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糖尿病の治療|運動してはいけない人と、ダメではないが制限が付く人

糖尿病|運動してはいけない人と制限付なら可能な人

糖尿病と診断されてしまったらどうしますか?

当然、治したい、その治療に取り組みたいと思って当然です。糖尿病の治療は「食事療法」と「運動療法」という二つの治療方法があります。

どちらにも取り組むべきで、どちらかに偏らないことが大切になります。治療には、どちらも必要ということです。

食事療法は、カロリーを制限する治療法であり、運動療法は、その名の通り、運動を行う治療法です。実は、この運動療法について糖尿病の治療であっても運動をしてはいけないケースがあるのです。

糖尿病の人にこんな話をすると「自分は運動しても良いのだろうか」と不安になることでしょう。

そこで「糖尿病で運動療法を行ってはいけない人」とは、どんな人か、その中でも「制限付きなら可能」という場合もあり、それはどんな人か」について解説しましょう。

糖尿病、運動療法ウォーキング

糖尿病の運動療法|やってはいけない人

糖尿病治療の基本は先にも記しましたが「食事療法」と「運動療法」です。しかし、運動の種類や強度によっては「血圧を上げるなどのリスクがある」ものがあります。

運動療法を始める前に、自分自身が運動療法を禁忌(やってはいけない)とされているかどうかを主治医に確認する必要があります。

以下に当てはまる場合は、運動療法が難しいことがあります。

  • 運動療法が難しい人

  • ・増殖網膜症・増殖前網膜症を発症している
  • ・レーザー光凝固後3〜6カ月以内の網膜症を発症している
  • ・第3B期(顕性腎症後期)以降の腎症(血清クレアチニン:男性2.5mg/dl以上、女性2.0mg/dl以上)
  • ・心筋梗塞など重篤な心血管系障害がある
  • ・高度の糖尿病自律神経障害がある
  • ・1型糖尿病でケトーシスがある
  • ・代謝コントロールが極端に悪い(空腹時血糖値≧250mg/dlまたは尿ケトン体中等度以上陽性)
  • ・急性感染症を発症している

※禁忌とは:悪化したり、副作用の危険性があるため、してはいけない、すべきではないこと。

糖尿病の運動療法|制限付きなら良い人

運動することを禁忌とはされていないものの、制限や注意をすれば運動療法として取り組んで良いという一部制限付きの糖尿病患者もおられます。いずれの療法も医師と相談し、その指導のもと運動をうまく取り入れることができれば糖尿病治療に効果的です。

では、どのような人が対象になるのか見ていきましょう。

インスリン治療中の人

何度も申し上げますが糖尿病の治療は「食事療法と運動療法」の両輪が基本です。それでも改善しない場合は「薬物治療」に進むことになります。糖尿病の薬物療法として、体の外からインスリンを補う「インスリン治療」というものがあります。

インスリンによる薬物治療を受けている場合、血糖値が低い、寝起きや食前に運動をすると、空腹時ということで低血糖を引き起こす可能性があります。その意味で運動は、血糖値が高くなる食後に行うのが理想です。

いずれにしても薬物治療中の運動は、主治医等に適切な指示を受けるようしてください。

  • 薬物治療中の運動は慎重に行う必要があります
  • 運動は、空腹時にご注意ください。血糖値が低い寝起きや、食事前の運動は低血糖を起こしやすいため、血糖値が高くなる食後に行うようにしましょう。

単純網膜症の人

糖尿病の合併症の1つで恐れられている症状に「糖尿病網膜症」があります。糖尿病網膜症は病気の進行度によって単純糖尿病網膜症・増殖前網膜症・増殖網膜症に分かれます。

糖尿病網膜症は血圧の変動によって出血する可能性があります。また低血糖になることで眼底出血が引き起こされることもわかっているため注意が必要です。軽度の場合は運動療法を取り入れても差し支えありませんが、状況によっては運動が制限されたり、禁止されることがあります。

  • 単純糖尿病網膜症とは糖尿病網膜症の初期段階です。後述する増殖前網膜症と増殖網膜症と混同しないようにしましょう。

増殖前網膜症・増殖網膜症を患っている人

増殖前網膜症の場合は血圧におよぼす影響の少ない軽度の運動にとどめます。

頭を強く振る、頭を下げる、力むといったことは血圧を上げ、頭部への血流を増やすため、眼底出血などを起こす可能性があります。

  • 増殖網膜症:運動以外、日常生活でも力んだり、息をこらえたり、重量物を持ち上げるような行為は避ける

糖尿病神経障害の人

糖尿病神経障害では、「感覚神経障害」と「自律神経障害」を招くことがあります。感覚神経障害の場合、足に負担をかけにくい「自転車エルゴメーター」や「水泳」などの運動が望ましいとされています。

  • 自律神経障害の場合:日常生活以外で運動を行うことは禁忌(禁止)

重篤な心血管障害や肺の病気を患っている人

心血管疾患がある方やそのリスクのある方が運動療法を行う際は負荷心電図などの評価が必要です。負荷心電図は運動負荷心電図ともいい、運動中の心電図を観察するものです。

  • どのくらいの運動なら問題がないのか?あらかじめチェックする

腎症を患っている人

「糖尿病性腎症」は病期によって5段階にわかれます。従来は糖尿病性腎症の患者の方に対して運動を制限する傾向がありました。

しかし、適度な運動は持久力などの運動耐容能を向上させ、脂質代謝などを改善させることから、現在は病期に応じた運動を行うことを推奨しています。

  • 第3期B(顕性腎症後期)まで進行した場合:運動療法を制限する必要がある。

ケトーシス状態の人

空腹時血糖値が250mg/dl以上(高血糖)、ケトーシス状態の場合は運動することは制限されます。ケトーシスとは血中のケトン体が増加し、尿中のケトン体が中等度以上のことをいいます。

  • 高血糖の状態:運動すると糖代謝が悪化。食事療法と薬物療法で血糖値をコントロールしながら運動を行う。

運動療法の前に医師によるメディカルチェックが必要

ここまで説明したように、糖尿病患者の方が運動療法を行う際、やり方を間違えると事故や症状を悪化させることがあります。そのため運動療法を始める前には医師によるメディカルチェックを受けることが大切です。

  • 糖尿病患者の運動療法を行う際のメディカルチェック基本項目

  • ・問診:自覚症状
  •   → 糖尿病以外で治療中の病気や服薬中の薬
  •   → 家族の既往歴
  •   → 現在の生活状態や運動習慣
  • ・血液検査:空腹時血糖
  •   →HbA1c
  • ・診察:内科診察
  •   → 血圧
  •   → 脈拍数
  •   → 身体計測(身長、体重、腹囲)
  •   → 肥満度
  • ・尿検査:蛋白・ケトン体
  • ・心電図:安静時心電図

運動療法を開始後も、少なくとも年に一回は医師によるメディカルチェックを受けましょう。

まとめ・糖尿病|運動してはいけない人と制限付なら可能な人

今回は、糖尿病で運動療法を行ってはいけないケースと、制限付きであれば運動を行っても良いケースについて説明しました。

また、運動療法の実施にあたってはメディアカルチェックが大切であることもご説明しました。

尚、禁忌とは、単なる禁止という意味ではなく、それを行うことで悪化させたり、副作用などのリスクがあるという意味で用いられています。

糖尿病の治療は自己判断で行うのではなく医療機関の指導を受けて適切に行うようにしましょう。今回は、糖尿病の治療で運動療法が禁忌とされる患者さんや、運動制限が必要な患者さんについてご説明しました。

糖尿病は、治らない病気と言われています。しかし、近年「再生医療」という新しい医療分野が発達してきたことにより、かなり症状の改善が図られたり、恐ろしい合併症を避けられるようになってきました。

糖尿病の再生医療に興味がある方は以下を参考にしてください。

 

No.S034

監修:医師 加藤 秀一

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