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椎間板ヘルニアのPELD(PED)手術のメリット・デメリット

椎間板ヘルニアのPELD(PED)手術のメリット・デメリット

PELD(PED)をご存知でしょうか?

これは、経皮的内視鏡的椎間板ヘルニア切除術(Percutaneous Endoscopic Lumbar Discectomy:PELD)は、通称「ぺルド」と呼ばれる手術の略称です。

または経皮的内視鏡的椎間板摘出術(Percutaneous Endoscopic Discectomy:PED)は、腰椎の椎間板ヘルニア治療のための侵襲を最小にすることを目的とした手術です。

この記事では、この手術法の主なメリットとデメリットについて解説していきます。

メリットデメリット

PELD手術とは

経皮的内視鏡的椎間板ヘルニア切除術(Percutaneous Endoscopic Lumbar Discectomy:PELD)では、7mmあるいは8mmの専用内視鏡を用いて、生理食塩水を流しながら腰椎椎間板ヘルニア摘出をすることを可能とする手術です。

PELDは、椎間板ヘルニアの病変そのものの摘出を目的とした方法です。

つまり、PELDでは健康な中心部分の椎間板組織をなるべく残し、将来の椎間板の高さの減少や不安定になることを予防し、術後に腰痛を併発するリスクを減らすことを目標としています。

PELDが適応となる疾患には、椎間板ヘルニアなどの変性疾患や、化膿性椎間板炎という炎症性疾患があります。

PELDのメリット

それでは、PELDのメリットについて述べていきましょう。

  • 体に与えるダメージが低い

  • PELDの場合、皮膚の切開部を小さくすることが可能です。そのため、傷跡が小さく、術後の痛みが軽減されることが期待できます。
  • 脊柱周囲の構造のダメージを抑えることが可能

  • PELDでは、直接ヘルニア部分に到達することが可能です。そのため、脊柱周囲の筋組織などのダメージを抑えられます。その結果、入院期間が短縮され、回復も迅速となります。
  • 局所麻酔下でも手術できる

  • 一般的に、手術をする際には意識を完全に取り除く全身麻酔と、手術する部分に麻酔薬を注入する局所麻酔で行う場合があります。

もちろん、局所麻酔だけでは手術中の痛みが強く、手術を中止せざるをえない場合もあります。しかしながら、局所麻酔では救急の場合、手術室と機材の都合がつけば麻酔科のスタッフに負担をかけずに緊急手術を行うことが可能です。

また、椎体などの骨の変形が著しくないなどの一定の条件を満たせば、高齢者や肥満の方など全身麻酔をかける際にリスクが高い方に関しても局所麻酔は有利であると考えられています。

  • 日帰り手術可能

  • SPLDでは日帰りの手術も行われています。
  • そのため、忙しい現代人のニーズにも応えられる可能性を持った治療法といえるでしょう。
  • 手術成績が良好

  • 多くの研究で、PELDは椎間板ヘルニアによる痛みの緩和に高い成功率を示しています。そして、下肢の痛みの改善や合併症の発生率、再発率は、SPLDと同じく低侵襲を目指した顕微鏡手術同等とされています。

PELDのデメリット

それでは、次にデメリットについても述べていきます。デメリットに関わらず、主治医や医療機関でご相談してみることをおすすめします。

  • 合併症や後遺症が残る可能性がある

  • 頻度としては低いものの、ヘルニアを摘出する際の神経損傷や脊髄損傷が起こり、後遺症として手足のしびれや麻痺などが残ってしまう場合があります。また、椎間板の再突出などの合併症が生じる可能性もあります。
  • 高度な技術が求められる

  • PELDは高度な技術を要する手術であり、経験豊富な専門医による施行が必要です。そのため、どの病院でも行うことができる手術という訳ではありません。
  • 適応疾患が限定される

  • すべての椎間板ヘルニアがPELDに適しているわけではなく、大きな突出や重度の変形がある場合は適応外となることがあります。
  • 再発のリスクがある

  • すべての椎間板手術と同様に、症状が再発するリスクがあります。
  • 1回で2箇所以上の手術ができない

  • 多椎間(2箇所以上)の手術を一回の治療でできないことがあります。もしも椎間板ヘルニアの病変が2箇所以上ある場合は、狭窄が強い部位から手術をします。
  • そして、症状の変化を見ながら改善が乏しいようであれば後日(数ヶ月後)に別部位を治療することになります。
  • 椎間板ヘルニアに対してPELD手術を受けたい場合

  • 椎間板ヘルニアに対して、PELD手術は低侵襲で術後の痛みの改善などの効果が期待できる手術です。
  • 一方、通院中の病院などでPELD手術を行っていないという場合もあるでしょう。
  • そうした際、PELDを行っている病院へ紹介状を書いて欲しい、とは言いにくいかもしれません。
  • しかしながら、ご自身の病状などがPELDの適応となるかどうかも含め、実際にPELDを行っている病院を受診してみる価値はあるといえます。

まとめ・椎間板ヘルニアのPELD(PED)手術・メリット・デメリット

今回の記事では、PELDについて解説し、そのメリット・デメリットについて述べました。

PELD手術が失敗してしまう可能性は低いと考えられていますが、脊髄損傷や神経損傷の可能性は「0」ではありません。

また、椎間板ヘルニアの症状である、手足の痺れや麻痺といった症状が手術後にも残ったり、むしろ手術前よりも強い症状になったりしてしまうということも可能性としてはあります。

もしもそのような後遺症にお悩みの場合には、再生医療という方法もあります。当院では、脊髄損傷に対し、自己脂肪由来幹細胞治療という再生医療を行っています。

これは、自分の脂肪組織から培養した幹細胞の静脈注射や、あるいは当院独自の技術として脊髄腔内に直接幹細胞を投与することができる、脊髄腔内ダイレクト注射療法というものがあります。

椎間板ヘルニアの後遺症などにお悩みの方で再生医療にご興味のある方は、ぜひ一度当院までご相談ください。

脊髄の損傷は手術しなくても治療できる時代です。

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No.168

監修:医師 坂本貞範

参考文献

経皮内視鏡下腰椎椎間板ヘルニア摘出術の現状と今後の展望.Spinal Surgery.2016:30(2);152-158. p152

腰椎椎間板ヘルニアに対する経皮的内視鏡下腰椎椎間板摘出術(percutaneous endoscopic lumbar discectomy)の適応と限界.脳外誌.2017:26(5);346-352. p347

経皮内視鏡下腰椎椎間板ヘルニア摘出術の現状と今後の展望.Spinal Surgery.2016:30(2);152-158. p157 

経皮的内視鏡下腰椎椎間板摘出術(percutaneous endoscopic lumbar discectomy:PELD)の現状と今後の展望.Spinal Surgery.2014:28(3);310-312.  p312

 

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