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医師が解説「腰椎椎間板ヘルニアの種類」症状の段階(レベル)と治療法

腰椎椎間板ヘルニアの種類、症状の段階(レベル)と治療法を医師が解説します

腰椎椎間板ヘルニアとは、背骨の各骨と骨の間に存在する椎間板と言われる部位が膨隆(ふくらんで高くなった状態)や飛び出して神経を圧迫することで痛みや痺れといった症状が生じるものをいいます。

この記事では、腰椎椎間板ヘルニアの症状レベルや治療、そして再生医療の可能性についても触れていきます。

腰椎椎間板ヘルニアの概念図

腰椎椎間板ヘルニアの種類(分類)

腰椎とは、腰のあたりにある背骨のことで、5つの骨(椎体:ついたい)から成り立っています。

そもそも背骨は、椎体という骨が上下に積み重なっているような構造をしています。この椎体と椎体の間には、椎間板(ついかんばん)というクッションのようなものがあり、衝撃を和らげるなどの働きをしています。

椎間板ヘルニアは、この椎間板の中身(髄核:ずいかく)やその中身を包む袋のようなもの(線維輪:せんいりん)が膨らんだり、また外に脱出、飛び出したりすることで、神経を圧迫し、症状がでるものをいいます。

椎間板ヘルニアの分類

椎間板ヘルニアは、椎間板がどの程度飛び出しているかによって、4種類に分類されます。

分類としては、以下の図ようになります。

椎間板ヘルニア

引用)腰痛を診る.日本医科大学医学会雑誌.2006(2):42-46. p44

この図で示されている「後縦靭帯」とは、椎体の後ろ側を走っているもので椎体と椎体を繋ぎ、脊椎の安定性を保つ強力な組織です。この椎間板ヘルニアが「腰椎(腰)」で起こったものが「腰椎椎間板ヘルニア」です。

人口の約1%がこの腰椎椎間板ヘルニアに悩んでいるという報告もあり、男女比はやや男性の方が多く(約2〜3:1)、好発年齢は20〜40才代、好発部位はL4-L5、L5-S1(※)とされています。

(※ L=腰椎 S=仙椎)

腰椎椎間板ヘルニア|症状 の3段階(レベル)

腰椎椎間板ヘルニアでは、椎間板の変性などの度合いによって症状を分けることが出来ます。

具体的は以下のようなレベル、段階があります。

  • 1 , 軽症のレベル

  • 椎間板が飛び出しても神経を圧迫するほどではない段階です。この時には、症状は腰痛のみなど軽い症状が見られます。
  •  
  • 2 , 中等度のレベル

  • 飛び出した椎間板が脊髄や神経根を圧迫するまでになると、お尻の痛みや下肢の痛み・しびれといった知覚障害が生じてきます。
  •  
  • 3 , 重症のレベル

  • 椎間板ヘルニアが重症化すると、筋力低下をきたし歩行障害も呈するようになります。また、排尿困難や排便困難などの膀胱直腸障害や種々の症状も現れます。

ヘルニアが起こる部位によって、様々な症状が現れますが、腰椎椎間板ヘルニアの主な症状は、腰痛と下肢の痛みです。

線維輪に断裂、つまり裂け目のようなものが生じると、新たな血管や神経が入り込み、痛みを自覚するようになります。また、膨らんだ椎間板が後縦靭帯を押し上げ腰痛を引き起こすと考えられています。

椎間板が膨らむことで、神経根という脊髄から枝分からエした神経が外に出ていく部位を圧迫すると下肢の痛みや知覚障害、筋力低下が生じます。

L4-L5間のヘルニアでは、第5腰椎の神経根が圧迫されます。そのため、スネの外側から足の親指にかけて知覚障害が生じます。

また足関節を背屈、つまり曲げるような力が弱まります。

腰椎椎間板ヘルニアの治療(治し方)

腰椎椎間板ヘルニアを治すためには、まずは画像検査が必要で、それにはMRIが最も優れています。

変性してしまった椎間板は正常なものと異なっているように写し出されるため、脱出した椎間板の部位や分類診断についても役立ちます。

椎間板ヘルニアは、自然治癒する可能性があります。そのため、排尿や排便にも影響がでるような膀胱直腸障害など重い神経障害がある場合を除いて、まずは保存療法が選択されます。

治療法(保存療法と手術療法)

保存療法としては、非副腎皮質ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などの鎮痛薬の内服が用いられます。その他、神経ブロック注射も選択肢にあがります。また、体を柔らかくするリハビリもとても効果的です。

膀胱直腸障害や運動麻痺などの重い神経症状がある場合や、保存療法でも強い痛みが続く場合には、手術療法が行われます。その場合は、症状の原因となっている椎間板を摘出するような方法が取られます。

手術の仕方によっていろいろな種類があり、内視鏡を使った最小侵襲の手術が今は主流となっています。

  • 保存療法

  • ・鎮痛薬の内服(例.非副腎皮質ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs))
  • ・神経ブロック注射
  • 手術療法

  • ・椎間板摘出手術

脊髄の損傷は手術しなくても治療できる時代です。

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腰椎椎間板ヘルニア|よくある質問

腰椎椎間板ヘルニアについて、よくご質問頂くことについて記しました。その他ご質問、再生医療の可能性などはお問い合わせください

Q1 椎間板ヘルニアの際は安静にした方が良いですか?

A1 絶対安静が必要ということではありません。

腰の痛みや足の痛み、しびれ感がある場合には安静にしておく方が良いといわれることも多いかと思います。しかし、自宅で安静にした方が早く治るという科学的な根拠はありません。痛みが強すぎて動けない場合は自宅で安静にしている他ありませんが、動けるのであれば腰や足の筋力が弱くならないように、少しずつ動くようにすると良いでしょう。

Q2 保存療法としてコルセットは効果がありますか?

A2 試してみる価値はあると考えられます。

腰椎椎間板ヘルニアの患者さんは、立っている方が座った姿勢よりも痛みが楽になります。そして、背中が丸まった状態よりもどちらかというと反らせた姿勢の方が楽なのです。一方、腰をそらせる姿勢を続けると腰が疲れてしまいます。そのため、コルセットを着用して姿勢の保持をしやすくするのは痛みを和らげるために効果があると言えます

ただし、コルセットに頼りすぎると筋力が低下してしまい、コルセットがなければ生活ができないということもあるので注意が必要です。コルセットをするなら必ず筋力トレーニングは必要となります。

まとめ・腰椎椎間板ヘルニアの症状レベルについて!

今回は腰椎椎間板ヘルニアとは何か、そしてよく起こる部位であるL4-L5での症状、症状の段階をレベルに分けて解説しました。

腰椎椎間板ヘルニアで症状が重い方には手術療法が選択されます。しかし、手術を行っても圧迫され続けた脊髄や神経根の損傷が完全に修復されないこともあります。すると、しびれや痛みといった症状が残ってしまう、という場合もみられるのです。

そのような場合、当院の再生医療、幹細胞で治療するという方法をご検討ください。

しかも、脊髄腔内ダイレクト注射で投与という当院独自の方法を用いて、傷ついた神経の再生を試みることが可能になります。これまで多くの症例を経験し、症状の改善がみられています。詳しくは以下の動画をご覧ください。

 

 

▶腰椎椎間板ヘルニアの手術を受けてもなかなか症状が改善しない、というような方は、一度当院までご相談ください。

 

No.S155

監修:医師 加藤 秀一

参考文献)

腰痛を診る.日本医科大学医学会雑誌.2006(2):42-46. p44

腰痛を診る.日本医科大学医学会雑誌.2006(2):42-46. p43

腰椎椎間板ヘルニアの治療 Mindsガイドラインアプリ p37

腰椎椎間板ヘルニアの治療 Mindsガイドラインアプリ p40

 

▼腰椎ヘルニアの治療は以下も参考にしていただけます
腰椎椎間板ヘルニアの治療について|ブロック注射は有効か?

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