続けることが重要です。 脳梗塞は一度起こると再発リスクが高く、退院後の過ごし方がその後の経過に大きく影響します。 なかでも、高血圧や糖尿病、高脂血症などの生活習慣病は、脳梗塞の代表的な危険因子です。 生活習慣を改善しないと、再び血管が詰まりやすい状態になってしまうため、以下のように適切に管理しましょう。 食生活の改善:塩分・糖分・脂肪分を控え、野菜・果物・魚を中心にバランスよくとる 運動する習慣:医師の指示に従い、ウォーキングなどの有酸素運動を取り入れる 禁煙:血管の老化・動脈硬化を防ぐため、可能な限り早期の禁煙を目指す 飲酒の節制:飲酒は控えめにし、節度ある範囲にとどめる さらに、医師から処方された薬は、指示どおりに継続して服用する必要があります。 自己判断で服薬を中断したり、量を減らしたりすると、脳梗塞を含む脳・心血管イベントの再発リスクが高まる恐れがあるため注意してください。 気になる症状が出た場合には、必ず主治医に相談しましょう。 再生医療 寝てばかりの状態が続き、リハビリテーションを続けても回復が止まっていると感じている方もいるかもしれません。動く意欲の底上げにつながる可能性のある選択肢として、再生医療に注目が集まっています。 脳梗塞を発症するとさまざまな障害が残る場合があり、リハビリテーションだけでは回復に限界があるケースも少なくありません。 そこで近年、脳梗塞後遺症に対する新たな治療の選択肢となっているのが「再生医療」です。 人の体には本来、損傷した組織を修復しようとする力が備わっています。その一部を担っているのが「幹細胞」です。 当院「リペアセルクリニック」では、幹細胞がさまざまな種類の細胞に変化する「分化能」という能力を活かし、患者様自身から採取した幹細胞を培養・増殖させて用いる再生医療の「幹細胞治療」を実施しています。 幹細胞はさまざまな細胞に分化する能力と、傷ついた組織の修復をサポートする働きを持つ細胞として知られています。 以下の記事では、脳梗塞の後遺症を幹細胞で治療した症例をご紹介しているので、ぜひご覧ください。 まとめ|寝てばかりの状態は怠けではない 脳梗塞の後に日中も眠って過ごす状態は、本人の気力の問題ではありません。 脳の回復に伴う消耗や麻痺した体の疲れやすさ、睡眠のリズムの乱れ、意欲の低下や薬の影響といった複数の要因が重なって起こります。 一方で、そのまま様子を見続けると動かないことによる機能の低下が進みます。疲れやすさを前提にしたうえで短い活動と休息を組み合わせ、確実に達成できる小さな目標を置くところから始めてください。 脳梗塞の後遺症には、運動麻痺・感覚障害・言語障害・高次脳機能障害・嚥下障害・排泄障害などさまざまなタイプがあります。 後遺症に対しては、薬物療法や適切なリハビリテーション、生活環境の見直しによって改善や生活の質向上を目指せます。 後遺症を正しく理解し、焦らず継続的に取り組んでいきましょう。 そして、家族だけで抱えないでください。医療ソーシャルワーカーや地域包括支援センターなど、相談できる窓口があります。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、脳梗塞の後遺症に対する治療選択肢の一つ、再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施しています。ぜひ一度ご利用ください。 脳梗塞の後遺症に関するよくある質問 寝てばかりの状態はいつまで続きますか? 期間には大きな個人差があり、一律の目安を示すことはできません。 脳の回復に伴う消耗が主な原因である場合は、回復が進むにつれて起きていられる時間が少しずつ延びていきます。 ただし、動かない期間が長引くほど体力が落ちて起きていられなくなるという別の要因が加わります。期間を待つのではなく、短い活動を積み重ねることで変化を作ってください。 数カ月たっても変化が見られない場合や、いったん改善したあとに再び眠る時間が増えた場合は、主治医にご相談ください。 日中は起こしたほうがよいですか? 生活のリズムを整えるうえで、日中に起きている時間を作ることは大切です。ただし、無理に起こし続けることは逆効果になります。 起こすかどうかではなく、起きている時間に何をするかを組み立ててください。朝はカーテンを開けて光を入れ、食事は椅子で取り短い活動のあとに休息を挟むという流れを作ります。 声をかけても起きない状態や、起きてもすぐに眠ってしまう状態が続く場合は、夜間の睡眠や薬、体調に原因がある可能性があります。関わり方を変えるより先に原因の確認が必要です。 脳梗塞で後遺症なしの確率は? 脳梗塞後に、後遺症がまったく残らない人は決して多くはありません。 国内の大規模な調査では、退院時に「後遺症なし」と判定されたのは全体の13.2%にとどまっていました。(文献1) ただし、急性期時点での評価であり、リハビリテーションによって機能が改善する人もいます。 後遺症の程度や回復の可能性は個人差が大きく、一律には語れない点に留意しておきましょう。 脳梗塞の後遺症なしの確率については、以下の記事でも詳しく解説しています。 脳梗塞の後遺症でふらつきが起きる理由は? 脳梗塞の後遺症でふらつきが出るのは、バランスを調整する小脳や脳幹が障害され、姿勢を保つ力が弱くなっているのが一因です。 さらに、視覚や体の感覚情報を脳がうまく統合できず、体の位置感覚がずれてしまう状況も影響します。 下肢の麻痺や体幹筋力の低下、足裏の感覚低下が重なると、歩行が不安定になって転びやすくなるため注意が必要です。 寝ている時間が長くなると、起き上がったときに血圧が下がりやすくなり、ふらつきがさらに強く出ます。 脳梗塞の退院後に気をつけることは? 退院後は、再発を防ぐための生活習慣が大切です。 塩分が多く脂っこい食事を控え、高血圧や動脈硬化の悪化を防ぎましょう。 また、飲酒や喫煙はできるだけ控え、脱水や血栓のリスクを下げる習慣も重要です。 さらに、体力・筋力向上のために、無理のない範囲での運動も欠かせません。 あわせて、退院前に介護保険や訪問でのリハビリテーションについて相談を始めておくことをおすすめします。手続きには時間がかかるためです。 軽い脳梗塞にも後遺症はある? 軽い脳梗塞では治療によって症状が消え、日常生活に支障がない状態まで回復し「治った」と感じる場合があります。 ただし、脳のダメージが完全に元通りになるわけではなく、そのまま放置すると再発や認知機能低下につながる恐れがあるため注意しなければなりません。 軽症であっても、早期受診と再発予防のための服薬、生活習慣の見直し、必要に応じたリハビリテーションの継続が重要です。 参考文献 (文献1) 脳卒中レジストリを用いた我が国の脳卒中診療実態の把握 報告書 2022年|日本脳卒中データバンク (文献2) 脳卒中|国立循環器病研究センター (文献3) 脳血管リハビリテーション科|国立循環器病研究センター
2025.02.10 -
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高次脳機能障害によって、「急に怒りやすくなった」「感情の起伏が激しくて対応に困っている」といったご家族さまも少なくありません。 脳血管障害によって脳細胞が損傷すると、感情を適切にコントロールする機能が低下し、怒りやすくなる症状(社会的行動障害)がみられます。 本記事では、高次脳機能障害によって怒りやすい患者様への対応や、治療法について解説します。 また、高次脳機能障害の根本治療につながる再生医療も紹介しているので、患者様との接し方にお困りの方は、ぜひ参考にしてください。 \根本治療につながる再生医療とは/ 再生医療とは、機能障害や機能不全になった脳細胞に対して、体が持つ再生能力を利用して損なわれた機能を再生させる医療技術のことです。 怒りやすくなる症状をはじめとした高次脳機能障害の治療には、先端医療である再生医療をご検討ください。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 高次脳機能障害の症状を治療したい 現在受けている治療やリハビリで期待した効果が得られていない 患者本人が治療やリハビリに積極的になれない 再生医療では、損傷した脳細胞に対してアプローチできる治療法で、従来の治療では元に戻らないとされている脳細胞の改善が期待できます。 「現在の治療で期待した効果がでていない」「患者様が治療やリハビリに積極的になれない」という方は、ぜひ再生医療を検討してみましょう。 詳しい治療法については、再生医療を専門とする当院「リペアセルクリニック」にお問い合わせください。 高次脳機能障害の影響で怒りやすい性格になる人は多い 高次脳機能障害の影響で怒りやすい性格になる人は少なくありません。高次脳機能障害にはさまざまな症状がありますが、そのうちの一つが社会的行動障害です。 社会的行動障害とは、状況に応じた感情や言動のコントロールが難しくなる障害です。 厚生労働省の調査によると、社会的行動障害の具体的な症状として最も多いのが「感情コントロールの障害・易怒性」で、対象者の85%に現れているという結果でした。(文献1) なお、本人が社会的行動障害に対する家族の不安や負担を理解していないケースも多く、対応の難しさを感じる方も少なくありません。 まずは怒りやすさが高次脳機能障害による影響であると理解し、対応を工夫しましょう。 高次脳機能障害の種類や原因など、包括的な解説を見たい方は「【医師監修】高次脳機能障害とは|種類・原因・治療法を解説」をご覧ください。 高次脳機能障害の症状について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。 【症状別】高次脳機能障害で怒りやすい人への対応例 怒りやすいと一言でいっても、怒りの原因や具体的な症状はさまざまです。 以下で、高次脳機能障害の影響で怒りやすい人への対応例を症状別に解説します。 怒りが爆発する場合 高次脳機能障害の影響によって、患者が怒りを爆発させることがあります。高次脳機能障害患者の怒りが爆発した場面では、以下のポイントを押さえて対応しましょう。 イライラしてきたと感じたら一時的に本人を一人にさせる その場で本人の行動に介入しない 本人の怒りにさらされる疲労やストレスを抱え込まない どのような場面で怒りが爆発したかを記録する 爆発した怒りにさらされることで、周囲は疲労や負担を感じます。怒りやすい人の対応においては、特定の人にこうしたストレスを集中させないための工夫も必要です。 ▼再生医療に関する無料相談はこちらから >>(こちらをクリックして)今すぐ電話で相談してみる 感情のコントロールが難しい場合 高次脳機能障害患者が怒りやすいのは、感情のコントロールが難しいためです。感情のコントロールが難しい人に対しては、以下のような対応を心がけましょう。 本人をイライラの原因から離す 気分を切り替えるためのきっかけを決めておく 感情を表に出しすぎるデメリットを冷静に伝える どのような態度が望ましいか、落ち着いているときに一緒に考える 感情のコントロールが難しくて怒りやすい場合は、本人の気持ちが落ち着いているタイミングで一緒に対応の仕方を考えておくことがポイントです。 周囲の刺激にすぐ反応してしまう場合 高次脳機能障害の影響で怒りやすい人のなかには、周囲の刺激にすぐ反応してしまうケースがあります。周囲からの刺激を減らすためには、具体的に以下のような対応が効果的です。 行動する前に一呼吸を置くよう伝える イライラしたら深呼吸をするよう伝える 聴覚過敏の場合は耳栓やノイズキャンセラーを使用する トラブルの原因になる場所や人との接点を減らす また、本人が集中しているときは、できるだけ刺激しないよう無理のない範囲で配慮しましょう。 欲求を抑えられない場合 高次脳機能障害の影響で怒りやすい人のなかには、欲求を抑えられなくてイライラするケースもあります。この場合、単に禁止するだけではなく、ルール作りやサポートを重視した対応が効果的です。 本人と相談してルールを決める 特定の行為がなぜ問題となるのかを丁寧に説明する 行動を制限するだけではなく対策もあわせて伝える 視覚的にわかりやすいようメモや写真に残す 本人が制限されていると感じるのではなく、自己管理のための協力だと納得できるよう支援することが大切です。 高次脳機能障害患者が怒りやすい場合の4つの基本対応 高次脳機能障害患者が怒りやすい場合は、本人への接し方だけではなく、生活環境を整えたり、支援者間で情報を共有したりすることも大切です。 以下で、高次脳機能障害患者が怒りやすい場合の基本対応について解説します。 ▼ 高次脳機能障害への対応の仕方について詳しく知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてください。 1.生活環境を整える 高次脳機能障害患者にとって、生活環境の乱れや不規則な生活リズムは、怒りを引き起こす要因になりかねません。 まずは、どのような状況で怒りやすいのかを観察し、以下のポイントを押さえて少しずつ生活環境を整えましょう。 毎日の生活に規則性を持たせる 静かな環境を確保する リラックスできる場所をつくる など 生活環境を整えて落ち着ける空間をつくることで、本人の心理的な安定を図ります。 2.第三者に相談する 高次脳機能障害患者が怒りやすいと感じるようになったら、早めに第三者に相談しましょう。症状の改善のためには、医師や作業療法士などと連携して、適切な治療とリハビリテーションを受けることが大切です。 とくに怒りのコントロールが難しい場合には、心理的なサポートも不可欠です。心理士やカウンセラーなどは、本人が感じている怒りや不安の根本的な原因を探る手助けをしてくれます。 また、周囲がどのように接したら良いか、適切な対処法についてアドバイスしてもらうことも可能です。 3.障害福祉・介護保険サービスを利用する 高次脳機能障害と診断されたら、症状に応じて、障害福祉サービスや介護保険サービスの利用を検討しましょう。公的制度の利用は、家族の負担を軽減できるだけではなく、本人がより安定した生活を送るための基盤になります。 サービス 対象者 主なサービス内容 障害福祉 サービス 自治体の障害福祉窓口で「障害福祉サービス受給者証」の交付を受けた方 居宅介護(ホームヘルプ) 同行援護 行動援護 短期入所(ショートステイ) 施設入所支援相談支援 自立訓練 就労継続支援 自立生活援助 など 介護保険 サービス 要介護・要支援認定を受けた65歳以上の方 ただし、厚生労働省が指定する16種の特定疾病(高次脳機能障害を含む)に該当する場合は、40歳以上65歳未満の方 訪問介護 訪問看護 訪問リハビリ 定期巡回・随時対応型訪問看護 通所介護(デイサービス) 通所リハビリ(デイケア) 短期入所(ショートステイ) 福祉用具貸与 など 公的制度や各種サービスを利用する際は、自治体の障害福祉窓口や地域包括支援センターに相談してください。 4.支援者間で情報を共有する 高次脳機能障害患者への対応においては、支援者間で情報を共有しておくことが大切です。家族のほか、医師や看護師、理学療法士などが協力して一貫した対応が可能になると、本人の混乱や怒りのきっかけを防ぐことにつながります。 人間関係における心理的な安全は、怒りやすい症状を和らげるために不可欠です。そのため、本人に直接「周囲が協力している」と伝えることも重要です。 支援者間のスムーズな連携が、患者の「自分は周りに支えられている」という気持ちを育むことにつながります。 なお、リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。高次脳機能障害の症状がなかなか改善せずにお悩みの方は、ぜひ気軽にご相談ください。 高次脳機能障害の治療法 ここでは、高次脳機能障害の主な治療法について解説します。 薬物療法 リハビリテーション 再生医療 以下で、それぞれの治療法について解説するので、医師と相談しながら、症状に合わせて適切なアプローチを図ってください。 ▼ 以下の記事では、高次脳機能障害の回復事例を紹介しています。 高次脳機能障害は回復する?事例やリハビリの重要性を現役医師が解説 薬物療法 薬物療法の主な目的は、症状の軽減と生活の質の向上です。 脳の神経伝達物質のバランスを整える作用がある薬のほか、抗精神病薬や認知機能を改善するための薬が用いられます。 たとえば、抗精神病薬は、イライラや興奮を落ち着ける効果が期待されます。薬物療法は、感情の起伏を穏やかにし、高次脳機能障害の影響で怒りやすい人の精神状態を安定させるために効果的です。 ただし、薬物療法はあくまで症状のコントロールを目的としているため、根本的な治療法ではない点を理解しておく必要があります。高次脳機能障害の症状を改善するためには、薬物療法だけではなく、心理的なサポートを含めて多角的にアプローチしましょう。 リハビリテーション リハビリテーションは、高次脳機能障害の回復において重要な役割を果たします。高次脳機能障害のリハビリテーションには、主に以下のような内容が含まれます。 理学療法 作業療法 言語療法 認知行動療法 なかでも、高次脳機能障害の影響で怒りやすい人に対しては、認知行動療法が効果的です。認知行動療法とは、物事の受け取り方や考え方など、認知に働きかけて気持ちを楽にする心理療法の一種です。 認知行動療法を取り入れることで、怒りやストレスなどの感情をコントロールしやすくなる効果が期待できます。 ▼ 高次脳機能障害のリハビリテーションについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。 再生医療 再生医療は、高次脳機能障害の治療効果が見込める点で最近注目を集めている治療法です。自然治癒力を最大限に引き出すために用いられる医療技術で、幹細胞や血小板の投与により症状改善の一助となる場合があります。 高次脳機能障害は進行性の障害ではないものの、薬物療法やリハビリテーションで思うような改善が見られないケースも珍しくありません。 近年は再生医療の研究が進み、幹細胞治療によって高次脳機能障害の原因である脳卒中の後遺症が回復した事例も数多く報告されています。 怒りやすくなる症状をはじめとした高次脳機能障害の治療には、先端医療である再生医療をご検討ください。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 高次脳機能障害の症状を治療したい 現在受けている治療やリハビリで期待した効果が得られていない 患者本人が治療やリハビリに積極的になれない 再生医療では、損傷した脳細胞に対してアプローチできる治療法で、従来の治療では元に戻らないとされている脳細胞の改善が期待できます。 当院リペアセルクリニックでは、専門の医師・スタッフによる無料のカウンセリングも実施しており、再生医療による治療内容や注意点について丁寧にご説明いたします。 「高次脳機能障害を根本的に治したい」「再生医療について詳しく知りたい」という方は、ぜひ当院までご相談ください。 まとめ・高次脳機能障害患者が怒りやすい場合は第三者に相談して対応しよう 高次脳機能障害患者が怒りやすいのは、社会的行動障害の一種です。脳の損傷によって感情のコントロールが難しくなり、怒りやすくなるケースも珍しくありません。 高次脳機能患者が以前と比べて怒りやすくなったと感じたら、早めに第三者に相談しましょう。 怒りにさらされることは、本人だけではなく、周囲にとって心理的負担が大きいものです。第三者への相談や公的制度の活用を通して、周囲の負担を減らせるほか、本人が生活しやすい環境づくりも可能です。 高次脳機能障害は、適切なアプローチによって症状の改善を目指すことが可能です。怒りやすい症状への対応に悩んでいる場合は、早めに専門家に相談してサポートを受けましょう。 当院リペアセルクリニックでは、専門の医師・スタッフによる無料のカウンセリングを実施しており、再生医療についてわかりやすくご説明いたします。 「高次脳機能障害を根本的に治したい」「再生医療について詳しく知りたい」という方は、ぜひ当院までご相談ください。 参考文献 (文献1) 厚生労働省「社会的行動障害への対応と支援」 https://www.rehab.go.jp/application/files/9915/7559/7229/201912_.pdf
2025.02.07 -
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高次脳機能障害で悩んでいるうちに、「本当に症状が改善するのか」「回復事例はあるのか」などと疑問を持つ方もいるでしょう。 結論からいうと、高次脳機能障害による症状は、適切な治療やリハビリテーションによって回復が見込めます。 本記事では、実際に回復した事例をご紹介しながら、症状がどう変化したのかを解説します。 回復過程におけるリハビリテーションの重要性や最近注目を集めている再生医療についても解説するので、高次脳機能障害の症状でお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。 また当院(リペアセルクリニック)では、自己の幹細胞を活用し、損傷した脳神経細胞の再生を目指す治療を行っています。 従来のリハビリだけでは改善が難しいケースにおいて、脳の回復力そのものを補う新しいアプローチです。 【こんな方は再生医療をご検討ください】 うまく話せない 痺れや麻痺をなんとかしたい もうこれ以上の機能の回復が見込めないと診断を受けた方 リハビリの効果を高めたい 脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)の再発を予防したい >>高次脳機能障害に対する再生医療の症例はこちら 「すぐに治療に進みたい」「手術は避けたいが、他の選択肢がほしい」そんな方には無料カウンセリングをご用意しておりますので、ぜひ一度ご相談ください。 高次脳機能障害の症状は治療次第で回復する 高次脳機能障害は、適切な治療とリハビリテーションによって、症状の改善が見込まれる場合があります。 ただし、どれほどの回復が見込まれるかは、損傷の程度や治療のタイミングなどによって個人差があります。 高次脳機能障害の種類や原因など、包括的な解説を見たい方は「【医師監修】高次脳機能障害とは|種類・原因・治療法を解説」をご覧ください。 また、高次脳機能障害の治療は、早ければ早いほど効果が期待できます。脳の機能を少しでも回復させられるよう、医師の診断と治療計画に基づき、できるだけ早くリハビリテーションに取り組みましょう。 リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを実施しています。高次脳機能障害の症状がなかなか回復せずにお悩みの方は、ぜひ気軽にご相談ください。 【関連記事】 高次脳機能障害は治るのか|対応方法や治療法を解説します! 高次脳機能障害(脳卒中による後遺症)の回復事例 高次脳機能障害の原因の多くは、脳卒中による後遺症です。 当院(リペアセルクリニック)では、高次脳機能障害の原因である脳卒中の再生医療・幹細胞治療を行っています。 以下で、当院における高次脳機能障害の回復事例を3つ紹介するので、ぜひ参考にしてください。 ふらつきやめまいが改善 スムーズに発語できるまで回復 身体機能の回復を実感 高次脳機能障害の基本治療である薬物療法とリハビリテーションに加えて、近年は再生医療による治療効果が注目を集めています。 事例1.幹細胞治療によってふらつきやめまいが改善 70代の男性は、脳梗塞発症後2カ月のときに当院を受診しました。脳梗塞の後遺症として、主に以下のような症状に悩んでいました。 左口周り・左手にしびれがある 左側の視野がみえにくい 歩行時にふらつく 夜間頻尿がひどい 再生医療を選択したきっかけは、「できるだけ後遺症を残したくない」と考えたことです。再生医療とは、下腹部から採取した脂肪細胞の幹細胞を分離・培養し、ホーミング効果を期待して静脈から点滴する治療法です。 70代の男性は、計3回の点滴で1億個の細胞を投与しました。初回の投与後1週間で、左口周りと左手のしびれが軽くなり、夜間頻尿もなくなりました。 さらに、4カ月後には歩行時のふらつきやめまいがなくなり、小走りができるまで回復した事例です。 ▼ 急性期脳梗塞に対する幹細胞治療の症例について詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。 事例2.幹細胞治療によってスムーズに発語できるまで回復 60代の男性は、脳梗塞発症後2週間のときに当院を受診しました。 心臓や頸動脈にできた血栓が脳の血管に詰まって脳梗塞を発症し、抗凝固薬の内服も開始しています。脳梗塞発症直後は、主に以下の症状に悩んでいました。 不整脈がある 呂律が回らない 発語がスムーズにできない 左手がしびれて力が入らない 60代の男性は、過去に右変性股関節症に対する幹細胞治療を受け、良好な効果を得られたことをきっかけに再生医療を選択しました。 1億個の細胞を3回に分けて投与する計画を立て、まずは幹細胞を採取・培養します。1回目の投与から数週間後には、左手のしびれが完全になくなり、不整脈も収まりました。 また、1回目の投与から1カ月後の診察では、呂律の回りにくさはやや残っているものの、考えていることをスムーズに発語ができるようになっていました。 ▼ 急性期脳梗塞の後遺症が改善した症例について詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。 事例3.幹細胞治療によって身体機能の回復を実感 70代の男性は、3年前の脳梗塞によって以下のような後遺症に悩まされていました。 呂律が回らない 食事がつっかえる 歩行時にふらつく めまいがする 脳梗塞の発症から3年後も週4回のリハビリテーションに取り組んでいるものの、日に日に悪化する症状に不安を抱えていました。 近年は研究が進み、幹細胞を使った再生医療によって脳卒中の後遺症が回復した例が数多く報告されています。 70代の男性は、3回に分けて計3億個の細胞を点滴投与しました。1回目の投与後3カ月で呂律が回るようになり、食事がつっかえる感覚も軽減しました。 また、体幹が安定して歩行時のふらつきが改善され、周囲からも歩くのが早くなったと言われているそうです。 ▼ 小脳出血後のふらつきや呂律が改善した症例について詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。 高次脳機能障害の主な原因 高次脳機能障害は、以下のようにさまざまな原因によって引き起こされます。 脳外傷(頭部外傷) 脳卒中(脳血管障害) とくに脳外傷や脳卒中が主な原因として挙げられますが、その他にも脳炎、脳腫瘍、低酸素脳症などが原因となることもあります。 主な原因について詳しく解説します。 脳外傷(頭部外傷) 脳外傷は、高次脳機能障害を引き起こす原因の一つです。 交通事故やスポーツ事故などで頭部に強い衝撃を受けると、脳の内部が損傷して出血を起こし、結果として高次脳機能障害の症状が現れる場合があります。 脳には、認知機能をつかさどる前頭葉や記憶をつかさどる海馬などがあるため、脳の損傷によって判断力や注意力の低下、記憶障害などの症状を引き起こします。 脳卒中(脳血管障害) 脳卒中は、脳の血流障害によって脳細胞が損傷を受ける病気です。脳卒中には、脳梗塞(血管の詰まりによるもの)と脳出血(血管の破れによるもの)の2つがあります。 いずれも十分な血流が脳細胞に行き渡らなくなることで、脳細胞の働きが低下し、高次脳機能障害の症状を引き起こします。 高次脳機能障害の回復におけるリハビリテーションの重要性 高次脳機能障害の回復過程では、リハビリテーションが非常に重要です。 以下で、リハビリテーションの目的や進め方、具体的な方法を解説します。 なお、高次脳機能障害の治療におけるリハビリテーションは、必ず医療機関と相談の上、進めるようにしてください。 リハビリテーションの目的 高次脳機能障害の治療におけるリハビリテーションの目的は、患者が可能な限り自立した生活を送れるよう支援することです。 具体的には、自立した生活を送るために必要な認知機能の向上と精神の健康を目指します。 認知機能の向上 リハビリテーションによって、記憶力、注意力、問題解決能力などの認知機能を向上を目指す 精神の健康 リハビリテーションによって自信を回復し、抑うつや不安を軽減する また、リハビリテーションを通じて人とのコミュニケーションを増やすことも、社会参加につながる側面が期待できます。 リハビリテーションの進め方と期間 高次脳機能障害のリハビリテーションは、以下の流れで、医師や理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などが協力して進めることが一般的です。 1.初期評価 2.目標設定 3.治療計画の立案 4.治療計画の実施 5.再評価とデータの収集・解析 リハビリテーションの期間は個人差があるものの、数カ月から1年ほどかかるケースが多いとされています。 なお、高度脳機能障害の治療においては、リハビリテーションの早期開始と継続的な取り組みが回復の可能性を高めます。 リハビリテーションの方法 高次脳機能障害の治療においては、以下の内容を含めたリハビリテーションが中心です。 内容 目的 理学療法(運動療法) 運動機能の向上を目的に、筋力トレーニングや体幹を鍛えるための訓練を行う 作業療法 日常生活で必要となる作業や動作ができるよう、着替えや掃除などの実践的な訓練を行う 言語療法 発語やコミュニケーション能力の改善を目的に、言葉の発音や理解力を高める訓練を行う なお、リハビリテーションの内容は、個別の治療計画に基づいて決まります。 高次脳機能障害のリハビリテーションについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。 自宅でリハビリテーションを取り入れるポイント 高次脳機能障害の回復を促進するためには、自宅で工夫してリハビリテーションを取り入れることも大切です。自宅でリハビリテーションを取り入れるポイントは、以下の通りです。 生活リズムを整える: 朝起きる時間や食事のタイミングを決め、規則正しい生活を心がける 座って頭を使う時間をつくる:クロスワードパズルや簡単な計算問題、読書などを行う 軽く体を動かす時間をつくる: 無理のない範囲で軽いストレッチやラジオ体操などを行う 無理のない範囲で家事をする:郵便物の整理や洗濯物をたたむなど、無理のない範囲で家事をする 規則正しい生活と日中活動は、社会活動につながるための重要なポイントです。 また、洗濯や掃除などのそれぞれの家事は、注意力や記憶力、遂行機能など、多様な高次脳機能を必要とします。 自宅で過ごすときは、昼寝をしすぎて昼夜逆転しないように注意しながら、日中の過ごし方を工夫しましょう。 高次脳機能障害の回復過程における再生医療の可能性 再生医療や幹細胞治療は、高次脳機能障害の治療法として近年注目を集めています。 再生医療とは、幹細胞や血小板の投与によって自然治癒力を最大限に引き出すための医療技術です。 薬物療法やリハビリテーションに加えて再生医療を取り入れることで、高次脳機能障害の症状改善の一助となる場合があります。 当院「リペアセルクリニック」では、高次脳機能障害の原因である脳卒中の再生医療・幹細胞治療を行っています。 当院はトップクラスの細胞培養技術を誇る施設と提携しているため、米粒2〜3粒程度の脂肪を採取するだけで1億個以上の細胞を培養できることが特徴です。 採取する細胞が少なくて済むため、身体への負担を抑えられるメリットがあります。 以下の動画では当院で再生医療を受けた方の声を紹介しています。 再生医療について詳しく知りたい方は、無料のメール相談やオンラインカウンセリングでお気軽にご相談ください。 まとめ・高次脳機能障害は回復事例を参考に早めに治療に取り組もう 高次脳機能障害は、適切な治療とリハビリテーションによって、症状の回復が期待できます。 ただし、回復には個人差があり、治療をしたからといって必ずしも症状が改善するわけではありません。 また、高次脳機能障害による症状の回復には、早期の治療が不可欠です。脳の機能を少しでも回復させるためには、医療機関と連携し、適切な治療を受ける必要があります。 加えて、薬物療法やリハビリテーションで効果が得られない場合には、再生医療もご検討ください。
2025.02.07







