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糖尿病の食事で食べてはいけない!ダメなもの

糖尿病の食事で食べてはいけないもの

糖尿病の食事療法は、血糖値を正常にコントロールしながら、合併症の発症や悪化を防止することが目的になります

糖尿病だからと、「食べてはいけないもの」というものは特にありません。それよりも、エネルギーや栄養素をバランスよく食事に取り入れることが大切なのです。

糖尿病で食べてはいけない
糖尿病で食べてはいけない

糖尿病の合併症を防ぐことが重要です

糖尿病は、進行すると様々な合併症を引き起こす恐れがある病気です。「失明の原因となる糖尿病性網膜症」、「人工透析の原因となる糖尿病性腎症」など、日常生活に多大な影響を及ぼす症状が出てしまう人も沢山います。

また、血糖値のコントロールだけでなく、「高血圧や脂質異常症などの動脈硬化の原因となる病気」も糖尿病の悪化に繋がる可能性がありますこのため、糖尿病の治療では血糖値の上昇だけでなく、高血圧や脂質異常症を防ぐために食事のバランスを整える必要があるのです。

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1日のエネルギー量を見直してみましょう

糖尿病になった人の食事について、まずは1日のエネルギー量が多すぎないか?それとも少なすぎていないか?確かめてみましょう。

手順としては、自分にとっての標準体重(太り過ぎず・やせ過ぎていない最も健康とされる体重)から、1日に必要なエネルギー量を求めていきます。標準体重は次の式に自分の身長をあてはめて計算すれば求めることができます。

BMI 標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22

次に、標準体重に自分の日常生活の身体活動レベルをかけることで自分の適性エネルギー量を求めることができます。身体活動レベルの目安と、適性エネルギー量を求める計算方法は次の通りです。

身体活動レベル

デスクワーク、主婦など  25~30×標準体重(kg)=1日の適性エネルギー量(kcal)
立ち仕事が多い 30~35×標準体重(kg)=1日の適性エネルギー量(kcal)
力仕事が多い 35×標準体重(kg)=1日の適性エネルギー量(kcal)

1日の適性エネルギー量は年齢や性別によっても変わってきます。本記事の記載はあくまでも目安の量と考えて、詳しく知りたい場合は主治医、管理栄養士、糖尿病療養指導士に相談しましょう。

食物繊維が多い食品を取り入れましょう

糖尿病改善のためには、食物繊維が含まれる食品を多く摂るように心がけましょう。食物繊維には、食後の血糖値上昇を抑え、便通を改善させる効果があります。

さらに、水に溶ける食物繊維(水溶性食物繊維)には、血中コレステロールの上昇を抑える効果があり、糖尿病の治療にとって重要となります。食物繊維の目標は、18~64歳においては、男性は1日21g以上、女性は1日18g以上といわれています。(日本人の食事摂取基準2020年版より)

食物繊維を多く含む食品には、野菜(特に根菜類)、海藻、キノコ、大豆、果物(糖質も多いので食べ過ぎに注意が必要)が挙げられるので、日々の食事に取り入れてみましょう。

また、水に溶ける食物繊維(水溶性食物繊維)を多く含む食品は、カボチャ、オートミール、大根、大豆、キノコ、果物などが挙げられます。

食物繊維の目標(18~64歳)
・男性 1日21g以上
・女性 女性は1日18g以上

 

糖尿病改善
・食物繊維 野菜(特に根菜類)、海藻、キノコ、大豆、果物(糖分の過剰摂取に注意)
・水溶性食物繊維が多い カボチャ、オートミール、大根、大豆、キノコ、果物(糖分の過剰摂取に注意)

 

 

極端な糖質制限はかえって悪影響に

食事の栄養素のうち、血糖値に影響を及ぼすのは炭水化物です。炭水化物には、食後の血糖値を上昇させ、エネルギーとなる糖質と、ほとんど消化されず血糖値の上昇を抑え、エネルギーにならない食物繊維があります。

そのため、血糖値をコントロールするためには、食事中にどれだけ糖質が含まれるかを知っておくのは重要です。しかし、だからといって糖質制限ダイエットや糖質制限食を行うのはお勧めしません。

極端な糖質制限は腎症や動脈硬化に繋がる恐れがあり、逆効果となってしまうためです。糖質を全く食べないのではなく、ご飯やパンを食べる前に食物繊維の多い野菜を食べるなど、糖質を多く食べ過ぎないようにバランスを整える、と考えましょう。

■塩分のとり過ぎに注意しましょう

高血圧を予防するために、塩分のとり過ぎには注意しましょう。高血圧があると、動脈硬化の原因となり、糖尿病の合併症が進行しやすくなります。

塩分の適正な量として、男性は1日8g未満、女性は1日7g未満といわれています。ただし、高血圧症や腎症がある人の場合は1日6g未満が良いとされているので、気になる人は主治医に相談しましょう。

塩分の多い食品には、肉や魚の加工食品、漬物や佃煮などが挙げられます。なるべく食べないようにメニューを変更するか、少しの量だけ食べるようにしましょう。

塩分摂取目安( 取り過ぎは高血圧 ⇒ 合併症の危険性増 )
・男性 1日あたり8g未満
・女性 1日あたり7g未満
・高血圧症や腎症がある場合 1日あたり6g未満 (男女とも)

 

■脂質のとり過ぎに注意しましょう

脂質が多過ぎる食事は、脂質異常症を引き起こす恐れがあり、動脈硬化の原因となります。

脂質には、血液中の悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を上昇させる飽和脂肪酸と、逆に悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を下げる不飽和脂肪酸があります。

脂質異常症の予防には、脂質の中でも飽和脂肪酸の多い食品を控えめにし、不飽和脂肪酸の多い食品に置き換えをすることが重要になります。飽和脂肪酸の多い食品には肉、卵、チーズなどが挙げられます。

不飽和脂肪酸は魚や大豆に多く含まれています。(EPAやDHAもこれにあたります。)肉料理中心の食生活になっている人は、魚や大豆のメニューを取り入れてみましょう。

■糖尿病の食事で食べてはいけないもの/まとめ

糖尿病の食事においては、エネルギー量の見直しを行い、食物繊維を多くとるように心がけましょう。また、塩分、脂質をとり過ぎないようにして動脈硬化を防止するのも大切です。

急激な食事制限はかえって糖尿病の進行を悪化させる可能性があるので、あくまでバランスのとれた食事をする、と考えるようにしていきましょう。

また、本記事の内容はあくまでも目安となるものです。既に糖尿病の合併症がある人は症状によって適正な栄養素の量が変わってきますので、必ず主治医に相談するようにしてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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No.S028

監修:医師 加藤 秀一

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