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「投球時に肩に違和感がある」 「スイング動作で痛みを感じる」 野球選手に多く見られる肩関節唇損傷は、放置するとプレーに支障をきたすおそれがあります。痛みがなくても不安定感が続く場合、復帰時期の判断は難しくなります。多くの選手が「手術を受けるべきか」「リハビリで復帰できるか」で悩みますが、治療法は損傷の程度や競技レベルによって異なります。 本記事では、現役医師が肩関節唇損傷を発症しやすい理由と手術や復帰目安について詳しく解説します。 記事の最後には、肩関節唇損傷で悩む野球選手からよくある質問をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 肩関節唇損傷について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください 野球選手が肩関節唇損傷を発症しやすい理由 理由 詳細 投球動作・フォームの乱れ 運動連鎖の崩れによる肩関節への過剰負荷 外傷・脱臼の既往 関節の不安定化による再損傷リスクの増大 上腕二頭筋腱への牽引ストレス 投球時の牽引力集中による関節唇への慢性刺激 肩関節唇損傷は、投球やスイングなどで肩を酷使する野球選手に多くみられる障害です。肩関節は可動域が広い一方で構造的に不安定なため、繰り返しの投球動作によって関節内に摩耗や牽引ストレスが蓄積しやすい特徴があります。 とくに投手では、フォームの乱れや筋力バランスの崩れが関節唇への負担をさらに増大させます。加えて、外傷や脱臼の既往がある場合には関節の安定性が低下し、損傷リスクが一層高まります。これらの要因が重なることで、プレー中に肩の違和感や引っかかり感を訴える選手が少なくありません。 投球動作・フォームの乱れ 理由 状況・特徴 影響 運動連鎖の破綻 下半身や体幹の動きが使えず、肩だけで投げる状態 肩関節への負担集中、関節唇への過度なストレス 肘下がりの投球フォーム 肘が極端に下がった投球姿勢 上方関節唇へのせん断力増大、損傷リスク上昇 身体の開きの早さ 上半身が早く打者側に向く動作 肩関節唇損傷リスクの増加、制球の不安定 リリースポイントのばらつき ボールを離す位置の不安定さ 肩関節への負荷不均一、特定部位へのストレス集中 疲労時のフォーム崩れ 連投や試合後半での下半身・体幹機能低下 下肢・体幹が使えず肩主導となる代償動作 柔軟性不足 肩・肩甲骨・胸椎・股関節などの可動域制限 無理な代償動作、関節唇への負担増大 成長期の身体変化 身長や重心の変化によるフォーム不適合 成長に伴う体格変化にフォームが追随できず負担が増加 投球フォームの乱れは、肩関節へ過剰な回旋力や牽引力を生じさせ、関節唇に微細な損傷を蓄積させる原因となります。リリース時の肘下がりや体幹の回転不足は、上腕骨頭が前方へずれやすくなり、関節唇への圧迫ストレスを増大させます。 また、肩甲骨周囲筋の筋力低下や柔軟性の不足も肩の安定性を損なう要因です。これらのフォームの乱れは一過性ではなく、疲労や過度なトレーニングによって慢性化しやすいため、投球動作の分析とリハビリによるフォーム修正が欠かせません。 外傷・脱臼の既往 内容 詳細 再発リスクの上昇 損傷部位の完全回復が難しく、再負荷による再損傷や症状悪化の可能性 二次的な変化や二次損傷の恐れ 関節の不安定性や機能低下による腱板・靱帯への過剰負担、他組織損傷の誘発 外傷や脱臼の既往によるリスク増大 外傷や脱臼による構造的ダメージによる安定性低下、再発のリスク上昇 慢性的な肩痛や可動域制限の継続 関節機能の低下や可動域制限による日常生活・競技動作への支障 (文献1) 肩の脱臼や亜脱臼を経験した野球選手では、関節唇や関節包などの支持組織が損傷し、肩の安定性が低下していることがあります。 そのままプレーを続けると、再脱臼や関節唇の更なる損傷を招くため、外傷歴のある選手は痛みがなくても医療機関で画像検査を受け、関節の状態を確認することが大切です。 肩関節唇損傷の既往は再発や二次損傷のリスクを高めるため、適切な治療と定期的なフォローアップが必要です。予防には肩の柔軟性維持と筋力強化を心がけ、異変を感じた場合は早めに医師へ相談しましょう。 上腕二頭筋腱への牽引ストレス 肩関節唇の上方(SLAP領域)には上腕二頭筋腱が付着しており、この腱に加わる繰り返しの牽引ストレスが関節唇損傷の主な原因とされています。 投球動作では、コッキング期やフォロースルー期に上腕二頭筋腱と関節唇に強い張力が生じ、関節唇の剥離や裂傷を引き起こすことがあります。 とくに肩関節唇損傷は、この付着部への過度な牽引力が関与する代表的な損傷です。上腕二頭筋腱と関節唇は肩関節の安定を支える一体の構造として機能しているため、腱への負荷は関節唇損傷の進行や再発にも影響します。そのため、適切なフォーム指導と肩周囲筋のバランス強化が欠かせません。 肩関節唇損傷を発症した野球選手の復帰率・時期の目安 研究(発表年) 対象・治療法 復帰率(RTS) 成績レベル・復帰レベル(RPP) 復帰までの期間 主な特徴・補足 Paul et al.(2025) プロ野球選手(SLAP修復) 投手82.4%、野手80.6% 投打ともに成績低下なし 約9〜11カ月(投手280日、野手327日) 手術後も高い復帰率。パフォーマンスの維持も確認 Lack et al.(総説) SLAP修復・上腕二頭筋手術 投手40〜80%、野手76.3〜91.3% - - 投手よりも野手の復帰率が高い傾向。治療法により差あり Fedoriw et al.(2014) プロ野球選手(手術/非手術比較) 手術:投手48%、野手85% 非手術:投手40% 手術:投手7%、野手54% 非手術:投手22% - 投手は復帰しても元のレベルに戻る割合が低い傾向 Castle et al.(2023) MLB選手(肩関節唇修復) 投手48%、野手85% 投手7%前後 - 投手は成績復帰が難しい傾向。手術後も再発・成績低下例あり 非手術リハビリ(総説) 保存的リハビリ治療 全体53.7%、完遂者78% 全体42.6%、完遂者72% 約6カ月以内 手術なしでも一定の回復が可能。軽症例では有効 他レビュー(複数報告) オーバーヘッド動作選手全般 約50〜60%(とくに投手で低下) - - 投手では成功率がやや低く、復帰まで時間を要する傾向 (文献2)(文献3)(文献4)(文献5)(文献6)(文献7)(文献8) 肩関節唇損傷を発症した野球選手の競技復帰率(RTS)は、全体でおよそ70〜85%と報告されています。なかでも投手は40〜80%と幅があるのが特徴です。これらは、投球動作に特有の肩への負担が影響していると考えられます。 一方、野手では75〜90%と比較的高い復帰率が示されています。復帰までの期間は平均9〜11カ月(約280〜330日)とされ、リハビリを含めた長期的な治療計画が必要です。 保存療法を選択した場合、約6カ月以内に復帰できる例もありますが、再発や再手術のリスクも残るため、段階的な復帰と医師の指導のもとでのリハビリが必要です。 以下の記事では肩関節唇損傷のテストについて詳しく解説しています。 野球選手の肩関節唇損傷における手術が必要なケース 手術が必要なケース 詳細 保存療法で効果が乏しい場合 リハビリや薬物治療を続けても痛みや可動域制限が改善しない状態 損傷範囲が広く不安定な場合 肩関節唇が大きく裂け、関節の安定性が失われている状態 高い競技レベルと早期復帰を目指す場合 プロ・競技選手として高負荷の投球動作を必要とするケース 合併損傷を伴う場合 腱板損傷や上腕二頭筋腱の損傷を同時に認める状態 肩関節唇損傷では、保存療法を行っても痛みや可動域制限が改善しない場合や、損傷範囲が広く関節の安定性が失われている場合に手術が検討されます。 とくにプロ選手など高い競技レベルでの早期復帰を目指すケースでは、機能回復を優先して手術が選択されることがあります。また、腱板損傷や上腕二頭筋腱損傷などを合併している場合は、関節機能の維持や再発防止のために外科的治療が有効です。 保存療法で効果が乏しい場合 保存療法で効果が乏しい理由 詳細 損傷度が大きすぎる・進行しているため 関節唇が大きく断裂・剥離し、周囲組織も損傷している状態 負荷が肩にかかるため 投球動作によるねじれ・牽引・摩擦などの過大ストレス 肩に他の異常が一緒にあることが多いため 回旋筋腱板損傷や関節包のゆるみ(弛緩)、インピンジメントの併発 診断や治療方針が不確か・リハビリが十分でなかった可能性 原因特定の誤りやリハビリ不足による改善不良 予後を悪くする因子がもともとあるため 過去の損傷歴、可動域制限、筋力低下、年齢・競技レベルの影響 痛みや制限が長く続くと身体が変わるため 筋萎縮や拘縮による可動性低下・機能不全 野球選手には特別なレベルが求められる 全力投球・実戦復帰レベルまでの回復困難 (文献9)(文献10)(文献11) 保存療法では関節唇自体を修復することは難しく、周囲の筋力を強化して肩を支える治療となります。そのため、リハビリを続けても肩の不安定感や投球時の違和感が改善しない場合は、手術を検討します。 投球時の違和感が続き、MRIで関節唇の剥離が確認された場合、手術による修復が有効です。 損傷範囲が広く不安定な場合 手術が必要な理由 詳細 関節唇が大きく剥がれていると肩関節の安定性が著しく低下する 関節唇の断裂・剥離による関節不安定性と脱臼リスクの増大 繰り返す脱臼や亜脱臼を防止するため 関節包や靱帯への再損傷防止のための解剖学的修復 重度の損傷では自然治癒が望めず症状の慢性化を防げない 広範な断裂による慢性疼痛・機能障害の持続 スポーツ特性と年齢を考慮した早期の手術適応 若年投手における肩の安定性維持と競技力確保 関節唇の損傷範囲が広く、肩関節の安定性が低下している場合は、手術による修復が推奨されます。 損傷が大きいと関節唇が本来の役割を果たせず、不安定感や脱臼を繰り返す原因となります。保存療法では改善が難しく、自然治癒も期待できません。そのため、関節鏡視下で関節唇を縫合し、安定化を図ることが重要です。 とくに投手など肩への負荷が大きい選手では、早期の手術により関節の安定性を回復し、再発防止と競技復帰を目指します。手術による修復は、肩の正常な機能を取り戻し、長期的なパフォーマンス維持にもつながります。 高い競技レベルと早期復帰を目指す場合 手術が必要になる理由(求められるレベルが非常に厳しいため) 詳細 競技レベルで求められる肩機能の高さ 投球速度・回転数・マウンドでの安定性を維持する肩機能の確保 日常生活レベルでは不十分な回復目標 全力投球レベルへの回復に必要な構造補強・修復 耐久性・反復ストレスへの対応 シーズン中の反復投球による過大負荷への抵抗性維持 回復許容度・リスク許容度の低さ 微細な不安定性や違和感が成績低下につながる競技特性 構造的限界・不可逆的変化の進行 軟部組織の変性・線維化による柔軟性・安定性の低下 診断・治療の精度の重要性 わずかなずれやアンバランスがパフォーマンスに影響する特性 合併障害・複雑病変の併発 回旋筋損傷やインピンジメントなどの多部位損傷 手術後の復帰率・成功率の限界 SLAP修復後の復帰率50〜70%、エリート復帰率7%前後の報告 (文献12)(文献13) プロや大学レベルなど高負荷な投球を求められる選手では、機能回復を優先して手術を選択する場合があります。 ただし、SLAP修復後の投球動作を伴う選手の復帰率はおおむね50〜70%と報告されており、全員が元のレベルまで戻れるわけではありません。(文献12) とくにエリートやプロレベルでの復帰・成績維持は難しく、エリート水準まで回復できた選手は約7%にとどまるとの報告もあります。(文献13) そのため、術後は安定した可動域の獲得と競技特性に応じた段階的リハビリが重要です。 合併損傷を伴う場合 手術が必要な理由(合併損傷を伴う場合) 詳細 損傷が関節唇単独でなく複合的であるため症状が重い 腱板断裂・靱帯損傷・関節内遊離体などを伴う複合損傷 肩の安定性や可動性に対する影響が大きいため 不安定性や可動域制限の進行による関節変形リスク スポーツ復帰のためには包括的な修復が必要 合併損傷も含めた機能回復による競技パフォーマンス維持 保存療法では症状の改善や再発予防が不十分 痛みや不安定感の残存による再発・機能低下のリスク (文献14) 腱板損傷や上腕二頭筋腱損傷などの合併損傷を伴う肩関節唇損傷では、関節の安定性が大きく低下し、保存療法での改善は困難です。そのため、関節唇の修復と同時に腱板や靱帯の損傷を関節鏡下で包括的に修復し、機能回復と再発予防を図ります。とくに損傷範囲が広い場合や脱臼を繰り返す場合は、手術による安定化が不可欠です。 また、高い競技レベルでの早期復帰を目指す選手では、肩にかかる負荷が大きく、不安定感や疼痛が残るとパフォーマンスに直結して影響するため、より積極的な外科的介入が求められます。適切な手術と段階的なリハビリにより、安定性と可動域が確保された肩を再構築し、早期の競技復帰を支援します。 肩関節唇損傷に合併しやすい腱板断裂に対しては、再生医療が治療法の選択肢となるケースがあります。肩の腱板断裂に対する再生医療の治療例については、以下の症例記事をご覧ください。 【野球選手向け】肩関節唇損傷のリハビリ方法 リハビリ方法 詳細 保護期|術後0週目〜6週目 肩関節の安静保持と痛み・炎症のコントロール、装具による可動域制限 中等度保護期|術後7週目〜12週目 他動運動から自動運動への移行と軽度の可動域拡大、肩周囲筋の再教育 機能回復期|術後13週目〜20週目 筋力強化と肩甲骨・体幹連動性の改善、日常動作での安定性向上 高度強化期|術後21〜26週 投球動作に近い負荷トレーニングと肩周囲筋群の持久力強化 競技復帰期|術後6カ月〜9カ月 段階的な投球プログラム再開とフォーム修正、実戦復帰に向けた最終調整 (文献14) 肩関節唇損傷の術後リハビリは、肩の安定性と機能を段階的に回復させることが目的です。術後0〜6週は安静と炎症の抑制、7〜12週で可動域の拡大、13〜20週で筋力と体幹の連動性向上を図ります。 21〜26週には投球動作に近い負荷を加え、6〜9カ月を目安に投球を再開し、フォーム修正と再発予防を行いながら実戦復帰を目指します。 以下の記事では、肩関節唇損傷のリハビリ方法について詳しく解説しています。 保護期|術後0週目〜6週目 フェーズ I(保護期) 詳細 この時期の目的 関節唇や縫合部の保護、炎症・腫れ・痛みの抑制、可動域の維持 行う運動・ケア スリング着用による肩の保護、手首・肘・手の軽運動、肩の受動運動(前方挙上90°・外旋30〜40°)、肩甲骨の可動運動、冷却と軽圧迫による炎症管理 避けること 肩の自力運動や抵抗運動、物を持ち上げる・押す・引く動作、上腕二頭筋に負担をかける動作、無理な外旋・後方引き・外転動作 次のステップに進む目安 肩の前方挙上90°・外旋30〜40°の可動確保、痛みや腫れの軽減 (文献14) 術後0〜6週の保護期は、修復した関節唇や縫合部を守りながら炎症や痛みを抑えることが目的です。この時期はスリングを着用し、肩を安静に保ちます。手首や肘の軽い運動、セラピストによる他動運動で可動域を維持し、肩甲骨の動きを保つことが重要です。 一方で、肩を自力で動かす動作、物を持ち上げる動作、上腕二頭筋に負担をかける動作は避ける必要があります。痛みや腫れが落ち着き、肩を前方に90°、外旋30〜40°まで動かせるようになれば、次の段階へ進みます。 中等度保護期|術後7週目〜12週目 フェーズ II(中等度保護期) 詳細 この時期の目的 肩関節可動域の拡大、筋力回復への準備、肩甲骨と体幹の安定性強化 行う運動・ケア 受動運動から補助運動・自動運動への移行、ゴムバンドを用いた軽い抵抗トレーニング、肩甲骨・体幹安定化トレーニング、リズミック安定化による感覚向上 避けること 外旋・外転方向への強い負荷、外転+外旋動作、全力投球やスピードをつけた動作 次のステップに進む目安 正常範囲に近い可動域の回復、痛みのない軽負荷運動の実施、肩甲骨・ローテーターカフの安定性改善 (文献14) 術後7〜12週の中等度保護期は、肩の可動域を広げながら筋力回復の準備を進める時期です。受動運動から補助付き運動、自力での運動へと段階的に移行し、ゴムバンドを用いた軽い抵抗トレーニングで肩周囲の筋肉を鍛えます。さらに、肩甲骨や体幹の安定性を高めるトレーニングを行い、投球動作に必要なバランス感覚を養います。 一方で、外旋や外転など強い負荷をかける動作や全力投球は避け、痛みのない範囲で可動域を回復させることが重要です。 機能回復期|術後13週目〜20週目 フェーズ III(機能回復期) 詳細 この時期の目的 軽い投球動作の導入、全方向への肩の安定化、スポーツ動作への移行準備 行う運動・ケア 全方向への自動運動(AROM)の拡大、ゴムバンドやウエイトによる段階的抵抗トレーニング、肩甲骨・体幹の持続トレーニング、プライオメトリック運動の導入、投球フォームの模倣と軽いキャッチボール準備 避けること 全力投球や強負荷のオーバーヘッド動作、痛みや違和感のある無理な運動 次のステップに進む目安 ほぼ正常な可動域の回復、抵抗負荷での無痛運動、十分な筋力・安定性の獲得による投球動作再開 (文献14) 術後13〜20週の機能回復期は、スポーツ動作への移行を目的とした重要な段階です。肩の可動域を広げながら、抵抗トレーニングで筋力を強化し、肩甲骨や体幹の安定性を高めつつ軽い投球やフォーム練習で実戦復帰に備えます。 この時期は全力投球を避け、痛みや違和感があれば運動を中止し、次の強化期への準備とします。 高度強化期|術後21〜26週 フェーズ IV(高度強化期) 詳細 この時期の目的 肩の筋力・瞬発力の強化、動作スピードへの適応、競技動作への移行 行う運動・ケア 片腕でのプライオメトリック運動、肩回旋筋のスピードトレーニング、投球フォームの確認と補正、段階的なインターバル投球プログラムの実施 避けること 全力投球への急な移行、痛みや違和感を無視した無理な投球 次のステップに進む目安 筋力と安定性の左右差の改善、内旋・外旋筋力バランスの回復、無痛での投球動作の実施、インターバル投球プログラムの完遂 (文献14) 術後21〜26週の高度強化期は、肩の筋力と瞬発力を高め、実戦に近い動作を取り戻す重要な段階です。メディシンボールやゴムバンドを使った片腕のプライオメトリック運動や、肩の回旋筋を素早く動かすトレーニングで動作スピードを高めます。 投球フォームを修正しながら段階的にインターバル投球を進め、スピードと強度を回復させます。全力投球を控えて筋力バランスと安定性を整えることが競技復帰の鍵です。 競技復帰期|術後6カ月〜9カ月 フェーズ V(競技復帰期) 詳細 この時期の目的 全力投球の再開、実戦復帰、肩の筋力・可動域・安定性の維持、再発予防の習慣化 行う運動・ケア マウンドでの全力投球、野手の実戦動作練習、打者を想定した投球や守備・送球練習、筋力と安定性を保つ維持トレーニング(ウエイト・バンド運動) 避けること 痛みや不安定感のある状態での全力投球、急激な練習量・強度の増加、登板間隔を詰めすぎる過負荷 復帰の判断基準 健側と同等の可動域・筋力、段階的投球での無痛、医師・理学療法士・コーチの総合判断による競技参加許可 (文献14) 術後6〜9カ月以降の競技復帰期は、全力投球を再開し実戦に戻る最終段階です。投手はマウンドでの投球、野手は守備や送球を含む実戦動作を取り入れ、実戦感覚を取り戻します。同時に、筋力・可動域・安定性を維持するためのトレーニングを継続し、再発を防ぐことが重要です。 ただし、痛みや不安定感がある場合は無理をせず、練習量や強度を段階的に調整します。肩の状態が健側と同等に回復し、医療チームとコーチが復帰を認めた段階で、競技復帰となります。 【野球選手向け】肩関節唇損傷の再発予防方法 再発予防方法 詳細 筋力・柔軟性の維持と身体機能の向上 肩関節周囲筋・体幹・下半身の強化による動的安定化と柔軟性保持、神経筋協調性・固有受容感覚の向上による再損傷防止 投球量の管理とフォームの改善 投球回数・登板間隔の適正化と、肩への負担を抑える正しいフォーム習得による関節唇へのストレス軽減 段階的復帰と身体の変化への早期対応 リハビリ進行に応じた段階的復帰計画の実施と、痛み・違和感・疲労など身体サインへの早期対応による再発防止 一度損傷した肩関節唇は再発のリスクが高く、復帰後も継続的なケアが重要です。肩や体幹、下半身の筋力と柔軟性を維持し、全身の連動性を高めることで再発を防ぎます。 また、投球量の管理やフォームの改善により、肩への負担を最小限に抑えることが大切です。リハビリ後も段階的な負荷調整と身体の変化への早期対応を心がけ、日常的なメンテナンスで長く競技を続けられる身体を保ちましょう。 筋力・柔軟性の維持と身体機能の向上 再発予防のポイント 詳細 肩関節周囲筋による動的安定化 回旋筋腱板の強化による上腕骨頭の安定保持と関節唇への負担軽減 肩甲骨周囲筋による土台の安定化 前鋸筋・僧帽筋などの機能向上による肩甲骨の安定化と力の伝達効率化 体幹・下半身筋力による全身連動 投球動作におけるエネルギー伝達と肩への負担分散 筋力バランスの維持 外旋・内旋筋のバランス(理想比3:4)による肩前方不安定性の防止 柔軟性による負荷分散 適切な可動域確保による肩関節唇へのストレス軽減 肩甲胸郭関節と胸椎の可動性 肩甲骨と胸郭の滑らかな連動による肩の可動効率向上 下半身・体幹の柔軟性維持 投球時の運動連鎖の改善と上半身への負担軽減 左右差の調整 利き腕・非利き腕の柔軟性バランス維持による再損傷リスクの軽減 固有受容感覚の改善 不安定面でのトレーニングによる肩位置感覚の再教育と制御力向上 神経筋協調性の向上 投球連動動作での正確な筋活動タイミングの再構築 疲労耐性の向上 筋持久力向上によるフォーム維持と過負荷防止 継続的トレーニングの実践 年間を通じた筋力・柔軟性・身体機能の維持管理と再発予防 肩関節唇損傷の再発を防ぐには、筋力・柔軟性・身体機能の維持が欠かせません。とくに回旋筋腱板や肩甲骨周囲筋を中心とした肩の安定性の確保、体幹や下半身の筋力による全身の連動性向上が重要です。 また、可動域の維持と左右差の調整で負担を分散し、固有受容感覚や神経筋協調性を高めることで再発リスクを軽減します。疲労耐性の向上と継続的なトレーニングにより、肩の安定性と競技パフォーマンスを長期的に守ることが大切です。 投球量の管理とフォームの改善 投球量の管理とフォームの改善は、肩関節唇損傷の再発予防に極めて重要です。まず、過剰使用(オーバーユース)ストレスの抑制が基本であり、投球回数や強度が増えるほど関節唇への微小損傷リスクが高まります。 過負荷を避けるため、球数・登板間隔の管理は再発予防の基盤です。たとえば、1試合75球超・シーズン600球超で肩肘障害リスクが上昇するとの報告があります。(文献15) また、ASMIの推奨でも日次の球数制限と休息日の設定が示されています。(文献16) 加えて、動作バイオメカニクスの健全性維持も重要です。肩関節の軌道異常や軸偏位は関節唇(ラブラム)損傷と関連しており、正しいフォームを習得することで可動性と安定性のバランスを保ち、肩への過剰なストレスを防止できます。(文献17) 段階的復帰と身体の変化への早期対応 肩関節唇損傷からの復帰では、治癒期間を守りながら段階的に負荷を高めることが、再発防止のために大切です。術後は関節唇・縫合部が脆弱なため、過負荷を避けつつ段階的リハビリで関節包・腱板などを徐々に強化し、身体の適応時間を確保します。 実際、SLAP修復後のリハビリは複数フェーズにわかれ、軽い抵抗運動から反復運動、プライオメトリクス、投球動作へと進行します。(文献18) また、投球導入時期にストレスを軽減するのも重要です。いきなり全力投球を行うと肩や肘に過大な負担がかかります。 ARTHROSCOPIC SLAP REPAIR CLINICAL PRACTICE GUIDELINEの資料では、術後12〜16週で軽い投球を開始し、6〜8か月で競技復帰を目指す段階的プロセスが推奨されています。(文献19) 肩関節唇損傷でお悩みの野球選手は当院へご相談ください 肩関節唇損傷は、早期の診断と段階的なリハビリテーションにより、野球選手でも競技復帰が十分に期待できる疾患です。ただし、復帰までの期間は損傷の程度や選手個々の競技レベルによって異なります。 治療やリハビリには時間を要しますが、焦らず段階的に進めることが重要です。諦めずに継続することで、競技への復帰を目指せます。 改善が難しい肩関節唇損傷についてお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、肩関節唇損傷に対して再生医療を用いた治療もご提案しています。再生医療は、損傷した組織の修復を促すことで、従来の治療では難しかった箇所へのアプローチが期待できる治療法です。選手の状態に応じて適応を慎重に判断します。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 肩関節唇損傷で悩む野球選手からよくある質問 復帰する際のリスクや再手術率はどのくらいですか? 肩関節唇(SLAP)損傷修復後の競技復帰率(RTS:Return to Sport)は、およそ60〜80%と報告されています。(文献12) たとえば、あるシステマティックレビューでは69.6%の選手が競技に復帰したとされています。(文献12) 別のシステマティックレビューでは、再手術率については、SLAP修復後で3〜15%です。(文献20) また、別の報告ではSLAP修復の再手術率は約12%であり、上腕二頭筋腱固定術(BT)では約6%と、より低い傾向が示されています。(文献21) なお、これらの数値は再発率ではなく、再手術が必要となった症例の割合を示しています。復帰後に以前と同等のパフォーマンスを維持できるかは個人差があり、術後のリハビリや肩への負担管理が不可欠です。 中学生・高校生でも手術が必要になりますか? 中学生や高校生などの思春期年代でも、肩関節唇(SLAP)損傷に対して手術が行われるケースがあります。18歳未満の患者1,349例を調査した研究では、約83.8%がSLAP修復手術を受けていました。(文献22) ただし、若年者ではまずリハビリなどの保存療法を優先し、改善がみられない場合に手術を検討するのが一般的です。手術を行った例では、競技復帰率や症状改善が良好だったとの報告もあります。(文献23) 肩関節唇損傷を経験したプロ野球選手は誰ですか? 肩関節唇損傷は、プロ野球選手の間でも発症が報告されています。発症が報告されているのは以下の選手です。 谷岡竜平(元読売ジャイアンツ投手) 福原忍(元阪神タイガース投手) 由規(元東京ヤクルトスワローズ投手) 小久保裕紀(元福岡ダイエーホークス、元ソフトバンクホークス内野手) 斎藤佑樹(元北海道日本ハムファイターズ投手) 肩関節唇損傷は引退に至る例もあるため、競技レベルを問わず適切な治療が欠かせません。 参考文献 (文献1) 投球障害肩のリハビリテーション治療|Jpn J Rehabil Med 2018 (文献2) Return-to-sport and performance outcomes after isolated superior labrum anterior to posterior (SLAP) repair in professional baseball players|PubMed (文献3) Biceps Tenodesis and SLAP Repair Show Similar Outcomes in Overhead Throwing Athletes With Baseball Pitchers Exhibiting Worse Rates of Return to Sport: A Systematic Review|Arthseopy (文献4) Return to play after treatment of superior labral tears in professional baseball players|PubMed (文献5) High Return to Play Rate and Diminished Career Longevity are Seen Following Arthroscopic Shoulder Labral Repair in Major League Baseball Players|Original Article (文献6) Return to Play Following Non-Surgical Management of Superior Labrum Anterior-Posterior Tears: A Systematic Review|ResearchGate (文献7) SLAP Tears in the Throwing Shoulder: A Review of the Current Concepts in Management and Outcomes|ResearchGate (文献8) Return to Sport After Surgery for Throwing Athletes with SLAP Tears|Justin T. Smith, MD, FAANA, FAAOS (文献9) SLAP Lesions: An Update on Recognition and Treatment|MOVEMENT SCIENCE MEDIA JOSPT (文献10) Type II SLAP Lesions in Overhead Athletes: Why the High Failure Rate?|AANA (文献11) Predictive factors associated with failure of nonoperative treatment of superior labrum anterior-posterior tears|ScienseDirect (文献12) Return to Sport After Arthroscopic Superior Labral Anterior-Posterior Repair: A Systematic Review|PMC PubMed Central (文献13) Return to Sport After ArthroscoEditorial Commentary: Outcomes After SLAP Repair and Biceps Tenodesis Are Unpredictable for Throwing Athletes With SLAP Lesions|Arthtscopy (文献14) POST-OP MANAGEMENT OF SLAP REPAIR & BICEPS TENODESIS/TENOTOMY (文献15) Baseball Pitching Biomechanics in Relation to Injury Risk and Performance|PMC PubMed Central (文献16) Updated April 2013|ASMI (文献17) Disabled Throwing Shoulder: 2021 Update: Part 2—Pathomechanics and Treatment|Arthtscopy (文献18) POST-OP MANAGEMENT OF SLAP REPAIR & BICEPS TENODESIS/TENOTOMY (文献19) ARTHROSCOPIC SLAP REPAIR CLINICAL PRACTICE GUIDELINE (文献20) Lower Reoperation and Higher Return-to-Sport Rates After Biceps Tenodesis Versus SLAP Repair in Young Patients: A Systematic Review|PMC PubMed Central (文献21) Repair versus biceps tenodesis for the slap tears: A systematic review|Sage Journals Home (文献22) SLAP TEARS IN THE PEDIATRIC PATIENT: WHO IS TREATING THEM AND WHERE?|PMC PubMed Central (文献23) Return to Play in Adolescent Baseball Players After SLAP Repair|PMC PubMed Central
2026.02.02 -
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「肘に違和感や痛みを感じる」 「肘の痛みで日常生活に支障をきたしている」 物を持つ、ペットボトルのふたを開けるといった動作だけでもつらい場合はテニス肘かもしれません。テニスをしていなくても、パソコン作業や家事など日常動作の繰り返しで発症します。 放置すると悪化して家事や仕事、趣味のスポーツに支障をきたすため、早期に原因を見極め、適切に対処することが重要です。 本記事では、現役医師がテニス肘について詳しく解説します。 テニス肘の初期症状 テニス肘の原因 テニス肘の治療法 テニス肘の予防法 記事の最後にはテニス肘に関するよくある質問をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 テニス肘について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください テニス肘とは 項目 内容 主な原因・仕組み 手首や肘の繰り返し動作による腱への負担。加齢による腱の弱化と炎症の発生。周囲組織の関与による痛みの増強。物を持つ・絞る・回す動作での肘外側の痛み。進行による握力低下と夜間痛 診断の考え方(整形外科) 問診で痛みが出る動作や経過を確認。トムゼンテストやチェアテストなどで痛みを誘発する検査。レントゲンやMRIで腱や関節内の状態を確認する評価 早めの対応が重要な理由 保存的治療で改善が期待できる早期介入の重要性。放置による慢性化や生活への支障のリスク。早期治療による回復促進と再発予防の可能性 (文献1)(文献2) テニス肘(上腕骨外側上顆炎)は、繰り返しの負荷により、肘の外側にある骨の出っ張り部分「外側上顆」に付着する伸筋腱に微小な損傷、変性が生じる疾患です。手首を反らす・指を伸ばす動作で使われる前腕の筋肉が酷使されることで発症します。 診断には、手首を反らした状態で抵抗をかけた際に肘の外側に症状が出るか確認するトムゼンテストや、椅子を持ち上げる動作で症状が再現されるか調べるチェアテストなどが用いられます。 テニスプレーヤーに多いことから名づけられましたが、実際にはパソコン作業や家事、重い荷物の運搬などの日常動作でも発症し、放置すると物を持つ、ドアノブを回すといった軽い動作にも支障をきたすため、早期の対処が不可欠です。 以下の記事では、テニスをしていないのにテニス肘を発症する理由を詳しく解説しています。 テニス肘の初期症状 初期症状 詳細 肘の外側の違和感 肘の外側に軽い張りや重だるさを感じる状態。動かすと違和感が出る初期段階 特定動作時の不快感 物を持ち上げる、タオルを絞る、ドアノブを回すなどの動作で生じる痛みや不快感 朝のこわばりと動作後の疲労感 起床時の肘周囲のこわばりや、作業後のだるさ・重さを感じる状態 肘の可動域の変化 肘を伸ばす・曲げる際の動きに制限や引っかかりを感じる状態 テニス肘の初期症状は軽微なため見過ごされやすく、早期発見が改善の鍵となります。多くの場合、肘の外側の軽い違和感から始まり、運動後や作業後のみ感じる程度です。 しかし、放置すると朝のこわばりや動作後の疲労感の増加、肘の可動域の制限といった症状が進行し、安静時にも痛みが現れるようになります。 特定の動作時に限定的な不快感を覚える段階であれば、組織の損傷が軽度であるため、適切な対処で早期改善が見込めます。日常動作に支障をきたす前に、早めの対応が重要です。 以下の記事では、突然発症するテニス肘について詳しく解説しています。 肘の外側の違和感 テニス肘の初期症状として、肘の外側に張りや違和感が現れます。これは手首を反らす筋肉(短橈側手根伸筋)の腱が、繰り返しの負担により炎症や微細な損傷を起こすためです。 初期段階では強い症状を伴わず、動かすと軽い引っかかりや重さを感じる程度です。ペットボトルを持つ、ドアノブを回す、物を持ち上げるといった動作で違和感が出やすくなります。 腱の炎症によって周囲の筋肉や神経が刺激され、不快な感覚が生じ、肘の外側を通る橈骨神経が圧迫されると違和感やしびれが現れることもあります。微小損傷が進行すると安静時にも違和感が持続するため、早期対応が不可欠です。 以下の記事では、肘の痛みについて詳しく解説しています。 【関連記事】 外側の肘が痛いときの治し方|痛みのレベル別で対処法を解説 朝起きたら肘の外側が痛い原因を医師が解説|治療方法や受診目安も紹介 特定動作時の不快感 テニス肘では、特定の動作時に肘の外側へ不快感が生じるのが特徴です。安静時には症状が現れず、動作によって誘発されます。 代表的な誘発動作は、物を持ち上げる動作です。買い物袋、フライパン、ペットボトルなどを持つ際、肘の外側にピリッとした感覚や重だるさが現れます。握力を使う動作は腱に大きな負担をかけるため、初期症状が出やすくなります。 手首を反らす動作(パソコン作業やテニスのバックハンドなど)で肘外側に不快感が生じるのは、手首を反らす筋肉の腱が肘外側に付着しているためです。さらに、握力の微妙な低下を自覚することもあります。力が入りにくい、しっかり握れないといった症状は、腱の損傷や炎症による機能低下のサインです。 初期段階では動作時のみ症状が現れ、安静時には気づかないこともあります。この段階で適切にケアすれば症状の進行や慢性化を防止できます。 朝のこわばりと動作後の疲労感 テニス肘では、朝のこわばりと動作後の疲労感が特徴的な症状として現れます。起床時に肘の外側が硬くこわばったように感じることがあります。 就寝中は関節や腱が長時間動かないため血流が低下し、炎症部位の代謝が滞ることが原因です。動かし始めると次第にこわばりは軽減しますが、症状進行のサインとして注意が必要です。 また、仕事やスポーツで腕を使った後、肘の外側に重だるさや疲労感が残るのも典型的な症状です。繰り返す動作により腱や筋肉に微小な損傷が蓄積し、炎症反応が一時的に強まるためです。動作中は気にならなくても、後からずっしりとした違和感が出ることがあり、進行すると長時間持続します。 朝のこわばりは休息後に硬くなるサイン、動作後の疲労感は使いすぎのサインであり、どちらも進行前に気づける重要な初期症状です。 以下の記事では、朝に起こる肘の痛みについて詳しく解説しています。 肘の可動域の変化 段階 特徴 初期段階 肘の曲げ伸ばしに大きな制限のない状態。手首背屈や物を持つ動作での違和感や動かしづらさ。使用時の抵抗感や不快感の出現 進行段階 肘伸展終末域での肘の外側の張り感。伸ばしきる際の引っかかりや重だるさ。前腕筋の硬化による柔軟性低下と動作の滑らかさ減少 慢性・重度 関節周囲組織の硬化による可動域狭小化。物を持ち上げながら肘を伸ばす・手首を使いながら動かす動作での制限自覚。日常生活動作への支障 ポイント 初期は違和感による動かしにくさ。進行期は肘伸展終末域での張りや制限。慢性期は関節可動域の実際の減少 テニス肘が進行すると、肘を伸ばす・曲げる・ひねる動作で違和感や引っかかりを感じるようになり、とくに肘を伸ばしきる動作や手のひらを上下に返す動作で症状が出やすくなります。それらは腱の炎症や変性によって周囲の組織が硬くなることが原因です。症状をかばうことで筋肉が緊張し、可動域がさらに狭まります。 その結果、高い場所の物を取る、服を着替える、洗髪するといった動作が困難になることもあります。左右の動きに差がある場合や日常動作に支障がある場合は、早めに医療機関で評価と治療が欠かせません。 テニス肘の原因 原因 詳細 繰り返し動作による過度な負荷 物を持つ、ドアノブを回す、パソコン作業、スポーツでのスイングなどによる手首や肘の反復使用による腱への負担蓄積 加齢による腱の変性 年齢に伴う腱の柔軟性低下と血流減少による構造の脆弱化および炎症が生じやすい状態 フォーム・道具・筋力の問題 不適切な動作姿勢や合わない道具の使用、前腕筋力不足による腱への過剰な負担 テニス肘は、肘の外側にある腱が繰り返しの負荷により損傷し、炎症や変性を起こすことで発症します。手首を反らす・物を握る・ひねるといった動作の反復により、前腕の伸筋群から続く腱に張力がかかることが主な原因です。 繰り返し動作による過度な負荷、加齢に伴う腱の変性、不適切なフォームや道具の使用、前腕の筋力不足など、複数の要因が組み合わさって引き起こされます。テニスやゴルフなどのスポーツ愛好家、パソコン作業が多い職種、調理や育児で手を頻繁に使う方などはリスクが高いため、原因を理解し生活習慣を見直すことが予防と改善の第一歩です。 繰り返し動作による過度な負荷 要因 詳細 使用回数が多すぎる 作業時間や練習量の急増による肘・前腕への負担蓄積 間隔が短すぎる 休憩不足による回復時間の欠如と腱への過労状態 負荷が強すぎる 重い物の持ち上げや強い握り込み、固いグリップによる過度な負荷 姿勢・フォームの問題 手首の過伸展や前腕のみで動作を行う不良フォームによる負担集中 道具の不適合 グリップサイズや重さ、ガットの硬さが身体に合わないことによるストレス増大 全身要因 肩や体幹の安定性低下、連動不足による前腕への負荷偏り テニス肘の最も一般的な原因は、手首や前腕を使う動作の繰り返しによる過度な負荷です。肘の外側には手首を反らす・指を伸ばす筋肉の腱が付着しており、物を握る、持ち上げる、手首を反らす動作を反復すると、腱に微小な損傷が蓄積されます。 損傷が回復する前に負荷をかけ続けると、腱が硬くなって違和感や張りが生じ、周囲の筋肉が緊張して同じ部位に負担が集中する悪循環が起こります。買い物袋やフライパンを持つ、ドアノブを回す、雑巾を絞るといった日常動作のほか、マウス操作やキーボード入力などの長時間作業、テニスのバックハンドやゴルフのスイングなどが代表的な原因動作です。 予防には、動作の量・間隔・強度の調整、手首を反らしすぎない姿勢の維持、体に合った道具の選択、前腕のストレッチと筋力強化が有効です。 以下の記事では、日常生活やスポーツで起こりうる肘の症状について詳しく解説しています。 【関連記事】 テニス肘|テニス未経験でテニス肘と診断されたのですが? パソコン腱鞘炎の症状とは?原因や治し方・予防法も徹底解説! 加齢による腱の変性 年齢を重ねると、筋肉と骨をつなぐ腱のコラーゲン線維が徐々に変性し、柔軟性や強度が低下します。その結果、若い頃と同じ負荷でも腱に損傷が入りやすくなり、修復にも時間がかかるようになります。 とくに40代以降でテニス肘の発症が増えるのは、加齢による腱の変性が進み、手首を反らす・物を持つ動作での肘外側への負担に耐えにくくなるためです。 また、加齢による腱の変性が問題となる理由は以下の通りです。 修復力の低下により若い頃なら自然に回復していた小さな損傷が治りにくくなる 柔軟性の低下により衝撃や負担を吸収しにくくなる 一度痛めると治りにくく同じ動作で繰り返し悪化しやすい 加齢による変性は避けられませんが、適度な運動やストレッチで腱の柔軟性を保つことが予防につながります。 フォーム・道具・筋力の問題 要因 詳細 フォームの問題 手首に頼りすぎた動作による肘外側への負担集中。身体全体を使わずに手首や前腕だけで行う動作による腱への過剰なストレス 道具の問題 合わないラケットや道具の使用による前腕への余分な負担。グリップサイズの不一致やガットの張りすぎ、道具の重さによる腱への負荷蓄積 筋力不足の問題 前腕・肩・体幹の筋力低下による衝撃分散の不十分。前腕伸筋群の弱化による腱の引っ張られやすい状態。筋力バランスの乱れによる疲労や違和感の出現 テニス肘は、不適切なフォームや道具の使用、前腕の筋力不足などが原因で起こります。これらの要因によって腱に過剰な負担がかかり、発症のリスクが高まります。スポーツでは、フォームの乱れが腱に大きなストレスを与えることがあります。 たとえば、テニスでバックハンドを手首だけで打つ場合や、ゴルフで肘を伸ばしたままスイングする場合、さらにラケットのグリップが細すぎたり太すぎたりする場合などです。日常生活では、パソコンのマウスやキーボードの配置が悪い、包丁の持ち方が不適切、重い荷物を片手で持つといった習慣が問題となり、前腕の筋力不足により腱が筋肉の役割を代償し過剰な負荷がかかります。 テニス肘を予防・改善するためには、フォームの見直し、適切な道具の選択、筋力トレーニングを組み合わせることが効果的です。 テニス肘の治療法 治療法 詳細 保存療法 負荷軽減と休養、ストレッチ、温熱・冷却による組織回復環境の整備 薬物療法 消炎作用や血流改善を目的とした外用薬・内服薬・注射による症状緩和 装具療法 前腕特定部位への圧迫や支持による腱負担軽減のためのバンドやサポーター使用 手術療法 保存療法で改善が見られない場合の損傷部修復や変性組織除去 再生医療 自己細胞や血液成分を利用した損傷組織修復促進 テニス肘の治療は、症状の程度や発症からの期間により選択肢が異なります。軽症〜中等症では保存療法が第一選択です。保存療法で効果が得られない場合や、症状が重度の場合には、より専門的な治療法を検討します。 治療の基本は、腱への負担を減らしながら組織の修復を促すことです。安静、薬物療法、装具の使用、リハビリテーションなどを組み合わせて進めます。 近年では、保存療法や手術に加えて、再生医療も選択肢のひとつとして注目されています。ただし再生医療は提供されている医療機関が限られており、症状によっては適応できないケースもあるため、事前に医師と相談する必要があります。 以下の記事では、テニス肘の治し方について詳しく解説しています。 保存療法 療法 詳細 リハビリテーション(運動療法) 痛みの軽減後に理学療法士の指導のもと行う前腕のストレッチや筋力強化による肘への負担軽減と再発予防 ストレッチ 前腕の筋肉や腱を伸ばして柔軟性を高め、硬化した組織をほぐし炎症再発を防ぐ習慣 物理療法(電気治療・超音波治療など) 超音波・温熱・電気刺激による血流改善と炎症・痛みの軽減、組織修復の促進 安静と負担軽減の重要性 急性期における肘の安静とサポーター・テーピング使用による腱への負担軽減と炎症抑制 保存療法の意義 身体への負担が少なく、リハビリ・ストレッチ・物理療法の継続による回復促進と再発予防 保存療法は、手術を行わずに症状の改善を目指す治療法です。多くの場合、適切な保存療法により自然治癒が期待できます。 初期段階では患部への負荷を減らし安静を保ちながら炎症を抑え、温熱療法や物理療法により血流を改善して組織の回復を促し、医師の指導のもと段階的にストレッチや筋力回復訓練を取り入れることで、症状の慢性化を防げます。 薬物療法 治療内容 詳細 薬物療法が有効な理由 痛みや炎症の速やかな緩和による症状軽減。保存療法との併用によるリハビリや日常動作継続の支援、強い症状期での緩和の重要性 鎮痛薬・消炎薬 消炎鎮痛薬(NSAIDs)や湿布剤による炎症抑制と速効的な症状緩和。軽度から中等度症状への有効性、副作用予防のための長期使用制限 ステロイド注射 強い痛みや生活への支障時の局所注射による強力な炎症抑制と即効性。1〜2カ月程度の効果、腱断裂リスク回避のための使用回数・頻度制限 治療上の位置づけ 症状コントロールに有用だが、根本治療は保存療法やリハビリによる総合的計画の実施 薬物療法は、薬剤を用いて炎症や痛みを抑え、患者の苦痛を軽減するとともに、身体の自然治癒力が発揮しやすい状態を整える治療法です。テニス肘では、主に炎症のコントロールと痛みの緩和を目的として行われます。症状が落ち着くことで、日常生活の質が向上し、リハビリテーションにも取り組みやすくなります。 治療には、症状の程度に応じて内服薬や外用薬(湿布・塗り薬)などの消炎鎮痛薬(NSAIDs)が用いられ、炎症が強い場合にはステロイド注射で局所の炎症を抑えることもあります。薬物療法は、痛みを一時的に緩和する補助的な治療であり、根本的な改善にはリハビリや保存療法との併用が必要です。 以下の記事では、薬物療法で使用するステロイド注射について詳しく解説しています。 装具療法 項目 説明 サポーターの効果 肘外側上顆より手首側の前腕筋肉部分を圧迫し、筋肉の過度な緊張を抑えることで腱への負担を軽減 装着位置 肘の骨の出っ張り(外側上顆)から指2本分ほど手首側の筋肉部分に圧迫パッドを当てる位置。骨の出っ張りに直接当てると逆に症状を悪化させる可能性 装着時の注意点 きつすぎると血流を妨げ、緩すぎると効果が得られない適度な圧迫感の維持。動作時のみ装着し、安静時や就寝時は外すことの推奨 テーピングの役割 筋肉や腱の動きをサポートし、過度な伸縮や負荷を防ぐ効果。症状の軽減や炎症悪化の予防。医師による正しい方法の習得が重要 装具療法の限界 あくまで補助的な治療法であり、根本的な改善にはリハビリや薬物療法との併用が必要 サポーターの装着は、肘の腱にかかる負担を軽減し、日常生活やスポーツ時の再負担を防ぐのに有効です。装具の種類や装着位置は、症状や動作内容によって適切に使い分けることが大切です。 自己判断での使用は効果が不十分な場合や、誤った装着によってかえって負担を増やすおそれがあります。そのため、専門家の指導のもとで選択・装着することが望まれます。また、長時間や過度の使用は筋力低下を招くことがあるため、適切な使用時間と休息を心がけましょう。 手術療法 項目 説明 手術の利点 長引く症状の改善と肘の機能回復や再発予防への期待。保存療法で効果が不十分だった場合の有効な選択肢 手術のリスク 感染・神経損傷・可動域制限などがまれに起こる可能性。手術には一定のリスクを伴う点 術後の経過 リハビリテーションが必須で、回復には数カ月から半年程度の期間が必要 効果の個人差 すべての患者に確実な効果があるわけではなく、改善度には個人差がある テニス肘は通常、保存療法で改善が見込めますが、症状が1年以上続き、強い痛みが改善しない場合や日常生活に大きな支障を来す場合には手術が検討されます。手術が必要となるケースは全体の約5〜10%とされています。 手術は損傷した腱の修復や炎症部位の除去を目的とし、開放手術や関節鏡視下手術などの低侵襲な方法が選択されます。開放手術では、肘の外側を約3〜5cm切開し、損傷した腱の一部を切除・修復します。神経の圧迫がある場合には、神経剥離術を併用することもあります。 関節鏡視下手術は、数mmの小さな切開から内視鏡を挿入し、腱の修復や滑膜の切除を行う方法です。傷が小さく身体への負担が少ないことが利点で、入院や全身麻酔を要することがありますが、開放手術に比べて術後復帰は早い傾向にあります。(文献1) 術後はリハビリを通じて肘の可動域と筋力の回復を図り、長期的な予後を良好に保つためには、適切な術後管理と再発予防が欠かせません。 再生医療 再生医療は、損傷した腱や組織の修復をサポートし、身体の自然な治癒力を引き出すことを目的とした治療法です。テニス肘では、炎症や変性がみられる腱に対し、患者自身の血液や脂肪から採取した成分を用いて施術を行います。 PRP療法では血液中の血小板に含まれる成長因子の働きを利用し、幹細胞治療では脂肪由来の幹細胞を培養して使用します。いずれも入院や手術を必要とせず、日帰りでの施術が可能です。治療内容や適用は医師と十分に相談の上で決定します。 以下では、再生医療について詳しく解説しています。 テニス肘の予防法 予防法 詳細 ストレッチと筋力強化 前腕筋や腱の柔軟性維持と筋力向上による腱耐久性の強化、負荷吸収力の改善 フォームと道具の見直し 動作姿勢やテクニックの改善と適切な道具選択による肘への負担軽減 サポーターの活用 肘周囲の圧迫による負担分散と動作時の安定性向上、再発防止への補助 適度な休息 継続的負荷の回避と回復時間確保による腱修復促進 テニス肘の予防では、腱への負担を軽減し、前腕の筋力と柔軟性を保つことが重要です。発症してから治療するよりも、日常生活やスポーツの中で予防を実践する方が効果的です。 とくに、過去にテニス肘を経験した方や、肘に負担のかかる動作を繰り返す方は、積極的な予防が再発防止につながります。日々の小さな工夫や習慣の積み重ねが、肘の健康維持に役立ちます。 ストレッチと筋力強化 項目 詳細 ストレッチが有効な理由 前腕伸筋群を柔軟に保ち腱への負担を減らし、血流改善で修復を促進し炎症の長期化を防ぐ。柔軟性向上により動きが滑らかになり、余分な力みを軽減する 筋力強化が有効な理由 前腕・肩・体幹の筋力を整えて衝撃を分散し、疲れにくい身体にすることで腱の使い過ぎを防ぐ。筋力が十分になることで安定したフォームを維持し、肘を守る ストレッチと筋力強化は、テニス肘を防ぐための基本です。前腕の筋肉を柔軟で強く保つことで、腱への負担が分散され、発症のリスクを減らせます。 ストレッチは、手首を反らす伸筋と曲げる屈筋の両方を対象に、無理のない範囲で行うことが大切です。運動前後だけでなく日常的に続けることで、肘への負担を軽減し、予防効果を高めることができます。 フォームと道具の見直し フォームと道具の見直しは、テニス肘予防において欠かせません。誤ったフォームでスイングを続けると、肘の筋肉や腱に過剰な負担がかかり、炎症や損傷の原因となります。正しいフォームを身につけることで、肘にかかるストレスを減らし、症状や再発の予防につながります。 また、グリップのサイズやラケットの硬さが合っていない場合も、手首や肘に負担を与えやすいため、適切な道具選びが欠かせません。さらに、肩や体幹を含めた全身の動作バランスを整えることで、力を分散させ、肘への負荷を根本的に軽減できます。フォーム改善は予防だけでなく、症状の悪化防止にも有効です。 サポーターの活用 項目 説明 サポーターの役割と効果 肘の関節や筋肉・腱を物理的にサポートし、過度な負担や衝撃を軽減。前腕の筋肉や腱へのストレスを分散させ、炎症部位の症状や負担を和らげる 怪我の予防と再発防止 スポーツや日常生活で肘を頻繁に使う際、関節を安定化し筋肉や腱への負担を軽減。一度発症した方の怪我や症状の再発防止に有効 症状軽減と患部保護 肘の曲げ伸ばしや物を持つ動作での症状がある場合、患部の動きを制限し炎症の悪化や症状の増強を防ぐ効果。適度な圧迫・安定化による症状の緩和 正しい装着方法 肘の骨の出っ張りよりも手首側の筋肉部分に巻くことで筋肉の負担を軽減。適切な位置への装着が効果を最大化 他の治療法との併用 リハビリや薬物療法と組み合わせることで、症状のコントロールや機能回復を補助。医師の指示に従った使用の重要性 注意点 あくまで補助的手段であり、装着だけでは根本的な治療にならない点。長時間連続使用による血流低下や筋力低下のリスク。正しい位置・締め付け具合での使用の必要性 サポーターは、テニス肘の予防と症状の軽減に有効な補助具です。前腕に巻くエルボーバンドは、肘の少し下に装着して腱への張力を分散し、スポーツや日常動作時の負担を軽減します。手首用サポーターも有効で、手首の過度な動きを抑えて前腕の筋肉への負担を減らします。 ただし、常時使用は筋力低下を招く恐れがあるため、必要な時のみ装着します。ストレッチや筋力強化、フォーム改善と併用することが効果的です。 適度な休息 項目 詳細 損傷部位の回復を促す 腱の微小断裂が繰り返し起こることで悪化する状態。適度な休息により腱や周囲組織の修復時間を確保し、炎症や違和感の慢性化を防ぐ効果 オーバーユース(使いすぎ)を防ぐ 長時間の作業や練習を休みなく続けることで、腱の損傷が回復する前にさらに負荷がかかる状態。負荷→回復→強化のサイクルを守るための適切な休息の必要性 症状の悪化を防ぐ 違和感やこわばりを無視して使い続けることで、軽度の炎症が慢性の腱変性に移行する可能性。症状が軽いうちに休むことでの早期回復と長期的な治療の回避 精神的リフレッシュの効果 症状がある状態で無理をすることへの不安の軽減。適度な休息による心身のリセットと回復意欲の向上 注意点 休みすぎによる筋力低下のリスク。完全な安静ではなく症状が出ない範囲での軽いストレッチや運動の組み合わせの推奨 適度な休息は、腱の修復と健康維持に欠かせません。繰り返し動作で負担が蓄積すると、腱の回復が追いつかなくなります。作業や運動の合間に休息を取り、筋肉の疲労をためないことが大切です。 痛みや違和感を感じたら早めに動作を中止し、負荷を減らすことで悪化を防げます。身体のサインに気づき、無理をせず休むことが、テニス肘の予防と長期的な健康維持につながります。 改善しないテニス肘は医療機関を受診しよう テニス肘はテニスをしていない人にも起こりうる疾患です。放置すると悪化し最悪の場合、手術が必要になることもあります。セルフケアや保存的な対応を続けても症状が改善しない場合は、医療機関を受診しましょう。 テニス肘の治療についてお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、テニス肘に対して、損傷部位へのアプローチが期待できる再生医療を治療法のひとつとして提供しています。患者様の症状や状態に応じて適切な方法を提案いたします。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。 テニス肘に関するよくある質問 テニス肘を放置するとどうなりますか? テニス肘を放置すると、炎症や腱の損傷が慢性化し症状が強くなります。日常生活の基本動作(物を持つ、ドアノブを回すなど)が困難になり、握力低下や肘の可動域制限も生じることがあります。 進行すると腱が断裂するおそれがあり、手術が必要になる場合もあるため、早期の治療と適切な対処が重要です。 テニス肘と似た症状はありますか? テニス肘と似た症状は以下が該当します。 疾患名 特徴・症状 ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎) 肘の内側に炎症や痛みが生じる疾患 野球肘 投球動作による肘関節の障害(靱帯損傷・骨や軟骨障害を含む) 肘部管症候群 肘の内側で尺骨神経が圧迫され、小指側のしびれや握力低下が出現 橈骨頭障害 肘外側の骨(橈骨頭)の損傷による痛みや可動域の制限 頸椎疾患(頸椎症性神経根症など) 首の神経圧迫による肘や前腕への放散痛やしびれの出現 これらは痛む部位や誘発動作が異なるため、自己判断せず医師の診察を受けることが重要です。 以下の記事では、テニス肘と似た症状について詳しく解説しています。 テニス肘は自分で治せますか? 軽度であっても、自分で治そうとするのはおすすめできません。無理を続けると慢性化や再発の恐れがあるため、整形外科を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。 テニス肘は治らないというのは本当ですか? テニス肘は適切な治療と生活習慣の改善により、多くの場合治癒が期待できます。回復期間は通常6〜12週間、長くても半年ほどです。 ただし、放置したり無理を続けたりすると慢性化や再発の原因となります。そのため、医師の指導のもとで治療を進めることが重要です。また、回復後もストレッチや筋力強化を継続することで、再発を防止できます。 参考文献 (文献1) Arthroscopic tennis elbow release|PubMed Central (文献2) 「テニス肘(上腕骨外側上顆炎)」|公益財団法人 日本整形外科学会
2026.02.02 -
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- 肩関節
- スポーツ外傷
「水泳のあとに肩が痛む……これって水泳肩?」 「水泳肩ってリハビリやストレッチで治るの?」 このような不安を抱えている方は多いでしょう。 水泳肩は、水泳による肩の使いすぎやフォームの崩れなどが原因で起こります。放置すれば痛みが慢性化し、日常生活や競技に支障をきたすこともあります。 しかし、正しく対処すれば症状の改善は可能です。 本記事では、水泳肩の特徴的な症状や原因、治療法を詳しく解説しています。自宅でできる対処法や再発防止も紹介しているので参考にしてみてください。 なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 水泳肩の痛みが治らず悩んでいる方や、再生医療について詳しく知りたい方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 水泳肩とは 水泳肩は、泳いでいる時や泳いだ後に肩が痛む症状を指します。 1978年に医学界で初めて命名された用語で、当初は水泳による肩の痛みだけを表していました。(文献1) しかし、現在は水泳以外でも肩に違和感や痛みを感じる症状全般を含む呼び方に変化しています。 以下の記事では、肩の痛みが関係する病気について解説しています。視野を広げて肩の痛みの原因を探したい方は参考にしてみてください。 水泳肩の主な症状 水泳肩で現れる代表的な症状は以下の表のとおりです。 症状の種類 特徴 違和感・引っかかり感 肩を回すとゴリゴリといった不快な感覚や引っかかりがある 肩の痛み 水泳中や安静時にもズキズキした痛みが現れ、程度は軽い違和感から激痛まで幅がある 動かしにくさ 腕を上げたり、後ろに回す動作が難しくなり、日常生活にも支障をきたすことがある 腫れ・熱感 強い炎症により肩が腫れ、熱を持ち、赤くなるなどの症状を伴う これらの症状に心当たりがある方は水泳肩の可能性が高いです。 無理にトレーニングを続けず、症状が現れたら医療機関を受診しましょう。 症状が悪化すると、インピンジメント(衝突症候群)で骨や筋肉が肩の中でぶつかって痛む状態や、関節唇損傷で肩の軟骨が傷ついた状態になるなど、重篤な疾患に発展する恐れがあります。 水泳肩になる主な原因 水泳肩を引き起こす主な原因には以下の2つがあります。 肩の使いすぎ フォームが悪い それぞれの原因について詳しく見ていきましょう。 肩の使いすぎ 肩の使いすぎは水泳肩を引き起こす代表的な原因です。(文献1) 水泳動作により肩関節が反復して使われることで、筋や腱に過剰なストレスがかかり、炎症反応を引き起こすためです。 とくに、長時間の練習や高強度のトレーニングを続けると、肩周辺の組織が十分に回復する時間がとれなくなります。 また、急激に練習量を増やした場合も、肩への負担が急激に高まり障害のリスクが上昇します。 適切なタイミングで休息をとり、練習量は段階的に増やしていきましょう。 フォームが悪い 泳ぎのフォームが悪いと肩関節に異常な負担をかけ、水泳肩の発症リスクを高めます。 肩の動きが不自然になると、特定の筋肉や腱に過度な負荷が集中し、炎症や損傷を引き起こします。 たとえば、以下の要因です。 腕の入水角度が悪い 肩の回転が不十分 体幹が不安定 肩だけで推進力を生み出そうとすると過度な負担がかかります。 正しいフォームを習得し、肩にかかる負担をおさえましょう。 水泳肩の痛みに効果的なストレッチ 水泳肩の痛みを軽減するためには、適切なストレッチが効果的です。 ストレッチを行うことで肩周辺の筋肉の柔軟性が向上し、血流が改善されて痛みの軽減につながります。 水泳肩の痛みに効果的なストレッチは以下のとおりです。 小胸筋(胸の上の方で肩の前にある筋肉)のストレッチ 肩の内旋(内側にねじる)ストレッチ 肩甲骨まわりのストレッチ 日常的にストレッチを行うことで、水泳肩の予防効果も期待できます。 ただし、強い痛みがある場合は無理をせず、医師や理学療法士の指導を受けながらストレッチを行いましょう。 水泳肩の代表的な治し方と治療期間 水泳肩の治療法と治療期間を理解できれば、症状に応じた選択が可能になります。 水泳肩の主な治療法には以下の4つの方法があります。 保存療法 リハビリ 手術 再生医療 各治療法の特徴と適応について詳しく解説します。 保存療法 保存療法は水泳肩の症状が軽度〜中程度期の治療として選択される方法です。 痛みの段階に応じて以下の治療を行います。 安静にする 湿布などで冷却する 消炎鎮痛剤を内服する ステロイド注射をする 保存療法の治療期間は、症状や治療内容によって個人差があります。 リハビリ リハビリテーションは水泳肩の機能回復と再発予防が期待できます。 理学療法士による専門的な指導のもと、主に肩関節の可動域改善や筋力強化などの運動療法を行います。 初期段階では痛みの軽減と炎症の抑制をして、徐々に筋力トレーニングや動作練習を加えていくのが一般的です。 また、正しい泳ぎのフォームの習得や、水泳復帰のための段階的なトレーニングも含まれます。 リハビリ期間は個人差があるため、競技復帰までの期間も個々に異なります。 手術 水泳肩が重症化すると、肩の腱板が切れてしまう腱板断裂に至り、手術を検討する必要があります。 腱板が断裂すると、肩を動かすたびに強い痛みが出るだけでなく、筋力が入らず腕が思うように上がらなくなるケースも見られます。 こうした状態では、切れた腱板をつなぎ直す関節鏡視下手術と呼ばれる内視鏡手術が一般的です。 手術の入院期間は2日から5日程度で、手術後は数カ月間リハビリを通じて機能の回復を目指します。 再生医療 再生医療は人間の組織を活用した治療法です。 再生医療には、「幹細胞治療」と「PRP(多血小板血漿)療法」があります。 「幹細胞治療」はご自身の脂肪などから幹細胞を採取・培養し体内へ注射する治療です。 「PRP(多血小板血漿)療法」では、ご自身の血液から血小板を多く含む成分を抽出し体内へ注射します。 当院では両方の治療法を提供していますので、具体的な治療内容を知りたい方は当院までお気軽にお問い合わせください。 水泳肩の原因と治し方を知って適切に対処しよう 水泳肩は適切な知識と対処法を理解できれば、効果的に治療をはじめられます。 しかし、痛みがある状態で無理に水泳を続けてしまうと、将来的に手術が必要となる場合があります。 水泳肩の主な治療法は以下の4つです。 保存療法 リハビリ 手術 再生医療 痛みを感じたら無理をせず、医療機関で適切な診断と治療を受けましょう。 症状が改善しない水泳肩の損傷に対しては手術や再生医療の選択肢もあります。 再生医療を提供する当院では、メール相談、オンラインカウンセリングを承っておりますので、ぜひご活用ください。 水泳肩に関するよくある質問 水泳肩は肩のどこの部分が痛い? 水泳選手に多い肩の痛みは、主に棘上筋と呼ばれる筋肉の腱に炎症が起こることが原因とされています。(文献1) 棘上筋の場所は、肩甲骨上部から上腕骨の上端にかけて付着する筋肉です。 棘上筋周辺の筋肉や腱に炎症が生じると、腕を上げる動作や回旋動作で痛みが増強します。 また、重症化すると肩甲骨周辺や首筋にまで痛みが広がる場合があります。 関連記事:肩が痛い!医師が詳しく解説 | 大阪 リペアセルクリニック 水泳肩は治らない怪我ですか? 水泳肩は適切な治療により改善できるスポーツ障害です。 早期発見と正しい治療により回復が期待できます。 関連記事:水泳肩が治らない?気付かずに悪化する理由や治療法について解説 | 大阪 リペアセルクリニック 水泳肩に効くトレーニングはありますか? 水泳肩の改善には肩甲骨周辺の筋力強化とバランス調整が効果的です。 とくに、ローテーターカフと呼ばれる深層筋群の肩甲骨まわりのトレーニングに取り組むことが水泳肩に効くと報告されています。(文献2) 具体的には、軽い負荷でのチューブトレーニングやダンベルなどを使用し、体幹の安定性を高めるエクササイズなどがあります。 ただし、痛みがあるときは無理をせず、医療機関を受診し適切な指導のもとでトレーニングを段階的に進めることが大切です。 参考文献 (文献1) Biomechanical Considerations in the Competitive Swimmer’s Shoulder|Sports Health (文献2) Effectiveness of Therapeutic Exercise in Musculoskeletal Risk Factors Related to Swimmer's Shoulder|Eur J Investig Health Psychol Educ
2025.07.31 -
- 野球肘
- 上肢(腕の障害)
- 下肢(足の障害)
- 肘関節
- スポーツ外傷
「肩や肘が痛いけれど、まだ投げられるから大丈夫」「チームに迷惑をかけられないから、少しくらい我慢しよう」 このような想いを抱きながら、痛みと向き合っている選手や保護者の方は決して少なくありません。 しかし、驚くべきことに高校球児の20人に1人が肩関節もしくは肘関節の手術や引退を余儀なくされるような重篤な怪我を経験しているのが現実です。(文献1) さらに、1シーズンで100イニング以上投げた選手は、投球回数が少ない選手に比べて約3.5倍の確率で重篤な怪我のリスクが高まるという研究結果も報告されています。(文献1) 野球での怪我は運や偶然で起こるものではありません。そこには必ず原因があり、正しい知識と早期対応によって多くの怪我は予防できるのです。 本記事では、野球で発症しやすい代表的な怪我の種類と症状、そして最も大切な予防法について詳しく解説します。 怪我と正しく向き合うための知識を身につけることで、長く野球を続けられる体づくりを目指しましょう。 野球で多い怪我と症状をチェック 野球は全身を使ってプレーする複雑なスポーツです。投球、打撃、守備、走塁のすべての動作で、さまざまな部位に負担がかかります。(文献2) 以下で詳しく解説する野球で多い怪我の症状や特徴を理解し、自分の症状がどのタイプに当てはまるかを把握しましょう。 野球肩 原因 投球動作の繰り返し、肩甲骨周囲筋の筋力低下、不適切な投球フォーム、体幹・股関節の柔軟性低下 症状 投球時の肩の痛み、腕を上げる際の引っかかり感、夜間痛(炎症が強い場合)、肩の可動域制限 治療法 投球中止と安静(2〜4週間)、消炎鎮痛薬、ステロイド注射、リハビリテーション、重症例では手術 野球肩は投球動作で引き起こされる肩関節周辺の障害の総称で、発症のピークは15~16歳とされており、投手と捕手に多く見られます。(文献3) 投球動作は5つのフェーズに分けられ、各フェーズで異なる負荷がかかるため、痛みの出るタイミングによって損傷部位や重症度を推測できます。 ワインドアップ期:投球動作開始からステップ脚を最も高く上げるまで アーリーコッキング期:ステップ脚が地面に着くまで レイトコッキング期:肩関節が最大外旋位に達するまで アクセラレーション期:ボールリリースまでの加速期 フォロースルー期:ボールリリース後の減速期野球肩は段階的に進行する特徴があります。 初期段階では投球後の軽い違和感程度で、数日休むと症状が改善できるため、この段階での適切な対応が最も重要ですが、無理をしてしまうと日常生活に支障をきたすようになってしまいます。 初期段階で食い止められるように、違和感がある際は無理をせず休みましょう。 野球肘 原因 投球による肘への外反・回内ストレス、成長期の骨端線への負荷、オーバーユース、不良な投球フォーム 症状 投球時・投球後の肘痛、肘の伸展・屈曲制限、急に動かせなくなる(ロッキング)、握力低下(文献4) 治療法 投球禁止と安静、内側型は保存療法中心、外側型は長期投球禁止または手術、後方型は炎症抑制治療 野球肘は投球動作の繰り返しによって肘関節に生じる疼痛性障害の総称で、発症の時期により「発育型野球肘」と「成人型野球肘」に分けられます。 年代別の特徴として、11-12歳が発生のピーク年齢とされており、成長期では骨端(骨にある軟骨や成長線)への影響が大きく、成人期では靱帯や筋腱付着部の障害が中心となります。 野球肘の診断で重要なポイントとして、野球肘は前兆となる自覚症状が乏しく、痛みを訴える時には重症化していることが少なくない特徴があります。 腰椎分離症・腰痛(バッティング・投球の負担) 原因 打撃練習での体幹回旋動作、投球時の腰部負担、中腰姿勢の維持、不適切なランニングフォーム 症状 体幹後屈時の痛み、長時間立位困難、慢性的な腰痛、進行すると下肢のしびれ 治療法 早期発見時は保存療法(コルセット装着)、安静、完全分離時は手術を検討 腰椎分離症は、腰の背骨にある椎弓(ついきゅう)と呼ばれる腰椎が分離している状態のことを指します。疲労骨折が原因と言われており、発育期の代表的なスポーツ障害の一つです。 野球ではピッチングやバッティングで身体を反ったり、腰をひねる動作を繰り返し行うため、発症しやすい疾患として知られています。 日本の成人も約6%が腰椎分離症を患っていますが、未成年では小学校高学年~大学進学時の成長期のスポーツ部活生に起きることが多いとされています。 日本臨床スポーツ医学誌の研究では、大阪府で全国大会出場レベルの高校野球部に入学予定の中学3年生男子を258名研究した実験によれば、258名中55名(21.3%)が腰椎分離症を疑う初見を有しており、年齢に関係なく野球の練習に熱心な子どもは腰椎分離症を患いやすいことが判明しました。(文献5) 治療で重要なのは早期発見です。まだ骨折が早期の状態で発見できれば、手術をしない保存療法で治療を進められます。コルセットの着用など安静が正しく守れれば、骨は自然と癒合していきます。 腰椎分離症の中でも、とくに発症頻度が高いのが「第五腰椎分離症」です。 初期段階では軽い違和感程度のことも多く、見逃されやすい一方で、放置すると競技継続に支障をきたす可能性があります。 第五腰椎分離症の初期症状や治療法については、以下の記事で詳しく解説しています。 足首捻挫・アキレス腱炎 原因 急激な方向転換、不整地でのプレー、ふくらはぎの筋肉の柔軟性低下、不適切なシューズ 症状 足首の痛み・腫れ、歩行困難、アキレス腱部の痛み・圧痛 治療法 RICE処置(安静・冷却・圧迫・挙上)、テーピング、リハビリテーション 野球では走塁時の急激な方向転換や、硬いグラウンドでのプレーにより足首の捻挫が頻繁に発生します。また、ダッシュやジャンプ動作の繰り返しによりアキレス腱炎も起こりやすい怪我の一つです。 アキレス腱炎は、ふくらはぎの筋肉とかかとの骨をつなぐアキレス腱に炎症が起こる状態です。野球では、ダッシュや方向転換の繰り返し、合わないシューズを着用することで発症しやすくなります。 野球で発症した怪我のリハビリについて 野球で発症した怪我のリハビリは、単に痛みを取り除くだけではなく、競技復帰に向けた段階的な機能回復と再発予防が重要な目的となります。 以下は野球肩と野球肘のリハビリにおいて、重要なポイントです。 野球肩のリハビリポイント 急性期:肩のアイシングと安静時のポジショニング 回復期:肩甲骨周囲筋の筋力強化、インナーマッスル強化 競技復帰期:投球動作の段階的練習、フォームチェック 野球肘のリハビリポイント 投球禁止と肘のアライメント改善 股関節・体幹の柔軟性向上 段階的な競技復帰プログラム リハビリの成功には、選手、指導者、医療スタッフの連携が不可欠です。焦らずに段階的なプログラムを遵守し、より強い状態での競技復帰を果たしましょう。 野球での怪我リスクを予防するためには 野球での怪我リスクを効果的に予防するためには、まず怪我につながる主要因への理解が重要です。 適切な投球数制限を守る まず、過度な投球数は怪我のリスクを引き上げてしまいます。 予防対策として、各年代の投球数制限のガイドラインに従って、以下の表を参考に球数制限をすると良いでしょう。 年代 投球数制限(1日) 投球数制限(1週間) 補足 小学生 4年生以下60球以内 5・6年生70球以内(文献6) - 2日間連続で投げる場合は合わせて100球以内 中学生 1日70球以内(文献7) 350球以内 週に1日全力投球しない日を設ける 連続する2日間で120球以内 高校生 - 500球以内(文献8) 投球フォームの改善 不適切な投球フォームは肩や肘に過度な負担をかける主要な原因です。 以下のようなフォームは、怪我のリスクを高め、選手生命を脅かしてしまうため改善を心がけましょう。 肘が下がったまま投げることで手投げになってしまい、肘に負担をかける 身体の開きが早く、肩関節に過度なストレスがかかってしまう 踏み出す足を投球方向に斜め、または横に踏み出すことで身体の回転を正しく使えずにフォームを崩す 癖になる前に指導者の指示に従い、修正しましょう。 股関節の柔軟性 また、股関節の柔軟性は野球での怪我予防の最重要ポイントです。股関節が固いと体を上手に使えず、その状態で野球特有のピッチングやバッティングを行うと怪我の危険性が高まります。 対策として、股関節の柔軟性向上のためのストレッチを日常的に行い、練習前には適切なウォーミングアップを実施することで、怪我のリスクを軽減しましょう。 そして、継続的な疲労の蓄積は怪我の大きな要因となるため、適切な休養により体の回復を図る必要があります。 十分な睡眠と栄養摂取により体調管理を徹底し、怪我をしにくい身体づくりを行ってください。 早期復帰が目指せる再生医療(PRP/幹細胞)について メジャーリーガーをはじめとする野球選手が取り入れている「再生医療」について紹介します。 再生医療の一つ「PRP療法」には、日帰り治療が可能で手術を回避できるというメリットがあります。 患者様自身の血液を活用する治療法のため、副作用のリスクが少ないのが特徴です。 もう一つの再生医療「幹細胞治療」では、患者様から採取・培養した幹細胞を患部に投与いたします。幹細胞には、他の細胞に変化する能力があり、患部にアプローチします。 PRP療法だけでなく幹細胞治療も入院を必要としないため、短期間での治療を目指せるのが特徴です。 再生医療は、野球選手の怪我治療における新たな選択肢として確立されつつある治療法です。 ただし、予防が最も重要であることに変わりはありません。怪我をする前の予防策の実施と、万が一怪我をした場合の適切な治療選択が、長い競技人生を支える両輪となります。 まとめ||再発ゼロを目指すなら専門医の伴走が近道 野球での怪我は予防が最も重要です。正しい投球フォームの習得や年代に応じた投球数制限を守り、柔軟性を保つことで多くの怪我を防げます。 万が一怪我をした場合でも、メジャーリーガーも取り入れているPRP療法や幹細胞治療などの再生医療により、野球への早期復帰が目指せます。 1週間以上続く痛み、投球時の違和感、可動域の制限といった初期症状に気づいたら、すぐに専門医に相談してください。 あなたの野球人生をより良いものにするためにも、違和感があれば一人で悩まず、専門医へ相談しましょう。長く充実した野球人生を送るため、私たちが全力でサポートいたします。 参考文献 (文献1) 古島弘三ほか「少年野球での"投げ過ぎ"が及ぼす影響 肩や肘の重篤な故障リスクは3.5倍」Full-Count, 2022年10月14日 https://full-count.jp/2022/10/14/post1294608/(最終アクセス:2025年5月24日) (文献2) 公益財団法人スポーツ安全協会「障害予防のためのセルフチェック|スポーツ外傷・障害予防-野球編」 https://www.sportsanzen.org/syogai_yobo/baseball/page2.html (最終アクセス:2025年5月25日) (文献3) 日本整形外科学会認定スポーツ医「野球肩」 https://jcoa.gr.jp/%E6%8A%95%E7%90%83%E8%82%A9/ (最終アクセス:2025年5月25日) (文献4) 日本整形外科学会認定スポーツ医「野球肘」 https://jcoa.gr.jp/%E6%8A%95%E7%90%83%E8%82%A9/ (最終アクセス:2025年5月25日) (文献5) 栗田剛寧ほか「発育期野球選手におけるポジション別の腰椎分離症と身体特性の関連」日本臨床スポーツ医学会誌 32(3), 446-453, 2024年 https://www.rinspo.jp/journal/2020/files/32-3/446-453.pdf (最終アクセス:2025年5月25日) (文献6) 日本少年野球連盟「投球数制限ガイドライン」2021年12月 https://www.boys-fukuoka.com/download/tokyusuu_seigen/20211212_tokyuguideline.pdf (最終アクセス:2025年5月27日) (文献7) 日本中学野球協議会「中学生投手の投球制限に関する統一ガイドライン」 https://littlesenior.jp/news/48.html (最終アクセス:2025年5月27日) (文献8) 日本高等学校野球連盟「高校野球特別規則(2024年版)」2024年 https://www.jhbf.or.jp/summary/rule/specialrule/specialrule_2024_1.pdf (最終アクセス:2025年5月27日)
2025.05.30 -
- 野球肘
- 上肢(腕の障害)
- 肘関節
- スポーツ外傷
「練習後にいつも肘の外側が痛む」 「思い切りボールを投げられない」 日々野球に打ち込む中で、肘の外側に違和感はありませんか。その症状は、野球肘かもしれません。 野球肘とは、投球動作によって引き起こされます。野球肘の主な原因は、オーバーユースや投球フォームの乱れにあります。本記事では、外側が痛む野球肘について解説します。 外側が痛む野球肘の原因 外側が痛む野球肘の治し方 外側が痛む野球肘を治す方法 外側が痛む野球肘を再発させないための予防法 野球肘は適切な治療と予防策をしっかり守れば、改善する症状です。外側が痛む野球肘の症状でお悩みの方は、ぜひ最後までお読みください。 外側が痛む野球肘の原因 野球肘(外側)は、投球動作の繰り返しによって肘の外側にストレスがかかることで発症します。 とくに成長期の段階は、骨や軟骨が未発達なため、損傷を起こしやすいのも特徴です。野球肘で外側が痛む原因は以下の3つです。 不適切な投球フォーム オーバーユース(使いすぎ) 成長期の骨・関節の未成熟 野球肘(外側)の原因を解説します。 また、野球肘が野球以外のスポーツでも発症する可能性ついて解説した参考記事もあわせてご覧ください。 不適切な投球フォーム フォームの種類 動作の特徴 肘への影響 肘下がりのフォーム 投球時に肘が肩よりも下がる 肘の外側に過度な外反ストレスが加わる 手投げのフォーム 下半身や体幹を使わず腕だけで投げる リリース時に肘関節へ瞬間的な高負荷 体の開きが早いフォーム 上半身が先に開くことでリリースが不安定になる 腕のしなりが失われ、肘が遅れて出てくる ステップ不足のフォーム ステップが小さい、動きが止まる、前足が早く着地する 上半身主導になり肘が遅れて出る (文献1) 肘に過度な負担をかける投球フォームは、野球肘(外側)を引き起こす原因です。手投げになる、肘が下がるフォームなどは、肘の外側の小さな骨や軟骨に繰り返し牽引力や圧迫力を生じさせます。フォームの歪みが長年積み重なることで、損傷が蓄積し、肘の違和感として現れます。 予防には、指導者による適切なフォーム指導や、自身のフォームを見直すことが大切です。 オーバーユース(使いすぎ) 試合や練習での投球過多は、肘関節に繰り返しダメージを与え、野球肘を引き起こします。疲労が蓄積すると組織が回復しきれず、炎症や損傷の負担を増加させます。 とくに、投球数や練習時間の管理が不十分な場合、野球肘を引き起こしやすくなるため、注意が必要です。オーバーユースを防止するには、投球数の制限(1日70球程度など)や、ウォーミングアップ・クールダウンの時間を設けることが大切です。 成長期の骨・関節の未成熟 項目 内容 原因部位の特徴 成長期の骨には骨端線(成長軟骨)があり、ストレスに弱い構造をしている 成長期のリスク 骨端軟骨は未成熟で、機械的ストレスに対して脆弱 野球肘(外側)との関連 投球による圧迫で上腕骨小頭に微小骨折や血流障害が起き、離断性骨軟骨炎を発症しやすい 成長期の段階では、骨や関節が完全にできあがっていないため、強い力が加わると損傷を起こしやすくなります。この時期に過度な負荷がかかると、骨端線と呼ばれる成長軟骨帯を損傷し、野球肘を発症する原因になります。 野球肘を引き起こさないためにも、年齢や発育に応じた投球管理が大切です。 外側が痛む野球肘の治療方法 治療法 内容 特徴・ポイント 適応されるケース 保存療法 安静、投球中止、装具の使用などで自然回復を目指す 体への負担が少なく、多くの初期症状に対応できる 軽症~中等症、骨に大きな損傷がない場合 薬剤療法 炎症や違和感を抑える薬(消炎鎮痛薬など)を使う 違和感を和らげ、回復をサポートする補助的な治療 違和感が強いとき、保存療法と併用されることが多い 手術療法 損傷した骨・軟骨を除去、骨片の固定、関節鏡手術など 根本的な修復が必要な場合に有効だが、リハビリが必要 保存療法で改善しない中等度〜重症の場合 再生医療 自己由来の幹細胞やPRPを用いて組織の再生を促す治療 身体への負担が少なく、回復力を高める治療法 手術を避けたいケースや、早期復帰を目指す場合 野球肘(外側)は、症状に合わせた適切な治療が求められます。野球肘の症状が重度の場合、手術を行うケースもあります。 外側が痛む野球肘の治し方は以下の4つです。 保存療法 薬剤療法 手術療法 再生医療 野球肘(外側)の治療法について解説します。 以下の記事では肘のクリーニング手術について詳しく解説しています。 保存療法 治療の目的 治療方法 内容・ポイント 炎症の抑制 安静 投球中止や日常生活での肘の使用制限。負担を避けることで炎症を抑える アイシング 1回15〜20分、1日数回の冷却で腫れ・違和感を軽減。投球後や違和感が強い時に有効 薬剤療法 NSAIDsなどの消炎鎮痛薬を医師の指示で服用する。炎症と違和感をコントロール 組織の修復 安静(継続) 靭帯や軟骨の自然回復を促す。違和感が取れるまでは無理な動作を避ける 機能回復 リハビリテーション 肘周囲の筋力・柔軟性を高め、再発予防。専門家の指導で段階的に進める 装具療法 サポーターやテーピングで肘を固定・安定化。運動中や回復期に使用する 初期の野球肘(外側)に対しては、保存療法で症状の改善を目指します。野球肘(外側)の治療は、安静、アイシング、リハビリ(ストレッチ・筋トレ)、投球フォーム修正などを、違和感の程度や状態に合わせて組み合わせて行います。 リハビリは自己判断せず、違和感が再発した場合は、すぐにリハビリを中止し、医師に相談してください。 薬剤療法 項目 内容 ポイント・補足 治療の目的 違和感の緩和 炎症や違和感を抑え、日常生活やリハビリをスムーズに進めるために使用 炎症の抑制 組織の回復を促進し、治癒までの時間を短縮する効果 薬剤の種類 NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬) 内服・塗り薬・湿布など(例:ロキソプロフェン、ジクロフェナク) ステロイド注射 炎症が強い場合に使用。効果は高いが副作用リスクあり(関節内注射など) ヒアルロン酸注射など 関節の滑らかさを保ち、痛みを和らげる補助的な治療法 注意点 根本的な治療ではない 薬だけでの完治は難しく、投球フォームの改善や休養が不可欠 副作用の可能性 胃腸障害やアレルギーなど。自己判断での使用は避ける 医師の指示が必須 症状に応じた薬の選択が重要。医療機関で診察を受けること 違和感が強く出る場合には、炎症を抑えるための外用薬や内服薬が用いられることがあります。 しかし、薬剤療法はあくまで症状を緩和するためのものであり、根本的な治療ではありません。副作用が出る可能性もあるため、医師の指導のもと、薬を服用しましょう。 手術療法 項目 内容 補足・ポイント 手術療法の位置づけ 原則は保存療法が優先される 症状が軽度~中等度なら、まずは安静・アイシング・リハビリで経過をみる 保存療法で改善が見られない場合に手術を検討 とくに骨軟骨が損傷している場合や関節内に遊離片がある場合 手術が必要となる原因 離断性骨軟骨炎の進行 剥がれた骨軟骨が関節内で動き、引っかかりや痛みを引き起こす 骨軟骨の損傷 投球による負荷で軟骨が損傷し、自然治癒が難しい状態になる 手術法 関節鏡手術 関節内を小さなカメラで確認しながら遊離片の除去や修復を行う。傷が小さく回復も早い 骨軟骨移植術 広範囲の損傷に対して、自身の骨軟骨を別部位から移植して再建する方法 保存療法で症状が改善しない場合は、手術療法が検討されます。野球肘(外側)の手術では、剥離した骨片や軟骨片の摘出、損傷した靭帯の修復といった処置が行われます。 手術療法は、後遺症や感染症のリスクを伴う可能性があるため、治療を選択する際には医師との十分な相談が不可欠です。(文献2) 再生医療 患者自身の血液や骨髄由来の成分を患部に注入し、組織の修復を促進します。再生医療は、従来の治療法と比較して、薬の副作用が少ない、あるいは手術に伴うリスクを軽減できる利点があります。 現時点では、再生医療を提供できる医療機関は限られているため、再生医療を検討している方は、再生医療を取り扱っている医療機関での受診が必要です。 以下では再生医療について詳しく解説しています。 外側が痛む野球肘を早く治す方法 医師の指導に従いながら、適切に肘のケアを行うことは、治療効果を高める上で大切です。 野球肘(外側)を治す方法は以下の4つです。 安静期間を守る アイシングを行う 適度なリハビリを行う 投球フォームを見直す 野球肘を治す方法について解説します。 安静期間を守る 効果 内容 補足・ポイント 炎症の悪化を防ぐ 肘の使いすぎで生じた炎症を悪化させないために安静が必要 炎症を悪化させないためには安静が必要。違和感が軽減しても内部の炎症は残っていることが多く、早期復帰は再発リスクを高める 組織の修復を促進 靭帯や軟骨、骨などの損傷した組織が自然に回復する時間を確保 動かし続けると修復が遅れ、治療期間が長引く可能性がある 慢性化を防ぐ 十分な休養を取ることで、症状の長期化や重症化を防げる 放置すると慢性痛や可動域制限に進行し、手術が必要になるケースも 違和感を無視して投げ続けると、炎症や損傷が悪化し回復が長引く可能性があります。安静期間を守ることで、炎症が悪化するのを防ぎ、組織の修復を促します。 違和感が治まるまでの間は、投球練習や肘に負担のかかる動作は避けるべきです。焦らず身体を休ませ、復帰時期は医師と相談し、指示に従うようにしましょう。 アイシングを行う アイシングの手順 内容 ポイント・注意点 手順1.用意するもの 氷または保冷剤、薄手のタオル、タイマー 保冷材は凍結しすぎないものが望ましい(冷却ジェルなども可) 手順2.氷を包む 氷や保冷剤をタオルで包む 凍傷を防ぐために直接肌に当てないようにする 手順3.肘の外側にあてる 違和感や腫れがある部分を中心に冷やす 肘の外側(外側上顆〜関節周囲)を広く覆うようにあてる 手順4.時間を計る 1回15〜20分を目安に冷却 長時間の冷却は避ける。間隔を空けて1日数回行う 手順5. 使用後のケア 肌の状態を確認し、赤みや感覚異常があれば中止 湿布など他の冷却法との併用は医師の指示に従う 患部の違和感や炎症を軽減するには、冷却処置であるアイシングが効果的です。練習後や入浴後など、肘に熱感があるときに行います。 冷やしすぎると凍傷の恐れがあるため、タオルを巻いた氷嚢などを使い、違和感のある部分を冷やします。 冷却は1回につき15〜20分を目安に行い、無理のない範囲で、やさしく冷やすことが大切です。 適度なリハビリを行う 効果の観点 内容 ポイント・補足 機能回復と柔軟性向上 関節や筋肉の硬さを防ぎ、肘の動きをスムーズに保つ 早期復帰を目指すために、安静だけでなく積極的な可動域訓練が必要 筋力低下の防止・再発予防 肘周りの筋力を維持・強化し、再発リスクを減らす 長期間の安静後は、段階的な筋トレが再発防止に重要 違和感のコントロールと回復促進 軽い運動で血流を促し、組織の修復を助ける ストレッチや軽負荷の運動で症状を悪化させずに進められる 投球フォームの改善 誤ったフォームを修正し、肘への負担を減らす 医師の指導のもと、再発防止につながる正しいフォームを習得 違和感がある程度改善した段階で、医師の指導のもと、段階的にリハビリを進めていきましょう。リハビリでは、肘周りの柔軟性を取り戻すストレッチや、違和感がでない範囲での軽い筋力トレーニングを実施します。 無理のない範囲で徐々に運動強度を上げていくことが大切です。リハビリは自己流ではなく、医師の指示に従いながら行いましょう。 投球フォームを見直す 期待できる効果 内容 ポイント・補足 肘への負担軽減 誤ったフォーム(肘下がり・手投げ)は外側に過度な負荷をかける 正しいフォームで全身の力を使うことで、肘の負担が大幅に軽くなる 早期回復と再発予防 症状が治っても誤ったフォームでは再発リスクが残る 原因そのものを見直すことで改善を目指す 全身のバランス改善 肘だけでなく肩・体幹・下半身の連動が大切 フォーム改善により全身の動きがスムーズになり、肘の負担を分散できる 投球パフォーマンス向上 肘の負担を減らしながら球速やコントロールが向上 怪我を防ぎつつ、より良い投球フォームが身につく 誤ったフォームでの投球は肘へ負荷をかけるだけでなく、症状を再発させる恐れがあります。フォームは自分だけでは改善しにくい部分が多く、医師や指導者のアドバイスが不可欠です。 正しいフォームを身につけることで、改善後の再発を防ぐだけでなく、投球パフォーマンスの向上が期待できます。 外側が痛む野球肘を再発させないための予防法 再発防止には、日頃の投球環境や身体の状態を整えることが欠かせません。野球肘(外側)の症状を再発させないための予防法は以下の7つです。 正しい投球フォームの習得 投球数の制限と適切な休息 ウォーミングアップとクールダウンの徹底 筋力トレーニングとストレッチを怠らない 栄養と休養をしっかり取る 定期的なメディカルチェックを受ける 投球後のアイシングを怠らない 以下では、外側が痛む野球肘を再発させない方法をくわしく解説します。 正しい投球フォームの習得 項目 内容 期待できる効果 肘の位置が肩と同じ高さ以上 投球時、肘が肩より下がらないようにする 肘下がりを防ぎ、外側へのストレスを軽減 体幹の回旋を使う 腕だけで投げず、体幹をひねって投げる 肘の負担を分散し、全身の力で投げられる 下半身主導のフォーム 踏み出し足で地面を蹴り、腰を先行させて投げる 手投げを防ぎ、肘の過負荷を防止 ステップの幅を確保 ステップが小さすぎないようにする 軸足のパワーを十分に使えて肘に負担がかかりにくい リリース時の肩・肘・手の連動 肩→肘→手の順に、自然な連動意識が大切 肘に不自然なねじれが加わらず、損傷リスクを低減 柔軟性の確保 肩・股関節・胸郭の柔軟性を高める スムーズなフォームの維持と筋肉疲労の予防 (文献1)(文献3) 野球肘を再発させないためには、正しい投球フォームの習得が不可欠です。重要なのは、肘を肩より下げない、肘下がりの防止です。肘下がりは肘の外側に大きなストレスがかかり、再発リスクが高まります。 ステップの幅やリリース時の肩・肘・手のスムーズな連動も大切な要素であり、肩や股関節、胸郭の柔軟性を高めることでスムーズな動作ができるようになります。体の軸を意識し、下半身の力を十分に伝えるフォームを習得すれば、肘への負担を軽減できます。 投球数の制限と適切な休息 過度な投球は肘へのストレスを与える原因になります。肘へストレスを与えないためにも投球制限と適切な休息を取ることが大切です。 とくに成長期の連投や過度な練習は、未発達な肘に大きな負担をかけます。連日の投球は避け、身体のサインを見逃さないことも再発防止につながります。 ウォーミングアップとクールダウンの徹底 分類 目的 内容 期待できる効果 ウォーミングアップ 筋肉・関節の準備 軽い運動で身体を温め、関節の可動域を広げる 肘や肩を動かしやすくし、怪我を防ぐ 血流の促進 全身の血行をよくする 酸素や栄養が筋肉・腱に行き渡り、負担を軽減 神経系の活性化 動作の反応や協調性を高める 投球フォームの安定につながり、再発予防になる クールダウン 疲労物質の除去 軽い運動やストレッチで血流を促す 疲労回復を早め、筋肉痛や炎症を防ぐ 筋肉の柔軟性維持 運動後のストレッチ 筋肉の硬化を防ぎ、次回の投球もスムーズに行える 炎症の抑制 アイシングなどで局所を冷却 肘関節の炎症を抑え、損傷の進行を防ぐ (文献4)(文献5) 練習前には、全身の筋肉を温め、関節の可動域を広げるウォーミングアップを丁寧に行いましょう。また、練習後には、クールダウンとしてストレッチや軽い運動を実施し、筋肉の疲労回復を促すことで、野球肘の防止につながります。 ウォーミングアップとクールダウンは、毎回忘れずに徹底しましょう。 筋力トレーニングとストレッチを怠らない 分類 目的 内容 期待できる効果 筋力トレーニング 肘や肩周りの安定性強化 チューブを使った肩のインナーマッスル強化(ローテーターカフ)前腕の回外・回内筋の筋トレ 投球時に関節を安定させ、肘への過剰な負荷を防ぐ 体幹の強化 プランク、ヒップリフトなどの体幹トレーニング 下半身~上半身の力の伝達をスムーズにし、手投げフォームの防止 下半身の強化 スクワット、ランジ、カーフレイズ 投球のパワー源を腕に頼らず、下半身から生み出すことで肘の負担を軽減 ストレッチ 柔軟性の向上 肩関節・胸郭・前腕・手首の静的ストレッチ 可動域を広げ、無理のないスムーズな投球動作を促す 疲労回復と再発予防 投球後のリカバリーストレッチ(上腕三頭筋、前腕伸筋群) 投球による慢性負荷の蓄積を防ぐ (文献6) 肘周りだけでなく、肩や体幹の筋力強化は、投球動作の安定性を高め、肘への負担を軽減します。筋肉や腱の柔軟性が低下すると、投球時に肘にかかる負担が増大し、野球肘を引き起こす原因になります。 筋力低下を防ぐため、医師の指示に従い、筋トレやストレッチを継続的に行いましょう。 以下の記事では、野球肘におすすめのストレッチ方法を解説しております。 栄養と休養をしっかり取る 項目 内容 具体例・補足 バランスの取れた食事 組織修復と体づくりに必要な栄養を摂る タンパク質(鶏むね肉・卵)炭水化物(ごはん・バナナ、脂質(ナッツ・アボカド)ビタミン類(緑黄色野菜・牛乳) 十分な睡眠 成長と回復を促すホルモンの分泌を助ける 7〜8時間睡眠、就寝前のスマホは控える、入浴・ストレッチでリラックス 水分補給 血流・代謝を保ち、炎症を防ぐ 運動前後に水やスポーツドリンクをこまめに飲む、のどが渇く前に補給 バランスの取れた食事と十分な睡眠は、骨や筋肉の成長、疲労回復に不可欠です。偏った食事や睡眠不足は、身体の回復力を低下させるだけでなく、怪我のリスクを高める原因になります。 とくに成長期は骨や筋肉が発達する重要な時期であるため、たんぱく質やカルシウムなどの栄養素をしっかり摂り、睡眠時間の確保が大切です。 定期的なメディカルチェックを受ける メディカルチェックを受ける目的 期待できるメリット 補足 早期発見・早期治療 自覚症状が出る前に、異常を見つけられる 画像検査(レントゲン・エコー)や触診で、関節の異常や初期炎症を早期発見が可能 重症化を防ぎ、早期の競技復帰が期待できる 状態に応じた保存療法・リハビリを早期に開始できる 再発リスクの軽減 肘の状態だけでなく、柔軟性・筋力・フォームの問題もチェックできる 肘に負担がかかるフォームや体の使い方の改善指導が受けられる 投球動作全体を見直す機会になり、再発を予防できる フォーム改善はパフォーマンス向上にも直結する (文献6) 無症状でも関節や軟骨に損傷が起きていることがあります。また、野球肘と診断された後も定期的にメディカルチェックを受けることで、症状の悪化や再発リスクを軽減できます。 また、成長期の段階は、骨や軟骨が未発達なため、野球肘(外側)を発症しやすいため、メディカルチェックで適切な投球制限やトレーニング指導を受けることが大切です。 症状改善後も、メディカルチェックで肘、柔軟性、筋力、投球フォームを定期的に確認し、再発予防に努めましょう。 投球後のアイシングを怠らない アイシングの目的 期待できる効果 補足 炎症の抑制と違和感の軽減 血管を収縮させて炎症を抑え、違和感を軽減 投球による微細な損傷の広がりを防ぎ、回復を早める 疲労回復の促進 筋肉や腱の緊張を緩和し、疲労をリセット 肘の柔軟性を保ち、翌日の投球への負担を軽減 組織修復の促進 損傷した組織の修復を助ける 回復力を高め、再発予防につながる アイシングは、血管を収縮させて炎症を抑え、違和感を抑え、回復を助けます。筋肉や腱の緊張を緩和し、疲労回復を促します。 投球後のアイシングは、野球肘の予防・治療において欠かせないケアです。アイシングを行う際は、凍傷に注意し、長時間の冷却や強い冷却は避けましょう。 外側が痛む野球肘は放置せずに専門医にご相談ください 投球時の肘の違和感は、野球肘(外側)の可能性があります。放置すれば、症状は進行し、プレーを続けるのが困難になるだけでなく、日常生活に支障をきたす恐れがあります。症状が悪化する前に早めに医療機関を受診しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、野球肘の症状に対して、幹細胞を活用した再生医療を提供しています。改善しない野球肘の症状でお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にて、当院へお気軽にご相談ください。 参考文献 (文献1) 「野球肘」『手外科シリーズ』, pp.1-2 https://www.jssh.or.jp/ippan/sikkan/pdf/18yakyu.pdf(最終アクセス:2025年4月12日) (文献2) 公益財団法人 日本整形外科学会「症状・病気をしらべる「術後感染症」」公益財団法人 日本整形外科学会 https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/postoperative_infection.html(最終アクセス:2025年4月12日) (文献3) 富田一誠,渡邊幹彦「成長期投球障害予防に関する日本野球協議会の取り組み」『第30回日本臨床スポーツ医学会学術集会』, pp.1-3,2020 https://www.rinspo.jp/journal/2020/files/28-3/420-422.pdf(最終アクセス:2025年4月12日) (文献4) 荒井秀典ほか.「健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023(案)」『健康づくりのための身体活動基準・ 指針の改訂に関する検討会』, pp.1-46, 2023年 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001171393.pdf(最終アクセス:2025年4月12日) (文献5) 「5章 部活動中における健康面での留意事項」, pp.1-19, https://www.kyoiku.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/kyoiku/guideline_06(最終アクセス:2025年4月12日) (文献6) 山根将弘ほか.「スポーツにおけるけがの予防野球肘検診の取り組み」『特集 輪・和・話』, pp.1-4, 2020年 https://www.town.tobetsu.hokkaido.jp/uploaded/attachment/14974.pdf(最終アクセス:2025年4月12日)
2025.04.30 -
- 上肢(腕の障害)
- スポーツ外傷
上腕二頭筋にこれまでにない違和感がある 腕に力が入らず、困っている その症状、もしかしたら上腕二頭筋断裂かも知れません。 上腕二頭筋断裂は、上腕二頭筋腱長頭腱が損傷し、腕を動かすなどの動作に支障が出る症状です。 スポーツや日常生活で腕を酷使する方がなりやすい症状であり、放っておくと重症化する恐れがあります。 本記事では以下について解説します。 上腕二頭筋断裂について 上腕二頭筋断裂の診断方法 上腕二頭筋断裂の原因 上腕二頭筋断裂の治し方 断裂後の生活で気を付けるべきこと 上腕二頭筋断裂は正しい知識を身につけ、適切な処置と治療を受けることで改善できます。 腕に違和感がある方は、ぜひ最後まで読み進めてみてください。 上腕二頭筋断裂とは 上腕二頭筋断裂の症状は、肩や肘の近くの強い違和感です。 肩関節で肩甲骨につながる2本の腱と、肘で腕の骨の1本(橈骨)につながる1本の腱が重いものを持つ行為などで損傷し、上腕二頭筋断裂が引き起こされます。 上腕二頭筋断裂は部分的な断裂もあれば、完全に断裂してしまい、腱が骨から完全に離れることもあります。 また、肘から骨が離れることで、腕を特定の方向に動かすことが困難になります。 腱の断裂が部分的なものであれば、患部を動かすことはできるものの、無理な酷使で腱の断裂状態が悪化し、完全に断裂する可能性もあるので注意が必要です。(文献1) 上腕二頭筋断裂の診断方法 診断方法 内容 問診 受傷時の状況、違和感のある部位や程度、日常生活での支障などを確認します。 視診・触診 腕の腫れや変形(ポパイサイン)圧痛の有無などを確認します。 理学検査 腕の可動域や筋力、動作中の違和感の有無などを確認します。 画像検査 レントゲン、超音波検査、MRIなどで腱の状態を確認します。 血液検査 通常は不要ですが、感染症などが疑われる場合には行われることがあります。 上腕二頭筋断裂の診断方法は以下の5つです。 問診 視診・触診 理学検査 画像検査 血液検査 上腕二頭筋断裂の診断は、検査を総合的に判断して行われます。検査の内容について解説します。 問診 診断項目 医師が確認する項目 患者が伝えること 断裂時の状況 いつ、どのような状況で受傷したか(重い物を持ち上げた、スポーツ中に強い負荷がかかったなど) いつどこで何をしている時に違和感があったなど、詳細に伝える 症状 腕のどこに違和感があるか。腕を曲げる、持ち上げるのが辛くないか 腕のどこに違和感を感じるか。力を入れたり腕を曲げたりすると辛いかどうか 既往歴 過去に肩や腕に違和感があったか。過去に治療や服用している薬がないかなど 過去に肩や腕に怪我を負ったかの有無。現在の健康状態や服用している薬があれば、漏れなく伝える (文献1) 問診では断裂時の状況や症状、既往歴などを医師が確認します。断裂時の状況や症状をできるだけ細かく伝えることが大切です。 過去に腕や肩を怪我したことのある方は、その旨を伝えましょう。また、現在服用している薬も忘れずに伝えましょう。 問診の情報を元に医師は視診や触診を行い、必要に応じて画像検査などを実施します。 正確に状況や症状を伝えることで診断や治療精度の向上が期待できます。 また問診の段階で少しでも気になることがあれば、遠慮なく医師に相談しましょう。 視診・触診 診察項目 確認事項 ポイント 上腕の形状 力こぶの形が変わっていないか(ポパイ徴候) 通常、断裂すると上腕の筋肉が下方にずれる 圧痛の有無 腱の走行に沿って押したときに違和感があるか 圧痛があると部分断裂の可能性が高い 筋力テスト 腕に力を入れたときの筋力が低下していないか 筋力の低下が見られる場合、腱が完全に切れている可能性がある (文献1) 視診・触診では、医師が患部の外観を確認します。上腕の形状などが変形していないかの有無や、色の変化を視診します。 腱の走行に沿って押したときに違和感や、筋力テストでいつもより力が入らない場合は腱が切れている可能性が高いです。 視診・触診で上腕二頭筋長頭腱の有無を確認し、適切な治療方針を定めます。 理学検査 テスト名 目的 方法 結果の見方 ルーズテスト 上腕二頭筋腱の安定性を評価 腕を外旋しながら肘を曲げ伸ばし、安定性を確認 異常な動きや引っかかりがあれば腱の不安定性を示唆 フックテスト 上腕二頭筋腱の完全断裂を評価 肘を90度に曲げた状態で、指を使って腱を引っ掛けられるか確認(文献2) 違和感がある場合、炎症や部分断裂の可能性がある バイセプス・スクイズ・テスト 上腕二頭筋腱の完全断裂を評価 肘を90度に曲げた状態で上腕を両側から圧迫し、筋収縮を確認 筋収縮がなければ腱が完全に断裂している可能性がある スピードテスト 上腕二頭筋腱の炎症を評価 腕を前方に伸ばした状態で抵抗をかけながら挙上し、違和感を確認 違和感がある場合、炎症や部分断裂の可能性がある 上腕二頭筋腱の症状に対して、どのテストを行うかは医療機関によって異なるものの、大枠は症状の確認です。 結果を医師が確認し、異常や違和感があれば、上腕二頭筋腱と診断される可能性があります。 画像検査 検査名 目的 特徴 適したケース 超音波検査 腱の断裂や炎症を確認 リアルタイムで腱の損傷を確認しつつ、動かしながら評価 簡易的な診断や、動作による変化を評価したいとき MRI検査 腱や周囲組織の状態を詳細に評価 腱だけでなく、関節や周囲の軟部組織も詳細に確認可能 より詳細な評価が必要な場合や手術の判断をする場合 (文献1) 上腕二頭筋腱の画像検査では、主にMRI検査と超音波検査が行われます。MRI検査では腱の断裂だけでなく、周囲の組織の状態を確認できます。 一方、超音波検査では腱の損傷や程度を視覚化する方法です。腕を動かしながらでも断裂の位置や大きさを正確に把握できます。 血液検査 血液検査は、必要に応じて行われます。腱断裂の直接的な診断では行いません。 感染症の有無や炎症反応、健康状態などを確認するために用いられます。 上腕二頭筋断裂の原因 原因 どんなときに起こりやすい? 加齢による腱の変性・脆弱化 年齢とともに腱が弱くなり、ちょっとした力でも切れやすくなる スポーツなどの反復的な使用 野球やテニスなど、腕をよく使うスポーツで繰り返し負荷がかかったとき 転倒や直接的な衝撃での外傷 転んだり、ぶつけたりして、強い力が腕にかかったとき 腱板損傷などの肩の疾患 肩の他の部分が傷んでいると、上腕二頭筋に負担がかかりやすくなり、発症しやすくなる ステロイド薬の長期使用 薬の影響で腱が弱くなることがある(文献3) 上腕二頭筋断裂の原因は、加齢やスポーツなどで発生した外傷です。上腕二頭筋断裂の原因について解説します。 加齢による腱の変性・脆弱化 上腕二頭筋の腱は年齢とともに強度が弱まり摩耗しやすくなるため、発症リスクが上がります。 腱や筋肉の柔軟性を維持するために、日頃から軽いストレッチや適度な運動が大切です。 スポーツなどの反復的な使用 スポーツが原因で上腕二頭筋断裂は発症します。とくに腕を酷使するスポーツである野球やテニスなどは腕に負担がかかりやすく、発症リスクが高いです。 また、工場作業や土木作業で重いものを運ぶのが日常になっている人も、腕に負荷がかかりやすく、断裂の原因になります。 スポーツや重労働を行う前は適切な準備運動を行い、腱や筋肉を慣らしておくことが大切です。 転倒や直接的などの外傷 処置名 説明 ポイント Rest(安静) 患部を動かさずに安静にし、さらなる損傷を防ぐ 無理に動かさず、適切な休息を取る Ice(冷却) 氷や冷却パックを当て、炎症や腫れを抑える(1回20分目安) 冷やしすぎに注意し、直接皮膚に当てないようにする Compression(圧迫) 包帯などで適度に圧迫し、腫れを最小限に抑える 強く締めすぎず、血流が悪くならないようにする Elevation(挙上) 患部を心臓より高く持ち上げ、血流をコントロールして腫れを防ぐ 横になってクッションを使うと楽に挙上できる 転倒した際に腕を地面につけたり重いものを押さえたりすると、腱に負荷がかかります。とくに急な負荷だった場合、断裂する可能性があります。 もし転倒や重いものを持ち上げ、腕に負荷がかかってしまった場合は、RICE処置:Rest(安静)・Ice(冷却)・Compression(圧迫)・Elevation(挙上)を行いましょう。 ただし、RICE処置はあくまでも応急処置のため、違和感が続く場合は自己判断せず、速やかに医療機関を受診しましょう。(文献1) 腱板損傷などの肩の疾患 メカニズム 影響 肩関節の不安定性 腱板が損傷すると、肩関節の安定性が低下し、上腕二頭筋腱がずれやすくなる 腱の摩擦と炎症 腱が周囲の組織と摩擦しやすくなり、炎症が生じる 血流の低下 血流が低下すると、腱の修復能力が落ち、断裂しやすくなる 腱板損傷などの肩の疾患で、上腕二頭筋断裂が引き起こされます。 腱板の中でも棘上筋腱は上腕二頭筋腱のすぐ上に位置します。そのため、棘上筋腱の断裂は上腕二頭筋腱の断裂に直接的な影響を与える可能性もあります。(文献1) 慢性化すると腱の脆弱化が進行し、断裂の危険性が高まります。対策として、過度な負荷や無理なトレーニングは控えましょう。 ステロイド薬の長期使用 2024年1月更新の患者向薬品ガイド資料7Pによると、ステロイド薬であるプレドニン錠 5mgの副作用として、腱断裂が自覚症状とて現れることが記載されています。(文献3) 患者向薬品ガイド資料では、ステロイド薬の使用による腱組織の脆弱化などが指摘されています。 ステロイド薬については以下の記事で詳しく解説しています。 上腕二頭筋断裂の治し方 上腕二頭筋断裂の治療法の選択 対象者 推奨される治療法 メリット 適した人 腕を酷使しない人 保存療法 リハビリやサポーターで日常生活に支障が出にくい 腕を強く使う必要がない人 力仕事やスポーツをする人 手術療法 筋力が回復し、腕の動きが元通りに近づく 仕事やスポーツで腕をしっかり使う人 (文献1)(文献4)(文献5) 上腕二頭筋断裂の治し方は、主に保存療法と手術療法です。保存療法と手術療法について解説します。 保存療法 保存療法の方法 内容 安静 患部を安静に保ち、過度な負荷を避ける 冷却 患部を冷却し、腫れや炎症を抑える 薬物療法 鎮痛剤や抗炎症薬を使用して、違和感を緩和する リハビリテーション 腕に抱える違和感が改善次第、筋力の回復を目指す 保存療法が選択されるケースとしては主に腕を治療する時間があり、腕を酷使しない人の場合です。 保存療法のメリットは、日常生活に支障が出にくいことです。 しかし、ポパイサイン(断裂した後にできる力こぶのような変形)が肘を曲げた際に生じることが理由で、手術療法を選択するケースもあります。 手術療法(縫合・再建手術) 手術の種類 概要 手術を行うケース 特徴 腱の縫合(再接着手術) 切れた腱を元の位置に戻し、縫合して再接着する 完全断裂の場合 腱を強固に固定し、機能回復が期待できる 内視鏡を使った手術(関節鏡手術) 内視鏡を使い、小さな切開で腱を修復 腱の切れ目が深い場所にあるときや、体の負担を減らしたいとき 傷口が小さく、回復が早い 再建手術(腱移行術) 失われた腱を他の筋肉や腱で再建する 長期間放置された断裂や、大きく腱が失われた場合 なくなった腱を補える 腱の転移(筋腱移行術) 他の筋肉を移植し、上腕二頭筋の機能を補う 上腕二頭筋の腱がなく、再建も難しいとき 筋肉の力を利用して、腕の機能を回復させる (文献1)(文献6) 保存療法で改善せず、症状が重度の場合は手術療法が必要です。手術は肘関節や肩関節の機能を回復させるのが目的です。 手術の方法は腱の切れ方や、症状によって異なるため、医師の判断で行われます。手術後は医師の指導のもと、リハビリで症状改善を目指します。 手術を受ける際にわからないことや、不安なことは遠慮せず医師に質問しましょう。 断裂後の生活で気を付けるべきこと 断裂後の生活で気を付けるべきことを解説します。 上腕二頭筋断裂を起こした際は腕に負担のかかる動作は控え、無理のない範囲でリハビリを行いましょう。 腕に負担のかかる動作は控える 上腕二頭筋断裂を発症した後は、腕に負荷のかかる動作は控えることが大切です。腕に負荷がかかることで、症状悪化や回復が遅くなる可能性があります。 リハビリやトレーニングを行う際は、急な負荷は避けるようにしましょう。 無理のない範囲でリハビリを行う リハビリの段階 主な目的 リハビリ内容 注意点 手術直後(行なっている場合)〜数週間 腱の保護と炎症の軽減 ギプスやサポーターで固定し、過度な動きを避ける 無理な動きはせず、医師の指示に従う 数週間〜1カ月 関節の可動域を広げる 軽いストレッチや他動運動で可動域を広げる 腕に違和感を強く感じる場合は無理をせず、徐々に動かす 1〜3カ月 筋力の回復を促す ゴムバンドや軽いダンベルを使った筋力トレーニング 急に負荷を増やさず、段階的に強度を上げる 3カ月以降 通常の動作やスポーツ復帰 日常生活動作やスポーツ向けの実践的な運動を行う 症状改善を焦らず、継続的にトレーニングを行う 上腕二頭筋断裂の治療としてリハビリは有効です。リハビリを行う際は自己判断ではなく、医師の指導のもと、行うことが大切です。 リハビリは焦らず、炎症や違和感などを考慮して行います。いきなり腕を動かすのではなく、段階ごとに腕を慣らしていきます。 症状改善を焦ると、無意識のうちに腕に負担をかけてしまうことがあるため、焦らずリハビリに取り組みましょう。 スポーツや仕事への復帰は医師と相談する 上腕二頭筋を断裂した後、無理に復帰すると再断裂や回復が遅くなる恐れがあります。 上腕二頭筋断裂の症状や回復のスピードには個人差があり、医師は患者に合わせた復帰計画を立てて指導します。 自己判断で復帰や無理をしてしまうと、腱の再断裂だけでなく、肩関節周囲の他の組織を損傷する恐れがあるので、復帰時期は医師と相談しましょう。 またスポーツや仕事に復帰する際は、軽い運動から徐々に慣らしましょう。 食事に気をつける 栄養素 役割 推奨される食材 タンパク質 筋肉や腱の修復を促進する 肉、魚、卵、大豆製品 (豆腐、納豆) カルシウムとビタミンD 骨の健康を維持し、腱の強化をサポートする 乳製品(牛乳、チーズ)魚介類(鮭、いわし) ビタミンC コラーゲンの合成を助け、組織の修復を促進する 果物(オレンジ、キウイ)野菜(パプリカ、ブロッコリー) オメガ-3脂肪酸 炎症を抑え、回復をサポートする 魚油(サバ、マグロ)ナッツ類(アーモンド、クルミ) 上腕二頭筋断裂後は症状改善に向けて、食事にも気を付ける必要があります。 栄養素の摂取は大切ですが、極端に食事が偏らないよう注意しましょう。 上腕二頭筋断裂の疑いがある場合は早めの受診を 上腕二頭筋断裂の疑いがある場合は早めの受診が大切です。上腕二頭筋断裂は発見が遅れると回復が遅れ、重症化する恐れがあります。 また、上腕二頭筋断裂と診断された後も無理はせず、医師の診断のもとリハビリや復帰を行いましょう。 上腕二頭筋断裂が数カ月経過しても改善しない場合は、当院「リペアセルクリニック」にご相談ください。再生医療を活用し腱の構造的な修復だけでなく、機能的な回復も促します。 改善しない上腕二頭筋断裂でお悩みの方は「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にお問い合わせください。 参考文献 (文献1) Danielle Campagne, (2023)Biceps Tendon Tears,MSD MANUAL,Reviewed/Revised Jul 2023, https://www.msdmanuals.com/home/injuries-and-poisoning/sprains-and-other-soft-tissue-injuries/biceps-tendon-tears(最終アクセス:2025年3月11日) (文献2) Danielle Campagne, et al. (2023),Biceps Tendon Tears,MSD MANUALProfessionalVersion,Reviewed/Revised Jul 2023 https://www.msdmanuals.com/professional/injuries-poisoning/sprains-and-other-soft-tissue-injuries/biceps-tendon-tears(Accessed:2025-03-11) (文献3) 「プレドニン錠 5mg」『患者向医薬品ガイド』,pp.1-10, 2024年 https://www.info.pmda.go.jp/downfiles/guide/ph/343018_2456001F1310_4_00G.pdf(最終アクセス:2025年3月11日) (文献4) Carl R Freeman, et al.(2023),Nonoperative treatment of distal biceps tendon ruptures compared with a historical control group,PubMed https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19797566/(Accessed:2025-03-11) (文献5) Simon P Lalehzarian, et al.(2022),Management of proximal biceps tendon pathology,PubMed https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8771414/(Accessed:2025-03-11) (文献6) 中川拓也ほか,「遠位上腕二頭筋腱断裂における術後早期理学療法後の長期経過─術後 3 年間の症例検討─」『JPTA』.pp1-1, https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2011/0/2011_Cb0503/_pdf/-char/ja(最終アクセス:2025年3月11日)
2025.03.31 -
- 上肢(腕の障害)
- 下肢(足の障害)
- スポーツ外傷
「足の甲が痛くて、ランニングができない」「足の甲の疲労骨折と診断されたけど、どうすればいいの?」 多くのランナーが足の甲の疲労骨折(中足骨疲労骨折)に悩まされており、ランニングを続ける上での大きな障壁となっています。足の甲の疲労骨折に気づかずランニングを続けてしまうと、症状が進行してしまい、練習や大会への参加が難しくなってしまうおそれがあります。もし足の甲の疲労骨折が疑われる症状がみられた場合は、早期の治療と再発防止が重要です。 本記事では、足の甲(中足骨)の疲労骨折の原因や治療法、ランニング時の注意点について解説します。正しい理解とケアにより、ランニングを安全に続けるためのヒントになれば幸いです。 足の甲を疲労骨折してしまい、どういった処置が必要かわからない方は、当院リペアセルクリニックのメール相談やオンラインカウンセリングもご活用ください。 疲労骨折の症状と治療期間については、以下の記事でもご覧ください。 足の甲の疲労骨折とは「足の甲の骨に微小な亀裂が生じている状態」 まずはじめに、疲労骨折とは、繰り返しのストレスによって骨に微小な亀裂が生じている状態のことです。一度の強い衝撃ではなく、長期的な負荷の蓄積が原因で起こることが多いケガです。 そして、足の甲に起こる疲労骨折は、「中足骨」という足の甲にある5本の長い骨にヒビが入っている状態です(中足骨疲労骨折)。中足骨は足の土踏まずを形成し、体重を支えるという重要な役割を担っています。ランニングでは、体重が中足骨に繰り返しかかるため、疲労骨折が起こりやすくなります。 とくに、以下のような要因が重なると、リスクが高まります。 急激なトレーニング量の増加 不適切なランニングフォーム 硬い地面でのランニング 足に合わない靴の使用 骨密度の低下 これらの原因について理解を深め、適切な予防策を講じることが大切です。 足の甲の疲労骨折には「早期発見・初期対応」が重要 足の甲の疲労骨折は、症状を理解し、見逃さないようにすることが大切です。 疲労骨折は、徐々に症状が現れることが多いため、初期段階での適切な対応が重要です。 足の甲の疲労骨折の見分け方【セルフチェック】 症状 説明 足の甲の痛み とくに第2、第3中足骨に多く見られます。この部位は体重の大部分を支えるため、疲労骨折のリスクが高くなります。 歩行時や運動時の痛み 活動により痛みが増悪するのが特徴です。ランニングや長時間の歩行で痛みを感じる場合は要注意です。 安静時の痛みの持続 疲労骨折の場合、安静にしていても痛みが続くことがあります。夜間の痛みで睡眠が妨げられる場合もあります。 腫れや圧痛 患部が腫れ、触ると痛みを感じます。腫れによって靴が窮屈に感じられる場合もあります。 皮膚の発赤や熱感 炎症によって、患部の皮膚が赤くなったり、熱を持ったりするケースがあります。 これらの症状が継続する場合は、早めに医師の診察を受けることが重要です。 セルフチェックのポイントとしては、痛みや腫れがあるか、押して痛みがあるかを確認しましょう。放置すると、症状が悪化し、回復に時間がかかってしまう可能性があります。 整形外科医に相談し、必要な検査を受けることをおすすめします。整形外科では、レントゲンやMRIなどの画像検査を行い疲労骨折の有無を診断します。 足の甲の疲労骨折の応急処置は「アイシング・安静」 足の甲の疲労骨折が疑われる場合、以下の初期対応を行いましょう。 対応 方法 安静 無理な運動は控え、患部を休ませることが大切です。継続的な負荷は症状を悪化させる原因となります。医師の指示に従って、適切な期間の安静を取りましょう。 冷却 アイスパックを用いて患部を冷やすことで、炎症と痛みを和らげることができます。1日数回、15分から20分程度行います。アイシングは、とくに初期の痛みのコントロールに効果的です。 圧迫 弾性包帯などを使って患部を適度に圧迫すると、腫れを抑える効果が期待できます。ただし、強く締めすぎないよう注意が必要です。圧迫は、炎症による腫れを軽減し、安静を補助します。 挙上 患部を心臓よりも高い位置に上げることで、重力により腫れを軽減する効果が期待できます。座ったり横になったりする際に、クッションなどを使って足を高くすると良いでしょう。挙上は、とくに安静時の腫れの管理に役立ちます。 医師の指示にしたがって、適切な期間、前述した初期対応を行うことが、回復に向けての大切なステップです。 症状が改善されない場合は、追加の治療が必要になる場合もあります。自己判断せずに、医師とよく相談しながら治療を進めていきましょう。 足の甲の疲労骨折における2つの治療法 足の甲の疲労骨折の治療は、症状の重さによって異なります。主な治療法は以下の2つです。 保存的治療法(安静・固定) 運動療法とリハビリテーション 軽度の場合は上記の治療で改善する場合がほとんどですが、重度の場合は手術が必要になることもあります。整形外科医から、症状に合わせた適切な治療法を紹介してもらうことが大切です。 本章を参考に、足の甲の疲労骨折における治療の選択肢を理解しておきましょう。 保存的治療法(安静・固定) 多くの場合、中足骨疲労骨折は安静と固定によって治癒します。ギプスやブーツを使って足を固定し、骨の回復を促します。 固定期間は症状によって異なりますが、一般的には以下の通りです。 軽度の場合:4~8週間 中等度の場合:8~12週間 重度の場合:12週間以上 固定期間中は患部に負荷をかけないように注意しましょう。松葉杖などを使って歩行し、足に体重がかからないような心がけが大切です。医師の指示に従い、定期的な診察を受けて、回復の進捗を確認しましょう。 運動療法とリハビリテーション ギプスやブーツを外した後は、徐々に日常生活や運動に復帰していきます。ただし、いきなり骨折前と同じレベルの活動を再開するのは避けましょう。 たとえば、ランニングをしている方の場合、いきなり以前と同じ距離や強度で走りはじめるのは危険です。医師と相談しながら短い距離からはじめ、徐々に走行距離を伸ばすようにしてください。 徐々に運動量を増やしていくことには、多くのメリットがあります。たとえば、足の筋力と柔軟性が改善されて、日常生活動作がスムーズに行えるようになります。 スポーツに復帰する際も、最初は短時間の練習からはじめ、体の状態を見ながら徐々に練習時間を増やしていくことが望ましいです。 このように、活動レベルを段階的に上げていくことで、再骨折のリスクを減らせるでしょう。 また、足を長期間固定していると、筋力が低下してしまうため、リハビリテーションで、足の筋力維持と柔軟性の向上を図ります。 運動療法とリハビリテーションにより、足の甲の疲労骨折の回復が促進され、患者さんの生活の質も向上するでしょう。 足の甲の疲労骨折の予防策3選 足の甲の疲労骨折を予防・再発防止策として、以下3つの方法が挙げられます。 ランニングフォームとフットウェアの調整 強化運動と柔軟性の向上 生活習慣の見直し 足の甲の疲労骨折を未然に防ぎ、ランニングやスポーツを快適に楽しみましょう。 ランニングフォームとフットウェアの調整 足の甲の疲労骨折の予防・再発防止には、ランニングフォームやフットウェアの調整が大切です。 具体的なポイントは以下のとおりです。 調整ポイント 補足 ランニングフォーム 前足部や中足部への着地を避ける つま先や足の中央部分から着地すると、足の甲の骨(中足骨)へのストレスが増大する。 かかとから着地し、足全体で衝撃を吸収するよう意識する。 過度なプロネーションを抑える プロネーション(足の内側への倒れ込み)が強すぎると、中足骨へのストレスが増大する。 足首を安定させるためのトレーニングを取り入れる。 足首の倒れ込みを防ぐようなインソールを使用する。 フットウェア クッション性と安定性のあるシューズを選ぶ 衝撃の吸収性に優れ、足首の動きを適度にサポートするシューズを選ぶ。 着地時の衝撃を分散し、足の動きを安定させる。 オーダーメイドのインソールを検討する 足の形状や動きに合わせてカスタマイズされたインソールの使用で、足の甲への負荷を軽減する。 ランニングフォームの改善には、ランニングコーチやスポーツ医学の専門家のアドバイスを求めることをおすすめします。また、足の状態に合わせたシューズ選びについては、ランニングショップの専門スタッフに相談するのも良いでしょう。 強化運動と柔軟性の向上 さらに、疲労骨折の再発を防ぐには、地面に足が着くときの衝撃を和らげるための全身的なバランス強化と偏りの調整を図ることがポイントになります。 体幹トレーニングをベースとして、足や下肢の筋力を維持・向上させることが重要です。 以下のような運動を定期的に行うことをおすすめします。 運動 効果 つま先立ち 下腿三頭筋(ふくらはぎ)の強化 タオルギャザー 足指の筋力強化 ワンレッグスクワット 大腿四頭筋、ハムストリングス、臀筋群の強化 アキレス腱のストレッチ 下腿三頭筋の柔軟性向上 バランス運動 足首の安定性と固有感覚の改善 これらの運動を週に2~3回、15~20分程度行うことを目安にしましょう。筋力強化と柔軟性の向上は、怪我のリスクを減らし、パフォーマンスの向上にもつながりやすいです。 自分に合ったペースで、無理なく継続的にトレーニングを行うことが大切です。必要に応じて、理学療法士やトレーナーに相談し、適切な運動プログラムを作成してもらうことをおすすめします。 生活習慣の見直し 日々の生活習慣も、足の健康に大きな影響を与えます。以下の点に注意して、足への負担を減らすことが大切です。日々の生活習慣も、足の健康に大きな影響を与えます。以下の点に注意して、足への負担を減らすことが大切です。 習慣 説明 適切な体重の維持 体重増加は足への負担を増大させ、疲労骨折のリスクを高めます。適切な体重管理が重要です。 バランスの取れた食事 骨の健康に必要なカルシウムやビタミンDを十分に摂取しましょう。乳製品、魚、野菜などを積極的に取り入れましょう。 十分な睡眠 睡眠不足は疲労を蓄積させ、怪我のリスクを高めます。1日7~8時間の睡眠を確保しましょう。 禁煙 喫煙は血流を悪化させ、骨密度の低下を招きます。禁煙は足の健康維持に欠かせません。 適度な休養 オーバートレーニングは疲労骨折のリスクを高めるため、適度な休養を取ることが大切です。疲労が蓄積しないように注意しましょう。 体重増加は足への負担を増大させ、疲労骨折のリスクを高めます。適切な体重管理が重要です。 適切な体重管理のためには、バランスの取れた食事と適度な運動が欠かせません。急激な減量や極端な食事制限は避け、自分に合ったペースで体重コントロールを行うことが重要です。また、定期的に体重や体脂肪率をチェックし、自身の体の変化を把握しておくことをおすすめします。 これらの生活習慣を見直し、改善することで、足の健康を長期的に維持しやすくなります。足の甲の疲労骨折は、ランナーにとって深刻な問題ですが、適切な治療と予防策を講じることで乗り越えられます。専門家のアドバイスを参考に、自分に合ったケア方法を見つけ、実践していくことが大切です。そうすることで、足の健康を維持し、ランニングをより長く、より快適に続けていくことができるでしょう。 まとめ|足の疲労骨折を理解し安全にランニングを続けよう 足の甲の疲労骨折は、足の甲にある中足骨にひびが入っている状況です。放置すると、手術が必要なほど症状が重くなってしまう可能性もあります。そのため、早期に足の疲労骨折に気づき、対処することが大切です。 また、足の甲の疲労骨折を繰り返さないためにフォームや生活習慣の見直しも併せて行いましょう。 足の甲の疲労骨折にお悩みの方、また疲労骨折ではないかと不安に思っている方は、当院でもメール相談やオンラインカウンセリングを行っていますので、ぜひお気軽にご相談ください。 ほかの部位の疲労骨折について知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。 参考文献一覧 文献1 MSDマニュアル家庭版,中足骨の骨折,2022−09 文献2 MSDマニュアル家庭版,足の疲労骨折,2021−12 文献3 兵庫医科大学病院,もっとよく知る!病気ガイド,Jones(ジョーンズ)骨折(第5中足骨疲労骨折) 文献4 順天堂大学医学部附属順天堂医院整形外科・スポーツ診療科,Jones骨折・第5中足骨疲労骨折 文献5 横浜市スポーツ医科学センター,リハビリ室コラム,第2~4中足骨疲労骨折のリハビリテーション 文献6 一般社団法人日本骨折治療学会,骨折の解説,第5中足骨骨折・いわゆる下駄履き骨折と疲労骨折 文献7 一般社団法人日本骨折治療学会,骨折の解説,疲労骨折, 文献8 日本臨床整形外科学会,中足骨の疲労骨折 文献9 前園恵慈,日本臨床スポーツ医学会誌,陸上競技選手の低リスク骨盤・ 下肢疲労骨折の現状と競技復帰時期の検討,第27巻第3号 文献10 日本臨床スポーツ医学会誌,骨・関節のランニング障害に対しての提言,Vol. 13 Suppl. 2005.p243-248 文献11 日本スポーツ整形外科学会,スポーツ外傷の応急処置
2024.10.07 -
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「膝の疲労骨折はどんな痛みが現れる?」 「主な原因やなりやすい人は?」 「効果的な予防法を知りたい」 膝の疲労骨折は、ランニングなどで膝に繰り返し小さな力が加わることで引き起こされます。痛みを我慢してそのまま運動を続けてしまうと、疲労骨折が悪化してしまう恐れがあるため注意が必要です。 本記事では膝の疲労骨折の概要をはじめとして、以下を解説します。 主な症状と原因 なりやすい人 検査方法と診断について 治療方法 予防法3選 膝の疲労骨折を疑うポイントも解説しています。本記事を膝の疲労骨折の早期発見に役立ててください。 当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。 運動における膝の痛みなど、スポーツ外傷について気になることがある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。 膝の疲労骨折は頻度の少ない疾患 膝の疲労骨折とは、膝に繰り返し小さな力が加わり引き起こされた骨折のことです。 以下のようなスポーツの種目での受傷が見られています。 サッカー ボクシング マラソン 野球 バスケットボール バドミントン バレーボール 膝の疲労骨折は発生頻度が少ない傾向です。例えば、膝蓋骨(しつがいこつ:膝の前面にある三角形の骨)における疲労骨折の発生頻度は、疲労骨折の全体の約0.2〜3%ほどと報告があります。(文献1) 膝の疲労骨折の主な症状 膝の疲労骨折を起こしている場合は、以下のような症状が現れる傾向です。 圧迫するような痛み 膝前面の痛み 膝の疲労骨折を疑うポイントは、上記の痛みの継続に加えて、腫れや外傷の既往がない場合です。そのまま運動を続けてしまうと悪化する恐れもあります。疲労骨折が疑われる症状がある場合は、医療機関を受診しましょう。 膝の疲労骨折の原因 膝を問わず疲労骨折は以下のような原因で引き起こされます。 筋肉の過度の緊張により骨が引っ張られる 骨に繰り返し衝撃が与えられる 使いすぎによる筋肉の疲弊により骨への負担が強くなる (文献2) 以上に加えて、以下のような誘因が重なり疲労骨折は引き起こされます。 発生の誘因 詳細 技術・体力の問題 ・筋力不足 ・筋力の不均衡 ・未熟な技術やフォーム ・体の柔軟性不足 練習・環境の問題 ・トレーニング量の急激な増加や質の変化 ・体力や技術に見合わないトレーニング ・足に合っていないシューズ ・固すぎるまたは柔らかすぎる練習場 膝の疲労骨折になりやすい人 膝の疲労骨折になりやすい人は、定期的かつ長時間のトレーニングを実施している方に多い傾向です。 例えば、膝付近でも、疲労骨折が起こりやすい脛骨内側顆部(けいこつないそくかぶ:すねの骨の上端部)においては、以下のような運動を継続することで受傷が起きています。 【脛骨内側顆部疲労骨折の報告例】 性別 年齢 誘因となる運動 受傷までの期間 男性 34歳 毎日5〜6kmジョギング 3〜4日 男性 61歳 毎日2kmジョギング 3日 男性 34歳 毎日2kmジョギング 10日 男性 16歳 ボクシングの練習 1カ月以内 男性 15歳 サッカーの練習 数日 (文献3) これらの継続的な膝への負担が疲労骨折の原因になっています。脛骨内側顆部においては、軽い運動や労働によっても、受傷する場合があります。 一方、膝蓋骨の疲労骨折においては、運動強度の高い10〜20歳代の受傷割合が多く、繰り返すジャンプ動作の多いスポーツやランニングにおいて起きやすい傾向です。(文献1) 膝の疲労骨折の検査方法と診断 膝の疲労骨折では、以下のような診察や検査の結果を総合的に考慮して診断をします。 項目 内容 問診 症状の詳細、痛みの出現時期、外傷の既往歴の有無、トレーニング状況などの確認 身体の診察 関節の可動域、腫れ、痛み程度の確認 レントゲン検査 画像による骨折の状況の確認 MRI検査 画像による骨周囲の腫れや炎症など軽微な所見の確認 疲労骨折の場合はレントゲン検査だけでは、異常が見つからないことが多いです。そのため、疲労骨折を早期発見するには、MRI検査も実施する必要があります。 膝の疲労骨折の治療方法 膝の疲労骨折は多くの場合、原因となったスポーツ活動等を禁止して安静にすれば治癒します。 しかし、状態によっては、以下のような治療が必要です。 治療方法 詳細 保存療法 ギプスや装具により安静を保持する療法 手術療法 スクリューを用いて骨折部位を固定する 早期のスポーツ復帰を望む場合は、手術療法が推奨されることもあります。スポーツ復帰までの期間は、状態によって異なり、骨折部の痛みや筋力の回復状況を見ながらの判断が必要です。骨折部に負担がかからないトレーニングにおいては、状況に応じて許可されることもあります。 関節付近の骨折で変形している場合は、再生医療が適用されるケースがあります。骨折後、しばらくしてからも後遺症に悩んでいる方は、以下の再生医療の症例記事をご覧ください。 膝の疲労骨折の予防法3選 膝の疲労骨折の予防法には、以下のようなものがあります。 トレーニング量や方法を見直す 正しい身体動作を身に付ける トレーニング用具や環境を調整する それぞれの詳細を解説します。 1.トレーニング量や方法を見直す 膝の疲労骨折が起きる原因として、過度な練習量や不適切な練習方法が原因になっている場合があります。 トレーニング量や方法は以下の項目を考慮して決める必要があります。 スポーツの種目 年齢 技術 体力 とくに年齢において、小児の場合などは骨が未成熟であるため、弱い力でも繰り返し与えると疲労骨折が起きるリスクがあります。経験や勘ではなく、専門のコーチやトレーナーから指導を受けて、トレーニング量や方法を見直すことが大切です。 2.正しい身体動作を身に付ける 適切な身体動作を身に付けることは、膝の疲労骨折の予防において必要です。 例えば、ランニングでは以下のようなフォームを心がけるだけでも、疲労骨折の予防につながります。 体の上下運動を少なくする 柔らかく足が前に運ばれるようにする これらのフォームであれば、膝・すねへの衝撃が少なくなり疲労骨折のリスク低下が期待できます。 3.トレーニング用具や練習環境を調整する トレーニング用具や練習環境の調整は、膝の疲労骨折において大切です。トレーニング用具は、基本的には、競技者の体格や技術、体力に合ったものを選択します。 練習環境においては、路面の形状や硬さを考慮してトレーニング用具を選びましょう。例えば、コンクリートの路面でランニングを行う際は、足にフィットしていることはもちろん、クッションが十分に効いているシューズを着用するなどが挙げられます。 まとめ|膝の疲労骨折は早期発見が重要!痛みがある場合は受診しよう 膝の疲労骨折が疑われる場合は、膝前面の痛み、圧迫するような痛みなどが現れます。腫れや外傷の既往がないときはとくに膝の疲労骨折を疑ってください。 歩けるからといって、痛みを我慢して運動を続けてはいけません。軽症であった疲労骨折が悪化する恐れもあるためです。 膝の疲労骨折の多くは、安静により自然治癒します。しかし、悪化してしまうと装具による固定や手術が必要になる場合もあります。疑われる症状が現れている場合は早期に医療機関を受診してください。 膝の疲労骨折を予防するには、トレーニング内容や身体動作、練習環境などの見直しが重要です。経験や勘を頼りにするのではなく、専門のトレーナーやコーチにトレーニング内容の見直しなどを依頼しましょう。 膝の疲労骨折に関する疑問 自然治癒する? 膝だけでなく疲労骨折の多くは安静により自然治癒します。とはいえ、受診をしないで放置したり、自己判断で治療を中断したりするのは推奨できません。定期的に医療機関を受診して適切な治療を進めてください。 早く治すには? 早く治すには、早期診断と適切な治療が必要です。痛みを我慢して運動をすると、骨折の状態が悪化することもあります。医療機関を受診して、医師の指示に沿った治療を受けましょう。 運動しながら治すことはできる? 疲労骨折を受傷した場合は、運動の中止が必要です。運動を中止しないと疲労骨折が悪化する恐れがあります。骨折部に負担がかからなければ、運動を行っても良い場合があります。運動は医師の指示に従って再開してください。 参考文献 (文献1) スポーツ選手に対するCannulated Cancellous Screw による膝蓋骨疲労骨折の治療経験|日本臨床スポーツ医学会誌 (文献2) スポーツによる疲労骨折のメカニズムと予防|国立大学法人信州大学 (文献3) 両側に発症した脛骨内側顆部疲労骨折の2例|東北膝関節研究会会誌
2024.10.04 -
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「疲労骨折は自然治癒する?」「どのくらい休めば治るの?」といった、悩みを抱えるランナーは少なくありません。 疲労骨折について、自然治癒するのか、病院に行くべきか悩む方もいるのではないでしょうか。 結論から言えば、疲労骨折は安静にすることで自然治癒が目指せるケガです。 しかし、自己判断で放置してしまうと、以下のようなリスクもあるため注意が必要です。 骨が折れる(完全骨折) 骨の変形や癒合不全(うまく治らない) 炎症が慢性化 手術が必要になる 疲労骨折から早期に回復し、再びランニングを楽しむためには、正しい知識と適切なケアが欠かせません。 この記事では、疲労骨折の原因や症状、自然治癒のプロセス、そして復帰目安と予防策について詳しく解説します。 「まだ病院に行くほどではないけれど、痛みがあって、少し不安が残る」という方は、ご自身の状態が自然治癒で済むものか確かめるためにも、ぜひ一度、当院(リペアセル)の無料電話相談をご利用ください。 専門スタッフが、現在の症状や状況を丁寧に伺い、必要な対応をアドバイスいたします。 ▼まずは無料で電話相談 >>こちらをクリック!今すぐ相談してみる 疲労骨折は自然治癒できる!早く治すには「安静にすること」が大切 結論からいえば、疲労骨折は自然治癒するケガです。しかし、なにも対策せずに放置していても早く治るわけではありません。 疲労骨折を早く自然治癒させるには、疲労骨折がどうして発症するのか、どのような状態なのかを理解する必要があります。本章をしっかりと確認し、疲労骨折についての理解を深めてください。 疲労骨折の原因と典型的な症状 疲労骨折は、以下のような要因が重なると発生しやすくなります。 急激なトレーニング量の増加 不適切なランニングフォーム 硬いランニングサーフェス 足に合わない靴の使用 骨密度の低下 疲労骨折の症状は、以下のようなものがあります。 症状 説明 運動時の痛み 特定の部位の痛み 安静時の痛みの持続 休んでいても痛みが続く 腫れや圧痛 患部が腫れたり、押すと痛みを感じる 皮膚の発赤や熱感 患部の皮膚が赤くなったり、熱を持つ これらの症状が継続する場合は、疲労骨折の可能性が高いと考えられます。 疲労骨折は足をはじめ、膝や腰などにも発症しやすいケガです。以下の記事では、ランナーに多い「膝」と「足の甲」の疲労骨折について解説しています。気になる方はぜひ一度ご覧ください。 疲労骨折は通常の骨折と違い使いすぎによるもの 疲労骨折は運動などで体を使いすぎたことによって生じるケガです。病名には「骨折」とありますが、通常の骨折とは発症のメカニズムが異なります。 通常の骨折は転倒などの衝撃によって骨が折れるのに対し、疲労骨折は走った際の衝撃や筋肉が引っ張る力が繰り返し同じカ所に加わることで生じるケガです。 そのため、疲労骨折を治すためにはケガした箇所への負担を減らし、安静にすることが大切といえます。もし疲労骨折と診断されたら、治るまでは運動を中止しましょう。 ちなみに以下の記事では脛(すね)の使いすぎによって生じるシンスプリントについて解説しています。疲労骨折でお悩みの方はぜひご覧ください。 【自然治癒】疲労骨折を早く治す3つの方法! 疲労骨折を早く治す方法として、以下3つが挙げられます。 6〜8週間は安静にし、休息時間を取る 自然治癒を促進する栄養を摂取する 整形外科を受診し、運動療法や物理療法などのリハビリを受ける 疲労骨折で早く自然治癒させるためには、一旦運動せずに体を休めて安静期間を作りましょう。安静が必要な期間は疲労骨折の重症度によって変わり、症状が重たい場合にはより長く安静にする必要があります。 ここからは、自然治癒を早めるために大切な方法を3つご紹介します。本章を参考に、正しい疲労骨折のセルフケアを実施しましょう。 6〜8週間は安静にし、休息時間を取る 疲労骨折には6〜8週間の安静と休息時間が必要といわれています。ただし、骨折の部位や重症度によって、治癒に必要な期間は異なるので、まずは整形外科で検査を受けることをおすすめします。医師に疲労骨折の程度を確認してもらい、適切な指示を受けましょう。 疲労骨折のタイプと治癒の目安期間は以下のとおりです。 骨折のタイプ 治療期間の目安 脛骨(シンスプリント) 4~8週間 中足骨 6~8週間 大腿骨頸部 8~12週間 腰椎 6~12週間 ただし、これらは一般的な目安であり、治癒期間には個人差があるので注意してください。 また、疲労骨折の自然治癒には、以下の条件が必要といわれています。 十分な安静と休息 患部への負荷の回避 適切な栄養摂取 これらの条件を守れば、疲労骨折の自然治癒を早められる可能性があります。疲労骨折で悩んでいる方は、ぜひ実践してみてください。 自然治癒を促進する栄養を摂取する 自然治癒を促進するためには、適切な栄養摂取が重要です。以下の栄養素は、疲労骨折の自然治癒を早めてくれる可能性がある、おすすめの食材です。 栄養素 食べ物 カルシウム 乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズなど) 小魚(しらす、小あじなど) 大豆製品(豆腐、納豆など) 緑黄色野菜(小松菜、ブロッコリーなど) ビタミンD 魚(鮭、さんま、いわしなど) きのこ類(しいたけ、まいたけなど) 卵黄 タンパク質 肉類(鶏肉、豚肉、牛肉など) 魚介類(鮭、まぐろ、えびなど) 大豆製品(豆腐、納豆、油揚げなど) 卵 乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズなど) 上記の食材を食事にバランス良く取り入れ、疲労骨折の回復効果を高めましょう。 整形外科を受診し、運動療法や物理療法などのリハビリを受ける 疲労骨折の回復を早めるためには、整形外科を受診し、運動療法や物理療法など適切なリハビリを受けることをおすすめします。リハビリは自己判断で行わず、必ず医師の許可を得てから開始し、理学療法士の指導のもとで段階的に進めましょう。 疲労骨折時のリハビリの種類は以下のとおりです。 種類 目的 具体的な方法(例) 注意点 段階的な運動負荷 徐々に運動量を増やしていく 低強度から開始し、耐久性をつける 痛みに注意しながら、負荷を徐々に上げる 骨折部位に過度な負荷をかけないよう、医師の指示に従う 全身的な筋力トレーニング 骨折部位周辺および全身の筋力維持・強化 体重負荷や抵抗運動を取り入れる 患部周辺の筋肉だけでなく、全身の主要な筋群をトレーニング コアスタビリティトレーニング(体の中心部の筋肉を鍛える運動)の導入 骨折部位の筋力トレーニングは、完全に治癒するまで控える 関節可動域訓練 関節の柔軟性維持 ストレッチや筋緊張の緩和を促す 患部の関節および全身の主要な関節を動かす運動 骨折部位の関節は、医師の許可があるまで動かさない バランス訓練 再発予防とパフォーマンス向上に有用 片脚立ちや不安定な面(例:バランスボール)での立位保持 動的なバランス運動 プロプリオセプション(体の位置感覚)トレーニング 骨折部位に体重をかけない方法から始める 代償動作の修正 不適切な動作パターンの改善 歩行分析と修正 日常生活動作の評価と指導 骨折部位を保護しながら行う このアプローチにより、骨折部位を適切に保護しつつ、全身のコンディショニングと再発予防に焦点を当てたリハビリが可能となります。常に無理のない範囲で、徐々に活動レベルを上げていくことが大切です。痛みがある場合は必ず中止し、医師に相談してください。 また、リハビリには上記のような運動療法だけでなく電気や超音波を利用した物理療法もおこないます。物理療法では骨への血流促進効果や炎症を抑える作用があり、疲労骨折の治療として有効です。物理療法には以下のようなものがあります。 種類 効果 アイシング 痛みと腫れの緩和に効果的 電気刺激療法 痛みの軽減と筋肉の緊張緩和 超音波療法 骨の治癒を促進する可能性あり 物理療法は疲労骨折による痛みの軽減や骨の自然治癒促進に働く可能性があります。効果には個人差がありますが、疲労骨折を早く自然治癒したい方は積極的に取り入れてみてください。 【再発に注意】疲労骨折後に運動復帰する2つの目安 疲労骨折から運動を再開するときに注意すべきなのは疲労骨折の再発です。 疲労骨折の治療中、安静にしていた体は想像以上に筋力・体力が衰えている可能性があります。そのため、運動復帰時の強度に注意が必要です。 これからご紹介する2つの目安を参考に運動を再開し無理をしないように心がけてください。それでも判断に迷う場合には、必ず医師の判断を仰いでから運動を再開しましょう。 なお、当院リペアセルクリニックでおこなっている再生医療は疲労骨折にも効果が期待できます。興味がある方はメール相談もしくはオンラインカウンセリングでお気軽にご相談ください。 骨折部位を押したり叩いたりして痛みがない 骨折部位を押したり叩いたりして痛みがない場合、運動を再開できる目安といえます。 疲労骨折時は、骨折部位を押したり叩いたりすると痛みを感じることが多くあります。 痛みがなければ疲労骨折が治癒している可能性があるため、少しずつ運動を再開しても良いでしょう。 逆に押したり叩いたりしたときに少しでも痛みを感じるようであれば、無理せず安静にすることをおすすめします。 運動動作をしてみて痛みがない ジョギングなどの軽い運動動作をしてみて痛みがない場合も、運動再開の目安です。 運動再開時は疲労骨折する前と同じ運動量ではなく、負荷をかけすぎないように注意してください。走るときもまずはジョギング程度から開始し、時間・距離を短くして軽く走ると良いでしょう。 安静期間が長いほど体は衰えている可能性が高いため、急に激しく動かすと疲労骨折の再発の原因になりかねません。 軽めのジョギング程度から開始し、徐々に時間・距離を伸ばして体を運動に慣らしましょう。 また、疲労骨折の再発を予防するためのポイントは次項で詳しく紹介しています。疲労骨折後に運動復帰する上で大切なことなので、ぜひチェックしてみてください。 疲労骨折を予防する2つのポイント 疲労骨折を予防するためにはトレーニング方法の見直しとライフスタイルの調整が重要です。ここから疲労骨折を予防するためのポイントを2つご紹介しますので、ぜひ実践してみてください。 トレーニングは自分に合った方法と負荷で行う 疲労骨折を予防するためには、自分に合った方法・負荷で行うことが大切です。トレーニングでは、以下4つのポイントを抑えておきましょう。 トレーニングのポイント 詳細 段階的にトレーニング量を増やす 増やす負荷は「週10%以下」が目安 たとえば10kg→11kg程度で、1週間の間でそれ以上は上げない 十分なウォームアップとクールダウンを行う ウォーミングアップは運動をするための準備が整い、怪我を予防できる クールダウンは疲労回復効果があり、疲労骨折を予防できる 適切な休養日を設ける 体を休めることで、使いすぎによる疲労骨折を予防できる 具体的に、週1回以上の休息がおすすめ クロストレーニングを取り入れる 全身を使う水泳などのクロストレーニングは一部位への負担を軽減し、疲労骨折の予防につながる 急激に大きな負荷をかけたり、休まず動かし続けたりすると、疲労骨折のリスクが高くなります。 トレーニングの負荷は段階的に増やすよう意識し、週1回以上は身体を休めるようにしましょう。 規則正しいライフスタイルで骨を休ませる 疲労骨折を予防するには、十分な休息で骨を休ませる規則正しいライフスタイルが重要です。以下のようなライフスタイルの調整が役立ちます。 ライフスタイルの調整 具体的な方法 バランスの取れた食事 カルシウム豊富な食品(乳製品、小魚、大豆製品、緑黄色野菜など)を摂取する ビタミンD含有食品(鮭、さんま、きのこ類、卵黄など)を取り入れる 適度な日光浴 1日15~30分程度、日中の太陽光を浴びる 禁煙 ニコチン代替療法(ニコチンパッチ、ガムなど)を活用する 禁煙外来や禁煙プログラムに参加する 禁煙に理解のある友人や家族に協力を求める 過度なアルコール摂取の制限 1日の飲酒量を、男性は20g、女性は10g未満に抑える アルコールを含まない飲み物を積極的に摂取する アルコールの代わりにストレス解消法を見つける 疲労骨折の予防には、適切な栄養摂取が欠かせません。 また、意識的に太陽の光を浴びたり、喫煙や過度な飲酒を避けたりすることも、疲労骨折の予防につながります。 定期的な骨密度検査を受け、骨の健康状態をチェックすることも大切です。疲労骨折の予防や早期発見のためにも、整形外科にて定期的な骨密度検査や診察を受けておくと安心です。 まとめ|疲労骨折を早く自然治癒させるためには安静が重要! 疲労骨折は身体の使い過ぎによって起こるケガであり、自然治癒するケースが多くあります。疲労骨折を早く自然治癒させるためには、しっかりと安静にすることが大切です。 また、自然治癒を早めてくれる栄養の摂取や、運動復帰後のトレーニングの進め方も大切です。この記事で紹介したことを実践し、疲労骨折の予防や再発防止に努めましょう。 ちなみに当院リペアセルクリニックでおこなっている再生医療は、疲労骨折をはじめとするスポーツ障害の治療にも有効です。 自然治癒を目指している方でも、『このまま安静にしていて本当に治るのか?』と不安に感じたら、まずは無料の電話相談をご利用ください。 専門スタッフがあなたの状態に合わせて、適切なアドバイスをいたします ▼まずは無料で電話相談 >>こちらをクリック!今すぐ相談してみる 疲労骨折についてよくある質問 疲労骨折は自然治癒しますか? 疲労骨折は自然治癒するケガです。安静にし、骨折部位に負担をかけなければ自然治癒していくでしょう。しっかりと栄養を摂り、運動療法や物理療法を併用すればより早く自然治癒する可能性もあります。 疲労骨折で多い部位はどこですか? 足の中足骨や膝・肋骨・腰椎・脛に多く発症します。 これらの部位はあらゆるスポーツでよく使われる骨です。とくに長い距離を走ったり、体を捻ったりするスポーツ選手は注意が必要なため、疲労がたまらないようケアを心がけてください。
2024.09.06 -
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「腰の疲労骨折と診断されたけれど、早く回復して仕事やスポーツに復帰したい…」といった、悩みを抱えていませんか? 腰の疲労骨折は、無理をすると悪化しやすく、治癒までの期間が延びてしまうこともあります。 しかし、安静を最優先し、適切な時期にストレッチやトレーニングを実施すれば早期回復を目指せます。 本記事では、腰の疲労骨折を早く治す方法を具体的に解説しています。 治療中の注意点も紹介しているので、早期回復を目指したい方は参考にしてみてください。 疲労骨折のような症状があるけれど、病院に行くほどか迷うという方は、当院(リペアセルクリニック)の無料電話相談をご利用ください。 専門スタッフが痛みの程度や生活への影響をお伺いしながら、必要な対応やセルフケアのポイントをご案内します。 【基礎知識】腰椎疲労骨折とは 腰椎疲労骨折は、腰椎の「椎体」と呼ばれる骨の部分に微小な亀裂が生じる状態を指します。 腰椎疲労骨折の主な原因は、以下のとおりです。 重労働や繰り返しの負荷 不適切な姿勢や体の使い方 加齢に伴う骨密度の低下 骨粗鬆症などの基礎疾患 このように腰椎疲労骨折は、一度の強い衝撃ではなく、長期的な負荷の蓄積によって引き起こされます。特にスポーツを積極的に行う10代の若年層に多く見られ、同じ動作を繰り返すことで発症しやすいです。 腰椎疲労骨折の症状は、単なる腰痛とは異なり、以下のような特有の特徴があります。 安静時にも持続する鈍い痛み 特定の姿勢や動作で増悪する痛み 腰の特定の場所を押すと痛みを感じる(圧痛) 腰の特定の場所をトントンとたたくと痛みを感じる(叩打痛) これらの症状は、時間の経過とともに徐々に悪化する場合が多いです。最初は軽度の痛みで済んでいても、放置すれば日常生活や仕事に大きな支障をきたすようになります。 そのため、疲労骨折が疑われる場合は、早期の診断と適切な治療が不可欠です。適切な治療を行えば、痛みの軽減と日常生活の質の向上が期待できます。 なお、腰の痛みを伴う原因はほかにもあり、以下は対象となる疾患です。クリックすると詳細記事をチェックできるので、症状や治療法が気になる方は参考にしてみてください。 腰椎椎間板ヘルニア 脊柱管狭窄症 ぎっくり腰 近年、腰の痛みを伴う腰椎椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症の治療法として「再生医療」が注目されています。再生医療とは人間の自然治癒力を活用した新しいの医療技術で、損傷した脊髄の再生を図ります。 「腰に関連のある疾患の治療法に興味がある」という方は、再生医療専門の『リペアセルクリニック』にお問い合わせください。 腰椎疲労骨折はどれくらいで治る?【完治までは約3カ月】 腰椎疲労骨折の回復には約3カ月かかると言われています。 亀裂または折れた骨が癒合するまでに時間が必要なため、焦らず適切な治療を続けましょう。 治癒までの期間は、年齢や症状の程度、個人の体質などによって左右されます。 症状が軽度の方や若い方ほど治癒が早い傾向があります。 腰椎疲労骨折を早く治す方法5選 腰椎疲労骨折からの早期回復を目指す上で、日常生活で意識したいポイントを5つ紹介します。 焦らず安静にする コルセットの着用ルールを守る 計画的にリハビリを進める 軽めのストレッチ・トレーニングを行う 栄養バランスのとれた食事を心がける 参考にしながら実践をして、早期回復を目指しましょう。 焦らず安静にする 腰椎疲労骨折の基本治療は、安静により骨の自然回復を待つ保存治療です。 骨に亀裂が入っている状態なので、体を無理に動かすと状態が悪化します。 安静期間は、症状や人によって異なり、4週間から12週間程度です。 この間は、腰に負担をかけないように、できるだけ安静にして過ごしましょう コルセットの着用ルールを守る 疲労骨折の状態によってはコルセットを装着して安静時期を過ごします。 コルセットの着用が必要になった場合、使用ルールを必ず守りましょう。コルセットを着用する際は以下のような点に注意が必要です。 装着方法:締め付け具合 装着時間:1日の中での装着時間 着脱のタイミング:入浴時や就寝時の取り扱い コルセットを正しく装着しなかったり、着用を怠ったりすると、症状が悪化してしまう場合があります。早期回復のためにも、医師の指示に従って使用しましょう。 軽めのストレッチ・トレーニングを行う 骨の回復が認められ医師の許可が出たら、軽めのストレッチやトレーニングを開始していきます。 回復期は、骨盤周囲の筋肉を伸ばすストレッチや、腰を支える筋肉を強化するトレーニングが効果的です。 具体的には、ハムストリングストレッチや腰回りのストレッチや、腰椎を支える筋肉を強化を目的とした体幹トレーニングです。 適切な強度でストレッチやトレーニングを継続すれば、腰の機能改善につながります。 日常生活で負担のかかる動きを制限する 腰椎疲労骨折の回復段階では、日常生活で腰に負担をかけない動きをとる意識をもちましょう。 腰に負担がかかる動作をとれば、回復が遅れる可能性があるほか、再発のリスクも高まるからです。 腰に負担がかからない主な動作は以下の3つです。 腰を反らさない 力を入れすぎない ねじらない たとえば、ベッドから起き上がるときは、腰を反らさないように気をつけ、横向きになってから腕の力を使って上体を起こします。体をひとまとまりにして動かせば、腰に余計な負担をかけずに済みます。 椅子から立ち上がる際は、両手で座面を押しながら、膝を伸ばして立ち上がりましょう。腰を前後に動かさず、脚の力を使うと負担が軽くなります。 重い物を持つときも注意が必要です。腰を曲げずに膝を曲げ、背筋をまっすぐにしたまま持ち上げると、腰への負担が減ります。また、物を持ったまま体をねじらず、向きを変えるときは足から動かしましょう。 このように日常生活の動作を見直し、腰にやさしい動きを意識してみてください。 栄養バランスのとれた食事を心がける 骨の修復には多くの栄養が必要です。栄養バランスのとれた食事を心がけると、より早い回復が期待できます。 以下は、骨の修復に大切な栄養素と食材です。 栄養素 働き 食材 カルシウム 骨の主成分となり、強化を助ける 牛乳、チーズ、小魚、ひじき、小松菜 ビタミンD カルシウムの吸収を助ける イワシ、秋刀魚、鮭、しいたけ、きくらげ ビタミンK カルシウムを骨に定着させる 納豆、小松菜、ほうれん草、わかめ たんぱく質 筋肉や血液の材料になり、骨の修復を助ける 赤身の肉、魚、豆腐、納豆、ヨーグルト マグネシウム 骨の健康を維持し、強化をサポートする アーモンド、ごま、わかめ、大豆製品 バランスの取れた食事で、骨の修復に必要な栄養を補給しましょう。 まとめ|腰の疲労骨折を早く治すには焦らず治療していくのがもっとも大切 焦らず治療に専念するのが、腰の疲労骨折を早く回復させる近道です。腰に負担のかかる動作や運動を控えて、完治までじっくり治療に取り組みましょう。 本記事で紹介した、回復後の運動や食事のアプローチも参考にして、早期回復を目指してみてください。 腰の疲労骨折に関するよくある質問 腰の疲労骨折について、不安や疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。 ここでは、治療や予防、日常生活での注意点など、よくある質問とその回答を紹介します。腰の健康を守るための参考にしてください。 保存治療で症状がなかなか改善しない場合は手術が必要ですか? 保存的治療で十分な改善が見られない場合や、重度の骨折、神経症状を伴う場合などは、外科的治療が検討されます。 手術の方法は、骨折部位の固定や骨移植などです。 手術は、痛みの軽減、脊柱の安定化、神経症状の改善などを目的として行われます。 腰の疲労骨折における予防策を教えてください 腰椎疲労骨折の予防には、以下のようなポイントがあります。 適切な姿勢の保持 重量物の正しい持ち上げ方の習得 定期的な運動による腰部や体幹の筋力維持 骨密度の維持(バランスの取れた食事、適度な日光浴など) 日常生活の中で、腰への負担を減らす工夫を心がけるのが大切です。 重労働の仕事で腰が疲労骨折にならないためのポイントを知りたい 重労働に従事する人は、以下の点に注意をする必要があります。 項目 ポイント 詳細 1. 適切な重量制限の順守 無理なく持てる重量か確認する 重量物を分割して運ぶ 周囲と協力して持ち上げる 安全を優先して無理をしない 2. 重量物を持ち上げる際の正しい体の使い方 重心を低くし、物を体に近づける 膝を曲げ、脚の力で持ち上げる 急な動作を避ける 正しい姿勢で持ち上げ、腰への負担を減らす。定期的に訓練を受ける。 3. 休憩の確保と作業の分散 長時間の連続作業を避ける 同じ姿勢を続けない 作業を分散し負担を減らす 適切に休憩を取り、疲労を防ぐ。作業スケジュールを管理する。 4. 必要に応じた補助具の使用 台車や手押し車を使う 高所作業には脚立を使用する 腰ベルトの着用を検討する 補助具を活用し、負担を軽減する。正しい使い方を守る。 仕事と腰の健康は、切り離せない関係にあります。自分の体を守るためにも、リスク管理と予防策の実践を心がけましょう。 参考文献 MSDマニュアル家庭版."骨折の概要" 日本スポーツ整形外科学会.“スポーツ損傷シリーズ-疲労骨折" 日本臨床整形外科学会.”疲労骨折・腰痛” 日本脊椎脊髄病学会.”脊椎脊髄疾患について・主な症状” 日本生活習慣病予防協会.”骨粗鬆症” 村山医療センター.”腰椎分離症” 教えて!先生!腰痛の専門医による安心アドバイス.”腰の疲労骨折・脊椎分離症(腰椎分離症) 日本脊髄外科学会.”腰椎分離症・分離すべり症” 徳島県医師会.” 腰椎分離症 -病期・病態に応じて治療-” 日本整形外科学会.”「腰椎分離症・分離すべり症」” 厚生労働省.”腰痛予防対策” 厚生労働省.”職場における腰痛予防対策指針及び解説” ドクターズファイル.”疲労骨折” 医療法人大場整形外科.”腰椎疲労骨折” 日本骨折治療学会.”骨折の解説-疲労骨折”
2024.07.29 -
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失ったはずの腕や脚が痛むのはどうして? 幻肢痛に効果的な治療法はあるの? この記事に辿り着いたあなたは、幻肢痛に悩んでおり、なんとかして痛みを和らげたいと感じているのではないでしょうか。 幻肢痛の治療法には「薬物療法」や「鏡療法」などの選択肢があり、複数の方法を組み合わせて治療を進めることもあります。ご自身の状態に合った治療法を試すことが大切です。 本記事では、幻肢痛でよく用いられる治療法やセルフケア、そして新しい治療法について解説します。幻肢痛に悩んでいる、また幻肢痛に苦しむ方の力になりたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。 幻肢痛に対する4つの治療法 幻肢痛(げんしつう)とは、事故や病気で四肢を切断したあと、失ったはずの腕や足に痛み・しびれを感じる現象です。四肢の切断によって脳内にある身体の地図が書き換わり、認識と感覚の不一致が生じて起こるといわれています。 幻肢痛の一般的な治療方法は、以下の4つです。 薬物療法 鏡療法 電気刺激療法 リハビリテーション ひとつの治療法で痛みが緩和され、一定の効果が得られる場合もありますが、さまざまな方法を組み合わせて治療を進めていくケースが多いです。 本章を参考に、幻肢痛における治療法の選択肢を知っておきましょう。 薬物療法 薬物療法では、以下のような種類の薬を使用します。 鎮痛薬 抗けいれん薬 抗うつ薬 抗てんかん薬 抗不整脈薬 オピオイド系鎮痛薬(モルヒネやドラマドール)が使われるケースもありますが、依存や乱用のリスクが高く副作用も懸念されるため、使用は慎重におこなうべきだと考えられています。 また、局所療法として、カプサイシンクリームの塗布やリドカインスプレーの噴霧などがおこなわれる場合があります。 いずれにしても、薬物療法は作用と副作用のバランスを考え投与するのが望ましいため、主治医と十分コミュニケーションを取りましょう。 鏡療法 鏡療法は、ミラーセラピーとも呼ばれている方法です。 健常な四肢を幻肢があるかのように鏡に映します。健常な四肢を動かすと、鏡にも同様に映るため、あたかも幻肢を動かしていると錯覚するのです。 これを繰り返すうちに、「幻肢が思った通りに動いている」と脳が認識するようになります。知覚と運動の情報伝達が脳内で再構築され、幻肢痛が軽減していきます。 具体的な方法は以下のとおりです。 1. 身体の正面中央付近に適切な大きさの鏡を設置します。 2. 切断部位が見えないようにし、健常肢が鏡に映るように調整します。 3. 鏡に映った健常肢の像がちょうど幻肢の位置と重なるようにします。 4. 健常肢側から鏡を見ると、幻肢があるかのように鏡に映ります。 5. その状態で健常肢でさまざまな動きをし、鏡の像を集中して見ます。 鏡療法をおこなう時間は決められていませんが、15分~30分程度おこなうのが一般的です。ただし、疲労状況や集中できる時間を考慮して、調整しましょう。 電気刺激療法 電気刺激療法には、3つの種類があります。 脊髄刺激 視床刺激 大脳皮質刺激 脊髄刺激を与えると、痛みが脳に伝わりにくくなります。刺激を与えると、痛みの伝達を抑制する物質が増加するため、神経の興奮を抑制して痛みの緩和につながるのです。 また、大脳皮質にある一時運動野や視床へ電気刺激を与えても、幻肢痛を和らげるケースが報告されています。刺激を与える部位は、切断部位や神経の残っている部分によって治療方法が異なります。 リハビリテーション 義肢や装具には、失った機能や役割を補うだけでなく、幻肢痛を和らげる効果があります。 義肢や装具の装着は、鏡療法と同様に脳に失った四肢を認識させるため、義肢の装着が日常的になると幻肢痛も消失していく場合が多いです。 ただし、幻肢痛がひどく、義肢や装具の装着ができない場合もあります。リハビリは、医師をはじめ、理学療法士や義肢装具士など、医療者と相談しながら進めていきましょう。幻肢痛は、常に一定に感じているわけではなく、突然襲われる場合もあります。 寝ていても飛び起きてしまうような突然の痛みに襲われたり、失った手足が締め付けられるように感じたり、痙攣している、幻肢がねじれる、しみるなど、感じ方や程度はさまざまです。 数年で幻肢痛がなくなる方もいれば、長年痛みに苦しめられる方もいます。そのため治療法の選択は、医師をはじめとするさまざまな医療者と相談し、それぞれの痛みの程度やライフスタイルに合わせた継続できる治療法の選択が必要でしょう。 幻肢痛治療経験者の中には、治療に成功し、徐々に痛みが緩和され消失した方もたくさんいます。 「なるべく痛みではなく、他に意識が向くようにしていると徐々に痛みが引いた」「義足をつけてリハビリを続けていると幻肢痛が緩和した」など、幻肢痛はすぐになくすことはできませんが、治療を続け徐々に痛みから解放された方は多くいます。 しかし、長年幻肢痛に悩まされているケースもあります。幻肢痛の治療は、根気強く治療を続けていくモチベーションが必要です。 幻肢痛のセルフケア方法2つ 幻肢痛のセルフケアをする方法として、以下2つが挙げられます。 ストレスをコントロールする 家族・支援者によるサポートを受ける 本章で幻肢痛のセルフケア方法を知り、医療機関での治療以外にできることがないか検討してみましょう。 ストレスをコントロールする 適切なストレス管理で痛みを和らげることもできます。 幻肢痛患者は、痛みによって、不安や怒り、恐れなど、さまざま感情が入り混じっている心理状態です。慢性的なストレスは、痛みを過敏に感じさせるため、幻肢痛が悪化する原因にもつながります。 自分でできるストレスのコントロール方法は、以下の通りです。 趣味に没頭する 散歩をする 映画やドラマを見る 好きな物を食べる お風呂にゆっくりつかる 規則的な睡眠をとる 香りを楽しむ 声を出して笑う 日光を浴びる 過度な運動などの幻肢痛が悪化するようなものは避け、まずは自分ができそうなものから始めてみましょう。暴飲暴食、過度な飲酒・喫煙などはかえって体調不良や睡眠不足の原因となり、痛みの悪化を招くため注意が必要です。 家族・支援者によるサポートを受ける ストレス管理は本人だけでなく、周囲からのサポートが必要になるケースもあります。 なるべくストレスを抱え込まず、周りの人の力を借りながらうまくコントロールすることが大切です。 家族・支援者ができるサポートは、以下の通りです。 痛みが一番のストレスなら、残存した方の腕や足を軽くマッサージしてもらう リハビリがストレスなら、リハビリのやり方やメニューを主治医と相談する 生活の不自由さがストレスなら、補助グッズの使用や利用できる支援の導入を検討する まずは自分がストレスに感じていることは何かを、家族やサポートしてくれる人に話して理解してもらう必要があります。 また、精神的に不安定になっている場合は、心療内科・精神科の受診やカウンセリングを受けることなども検討しましょう。 新たな技術を用いた幻肢痛の治し方2選 四肢の一部を失った方が、幻肢痛を乗り越え、生活の再構築をしていくのは、とても困難な道のりでしょう。 幻肢痛には、従来先述したような4つの治療法が用いられていますが、IT技術の進化に伴い、以下2つのような新しい治療法も登場しています。 VR技術による「遠隔セラピー」 BCI(ブレインコンピューターインターフェイス)による「脳のトレーニング」 体験を行う交流会もあるため、積極的に参加することで新たな発見があるかもしれません。お住まいの地域での開催がないか調べてみましょう。 VR技術による「遠隔セラピー」 VR空間のなかで、失った四肢を補間し、脳を錯覚させるセラピーも開発されています。幻肢痛を感じる患者とセラピストが一緒にVR空間の中に入り、手足を動かすイメージを共有する手法です。 3Dを利用したリアルな空間なので、実際にリハビリをしているような雰囲気が味わえます。 さらに、VR空間でセラピーを行うため、セラピストが近くにいなくても、いつでもどこでも実施が可能です。 鏡療法は切断部位によって有効でない場合もありますが、VR技術による遠隔セラピーならばより多くのケースに対応できます。 BCI(ブレインコンピューターインターフェイス)による「脳のトレーニング」 BCIによる「脳のトレーニング」では、脳活動を計測し、得られた計測信号から脳情報を読み解き、それに基づいて架空の手足の映像をオンラインで動かします。 架空の手足を動かすことで、脳の変化を促し、新しい感覚を得られたり、治療につながっていくことを目的としたものです。 この訓練を3日間行うことで、訓練後5日間の痛みが30%以上減弱した調査結果もあります。 まとめ|自分に適した幻肢痛の治療法を検討しよう 本記事では、幻肢痛の治療法とセルフケアの方法について詳しく解説しました。 治療の際には、失った部位や痛みの状態に合わせた方法を選択する必要があります。 また、IT技術を活かし、リアルに失った四肢を感じられるような遠隔セラピーやBCIによるトレーニングといった新しい治療法も開発されています。日々情報収集をおこないながら、自分に合った治療法を見つけましょう。 当院「リペアセルクリニック」は、幹細胞の働きを活かし、本来の機能ができなくなった臓器や骨などを修復する「再生医療」を扱うクリニックです。再生医療には、膝や腰の痛みを改善させる治療もあります。再生医療に興味を持たれた方は、ぜひ当院のホームページをご覧ください。 参考文献一覧 (文献1) 住谷昌彦 幻肢の感覚表象と幻肢痛 バイオメカニズム学会誌Vol. 39,No.2(2015) (文献2) インタビュー「最先端の幻肢痛治療に見る、「脳のリプログラミング」の可能性」 (文献3) UTokyo バーチャルリアリティー治療で緩和される幻肢痛の特徴 (文献4) 住谷昌彦、宮内哲ほか 幻肢痛の脳内メカニズム 日本ペインクリニック学会誌Vol.17No.1 2017 (文献5) UTokyo 失った手足の痛みを感じる仕組み (文献6) 日本ペインクリニック学会 「神経障害制疼痛薬物療法ガイドライン 改訂第2版」 (文献7) 緒方徹、住谷昌彦「幻肢痛の機序と対応」Jpn J Rehabil Med 2018;55:384-387 (文献8) ミラーセラピーについて | 脳梗塞集中リハビリセンター │ 社会医療法人 生長会 (文献9) 大内田裕 「幻肢・幻肢痛を通してみる身体知覚」2017年 (文献10) 片山容一、笠井正彦 「幻肢・幻肢痛を通してみる身体知覚」2017年 (文献11) 落合芙美子 日本義肢装具学会誌「義肢装具に対するチームアプローチ」日本義肢装具学会誌Vol.13 No.2 1997 (文献12) 幻肢痛VR遠隔多人数セラピーシステム|JDP (文献13) 事故で失った幻の手の痛みが脳活動を変える訓練により軽減 - ResOU
2024.06.19 -
- 腱板損傷・断裂
- 野球肘
- 上肢(腕の障害)
- インピンジメント症候群
- 肩関節、その他疾患
- 肩関節
- スポーツ外傷
- 再生治療
2024シーズンからメジャーリーグに挑戦している山本由伸投手は、右肩の怪我により離脱を余儀なくされています。ロサンゼルス・ドジャースとの大型契約で注目を集めた山本投手は、デビューシーズンから肩の怪我に直面することになりました。 本記事では、山本由伸選手が負った怪我である腱板損傷の詳細や怪我をした原因、怪我の治療法まで詳しく解説します。 山本由伸選手が負った怪我である腱板損傷とは? 腱板損傷とは、肩関節の安定性を保つために重要な4つの筋肉(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)とその腱の総称「腱板」に損傷が生じる状態です。特にプロ野球のピッチャーは投球動作で肩に大きな負担がかかるため、この怪我のリスクが高まります。 山本由伸選手の場合、MLBデビューシーズンとなる2024年に右肩の腱板に損傷を負いました。これはオーバーユース(使いすぎ)や投球フォームの問題、あるいは急激な環境変化による負担増加などが複合的に影響した可能性があります。 腱板損傷は軽度の炎症から完全断裂まで症状の幅が広く、重症度によって治療法や復帰までの期間が大きく異なります。 山本由伸選手が怪我をした腱板損傷を含む野球肩の種類 プロ野球選手、特にピッチャーが抱える肩の怪我は多岐にわたります。ここでは山本由伸選手が負った腱板損傷を含む、野球選手に多い肩の怪我について説明します。 上腕骨骨端線離開(こったんせんりかい) 「リトルリーグショルダー」とも呼ばれ、成長期に起こる投球障害です。成長期における過度の投球により成長軟骨が損傷することで、投球時や投球後に痛みを生じます。 「動揺性肩関節症」は「ルーズショルダー」とも呼ばれています。上腕骨と肩甲骨の間にある靭帯などが先天的に緩い状態にあり、その状態で肩を酷使すると周囲の組織を損傷してしまい、肩の痛みや不安定感を覚えます。 肩甲上神経損傷 棘下筋を支配する肩甲上神経が投球動作により引っ張られる、あるいは圧迫されるなどによって損傷を起こし、肩の痛みや肩の疲労感を覚えます。 インピンジメント症候群 野球肩の中で最も多くみられる症状で、靭帯や肩峰に上腕骨頭が衝突することで腱板が挟まれ、炎症を起こすことで肩の痛みを生じます。 山本由伸選手が怪我をした原因 山本由伸選手の腱板損傷の原因については、複数の要因が複合的に影響していると考えられます。 まず第一に挙げられるのは、日本からメジャーリーグへの環境変化による影響です。MLBとNPBでは投球間隔やボールの違い、マウンドの状態など様々な差異があります。特にMLBのボールは表面が滑らかで縫い目が低く、日本のボールと比べてグリップ感が異なります。 また、投球フォームの問題も一因と見られています。山本選手の投球フォームは非常にパワフルですが、肩に過度な負担をかけるリリースポイントであったという指摘もあります。特に最大の武器である150km/hを超える直球を投げる際には、肩への負荷は相当なものとなります。 そして、投球数や登板間隔の管理の問題も指摘されています。メジャーリーグでは先発投手としての役割や期待が大きく、適切な休息をとれなかった可能性もあります。 山本由伸選手の怪我の治療法 山本由伸選手の腱板損傷に対する治療法には、いくつか種類があります。ここでは主な治療法について解説します。 保存療法 保存療法は、手術をせずに行う治療法の総称で、腱板損傷の初期段階でまず試みられるアプローチです。休息と投球制限が基本となります。 特に初期対応としては、炎症を抑えるためのRICE処置(Rest:休息、Ice:冷却、Compression:圧迫、Elevation:挙上)が重要です。また非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の内服や、場合によっては炎症部位への局所注射なども行われます。 急性期を過ぎたら、段階的なリハビリに移行します。肩関節周囲の柔軟性回復のためのストレッチングから始め、徐々に肩甲骨周囲筋や腱板自体の筋力強化エクササイズへと進めていきます。 手術療法 保存療法で症状が改善しない場合や、腱板の断裂が大きい場合には手術療法が検討されます。現代では低侵襲な関節鏡視下手術が主流となっています。 関節鏡視下手術では、小さな切開から内視鏡と専用器具を挿入し、腱板の修復を行います。断裂した腱板を元の位置に戻し、アンカーと呼ばれる特殊な縫合糸で上腕骨に固定します。 大きな切開を必要としないため、術後の痛みが少なく、回復も早いのが特徴です。手術後は肩を固定し、数週間の安静期間を経てから段階的なリハビリを開始します。 完全な競技復帰までは選手の状態や損傷の程度によって異なりますが、一般的には6〜9ヶ月程度を要します。 再生医療 最新の治療法として、再生医療のアプローチも注目されています。PRP(多血小板血漿)療法や幹細胞治療などが、従来の治療法を補完する形で用いられるようになっています。 PRP療法では、選手自身の血液から濃縮した血小板を損傷部位に注入します。血小板に含まれる成長因子が組織の修復を促進し、治癒を早める効果が期待されます。 また幹細胞治療では、骨髄や脂肪組織から採取した幹細胞を利用して損傷した組織の再生を促します。これらの治療は手術の必要性を減らしたり、手術後の回復を早めたりする可能性があります。 まとめ|山本由伸選手が負った怪我には再生医療も有効! 野球選手にとって肩の怪我は避けられないリスクの一つですが、その中でも「野球肩」は一般的に起こりえる問題です。 野球肩とは、投球動作やバッティングなど、腕を激しく使うことで肩関節周囲の筋や腱、骨が損傷や炎症を起こす状態を指します。この野球肩には、腱板損傷、リトルリーグショルダー(上腕骨骨端線離開)、ルーズショルダー(動揺性肩関節症)、肩甲上神経損傷、インピンジメント症候群など、さまざまな種類があります。 各症状は投球時や日常生活での痛み、肩の不安定感、疲労感などを引き起こし、生活の質を大きく損なう可能性があります。従来の治療法としては、痛みの軽減や肩の安静を目的としたリハビリテーション、または重症の場合は手術が行われてきました。しかし、これらの方法は長期の休養が必要な場合も多く、選手にとって大きな負担となることがあります。 そこで注目されているのが「再生医療」です。 再生医療は、体への負担が少なく、手術や入院を避けることができるため、治療期間が短縮されるというメリットがあります。この治療法は、多くの有名野球選手も実績があり、スポーツへの早期復帰を目指すための画期的な方法として今注目の最新の治療方法です。 メジャーリーグのドジャースに所属する山本由伸選手も、ぜひ再生医療を用いた治療を考えてほしいものです。なぜなら、選手生命を護ることができるからです。 肩の痛みや違和感を感じたら、早めの受診と適切な診断を受けることが重要です。肩の怪我を適切に治療し、スポーツを続けるためには最新の医療情報を活用し、専門医の指導を受けることが肝要です。 スポーツ選手は自分を護るためにも再生医療といった最新の治療法を知ることも大切です。 早期の回復を目指せる再生医療は、肩の怪我に悩む野球選手の救世主となり得ます。再生医療に興味があれば豊富な実績で症例数をリードする当院までお問い合わせください。 山本由伸選手が負った怪我についてのQ&A 検査はどのようにするの? 投手の肩の怪我を診断するための検査は複数回行われます。 まずは肩の可動域や痛みの位置を確認します。次にX線検査で骨の状態を確認し、さらに詳細な検査のためMRIを実施します。 MRIでは軟部組織の状態を可視化でき、筋肉や腱、靭帯の損傷を詳細に把握できます。山本選手の場合もこれらの検査に加え、必要に応じて超音波検査やCTスキャンなどの追加検査が行われているでしょう。 山本由伸選手と同様の怪我の復帰時期はいつくらいですか? 山本選手のような投手の肩の怪我からの復帰時期は、怪我の種類と程度によって大きく異なります。 一般的に投球肩の炎症や軽度の筋肉疲労であれば2〜4週間程度で復帰できるケースが多いですが、腱板の損傷や関節唇(ラブラム)の裂傷などの重度の損傷では3〜6ヶ月以上の長期リハビリが必要になることもあります。
2024.06.18







