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糖尿病の初期症状とは|予防・改善からセルフチェック方法まで現役医師が解説

「もしかして自分も糖尿病なのでは?」
「糖尿病の初期症状を詳しく知りたい」
このような不安を抱えている方は多いでしょう。
糖尿病は初期段階では自覚症状が乏しく、気づかないうちに進行しているケースも少なくありません。
しかし、早期に異変を察知して生活習慣を見直せば、重症化や合併症を防げます。
本記事では、糖尿病に見られる代表的な初期症状やセルフチェックのポイント、早めに受診すべきサインについてわかりやすく解説します。
初期症状を理解すれば、自分や家族の健康を守るための適切な行動につなげられますので最後までご覧ください。
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目次
糖尿病とは?初期症状を理解するための基礎知識
糖尿病は、膵臓から分泌されるインスリンの働きが不十分になり、血液中のブドウ糖(血糖)が増加する病気です。インスリンは血糖値を一定の範囲に保つ役割を担っています。
高血糖状態が続くと血管が傷つき、心臓病、失明、腎不全、足の切断などの合併症やリスクが高まります。
糖尿病は以下の4つに分類されます。
1型糖尿病 |
・膵臓からインスリンがほとんど分泌されず血糖値が高くなる ・自己免疫反応などによりインスリンを分泌する機能が失われることで発症する |
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2型糖尿病 |
・インスリン分泌低下やインスリン抵抗性によって血糖値が高くなる ・遺伝的要因に加え、食べ過ぎ・運動不足・肥満など生活習慣の影響で発症する |
その他の病気や治療薬による糖尿病 |
・他の病気や治療薬の影響で血糖値が上昇し糖尿病を発症する場合がある ・ステロイド薬などの薬剤や特定の疾患が血糖値上昇を引き起こすことで発症する |
妊娠糖尿病 |
・妊娠中に初めて確認される ・妊娠によるホルモン変化でインスリンが効きにくくなることが原因で発症する |
参考:糖尿病ってなに?|糖尿病情報センター(文献1)
これら4種類の糖尿病は原因や特徴が異なるため、正しい理解と適切な管理や治療が重要です。
糖尿病の初期症状
糖尿病の主な初期症状は以下のとおりです。
- 体重が減る
- のどが渇きやすくなる
- 尿の回数が増える
- 疲れやすくなる
- 目がかすむ
- 爪の色や形に変化が現れる
- 足がつるなどの症状が見られる
- 感染症にかかりやすくなる
- 空腹感を感じやすくなる
自身に当てはまる症状がないか、糖尿病の初期症状をそれぞれ詳しく見ていきましょう。
体重が減る
糖尿病では体重が減少する場合があります。
原因は、インスリンの働きが不十分になり、細胞にブドウ糖を取り込んでエネルギーとして利用する機能が低下するためです。
エネルギー不足を補うため、脂肪や筋肉を分解してエネルギー源とする結果、体重が減少します。
さらに、多尿による体液の喪失も体重減少を引き起こす要因です。
のどが渇きやすくなる
糖尿病の症状の一つにのどの渇きがあります。
血糖値が高くなることによって体内の水分バランスが崩れ、多尿状態が引き起こされるためです。
高血糖の状態では、腎臓が血液中の余分な糖を排出しようとし、その際に大量の水分も失われるため、体内の水分が不足してのどが渇きやすくなります。
喉の渇きが続くと水分摂取量が増え、トイレに行く回数も増加します。
尿の回数が増える
糖尿病では頻尿の症状が見られます。
血糖値が高くなると、余分な糖を排出するために、大量の水分が必要です。
さらに、尿の量や回数が増えるだけでなく、強い喉の渇きも引き起こされます。
多尿は身体から水分が多く失われるため、脱水状態にもつながりやすくなります。
疲れやすくなる
糖尿病では疲れやすくなることがあります。
インスリンが十分に働かず、糖分がエネルギー源として細胞に取り込まれにくくなるためです。
結果として、体がエネルギー不足に陥り、疲労を感じやすくなります。
さらに、高血糖状態が続くと、血液の循環が悪化し、酸素や栄養が体の隅々まで行き渡りにくくなることも疲労の一因です。
目がかすむ
糖尿病の症状で目がかすむ場合があります。
高血糖が続いて水晶体や目の血管が変化するためです。ブドウ糖が増えると水晶体にソルビトール(糖アルコールの一種)がたまり、水分が引き寄せられて膨らみ、視界がぼやけて目がかすみます。
高血糖は血管を傷つけて網膜にむくみを起こし、長く続くと血流が悪化して糖尿病網膜症へ進行し、視力低下の原因となります。(文献2)
爪の色や形に変化が現れる
糖尿病になると爪の色が黄色や茶色に変わり、厚みが増して巻き爪になりやすくなります。
高血糖が続くことで血管や神経が損傷し、末梢の血流や栄養供給が低下して、爪の成長サイクルが乱れるためです。
血流障害や代謝の変化により爪の新陳代謝が滞り、正常な形や色が保ちにくくなります。
足がつるなどの症状が見られる
糖尿病では、足がつる症状が見られます。
主な原因は糖尿病による神経障害(糖尿病性ニューロパチー)です。高血糖状態が長期間続くと、末梢神経が損傷を受け、過剰な興奮を引き起こします。
その結果、筋肉が正常に機能せず、けいれんを引き起こしやすくなります。
さらに、糖尿病の影響で血液循環が悪化し、筋肉への酸素や栄養供給が不十分になることも足がつる原因です。
感染症にかかりやすくなる
高血糖は白血球の働きを弱め、細菌やウイルスに対する防御力を低下させます。
糖尿病患者では血流が悪くなるため傷が治りにくい特徴もあります。
とくに皮膚や尿路、肺などの感染症が起こりやすく、足の傷が化膿しやすい糖尿病性足潰瘍や、肺炎、尿路感染症などが代表的な感染症です。
空腹感を感じやすくなる
インスリンの働きが不十分で血糖値がコントロールされないため、空腹感を感じやすくなります。
通常、食事から摂取した糖分はインスリンの働きで細胞に取り込まれ、エネルギー源として利用されます。
しかし、糖尿病ではこの仕組みが機能しないため、細胞がエネルギー不足の状態に陥りやすいです。
その結果、身体がエネルギーを求め、空腹感が強くなります。初期症状を感じたら早めに医療機関を受診するのが重要です。
糖尿病の初期症状セルフチェックリスト
糖尿病の症状が出ているかセルフチェックしてみましょう。
トイレの回数が増えた |
頻繁に喉が渇く |
手足のしびれや痛みがある |
めまいや立ちくらみをおこしやすい |
視力低下や目のかすみがある |
体重が急に減少している |
食べても満腹感が得られない |
上記の症状に当てはまる場合は糖尿病の可能性があるため、早めに医療機関を受診しましょう。
糖尿病の合併症一覧|進行すると現れる症状
糖尿病が進行すると現れる症状は以下のとおりです。
- 糖尿病性神経障害|手足しびれ、痛み
- 糖尿病網膜症|視野のぼやけ・視力低下
- 糖尿病性腎症|足のむくみ・腎臓の障害
- 糖尿病性自律神経障害|立ちくらみ・冷や汗などの症状
それぞれ詳しく解説します。
糖尿病性神経障害|手足しびれ、痛み
糖尿病が進行すると、手足にしびれや痛みが現れます。
これは糖尿病性神経障害と呼ばれ、末梢神経がダメージを受けると起こります。
症状が進行すると、痛みやしびれが悪化し、手足の感覚が鈍くなるため、傷や感染に気づきにくいです。
これが原因で、傷口が悪化しやすく、最終的には潰瘍や壊疽を引き起こすリスクが高まります。
糖尿病網膜症|視野のぼやけ・視力低下
進行すると、目に影響を及ぼす糖尿病性網膜症が出現する場合があります。
糖尿病網膜症は、血糖値の高い状態が続くと、網膜の血管が損傷を受け、視力に障害をもたらす疾患です。
初期段階では自覚症状は少ないものの、進行すると視力低下、視野のぼやけ、飛蚊症などの症状が現れます。
さらに重症化すると、網膜剥離や硝子体出血などが引き起こされ、失明するリスクが高いです。
糖尿病性腎症|足のむくみ・腎臓の障害
糖尿病が進行すると、腎臓がダメージを受ける糖尿病性腎症が現れる場合があります。
これは糖尿病によって血糖値が高い状態が続き、腎臓の血管が傷つけられるためです。
腎臓は血液をろ過して老廃物を排出する役割がありますが、腎機能が低下するとこの機能がうまく働かなくなります。
その結果、足のむくみや疲労感、尿量の変化などが見られ、進行すると血液中に老廃物が蓄積される尿毒症に至る可能性があります。
糖尿病性自律神経障害|立ちくらみ・冷や汗などの症状
糖尿病は、自律神経障害を合併する場合があります。
自律神経は、心臓、消化器、呼吸器、血管などの器官を調整する重要な神経です。
高血糖によって神経が損傷すると調整機能が低下し、以下の症状が現れます。
- 立ちくらみ
- 冷や汗
- 消化不良
- 便秘
- 下痢
- 頻尿
- 失禁
これらの症状は、日常生活に大きな影響を与えます。
糖尿病の初期症状の段階は治せる?
糖尿病は初期段階であっても完治が難しい病気です。
しかし、早い段階で医療機関を受診して以下の方法を行うと、進行や合併症のリスクを抑えられます。
- 食事療法
- 運動療法
- 生活習慣の改善
- 薬物療法
- 再生医療
医師の指導のもと自身にあった適切な治療を始めて、糖尿病の進行を防ぎましょう。
糖尿病を予防・改善する方法
糖尿病を予防・改善する方法は以下の表のとおりです。
食事療法 |
・食事は野菜を多く取り入れ規則正しい時間に摂り、間食を控える ・1日に必要なエネルギー量は、男性は2,200±200kcal、活動量の少ない成人女性の場合は、1,400〜2,000kcalが目安(文献3) ・摂取カロリーを適正に保ち、栄養バランスの取れた食事を一日三食規則的に摂ることが大切 |
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運動療法 |
・運動は糖の消費を促す ・運動の目安は週100分以上の有酸素運動に筋力トレーニングを組み合わせる(文献4) ・筋肉量を増やして糖の取り込みを高めることでインスリンの作用を強められる |
生活習慣の改善 |
・肥満の改善や禁煙、十分な睡眠やストレス管理は糖尿病の予防や治療に効果的 ・体重を減らすとインスリンの働きが高まり、血糖値の安定化や合併症予防につながる ・禁煙や睡眠改善により血流やホルモンバランスが整い、神経障害や心血管リスクを下げられる(文献5) |
薬物療法 |
・血糖値を下げる薬には経口薬と注射薬の2種類がある ・経口薬は作用の違いにより5つの種類に分類される ・注射薬はインスリン注射とGLP-1受容体作動薬の2つに分類される |
再生医療 |
・再生医療は、弱った膵臓に脂肪由来の幹細胞を投与して、血糖値の安定を目指す治療 ・副作用も少なく、身体への負担が少ないのが特徴 |
糖尿病の初期症状のサインを見逃さず、早い段階から改善予防に取り組みましょう。
当院「リペアセルクリニック」で提供している再生医療については、以下の記事をご覧ください。
糖尿病の初期症状を理解して早期治療を始めよう
糖尿病は、慢性的に血糖値が高い状態が継続する疾患です。
のどの渇きや頻尿、足がつるなどの初期症状を放置して血糖値が高い状態が継続すると、糖尿病性神経障害や網膜症、腎症などのリスクにつながります。
症状が現れた際は放置せず、速やかに医療機関を受診しましょう。
糖尿病の治療法には食事や運動、生活習慣の改善や薬物による治療のほか、再生医療の選択肢もあります。
再生医療について、さらに詳しく知りたい方は以下のページをご覧ください。メール相談やオンラインカウンセリングも承っておりますのでご利用ください。

糖尿病のお悩みに対する新しい治療法があります。
糖尿病の初期症状に関するよくある質問
糖尿病の自覚症状が出たらもう手遅れですか?
糖尿病の自覚症状が出たからといって、必ずしも手遅れではありません。
しかし、自覚症状が現れる段階では、血糖値がすでに高くなっている可能性があり、早期治療が重要です。
糖尿病は初期段階では自覚症状がほとんどないため、わずかな症状でも早期に医療機関を受診しましょう。
50代女性で糖尿病の初期症状は何がありますか?
50代女性の糖尿病の初期症状は、のどの渇きや尿の増加、体のだるさや体重減少などがあります。
詳しくは以下の記事で解説していますので参考にしてみてください。
参考文献
(文献1)
糖尿病って何?|糖尿病情報センター
(文献2)
糖尿病網膜症|日本眼科学会
(文献3)
実践食育ナビ|農林水産省
(文献4)
4章運動療法|日本糖尿病学会
(文献5)
喫煙と糖尿病|厚生労働省