頭を打つと危ない場所!危険な打ち方と症状を医師が解説!
頭を打つと危ない場所!危険な打ち方と症状を医師が解説!
日常生活のなかで、頭を打つことは少なくありません。立ち上がろうとして頭を打った、転倒した、階段から落ちた、交通事故で頭をぶつけた、殴られた・・・など、さまざまなエピソードがあります。
頭を打つとより危ない場所・安全な場所というのはありませんが、ぶつけた部位と強さにより様々な危険な症状が出ることがあります。では、どのような場合が危険なのでしょうか。
今回の記事では、頭を打った場合に見られる危険な症状や、考えられる疾患について詳しく解説していきます。
危険な頭の打ち方
頭を打った際、「強い力がかかって頭をぶつけた場合」には注意が必要です。
例えば、
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などが考えられます。
ただし、高齢な方や薬(特に血液を固まりにくくする薬剤)の影響もあるため、同じ打ち方だから大丈夫ということはなく、その人ごとに判断する必要があります。
また、どのような原因で頭をぶつけたかも重要です。
例えば、「気を失って転倒して頭をぶつけた場合」には、心疾患や不整脈などの別の失神の原因も探さなければなりません。「急に手足の力が抜けて転倒した場合」には、脳卒中などの可能性もあります。
受診をした際には「どのようにぶつけたか」を伝えられるとよく、さらに目撃者がいれば伝わりやすいでしょう。
頭を打った際に危険な症状
誰が見ても重症な場合(明らかに意識の状態が悪い、手足の一部が動かない、血が止まらないなど)は救急で受診をしましょう。
一見重症に見えなくとも、以下の症状がある場合にはできるだけ早く医師の診察を受けるようにしましょう。
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また、自分で症状を言うことができる人もいますが、小さな子供や高齢者では症状を言えないことがあります。何かがおかしいと思った際には、周りに助けを求め、子供でも大人でも悩まず受診するほうがよいでしょう。
頭を打ったことで起こること
大きく急性期(頭をぶつけてすぐ)と慢性期(頭をぶつけてしばらくたってから目立つようになる)に分けられます。代表的なものを以下に記載します。
急性硬膜下血腫・急性硬膜外血腫
脳と骨の間には膜が3層(外側から硬膜、くも膜、軟膜)あります。
頭をぶつけた数時間以内に、硬膜と脳の間で出血するものを「急性硬膜下血腫」、骨と硬膜の間で出血するものを「急性硬膜外血腫」といいます。急性硬膜下血腫は受傷すぐから意識が悪くなることが多いのに対し、急性硬膜外血腫は受傷しても数時間ほど症状が出ない「意識清明期」があるのが特徴です。
他の症状には、手足の麻痺、悪心・嘔吐、けいれん、瞳孔の左右差などがあります。
いずれもCTで診断でき、重症な場合には緊急で手術を行います。
外傷性くも膜下出血
頭をぶつけたことにより、くも膜と脳の間で出血が広がった状態です。
くも膜下出血はほとんどが脳動脈瘤(血管の一部が「こぶ」のようにふくらみ、破れやすくなった状態)によるものであり、頭をぶつけた場合は区別して外傷性くも膜下出血と呼ばれます。
基本は入院での経過観察で、脳圧が高くなる場合は投薬や手術などを行います。
脳挫傷
頭部打撲により、脳そのものが損傷してしまうことです。
頭をぶつけた場合は、ぶつけた部分とその反対の部分を損傷する場合があります。損傷された部位により、片麻痺(左右どちらかの手足が動かしにくい)や失語症(言葉が理解できない、言葉を表に出しにくい)、高次脳機能障害(後述)などがあります。重症な場合は、意識が悪くなったり呼吸がうまくできなくなったりします。
呼吸・循環(血圧や脳血流量)・脳圧・体温をコントロールを第一に行い、それでも進行する場合は手術も検討されます。
高次脳機能障害
頭部外傷では後遺症として、高次脳機能障害を起こすことがあります。
高次脳機能障害には以下のようなものがあります。
記憶障害新しくものを覚えられない、思い出せない 注意障害作業や生活の中で集中できなくなったり、気が散りやすくなったりする 社会的行動障害自分から何もしようとしない「無関心」や社会常識から外れた行為(怒りやすい、性的に逸脱する行為、ギャンブルに熱中しすぎる)が目立つ 遂行機能障害考えて、判断して、課題を解決するという一連の流れができない |
頭を打った際のよくある質問
Q.頭を強くぶつけたが、どのようなときに受診したらよいですか?
A.意識が不明瞭、手足の麻痺、嘔吐、転倒の記憶がない、けいれんなどがある場合には受診しましょう。
また、高齢者や基礎疾患のある方(特に血液を固まりにくくする薬を飲んでいる場合)も受診したほうがよいです。
Q.何科を受診すればよいですか?その際に注意することは?
A.受診するのは脳神経外科や脳神経内科を検討しましょう。
また、顔面のぶつけ方により、眼科や耳鼻咽喉科、歯科などの受診をするのが良いです。受診する際は、どのようにして頭をぶつけたかを伝え、目撃者がいる場合は様子を聞くのが良いです。
普段飲んでいる薬があれば、忘れずに伝えてください。
まとめ・頭を打った際の危険な症状を見逃さないように!迷わず受診しよう
今回の記事では強く頭をぶつけた場合に、どのような症状が出ると危険かを解説しました。
頭をぶつけないことが第一ですが、もしぶつけてしまった際に、前述したような症状が出たり「何かがおかしい」と感じた際には、病院の受診を躊躇わないようにしましょう。
この記事がご参考になれば幸いです。
No.S122
監修:医師 加藤 秀一