野球肘を予防する!ストレッチで選手生命を伸ばす
公開日: 2022.03.01更新日: 2024.10.07
目次
野球肘を予防する!ストレッチで選手生命を伸ばす
スポーツをする上で気を付けたいのが何といってもケガや故障です。
今回ご説明する「野球肘」は少年野球の選手のうち5人に1人が発症するとされるスポーツ障害の一種です。野球肘は、ボールを投げる動作を繰り返すことで起こります。
特に子供さんが野球チームに入り、ピッチャーの才能があることが分かっても手放しで喜んではいけません。ピッチング、投球のしずぎで肘の故障を起こして結果的に野球を断念…といこともあり得るからです。
せっかくの才能をつぶさないで伸ばしてあげるためにも野球肘には十分注意してあげなければなりません。子供さんからの肘が痛いというサインを見逃さないでください。
日本は、とかく根性論に走りがちです。根性は大切ですが万一、症状が悪化してしまっては本末転倒、選手生命を奪いかねません。そこで野球肘の原因や予防方法を知って是非、選手生命を伸ばす方向で取り組んで頂ければと思うのです。
野球肘とは
野球肘とは、ピッチングなど、ボールを投球する動作が原因で起こる「肘関節の損傷をまとめた呼び方」です。
野球肘|起こる原因
野球肘は、肘に反復して過度な負担がかかることが原因で発症します。野球のボールを投げる動作は、腕を大きく振りかぶった状態から肘の機能を使って力いっぱい投げおろすため、肘への負担が大きな動作となります。この動作を繰り返すことで肘の靱帯や軟骨に大きな負担がかかってしまうのです。
野球肘|種類
野球肘は肘関節のさまざまな部位で起こりますが、痛めた部分によって大きく3種類に分けられます。
野球肘が起こる部位
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肘の内側には骨や靱帯が引き離される方向に力がかかりますが、この引っ張られる力は、関節を痛めやすいため、橈骨側の靭帯は野球肘の起こりやすい部位です。
一方、肘の外側と後ろ側には骨がぶつかり合う方向で力がかかります。そのため、骨自体に損傷を与えてしまうことで発症すると重症化しやすく、注意が必要になります。
野球肘|症状
野球肘は、ボールを投げるときの痛み、違和感が代表的な症状です。痛みについては、投げるときのみの場合と、投げた後しばらく痛む場合がありますが、軽症の場合なら、安静にすることで痛みは引きます。
これは良いことのようですが実は、この痛みが引いてしまうこと困りものと言えるのです。
なぜなら、少々痛くても休んたら大丈夫と勘違いしてしまうからです。その結果、治療せず放置し、痛みが継続的に出るようになり、こうなると重症化して治りにくくなります。
無理は禁物ということですが、この部分は本人だけでなく、周りの意識も非常に重要です。肘が痛いという言葉に敏感にならなければなりません。
野球肘|治療法
野球肘の発症後、その治療は、何よりも安静が第一です。短くても数週間、長いと数年、野球肘と付き合いが続く可能性があります。そのためにも、症状や違和感を感じたら、少しぐらいと我慢してはいけません。
軽症のうちから医療機関を受診し、指導を受けて重症化を防ぐことが必要です。
すでに野球肘の症状がある場合野球肘の心配がある場合は、初期の段階から医療機関で診察を受けることをお勧めします。野球肘の症状がある場合は、何年も肘の安静を強いられることがないように、重症化を防ぐ必要があります。 まずは投球する回数を減らし、肘を休ませましょう。そして、長くプレーを続けるためには、肘に負担が掛かる投げ方をしていないか指導者を交えての指導が必要です。肘に負担が掛かるような投げ方を改善する必要があります。 |
治療については、スポーツ外来などがある医療機関を受診し、治療はもちろん、リハビリを含め、以後の取り組みについて指導を受けるようにしましょう。エコー検査やレントゲンなど検査を受け状態を確認し、早期に治療を開始することが大切です。
野球肘|予防にはストレッチが有効
肘の関節や靭帯を守るため、動かす前に準備が大切!野球肘を予防するには、プレー前に関節をしっかり伸ばすストレッチを行いましょうす。スポーツの前後にストレッチをしっかり行うことは、大切ですが肘周りのストレッチだけで安心していてはいけません。
野球肘の予防には、肘の関節だけでなく、全身の柔軟性を上げることが重要だからです。そこで以下に野球肘の予防に効果的なストレッチをご紹介します。
野球肘を予防するストレッチの種類
運動前に準備運動を行ったり、ストレッチを行うことは一般的に知られています。野球肘の予防にもストレッチは大切です。肘周り、肩回り、下半身と全身の柔軟性を上げてから練習に挑むことでケガや故障を防ぐことが可能になるからです。
野球肘は肘の酷使が原因ですから、まずは、肘の負担を減らすために肘周りの関節をほぐしていきましょう。痛みがあるときは無理して行わず、専門家に相談することをお勧めします。
手首・肘の内側を伸ばすストレッチ片手をまっすぐ前に伸ばします。この時、手の甲は天井を向き、手首と腕が90度になるようにします。そして、伸ばしている手と反対の手で、指先を体の方に引き寄せましょう。 次の動作は、そのまま手のひらを反時計回りに180度回転させ、手の甲が地面を向くようにします。そのまま手のひらを机などの平らなところに着き、ゆっくりと体重をかけていきます。 |
肩・肩甲骨をほぐすストレッチ投球動作では、肩にも大きな負担がかかります。肩甲骨周りの可動域を広げることは、きれいな投球フォームを作ることにもつながります。 |
肩回りを伸ばすストレッチ身体の前で肘を体に対して直角に上げ、手の平から肘までをピッタリつけて肩甲骨を開きます。(肘の角度は90度でキープ!)次にゆっくりと胸を張るように、腕を後ろに引きましょう。この時、肩甲同士を骨を内側に寄せるイメージで行ってください。 |
体幹と下半身のストレッチ投球は足を大きく踏み込み、体の回転をボールに伝えることでより肘への負担を軽減できます。そのためには体幹のストレッチも忘れず行いましょう! |
体幹と股関節のストレッチ足を開いて座り、片方の足は体側に引き寄せます。腕を頭上にまっすぐ伸ばし、曲げた足側の手を反対の手で引っ張りながら伸ばしている足の方へ体を倒しましょう。反対側も同様に行います。 |
ストレッチにはコツがあります。そのコツを抑えるだけで野球肘の予防効果をアップさせることができます。せっかくストレッチを行うのですから次に紹介するポイントを守って、より効果的なストレッチを行いましょう。
ストレッチをする時に気を付けるポイント
第一に、ストレッチの動作はゆっくり行いましょう。急に関節を伸ばすと、痛めてしまうこともあります。具体的には、1つの部位を伸ばすのに20秒程度かけるのが理想的です。
加えて、ストレッチをしてすぐに激しい動きをするのはNGです。緊張がゆるんだ関節を急に動かすと思わぬケガにつながりますから、軽い運動を行ってから練習を始めてくださいね。
野球肘治療後のストレッチは専門家に相談する
ストレッチは関節の可動域を広げるために重要です。ただし、野球肘の治療後にストレッチを始める場合は、医師の指示に従って行うようにしましょう。
また、リハビリにストレッチのメニューが加えられた場合、専門家の指導のもとで行うことも大切です。安易な自己判断で野球肘を悪化させることがないように気を付けてください。
まとめ・野球肘をスチレッチで予防して選手生命を伸ばす
野球の投球は全身で行うことが理想で、手だけの力で投げ続けると、野球肘発症の引き金となってしまいます。練習前に時間をかけてストレッチを行うことで、野球肘の予防だけでなく、練習後の疲労も軽減できるでしょう。
野球肘の原因は肘の使い過ぎです。最初から強く投げたり、いきなり投球するのではなく準備が必要です。プレーや練習前、練習後には入念なストレッチを行うことが必要です。
練習計画に前後のストレッチを取り入れて野球肘を予防しましょう。
それでも肘の違和感がある、痛みがあるというような場合は重症化を防ぐためにも肘を安静にし、早めに医療機関を受診しましょう。せっかくの才能ですから伸ばすためには身体の手入れが一番の練習だとご理解ください。
以上、野球肘を予防する!ストレッチで選手生命を伸ばすと題して説明させていただきました。参考になれば幸いです。
当院の再生医療は、スポーツ選手のパフォーマンス(QOL)を維持する治療を推進しています