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- 変形性股関節症
- 脊椎
- 股関節
- 脊椎、その他疾患
「腰痛が続いている」 「股関節になんとなく違和感がある」 「腸腰筋のストレッチが良いと聞いたけれど、効果はあるの?」 腸腰筋のストレッチは、股関節の可動域改善や慢性腰痛緩和の手段の1つです。 腸腰筋は、起き上がりや歩行、姿勢保持といった日常生活動作にも関わる大切な筋肉であるため、ストレッチは健康維持に役立ちます。しかし、腸腰筋ストレッチはすべての方に有効ではありません。中には、ストレッチを行わない方が良い方もいらっしゃいます。 本記事では、腸腰筋ストレッチの効果や方法に加えて、やってはいけない状況について解説します。ストレッチを試すかどうか迷う方の参考になりますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 腰痛や股関節の違和感などでお悩みの方は、ぜひ公式LINEにご登録ください。 腸腰筋ストレッチの効果 この章では、以下の3点について解説します。 腸腰筋ストレッチで期待できる効果 腰痛や股関節の違和感に腸腰筋が関わる理由 腸腰筋が硬くなるメカニズム 腸腰筋ストレッチで期待できる効果 腸腰筋ストレッチの効果は、筋肉を柔らかくしたり、股関節前面の動きを整えたりするなどです。立ち上がりや歩行などの動作を楽にする効果も期待できます。 筋肉をゆっくり伸ばした体勢を維持する静的ストレッチは、関節可動域を改善する効果が期待されています。ストレッチの目安は、一動作につき15〜30秒間です。2〜4回程度繰り返すと良いでしょう。(文献1) 慢性腰痛では運動など非薬物療法が推奨される流れがあり、ストレッチはその一部として位置づけられます。(文献2) 腰痛や股関節の違和感に腸腰筋が関わる理由 腸腰筋は腰椎に位置する長いリボン状の筋肉で、腰や股関節を動かすために使われるものです。(文献3) 日常生活における腸腰筋の役割としては、起き上がる、歩く、走る、姿勢を維持するなどがあります。 腸腰筋の一部である大腰筋は腰椎の安定に関係する筋肉です。そのため腸腰筋が硬いと腰痛や股関節および鼠径部(股関節の付け根)の違和感、足のだるさにつながる可能性があります。 腸腰筋が硬くなるメカニズム デスクワークを中心とした座り仕事や、家事および介護などによる中腰姿勢で股関節を曲げた時間が長いと腸腰筋が短くなり、「縮んで硬い」感覚が出やすくなります。(文献4)(文献5) 腰回りを柔らかくしようとして無理に腰を反らしたり伸ばしたりしても、腸腰筋のケアにはつながりません。かえって腰に負担がかかってしまいます。 寝ながらほぐせる腸腰筋ストレッチ この章では、寝ながらほぐせる腸腰筋ストレッチを2種類紹介します。ストレッチの際は、痛みが出るまで動かさないようにしましょう。 【方法1】 あお向けに寝る 片方の膝を抱えて、軽く胸に近づける 逆側の脚は、かかとを遠くに押し出すように伸ばす 【方法2】 あお向けに寝て片膝を立てる。 逆側の脚を、円を描くように大きく回す 反対側の脚も同じ要領で大きく回す 注意点を以下に示しました。 腰を反らさない 呼吸を止めない 反動をつけない 座ったままほぐせる腸腰筋ストレッチ この章では、座ったままほぐせる腸腰筋ストレッチを2種類紹介します。痛みが出るまで動かさないようにしましょう。 【方法1】 椅子に浅く座る 片方の膝を抱えて、軽く胸に近づける 15秒程度キープする 反対側も同様にストレッチする 【方法2】 椅子に浅く座る 座りながら足踏みをする 足踏みのときは、両腕も大きく動かす 腰を反らしたり反動をつけたりしないなど、注意点は寝たままほぐせるストレッチと同じです。ストレッチ時は呼吸を止めないようにしましょう。 立ったままほぐせる腸腰筋ストレッチ この章では立ったままほぐせる腸腰筋ストレッチを紹介します。仕事の休憩中にもできる、比較的簡単なものです。 椅子の背もたれや壁に手をつく 片足を半歩後ろへ引く 骨盤を前に押し込んで胸を引き上げる 後ろ足のかかとを上げる 腰を反らしたり反動をつけたりしないなど、注意点は寝たままほぐせるストレッチと同じです。ストレッチ時は呼吸を止めないようにしましょう。 事故防止のため、滑りやすい場所でのストレッチは避けてください。 腸腰筋ストレッチのポイント この章では、腸腰筋ストレッチ実施にあたって覚えておくと良いポイントを3点紹介します。 強さの目安 時間と回数および頻度の目安 正しいフォーム 以下の記事では、慢性腰痛に適したストレッチをタイプ別に紹介しています。あわせてご覧ください。 強さの目安 強さの目安は、「痛むまで伸ばさない」です。軽く引っ張られるような感覚を感じながらストレッチしましょう。痛みが出たら強度を下げるか中止してください。(文献6) ストレッチの目的は、強く伸ばすことではなく腸腰筋へ適切な刺激を入れることです。反動をつけたり、呼吸を止めたりしないでください。 時間と回数および頻度の目安 腸腰筋ストレッチのような静的ストレッチの場合、15〜30秒保持×2〜4回がよく用いられる目安です。(文献1) 週2〜3日以上を基本ペースで継続してみましょう。ストレッチで痛みが出たら強度を下げるか中止してください。(文献6) 正しいフォーム 正しいフォームのポイントを以下に示しました。 腰を反らさないように下腹部を軽く締める お尻を軽く締める 肋骨を反らしすぎない 腰の中央に違和感がある場合は、フォームが間違っている可能性があります。 腸腰筋ストレッチをやってはいけない状況 腸腰筋ストレッチをやってはいけない状況としてあげられるのは、以下の3点です。 強い痛みやしびれがある 股関節疾患の可能性がある 坐骨神経痛の可能性がある 強い痛みやしびれがある 以下のような状況の場合、自己流の腸腰筋ストレッチを続けず中止しましょう。 痛みが強くなる 安静にしていても腰痛が続いて辛い 下半身のしびれが強くなっている しびれの範囲が広がっている 排尿や排便の異常、会陰部(えいんぶ)の感覚異常、両脚の筋力低下などがあるときは、腰部脊柱管狭窄症や馬尾症候群などの可能性があります。医療機関を受診して、原因を把握しましょう。 股関節疾患の可能性がある 鼠径部に鋭い痛みがある、歩行すると痛みが悪化するなど関節可動域制限が強い場合、原因は腸腰筋だけとは限りません。変形性股関節症や股関節脱臼など、股関節疾患が疑われます。 ストレッチで痛みが増える場合は中止し、原因疾患を確定するため医療機関を受診しましょう。 坐骨神経痛の可能性がある 脚に電気が走るような痛みやしびれ、放散痛など、坐骨神経痛のような症状があるときは、ストレッチで症状が悪化する可能性があります。この場合も、無理に継続しないでください。 排尿や排便の変化、会陰部のしびれ、進行する筋力低下などの症状がある場合は、医療機関での原因把握が優先です。 ストレッチで改善しない腸腰筋の症状は医療機関の受診を推奨 数週間ストレッチを続けても症状が続き、フォームや強度・頻度を見直しても改善されないようであれば、医療機関受診を検討しましょう。ストレッチ後に痛みやしびれなどの症状が悪化している場合も、受診をおすすめします。 排尿や排便の異常や会陰部の感覚異常などは、早急な医療機関受診を必要とするサインです。(文献7) 腸腰筋ストレッチの効果とポイントをおさえて正しいやり方で実施しよう 腸腰筋ストレッチは、強さや時間、回数の目安および正しいフォームなどのルールを意識しながら行うことが大切です。 本記事では、寝ながらほぐせるもの、座った姿勢でほぐせるもの、立ったままの姿勢でほぐせるものを紹介しました。基本的なポイントを守りながらのストレッチにより、さまざまな効果が期待できます。 ただし、強い痛みやしびれ、排尿・排便の異常などがあるときは、無理せず中止してください。ストレッチを進めても症状が改善しなかったり悪化したりする場合は、医療機関を受診しましょう。 腸腰筋ストレッチは、自分の身体と相談しながら行っていきましょう。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しておりますので、ぜひご利用ください。 腸腰筋ストレッチに関するよくある質問 腸腰筋ストレッチは寝ながらできますか? 腸腰筋ストレッチは寝ながらでも行えます。本記事でも「寝ながらできる腸腰筋ストレッチ」を2種類紹介しているので、参考になさってください。 ただし、痛みやしびれが強い場合は、ストレッチを中止した上で医療機関を受診しましょう。 腸腰筋ストレッチは高齢者にも役立ちますか? 腸腰筋ストレッチは、姿勢の改善や歩行の安定、腰痛緩和などの効果があるとされており、高齢者にも役立ちます。本記事で紹介した、寝たままや座ったままでのストレッチであれば取り入れやすいでしょう。 ただし、痛みやしびれが強いときには無理に行わないようにしてください。 参考文献 (文献1) CURRENT CONCEPTS IN MUSCLE STRETCHING FOR EXERCISE AND REHABILITATION|International Journal of Sports Physical Therapy (文献2) American College of Physicians issues guideline for treating nonradicular low back pain|ACP (文献3) Psoas Muscle|Cleveland Clinic (文献4) A Cross-sectional Study on Association of Iliopsoas Muscle Length with Lumbar Lordosis Among Desk Job Workers|Indian Journal of Occupational and Environmental Medicine (文献5) Prolonged sitting and physical inactivity are associated with limited hip extension: A cross-sectional study|Musculoskeletal Science and Practice (文献6) A guide to basic stretches|MAYOCLINIC (文献7) Back problems|NHS inform
2026.01.31 -
- 脊椎
- 内科疾患、その他
- 脊椎、その他疾患
「最近背中が痛い」 「背中の右側が痛む」 「じっとしていても背中の痛みが続く」 このように、背中の痛みに関する悩みを抱えている方も多いことでしょう。 背中の痛みでは、「どの部分が痛むか」によって原因が異なる場合があります。多くの場合、筋肉の緊張や神経痛などが原因ですが、内臓疾患が原因であるケースも少なくありません。 本記事では、背中の痛みを右側・左側・中央に分けて、原因や医療機関受診の目安などを紹介します。症状別に「受診すべき診療科」も紹介しますので、背中の痛みに悩まれている方はぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 背中の痛みでお悩みの方は、ぜひ公式LINEにご登録ください。 背中の右側が痛いときに考えられる原因 この章では、背中の右側が痛いときに考えられる原因を、以下の3つに分類して解説します。 右上(肩甲骨内側〜背中上部)の痛み 右中央(肩甲骨〜胸の高さ)の痛み 右下部(腰の上〜肋骨の下)の痛み 右上(肩甲骨内側〜背中上部)の痛み 背中の右上が痛むときの主な原因は、主に以下のとおりです。 筋膜性疼痛症候群 肩甲骨周囲筋の過緊張 頸椎ヘルニアや頚椎症など頸椎由来の疾患 筋膜性疼痛症候群とは、「筋肉のこり」が原因でさまざまな症状を引き起こす疾患です。筋肉内に硬いしこりのようなものが存在し、触れると痛みが生じます。いわゆる「トリガーポイント」と呼ばれるものです。筋膜性疼痛症候群は、比較的多くの人が経験する筋肉痛でもあります。(文献1) 肩甲骨周囲筋としてあげられるものは、僧帽筋(そうぼうきん)や菱形筋(りょうけいきん)、肩甲挙筋(けんこうきょきん)などです。これらの筋肉が過度に緊張しているときにも、右背部痛が発生します。 頸椎ヘルニアや頚椎症など、頚椎(首の骨)由来疾患による右背部痛は、首の動きによって痛みの状況が変わる点が特徴です。 内科疾患により右背部痛が生じる場合もあります。例としてあげられるのは、主に以下のとおりです。 胆石発作や胆嚢炎など(発熱を伴う場合もある) 肺炎や胸膜炎など(咳や発熱を伴う、呼吸により痛みが悪化する) 帯状疱疹(発疹を伴いピリピリ痛む) 右上背部痛の原因を見分けるポイントを以下に示しました。 首・肩を動きにより痛みが増減する(筋骨格系の可能性) 深呼吸や咳で悪化する(肺や胸膜、肋間神経の可能性) 食後の悪化や吐き気・発熱がある(胆道系の可能性) 食後に痛みが悪化する、吐き気や発熱などがある場合は早めに医療機関を受診しましょう。 右中央(肩甲骨〜胸の高さ)の痛み 右中央の背部痛の原因は、主に以下のとおりです。 肋間神経痛 胸椎椎間板ヘルニア、変形性胸椎症など胸椎由来の疾患 姿勢不良(猫背や巻き肩)による筋緊張 肋間神経痛の症状やセルフケアに関する詳細と、再生医療による胸椎椎間板ヘルニア治療事例を以下の記事で紹介しております。あわせてご覧ください。 【関連記事】 肋間神経痛のセルフチェック方法!胸椎椎間板ヘルニアの症状との違いも医師が解説 胸椎椎間板ヘルニア術後の痺れ完全消失!片足ジャンプも可能に! 内科疾患により中央背部痛が生じる場合もあります。例としてあげられるのは、主に以下のとおりです。 胸膜炎や肺炎(呼吸困難や咳、発熱など) 狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患(胸痛や息切れ、冷汗など) 中央背部痛の原因を見分けるポイントを以下に示しました。 チクチクする痛みや電気が走るような痛みがある(神経痛の可能性) 深呼吸や咳、くしゃみで悪化(肋間神経痛や肺炎、胸膜炎などの可能性) 胸痛や息切れ、動悸、冷汗(虚血性心疾患の可能性) 胸痛や息苦しさなどがある場合は早めに医療機関を受診しましょう。 右下部(腰の上〜肋骨の下)の痛み 右下背部痛の主な原因は、以下に示したような筋肉の負荷であるとされています。 腰方形筋(ようほうけいきん)や脊柱起立筋などの緊張 腰や背中の筋膜性疼痛 中腰や片側の体重をかけた姿勢 内科疾患により中央背部痛が生じる場合もあります。主なものとしてあげられるのが、腎盂腎炎や尿路結石です。発熱や悪寒、倦怠感、血尿、排尿時痛を伴います。 右下背部痛の原因を見分けるポイントを以下に示しました。 動作や姿勢による増減、圧痛がある(筋骨格系の可能性) 発熱や悪寒、強い倦怠感がある(腎盂腎炎の可能性) 排尿時の違和感や血尿、頻尿がある(尿路結石の可能性) 発熱や排尿に関する症状がある場合は早めに医療機関を受診しましょう。 背中の左側が痛いときに考えられる原因 この章では、背中の左側が痛いときに考えられる原因を、以下の3つに分類して解説します。 左上部(肩甲骨の内側〜背中上部)の痛み 左中央部(肩甲骨〜胸の高さ)の痛み 左下部(腰の上〜肋骨の下)の痛み 左上部(肩甲骨の内側〜背中上部)の痛み 背中の左上が痛む場合の主な原因は、以下に示した筋骨格系や頚椎の不調などです。 肩甲骨周囲筋の緊張 筋膜性疼痛症候群 頸椎由来の痛み 内科疾患により右背部痛が生じる場合もあります。例としてあげられるのは、主に以下のとおりです。 狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患(胸痛や息切れ、冷汗など) 大動脈解離(突然の激痛) 肺や胸膜の炎症(呼吸困難や咳、発熱など) 左上背部痛の原因を見分けるポイントを以下に示しました。 圧痛あり、姿勢により痛みの度合いが変わる(筋骨格の可能性) 冷汗や息切れ、吐き気、胸部症状などがある(循環器疾患の可能性) 胸痛や息切れ、吐き気、冷汗がある場合は、迷わずに医療機関を受診しましょう。 左中央部(肩甲骨〜胸の高さ)の痛み 左中央の背部痛の原因は、主に以下のとおりです。 肋間神経痛 胸椎椎間板ヘルニア 姿勢不良による筋緊張 また、循環器疾患や呼吸器疾患、帯状疱疹などが原因の可能性もあります。 左中央背部痛の原因を見分けるポイントを以下に示しました。 呼吸や咳で悪化する(肋間神経痛や胸椎由来の可能性) 皮膚のピリピリした感じや発疹などを伴う(帯状疱疹の可能性) 胸痛や息切れ、動悸、冷汗などがある(循環器や呼吸器疾患の可能性) 胸痛や息切れ、動悸、冷汗がある場合は、迷わずに医療機関を受診しましょう。 左下部(腰の上〜肋骨の下)の痛み 左下背部痛の主な原因は、以下に示したような筋骨格系の不調です。 腰背部の筋肉に強い負担がかかっている 体幹に偏りがある 日常生活動作のクセが影響している また、腎泌尿器系疾患や、膵炎、胃・十二指腸潰瘍といった消化器系疾患が原因の可能性もあります。 左下背部痛の原因を見分けるポイントを以下に示しました。 食後や空腹時などに悪化する(消化器系疾患の可能性) 吐き気や嘔吐がある(消化器系疾患の可能性) 排尿時の違和感および血尿を伴う(腎泌尿器系疾患の可能性) 強い吐き気や発熱がある場合、食事との関連が明確である場合は早めに医療機関を受診しましょう。 肝臓に水ぶくれが生じた状態(肝嚢胞)でも、背中に痛みが生じる場合があります。以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 背中の中央部が痛いときに考えられる原因 この章では、背中の中央部が痛いときに考えられる原因を、以下の3つに分類して解説します。 背中の中央部(上部)の痛み 背中の中央部(胸の高さ)の痛み 背中の中央部(下部〜腰の少し上)の痛み 背中の中央部(上部)の痛み 背中の中央上部が痛む原因は、主に以下のようなものです。 姿勢不良による筋緊張が続いている 胸椎上部の可動域が低下している また、圧迫骨折や進行がんが原因の可能性もあります。圧迫骨折は高齢者に多く、転倒や外傷後に痛むケースが多いとされます。 背中の中央上部が痛む原因を見分ける主なポイントは、以下の2つです。 転倒や外傷後に痛むが出ている(圧迫骨折の可能性) 体重減少や咳、食欲不振などを伴う(進行がんの可能性) 転倒や外傷の既往、体重減少などの症状があれば早めに医療機関を受診しましょう。 背中の中央部(胸の高さ)の痛み 胸の高さでの背部痛は肋間神経痛や胸椎由来の痛みなどが主な原因です。しかし、胸部症状を伴う場合や食事との関連がある場合は、内科疾患を考慮する必要があります。 胸の高さでの背部痛の原因を見分ける主なポイントは、以下の2つです。 胸痛や息切れ、冷汗などを伴う(循環器及び呼吸器疾患の可能性) 食事により悪化や改善が見られる(消化器疾患の可能性) 胸痛や呼吸困難などの症状がある場合は、迷わずに医療機関を受診しましょう。 背中の中央部(下部〜腰の少し上)の痛み 背中の中央下部が痛む場合、多くは腰背部筋への負担や良くない姿勢が原因とされます。しかし、痛みが長引いたり全身症状があったりする場合は別の原因も考慮する必要があります。 背中の中央下部が痛む原因を見分ける主なポイントは、以下の2つです。 排尿時の違和感および血尿を伴う(腎泌尿器系疾患の可能性) 体重減少や咳、食欲不振などを伴う(進行がんの可能性) 長引く痛みや全身症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 背中の痛みが長引く・広がる場合の受診目安 背中の痛みには、場所がはっきりしないものや広範囲に渡るものがあります。具体例を以下に示しました。 背中全体に重さやだるさ、鈍痛がある 日によって、もしくは時間帯によって、痛む場所が変わる 姿勢や日常生活動作などの影響を受けやすい 検査を受けても、明確な異常が見つからない このような場合、「どこが痛いか」だけで原因を判断するのが難しいことが多いとされます。そのため、「どれくらいの期間、痛みが続いているか」の視点も大切です。 急性の筋肉痛は1〜2週間で軽快する場合が多いため、2週間以上続く、もしくは当初より悪化している場合は医療機関受診を検討しましょう。 発熱やしびれ、胸部症状などがある場合は、自己判断で様子を見ないで早めに受診しましょう。 背中の痛みがある場合に受診すべき診療科 背中が痛む原因は多岐にわたります。受診先に迷った場合は、まず整形外科やかかりつけ医に相談し、必要に応じて専門科を紹介してもらう方法が一般的です。 背部痛が強い場合や全身症状がある場合は、早めに受診しましょう。 整形外科 背部痛の主な原因は筋肉や関節・背骨などの筋骨格系であるため、整形外科が最初の相談先となることが多い状況です。 整形外科受診の目安となる症状を以下に示しました。 動作や姿勢で痛みが変化する 押すと痛み(圧痛)が生じる 重さやだるさ、張りを伴う 内科 背中の痛みに加えて、発熱や全身のだるさ、体調不良などを伴う場合は、内科での相談が適しています。 内科受診の目安となる症状を以下に示しました。 発熱や倦怠感が続いている 食欲不振や体調の変化を伴う 痛みの原因がはっきりしない 循環器内科・消化器内科・泌尿器科などの専門科 背中の痛みに加えて、胸の痛みや息苦しさ、動悸、吐き気などの症状を伴う場合は、循環器内科や消化器内科などの専門科受診が必要です。排尿時の異常や血尿がある場合は、泌尿器科が受診先となります。 これらの症状がある場合は、自己判断で様子を見続けず、早めに医療機関を受診しましょう。 救急外来 以下のような症状がみられる場合は、迷わずに救急外来を受診してください。 強い背部痛や胸痛がある 息苦しさや意識障害を伴う 急激な痛みの悪化や強い体調不良がある 背中の痛みに対するセルフケアと予防のポイント 早急な医療機関受診のサインがなく、痛みが軽い場合に限り、セルフケアで様子を見る選択肢があります。 セルフケアのポイントは、主に以下のとおりです。 痛みが強くならない範囲で、軽い運動を心がける 長時間同じ姿勢を続けず、定期的に姿勢を変える 急な動作や過度な負荷を避ける 日常生活において、背部痛を予防する工夫もあります。 デスクワークのときやスマートフォンを操作するときは、姿勢が崩れないように意識しましょう。十分な休息を取り、疲労を溜め込まないことも大切です。 セルフケアや予防行動を続けても痛みが改善しない場合、もしくは痛みが長引く場合は、一度医療機関を受診しましょう。 背中の痛む場所や随伴症状に応じて適切に対処しよう 背中の痛みは、痛む場所によって考えられる原因や注意するポイントが異なります。 多くの場合、筋肉や関節、姿勢など筋骨格系が関与しており、動作や姿勢の改善で痛みが軽減するケースも少なくありません。 その一方で、発熱や強い倦怠感、胸痛、呼吸困難などを伴い、早めの受診が必要となるケースもあります。 そのため、痛みの部位に加えて、症状の経過や随伴症状の確認も必要です。 軽度な痛みであれば、日常生活での姿勢の見直しや無理のないセルフケアによって改善が期待できる可能性もあります。 ただし、痛みが2週間以上続く、一度は治まったが再発した、痛みが悪化しているといった場合は、医療機関受診が必要です。 背中の痛みは原因や状態によって適切な受診先が異なります。まずはかかりつけ医や整形外科を受診してみましょう。胸の痛みや息苦しさ、意識障害などを伴う場合は、迷わずに救急外来を受診してください。 リペアセルクリニックでは、公式LINEやメール相談、オンラインカウンセリングを実施しております。背中の痛みで不安を感じている方は、お気軽にお問い合わせください。 場所別の背中の痛みに関するよくある質問 背中の痛みが内臓由来かどうかの見分け方はありますか? 以下のような状況では、内臓由来の可能性があります。 体勢を変えたり安静にしたりしても痛みが続く 吐き気や食欲不振、発熱、呼吸困難、胸痛などの症状を伴う このような場合は、早めに医療機関を受診しましょう。 背中の痛みで急死することもありますか? 急性大動脈解離が原因で背中が痛む場合、突然死(急死)の可能性があります。大動脈解離が起こると、血液の循環が破綻してしまい、脳梗塞や心筋梗塞などのきわめて危険な状態を引き起こすためです。 激しい背中の痛みが起きた場合は早急な治療が必要であるため、迷わずに救急外来を受診してください。 参考文献 (文献1) 筋・筋膜性疼痛症候群|一般社団法人日本ペインクリニック学会
2026.01.31 -
- 脊椎
- 脊椎、その他疾患
「手足のしびれや歩きにくさを感じる」 「手足が自由に動かせず、生活に支障をきたしている」 その症状は、後縦靭帯骨化症と呼ばれる指定難病によって起こっている可能性があります。 後縦靭帯骨化症とは、背骨の中を走る後縦靭帯が骨のように硬くなり、脊髄や神経を圧迫してしまう疾患です。 進行すると日常生活に大きな支障をきたしますが、早期発見と適切な治療・生活管理により、症状の進行を抑えられるケースも少なくありません。 本記事では、現役医師監修のもと、後縦靭帯骨化症の症状・原因・治療法についてわかりやすく解説します。 後縦靭帯骨化症の症状 後縦靭帯骨化症の原因 後縦靭帯骨化症を放置するリスク 後縦靭帯骨化症の治療法 後縦靭帯骨化症における日常で気を付けるべきこと 記事の最後には、後縦靭帯骨化症についてよくある質問をまとめていますので、ぜひご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 後縦靭帯骨化症について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 後縦靭帯骨化症とは 項目 内容 疾患の概要 背骨内を走行する後縦靭帯が骨化し、脊髄や神経根を圧迫する疾患。日本人に多く認められ、指定難病に分類されている 起きる場所 主に頸椎に発生し、胸椎・腰椎に広がる場合もある。頸椎では上肢症状、胸椎・腰椎では下肢症状が主体となる傾向がある 原因 遺伝的素因、糖尿病などの代謝異常、カルシウム代謝異常、頸部への慢性的負荷など、複合的要因の関与が示唆されている 症状の進み方 初期は軽微な感覚異常から始まり、骨化の進行に伴って脊髄圧迫が増強し、運動機能や感覚障害が顕在化していく経過をたどる 進行速度 数年単位で緩徐に進行することが多く、無症状で経過する例もある (文献1)(文献2) 後縦靭帯骨化症は、脊椎の後縦靭帯が骨化して脊髄や神経根を圧迫する疾患です。 頸椎に多く発症し、手足のしびれや歩行障害、巧緻運動障害などが現れます。初期は軽い違和感程度ですが、進行すると日常生活動作に支障をきたします。 原因は遺伝的素因、加齢、代謝異常など複数の要因が関与すると考えられています。 後縦靭帯骨化症の症状 症状 詳細 手足のしびれ・感覚の変化 指先や足先のしびれ、感覚鈍麻、巧緻動作障害(ボタン操作困難、物の落下など)を呈し、温痛覚の低下を伴う場合がある症状 歩行・運動機能の低下 足のもつれやふらつき、階段昇降困難、長距離歩行時の易疲労性、転倒リスクの増加など、歩行の安定性低下を示す症状 排尿・排便障害(進行した場合) 排尿困難、残尿感、便秘、失禁傾向など、自律神経障害により生じる排泄機能異常であり、進行の指標となる重要な症状 後縦靭帯骨化症の症状は、脊髄や神経根の圧迫によって生じます。初期には手足のしびれや感覚の鈍さ、細かい動作のしにくさが現れ、進行すると歩行障害やふらつき、転倒しやすさが目立ちます。 さらに重症化すると排尿・排便のコントロールが困難になり、症状は緩やかに進行しても一度悪化すると改善が難しいため、手足のしびれや歩きにくさを感じた場合は早急に医療機関を受診しましょう。 手足のしびれ・感覚の変化 区分 詳細 原因 後縦靭帯の骨化による脊柱管狭窄と脊髄・神経根圧迫に伴う神経伝達障害 頸椎の場合(上肢中心) 手指や腕のしびれ・異常感覚、物をつかみにくい巧緻運動障害、片側に偏る症状 胸椎・腰椎の場合(下肢中心) 足のしびれ・張り感、歩行時のふらつき、骨化部位より下の感覚異常や歩行不安定 進行による悪化メカニズム 骨化拡大に伴う圧迫増強、しびれの範囲拡大と持続、感覚消失や筋力低下の進行 (文献2) 靭帯が硬く厚くなることで脊髄や神経が圧迫され、手足のしびれや感覚異常が起こります。 頸椎では手指のしびれや細かい動作の障害が目立ち、胸椎・腰椎では足のしびれや歩きにくさが現れます。 症状は骨化が進むほど強くなり、範囲も広がります。進行すると感覚が失われたり筋力が低下する場合があり、早期の受診と経過観察が重要です。 以下の記事では、手足のしびれについて詳しく解説しています。 【関連記事】 手足のしびれの原因となる病気の症状や予防法を解説!前兆も紹介 手足のしびれとピリピリ感の関係は?症状の原因や治し方を解説 歩行・運動機能の低下 区分 詳細 原因 後縦靭帯の骨化による脊柱管の狭窄、脊髄や運動神経への慢性的圧迫、神経伝達の障害 頸椎骨化の場合(四肢・体幹への影響) 足の筋力低下、膝反射の過剰反応、歩幅の減少や足引きずりの出現、体幹バランスの不安定化 胸椎・腰椎骨化の場合(下肢特異的) 下肢の神経障害、張り感や足のつっぱり、長距離歩行後の疲れやすさ、スリッパが脱げる、足がもつれるといった症状の発生 進行メカニズムと急性悪化要因 神経の血流低下、神経変性の進行、転倒による急性麻痺の発症、年齢による靭帯硬化の進行 (文献3) 後縦靭帯骨化症では、硬くなった靭帯が脊髄や運動神経を圧迫し、足の筋力低下や筋肉のこわばりを引き起こすことで歩行が不安定になります。 初期は軽いふらつきですが、進行すると足を引きずる、歩幅が狭くなるなど症状が顕著になります。 頸椎では広範囲に、胸椎・腰椎では下半身に症状が現れ、転倒で急速に悪化するため早期診断が必要です。 以下の記事では、後縦靭帯骨化症による寝たきりのリスクについて詳しく解説しています。 排尿・排便障害(進行した場合) 区分 詳細 原因 骨化による脊柱管の狭窄、脊髄への圧迫、自律神経中枢の障害、神経信号の伝達異常 頸椎・胸椎骨化の場合(広範影響) 膀胱収縮力の低下、排尿時の勢いの減少、残尿感、直腸感覚の鈍化、夜間頻尿や便秘の出現 腰椎骨化の場合(下部特異的) 尿意切迫感や排便困難、進行に伴う両側性失禁、尿路感染の合併リスク 進行メカニズムと緊急性 神経変性と血流低下、転倒などによる急性悪化、完全失禁への進行、緊急受診の必要性 (文献3)(文献4) 後縦靭帯骨化症が進行すると、骨化による脊柱管狭窄が脊髄や自律神経を圧迫し、排尿・排便機能が障害されます。 膀胱直腸障害として残尿感、夜間頻尿、便秘、尿意切迫感が現れ、進行すると失禁や尿路感染をきたします。 慢性的圧迫による神経変性に加え、転倒などを契機に急性悪化する場合もあり、完全失禁に至ることがあるため、早期評価と適切な対応が重要です。 後縦靭帯骨化症の原因 原因 詳細 遺伝的な要因が関与するとされている 家族内発症の報告があり、骨・靭帯の骨化傾向に関連する体質や特定遺伝子型の関与が示唆されている 加齢や基礎疾患が影響する可能性 加齢に伴う代謝変化や靭帯硬化に加え、糖尿病・肥満・高血圧などの生活習慣病、長期的な姿勢負荷の影響が関与していると考えられている 複数の要因が絡み合って発症する疾患である 遺伝・代謝・加齢・生活習慣など多因子的背景が重なり、慢性的に進行する複合的な病態である 後縦靭帯骨化症の原因は完全には解明されておらず、遺伝的素因、加齢、代謝異常など複数の要因が関与すると考えられています。 糖尿病や肥満との関連も指摘されており、生活習慣や基礎疾患が影響する可能性があります。 骨化の進行や症状の出現には個人差があり、発症を完全に予防することは困難です。診断後は適切な管理により進行を緩やかにし、身体機能の維持を図ることが欠かせません。 遺伝的な要因が関与するとされている 後縦靭帯骨化症は遺伝的素因が主要因とされ、特定の遺伝子多型が靭帯組織の異常骨化を促進します。 ある研究では、家族性発症率は兄弟で約30%、一卵性双生児で85%と高く、患者の血縁者の23%に骨化がみられました。(文献2) また、全ゲノム解析(GWAS)では6p21.1、8q23.1など6つの疾患感受性領域が同定され、遺伝的寄与率は53%に達するとされています。(文献5) 一方で、遺伝素因を持つ方に糖尿病や肥満などの環境因子が加わることで発症や進行が誘発される可能性が示唆されており、遺伝と環境が複合的に影響する疾患と考えられています。 加齢や基礎疾患が影響する可能性 後縦靭帯骨化症は、加齢や基礎疾患が骨化進行に影響する可能性が指摘されています。 50歳前後から靭帯の石灰化・硬化が進み、代謝変化(ビタミンD低下)により異常骨形成が誘発され、中年以降の変性蓄積が骨化閾値を超えて進行を加速すると報告されています。 また、後縦靭帯骨化症患者には糖尿病や肥満、脂質異常などの代謝異常を合併する例が多いのも特徴です。(文献6) 糖尿病や肥満・過体重のある人では後縦靭帯骨化症の発症や進行リスクが高いことが示されています。(文献7) さらに代謝異常(糖・脂質代謝異常、内臓脂肪蓄積など)が靭帯の異所性骨化に強く関連する可能性も報告されています。(文献8) 複数の要因が絡み合って発症する疾患である 後縦靭帯骨化症は、遺伝的要因(疾患感受性遺伝子多型)と環境要因(糖尿病・肥満・機械的ストレス)が相互作用する多因子疾患です。 単一遺伝子病ではなく、複数のSNPと生活習慣の複合が発症閾値を超えることで骨化が誘発されます。全ゲノム解析(GWAS)では遺伝的寄与率53%が示され、残りは環境因子とのエピジェネティックな相互作用とされています。(文献5) 遺伝素因保有者に代謝異常が加わると炎症性サイトカインを介して骨化が促進されますが、家族内発生率は30%であり環境因子との相互作用が必要です。(文献9) 後縦靭帯骨化症を放置するリスク 放置するリスク 詳細 しびれや動作の障害が進むことがある 手足のしびれの悪化、細かい作業の困難、物を落としやすくなる動作障害 歩行が不安定になり転倒の危険が高まる 足のもつれやふらつき、段差や階段での転倒リスクの増加 排尿・排便のトラブルが生じることがある(重度の場合) 尿が出にくい、失禁しやすい、便秘や排便困難などの排泄障害 後縦靭帯骨化症は進行性の疾患であり、初期の軽い症状を放置すると重大な機能障害につながる恐れがあります。 初期には手足のしびれや動作のしにくさから始まり、進行すると歩行が不安定になり転倒しやすくなるため、注意が必要です。 さらに重症化すると脊髄への圧迫が強まり排尿・排便のコントロールが困難になります。 しびれや動作の障害が進むことがある 後縦靭帯骨化症を放置すると、骨化が徐々に拡大し脊髄への圧迫が進行します。慢性的な圧迫により脊髄虚血や神経変性が生じ、手足のしびれの範囲が広がり、歩行や細かい動作の障害が徐々に悪化します。 とくに注意すべきは、軽度の転倒でも骨化部の微小移動や脊髄外傷が発生し、急性麻痺(しびれの急増・四肢機能低下)が誘発されることです。この場合、回復率は50%未満とされています。(文献1) 長期間の脊髄圧迫は神経の回復力を低下させ、筋萎縮や関節拘縮を伴い、手術が遅れると、術後であっても神経障害の改善が難しく、後遺症が出る可能性があります。(文献10) 歩行が不安定になり転倒の危険が高まる 後縦靭帯骨化症では、骨化した靭帯による脊髄圧迫により運動神経と感覚神経の働きが妨げられます。 これにより下肢の筋力低下、感覚の鈍化、反射の異常が生じ、歩行に必要な神経の連携が乱れます。 バランス保持が不安定になると、階段、段差、滑りやすい床などで転倒しやすくなるため注意が必要です。 後縦靭帯骨化症の患者では、歩行障害やバランス感覚の低下、転びやすさを訴えるケースが報告されています。 症状は進行性であり、軽度の転倒でも急激な症状悪化を招く恐れがあるため、早期の対応と転倒予防が重要です。 排尿・排便のトラブルが生じることがある(重度の場合) 区分 詳細 脊髄・神経根の圧迫 脊柱管の狭窄による脊髄・神経根の圧迫、膀胱・直腸を支配する自律神経への影響 進行による障害範囲の拡大 骨化の進行による圧迫範囲の増加、手足の症状から排泄機能障害への進展 排泄制御の神経障害 神経因性膀胱・神経因性腸による排尿困難、頻尿、残尿感、失禁、便秘 軽微な外力による急変 軽い転倒や姿勢変化による神経圧迫の急増、排泄障害の急発症 リスクが高い状況 頸椎・胸椎・腰椎など複数部位に骨化が存在する場合の排泄障害発生リスク 後縦靭帯骨化症では、骨化による脊髄や神経根の圧迫により排尿・排便を制御する自律神経が障害されます。 初期はしびれのみですが、進行すると排尿困難、頻尿、残尿感、便秘、失禁などが現れるのが特徴です。 実際、後縦靭帯骨化症の重症例では膀胱直腸障害を含む報告が多く、尿意がわかりにくい、尿や便が出にくい、失禁が起こるなどの症状がみられます。(文献11) 軽い転倒や姿勢変化で急に悪化する場合もあるため、早期の受診と生活上の工夫が欠かせません。 後縦靭帯骨化症の治療法 治療法 詳細 保存療法(薬物療法・装具療法・生活調整) 痛みやしびれの緩和、装具による姿勢補助、生活活動の調整による症状悪化予防 リハビリテーション(身体機能の維持・悪化予防) 筋力維持、柔軟性改善、転倒予防のための運動療法、日常動作の指導 手術療法 脊髄や神経の圧迫を解除し、症状進行を抑える外科的治療 再生医療 損傷した神経機能の回復を目指す新しい治療戦略、研究段階の医療技術 後縦靭帯骨化症の治療は、症状の進行や生活への影響に応じて保存療法、リハビリテーション、手術療法を組み合わせて行います。 保存療法やリハビリは痛みや機能低下の進行抑制を目的とし、手術は脊髄圧迫を解除して症状の悪化を防ぎます。 また、再生医療は神経機能の回復を目指す新しい治療として注目されていますが、実施している医療機関も限られるため、実施の有無を確認し医師への相談が必要です。 保存療法(薬物療法・装具療法・生活調整) 治療法 詳細 薬物療法 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や筋弛緩薬による炎症と筋緊張の抑制、神経根痛やしびれの軽減、急性増悪時の第一選択 装具療法 頸椎カラーで首の動きを制限し、後屈動作による脊髄への動的圧迫を防ぐための固定 生活調整・リハビリ 首の反らし動作や重労働の回避、リハビリで筋力を維持し、転倒予防と日常生活動作の維持を図る取り組み 軽度から中等度の症状には保存療法を選択します。症状の緩和と進行の抑制を目的とし、骨化そのものを元に戻すことはできません。 保存療法は現状維持と進行抑制が目的のため、定期的な画像検査と神経所見のチェックが不可欠です。症状が進行する場合は、適切なタイミングで手術療法への移行を検討します。 リハビリテーション(身体機能の維持・悪化予防) 区分 詳細 リハビリの目的 筋力低下や関節硬直の予防、血流改善、バランス向上による転倒予防と日常生活動作の維持 筋力強化訓練の理由 体幹や下肢の筋力向上による姿勢安定、骨化部位への負担分散、歩行安定と筋萎縮予防 ストレッチ・可動域訓練の理由 筋緊張の緩和、関節可動域の維持、神経圧迫の軽減、動作の滑らかさの改善 歩行・バランス訓練の理由 協調性の向上、ふらつき改善、杖や動作指導による適切な歩行の獲得 リハビリの注意点 骨化を元に戻す治療ではないこと、無理な動作で悪化する可能性、医師の指導のもと実施する必要性 (文献12) リハビリテーションは症状の安定と日常生活の維持に重要な役割を果たします。 筋力訓練で姿勢や歩行を安定させ、ストレッチで筋肉のこわばりを軽減し、さらに歩行やバランス練習でふらつきや転倒を防ぐことで生活の自立に役立ちます。 ただし、リハビリは骨化を戻す治療ではなく、悪化しにくい身体づくりを目的とするため、無理な動作は避け、医師や理学療法士の指導のもとで行うことが大切です。 手術療法 区分 詳細 手術療法 骨化による脊柱管狭窄を解除し、神経圧迫を除去・緩和する治療 前方除圧固定術 骨化した靭帯を直接切除し、椎体固定によって圧迫を確実に解除する方法 後方椎弓形成術 椎弓を開いて脊髄を後方へ移動させ、前方からの圧迫を避ける方法 適応判断 筋力低下や歩行障害、排尿障害が出現した場合や画像検査で脊髄障害を認める場合の治療選択 神経症状が進行した場合や保存療法で改善しない場合に手術療法を検討します。手術は骨化による脊髄圧迫を取り除き、神経障害の進行を抑えることが目的です。 前方除圧固定術は骨化部を直接取り除く方法で、強い圧迫がある場合に有効です。後方椎弓形成術は脊髄を後方へ移動させて圧迫を回避する方法で、多椎体に適しています。 症状悪化の早期段階で適切なタイミングで手術を行うことが、生活機能の維持と後遺症の予防につながります。 後縦靭帯骨化症の手術成功率について 後縦靭帯骨化症の手術成績については、複数の報告があります。 ある報告では、手術後の成績評価で良好な結果が約89%、中等度が約11%でした。(文献13) 別の長期追跡研究では、手術後14年にわたる経過観察で満足できる結果が得られています。(文献14) 前向き研究では、手術から2年後の機能改善と生活の質(QOL)において、他の頸椎疾患と比べても遜色ない成績が示されています。(文献15) 一方、長期フォローでは術後1年時点で約70%だった有効性が、10年以上後には約50%に低下しました。(文献16) 手術は症状改善と悪化予防の有力な手段ですが、医師と慎重に相談して判断することが大切です。 再生医療 再生医療は神経修復と組織再生を促進し、残存症状の改善を目指す治療として注目されています。 幹細胞治療では、患者自身の脂肪由来幹細胞を用いて神経細胞の再生、血管新生、抗炎症作用を促します。 再生医療は、将来的に骨化抑制や脊髄修復を目的とした根本治療への発展が期待されています。 後縦靭帯骨化症に対する再生医療を用いた治療例は以下の記事をご覧ください。 後縦靭帯骨化症における日常で気を付けるべきこと 日常で気を付けるべきこと 詳細 首や腰への負担を減らす工夫 首を反らす動作や重い荷物の持ち運びを避け、正しい姿勢やクッション性のある椅子で負担軽減 転倒予防と生活環境づくり 段差や滑りやすい場所の対策、明るい照明や手すり設置による転倒防止 身体機能の維持と症状の自己管理 軽い運動やストレッチによる筋力維持、症状変化の観察と早期受診 後縦靭帯骨化症を悪化させないためには、日常生活の工夫が欠かせません。首や腰に負担をかけない姿勢や動作を心がけることで、神経への圧迫を増やさない効果が期待できます。 また、ふらつきや転倒が起こりやすいため、住環境の整備や適切な対策が必要です。 さらに、適度な運動やストレッチで筋力や柔軟性を保つことが、歩行や姿勢の安定に役立ちます。症状が変化した際には自己判断せず、早期に医療機関を受診しましょう。 首や腰への負担を減らす工夫 後縦靭帯骨化症では、骨化した靭帯が脊髄を圧迫しているため、首や腰への過度な負荷が症状悪化や急性麻痺につながる可能性があります。 首を後ろに反らす、急にひねる動作は脊髄への圧迫を強め、しびれや歩行障害を悪化させます。そのため、枕の調整やスマートフォンの位置を工夫し、自然な姿勢を保つことが大切です。 重い荷物の持ち上げや長時間同じ姿勢でいることは、筋緊張や椎間内圧の上昇を招き、神経圧迫を持続させます。負担を軽減させるためにも適宜休憩やストレッチを行いましょう。 また、ふらつきや転倒は、軽微な外傷でも骨化部の変位や脊髄損傷を引き起こすリスクがあります。ふらつきや転倒事故を防ぐため、手すりの設置や段差の解消など、住環境の整備も大切です。 転倒予防と生活環境づくり 軽微な転倒でも骨化部の変位や脊髄損傷を引き起こし、急性麻痺や歩行不能に至る恐れがあるため、転倒予防と環境整備が欠かせません。 歩行補助具として、杖やシルバーカー、滑り止め靴を活用することでバランスを支え、転倒頻度を低減できます。医師の指導のもと、適切なサイズを選択しましょう。 住宅環境では、手すりの設置、段差のスロープ化、滑り止めマット、足元灯の配置により転倒リスクを最小化します。とくに転倒事故が起きやすい浴室、階段、廊下での対策は怠らないように注意が必要です。 身体機能の維持と症状の自己管理 後縦靭帯骨化症による筋萎縮や関節硬直、血流低下の進行を防ぐためにも日常的な運動と症状のモニタリングが不可欠です。適切な自己管理により身体機能を維持し、悪化の早期発見が可能になります。 定期的なストレッチと運動習慣として、首・肩・背筋のゆっくりしたストレッチや軽いウォーキング、水泳が有効です。 筋緊張の緩和と血流促進により、しびれの軽減と可動域の確保が図れます。長時間同じ姿勢を避け、適宜休憩を挟むことが重要です。 また、睡眠と栄養バランスも欠かせません。適切な枕の使用、飲酒を控えつつ野菜や魚中心の食事により炎症を抑制し、骨代謝を正常化します。 後縦靭帯骨化症のお悩みは当院へご相談ください 後縦靭帯骨化症の進行を抑えるためには、早期発見と適切な管理が大切です。症状や生活への影響には個人差があるため、医療機関で正しい評価を受け、治療方針を決定する必要があります。 後縦靭帯骨化症の症状でお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、後縦靭帯骨化症の治療において、有効な選択肢のひとつとして再生医療を提案しています。 再生医療は幹細胞を用いた治療のひとつです。後縦靭帯骨化症における神経損傷を回復させるための効果が期待されています。再生医療は手術を必要としないため、感染症や後遺症のリスクが少ない利点があります。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 後縦靭帯骨化症に関するよくある質問 後縦靭帯骨化症と寿命は関係ありますか? 後縦靭帯骨化症は寿命を直接縮める疾患ではありません。また、生命予後が大きく短くなる根拠は乏しいとされています。 しかし、重症化して歩行障害や排尿・排便障害から寝たきりになると、肺炎や尿路感染症などを起こし健康寿命が低下する可能性があるため、適切な治療と予防が欠かせません。 後縦靭帯骨化症で死亡するケースはありますか? 後縦靭帯骨化症が直接の死因となることは極めてまれです。 しかし、重症化して四肢麻痺や寝たきりになると、肺炎や尿路感染症、褥瘡などの合併症により死亡に至ることがあります。(文献17) 転倒や手術合併症が急性悪化の要因となるため、早期治療と予防管理が重要です。 後縦靭帯骨化症が治った事例はありますか? 後縦靭帯骨化症が「治った」という報告はなく、骨化が元に戻る完治は現時点で期待できません。 後縦靭帯骨化症は靭帯が骨化する構造変化を伴い、現在の医療では骨化した靭帯を元の柔らかい組織に戻す方法は確立されていません。 手術や保存療法、リハビリで神経圧迫を改善し症状を和らげることは可能です。しかし、骨化そのものが消失したり正常靭帯に戻ったとする医学的報告は確認されていません。 後縦靭帯骨化症でやってはいけないことはありますか? 首の後屈、急激な動作、飲酒後の転倒、無資格マッサージは脊髄圧迫の増大や急性麻痺を引き起こすため避けるべきです。 他にも以下の行動や医学的根拠のない治療法にも注意が必要です。 注意すべき行動 理由 首後屈・急ひねり動作 骨化部が脊髄に当たり、四肢麻痺や歩行不能を招くリスク 高枕・背中反らしストレッチ 首が大きく反り、神経圧迫が悪化するリスク 飲酒後の階段・夜間歩行 協調障害や視認性低下で転倒し、脊髄外傷を起こすリスク 泥酔・単独行動 転倒時の対応が遅れ、重症化の危険 無資格マッサージ・強い矯正 首の強い矯正で脊髄損傷を誘発する危険 はり・灸など代替療法 症状が悪化する可能性があり、十分な医学的根拠が乏しいものも含まれる 医師や理学療法士以外の運動指導 不適切な運動による悪化リスク (文献1) これらの行動は避けるようにし、迷った際は自己判断せず必ず医師に相談しましょう。 後縦靭帯骨化症の家族ができるサポートや注意すべきことはありますか? 家族は転倒予防のために歩行介助や環境整備を行い、服薬管理や通院同行で治療継続を支えることが重要です。 段差解消や手すり設置により適切な生活環境を整え、精神的なサポートも欠かせません。 また、遺伝性の可能性も報告されている疾患であることから、家族も定期的な健康診断を受けることが推奨されます。 後縦靭帯骨化症を発症した有名人はいますか? 後縦靭帯骨化症を発症したことが、メディアで取り上げられている有名人として、以下の方々が挙げられます。 北方大地(格闘家) ISSOP(ダンサー) 加藤大晴(元力士) Suwa(元プロレスラー) 後縦靭帯骨化症は、選手生命を脅かす指定難病です。しかし、症状や治療に直面しながらも、引退後に活躍を続けている方もいます。 参考文献 (文献1) 後縦靱帯骨化症(OPLL)(指定難病69)|難病情報センター (文献2) 後縦靭帯骨化症の原因|公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット (文献3) 歩行や排せつに障害が出ることも「後縦靭帯骨化症」|一般社団法人 千葉市医師会 (文献4) 後縦靭帯骨化症の症状|公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット (文献5) 脊柱後縦靭帯骨化症の発症原因の一端を解明 -日本人を対象とした世界最大規模のゲノム解析-(共同プレスリリース)|静岡県公立大学法人 静岡県立大学 (文献6) I区.研究成果の刊行物・別刷 (文献7) Cervical Ossification of the Posterior Longitudinal Ligament: A Computed Tomography–Based Epidemiological Study of 2917 Patients|Sage Journals Home (文献8) The relationship between OPLL and metabolic disorders|Bone Research (文献9) 頚椎後縦靱帯骨化症になぜなるのか?どういった症状が出るのか?(成因・病理・病態) (文献10) Prognostic factors for surgical outcome in spinal cord injury associated with ossification of the posterior longitudinal ligament (OPLL)|PMC PubMed Central® (文献11) 病気を知る後縦靭帯骨化症(OPLL)|KOMPAS (文献12) 後縦靭帯骨化症のケア|公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット (文献13) Surgical outcome in patients with cervical ossified posterior longitudinal ligament: A single institutional experience|PMC PubMed Centra® (文献14) Surgical outcome in patients with cervical ossified posterior longitudinal ligament: A single institutional experience|ORIGINAL ARTICLE (文献15) Comparison of Outcomes of Surgical Treatment for Ossification of the Posterior Longitudinal Ligament Versus Other Forms of Degenerative Cervical Myelopathy: Results from the Prospective, Multicenter AOSpine CSM-International Study of 479 Patients|PubMed® (文献16) isho.jp 医学専門雑誌・書籍の電子配信サービス|特集 脊椎外科最近の進歩―長期予後からみた問題点を中心として―(第28回日本脊椎外科学会より) (文献17) No.171 「後縦靱帯骨化症除去前方除圧術により患者に重篤な後遺障害が発生。手術の除圧幅について、ガイドラインの内容に照らして不適切であると判断し、市立病院の医師の過失を認めて市に損害賠償を命じた地裁判決」|Medsafe.Net 医療安全推進者ネットワーク
2026.01.26 -
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「化膿性脊椎炎の投与期間はどれくらいか」 「化膿性脊椎炎の治療において、どんな薬が使われるのか」 化膿性脊椎炎の治療では、原因菌や全身状態に応じて抗生剤(抗菌薬)を選択し、一定期間、点滴または内服を継続します。 治療期間は数週間から数カ月に及ぶこともあり、副作用や再発への不安を抱くのは自然な反応です。重要なのは自己判断せず、医師と相談しながら適切に治療を続けることです。 本記事では、現役医師が化膿性脊椎炎に用いられる抗生剤の種類と投与期間を詳しく解説します。最後には、化膿性脊椎炎の抗生剤に関するよくある質問をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 化膿性脊椎炎について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 化膿性脊椎炎における抗生剤の役割 役割 詳細 抗生剤で原因菌を抑えて症状を改善する 細菌感染による炎症の抑制、発熱や背部の違和感の軽減、原因菌に合わせた効果的な治療 外科治療の前後でも重要な役割を果たす 手術前の感染制御、術後の再感染予防、外科治療と併用した長期的な改善 再発防止のため長期的に投与される 数週間から数カ月にわたる投与継続、治療効果の安定化、再発防止に向けた継続的管理 化膿性脊椎炎の治療において抗生剤は中心的な役割を担います。原因菌を抑制し炎症や発熱、背部の違和感を改善するだけでなく、手術前後の感染制御や再感染予防にも欠かせません。 また、再発防止のため数週間から数カ月にわたり継続投与されることも多く、病状の安定化と長期的な治療効果の確立に重要な位置を占めています。 抗生剤で原因菌を抑えて症状を改善する 理由 詳細 感染源となる細菌の排除 背骨に入り込んだ細菌の直接攻撃、体内からの排除、病気進行の抑制 炎症を鎮めて症状改善に直結する 細菌減少による炎症反応の軽減、発熱やだるさの軽快、背部や腰の不快感の改善 合併症を防ぐ 膿瘍形成や骨破壊の抑制、神経圧迫の予防、しびれや麻痺の回避 再発を防止する 抗生剤の十分な継続使用、残存菌の確実な制御、再発リスクの低減 化膿性脊椎炎は、細菌感染によって椎体や椎間板に炎症が生じる疾患です。初期治療では強力な抗生剤を投与し、原因菌を早期に抑制することで、脊椎の破壊や神経圧迫といった病変の進行を防ぎます。 抗生剤投与により発熱や背部痛の改善が期待でき、培養検査で原因菌を特定して適切な薬剤を選択することが治療効果の向上に直結します。治療開始が早いほど骨や椎体の破壊を抑え、神経障害の予防にもつながるため、迅速かつ適切な対応が重要です。 外科治療の前後でも重要な役割を果たす 化膿性脊椎炎では、神経圧迫や脊椎の不安定性が進行すると外科的治療が必要になります。膿瘍除去や脊椎固定の手術では、抗生剤が手術前後で重要な役割を果たします。 手術前には感染を抑えて細菌の拡散を防ぎ、手術後には再感染や膿瘍の残存を防いで創傷治癒を促進するために、外科医、整形外科医、感染症医が連携して治療にあたることが不可欠です。 再発防止のため長期的に投与される 化膿性脊椎炎は血流が乏しい骨や椎間板に感染が生じるため、原因菌の根絶には長期間の抗生剤投与が必要です。 多くの症例では少なくとも6週間以上の投与が推奨され、症状や原因菌、合併症の有無によっては8週間以上に及ぶこともあります。(文献1) 抗生剤の長期投与は症状を抑えるためではなく、再発を防ぎ根本的な治癒を目指すために不可欠です。治療中は副作用や効果を確認するために定期的に血液検査や画像検査を行い、医師が投与期間を慎重に判断します。 以下の記事では、化膿性脊椎炎において再発リスクを下げる方法を詳しく解説しています。 化膿性脊椎炎における抗生剤の投与期間 状況 投与期間の目安 詳細 基本的な治療 6週間以上 ガイドラインで標準とされる期間、炎症反応や症状の改善に応じた判断 高リスクの場合 8週間以上 MRSA感染、椎体周囲膿瘍、腸腰筋膿瘍など再発リスクが高い場合 手術後 4〜6週間 膿瘍や壊死組織を除去し、炎症反応が速やかに改善した場合 研究の示唆 4〜8週間 状態や治療反応により経口治療でも効果がある可能性 (文献1)(文献2)(文献3) 化膿性脊椎炎における抗生剤の投与期間は、重症度や原因菌、治療への反応によって異なります。 一般的には4〜6週間の静脈内投与が行われ、その後は経口抗生剤に切り替えて数カ月から半年程度継続するのが標準的です。(文献1) ただし、治療期間はあくまで目安であり、炎症反応(CRPや発熱)、症状の改善度、画像所見、菌種、手術の有無などを総合的に判断し、主治医と相談の上で個別に調整されます。 化膿性脊椎炎に用いられる抗生剤の種類 種類 詳細 セフェム系抗菌薬(第3世代・第4世代) 広範囲に効く抗菌作用、耐性菌にも対応可能、点滴投与で用いられる薬剤 ペニシリン系抗菌薬 感受性のある菌への有効性、長年使用されてきた基本薬剤、効果が確認された症例での選択 カルバペネム系抗菌薬 多剤耐性菌への有効性、重症例での使用、効果が乏しい場合の切り替え薬 グリコペプチド系抗菌薬 MRSAなど耐性菌への適応、点滴中心の治療、再発や重症例での使用 その他の抗菌薬 ニューキノロン系やリネゾリドなど、副作用や耐性を考慮した選択、症例に合わせた投与 化膿性脊椎炎の治療では、原因菌や病状の重症度に応じて抗生剤を選択します。一般的には第3・第4世代セフェム系が広く用いられ、ペニシリン系は感受性が確認された菌に有効です。 多剤耐性菌にはカルバペネム系やグリコペプチド系が用いられます。とくにMRSA感染にはグリコペプチド系が有効です。さらに、ニューキノロン系やリネゾリドなども症例に応じて使用が検討され、副作用や耐性リスクを考慮した適切な薬剤選択が必要です。 セフェム系抗菌薬(第3世代・第4世代) 区分 詳細 効果の特徴 グラム陽性菌、グラム陰性菌双方への効果、骨や椎間板感染菌への有効性、市中感染例で初期経験的治療の選択肢となることが多い、第4世代による耐性菌や重症例への対応 セフトリアキソン(第3世代) グラム陰性菌への高い効果、脳脊髄液への良好な移行性、髄膜炎合併例での使用 セフォタキシム(第3世代) ブドウ球菌や腸内細菌への幅広い効果、骨感染症に用いられる セフェピム(第4世代) より広域な抗菌作用、耐性菌や合併症を伴う重症例での使用 (文献4) セフェム系抗菌薬(第3・第4世代)は、化膿性脊椎炎の治療における標準的な薬剤であり、幅広い細菌に有効です。 市中感染型では第3世代がよく用いられ、重症例や耐性菌が疑われる場合には第4世代が選択されます。多くは静脈内投与が可能で、薬剤を速やかに体内へ届けることで炎症の抑制と症状の早期改善を目指します。 ペニシリン系抗菌薬 項目 内容 効果の特徴 ブドウ球菌や腸内細菌への有効性、分解酵素への対応のため配合剤として使用、骨や関節感染症での重要な選択肢 アンピシリン・スルバクタム 黄色ブドウ球菌や腸内細菌への効果、アンピシリンに阻害薬を加えた配合剤 ピペラシリン・タゾバクタム 広域な抗菌作用、緑膿菌などへの効果、重症例や原因菌不明時の使用 (文献5)(文献6) ペニシリン系抗菌薬は幅広い細菌に有効であり、化膿性脊椎炎においても重要な治療選択肢です。とくにメチシリン感受性黄色ブドウ球菌(MSSA)が原因の場合に有効性が高く、第一選択薬として用いられることがあります。 ただし、細菌が薬剤を分解する酵素(βラクタマーゼ)を産生する場合があるため、アンピシリン・スルバクタムやピペラシリン・タゾバクタムといった阻害薬配合剤が使用され、重症例や原因菌が特定できない場合にも適応されます。 カルバペネム系抗菌薬 項目 内容 効果の特徴 グラム陽性菌から陰性菌まで幅広い効果、耐性菌や重症例での使用、他の抗菌薬で効果が不十分な場合の選択肢 メロペネム 中枢神経系への移行性、髄膜炎を合併した場合での使用 イミペネム 幅広い細菌への有効性、重症感染症の初期治療での使用 (文献7)(文献8) カルバペネム系抗菌薬は、グラム陽性菌から陰性菌まで幅広くカバーする薬剤です。耐性菌が疑われる場合や重症例、原因菌が特定できない状況で使用されることが多く、他の抗生剤(抗菌薬)で十分な効果が得られない際に選択されます。(文献9) 代表的な薬剤にはメロペネムやイミペネムがあり、化膿性脊椎炎ではとくに重症例で迅速な感染制御を目的に用いられます。 グリコペプチド系抗菌薬 項目 内容 効果の特徴 MRSA感染で必須の薬剤、通常の抗菌薬が効かない耐性菌にも有効、骨や椎間板の感染に強力な効果、腎機能への影響があるため血中濃度の確認が必要 バンコマイシン MRSA感染症の第一選択薬、最も広く使用される薬剤 テイコプラニン MRSAに有効、副作用が比較的少なく長期投与に適応 (文献10) グリコペプチド系抗菌薬は、ペニシリン系やセフェム系が効かないMRSAなどの耐性菌に有効で、化膿性脊椎炎の治療に不可欠な薬剤です。代表的なバンコマイシンはMRSA感染症の第一選択薬であり、テイコプラニンは副作用が比較的少なく長期投与にも適しています。 いずれも点滴により一定期間投与され、再発や重症化を防ぐために用いられますが、腎機能への影響があるため血中濃度を測定しながら慎重に管理されます。 その他の抗菌薬 項目 内容 効果の特徴 点滴治療から内服薬への切り替えで使用、ニューキノロン系は症状安定後の外来治療に適応、リネゾリドは通常薬が効かない耐性菌への選択肢 ニューキノロン系(レボフロキサシン、シプロフロキサシン) 経口投与が可能、点滴からの切り替えや外来での継続治療に使用 リネゾリド バンコマイシンが効かない耐性菌に有効、特殊な症例で厳格な管理下で使用 化膿性脊椎炎の治療では、症状の安定後に点滴から経口薬へ切り替える際にニューキノロン系抗菌薬が選択されることがあります。 通常の抗生剤が効かない特殊な耐性菌にはリネゾリドが用いられ、限られた場面での使用にとどまりますが、治療の継続や耐性菌への対応において重要な役割を担います。 化膿性脊椎炎の抗生剤治療に伴う注意点 注意点 詳細 副作用への注意 腎機能障害や肝機能障害の発生、皮疹やかゆみなどのアレルギー反応、下痢や吐き気などの消化器症状 抗生剤の投与管理と治療効果の確認 血液検査による炎症反応の評価、画像検査による感染部位の改善確認、効果不十分時の薬剤変更 合併症や基礎疾患への対応 糖尿病や腎疾患のコントロール、免疫低下状態への配慮、全身管理による治療効果の安定化 安静と生活上の工夫 ベッド上での安静保持、コルセットや装具の使用、日常生活習慣の調整による再発予防 化膿性脊椎炎の治療では、抗生剤の効果を十分に引き出すための注意点として、腎機能障害や消化器症状、アレルギー反応といった副作用が生じる可能性があるため、定期的に血液検査や画像検査を行い、治療効果と副作用の有無を確認します。 また、糖尿病や腎疾患などの基礎疾患を適切に管理することも重要です。安静の保持や装具の使用、生活習慣の工夫によって再発を予防し、全身状態を整えながら治療を継続します。 副作用への注意 副作用 詳細 消化器症状 腸内細菌のバランス変化、下痢や軟便の出現、吐き気の発生、整腸剤併用や薬剤変更での対応 皮膚症状 発疹やかゆみの出現、全身への発疹拡大、呼吸困難を伴う緊急症状、早期受診の必要性 腎機能や肝機能への影響 腎臓や肝臓への負担、長期投与時のリスク増加、定期的な血液検査でのチェック 血液への影響 白血球や血小板の減少、倦怠感の出現、出血傾向の発生、早期の医師相談の必要性 (文献11) 抗生剤の使用では、下痢や吐き気などの消化器症状、発疹やかゆみといった皮膚症状、腎機能や肝機能への負担が生じることがあります。まれに白血球や血小板の減少による倦怠感や出血傾向など血液への影響も報告されています。 とくに長期使用では薬剤性腸炎や骨髄抑制など副作用のリスクが高まるため、定期的な血液検査での確認と症状出現時の速やかな医師相談が重要です。 抗生剤の投与管理と治療効果の確認 化膿性脊椎炎の治療では、抗生剤を点滴で少なくとも4〜6週間以上投与することが一般的であり、症状や炎症の程度によってはさらに長期間の投与が必要となる場合があります。 治療効果は、CRP(C反応性蛋白)や白血球数などの血液検査で炎症の改善を確認し、MRIやCTによる画像検査で膿や炎症の広がりを評価することで判断されます。 さらに、発熱や倦怠感、背部の不快感といった自覚症状の変化も重要な指標です。患者が経過を適切に伝えることが治療成績の向上につながります。 合併症や基礎疾患への対応 化膿性脊椎炎の治療においては、抗生剤投与に加えて基礎疾患の適切な管理が不可欠です。糖尿病や腎疾患、心疾患を有する患者は感染が進行しやすく、治療効果を高めるためには全身状態の安定化が重要となります。 また、しびれや麻痺、強い倦怠感は合併症の兆候であり、速やかな検査と必要に応じた追加治療が求められます。さらに、MRSAなどの耐性菌や高リスク患者では、抗生剤のみで十分な効果が得られないことがあり、外科的治療が必要となる場合があります。 安静と生活上の工夫 化膿性脊椎炎の治療では、抗生剤に加えて安静と生活管理が重要です。急性期はベッド上安静で背骨への負担を避け、必要に応じてコルセットなどの装具で安定化を図ります。 炎症が落ち着いた回復期には、医師や理学療法士の指導のもとで無理のない範囲から動作を再開します。また、十分な睡眠、栄養、水分補給に加え、糖尿病や高血圧など基礎疾患の管理も再発予防に欠かせません。これらを組み合わせることで治療効果を高めることができます。 化膿性脊椎炎における抗菌薬と併用される治療法 治療法 詳細 保存療法(安静・装具) 炎症拡大を防ぐ安静保持、脊椎を支える装具使用、感染部位への負担軽減 リハビリテーション 筋力低下予防、関節可動域維持、歩行機能回復訓練 基礎疾患管理 糖尿病コントロール、腎機能管理、免疫力低下への対応 手術療法 感染組織の除去、神経圧迫の解除、脊椎安定性の確保 化膿性脊椎炎の治療では、抗生剤(抗菌薬)に加えて多面的なアプローチが行われます。急性期は安静保持や装具使用で脊椎への負担を減らし、炎症の拡大を防ぎます。 回復期にはリハビリで筋力や関節機能を保ち、歩行を回復させ、糖尿病や腎疾患などの基礎疾患を管理することが感染制御において重要です。重症例では手術で感染組織の除去や神経圧迫の解除、脊椎の安定化を行い、治療効果を最大化します。 以下の記事では、化膿性脊椎炎の完治期間や治療期間の目安を詳しく解説しています。 保存療法(安静・装具) 項目 内容 背骨への負担を減らす 安静保持による余分な負荷の回避、炎症悪化の防止 感染部位の安定化 コルセットなどの装具による固定、抗菌薬治療の効果向上、治癒促進 痛みや不快感の軽減 動作に伴う痛みや神経刺激の軽減、生活上の負担の緩和 外科治療を避ける可能性 感染部位の安定による手術回避の可能性、抗生剤との併用効果 (文献12) 化膿性脊椎炎の急性期には、脊椎への負担を軽減し炎症の悪化を防ぐために安静保持と装具の使用が重要です。コルセットなどで脊椎を固定することで感染部位が安定し、抗生剤の効果を高めて治癒を促します。 また、痛みや神経刺激を和らげて日常生活での負担を軽減し、保存療法を継続することで外科治療を回避できる場合があり、抗生剤の併用によって治療効果が高まります。 リハビリテーション 化膿性脊椎炎の治療では長期安静が必要となるため、筋力低下や関節の硬さ、体力の衰えが生じやすくなります。リハビリテーションを行うことで筋力や柔軟性を維持し、神経への負担を軽減しながら身体の機能回復を図ります。 歩行練習や日常動作訓練で生活機能を回復することは社会復帰や再発予防につながり、抗生剤治療と並行したリハビリは治療効果を高め、生活の質を維持するために欠かせません。 以下の記事では、化膿性脊椎炎のリハビリにおける禁忌を詳しく解説しています。 基礎疾患管理 化膿性脊椎炎の治療では、糖尿病や腎疾患、心疾患など基礎疾患の管理が重要です。基礎疾患があると抵抗力が低下し、感染が治りにくくなるため、適切にコントロールすることで抗生剤の効果を高められます。 とくに糖尿病では血糖管理が不十分だと再発や重症化のリスクが高まります。また、腎機能や肝機能に応じた投与調整にも基礎疾患管理が不可欠です。全身状態を整えることで治療の成功と生活の質の向上につながります。 手術療法 項目 内容 抗生剤だけでは改善が難しい場合 膿瘍が大きい場合、骨破壊が進行している場合、神経圧迫がある場合 膿の除去と感染源のコントロール 膿瘍や壊死組織の除去、抗菌薬効果の向上 神経の圧迫解除 しびれや麻痺の進行防止、神経症状の改善 脊椎の安定化 金属プレートやスクリューによる固定、日常生活の回復、再発予防 手術療法は、抗生剤のみで十分な改善が得られない場合に検討されます。大きな膿瘍や椎体の破壊による不安定性、神経圧迫に伴うしびれ、麻痺の進行が主な適応です。 膿瘍や壊死組織を除去し、感染源をコントロールするとともに、金属プレートやスクリューで脊椎を固定し安定性を回復することが期待できます。抗生剤と併用することで感染制御と再発予防が図られ、日常生活の質の向上につながります。 抗生剤で改善しない化膿性脊椎炎は医療機関を受診しよう 抗生剤による治療を開始しても、発熱や炎症反応(CRPなど)が改善しない、背部痛が強まる、しびれや麻痺といった神経症状が出現する場合があります。 さらに、画像検査で膿瘍の拡大や椎体の不安定性が確認されることもあり、これらは治療が十分に効果を示していない、あるいは病状が進行している可能性を示唆します。 このような場合には、医師に速やかに相談し、必要に応じて脊椎専門医や感染症医による再評価を受けることが重要です。追加の検査や手術が必要となることもあり、早期の対応が予後の改善に直結します。 抗生剤で改善しない化膿性脊椎炎でお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。化膿性脊椎炎の治療では、まず抗生剤による治療が基本となります。しかし、中には抗生剤だけでは十分に改善が得られない場合もあります。そのようなケースに対して、再生医療でアプローチできる可能性が注目されています。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 化膿性脊椎炎の抗生剤に関するよくある質問 再発を防ぐために抗生剤以外にできることはありますか? 化膿性脊椎炎の再発を防ぐには、抗生剤治療に加えて生活面での工夫が重要です。糖尿病や腎臓病などの基礎疾患を適切に管理することで感染のリスクを下げられます。 また、栄養バランスの良い食事や十分な睡眠、適度な水分補給は免疫力を高めます。さらに、医師や理学療法士の指導のもとで行うリハビリは筋力低下を防ぎ、体力回復を助けます。症状が安定しても定期的な検査や通院を続け、再発の早期発見に努めることが大切です。 化膿性脊椎炎で寝たきりになるリスクはありますか? 化膿性脊椎炎は治療が遅れると痛みや神経障害で歩行困難となり、寝たきりに至る可能性があります。 高齢者や基礎疾患を持つ方はリスクが高いですが、早期の治療とリハビリにより回復を目指せます。 以下の記事では、化膿性脊椎炎において寝たきりになるリスクを解説しています。 参考文献 (文献1) 急性化膿性脊椎炎|飯塚病院 (文献2) 化膿性椎体炎、 再発リスクに応じた最適な抗菌薬治療期間は?|HOKUTO (文献3) Optimal Duration of Antibiotic Therapy for Primary Osteomyelitis Discitis: A Systematic Review and Network Meta-Analysis|Pub Med (文献4) 抗菌薬②|初期研修医感染症レクチャー2020.7.3 (文献5) 多発性化膿性脊椎炎と脊椎硬膜外膿瘍を伴う Helicobacter cinaedi 菌血症の1例|日病総診誌 2020:16(4) (文献6) 腹膜炎で発症した化膿性脊椎炎の1例|日救急医会誌. 2012; 23: 163-9 (文献7) 肺炎球菌性肺炎に併発し、抗菌薬を比較的早期に静脈投与から経口投与に切り替え治癒し得た化膿性脊椎炎の1例|感染症学雑誌 第92巻 第4号 (文献8) 化膿性脊椎炎から胸水貯留に至ったと考えられる1例|日呼吸会誌 47(9),2009 (文献9) 化膿性脊椎炎(Clinical Practice) NEJM, March 18, 2010 (文献10) 医学と医療の最前線 抗MRSA薬の使い方,使い分け|日本内科学会雑誌 第101巻 第 4 号・平成24年 4月10日 (文献11) 薬剤師主導のAntimicrobial stewardship が化膿性脊椎炎のアウトカムに与える効果|日本化学療法学会雑誌Vol.72 No. 1 (文献12) 化膿性脊椎炎における治療開始初期のCRP値改善率と保存的治療期間との関係について|Vol.11 No.2 2020 Journal of Spine Research
2025.12.13 -
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化膿性脊椎炎は、脊椎に細菌が感染して炎症が広がる疾患で、進行すると強い背部痛や発熱に加え、歩行障害や長期の寝たきりにつながる恐れがあります。 化膿性脊椎炎の予後を左右する最大の要点は、早期に適切な治療と管理を開始することです。治療の基本は、原因菌に対する抗菌薬投与に安静・脊椎固定・疼痛コントロールを組み合わせることです。 さらに病状に応じて段階的にリハビリを導入することで、炎症の再燃や骨破壊を防ぎ、寝たきりへの移行リスクを大幅に低減できます。 本記事では、現役医師が化膿性脊椎炎の寝たきりになるリスクを解説します。最後には、化膿性脊椎炎と寝たきりの状態に関するよくある質問をまとめていますので、ぜひ参考にしてください。 化膿性脊椎炎に対しては、再生医療も治療選択肢の一つです。 化膿性脊椎炎のお悩みを今すぐ解消したい・再生医療に興味がある方は、 当院「リペアセルクリニック」の電話相談までお問い合わせください。 化膿性脊椎炎とは 寝たきりになる要因 詳細 神経障害の進行 膿腫や骨変形による神経圧迫から生じる下肢麻痺・感覚障害 骨破壊と不安定性 椎体崩壊による背骨変形と体幹支持困難 治療遅延 炎症拡大による不可逆的障害 高齢者・免疫低下 体力低下と基礎疾患による回復力低下 廃用症候群 長期安静による筋力低下と関節拘縮 (文献1) 化膿性脊椎炎は、血液を介して細菌が背骨(椎体・椎間板)に到達し、炎症を引き起こす疾患です。主症状は背部または腰部の激しい痛みと発熱で、進行すると動作制限や神経圧迫により下肢のしびれや麻痺、排尿・排便障害を生じることがあります。 とくに高齢者、免疫機能低下者、糖尿病・慢性腎不全などの基礎疾患を持つ人に発症リスクが高いとされています。治療の基本は、原因菌に応じた抗菌薬投与で、早期診断が重要です。遅れると骨破壊や後遺症のリスクが上がります。 化膿性脊椎炎について詳しくは、以下の記事が参考になります。 化膿性脊椎炎で寝たきりになるリスク 寝たきりになるリスク 詳細 神経障害の進行リスク 膿腫や骨変形による神経圧迫と下肢麻痺・感覚障害 膿腫と骨破壊の重症化リスク 椎体崩壊や膿腫拡大による脊椎不安定性 高齢者・免疫低下者のリスク増加 体力低下や基礎疾患による回復力不足 治療遅延と廃用症候群のリスク 炎症拡大や安静長期化による筋力低下・関節拘縮 化膿性脊椎炎では、膿腫や骨破壊により神経が圧迫されると下肢麻痺や感覚障害が進行し、歩行が困難になることがあります。 さらに椎体の破壊が進めば脊椎の不安定性を招き、身体を支えられなくなる危険もあります。また、高齢者や免疫力の低い方では回復力が乏しく重症化しやすいため注意が必要です。 診断や治療の遅れは不可逆的な障害や廃用症候群につながり、寝たきりに移行する大きな要因となるため、早期の受診と治療が重要です。 神経障害の進行リスク 主な要因 詳細 膿腫や骨破壊による神経圧迫 脊髄や神経根の圧迫による機能障害 運動機能障害 麻痺や筋力低下による歩行困難 感覚障害と自律神経障害 しびれ、痛み、排尿・排便障害の出現 不可逆的な神経損傷 適切な治療が遅れた場合の回復困難 頸椎・胸椎の障害 上下肢や体幹に及ぶ広範な麻痺 免疫力低下・治療遅延 感染拡大による障害悪化 (文献2) 化膿性脊椎炎が進行すると、膿腫や炎症による圧迫で脊髄や神経根が障害され、手足のしびれや脱力、感覚障害、排尿・排便障害などの神経症状が現れます。 これらは放置すれば悪化し、歩行困難から下半身不随や四肢麻痺に至り、寝たきりとなる危険性があります。神経障害は一度進行すると回復が難しいため、早期の治療が重要です。 膿腫と骨破壊の重症化リスク 化膿性脊椎炎が進行すると、膿腫の形成や骨破壊により脊椎が変形・不安定となり、身体を支える機能が低下します。 さらに膿腫や椎体の変形による神経圧迫と支持性の低下が重なることで神経障害と体動困難が進行し、最終的には寝たきりへ直結する重大な要因となります。 高齢者・免疫低下者のリスク増加 化膿性脊椎炎は、高齢者や免疫力が低下している方(糖尿病、腎不全、ステロイド治療中など)でとくに重症化しやすい疾患です。免疫機能の低下により感染が拡大しやすく、膿腫や骨破壊が急速に進行します。 さらに抗菌薬への反応が乏しい場合、治療が長期化して寝たきり状態を余儀なくされることもあります。長期の寝たきりは廃用症候群や褥瘡の発生、呼吸器感染を招き、治療の妨げとなって病状を悪化させる要因です。 高齢者や免疫低下者は発症・重症化しやすく、寝たきりが病状をさらに進行させるため、早期診断と治療に加え体力の維持と感染予防が欠かせません。 治療遅延と廃用症候群のリスク 化膿性脊椎炎は、治療開始の遅れによって炎症や骨破壊、膿腫形成が進み、神経障害が不可逆的に悪化する危険があります。抗菌薬治療や外科的治療が遅れると寝たきりのリスクが高まり、さらに長期の寝たきりは筋力低下や関節拘縮、褥瘡、呼吸器感染などの廃用症候群を招きます。 寝たきり状態は血流低下や合併症により感染防御力を弱め、体力や免疫力をさらに低下させ、再感染の要因となるため、早期診断と迅速な治療介入が不可欠です。 寝たきりの状態における化膿性脊椎炎の治療法 治療法 詳細 保存療法 抗菌薬で感染を抑え、安静や装具で脊椎を安定させる 手術療法 膿腫除去や骨固定による神経圧迫解除と脊椎安定化 リハビリテーション 筋力維持・関節可動域確保と日常生活動作の回復訓練 再生医療 骨や神経の再生促進を目指す治療研究の活用 寝たきりとなった化膿性脊椎炎では、抗菌薬で感染を抑え、必要に応じて手術で膿腫除去や脊椎固定を行い、リハビリで筋力と関節機能を維持して廃用症候群を予防します。 近年は幹細胞などを活用した再生医療も研究が進んでおり、将来的には骨や神経の修復を目指す治療の選択肢となる可能性があります。 以下の記事では、化膿性脊椎炎の完治期間について詳しく解説しています。 保存療法 治療内容 詳細 抗菌薬による感染コントロール 点滴での長期抗菌薬投与による原因菌抑制と感染進行防止 安静と背骨の保護 動作制限による自然な安静維持と神経圧迫・骨変形の悪化予防 全身管理と合併症予防 栄養管理・体位変換・理学療法士による関節訓練で褥瘡・肺炎・血栓を予防 寝たきりとなった化膿性脊椎炎に対する治療は、抗菌薬による感染制御が基本です。脊椎を安定させるコルセットの使用や安静保持により炎症の拡大を抑え、段階的な改善を図ります。 通常、活動制限は望ましくありませんが、化膿性脊椎炎においては安静保持が必要不可欠です。栄養管理や褥瘡予防を併用すれば感染や合併症を抑えられるため、保存療法は寝たきり患者にも有効です。 本記事では、化膿性脊椎炎の保存療法で使用される抗生剤について詳しく解説します。 手術療法 治療内容 詳細 感染部位の直接除去と神経圧迫の軽減 膿腫や感染組織の掻爬による炎症源除去と神経圧迫解消 脊椎の安定化による骨破壊の進行抑制 金属スクリューやロッドによる椎体固定と背骨の安定化 早期離床を促進し廃用症候群の予防に寄与 背骨安定化による早期離床促進と全身状態の改善 治療抵抗例や重度症例への対応 保存療法無効例・重度骨破壊例・神経麻痺例への必須治療の選択肢 低侵襲手術の進歩による適応拡大 経皮的椎弓根スクリューによる高齢者・合併症患者への適応の拡大 (文献3) 寝たきりとなった化膿性脊椎炎患者に対する手術療法は、感染源の除去や神経圧迫の軽減、脊椎の安定化によって症状の進行を抑え、廃用症候群を予防する上で重要です。 保存療法で効果が得られない場合や、神経症状の進行、膿腫の増大、脊椎不安定性を認める場合に適応され、膿腫の掻爬や破壊骨の固定を行い神経機能の回復を目指します。 リハビリテーション 寝たきりとなった化膿性脊椎炎患者に対するリハビリテーションは、廃用症候群や合併症を防ぎ、回復を支える重要な治療です。長期臥床は筋萎縮や関節拘縮を招きますが、関節可動域訓練や軽い筋力訓練により機能低下を抑えられます。 感染が落ち着けば、起き上がりや座位保持、立位練習へと段階的に活動を広げ、日常生活動作の回復を目指します。さらに体位変換や呼吸訓練は褥瘡や肺炎を、下肢運動やマッサージは血栓形成を予防し、全身状態の安定にも寄与します。 以下の記事では、化膿性脊椎炎のリハビリテーションについて詳しく解説しています。 【関連記事】 化膿性脊椎炎の後遺症|手足のしびれ・痛みのリハビリと再発リスクを下げる方法 化膿性脊椎炎のリハビリ禁忌事項とは|回復期のリハビリと禁忌肢位を現役医師が解説 再生医療 寝たきりとなった化膿性脊椎炎患者に対する再生医療は、従来の治療で難しい椎体や椎間板の修復に可能性を示し、脂肪由来幹細胞や成長因子を用いた研究により、神経再生や機能回復への応用も期待されています。 骨や神経の改善が得られれば、リハビリへの移行が容易となり、廃用症候群や長期臥床による固定化の軽減に寄与する可能性があります。ただし、再生医療は取り扱いのある医療機関が限られており、すべての症例に適応できるわけではないため、医師による慎重な評価が必要です。 以下の記事では、再生医療について詳しく解説しています。 化膿性脊椎炎の再発防止策 再発防止策 詳細 治療と検査の継続 抗菌薬治療後も通院継続と血液検査・画像検査による再燃の有無の確認 基礎疾患と生活管理 糖尿病・腎疾患の適切管理と栄養・睡眠・運動による体力維持 衛生管理と感染予防 手洗い・清潔保持と点滴・透析部位の感染対策 化膿性脊椎炎の再発を防ぐには、治療終了後も定期的に通院し、血液検査や画像検査を継続したうえでの早期確認が重要です。 さらに、糖尿病や腎疾患などの基礎疾患を適切に管理し、栄養・睡眠・運動によって体力を維持することが再発予防につながります。 加えて、手洗いや口腔ケア、褥瘡や点滴・透析部位の清潔保持など日常的な衛生管理の徹底も欠かせません。 治療と検査の継続 理由 詳細 感染根絶のための十分な治療期間確保 抗菌薬の長期投与による体内の菌排除 炎症の消退および感染活動の確認 MRIや血液検査による炎症消退と再発確認 耐性菌の発現防止 不十分な投薬回避による耐性菌発生予防 症状の進行防止と機能温存 神経障害や骨破壊進行抑制による後遺症防止 医師との連携による適切な治療判断 定期通院による治療期間調整と追加治療判断 化膿性脊椎炎は症状が改善しても自己判断で治療を中断すると、炎症が再燃し再発のリスクが高まります。抗菌薬は最低6週間程度の継続が必要であり、定期的なMRIや血液検査を通じて炎症の消退や再発の有無の確認が重要です。 また、不十分な治療は耐性菌を招き、治療を困難にします。医師の指示に従って治療を継続し、必要に応じて医師の判断で手術やリハビリとの併用が再発防止と機能温存につながります。 基礎疾患と生活管理 化膿性脊椎炎の再発防止には、基礎疾患の管理と生活習慣の改善が欠かせません。糖尿病や腎不全、免疫疾患があると抵抗力が低下し再感染を起こしやすいため、血糖値や血圧を適切にコントロールすることが重要です。 さらに、たんぱく質やビタミン、ミネラルを含む栄養バランスの良い食事は骨や筋肉の修復を助け、免疫力の向上にもつながります。 また、安静が続くことで低下した体力や筋力は、医師の指導のもと軽い運動を取り入れることで回復が可能です。これらの取り組みを継続することが、化膿性脊椎炎の再発を防ぎ、長期的な健康維持に直結します。 以下の記事では、生活習慣の改善・管理について詳しく解説しています。 【関連記事】 糖尿病性腎症の人が知っておきたい食事療法と献立のコツ 脂質異常症改善のための正しい運動とお茶の選び方|生活習慣の見直しポイントを医師が解説 衛生管理と感染予防 ポイント 詳細 手洗い・うがいの徹底 日常生活での基本的感染対策による細菌感染リスク低減 風邪などの感染症管理 風邪や軽度感染症の早期受診と免疫低下予防 手術部位の清潔保持 手術創部の丁寧なケアによる細菌感染防止 免疫力を高める生活習慣 睡眠・栄養・運動・ストレス管理による抵抗力向上 医療機関での定期的な検査とフォローアップ 通院と検査による感染症の早期発見と治療 化膿性脊椎炎の再発を防ぐには、日常的な衛生管理と感染予防が欠かせません。 手洗いやうがいを徹底し、風邪やインフルエンザなどの感染症を予防することで、体内への細菌侵入を防ぎ、再発リスクを低減できます。 化膿性脊椎炎で寝たきりになる前に早期受診を心がけよう 背部の違和感や発熱が続く場合は放置せず、早期に受診することが寝たきり予防の第一歩です。初期に診断を受けることで治療やリハビリにより自立した日常生活を保てる可能性が高まるため、少しでも異常を感じたら医師へ相談しましょう。 化膿性脊椎炎でお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、化膿性脊椎炎の治療において再生医療を治療法の選択肢のひとつとして提案します。従来の治療で困難な椎体や椎間板の修復に対して、脂肪由来幹細胞や成長因子を用いた研究が進められ、神経再生や機能回復への応用が期待されています。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 化膿性脊椎炎と寝たきりの状態に関するよくある質問 化膿性脊椎炎は難病指定に登録されていますか? 化膿性脊椎炎は難病指定には含まれません。感染症として治療法が確立しており、抗菌薬や手術により改善が期待できるためです。 家族が化膿性脊椎炎で寝たきりの場合の介護における注意点はありますか? 化膿性脊椎炎で寝たきりとなった方の介護では、褥瘡予防のための体位変換やエアマットレスの使用、皮膚の清潔保持による感染防止、栄養と水分管理による体力維持が重要です。 さらに関節運動やリハビリで筋力低下や拘縮を防ぎ、声かけや介護サービスの活用で精神的支えを行うことも必要です。これらを医療スタッフと連携して実践することで、再発予防と生活の質の維持につながります。 化膿性脊椎炎で寝たきりになった場合に受けられる国の支援はありますか? 化膿性脊椎炎で寝たきりになった場合は、国や自治体の支援を受けることができ、介護保険を利用すれば訪問介護や訪問看護、デイサービス、福祉用具レンタルが可能となり、在宅介護の負担軽減につながります。 支援制度の詳細は以下の表にまとめます。 支援制度 詳細 介護保険サービス 65歳以上、または40歳以上で特定疾病に該当する場合の申請可能、訪問介護・訪問看護・デイサービス・福祉用具レンタルの利用 身体障害者手帳 重度の神経障害や運動機能障害が残った場合の交付対象、税制優遇・交通機関割引・自動車税減免の適用 障害年金 長期的な労働困難を伴う障害が残った場合の申請対象、障害等級に応じた年金給付 医療費助成制度 高額療養費制度による医療費上限設定、自治体による重度障害者医療費助成で自己負担軽減 在宅医療・訪問診療の支援 通院困難時の訪問診療・訪問看護の利用、自宅での診察・治療継続 化膿性脊椎炎で寝たきりになった場合でも、介護保険や障害者手帳、障害年金、医療費助成、訪問診療制度などの支援を受けられるため、病状や生活状況に応じて医師や地域包括支援センター、社会福祉士へ相談することが重要です。 参考文献 (文献1) 化膿性脊椎炎・脊椎カリエス|社会福祉法人 恩賜財団済生会 (文献2) 化膿性脊椎炎|脳神経外科疾患情報ページ (文献3) 化膿性脊椎炎の感染部位を手術で固定すると骨破壊が抑制され治癒に向かう|TSUKUBA JOURNAL
2025.12.13 -
- 脊椎
- 脊椎、その他疾患
「老後の側弯症はどう向き合えば良いのか」 「老後に発症する側弯症の改善は難しいのでは」 年齢とともに側弯症が進行し、背中の曲がりや姿勢の変化、呼吸のしづらさを訴える高齢者が多くみられます。 若い頃に診断を受けていても、老後に再び症状が目立ち不安を抱く方も多いです。とくに60〜80代では体力低下や併存疾患の影響で手術適応が困難となり、生活に支障があっても有効な対応策を見出せないケースが多くみられます。 本記事では、現役医師が老後に進行する側弯症について詳しく解説します。 高齢者における側弯症の治療法 高齢者における側弯症のリハビリ 側弯症と老後の生活を支える工夫 最後には、老後の側弯症に関するよくある質問をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 側弯症について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 老後に進行する側弯症とは? 高齢者の症状 症状 詳細 姿勢変化と生活への影響 背骨の弯曲による前かがみ姿勢、歩行や家事動作への負担、転倒リスク増加 背部の不快感と神経症状 背部や腰部のこわばり、神経圧迫によるしびれや力の入りにくさ、動作制限 呼吸機能の低下 胸郭の変形による肺のふくらみ制限、息切れや呼吸困難、活動量の減少 老後に進行する側弯症では、椎間板や関節の変化により背骨の弯曲が進行し、背中の曲がりや身長低下、姿勢の非対称性が目立つようになります。日常動作や歩行が負担となり、腰背部の張りや下肢のしびれといった神経症状を伴う場合もあります。 さらに胸郭の柔軟性低下から呼吸が浅くなり、活動量が減少します。高齢者では完治よりも進行抑制と機能維持を重視し、保存療法・リハビリ・生活環境調整を組み合わせた対応が基本です。 以下の記事では、側弯症について詳しく解説しています。 姿勢変化と生活への影響 原因・影響 詳細 加齢による背骨の変性と筋力低下 椎間板や関節の変形、靭帯や筋肉の弱化による背骨の支持力低下、体幹筋力低下による姿勢の崩れ 骨粗鬆症による圧迫骨折 骨の脆弱化に伴う椎体のつぶれ、背骨の形状変化による急な姿勢の歪み 姿勢の歪みが身体の負担となる 身体の傾きや肩の高さの不均衡、体重負荷の偏りによる疲労や歩行・立ち座りの不安定化 胸郭が圧迫され呼吸機能に影響 肺や心臓の圧迫による呼吸の浅さ、息切れや倦怠感の出現 神経圧迫による下肢のしびれや運動障害 脊髄神経や神経根の圧迫によるしびれや筋力低下、それに伴う歩行障害や転倒リスクの増加 加齢とともに背骨の弯曲が強まり、腰や背中が左右に傾くことがあります。これは若い頃に診断された側弯症が、椎間板や骨の変性、筋力低下によって再び進行した結果と考えられます。高齢者の側弯症は自覚しにくく、ゆっくり進行するのが特徴です。 肩の高さの左右差、衣服の片側だけ余るといった外見上の変化に加え、立ち座りの不安定さや歩行時のふらつきが現れることもあります。このような姿勢の変化は生活全般に影響し、外出や家事など活動範囲の制限につながります。早期に変化へ気づき、適切な治療やリハビリを取り入れることが重要です。 背部の不快感と神経症状 症状 詳細 背部の不快感(筋肉・関節由来) 背骨の曲がりによる筋肉や関節への負担、こりや張り感、長時間の立位・座位での疲労感 神経症状(脊柱管狭窄による影響) 脊柱管の狭窄による神経圧迫、足のしびれや筋力低下、歩行障害や転倒リスクの増加 筋肉・関節の変化と神経症状の関係 筋肉の硬さと神経圧迫の相互作用による悪循環、背部全体の違和感や疲労感の増強 (文献1) 背骨の変形が進行すると、筋肉や靭帯に負担がかかり、背中や腰の張りや重だるさが持続します。加えて椎間孔や脊柱管の狭窄により神経が圧迫され、足のしびれや灼熱感、冷感といった感覚異常が出現します。 症状が進行すると間欠性跛行が生じ、歩行を繰り返し中断するようになり、日常生活や活動範囲が大きく制限されるため、不快感などを感じた場合は医療機関を受診することが不可欠です。 呼吸機能の低下 症状・要因 詳細 胸郭の変形による呼吸の制限 胸郭のゆがみにより肺の広がりが妨げられ、呼吸が浅くなる状態 呼吸筋の機能低下 横隔膜や肋間筋の弱化、背骨の変形による筋肉機能の低下 拘束性換気障害 胸郭や背骨の動きの制限による肺の膨らみ不足、全体的な呼吸機能の低下 日常生活への影響 歩行や階段昇降での息切れや疲労感、活動範囲の縮小、重症例での呼吸不全 必要な対応 定期的な呼吸機能検査、運動療法による呼吸筋強化、適切な姿勢維持 (文献2) 側弯症の進行により脊柱変形が増悪すると、胸郭形態の変化を介して肺や心臓が圧迫される場合があります。その結果、肺の拡張が制限され、軽度の身体活動でも呼吸困難を呈しやすくなります。 階段昇降や重量物の搬送が困難となるほか、夜間の換気不全により睡眠の質が低下することも少なくありません。こうした呼吸機能障害は他疾患との鑑別が難しく、臨床上見過ごされやすい点に留意が必要です。 高齢者における側弯症の治療法 治療法 詳細 保存療法(薬物・物理・装具を含む) 消炎鎮痛剤や湿布による炎症抑制、温熱や電気を用いた物理療法、コルセットやインソールによる脊柱の負担軽減 手術療法 重度の変形や歩行障害、呼吸障害を伴う場合に実施される外科的矯正や固定術 再生医療 患者自身の組織を利用し、組織修復や炎症抑制への応用 高齢者の側弯症治療では、薬物・物理療法・装具・運動療法を組み合わせた保存療法により機能維持と進行抑制を図ります。神経症状の進行や高度変形による立位困難、保存療法で強い生活障害が残る場合は手術を検討します。 その際は全身状態、骨質、既往歴、介護体制を多職種で評価し、利益とリスクを慎重に判断することが重要です。再生医療は椎間板変性に対して研究が進んでいますが、適応は限られ、医師の判断が不可欠です。 以下の記事では、大人の側弯症の治し方について詳しく解説しています。 保存療法(薬物・物理・装具を含む) 特徴・効果 詳細 身体への負担が少ない 高齢者でも行いやすい非手術的治療、合併症リスクを避けた身体への負担軽減 症状の軽減に役立つ 薬物療法による炎症や骨脆弱性への対応、物理療法による筋緊張の緩和 姿勢保持を助ける コルセット使用による背骨の支持、体幹安定による日常動作の補助 進行の抑制につながる 筋肉や関節への負担軽減による症状悪化予防、生活の質維持への貢献 (文献3) 高齢者の側弯症治療は、まず身体への負担が少ない保存療法から開始するのが一般的です。 炎症や不快感の軽減には湿布や内服薬、坐薬などを用いた薬物療法を行い、理学療法士による物理療法やリハビリを組み合わせて機能維持を図ります。必要に応じてコルセットなどの装具を一時的に使用し、背骨の変形進行を抑えることもあります。 以下の記事では、側弯症や背骨が曲がる状態を改善するストレッチについて詳しく解説しています。 手術療法 ポイント 詳細 進行した側弯の矯正と進行防止 50度以上の重度側弯に対する背骨の矯正、呼吸機能低下や神経症状の防止 症状の改善 背骨バランスの改善による腰や背部の不快感軽減、呼吸機能や神経症状の改善 手術技術の進歩による負担軽減 低侵襲手術の普及による体への負担軽減、術後の早期歩行や短期入院 骨粗鬆症治療との併用 骨粗鬆症治療薬による骨強化、脆弱性ケアによる手術成功率の向上 総合的な評価による適応決定 年齢や進行度、基礎疾患を考慮した個別判断、全員に適応されるわけではない適切な選択 保存療法で効果が得られず、不快感の持続や側弯症の進行により生活に大きな支障が生じる場合には、手術療法を検討します。手術では金属の棒やスクリューで背骨を矯正・固定し、症状の原因を根本から改善するとともに姿勢を整えます。 ただし手術は高い身体的負担を伴うため、年齢や全身状態を含めて総合的に評価し、十分な説明と合意のもとで慎重に決定することが重要です。 以下の記事では、側弯症の手術後にできないことを詳しく解説しています。 再生医療 再生医療は、椎間板や軟骨の変化、神経の圧迫に対する新しい治療の選択肢として研究が進められています。高齢者では手術が大きな負担となる場合もあり、低侵襲治療との併用が検討されています。 ただし、実施は限られた医療機関に限られ、適用できる症状も限定的です。そのため、医師による評価が不可欠であり、十分な説明を受けた上で検討することが重要です。 以下の記事では、再生医療について詳しく解説しています。 高齢者における側弯症のリハビリ リハビリ内容 詳細 運動療法(ストレッチ・筋力強化・呼吸法を含む) 背中や腰の柔軟性維持、体幹筋や下肢筋の強化による姿勢安定、呼吸法による肺機能の維持 歩行・バランス訓練 歩行姿勢の安定化、転倒予防のためのバランス能力強化、杖や歩行器を用いた移動動作 生活期のリハビリは、姿勢の再教育、体幹と下肢の協調、有酸素運動、呼吸訓練を中心に行います。運動量は痛みの有無ではなく、RPE(自覚的運動強度)や会話テストといった主観的運動強度と客観的指標をもとに段階的に調整し、短時間かつ高頻度で継続することが大切です。 歩行や立ち上がり、方向転換などの日常動作を訓練に取り入れ、装具や杖は必要に応じて使用しながら計画的に活用します。 運動療法(ストレッチ・筋力強化・呼吸法を含む) 項目 詳細 ストレッチ 背中や腰の筋肉の柔軟性維持、左右差の軽減、動作のスムーズ化、背部のこわばりやだるさの緩和 筋力強化 体幹・背筋・腹筋の強化による背骨の安定性向上、立位や歩行の改善、下肢筋力維持による転倒予防と自立度向上 呼吸法 胸郭の広がり改善による呼吸効率向上、息切れの軽減、呼吸筋機能強化による活動量維持 (文献4) 側弯症のリハビリでは、無理なく続けることが重要です。ストレッチで硬くなった筋肉を柔軟にし、腹筋や背筋を中心とした体幹の筋力を高めることで姿勢の安定を図ります。 また、側弯症では呼吸が浅くなりやすいため、腹式呼吸などを取り入れて肺機能を保ち、呼吸の負担を軽減することも不可欠です。 歩行・バランス訓練 内容 詳細 歩行訓練の有効理由 筋力と関節運動の強化、体重移動の改善による姿勢補正、歩行距離や速度の向上、日常生活範囲の拡大 バランス訓練の有効理由 重心の安定化による転倒予防、体幹と下肢筋力の向上、長時間の立位や歩行を支える姿勢保持 医師による状態評価と個別プログラムの重要性 側弯の度合いや体力に応じた訓練内容の調整、正しいフォーム習得による悪化防止、定期評価による持続的改善 背骨の変形が進むと姿勢の安定性が低下し、転倒の危険が高まります。そのため、歩行訓練やバランス訓練は高齢者の側弯症において重要です。 片足立ちや壁に手を添えたスクワットなど、不安定な姿勢での練習を段階的に取り入れることで、体幹の安定性が高まり、転びにくい身体づくりにつながります。必要に応じて杖や歩行器といった補助具を使用し、安定性を確保しながら継続することが推奨されます。 側弯症と老後の生活を支える工夫 工夫 詳細 住環境の調整(転倒予防・動作のしやすさ) 手すり設置や段差解消による転倒防止、動線の確保による生活動作のしやすさ 栄養管理と骨粗鬆症対策(カルシウム・ビタミンDの摂取) 骨の強度維持のための栄養摂取、骨粗鬆症進行防止のためのカルシウムとビタミンD補給 家族や訪問介護サービスを活用する 負担軽減のための家族支援、日常生活を補う訪問介護サービスの利用 側弯症の管理には、治療に加えて生活全体を支える工夫が欠かせません。住宅改修で手すり設置や段差解消を行えば、転倒予防と外出機会の確保につながります。 食事面では骨粗鬆症対策としてカルシウム・ビタミンD・たんぱく質を十分に取り入れ、骨量と筋量を守ることが重要です。さらに、訪問リハや通所サービスを活用し、家族の協力を組み合わせることで、通院が難しい時期も継続的に訓練を続けられる体制を整えられます。 住環境の調整(転倒予防・動作のしやすさ) 項目 詳細 転倒予防につながる 手すりや滑り止めマット設置による転倒リスク低減、骨折や寝たきり予防 動作がしやすくなる 段差解消や家具高さ調整による立ち上がり・移動の容易化、自立度向上、筋力低下防止 精神的な安定感を得られる 環境による安定感の確保、外出や活動意欲の向上、生活の質の維持 側弯症の進行を抑え生活を続けるためには、自宅環境の調整が欠かせません。つまずきの原因となる段差をなくし、必要な場所に手すりを設置することで転倒を防ぎます。 さらに、座りやすい椅子の使用や物を取りやすい位置に配置するなど、日常動作を行いやすくする工夫が身体への負担軽減につながります。 栄養管理と骨粗鬆症対策(カルシウム・ビタミンDの摂取) 項目 詳細 骨の強度を維持できる 加齢による骨密度低下への対応、カルシウム摂取による骨構造の保持、背骨変形や骨折リスクの低減 ビタミンDでカルシウムの吸収を助ける 食事やサプリのカルシウム吸収促進、骨強化への寄与、日光浴による体内ビタミンD合成の活用 骨折予防に直結する 側弯症進行防止への寄与、転倒時の骨折防止、寝たきりや生活の質低下回避 (文献5) 背骨の健康維持には骨を強く保つことが重要です。カルシウムを多く含む牛乳や小魚、緑黄色野菜を積極的に取り入れ、吸収を助けるビタミンDも合わせて摂取することが推奨されます。 骨粗鬆症を予防することは、背骨の変形進行を抑え、側弯症の悪化防止にもつながります。 以下の記事では、骨粗鬆症におすすめの食べ物を詳しく解説しています。 家族や訪問介護サービスを活用する 項目 詳細 日常生活の支援と転倒予防 家族や訪問介護による見守りや補助、転倒や事故の予防、体力低下時の生活動作の補助、生活の質の維持 リハビリ継続のサポート 家族や訪問介護による運動療法・ストレッチ・呼吸法の実施支援、姿勢ケアの見守りによる効果維持 精神的支えと社会的つながり 家族や介護スタッフとの交流による孤立感の軽減、心理的安定、リハビリ意欲の向上 個別ケアと生活環境の工夫 訪問介護による自宅環境の把握、転倒予防につながる生活調整、体調変化の早期発見、医療機関との連携 高齢になると、自分だけで生活を支えることが難しくなる場合があります。ご家族の協力に加えて、訪問介護やリハビリテーションサービスを取り入れることが有効です。 専門家の支援を受ければ、身体的・精神的な負担を和らげ、生活の質を維持し、健康管理に役立ちます。 老後に進行する側弯症でお悩みの方は当院へお気軽にご相談ください 側弯症は加齢とともに進行することがありますが、対応方法は多様であり諦める必要はありません。 身体の状態や生活状況に合わせて治療方針を検討することで、不快な症状の軽減や生活の質の向上が期待できます。気になる症状がある場合は、早期に医療機関へ相談することが大切です。 老後に進行する側弯症でお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、側弯症の治療において再生医療を選択肢のひとつとして提案しています。 再生医療は側弯症に対する新しい治療の選択肢として研究が進められており、改善が期待できる可能性もあります。ただし、実施できる医療機関や適応は限られるため、医師の評価と十分な説明が欠かせません。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 老後の側弯症に関するよくある質問 側弯症でやってはいけないことってありますか? 側弯症では、無理な前屈や長時間の不良姿勢、重い荷物の持ち運び、自己流の運動は背骨への負担となり悪化の原因になります。 ストレッチや筋力強化は専門家の指導を受け、無理のない範囲で行うことが大切です。また、日常生活では背骨に負担をかけず、姿勢を整え、適切な運動を継続する工夫が重要です。 以下の記事では、側弯症でやってはいけないことを詳しく解説しています。 側弯症を発症すると短命になりますか? 側弯症自体が寿命を直接縮めることはありません。ただし進行により呼吸機能低下や転倒リスクが高まると健康全般に影響する可能性があります。 運動療法や栄養管理、住環境の工夫を取り入れ、定期的に医師の診察を受けることで、生活の質を保ちながら健康を維持できます。 側弯症の手術後に後悔することはありますか? 側弯症手術は脊髄に近い部位を扱うため、まれに運動麻痺や感覚障害などの後遺症が生じる可能性があります。感染や出血といった合併症、長期にわたるリハビリや生活制限により、回復に想定以上の時間がかかることもあります。 また、手術のタイミングをめぐって後悔を感じる患者様も少なくありません。後悔を減らすには、メリットとリスクを十分に理解し、医師とよく相談した上で準備を整えることが大切です。 以下の記事では、側弯症の手術後に感じる後悔について詳しく解説しています。 参考文献 (文献1) 第15回 高齢者の背中曲がり・腰曲がり (後弯症)|脊椎手術.com (文献2) 脊柱後彎位が胸郭運動に与える影響 ─Slump SittingとStraight Sittingの比較から─|理学療法科学 24(5):697–701,2009 (文献3) Effects of bracing in adolescents with idiopathic scoliosis|PubMed (文献4) 脊柱側彎症が身体能力に与える影響と改善エクササイズの提案 Influences of Scoliosis on Physical Ability, and Exercises for Better Activity (文献5) 老年医学update2007-08|日本老年医学会雑誌編集委員会
2025.12.13 -
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「側弯症を発症するのは美人が多いと耳にしたことがある」 「側弯症と女性の痩せ型との関係性とは」 側弯症と診断されると、多くの方が見た目への影響を気にされます。体型や姿勢の変化が日常生活や人からの印象にどう関わるのか、不安を抱くのは自然なことです。とくにインターネット上では、側弯症の女性は美人が多いといった話題が取り上げられることもあり、自分との関係性を知りたいと考える方も少なくありません。 一方で、痩せ型やスタイルとの関連性について心配になる方もいます。実際のところ、側弯症が見た目や印象にどのように影響するのか、医学的なデータや専門的な視点から理解することはとても大切です。 本記事では、現役医師が側弯症は美人が多いと言われる理由と痩せ型との関係性を医学的観点から詳しく解説します。 記事の最後には、女性の側弯症に関するよくある質問をまとめているので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 側弯症について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 側弯症は美人が多いは本当? 根拠 詳細 側弯症に「美人が多い」は医学的根拠に乏しい 側弯症と美人の関連を示す研究や統計の欠如 女性の方が側弯症の発症率が多いのは事実 思春期特発性側弯症は女性で多く進行もしやすい統計的傾向 側弯症が女性に多い明確な理由はまだ解明されていない ホルモンや骨密度などの要因が関与すると考えられる研究段階 「側弯症の女性は美人が多い」といった言説はSNSなどで見られますが、医学的根拠は確認されていません。外見的魅力は顔立ちや姿勢など多くの要素に左右され、科学的に測定する指標も存在しないためです。 ただし、側弯症は女性に多く、思春期に発症しやすいため、痩せ型で背が高い体型が目立つ傾向があります。そのため「美人が多い」というよりも、体型的特徴や発症時期に由来する印象と理解するのが適切です。 側弯症に「美人が多い」は医学的根拠に乏しい 側弯症の女性は美人が多いという医学的根拠はありません。側弯症は背骨の歪みにより姿勢や体型に影響を及ぼすことがありますが、その見え方には大きな個人差があり、「美人が多い」と断定することはできません。 思春期の女性が発症しやすいため、この時期特有の痩せ型で背の高い体型が華奢で整った印象(美人)と結び付けられたと考えられます。ただし医療の観点では、外見よりも脊柱の変形が健康に与える影響が重要であり、美的評価に基づく言説は誤解や偏見を招くため注意が必要です。 女性の方が側弯症の発症率が多いのは事実 項目 解説 側弯症の発症頻度 成長期によく見られる比較的多い病気 主なタイプ 原因が不明で思春期に多い特発性側弯症 女性に多い傾向 男性より高い発症率と進行しやすい特徴 発症に関わる要因 遺伝的要素や女性ホルモンの影響 早期発見の重要性 学校検診でのチェックと定期的な管理 医学的な現状 女性に多い明確な理由は未解明 側弯症は、背骨が左右に弯曲し、ねじれを伴うこともある疾患です。とくに思春期に発症する特発性側弯症は女性に多く、男性より圧倒的に発症率が高いことが知られています。 実際に、女性の発症例は男性の5~7倍にのぼると報告されており、13~14歳の女子では発症率が2.5%と男子の約7倍に達します。 小学校高学年から中学生にかけての思春期は側弯症の発症リスクが最も高まる時期ですが、女性に有意に多い理由については、現時点ではホルモンや遺伝的要因の関与が推測されているものの、明確には解明されていません。 そのため、学校検診などによる早期発見と定期的なフォローアップは不可欠であり、進行例では装具療法や手術療法の適応を含めた適切な管理が重要とされています。 側弯症が女性に多い明確な理由はまだ解明されていない 側弯症、とくに思春期特発性側弯症は女性に多いことが知られていますが、その明確な理由はまだ解明されていません。研究では、遺伝的要因やホルモンの関与が示唆されており、複数の遺伝子が発症や進行に関わる多因子遺伝の可能性が高いと考えられています。 また、性ホルモンや成長期における骨格・筋肉の発達差も関連要因として指摘されていますが、具体的なメカニズムは不明です。 したがって、女性だから必ず発症するものではなく、体型や成長の特徴がリスクに影響する可能性があると理解されています。 以下の記事では、側弯症の原因について詳しく解説しています。 女性の痩せ型と側弯症の関係性 関係性 詳細 BMIが低い女性は側弯症のリスクが高い傾向 筋肉量や骨量の不足よる脊椎支持力の低下 痩せ型で身長の高い女性も側弯症のリスクが高い傾向 成長期の急激な身長増加による背骨への負荷増大 痩せ型と側弯症には一定の関連があると報告されています。BMI(体格指数)が低く筋肉量が少ない女性では、脊柱を支える力が不足し、弯曲が進行しやすい傾向がみられます。 とくに思春期は急激な身長の伸びに骨格の成長が追いつかず、痩せ型体格では背骨のバランスが崩れやすくなります。 ただし、痩せ型だからといって発症するわけではなく、あくまで臨床でよく見られる特徴のひとつとして理解することが重要です。 BMIが低い女性は側弯症のリスクが高い傾向 関係性 詳細 骨量が少なく背骨が歪みやすい 骨密度や骨量の不足による脊柱支持力の低下 筋肉量が少なく体幹の支持力が低下する 体幹筋の不足による姿勢保持の不安定化 ホルモンの影響が示唆されている 栄養状態や体脂肪量の低さによるホルモン分泌の不安定化 成長期の身体バランスに影響する 急激な身長増加に骨量や筋力が追いつかない身体バランスの崩れ (文献1) 複数の疫学研究により、痩せ型(BMIが低い)女性では特発性側弯症の発症が多い傾向が示されています。たとえば、BMIが低い女子は側弯症のリスクが1.43倍高いとする報告があります。(文献2) BMIが低い場合、筋肉量や脂肪量の不足により脊柱支持力が低下し、骨の成長に筋力発達が追いつかず、姿勢の安定性が損なわれやすいと考えられます。 さらに、骨量の不足やホルモン分泌の不安定さ、思春期特有の急激な成長による骨格と筋力の不均衡が複合的に作用し、発症リスクを増加させる可能性があります。ただし、痩せ型だからといって必ず発症するわけではなく、あくまで統計的な傾向として理解することが重要です。 痩せ型で身長の高い女性も側弯症のリスクが高い傾向 痩せ型で身長の高い女性も側弯症のリスクが高い傾向があることが報告されています。特発性側弯症の病因は未だ明らかではありませんが、遺伝的要因、神経疾患、ホルモンや代謝機能の異常、生体力学的要因、さらには環境要因が複合的に関与していると考えられています。 複数の研究で、側弯症患者には「身長が高い」「BMIが低い」「全身骨量が少ない」といった特徴が共通して見られることが示されています。(文献3) 痩せ型で高身長の女性では、成長期に急激な身長の伸びに筋肉や靭帯の発達が追いつかず、脊柱の安定性が低下しやすいと考えられます。また、長い脊柱そのものが負担となり、側方への可動域が大きいことで弯曲が進みやすい傾向があります。 ただし、これらはあくまで統計的な傾向であり、すべての痩せ型・高身長の女性が必ず発症するわけではありません。 側弯症になりやすい女性の特徴 特徴 詳細 思春期や急に身長が伸びる時期 骨の成長に筋力が追いつかず姿勢保持が不安定になる時期 痩せ型・BMIが低い 筋肉量や骨量が少なく脊柱支持力が低下しやすい体型 家族に側弯症の既往がある 遺伝的素因により発症リスクが高まる背景 体幹を強く使うバレエや新体操などの活動歴がある 特定方向の負荷や柔軟性の偏りによる脊柱バランスの崩れ 側弯症はとくに成長期の女性に多く見られる疾患です。思春期の急な身長の伸びに伴い筋力が追いつかず、発症しやすくなります。 痩せ型やBMIが低い体型もリスク要因です。家族に発症歴がある場合は遺伝的素因が影響すると考えられています。また、バレエや新体操など体幹へ偏った負荷がかかる活動歴もリスクとされます。これら複数の要因が重なり、側弯症が女性に多い理由です。 思春期や急に身長が伸びる時期 側弯症の多くは思春期特発性側弯症と呼ばれ、10歳頃から骨の成長が止まるまでの時期に発症しやすいとされています。この時期は急激に身長が伸び、骨の成長に筋肉や靭帯の発達が追いつかず、背骨が不安定になりやすいことが背景にあります。 さらに、思春期には女性ホルモンの分泌変化や骨の柔軟性も加わり、発症リスクを高める要因です。実際に、思春期の女子はとくにリスクが高く、13~14歳の女子の発症率は2.5%で男子の約7倍と報告されています。 また、家族に側弯症の既往がある場合は遺伝的要因も関与し、リスクがさらに高まります。そのため、小学校高学年から中学生にかけては学校検診などでの早期発見が重要であり、必要に応じて適切な治療介入を行うことが推奨されます。 痩せ型・BMIが低い 痩せ型・BMIが低い女性は思春期特発性側弯症の発症リスクが高いことが報告されています。慶応義塾大学の研究では、BMIが低い女性に発症が多い傾向が示されており、さらに近年の遺伝子研究では、遺伝的に太りにくい体質が側弯症リスクに関連することが明らかになっています。(文献4) 痩せ型の体格は、筋肉量や骨・靭帯の支持力が不足しやすく、背骨の安定性が低下する可能性があります。また、ホルモンバランスの乱れやカルシウム・ミネラル不足といった栄養面もリスク要因とされています。 ただし、痩せ型が直接の原因ではなく、遺伝的要因や成長期の環境など複数の要素が重なって発症すると考えられるため、痩せ型体型の場合はとくに成長期の経過観察と適切な生活習慣の維持が重要です。 家族に側弯症の既往がある 側弯症は遺伝的要因が関与する可能性が高い疾患であり、家族に患者がいる場合は発症リスクが一般より高いと報告されています。 とくに一卵性双生児では一致率が高く、遺伝的関与が示唆されています。近年ではTBX6、LBX1、GPR126など複数の遺伝子が発症や進行に関与することも明らかになっています。(文献5) ただし、必ずしも家族全員が発症するわけではなく、環境要因や生活習慣も影響します。家族歴がある場合は成長期の定期検診と早期発見が重要です。 体幹を強く使うバレエや新体操などの活動歴がある バレエや新体操など体幹を強く使う競技は、側弯症のリスク要因のひとつと考えられています。これらの競技は左右非対称の動作が多く、脊柱に偏った負荷を与えることがあります。 また、選手は柔軟性が高い反面、靭帯や体幹の支持力が不足しやすく、背骨が不安定になりやすい傾向です。さらに、競技者には痩せ型かつ高身長の体型が多く、この体格自体も側弯症のリスク因子とされています。 ただし、競技そのものが直接の原因と断定されているわけではなく、遺伝的要因や成長期の急激な身体の変化など、複数の要因が組み合わさって発症に至ると考えられます。 側弯症の治療法 治療法 詳細 保存的治療 装具療法や運動療法による弯曲進行の抑制と姿勢改善 手術療法 脊柱の矯正と固定による高度変形の改善 再生医療 椎間板や脊椎組織の再生を目指す治療法 側弯症の治療は、弯曲の程度や成長段階に応じて方針が変わります。軽度から中等度では装具療法や運動療法による保存的治療が中心です。 進行例では脊柱を矯正・固定する外科的治療が行われます。近年は再生医療の研究が進み新たな選択肢として期待されていますが、対応できる医療機関は限られており、すべての症状に適用できるわけではないため、医師による診察と評価が必要です。 以下の記事では、側弯症の治し方を詳しく解説しています。 保存的治療 治療法 詳細 経過観察 定期診察とレントゲン検査による状態変化の確認と進行予防 薬物療法 痛みや筋緊張の緩和を目的とした薬の使用 装具療法 コルセット装着による脊柱弯曲の進行抑制 運動療法 体幹筋力強化と姿勢改善による日常生活の質維持 (文献6) 軽度から中等度の側弯症では、経過観察・装具療法・運動療法といった保存的治療が基本です。成長期の背骨は柔軟性が高く、早期からの治療で進行を抑えられる可能性があります。 とくに装具は長時間の装着が効果的であり、リハビリやストレッチは筋肉バランスを整えます。痛みがなくても定期的な診察や運動療法を継続することが大切です。進行が見られる場合は、医師との相談の上で手術療法を検討します。 以下の記事では、側弯症や背骨が曲がる状態を改善するストレッチについて詳しく解説しています。 手術療法 手術法 詳細 後方矯正固定術(背中からの手術) 脊椎にスクリューを挿入しロッドで連結することで背骨を矯正・固定し、骨移植で強固に安定させる方法 前方矯正固定術(お腹側からの手術) 胸や腹部の側面から背骨前面にアプローチし、狭い範囲を強力に矯正・固定する術式 手術療法が必要になる目安 側弯角度が40〜45度以上で進行する場合、呼吸や心臓への影響がある場合、日常生活に支障や強い症状がある場合 (文献7) 側弯症に対する手術は、背骨の弯曲が40〜45度を超えて進行し、保存的治療で抑制できない場合に検討される治療法です。呼吸機能や心機能への影響、強い痛みや生活への支障も適応の目安となります。代表的な術式は脊椎固定術で、変形の矯正と進行抑制を目的とします。 術後は骨が安定するまで数カ月を要し、その間は激しい運動を控える必要があります。神経損傷や出血などの合併症リスクはあるため、術後も定期的な診察と経過観察が欠かせません。 【関連記事】 側湾症の手術後にできないことは?後遺症や痛みがいつまで続くかで左右する!? 側弯症の手術後に感じる後悔は?リスクやメリットを感じる瞬間も【医師監修】 再生医療 再生医療とは、自身の細胞や組織の修復を促す成分を用い、損傷部位の機能を整えることを目指す治療法です。側弯症では、背骨を支える筋肉や靭帯の働きや、椎間板・神経の健康維持に役立つ可能性が検討されています。 大きな切開を伴わず注射などで行える低侵襲な方法として注目されていますが、利用できる医療機関は限られており、すべての症状に適用できるわけではありません。適応の判断には医師による相談と評価が必要です。 以下の記事では、再生医療について詳しく解説しています。 女性の側弯症は放置せず医療機関を受診しよう 側弯症は女性に多く、放置すると進行して姿勢や日常生活に影響を及ぼす可能性があります。 軽度であっても定期的な経過観察が必要であり、適切な時期に装具療法や運動療法を取り入れることで進行抑制が期待されます。早期に医師へ相談し、自身の状態に合った治療や生活習慣の工夫を行うことが大切です。 側弯症でお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では側弯症の治療において、再生医療を選択肢のひとつとして検討することがあります。再生医療は大きな切開を伴わずに行える方法であり、側弯症に関連して生じた組織への新たなアプローチとして期待されています。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 女性の側弯症に関するよくある質問 側弯症を発症すると妊娠しにくい身体になるのは本当ですか? 側弯症が妊娠のしやすさに直接影響する医学的根拠はありません。 進行例で心肺に負担がある場合は妊娠中に影響が出る可能性があるため、事前に整形外科や産婦人科での相談が望まれます。出産時には麻酔の方法や分娩体位に制限が生じる場合がありますが、多くは医師の連携によって適切に対応できます。 側弯症のときにやってはいけないスポーツはありますか? 側弯症において禁止されるスポーツはありませんが、重い負荷や激しいジャンプ、片側に力が偏る競技は注意が必要です。 症状や痛みに応じて医師や理学療法士と相談し、無理のない範囲で運動を選ぶことが大切です。軽いストレッチや体幹強化は背骨の安定に有用とされます。 以下の記事では、側弯症においてスポーツで注意すべき動作を詳しく解説しています。 側弯症のときにやってはいけない仕事はありますか? 側弯症で避けなければならない職業はありません。ただし、重い荷物を繰り返し扱う作業や、長時間同じ姿勢を続ける業務は背骨への負担が大きいため注意が必要です。 作業環境の工夫や姿勢の改善によって継続が可能な場合も多く、不安がある際には医師へ相談することが望まれます。 側弯症を発症すると寿命が短くなりますか? 多くの場合、側弯症が寿命を直接縮めることはありません。軽度から中等度であれば日常生活や寿命への影響はほとんどなく、経過観察や適切な治療により大きな問題につながることは少ないとされています。 ただし、重度に進行した場合は胸郭が圧迫され、心肺機能へ影響を及ぼすことがあります。また、高齢での変性側弯症では腰痛や歩行機能の低下により活動量が減り、間接的に健康へ影響する可能性があります。定期的な診察と適切な対応が重要です。 参考文献 (文献1) 思春期特発性側弯症の発症の遺伝的な因果関係を発見-遺伝的に太りにくい人は発症のリスクが高い-|理化学研究所 (文献2) Positive rate and influencing factors of adolescent idiopathic scoliosis among school children aged 9 to 18 years in Xiamen, China|PubMed (文献3) Is There a Relationship between Idiopathic Scoliosis and Body Mass? A Scoping Review|PubMed (文献4) 思春期特発性側弯症の発症の遺伝的な因果関係を発見-遺伝的に太りにくい人は発症のリスクが高い-|理化学研究所 (文献5) 側弯症とは(知っておきたい側弯症)|日本側弯症学会 (文献6) 側弯症とは(治療について)|日本側弯症学会 (文献7) 脊柱側弯症手術|脊柱側弯症手術.com
2025.12.13 -
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冬になると避けて通れない雪かき作業。しかし、何気なく続けているうちに「腰がズキッと痛んだ」「翌日から腰が重だるい」と感じたことはありませんか? 雪かきは見た目以上に腰に負担のかかる重労働であり、ぎっくり腰や慢性腰痛の原因になるため注意しなければなりません。 本記事では、雪かきによる腰痛の原因から具体的な対処法、予防のためのストレッチや姿勢の工夫まで、実践的な内容をわかりやすく解説します。 つらい腰痛を防ぎ、安全に冬を乗り切るための参考にしてください。 なお、当院「リペアセルクリニック」では、雪かきで発症する可能性がある椎間板ヘルニアに対する治療法として、再生医療を提供しています。 再生医療について詳しくは、公式LINEにて情報提供および簡易オンライン診断を行っておりますので、ぜひご登録ください。 雪かき後の腰痛|症状別の種類と見分け方 雪かきは、見た目以上に腰に負担がかかる作業です。全身運動と同時に力仕事の側面もあります。 ここでは、雪かき後に発症しやすい代表的な腰痛の種類と、それぞれの見分け方について解説します。 ぎっくり腰(急性腰痛) ぎっくり腰は、医学的には「急性腰痛症」と呼ばれ、突然発症する激しい腰の痛みを指します。 以下のような症状が見られる場合は、ぎっくり腰の可能性を疑うべきです。 雪かき中や直後に突然、「ズキッ」と鋭い痛みが走った 重い雪を持ち上げたり、体をひねったりした際に強い痛みが出た 前屈や中腰から戻る動作で痛みが強まった 痛みで日常動作(起き上がりや歩行)が困難になった 多くの場合、前かがみで雪を持ち上げた瞬間や、腰をひねったときに発症します。 動くと痛みが増し、起き上がる・立ち上がる・中腰から戻るといった日常的な動作が著しく困難になるケースも少なくありません。 腰に強い違和感や緊張感があり、体をまっすぐに伸ばせない、寝返りが打てないなど、急性の運動制限を伴うのが特徴です。 以下の記事では、ぎっくり腰の治療法やストレッチについて解説しています。 筋肉疲労による腰痛(疲労性腰痛) 筋肉疲労による腰痛は、雪かきのような長時間の作業や繰り返し動作によって、腰や背中の筋肉に疲労や緊張がたまって起こります。 ぎっくり腰のように「瞬間的な激痛」が走るわけではなく、時間の経過とともにじわじわと痛みや重だるさが強くなっていくのが特徴です。 以下のような症状が見られる場合は、筋肉疲労による腰痛の可能性があります。 雪かきの翌日または数時間後、腰に重だるさや張りを感じる 作業を続けるうちに、腰の痛みや違和感が強くなる 体を動かすと痛みが出るが、安静にするとやや軽くなる 下肢のしびれや麻痺などの神経症状はない 多くの場合、雪かきを休まず長時間続けたり、姿勢を崩したまま作業したりが原因です。 腰に負担がかかり血流が悪くなると、筋肉を包む膜(筋膜)や筋肉の線維が緊張して硬くなり、痛みが生じます。 なお、筋肉疲労による腰痛は急性の損傷ではないため、以下のセルフケアで改善が可能です。 温めて血行を促す ストレッチで筋肉をゆるめる しっかり休息を取る ただし、痛みが数日以上続く場合や広範囲にこわばりが残る場合は、他の疾患が隠れている可能性があります。 腰椎椎間板ヘルニア 腰椎椎間板ヘルニアは、背骨の間にある「椎間板」というクッションの一部が外へ飛び出し、神経を圧迫することで発症します。 雪かきのように、重い雪を持ち上げたり、腰をひねる動作を繰り返すと椎間板に過剰な負荷がかかり、発症または悪化するケースも少なくありません。 以下のような症状が見られる場合は、椎間板ヘルニアの可能性があります。 腰の痛みに加えて、お尻から脚にかけて「しびれ」や「電気が走るような痛み」がある 足の力が入りにくい、または感覚が鈍い 安静にしていても痛みやしびれが続く 排尿や排便に異常がみられる 多くのケースでは、飛び出した椎間板が脊髄や神経根を圧迫し、神経の伝達を妨げられるのが原因で、腰痛だけでなく脚にまで症状が及びます。 椎間板ヘルニアは自然に軽快する場合もありますが、強い症状やしびれ・脱力が進行するなら、早急に整形外科を受診しましょう。 雪かきで腰痛になった場合の対処法・治し方 雪かきの後に腰に痛みを感じたときは、早めの適切な対処が回復の鍵となります。 ここでは、雪かきで腰痛になった場合の対処法と治し方を見ていきましょう。 湿布で痛みを軽減する 雪かきの後に腰痛が出た場合、湿布を貼って痛みを一時的に和らげることが可能です。 腰痛に使われる湿布には、冷却タイプと温感タイプがあります。 痛みが出た直後で熱っぽさや腫れがある場合は冷湿布、急性期を過ぎて慢性的な痛みや筋肉のこわばりがある場合は温湿布を使いましょう。 また、湿布を貼るときは肌を清潔にし、かぶれなどに注意しながら使用してください。 腰に負担の少ない寝具を使う 腰痛を発症したら、寝ている間も腰にかかる負担を軽減する工夫が大切です。 マットレスが硬すぎたり柔らかすぎたりすると、腰への負担が大きくなる場合があります。 腰にフィットし、適度な反発力のある寝具を選ぶのがポイントです。 また、寝る姿勢にも配慮しましょう。 仰向けで寝る場合は、膝の下にクッションを入れると腰への負担を軽減できます。 適度に運動する 痛みが軽い場合や回復期には、軽めの運動を取り入れると症状の改善が見込めます。 痛みがあるからといって、長時間動かない状態が続くと筋力が低下し、かえって腰痛が悪化するケースもあるため注意が必要です。 無理のない範囲で、散歩やストレッチなどの軽い運動を行うと血流が良くなり、筋肉のこわばりも和らぎます。 マッサージをする お風呂でゆっくりお湯に浸かる、身体を揉む、家族にマッサージしてもらうといった方法は、筋肉の緊張をほぐし、血行を促進する効果が期待できます。 揉む場合は無理に強く押すのではなく、やさしくさする程度にマッサージするのがポイントです。 ただし、痛みが強いときや炎症がある場合には、安静を優先しましょう。 病院で治療する|再生医療も選択肢 2週間以上経っても症状が回復しない、もしくは腰痛を繰り返すなら整形外科を受診しましょう。 足のしびれなどがある場合は、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症の疑いも考えられます。 保存療法で改善がみられないケースでは、再生医療も選択肢のひとつです。 再生医療とは、本来の機能を失った組織や細胞に対し、自分自身の幹細胞や血液成分を利用する治療法です。 身体への負担が少ないため、手術を避けたい方や、日常生活への影響をできるだけ抑えたい方に適しています。 代表的な治療法が、「幹細胞治療」と「PRP療法」です。 幹細胞治療は、患者様自身の脂肪などから採取した幹細胞を用いて、損傷部位に投与する治療法です。幹細胞が持つ、他の細胞に変化する能力を活用します。 PRP療法は、血液中の血小板を濃縮して患部に投与する治療法です。血小板には組織の修復過程に関与する成長因子が含まれており、この働きを利用します。 再生医療について詳しくは、椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症に対する以下の症例をご覧ください。 雪かきでの腰痛予防法 雪かきが原因の腰痛は、事前の対策によって十分に予防が可能です。 ここでは、雪かきによる腰痛を防ぐための具体的な方法をご紹介します。 ストレッチで準備運動を行う 雪かきをはじめる際は、ストレッチして体をほぐしておくのが有効です。 まずは、以下2つのストレッチ方法を行ってみましょう。 ハムストリングス(大腿二頭筋)のストレッチ方法 1.椅子に座って片脚を前に伸ばして、かかとを床につける 2.上体を前に倒しかかとに向けて手を伸ばす(可能ならかかとに手を添える) 3.20秒キープし、左右それぞれ行う ハムストリングスのストレッチにより、大腿裏の柔軟性を高められます。 雪をすくったり、持ち上げたりする動作では腰だけに頼らず、脚の力も活用しましょう。 大腰筋(だいようきん)のストレッチ方法 1.立った状態で、バランスを崩さないようにテーブルや椅子に手をかける 2.片足を前に出し、もう片方を後ろに引く姿勢をとる 3.前の膝を軽く曲げ、胸を張ったまま腰を前方へ押し出すように意識する 4.この状態を20秒間キープし、左右交互に行う 大腰筋のストレッチを行うと、腰から骨盤前面にかけての筋肉をほぐせます。 雪かき作業中の腰の前反りやひねりに有効なので、しっかり行っていきましょう。 カイロで腰を温める 寒冷地での雪かきでは、気温の低さで筋肉の硬直を招きやすく、そのまま作業を始めると腰を痛めるリスクが高まるため注意しなければなりません。 腰部をカイロ等で温めておくと筋肉が柔らかくなり、負担を軽減できます。 とくに、雪かき開始直前や途中で冷えてきたと感じたときには、腰回りを温めて、筋肉・腱への負荷を減らしましょう。 腰を痛めないようにスコップを正しい姿勢で使う 雪かきは、動作・姿勢の少しの工夫で腰への負担を減らせます。 とくに、スコップを使用する際は、以下のように腰を痛めない正しい姿勢で使用してください。 膝を曲げ、腰を落とした状態で雪を集める 背中を丸めず、可能な限り脚・股関節の力を使う 腰だけで行わず、体全体を使う 自分の身長に合った長さのスコップを使い、胸より上まで雪を持ち上げない 重い雪を一度に抱え込まず、少量ずつ作業する 休憩をこまめにとり、筋疲労を溜めない 雪かきの正しい姿勢や動作を意識し、腰椎や腰回りの筋肉への負荷を抑えましょう。 雪かきで腰痛になる原因 雪かきは腰にかかる負担が大きく、腰痛を引き起こすきっかけになりかねません。 ここでは、雪かきが腰痛を招く主な原因を解説します。 重い雪が腰に負担をかける 雪には多くの水分が含まれており、重い雪を繰り返し持ち上げる動作が腰に大きな負荷をかけます。 無理をすると、腰椎や背部の筋肉・靭帯へ直接的なストレスがかかり、疲労や損傷を招くケースも少なくありません。 さらに、雪を運ぶ・投げるときに、腰だけで持ち上げようとすると負荷が増加し、腰痛を誘発します。 たとえば、一度に持ち上げる雪の量を減らす、こまめに作業を区切るなど、負荷を分散する工夫が大切です。 また、自分の体格に合ったスコップを選ぶと、腰への負担を軽減できます。 前かがみの姿勢で腰や背中の緊張が続く 雪かき作業では、しゃがむ・前かがみ・中腰といった姿勢が長時間続きます。 背中や腰の筋肉に休む間がなく負荷が蓄積すると、血流も滞りやすくなり、結果として筋肉が硬くなって腰痛を引き起こします。 腰を曲げるのではなく、膝を使って作業する、定期的に姿勢をリセットするなどを意識しましょう。 また、作業の合間にストレッチを取り入れるのも有効です。 寒さで血流が悪くなる 雪かきでは、低気温による腰への影響も見逃せません。 寒さで筋肉が収縮し血流が低下すると、筋肉や筋膜がこわばりやすくなるため注意が必要です。 血流が悪くなると、筋肉内に疲労物質がたまって回復が遅れ、少しの負荷でも腰を痛めてしまうリスクが上昇します。 したがって、雪かき前後のウォーミングアップや冷え対策が重要です。 カイロや重ね着で腰まわりを冷やさないように工夫するほか、作業前には軽い体操やストレッチを行って腰痛を防ぎましょう。 まとめ|雪かきでは腰痛に注意しよう 雪かきは、腰に大きな負担がかかる重労働です。 重い雪を繰り返し運んだり、前かがみの姿勢を長時間続けたりなどで筋肉や関節に無理が生じると、腰痛を引き起こします。 腰痛を防ぐには、作業前のストレッチや防寒対策、正しい姿勢の維持が重要です。 痛みが出た場合も、状態に応じて冷却・温熱ケアを行い、症状が長引く場合は早めに医療機関を受診しましょう。 腰痛の治療でお悩みであれば、再生医療も選択肢のひとつです。 当院「リペアセルクリニック」では、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などに対して、再生医療の「自己脂肪由来の幹細胞治療」を提供しています。 公式LINEにて、再生医療に関する情報発信や簡易オンライン診断を行っておりますので、ぜひご利用ください。 雪かきでの腰痛に関するよくある質問 雪かきが原因の腰痛が治らない原因は? 雪かきをきっかけに発症した腰痛がなかなか改善しないなら、単なる筋疲労ではなく、腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、変形性腰椎症、骨粗しょう症といった疾患が隠れている可能性があります。 こうした疾患は、長期間にわたって痛みやしびれを伴うケースが多いほか、自己判断では腰痛と見分けがつきません。 早めに整形外科を受診し、画像検査などで正確な診断を受けることが適切な治療への第一歩です。 雪かきで腰痛になったら温める?冷やす? 雪かき後に腰痛が出たときに温めるか、冷やすかは、痛みの種類によって判断しましょう。 ぎっくり腰のような急性の強い痛みが出た直後は、炎症を抑えるために冷やすことが推奨されています。 ただし、冷やしすぎは血流を妨げるため、1回15〜20分を目安にしてください。 一方で、数日以上が経過して痛みが慢性化してきた場合は、筋肉のこわばりや血行不良が原因なので、温めて血流を促すのが効果的です。 痛みの性質や経過に応じて、適切な冷・温の使い分けを意識しましょう。
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こたつで過ごす時間が増える冬場は、腰への負担が無意識のうちに蓄積しやすい季節でもあります。実は、何気ない姿勢や座り方が腰痛の悪化を招くケースも少なくありません。 本記事では、こたつによる腰痛の原因や対策、痛みが続く場合に考えられる疾患や治療法について、医学的な視点から詳しく解説します。 腰痛を予防し、寒い季節を快適に過ごすための参考にしてみてください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、腰の疾患に対する治療法の一つ「再生医療」に関する情報の提供と簡易オンライン診断を行っています。ぜひ登録・ご活用ください こたつで腰痛になる原因 腰まわりが重だるいと感じているなら、こたつでの姿勢や過ごし方が悪化要因になっている可能性が考えられます。 ここでは、なぜこたつで腰痛が悪化してしまうのか、骨盤の傾き・血流低下・硬い床での座り方の3つの視点から解説します。 骨盤が後ろに倒れてしまう こたつに座る際、床にそのまま座ったり、背もたれのない状態でリラックスしたりすると、骨盤が後ろに傾きやすくなります。 骨盤の後傾により背骨が丸まると、腰椎(腰の骨)や椎間板に大きな負担がかかる恐れがあるため注意が必要です。 骨盤の後傾が起こると、次のような流れで腰痛が生まれやすくなります。 1.骨盤が後傾し、背骨の自然なカーブが失われる 2.腰椎部・椎間板・筋・靭帯に、不自然なストレスが加わる 3.長時間その姿勢が続くと、筋疲労・血流低下・神経への負荷が増大する こたつで、「背もたれなしで床に座ったまま」「ソファや椅子に移動せずそのまま」「猫背で前かがみになってしまう」という状況では、骨盤の後傾が起きやすくなります。 こたつに座って腰痛を感じているなら、骨盤の傾きに着目してみましょう。 よくない姿勢で血流が悪くなる こたつで長時間過ごすと姿勢が固まりやすくなり、筋肉が緊張・硬直してしまう場合があります。 血流が悪くなると、腰まわりの筋肉・靭帯・筋膜が疲れをため込む状態になり、次のような悪循環が起きかねません。 1.筋肉が硬直して動きにくくなり、周辺の血流が悪化する 2.血流が低下して酸素・栄養が届きにくくなり、疲労物質がたまる 3.神経・筋・筋膜に刺激が加わり、痛みを感じる さらに、こたつの暖かさでリラックスモードに入ると自然と姿勢が崩れやすく、背中を丸めた状態や前のめりになりがちです。 「こたつに入ると動くのが億劫になって、いつの間にか長居していた」「腰がじんわり重だるい」という場合には、血流が悪くなっていないか意識してみましょう。 硬い床に直接座っている 床が硬すぎると背骨に余計な負担がかかり、腰痛の原因になるケースがあります。 とくに、「畳・フローリング+薄い座布団」という状態では、寝具やチェアに比べて支えが乏しいため注意が必要です。 硬い床に直接座り続けると、以下のような状態になる場合があります。 坐骨(お尻の下部の骨)に圧が集中し、筋肉・骨・神経に負荷がかかる 座る位置が低いため、膝・股関節・腰に不自然な角度が生まれやすい 支えがない分、背中や腰の筋が姿勢を保とうとして常に緊張状態になる 上記のような状況では、骨盤・腰椎・筋肉・神経に対し、疲れの蓄積やストレスの継続が起こりやすくなります。 腰痛を軽減するためには、硬い床に直接座らないようにしましょう。 こたつの腰痛対策 こたつで長時間同じ姿勢を続けたり、床に直接座ったりすると、腰に大きな負担がかかるため注意が必要です。 ここでは、こたつを使いながら腰への負担を軽減するための具体的な工夫を紹介します。 クッションや座椅子を活用する 床に直接座ると骨盤が後ろに傾きやすく、腰に負担が集中します。 骨盤の後傾を防ぐためには、クッションや座椅子を使って座面を高くし、骨盤を立てた状態を維持するのが有効です。 とくに、背もたれのある座椅子を使用すると、腰を支える力が分散し、長時間座っていても姿勢が安定します。 座布団を重ねて高さを調整する方法もありますが、すぐにずれてしまう場合は、形状がしっかりしたウレタン素材のクッションや座椅子を利用しましょう。 同じ姿勢を長時間続けない こたつに入っていると、つい長時間動かずに過ごしてしまうことがあります。 しかし、同じ姿勢を取り続けると筋肉が硬直し、血流が低下しやすくなるため注意しなければなりません。 30分から1時間に一度は立ち上がったり、姿勢を変えたりして、筋肉や関節にかかる負荷をリセットすることが重要です。 とくに、腰まわりや太もも、背中の緊張をこまめにほぐすことで、筋疲労の蓄積を防げます。 こまめに動きを取り入れて筋肉の柔軟性を維持し、腰への負担を減らしましょう。 足元を温める こたつのヒーターを切ると、上半身は布団で保温されますが、足元に冷えが残る場合があります。 冷えは血管を収縮させて血行不良を引き起こし、筋肉のこわばりや関節の動きにくさの原因になるため注意しましょう。 とくに、足先の冷えは下半身全体の血流を滞らせやすく、腰部の循環にも影響を及ぼします。 厚手の靴下を重ねて履いたり、湯たんぽを使ったりして、足元を集中的に温める方法が効果的です。 また、こたつ布団のすき間から冷気が入り込まないように注意すれば、下半身全体の冷えを防げます。 ストレッチで筋肉をほぐす 座ったままの姿勢が続くと、腰・股関節・背中の筋肉が緊張しやすくなります。 筋肉がこわばると、血流が阻害され、痛みや違和感が現れるケースも少なくありません。 こたつから出るタイミングで軽いストレッチを取り入れることで、筋肉の柔軟性が保たれ、疲労の蓄積を防げます。 おすすめなのは、太ももの裏(ハムストリングス)やお尻の筋肉を伸ばすストレッチです。 無理のない範囲でゆっくり伸ばし、腰部への間接的な負担を軽減していきましょう。 硬い床に直接座らない 硬い床に直接座るとお尻の骨に圧力が集中し、周囲の筋肉や神経にストレスがかかります。 また、床からの冷えで下半身の血流が悪くなると、腰の違和感や痛みが生じやすくなるため注意が必要です。 畳やフローリングの上に、クッション性のあるマットを敷いたり、厚めの座布団を活用したりすることで、硬さによる圧迫を和らげられます。 長時間のこたつ時間を快適に過ごすためにも、冷えと圧迫の両方を防ぐ工夫を取り入れていきましょう。 座椅子に座るならフラットヒーターのこたつを選ぶ 腰痛防止を優先するなら、ヒーターの構造も確認してこたつを選ぶことが大切です。 一般的なこたつは中央にヒーターが突出しているため、座椅子の背もたれがヒーターにぶつかってしまい、無理な姿勢になってしまう場合も少なくありません。 フラットヒータータイプのこたつは、天板の裏に出っ張りが少なく、座椅子を使っても自然な姿勢を保ちやすくなるのがメリットです。 ヒーターの出っ張りがない分、脚を広げたり背中をまっすぐにしたりといった動きもスムーズに行えます。 継ぎ脚でテーブルの高さを調整する こたつの高さが低すぎると、上半身を前かがみにして食事や作業をする体勢になり、腰や背中に負担がかかります。 このような姿勢が続くと、骨盤の後傾や背中の丸まりにつながり、腰痛が生じる原因になるため注意が必要です。 こたつが低すぎる場合は、継ぎ脚を取り付ける方法があります。 こたつの高さを数センチ上げると姿勢が起きやすくなり、背中を伸ばした状態で座ることが可能です。 とくに、食事やパソコン作業などで長時間こたつを使う場合には、こたつの高さを調整してみましょう。 こたつで寝るときの腰痛対策 こたつで寝る習慣は、腰にとって大きな負担になります。 ここでは、こたつで寝るときに腰の負担をできるだけ抑えるための対策を見ていきましょう。 枕の高さ・角度を調整する こたつで横になる際、頭の高さが合っていない枕やクッションを使うと、首や腰の自然なカーブが崩れ、腰に余計な負担がかかります。 とくに、枕が高すぎると背骨のS字カーブが乱れ、骨盤や腰椎にストレスが集中しやすくなるため注意しましょう。 逆に、低すぎても首が後ろに反り、肩や腰まわりの筋肉が緊張します。 こたつで横になる場合は、厚すぎないタオルや低めのクッションを使い、首から背中、腰までが緩やかなS字カーブを描く自然なラインを保つ工夫が大切です。 頭から腰までの角度が安定すれば、腰への負担を抑えた状態で仮眠をとれるようになります。 うつ伏せでは寝ない うつ伏せで寝ると、腰が反った状態で長時間固定される状態になり、腰椎や筋肉への負荷が大きくなります。 結果、背骨全体の配列が乱れ、腰まわりに強い緊張を生じさせる原因になるのです。 また、顔を左右どちらかに向けて寝る姿勢は、首や肩にも無理なねじれが加わります。 こたつで寝るときは、できるだけ仰向けや横向きの姿勢がおすすめです。 仮眠の際には寝姿勢にも十分注意を払い、翌朝の腰痛リスクを軽減していきましょう。 寝る前にストレッチする こたつで寝る前に軽いストレッチを取り入れると、腰まわりの筋肉がほぐれ、血流を促進する効果が期待できます。 とくに、長時間座っていた後や寒さで身体がこわばっているときには、筋肉が緊張した状態のままで寝ると、起床時に痛みが出やすくなります。 ストレッチは、太ももの裏やお尻、腰の筋肉を中心に、無理のない範囲でゆっくりと行うことが重要です。 筋肉をあらかじめ緩めておくと、睡眠中の姿勢が安定しやすくなり、腰への負担も軽減されます。 こたつの腰痛予防|痛くならない座り方 こたつで過ごすとき、注意すべきは骨盤の傾きです。 床に直接座ったり、背もたれがない状態で前かがみになったりすると、骨盤が後ろに倒れて背中が丸まり、腰椎に大きな負担がかかります。 骨盤が後ろに倒れた姿勢が長時間続くと、筋肉が緊張し血流が悪化するため、立ち上がったときに腰の痛みを感じる原因になるのです。 こたつを使う際は、座面に厚めのクッションを敷いて骨盤が立ちやすい高さを確保するほか、できれば背もたれ付きの座椅子を使うと姿勢が安定します。 骨盤を垂直に保って腰の自然なカーブを意識すると、こたつに座った状態でも腰への負担を最小限に抑えられるので実践してみてください。 こたつで腰痛が続くなら要注意|隠れた疾患の可能性 こたつで過ごした後に腰痛が長引く場合、単なる姿勢の問題だけでなく、椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などの疾患が隠れている可能性があります。 とくに腰から脚にかけてのしびれ、片側の足の筋力低下、長時間歩くと脚が痛むといった症状がある場合は注意が必要です。 保存療法で改善が見られない場合は、再生医療も選択肢になります。 再生医療には、幹細胞を患部に投与する「幹細胞治療」や、血液に含まれる成長因子の働きを活かす「PRP療法」があり、いずれも入院や手術を伴わず、日帰りで施術可能です。 体への負担が少ないため、術後の後遺症や慢性的な症状に悩む方の選択肢の一つとなります。 椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症に対する再生医療の内容については、以下の症例記事をご覧ください。 まとめ|こたつに正しく座って腰痛を予防しよう こたつでの腰痛は、姿勢や座り方を見直すことで大きく軽減できます。 座椅子やクッションの工夫、定期的なストレッチ、体を冷やさない配慮など、日常の工夫で腰への負担を減らしていきましょう。 ただし、痛みやしびれが続く場合は、椎間板ヘルニアや坐骨神経痛といった疾患が隠れている可能性もあるため注意が必要です。 保存療法で改善しないケースでは、手術を避けたい方に適した新しい治療法として、再生医療という選択肢もあります。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症の治療法の一つ、再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を実施していますので、ぜひご登録ください。 こたつの腰痛に関するよくある質問 テレワークでパソコン作業するのに適したこたつは? こたつでテレワークやパソコン作業を行う場合、座面の高さと硬さが腰に影響します。 座面が高すぎると足を伸ばしにくくなり、低すぎると前かがみの姿勢になりやすいため、どちらも長時間の作業には不向きです。 また、座面が柔らかすぎると骨盤が後ろに倒れやすくなり、腰椎に無理な力が加わります。 作業しやすい高さのこたつを選ぶほか、適度な硬さと高さを備えた座椅子やクッションを組み合わせると良いでしょう。 堀ごたつは腰痛防止に向いている? 堀ごたつは、腰痛防止に向いています。 床面を掘り下げて椅子のように座れる構造で、腰にかかる負担を軽減しやすいのが特徴です。 足を下ろせるスペースがあるため骨盤が立ちやすく、背筋を伸ばした姿勢を保ちやすくなります。 通常のこたつよりも自然な座位姿勢がとれるため、腰痛が気になる人にとって有効です。
2025.12.13 -
- 脊椎
- 脊椎、その他疾患
「慢性的な腰痛が辛い」 「市販の鎮痛剤を飲んでいるけれど、このまま飲み続けて良いのだろうか?」 「病院で薬を処方してもらう方が良いような気がする」 慢性腰痛に悩まれている方の中には、さまざまな薬を内服されている方もいらっしゃるでしょう。 慢性腰痛は発症から3か月以上続く腰痛であり、薬が効きにくいとされます。 本記事では、慢性腰痛に使われる主な薬や薬が効きにくい理由を中心に解説します。薬以外のセルフケアや医療機関での治療内容についても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 薬を飲んでも続く慢性腰痛にお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 慢性腰痛に使われる薬の種類と効果 本章では、慢性腰痛治療に使われる3種類の薬とそれぞれの効果について解説します。 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs) 抗炎症作用や鎮痛・解熱作用がある薬剤の総称で、広い意味ではステロイド剤以外の抗炎症薬すべてを含みます。一般的には、腰痛をはじめとする体の痛みや発熱の治療に使用される解熱鎮痛薬とほぼ同義語です。(文献1) 薬品名としては、以下のようなものがあげられます。 アスピリン インドメタシン イブプロフェン 副作用として多く見られるのが、胃痛や吐き気、嘔吐といった消化器症状および腎機能障害、喘息発作などです。 神経障害性疼痛治療薬 神経や脊髄、または脳の損傷および機能障害による痛み(神経障害性疼痛)を治療するための薬です。これらの薬の中には、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬や三環系抗うつ薬など、うつ病治療に用いられるものもあります。 主な薬としてあげられるものは、以下のとおりです。 プレガバリン(リリカ) デュロキセチン ミロガバリン(タリージェ) イミプラミン これらの薬には、眠気やめまい、ふらつきといった副作用があります。 以下の記事ではタリージェについて詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 麻薬鎮痛薬(オピオイド) オピオイドは、脳や脊髄、末梢神経にあるオピオイド受容体に結合し、痛みの伝達を抑制する薬剤です。がんによる痛みや、神経損傷後の慢性的な痛みなどに作用します。(文献2) オピオイドには弱オピオイドと強オピオイドがあり、慢性腰痛治療で用いられるのは主に弱オピオイドです。弱オピオイドは、強オピオイドよりも身体への依存性が低いとされています。 弱オピオイドの主な薬としては、コデインリン酸塩、トラマドールなどがあります。 オピオイドの副作用は便秘や吐き気、体のかゆみ、眠気などです。 慢性腰痛に薬が効きにくい理由 慢性腰痛とは、発症から3か月以上経過した腰痛です。腰痛の慢性化には、筋肉や脳、神経などが関わります。(文献3) 痛みへの不安から必要以上に安静にしたため筋肉が硬直し、かえって腰痛が長引くケースもあります。中枢神経が興奮状態にあり、常に痛みの信号を伝え続けるために腰痛が慢性化する場合も少なくありません。婦人科疾患を含む内臓疾患由来の腰痛や、心因性の腰痛もあります。(文献4) 原因が不明な状況で薬を飲んでいても、その薬が原因と合致するとは限りません。そのため、慢性腰痛は薬が効きにくいとされています。 慢性腰痛の概要や治療法などは、下記の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 慢性腰痛薬の効果を高めるセルフケア 慢性腰痛において薬の内服は、大切な治療の一環です。薬の効果を高めるためには、日常生活面でのケアも必要です。 主なセルフケアを以下に示しました。 姿勢の改善 ストレッチを含む運動 充分な睡眠 ストレスへの対処 セルフケアの中でも、比較的手軽にできるものがストレッチです。仕事や家事の合間に、無理のない範囲で試してみましょう。 下記の記事では、慢性腰痛向けのストレッチを紹介しております。あわせてご覧ください。 慢性腰痛で医療機関を受診すべきサイン 慢性腰痛で薬を飲んでいても、以下のようなサインが生じた場合は、早急に医療機関を受診してください。(文献5) 腰から下がしびれる 足の力が入りにくい 排尿や排便異常を伴う 夜間や安静時にも強く痛む 発熱や体重減少を伴う 薬を飲んでも改善しない、もしくは痛みが増している 慢性腰痛発症前に、背中を痛めたことがある これらの症状がある場合、脊柱管狭窄症や感染性脊椎炎、腰椎圧迫骨折、内臓疾患などが疑われます。 痛みが長引いたり症状が悪化したりする場合は放置せず、整形外科や内科、婦人科などの医療機関を受診しましょう。 慢性腰痛における薬以外の治療 薬の内服で慢性腰痛が回復しない場合の選択肢としては、運動療法や心理療法、手術療法、再生医療などがあげられます。 再生医療とは、けが、もしくは病気で機能が低下した組織や臓器、細胞を元通りにするための治療法です。再生医療のうち、ヒトの体内でいろいろな役割を果たせる幹細胞を活用したものが、幹細胞治療と呼ばれるものです。 脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアなどによる慢性腰痛も、再生医療の対象になります。 当院、リペアセルクリニックでは、脂肪由来の幹細胞を使用した「自己脂肪由来幹細胞治療」を実施しております。 腰部脊柱管狭窄症と腰椎椎間板ヘルニアの手術後も腰痛に悩む80代の男性が、再生医療により症状が改善した治療実績もございます。詳しくは以下の記事をご覧ください。 薬で改善しない慢性腰痛は医療機関を受診しよう 慢性腰痛は、原因やタイプによって効果的な薬が異なります。主な薬としては非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や神経障害性疼痛治療薬などがあり、症状に応じて使い分けることが大切です。 ただし、薬は痛みを和らげる手段の1つに過ぎません。慢性腰痛の背景には、筋肉のこわばりや神経過敏、ストレスなど、複数の原因が関係しています。薬の内服と並行して、生活習慣の改善に努めましょう。 薬を飲み続けても良くならない場合や痛みが増している場合は、放置せず早急に医療機関を受診しましょう。適切な診断と治療を選ぶことが慢性腰痛改善の第一歩です。 薬で改善しない慢性腰痛でお悩みの方は、リペアセルクリニックまでお気軽にお問い合わせください。メール相談やオンラインカウンセリングも行っております。 慢性腰痛と薬に関するよくある質問 慢性腰痛は病院に行くべきですか? 慢性腰痛は医療機関を受診すべきです。慢性腰痛にはさまざまな原因があり、長く放置していると命に関わる重大な疾患を見逃すこともあります。 受診先の第一候補は整形外科であり、その他には内科や婦人科、心療内科などがあげられます。整形外科で異常が見つからない場合は、腰痛以外の症状を見ながら他の診療科を受診しましょう。 腰痛は痛み止めの薬を飲まない方がいいのですか? 腰痛の場合は、我慢せずに痛み止めを服用してください。痛みを我慢し過ぎると神経が過敏になり、後から薬を飲んでも効果が得られにくくなることがあります。 ただし、痛み止めを服用しても症状が改善しない場合に、自己判断で服用量や回数を増やすことは避けてください。過剰な服用は消化器障害や腎機能障害などのリスクを高めます。 薬を適切に服用しても腰痛が続く場合は、早急に医療機関を受診しましょう。 参考文献 (文献1) NSAIDsとは|独立行政法人国立病院機構相模原病院臨床研究センター (文献2) オピオイド|一般社団法人日本ペインクリニック学会 (文献3) 腰痛診療ガイドライン2019改訂第2版|日本整形外科学会日本腰痛学会 (文献4) 急性腰痛と慢性腰痛痛みが長引く理由慢性腰痛の治療|滋賀医科大学 (文献5) 腰痛における3つの診断的トリアージ|公益社団法人日本理学療法士協会
2025.12.13 -
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「慢性的な腰痛が続いていて辛い」 「腰痛にはストレッチが良いと聞いたのだが、どのようなものがあるのだろうか?」 このようにお考えの方も多いことでしょう。 ストレッチは慢性腰痛に効果的ですが、方法を間違えてしまうと逆に腰痛が悪化する場合もあります。 ストレッチの際は注意事項を守り、正しい方法で行うことが必要です。 本記事では、腰痛のタイプ別ストレッチに加えて、各タイプに共通して実践可能なストレッチなどを紹介します。ストレッチ以外の生活習慣も解説しますので、慢性腰痛にお悩みの方はぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 慢性腰痛およびストレッチについて知りたい方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 慢性腰痛にストレッチが良い理由と実施時の注意点 慢性腰痛とは、発症後3カ月以上続く腰痛のことです。脊椎およびその周辺運動器や神経に由来するもの、内臓が原因のもの、心因性のものなど原因はさまざまです。(文献1) ストレッチは運動療法の一環であり、慢性腰痛に対して強く推奨されています。(文献1) ストレッチの効果としては、筋肉の柔軟性を保つ効果や疲労回復、リラクゼーションなどがあります。ストレッチ実施時の主な注意点を、以下に示しました。(文献2) 息を止めずにゆっくりと体を動かす 体を動かすときは反動やはずみをつけない ストレッチで伸ばしている筋肉に意識を向ける 20秒から30秒程度伸ばす 腰痛が強いときは行わない 慢性腰痛については下記の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 慢性腰痛向けのストレッチ 慢性腰痛向けのストレッチは、主に以下の5タイプです。 長時間同じ姿勢タイプ 重労働タイプ 反り腰タイプ 猫背タイプ 心因性タイプ 全タイプに共通して実践可能なストレッチもありますので、あわせて紹介します。 下記の記事では、坐骨神経痛のストレッチについて詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 長時間同じ姿勢タイプ 文字どおり、デスクワークや立ち仕事などで長時間同じ姿勢を続けている方に多いタイプです。同じ姿勢をとり続けることで筋肉が凝り固まり、血流が悪くなるために腰痛が引き起こされます。 長時間同じ姿勢タイプの方に適したストレッチは、太もも裏やお尻を伸ばすものです。 椅子に浅く座り、片脚を前に伸ばしてかかとを床につけてから、背筋を伸ばして前屈する 椅子に座り、片足を反対側の足の上に載せてから背筋を伸ばし、ゆっくりと体を前に倒す ストレッチの際は、太もも裏やお尻の伸びを意識してみましょう。 重労働タイプ 介護や看護、運送など、人の体を抱えたり重い荷物を持ったりする職業の方に多いタイプです。 中腰や急に体をひねる動作などが多く、常に腰に負担がかかりやすい状況です。腰への負担が筋繊維の損傷につながり、腰痛が慢性化していきます。 重労働タイプの方向けのストレッチは、太ももやふくらはぎ、上半身などを伸ばすものです。 片方の足をお尻につけて太ももの前側を伸ばす 上半身をゆっくりと90度まで曲げる 片方ずつふくらはぎを伸ばす いずれのストレッチも、椅子や手すりにつかまりながら行いましょう。 反り腰タイプ 立った姿勢で腰を反らせる傾向がある方や、ヒールの高い靴を頻繁に履く方に多いタイプです。 骨盤が前に傾き、腰椎が反りすぎてしまうため、腰の筋肉が常に緊張しています。背筋や太もも前の筋肉である大腿四頭筋が硬く、腹筋も弱くなっているのが特徴です。 反り腰タイプの方向けのストレッチは、前ももや背中の柔軟性を改善するものです。 両膝を立てた仰向けの姿勢で、ゆっくりとお尻を上げながら背骨を動かしていく 四つん這いになり、深呼吸しながらゆっくりと、背中を丸める動作と反らす動作を繰り返す 猫背タイプ 間違った姿勢(座り方や歩き方)で過ごしている方や、運動不足により姿勢を保つ筋力が低下している方に多いタイプです。 猫背の方は骨盤が後ろに傾いている状況も多くみられます。腰痛以外に、肩こりや首こり、呼吸の浅さを感じる方も少なくありません。 猫背の方向けのストレッチは、胸を開くタイプのものです。 両手を背中の後ろで組み、肩甲骨を寄せて胸を開く 両手を肩に載せて、肘で大きく円を描くように前から後ろへ回す 心因性タイプ 仕事や家庭でのストレスや緊張が強い方、睡眠不足の方に多いタイプです。精神的な緊張は交感神経を優位にし、筋肉のこわばりや血流低下を生じさせます。 ストレスから筋肉が緊張し、痛みが慢性化している状況です。 心因性タイプの方向けのストレッチは、リラックスできるタイプのものです。 仰向けの姿勢で、両膝を胸に抱えて20秒キープする そのまま膝を左右にゆっくり倒し、体幹をねじりながらゆっくり深呼吸する 全タイプに共通して実践可能なストレッチ 全タイプに共通して実践可能なストレッチとしてあげられるのが、「これだけ体操®」です。(文献3) 「これだけ体操®」は、東京大学医学部附属病院の特任教授であり、医学博士の松平浩氏により考案されました。いずれもシンプルな動きのストレッチです。 2つの体操を表に示しました。 体操の種類 身体の動かし方 腰を反らす ・足を肩幅より開いて立ち、両手をお尻に当てる ・指は下向きにそろえる ・息を吐きながら上体をゆっくり反らして約3秒間キープ ・その後、元の姿勢に戻す 腰をかがめる ・足を肩幅より広げて、椅子に浅く腰かける ・膝に手を当てて深呼吸する ・腕を足もとに垂らして、フーッと息を吐きながらゆっくり背中を丸める ・3秒間この姿勢をキープして元の姿勢に戻す 慢性腰痛を防ぐストレッチ以外の習慣 慢性腰痛を予防するストレッチ以外の習慣において大事なポイントは、長時間同じ姿勢をとらないことです。とくに、長時間座りっぱなしの状態は、腰に強い圧力がかかり、腰回りの筋肉が常に緊張してしまいます。ときどき椅子から立ち上がり、本記事で紹介したストレッチを実践しましょう。 ストレッチと並行して、適度な運動も慢性腰痛に効果的です。ウォーキングや体幹トレーニングなどで筋力を維持し、正しい姿勢を保てるようにしましょう。 睡眠も重要なポイントです。睡眠不足は体の痛みを回復するプロセスを阻害します。また体にとってもストレスであり、わずかな痛みでも強く感じる原因になります。可能な限り、6時間以上の睡眠を心がけましょう。 慢性腰痛と生活習慣の関係については、下記の記事でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 ストレッチで改善しない慢性腰痛は医療機関を受診しよう ストレッチは、筋肉の柔軟性回復やリラクゼーションなど慢性腰痛に対して、さまざまな効果を発揮するものです。慢性腰痛にはそれぞれタイプがあるため、自分のタイプに合ったストレッチにより、慢性腰痛の回復が期待できます。 しかし、ストレッチで治らない、もしくはストレッチにより痛みが強くなるときは、無理に続けると悪化する可能性があります。この場合はストレッチを中止した上で医療機関を受診し、慢性腰痛の原因を明らかにして適切な治療を受けましょう。 慢性腰痛の治療法としては、ストレッチを含めた運動療法や薬物療法、心理療法、手術療法、再生医療などがあります。 リペアセルクリニックでは、脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアなどによる慢性腰痛に対して再生医療を実施しております。 メール相談やオンラインカウンセリングにも対応しておりますので、お気軽にお問い合わせください。 慢性腰痛とストレッチに関するよくある質問 即効性のある慢性腰痛向けストレッチはありますか? 比較的即効性のあるストレッチとして、ここでは2種類紹介します。 1つ目は椅子に座ってのストレッチです。椅子に浅く腰かけて、背中を丸める動作と胸を反らす動作を繰り返しましょう。ストレッチの際は息を止めず、ゆっくりと深呼吸してください。 もう1つは立った姿勢でのストレッチです。立ったまま両足を肩幅に開き、両手を腰に当てます。骨盤を中心にして、大きく円を描くように腰を回しましょう。目安としては、左右ともに10回ずつです。 絶対にやってはいけない腰痛ストレッチとは何ですか? 強い痛みを我慢したり、反動をつけたりするストレッチは行わないでください。筋肉や靱帯を損傷する可能性があるほか、腰椎に強い負担をかけてしまうためです。 前屈すると痛い方の場合は前屈のストレッチが禁忌であり、反らすと痛い方の場合は反らす姿勢のストレッチが禁忌です。 腰やおしり、太ももにしびれがある方は、ストレッチで過度に伸ばさないようにしましょう。過度に伸ばすと神経に負担がかかり、しびれを増強させるためです。 腰痛のストレッチで寝ながらできるものはありますか? 寝ながらできる腰痛のストレッチは、主に以下の3つです。 膝を抱えながらゆっくりと深呼吸するストレッチ 片膝を曲げ、反対側に曲げるストレッチ 両膝を立て、片足にタオルをかけた状態で頭の方へ伸ばすストレッチ ストレッチの際は、呼吸を止めない、痛みやしびれが出たときはすぐに中止するなどを念頭に置いておきましょう。 参考文献 (文献1) 腰痛診療ガイドライン2019改訂第2版|日本整形外科学会日本腰痛学会 (文献2) 別添職場における腰痛予防対策指針|厚生労働省 (文献3) 腰痛に関する新たな常識!重症化を防ぐために|公益社団法人日本理学療法士協会
2025.12.13 -
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「3カ月以上腰痛が続いている」 「整形外科を受診したけれど異常なしと診断された」 「このまま治らないのではと不安である」 このようなお悩みを抱えている方も多いことでしょう。 慢性腰痛とは、発症から3カ月以上続く腰痛を指します。原因は整形外科疾患だけではなく、内科疾患や心因性のものも含まれます。そのため受診先医療機関も患者様ごとに異なるのです。 本記事では、慢性腰痛の概要を中心に、原因や放置のリスク、セルフケア、治療法などを解説します。慢性腰痛でお悩みの方のヒントになりますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 慢性腰痛について知りたい方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 慢性腰痛とは 慢性腰痛とは、発症から3カ月以上経過した腰痛を指します。慢性腰痛の経過は、急性腰痛(発症からの期間が4週間未満)よりも良くない状況です。(文献1) 腰痛患者は非常に多く、2022年(令和4年)の国民生活基礎調査によると、腰痛の有病率は人口千人あたり、男性91.6で女性が111.9でした。男女とも腰痛の有訴者率が第1位です。(文献2) 腰痛の原因は、主に以下のとおりです。 脊椎由来 脊椎周辺の運動器由来 神経由来 内臓由来 血管由来 心因性 腰痛は、原因がはっきりしている「特異的腰痛」と原因不明の「非特異的腰痛」に分けられます。腰痛のうち85%は非特異的腰痛と言われています。(文献3) 慢性腰痛の主な原因 慢性腰痛の原因疾患としてあげられるものは、主に以下のとおりです。 脊柱管狭窄症 腰椎椎間板ヘルニア 変形性脊椎症 腰椎圧迫骨折 がんを含む各種内臓疾患 これらの疾患に加えて、良くない姿勢や運動不足、肥満、ストレスなども慢性腰痛の原因に含まれます。 慢性腰痛が続く理由 腰痛が慢性化する理由は、筋肉や神経、脳などさまざまです。 痛みへの不安から長期間安静にしていると、筋肉が硬くなり、かえって痛みが増すことも少なくありません。また、末梢神経から痛みの信号を受ける中枢神経が常に興奮状態にあると、痛みの信号を脳に伝え続けてしまいます。 慢性腰痛が続く理由については、下記の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。 慢性腰痛を放置するリスク 慢性腰痛を放置すると、複数のリスクが生じます。 主なリスクは以下のとおりです。 回復に時間がかかる 痛みを避けるため腰以外の部分に負担がかかり、新たな痛みが生じる 重大な病気(とくに内臓疾患)の発見が遅れる可能性がある 適切な治療の機会を失い、痛みが継続・悪化する可能性がある 慢性腰痛を放置するリスクは身体面だけではありません。慢性腰痛自体が、仕事に深刻な影響を与えるものであり、放置すれば労働能力の低下や失業につながるリスクがあります。(文献4) 腰痛を放置するリスクについては、下記の記事でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 関連記事:腰痛の放置は危険?病院へ行くタイミングや症状チェックリストを紹介 【自宅でできる】慢性腰痛の対策 自宅で出来る慢性腰痛の対策としてあげられるものは、主に以下のとおりです。 正しい姿勢を意識する 適度な運動を行う ストレスをためない生活習慣を心がける 正しい姿勢を意識する 椅子に座るときや物を持ち上げるとき、寝た姿勢から起き上がるときなど、身体を動かすときはそれぞれの正しい姿勢があります。正しい姿勢を常に意識して身体を動かすことが必要です。 椅子に座るときの正しい姿勢は、主に以下のとおりです。 いすに深く腰掛けて背筋を伸ばす 足裏全体が床に届くように椅子の高さを調整する 前傾姿勢を避ける 物を持ち上げる場合は、腰を下ろして前かがみの姿勢になり、重心を低くしましょう。前かがみになるときは、腹筋に力を入れてください。その上で、荷物をできるだけ体の近くに引き寄せてから持ち上げましょう。 寝た姿勢から起き上がるときは、一度体を横に向けた後、肘をついてからゆっくり起き上がります。 適度な運動を行う 適度な運動の例としては、ストレッチや体幹トレーニング、全身運動などがあげられます。 ストレッチおよび体幹トレーニングの例を、以下に示しました。 お尻の上げ下げ 軽い腹筋運動 両足の曲げ伸ばし 四つ這いになり片足をお尻の高さまで上げる(両足とも実施) 立った姿勢での前後屈 立った姿勢で上半身を左右に倒す 全身運動としての代表的なものは、1日15〜20分程度のウォーキングです。 いずれの運動も、週3〜4日程度のペースで続けることが理想的です。ただし、痛みがあるときには休みましょう。 以下の記事でも慢性腰痛向けのストレッチを紹介していますので、あわせてご覧ください。 ストレスをためない生活習慣を心がける ストレスは脳機能の不具合を引き起こすほか、身体症状を引き起こす場合があります。その中の1つが腰痛です。 また、ストレスにさらされ続けると、脳内で痛みを抑制する機能が働きにくくなります。そのため、わずかな痛みでも強く感じたり、痛みが長引いたりします。 ストレスと腰痛に関連する重要な概念が、恐怖回避思考です。(文献5)これは、「また腰痛になるのでは」といった不安や恐怖から過度に腰をかばってしまう思考および行動を指します。 不安や恐怖を含めたストレス解消のためには、十分な睡眠や適度な運動を心がけましょう。家族や親しい友人に悩みごとを打ち明けることも、ストレス解消の一環です。ただし、飲酒や喫煙でのストレス解消は好ましくないため控えましょう。 慢性腰痛で受診すべき診療科 慢性腰痛の原因は多岐に渡るため、受診すべき診療科もさまざまです。この章では、腰痛の状況に合わせた診療科を表形式で紹介します。 診療科 主な診察内容 整形外科 骨や神経、筋肉のトラブルの有無を診察できる。 動かすと腰が痛む、腰や足がしびれる、関節や筋肉に不安がある場合の受診先。 内科 内臓疾患に関する検査や診察ができる。 腰痛のほか、腹痛や発熱、倦怠感などの症状がある場合の受診先。 婦人科(女性限定) 子宮や卵巣、ホルモンバランスの検査および婦人科系疾患の有無を診察できる。 月経が不順である、月経が止まった、腰痛に加えて下腹部痛もあるといった場合の受診先。 心療内科・精神科 精神心理面の検査や診察、カウンセリングなどを行う。 原因が不明の慢性腰痛がある、強いストレスがあるといった場合の受診先。 ペインクリニック 痛みの診断と治療を行う診療科。 薬物療法やブロック注射、低侵襲手術療法などを行う。 既に受診中の医療機関がある場合は、そこからの紹介状を受け取って受診しよう。 下記の記事では、更年期と腰痛の関係について解説しています。あわせてご覧ください。 慢性腰痛の治療法 慢性腰痛の治療法としては、以下のようなものがあげられます。 薬物療法 運動療法 心理療法 手術療法 再生医療 薬物療法 慢性腰痛治療に推奨される薬物のうち、主な3つを表に示しました。 薬剤名 効果 セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬 脳内の神経伝達物質であるセロトニンとノルアドレナリンの濃度を高める働きがある。 痛みを抑制する経路「下行性疼痛抑制系」を活発にして痛みを抑える。 弱オピオイド オピオイドとは麻薬性の鎮痛薬。 弱オピオイドは、軽度から中等度の痛みに用いられるもので、鎮痛作用に有効限界がある (有効限界:一定量を超えると、それ以上量を増やしても痛みが軽減されないこと) 非ステロイド性抗炎症薬 体内で炎症を引き起こす物質(プロスタグランジン)の生成を抑え、炎症や痛みを抑える薬。 熱を下げる作用もある。 慢性腰痛に使われる薬については、下記の記事でも解説しています。あわせてご覧ください。 運動療法 慢性腰痛の場合、運動療法が強く推奨されています。(文献1) 運動療法の効果としては、以下のようなものがあげられます。 腰痛軽減 筋力向上 持久力向上 運動機能改善 健康状態改善 生活の質向上 ただし、運動内容や基礎疾患の有無によっては腰痛が悪化する可能性もあるため、運動を始める際には主治医に相談しましょう。 心理療法 慢性腰痛の心理療法として代表的なものが、認知行動療法です。認知行動療法は、他の慢性腰痛治療と同様に、運動機能改善や生活の質向上、恐怖回避思考の変容などに効果があります。(文献1) 認知行動療法の具体的な方法としては、行動活性化や認知再構成などがあります。 行動活性化とは、生活リズムの改善や、喜びおよび楽しみを感じられる行動の選択などです。認知再構成とは、つらい感情が沸いたときの思考パターン(自動思考)を見つけて、考え方を見直すことを指します。 認知行動療法は、精神科や心療内科といった医療機関や民間のカウンセリングルームなどで受けられます。 手術療法 神経の圧迫による慢性腰痛に関しては、手術療法は有効な治療法になります。 手術の対象疾患は、主に以下のとおりです。 腰部脊柱管狭窄症 椎間板ヘルニア 変形性腰椎症 主な手術方法は、以下のとおりです。 リゾトミー(高周波熱凝固法) 脊椎固定術 全内視鏡下脊椎手術 慢性腰痛の手術療法については、下記の2記事でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。 関連記事 慢性腰痛には手術が有効?治療法ごとの費用・期間・リスクも紹介 リゾトミー(Rhizotomy)とは?慢性腰痛に効果的な手術方法を詳しく解説 再生医療 腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアなどによる慢性腰痛の場合、再生医療も選択肢となります。 再生医療の1つが、さまざまな細胞に変化する能力を持つ幹細胞を用いた治療です。 幹細胞治療は、患者様の腹部の脂肪から幹細胞を採取し体外で培養してから体内に戻すもので、拒絶反応やアレルギー反応が起こりにくい治療法です。 1年前から腰部脊柱管狭窄症に悩む60代の女性が、再生医療を実施して症状が改善した治療実績もございます。詳しくは以下の記事をご覧ください。 慢性腰痛は放置せず医療機関を受診しよう 慢性腰痛は、脊椎や周辺の運動器疾患、神経疾患、婦人科疾患、内臓疾患由来によるものや、心因性のものなどさまざまです。 放置すると、痛みの継続・悪化に加えて、腰痛に隠された疾患を見逃すリスクがあります。 自宅でできるセルフケアを実施しつつ、自分の痛みに合った診療科を受診し、適切な治療を受けましょう。薬物療法や運動療法、心理療法、手術療法のほか、再生医療も慢性腰痛治療の選択肢です。 慢性腰痛でお悩みの方は、リペアセルクリニックまでお気軽にお問い合わせください。メール相談やオンラインカウンセリングも行っております。 慢性腰痛に関するよくある質問 慢性腰痛とヘルニアの違いは何ですか? 慢性腰痛は3カ月以上継続する腰痛の総称です。ヘルニアとは、臓器や組織がなんらかの原因で弱くなり本来の位置から脱出した状態を指します。 慢性腰痛と関係するのは、腰椎椎間板ヘルニアです。腰椎椎間板ヘルニアとは、腰椎(背骨)にある椎間板と呼ばれる組織が本来の位置から飛び出して神経を圧迫し、痛みを引き起こします。また腰椎椎間板ヘルニアは、臀部から下肢(膝から下)の痛みも引き起こします。 慢性腰痛は病院に行くべきですか? 慢性腰痛は放置せずに病院を受診すべきです。放置すると心身両面で大きなリスクが生じてしまいます。 原因に合った治療により慢性腰痛も改善可能であるため、必ず医療機関を受診しましょう。診療科としては、整形外科や内科、婦人科、心療内科、ペインクリニックなどがあります。 参考文献 (文献1) 腰痛診療ガイドライン2019改訂第2版|日本整形外科学会日本腰痛学会 (文献2) 2022(令和4)年国民生活基礎調査の概況|厚生労働省 (文献3) 腰痛を予防していつまでも笑顔に|公益社団法人日本理学療法士協会 (文献4) Chronic Low Back Pain: A Narrative Review of Recent International Guidelines for Diagnosis and Conservative Treatment|PubMed Central® (文献5) 働く人のメンタルヘルス・ポータルサイトこころの耳|厚生労働省
2025.12.13







