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MEDとPELD(PED)の違い|手術・リスク・費用を徹底比較!
腰椎椎間板ヘルニアの治療として注目されているMED(内視鏡下椎間板摘出術)とPELD(経皮的内視鏡下椎間板摘出術)は、いずれも内視鏡を用いた低侵襲手術です。
しかしながら、手術の方法や適応となる症状、術後の回復や合併症リスク、費用などに違いがあります。
本記事では、MEDとPELD(PED)の主な違いをわかりやすく整理して解説します。
椎間板ヘルニアの手術を検討している方は、自分に合った術式を選ぶための参考にしてください。
なお、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、MEDとPELD(PED)の後遺症治療の選択肢となっている再生医療に関する情報の提供と簡易オンライン診断を行っています。
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目次
MEDとPELD(PED)の違い
MEDとPELD(PED)の違いを項目ごとにまとめました。
| 項目 | MED | PELD |
|---|---|---|
| 手術 | 背部から16mm程度の切開。筋肉を押し分けて椎間板を摘出。全身麻酔が必要。 | 7mm程度の小切開から椎間孔経由で摘出。局所麻酔で実施が可能。 |
| 適応 | 重度のヘルニアや骨の切除が必要な場合、癒着のある複雑な症例にも対応可能。 | 軽〜中等度のヘルニアで骨切除を必要としない症例に適応。 |
| 手術後 | 術後に筋肉痛や張り感が残ることがある。回復にやや時間がかかる。 | 傷が小さく、術後の痛みや回復が軽度。当日または翌日から歩行可能。 |
| メリット | 術中に目で見える範囲を確保しやすく、再発例や複雑なケースにも対応可能。 | 低侵襲で回復が早く、高齢者や麻酔リスクがある患者にも適応可能。 |
| デメリット | 切開が大きく、PELDと比べて筋肉や骨への侵襲が大きい。全身麻酔が必要。 | 操作視野が狭く、高度な技術が必要。適応症例が限定される。 |
| 入院期間 | 約7日間の入院が必要。術後経過観察と安静が必要。 | 日帰りまたは1泊2日での退院が可能。 |
| 合併症リスク | 骨や筋肉の操作により神経損傷や硬膜損傷のリスクがある。 | 合併症リスクは低いものの、視認性制限による誤操作のリスクがある。 |
| 手術費用 | 保険適用で20〜30万円前後が目安。自由診療は少ない。 | 保険適用で20〜30万円前後が目安だが、先進医療機器使用で追加費用の可能性あり。 |
以下では、それぞれの項目について詳しく解説します。
手術の違い
MEDとPELD(PED)は、いずれも内視鏡を用いた低侵襲手術ですが、進入経路や切開の大きさ、術中に扱う組織に違いがあります。(文献1)
MEDは、背中側から皮膚を約16mm切開し、筒状の器具(ダイレーター)を用いて筋肉を押し分け、椎間板ヘルニアを摘出する手法です。
骨や靱帯を一部削る場合もあります。
一方、PELD(PED)は直径7mmの小さな切開から椎間孔を通して患部へアプローチする方法で、筋肉や骨への侵襲を最小限に抑えられるのが特徴です。
MEDが全身麻酔が一般的なのに対し、PELD(PED)は局所麻酔で行われることが多く、手術中に患者とコミュニケーションを取りながら進められる利点もあります。
以下の表にそれぞれの手術についてまとめたので、参考にしてみてください。
| 特徴 | PELD | MED | 従来の手術法 |
|---|---|---|---|
| 皮膚の切開の大きさ | 7mm程度 | 16mm程度 | 3〜4cm |
| 麻酔の方法 | 局所麻酔可能 | 全身麻酔 | 全身麻酔 |
| 手術の時間 | 1時間程度 | 2時間程度 | 1時間程度 |
| 術後の入院期間 | 日帰り可能 | 1週間程度 | 1週間程度 |
| 体に与える負担 | 軽い | 軽いがPELDに比べると骨や筋肉などに侵襲が大きい | 傷口が大きいため負担になる可能性あり |
適応の違い||どんな人・症状に向いている?
MEDとPELD(PED)は、いずれも椎間板ヘルニアに対する内視鏡手術ですが、対象となる患者の状態やヘルニアの形態によって適応が異なります。
MEDは骨の一部切除を必要とする中等度から重度のヘルニアや、突出範囲が広いタイプにも対応可能です。
また、癒着が強い例や複雑な解剖構造を伴う場合でも施術できます。
一方、PELD(PED)は、神経に接するように突出したヘルニアが明確に存在し、かつ骨の除去が不要なケースに向いています。
神経の圧迫が軽度から中等度で、椎間孔から安全にアプローチできる症例が理想です。
手術後の違い|傷の大きさ・痛み・回復
MEDは16mmほどの切開と筋肉の牽引が必要なため、術後に筋肉痛や張りを感じることがあります。
傷の小ささや痛みの少なさを重視する場合には、PELDの方が適しているでしょう。
PELD(PED)は、直径6〜8mmの小さな切開で行うため、筋肉や靱帯への負担が非常に少なく、術後の痛みも軽度に抑えられます。
手術直後からの起立・歩行も可能です。
MEDはやや大きな切開と組織剥離が伴うため、術後の痛みや違和感が数日続く場合があり、回復にもやや時間を要します。
PELDは体への侵襲が少ないため、術後の回復が早いのが特徴です。
当日や翌日の歩行が可能なケースもあり、早く社会復帰して日常生活への影響を最小限に抑えたい方に適しています。
メリットの違い
MEDは視野が広く、やや複雑な病変や癒着のあるケースにも対応できるのがメリットです。
再発例や重度のヘルニアにも柔軟に対処できます。
PELDは小さな切開で行われるため、身体への負担が少なく、術後の回復が早いことが最大のメリットです。
局所麻酔下で実施できる点から、高齢者や全身麻酔が困難な方にも適しています。
デメリットの違い
MEDには、切開が比較的大きく、PELDと比べて筋肉や骨への侵襲がやや大きいというデメリットがあります。
術後には筋肉痛や腰部の違和感が数日間残ることがあり、入院や安静期間もPELDより長くなる傾向があります。
また、手術には全身麻酔が必要となるため、高齢者や持病を抱える方にとっては負担となる場合がある点に留意しておきましょう。
一方、PELDは体への負担が少なく局所麻酔で実施可能ですが、適応症例が限定されています。
重度の椎間板ヘルニアや椎間孔が狭い場合は、適応外となる点に注意です。
さらに、操作範囲が狭いため術中の視野確保が難しく、術者の高度な技術が必要とされます。
入院期間の違い
MEDは切開部がやや大きく、筋肉や骨に対する操作も加わるため、術後に安静期間が必要です。
したがって、一般的に平均7日程度の入院が必要とされており、術後の経過観察や痛みの管理を慎重に行う必要があります。
一方、PELD(PED)は体への侵襲が非常に少なく、術後の痛みも軽度に抑えられるため、日帰りまたは1泊2日での退院が可能です。
合併症リスクの違い
MEDでは比較的広い術野を確保するべく、筋肉や骨の操作が必要になる場合があり、術中に神経根や硬膜を損傷するリスクがあります。
とくに、癒着が強い症例では、術中の出血や術後の神経障害が起こる可能性が否定できません。
一方、PELD(PED)は切開が非常に小さく、筋肉や靱帯をほとんど傷つけずに行うため、全体として合併症のリスクは低いとされています。
ただし、操作スペースが限られることから、神経周囲の視認性に制限があり、不完全摘出や術中誤操作のリスクも一定程度存在します。
どちらの術式も、医師の技術と適切な術前評価が合併症リスクを左右します。
手術費用の違い|保険は適用されるのか
MEDとPELD(PED)ともに、国内の多くの医療機関で保険診療として提供されており、原則として健康保険が適用されます。
術式や入院期間、医療機関によって費用は異なるものの、いずれも3割負担の場合、入院費用を含めて20〜30万円程度が目安です。(文献2)
ただし、医療機関によっては、個室料金や特殊な医療機器の使用料など、保険適用外の費用が別途発生する場合があります。
とくに、日帰り手術や先進的機器を用いるケースでは追加費用が発生することもあるため、事前の確認が必要です。
いずれの術式も高額療養費制度の対象であるため、一定の範囲内で自己負担額を抑えられます。
PELD(PED)の費用については、以下の記事もご覧ください。
MED・PELD(PED)の後遺症に対する再生医療の可能性
MEDやPELD(PED)による内視鏡手術は体への負担が少ない一方で、術後に残存する神経症状や、慢性的な腰痛といった後遺症が完全に防げるわけではありません。
また、手術そのものに不安を感じる方もいらっしゃるでしょう。
このような場合の治療法として、再生医療という選択肢があります。
再生医療とは、本来の機能を失った組織や細胞に対して、自分自身の幹細胞や血液を用いる治療法です。再生医療には主に2つの方法があります。
他の細胞に変化する能力を持つ幹細胞を患部に投与する「幹細胞治療」と、血液中の血小板に含まれる成長因子の働きを活用する「PRP療法」です。成長因子には炎症を抑える働きがあります。
いずれの治療法も入院や手術は不要で、日帰りでの対応が可能です。体への負担を抑えた治療を検討している方にとって、手術を伴わない選択肢となっています。
当院「リペアセルクリニック」では、脂肪由来の幹細胞を用いた治療や、PRP療法を実施しています。ヘルニアに対する再生医療について、詳しくは以下をご覧ください。
ヘルニアのお悩みに対する新しい治療法があります。
まとめ|MEDとPELD(PED)の違いを理解して治療を検討しよう
MEDとPELD(PED)は、いずれも術式の特性や適応範囲、術後の経過などに違いがあります。
MEDは視野が広く再発や重症例にも対応しやすい一方で、切開や侵襲がやや大きくなる傾向があります。
対して、PELDは傷が小さく回復が早いものの、適応症例に制限があるなど、それぞれの特性を正しく理解し、症状や生活の状況に合った手術法を選ぶことが重要です。
手術に対して不安を抱えている方には、再生医療という治療の選択肢があります。
当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、ヘルニアの治療や手術後の後遺症に対する再生医療情報発信、および簡易オンライン診断を実施しています。
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MEDとPELD(PED)に関するよくある質問
PELD(PED)手術で失敗はある?
PELD(PED)の手術は低侵襲で身体への負担が少なく、成功率も高いとされていますが、結果的に失敗と感じられるケースがあります。
たとえば、術後に十分な症状改善が得られない場合や、ヘルニアの再発、神経症状の残存などが患者にとって「効果がなかった」と捉えられるケースがあるのです。
また、患者様の症状やヘルニアの状態によっては、PELDが適さない場合があります。
適応を誤ると、期待した効果が得られない可能性があるため、術前の十分な検査と評価が重要です。
PELD(PED)手術の名医を教えてください。
PELD(PED)手術において「名医」と断定できる公的な基準はありませんが、技術的な信頼性の目安として「日本脊椎内視鏡下手術・技術認定医」の資格が挙げられます。
日本PED研究会によって認定された制度で、厳格な審査と実績に基づいて付与されるものです。
資格を持つ医師が在籍する医療機関は、日本PED研究会の公式サイトで一覧確認が可能です。(文献3)
PELD(PED)を検討する際は、認定医が在籍する施設をチェックしておきましょう。
PELD(PED)手術の流れを知りたい
PELD(PED)の流れの一例をご紹介します。(文献2)
1.手術前日(入院・準備)
入院して術前の準備を行います。飲食は夕食まで可能で、飲水は夜9時まで摂取できます。
2.手術当日
点滴や注射などの準備をした後、手術室へ移動して手術が行われ、術後は病室に戻ります。
飲食・飲水は腸が動くまではできませんが、立ち上がりや歩行は可能です。
3.退院後〜1週間
食事は問題ありません。軽い運動は可能ですが、体をねじる動作や立ったまま・座ったままでの腰の運動は避けます。
消毒は不要で、絆創膏は7日後に外します。日中はコルセットを着用しますが、就寝時は外して構いません。
4.術後2〜3週間
学校や職場に復帰できますが、1時間ごとに立ち上がって腰を伸ばし、少し歩いてから再び座るようにします。
1週目と同様に、腰をねじる・かがむ姿勢は避けます。入浴は可能で、車の運転も1時間以内であれば許可されます。
5.術後3週間〜3か月
きつすぎない労働や、事務作業・家事・勉強などの日常動作は通常通り行えます。
6.術後3か月以降
重労働も可能になります。椎間板の状態を確認するため、レントゲン検査やMRI検査を行います。
7.術後6〜12か月
定期的に受診し、腰の状態を診察します。その後は、痛みや違和感などがある場合に随時受診します。
ただし、上記はあくまで一例です。
医療機関によって異なる点にご注意ください。
参考文献
(文献1)
Japanese Journal of ORTHOPAEDIC SPORTS MEDICINE|一般社団法人日本整形外科スポーツ医学会
(文献2)
PEDとは?|出沢明PEDクリニック










