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胸郭出口症候群とは?症状、原因と治療法

胸郭出口症候群とは?症状、原因と治療法、病気を解説します

胸郭出口症候群とは、腕を上げる動作や、上げたままの姿勢が続くと肩や腕、手にしびれや痛み、だるさなど、上肢に症状が現れる病気です。

とくに、なで肩の女性や筋トレ習慣のある男性をはじめ、野球やバレーボール、バドミントン、テニスなどのように、腕をよく回すアスリートや運動部の学生によく見られるスポーツ障害でもあります。

そこでこの記事では、胸郭出口症候群とは?と題して、その特徴や原因、リハビリや手術などの治療法について紹介しますのでご一読ください。

野球は胸郭出口症候群に注意が必要です

胸郭出口症候群の原因と症状

胸郭出口とは、手や腕を動かす神経や血管が走っている首と胸の間にある通路のことです。この通路は、首の付け根にあり、その隙間にある神経や血管が締め付けられたり、圧迫されたりすると、胸郭出口症候群の原因になります。

なお、胸郭出口にあるどの筋肉と関係するかによって、次の3つの症候群があり、胸郭出口症候群とは、下記の3つの症候群をまとめた病名なのです。

  • 胸郭出口症候群とは以下の症候群をまとめた病名

  • ・ 斜角筋(しゃかくきん)症候群
  • ・ 肋鎖(ろくさ)症候群
  • ・ 小胸筋(しょうきょうきん)症候群(≒過外転症候群)

原因(動作)

胸郭出口症候群は、日常生活やスポーツで次のような動作をよく行った場合、原因となります。

  • 胸郭出口症候群の原因(一例)

  • ・ 野球でボールを投げる
  • ・ テニスでラケットを振る
  • ・ 剣道で竹刀を上下に動かす
  • ・ 水泳のクロールで繰り返し腕を回す
  • ・ つり革を持つ
  • ・ 洗濯を物干し竿に干す
  • ・ 腕や肩の筋トレを繰り返す
  • ・ なで肩や片肩でバッグを持つなどの姿勢不良

上記のうち4つ目までは、そのスポーツでの独特な動きが発症原因となっています。

スポーツ障害と胸郭出口症候群

先程紹介したように、胸郭出口症候群は、なで肩や良くない姿勢、日常動作の動きのクセ(リュックサックや肉体労働など)によって起きるといわれています。

一方で、野球やバレーボール、バドミントンなど、プレーの中で腕を上げたり、よく腕を回転させたりするスポーツでも発症する病気です。そのため、オスグッド病、シンスプリント、野球肘など、繰り返し同じ動きによって痛みが続く「スポーツ障害」の一種でもあります。

日頃からスポーツや運動、トレーニングなどをしている方で上肢や肩、腕や手の違和感がある場合、胸郭出口症候群の可能性があることを知っていただき意識の上、注意しておきましょう。

スポーツ医療の治療

胸郭出口症候群の「症状」

胸郭出口症候群になると腕を上げる動作を取ることで、肩や腕、手、肩甲骨周辺などに「しびれ」や「痛み」、「だるさ」が生じます。

症状が進行すると、前腕から手の指(とくに小指側)に強い痛みや、しびれ、ピリピリ感が走る、握力が低下する、指先を使う作業が不器用になる、といった症状も加わります。

このように胸郭出口症候群を発症すると上肢に痛みやしびれが生じ、運動麻痺の症状が重なるは、日常生活に支障をきたす病気です。

人によっては、手の甲の骨の間が凹んだり、手のひらの小指側の小指球筋と呼ばれる盛り上がりが痩せてくることもあります。さらに、血行不良によって腕が白っぽくなったり、青紫色になったりするケースも少なくありません。

胸郭出口症候群の「治療法」

胸郭出口症候群の治療には、次の 4つがあります。とくに 3 番目のリハビリは、整形外科に通院して効果が期待できる方法なのでぜひチェックしましょう。

  • 胸郭出口症候群の治療法

  • 1. 生活指導
  • 2. 薬物療法
  • 3. リハビリ
  • 4. 手術

1. 生活指導

原因となっている日常生活での腕を挙げる動作やスポーツ・運動を控えることが大切です。また、正しい姿勢を維持したり、生活動作を腕に負担のないように見直す必要もあります。

ストレッチやエクササイズなどの運動療法で筋肉の緊張や血行不良を改善する方法も有効です。

2. 薬物療法

痛みを和らげる消炎鎮痛剤(ロキソニン・ボルタレンなど)や神経の痛みに対する薬(プレガバリン・ミロガバリンなど)といった内服薬の処方が一般的です。

痛みが強い場合は、ブロック注射を行うこともあります。

3. リハビリ(理学療法)

整形外科に通院して、理学療法士から正しい姿勢を学んだり、手技で胸郭出口周辺の筋肉の緊張を和らげたり、神経や血管への刺激を緩めたりして痛みの緩和を目指します。

生活指導と理学療法を合わせて受けられるケースが多いため、今後の予防にもつながる方法です。

4. 手術

症状が重くて日常生活やスポーツに大きな支障をきたしているときは、原因となっている筋肉や肋骨の一部を切除して隙間を広げ、神経や血管の圧迫を取る手術を選択することがあります。

近年、手術のほかカテーテルによる治療が行われるケースも増えています。

まとめ:胸郭出口症候群とは?原因と治療法についても詳しく解説!

今回紹介した胸郭出口症候群には、次のようなポイントがありました。

  • 胸郭出口症候群の原因

  • ・ 腕を挙げると動作で肩や腕、手のしびれや痛みが生じる
  • ・ 胸郭出口周辺の神経や血管の圧迫が原因
  • ・ 日常動作や姿勢、スポーツが原因で発症する
  • ・ 治療法は内服薬やリハビリが中心
  • ・ 重度の場合は手術を選択することもある

胸郭出口症候群は、日常の腕を上げる動作や、スポーツなどで発症しやすい疾患です。原因は主に胸郭出口における神経や血管の圧迫であり、特になで肩の女性やスポーツ選手に多く見られます。

症状は上肢にしびれや痛みが生じ、日常生活に支障をきたします。治療法は生活指導や薬物療法、リハビリ、手術などですが、リハビリを用いた治療が大切です。また、手術は症状が著しい場合に選択される場合があります。適切な治療法を選択し、生活指導やリハビリを積極的に行うことが重要です。

普段から姿勢が気になっている方、スポーツを楽しんでいる方で腕や手のしびれや痛みがある場合、胸郭出口症候群かもしれません。

この記事を読まれて、身体の違和感に気が付かれたなら、症状が進行する前に、整形外科を受診しましょう。

以上、参考にしていただければ幸いです。

No.115

監修:医師 坂本貞範

スポーツ医療の治療

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