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ヘルニアにおすすめの筋トレ方法!効果や悪化しないやり方を医師が解説

「ヘルニアに効果的な筋トレはある?」「ヘルニアは筋トレをしないほうがいい?」と疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。
ヘルニアと診断されると、運動や筋トレを控えるべきか不安になる方も多いかもしれません。
結論からいえば、適切な筋トレを行うことでヘルニアの症状の改善・緩和が期待できます。
この記事では、ヘルニアの負担を軽減する筋トレメニューや、筋トレを行うときの注意点を解説します。
記事を最後まで読めば、ヘルニアに効果的な筋トレ方法が分かり、症状の緩和・改善を目指せるでしょう。
また、当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による治療も行っております。ヘルニアの辛い症状でお悩みの方は、お気軽に「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてご相談ください。
目次
【目的別】ヘルニアの改善に効果的な筋トレメニュー
筋トレを行う際には、自分の目的にあったメニュー選びが重要です。ヘルニア改善に役立つ筋トレメニューは以下の通りです。
種類 |
効果 |
負担の大きさ |
おすすめの運動 |
---|---|---|---|
体幹トレーニング |
腰を支える筋力を強化し、負担を軽減 |
低い |
・ドローイン ・プランク ・バードドッグ |
下半身トレーニング |
下半身を鍛えて腰の負担を分散 |
中程度 |
・ヒップリフト ・レッグプレス ・ウォールシット |
本章を参考に、自分に必要な筋トレメニューを取り入れてみましょう。
体幹を安定させる筋トレメニュー
ヘルニアの症状を軽減するには、体幹を鍛えることが重要です。
体幹を鍛える具体的な筋トレメニューの一例は以下のとおりです。
トレーニング名 |
やり方 |
ポイント |
---|---|---|
ドローイン |
仰向けで膝を立て、深く息を吸ったあと、息を吐いてお腹をへこませてキープ |
1回5秒キープし10回繰り返す |
プランク |
うつ伏せで肘をつき、体を一直線にキープ |
20〜30秒キープを目安に実施 |
バードドッグ |
四つん這いの状態で対角の手足を伸ばす |
片側10回ずつゆっくり行う |
これらの運動は、腰に大きな負担をかけずに体幹を鍛えられるため、ヘルニアの改善に適しています。
最初は短時間から始め、徐々に時間を延ばしていくと良いでしょう。
下半身を強化する筋トレメニュー
下半身の筋力を強化すると、腰への負担を分散できるため、ヘルニアの痛みを軽減しやすくなります。
とくに、太ももやお尻の筋肉を鍛える運動が効果的です。
下半身トレーニングメニューの一例は以下のとおりです。
トレーニング名 |
やり方 |
ポイント |
---|---|---|
ヒップリフト |
仰向けで膝を立て、お尻を持ち上げる |
お尻を締めながらゆっくり上げ下げ |
レッグプレス |
ジムのマシンを使い、足でプレートを押す |
負荷は軽めで、ゆっくり押し戻す |
ウォールシット |
壁にもたれながら膝を90度に曲げ静止 |
20〜30秒キープし3セット実施 |
これらの運動は、スクワットのように腰に大きな負担をかけず、効率よく筋力を鍛えられます。
無理のない範囲で継続し、ヘルニアの痛みを和らげる習慣を作りましょう。
ヘルニアの症状は筋トレで緩和できる可能性がある
適切なトレーニングによって筋力を強化すれば、椎間板への負担を軽減し、ヘルニアの症状を改善できる可能性があります。
また、血行促進により、ヘルニアの症状の回復を促す効果も期待できます。
ただし、過度な負荷は症状を悪化させる可能性もあるため、やり方に注意しましょう。
本章では、筋トレによるヘルニアの症状改善の効果について解説します。
筋力の強化で椎間板への負担軽減が期待できる
ヘルニアの症状を和らげるためには、腰を支える筋肉を鍛えることが重要です。
腹筋や背筋の強化によって、椎間板への負担を分散させ、痛みの軽減が期待できます。
ヘルニアの症状改善を目指して筋トレをする場合は、腰に過度な負担をかけず体幹や下半身を鍛えられるメニューを取り入れましょう。
また、最初は軽めの負荷から始めるなど、正しい筋トレを習慣化し、椎間板への負担を減らすことが大切です。
血流が良くなりヘルニアの回復が促進される
筋トレを行うと、血流が良くなりヘルニアの回復を助ける効果が期待できます。
血流が滞ると、筋肉が硬くなり、腰への負担が増えヘルニアが悪化する場合があります。
運動によって血流が改善されると、酸素や栄養が筋肉に行き渡りやすくなり、炎症の鎮静や組織の回復促進が期待できるでしょう。
ウォーキングやストレッチ、ヨガなど、血流を良くしながら無理なく筋力を鍛えられるトレーニングがおすすめです。
こうした運動は関節や筋肉に負担をかけにくく、継続しやすいというメリットもあります。
過度な負荷は症状を悪化させる可能性も
筋トレはヘルニアの症状を和らげる効果が期待できますが、過度な負荷をかけると逆効果になります。
とくに、重い負荷をかける筋トレや誤ったフォームでのトレーニングは、椎間板に余計な圧力をかけ、症状を悪化させる原因になります。
たとえば、バーベルを使ったスクワットやデッドリフトは、腰に大きな負担がかかるため注意が必要です。
また、反動をつけた腹筋運動や、腰を大きく反らす動作も、椎間板を圧迫しやすく、痛みを悪化させる可能性があります。
トレーニングを行う際は、まず低負荷のメニューから始め、体の状態を確認しながら徐々に強度を上げるのが理想的です。
痛みを感じたらすぐに中断し、無理なく続けられる範囲でトレーニングを進めましょう。
ヘルニアで筋トレを行うときの注意点
ヘルニアを抱えている場合、筋トレのやり方には十分な注意が必要です。
間違ったフォームや過度な負荷は、症状を悪化させる原因になります。
- 高負荷なスクワットやデッドリフト
- 腹筋運動(状態起こし)
- 腰を強く反らす運動
ここでは、避けるべきトレーニングとその理由について解説します。
高負荷なスクワットやデッドリフトは正しいフォームを意識する
スクワットやデッドリフトは全身を鍛える効果がある一方で、腰に大きな負担をかけるため注意が必要です。
ヘルニアの症状がある場合、無理な動作が炎症を悪化させる可能性があります。
とくに、重いバーベルを使用するスクワットやデッドリフトは、腰椎への圧力が強く、ヘルニアの症状を悪化させる原因になります。
これらの動作を行う際は、軽い負荷で正しいフォームの意識が大切です。
腰をしっかり支えられない場合は、マシンを使ったレッグプレスなどの代替運動を選ぶのが良いでしょう。
腹筋運動(上体起こし)は避ける
腹筋を鍛えるのは大切ですが、クランチやシットアップなどの状態起こしの動作は、腰への負担が大きいため注意が必要です。
とくに、勢いをつけた腹筋運動はNGです。
腰椎に強い圧力がかかり、痛みや炎症を引き起こす原因になります。
代わりに、ドローインやプランクといった体幹を安定させるトレーニングを取り入れると、安全に腹筋を強化できます。
腹筋を鍛えたい場合は、腰に負担をかけない方法を選び、無理のない範囲で継続しましょう。
腰を強く反らす運動は無理に続けない
腰を大きく反らす動作は、椎間板に過度な圧力をかけるため、ヘルニアの悪化につながる可能性があります。
とくに、ブリッジやバックエクステンションなどの運動は注意が必要です。
腰を反らしすぎると、椎間板が圧迫されて神経を刺激し、痛みが強くなる場合があります。
代わりに、軽いストレッチや腰に優しい体幹トレーニングを取り入れると良いでしょう。
痛みを感じた場合はすぐに運動を中止し、無理に続けないことが大切です。
ヘルニアの再発を防ぐための3つの対策
ヘルニアは症状が落ち着いても、再発のリスクは残ります。(文献1)
再発を防ぐためには、日常生活での姿勢や負担のかかり方に注意し、適切な筋トレやストレッチを取り入れることが大切です。
本章では、ヘルニアの再発を防ぐための具体的な対策を3つ紹介します。
- 普段から姿勢や腰への負荷に注意する
- 無理のない範囲で筋トレを習慣化する
- ストレッチで柔軟性もUPする
それぞれ詳しく解説するので、参考にしてください。
普段から姿勢や腰への負荷に注意する
ヘルニアの再発を防ぐには、普段から姿勢を意識しておくのも重要です。
猫背や反り腰などの悪い姿勢は、腰に過度な負担をかけ、再発の原因になります。
たとえば、デスクワーク中は背筋を伸ばし、椅子の背もたれを活用するなどの意識付けが大切です。
また、長時間同じ姿勢を続けると筋肉が硬くなるため、1時間に1回は立ち上がり、軽いストレッチを行うと良いでしょう。
また、重いものを持つときは、膝を使い、腰に負担をかけないよう注意してください。
ヘルニアの再発を防ぐポイントについては、以下の記事も参考にしていただければ幸いです。
無理のない範囲で筋トレを習慣化する
適度な筋トレを続けることで、腰を支える筋肉を強化し、ヘルニアの再発リスクの軽減に期待できます。(文献2)
ただし、無理な負荷をかけると逆効果になるため、自分に合ったメニュー選びが大切です。
おすすめは、体幹を鍛えるプランクやバードドッグです。
これらのトレーニングは、腰に負担をかけずに筋力を高められるため、初心者でも取り組みやすいでしょう。
また、下半身を鍛えるヒップリフトも、腰への負担を減らす効果が期待できます。
大切なのは、無理なく続けることです。週に数回、短時間でも良いので、習慣化する意識を持ちましょう。
ストレッチで柔軟性もUPする
筋肉の柔軟性が低下すると、腰への負担が増え、ヘルニアの再発リスクが高まります。
そこで、日常的にストレッチを取り入れ、筋肉を柔らかく保つことが重要です。
とくにおすすめなのが、ハムストリング(太もも裏)を伸ばすストレッチや、キャット&カウ(四つん這いで背中を丸めたり反らしたりする動作)です。
これらのストレッチは、腰周りの筋肉をほぐし、負担を軽減する効果があります。
筋肉を柔らかくすることで、腰を支える力が向上し、ヘルニアの再発を防ぎやすくなります。
ヘルニアに効果的なストレッチのやり方は、以下の記事を参考にしてみてください。
【関連記事】
頚椎ヘルニアに効くストレッチ5選!予防ポイントも解説【医師監修】
腰椎椎間板ヘルニアのストレッチ5選!悪化・再発防止になる方法を医師が解説
まとめ|ヘルニアで筋トレする際は無理のない範囲で行おう
ヘルニアの症状を緩和し、再発を防ぐには、適切な筋トレやストレッチを取り入れることが大切です。
とくに、体幹や下半身を鍛えると、腰への負担を軽減できます。ただし、誤ったトレーニングは症状を悪化させる原因になります。
無理をせず、正しい方法で筋トレを続けることが重要です。日常生活の姿勢や習慣にも気をつけながら、ヘルニアと上手に付き合っていきましょう。
また、当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による治療も行っております。
ヘルニアの手術後に、後遺症でお悩みの方は、お気軽に「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてご相談ください。
ヘルニアの筋トレに関するよくある質問
ヘルニアで筋トレはいつからできますか?
ヘルニアの回復状況によりますが、痛みがなくなり、日常生活に支障がない状態になってから始めるのが理想です。
一定の安静期間を設け、その後、医師やリハビリ専門家と相談しながら再開するのが安心でしょう。
体幹を鍛える軽めの運動から始めると、安全に筋力の回復に期待できます。
痛みが残っているうちに無理をすると、症状が悪化する恐れがあります。
焦らずに、軽いストレッチやウォーキングから始めることを意識しましょう。
ヘルニアでも筋トレマシンは使用できますか?
ヘルニアでも適切なマシンを選べば、安全に筋トレを行うことができます。
ただし、腰に負担がかかるマシンは避ける必要があります。
そのため、筋トレを行う際は、負荷を軽めに設定し、正しいフォームを意識することが重要です。
リペアセルクリニックは「再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。
ヘルニアの手術や術後のお悩みがある方は、お気軽に「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてご相談ください。
参考文献
一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会「腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン改訂第 3 版」
https://ssl.jssr.gr.jp/assets/file/member/topics/cervical_spine_200915.pdf (最終アクセス:2025年2月19日)
伊佐整形外科「腰椎椎間板ヘルニア(リハビリテーション)」
https://www.isaseikei.or.jp/img/disease/kosi/010.pdf (最終アクセス:2025年2月19日)