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腰椎椎間板ヘルニアのストレッチ5選!悪化・再発防止になる方法を医師が解説
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腰椎椎間板ヘルニアの症状に悩まされた経験がある方は、このような不安や疑問があるかもしれません。
- 「腰椎椎間板ヘルニアが再発しないか不安……」
- 「腰のヘルニアの再発を予防する方法はないの?」
不良姿勢や腰に負担のかかる動作を繰り返すことで起こる腰椎椎間板ヘルニアは、手術で症状が改善しても再発する可能性があります。再発を予防するには、正しい姿勢を保つために身体の柔軟性を保ち、腰に負担をかけないことが重要です。
本記事では、腰椎椎間板ヘルニアの再発予防に大切なストレッチの方法を5つ紹介します。自宅で簡単にできる方法なので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
腰椎椎間板ヘルニアにおすすめのストレッチ5選【悪化・再発防止】
背骨は部位によって以下に分かれており、それぞれ連動して動いています。
- 腰椎(腰の位置の背骨)
- 胸椎(胸の位置の背骨)
- 頸椎(首の位置の背骨)
そして腰椎の下には骨盤があり、背骨の動きは股関節にも大きく関係しています。
たとえば、股関節が固くなって十分に曲がらなくなると、腰椎がその分の動きを補おうとするのです。腰椎が過剰に曲がると椎間板へのストレスが強まるため、ヘルニアのリスクを高めてしまいます。
このように、腰椎にかかるストレスを減らすには、背骨や股関節の柔軟性を高めることが重要です。ここでは、腰椎椎間板ヘルニアにおすすめのストレッチをご紹介します。
前提として、自己判断でのストレッチは症状を悪化させる恐れがあるので、心配な方は医師に相談してから行いましょう。
\まずは当院にお問い合わせください/
1.股関節のストレッチ
まずは股関節を曲げるストレッチをご紹介します。
1. あお向けに寝る
2. 右足を両手で抱えて、できる限り胸に近づけ股関節を曲げる
3. できるだけ股関節を曲げた状態を30秒キープする
4. 左足も同様に行う
股関節を深く曲げると腰椎も連動して動くため、痛みが出ない範囲で行いましょう。
2.ハムストリングスのストレッチ
太ももの裏側には、ハムストリングスと呼ばれる筋肉がついています。
ハムストリングスが固くなると股関節や骨盤がスムーズに動かなくなるため、腰椎に負担がかかりやすくなります。
ここでは、ハムストリングスのストレッチ方法についてみていきましょう。
1. あお向けに寝る
2. 膝をできるだけ伸ばした状態で右足を抱えてお腹に近づける
3. 太ももの裏が伸びるのを感じた状態で30秒キープする
4. 左足も同様に行う
足を抱えにくいときは、バスタオルを足の裏に引っ掛けて行うとストレッチしやすいです。
3.背骨を反らすストレッチ
背骨を連動させてスムーズに動かすために、ここでは背中全体をゆっくり反らすストレッチをご紹介します。
1. うつ伏せに寝る
2. 両手をつけて身体をゆっくり起こす
3. 首、背中、腰と順番に反るようなイメージで、できる限り反らした状態を30秒キープする
痛みの出ない範囲でゆっくりストレッチをしましょう。
4.背骨をひねるストレッチ
背骨は曲げ伸ばしだけでなく、回旋する動きも必要です。ここでは、背骨をスムーズに回旋するためのストレッチをご紹介します。
1. あお向けに寝て両膝を立てる
2. 両膝をゆっくり右に倒す
3. 倒しきった状態で30秒キープする
4. 左も同様に行う
勢いよく倒すと腰に負担がかかるので、ゆっくり行うのがポイントです。
5.胸椎のストレッチ
胸椎の動きが制限されると、その分腰椎の負担が増え、ストレスがかかりやすくなります。ここでは、胸椎の柔軟性を高めるストレッチをご紹介します。
1. 左半身を下にして横向きに寝る(両膝は軽く曲げた状態にする)
2. 両手を「前ならえ」のようにまっすぐ伸ばした状態で手を合わせる
3. 胸を開くように右手をゆっくり動かす
4. 右手の動きに合わせて顔も右へ回旋させて30秒キープする
5. 左側も同様に行う
胸を開いたときに床に手がつかなくても良いので、痛みのない範囲で動かしましょう。
腰椎椎間板ヘルニアの再発予防にストレッチがおすすめな理由
腰椎椎間板ヘルニアの再発予防として、なぜストレッチがおすすめなのでしょうか。
ここでは、ストレッチがおすすめといわれる理由について解説します。再発の原因や再発率についてもご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
腰椎椎間板ヘルニアは改善後も再発の危険性があるから【再発率は術後2年で23%】
腰椎椎間板ヘルニアは、たとえ改善しても再発の恐れがあるため、その予防策としてストレッチが重要視されています。
腰椎椎間板ヘルニアの原因は、重量物の持ち上げやスポーツなどで、腰椎やその間にある椎間板(クッションのような役割がある組織)に繰り返し負担がかかることです。
治療によって症状が改善されたとしても、腰椎や椎間板の負担を減らさないと再発のリスクが残ります。腰椎椎間板ヘルニアの手術後の再発率は、術後2年で23%程度とされています。手術後も
痛みが続いていたり、術前のような症状が現れたりした場合は、再発の前兆の可能性があり注意が必要です。
このように、治療後のヘルニアの再発を防ぐためには、ストレッチを継続して腰の負担を軽減する必要があるのです。
胸椎椎間板ヘルニアの治療方法を詳しく知りたい方は、こちらの記事で解説しています。興味がある方はぜひご覧ください。
ストレッチにより腰椎の過剰な運動を防げるから
ストレッチによって筋肉の柔軟性が高まれば、腰椎のストレス軽減につながります。背骨や股関節が固くなると、腰椎が過剰に働いてしまい、椎間板にかかる負担が増加します。
腰椎の正常な運動を保つためには、ストレッチによって背骨や股関節の柔軟性を改善させることが大切です。腰椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげる方法をもっと知りたい方は、ぜひこちらも記事も参考にしてみてください。
腰椎椎間板ヘルニアでやってはいけないストレッチ
腰椎椎間板ヘルニアのストレッチを行う際は、腰を大きく丸めるような動作は避けましょう。
腰を過剰に丸めるような動作は椎間板にストレスがかかりやすく、ヘルニアの症状を悪化させる原因となります。
腰まわりの筋肉にも負担がかかりやすいので、ストレッチの際はできるだけ腰椎を曲げすぎないように心がけてください。
まとめ|腰椎椎間板ヘルニアの再発予防のストレッチは無理のない範囲でコツコツ続けよう
腰椎椎間板ヘルニアが改善したからといって、発症前と同じように生活していると再発の恐れがあります。
再発予防のためには、ストレッチを継続して背骨や股関節の柔軟性を保つことが大切です。ストレッチは1つの種目からでも良いので、できるだけ毎日取り組むようにしましょう。
また再発の前兆がある場合は、まずは整形外科を受診し、状態の確認を優先してください。
そして、どの程度の運動やストレッチをして良いのかなどを確認すると良いでしょう。ぜひ本記事を参考にして、腰椎椎間板ヘルニアの再発を予防し、腰痛のない元気で健康な生活を送りましょう。
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参照資料
病気がみえるvol.11 運動器・整形外科.MEDIC MEDIA,東京,2017,pp256-259.
日本整形外科学会「腰椎椎間板ヘルニア」
Mindsガイドラインライブラリ
整形外科リハビリテーション.羊土社,東京,2012,pp417-426.