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肘の外側におけるテーピング方法を紹介|目的や効果・注意点もあわせて解説

「テニス中に肘の外側を痛めた」
「テーピングをしながら様子を見ているけれど、本当に効果があるのかを知りたい」
このようなお悩みを持たれている方もいらっしゃることでしょう。
テーピングには、ケガの防止や応急処置など、複数の目的や効果があります。
本記事では、テーピングの方法や目的、効果などについて解説します。
整形外科を受診するタイミングについても解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
肘の外側におけるテーピングの巻き方
ここでは、肘の外側が痛むときのテーピング方法を紹介します。第三者に巻いてもらう方法です。
本項目で紹介する方法では、キネシオロジーテープと呼ばれるテープを5本使用します。キネシオロジーテープとは、皮膚にしっかりと貼りつく伸縮性があるテープで、筋肉や筋膜の動きをサポートしたり循環を良くしたりする働きがあるものです。(文献1)
また、以下で紹介しているものはあくまでも一例です。テーピングの方法は使用するテープによって異なります。購入したテープの取扱説明書や注意書きなどをよく読んでから行いましょう。
1本目の巻き方:短橈側手根伸筋の補助
1本目のテープを巻く前に、肘を90度に曲げて、手首を手のひら側に向けてください。その体勢で、肘から手首に向かってテープを貼ります。
テープは前腕の長さに合わせてカットしてください。
2本目の巻き方:総指伸筋の補助
1本目のテープと同じく、肘から手首に沿ってテープを貼ります。貼る場所は、1本目のテープよりも、やや小指側です。
1本目同様に、テープは前腕の長さに合わせてカットしてください。
3本目の巻き方:長橈側手根伸筋の補助
1本目、2本目のテープと同じように、肘から手首に沿ってテープを貼ります。貼る場所は、やや親指側です。
1本・2本目同様に、テープは前腕の長さに合わせてカットしてください。
4本目の巻き方:手首の補助
テーピング前に、手首の位置を元に戻します。それから手首の周りに沿って、テープを巻いていきましょう。
テープは手首を1周できる長さに合わせてカットしてください。
5本目の巻き方:前肘部の補助テープ
5本目のテープは、前肘部の内側を一周させるようにして巻きます。その際、テープが肘にかからないようにしてください。
テープは前肘部を1周できる長さに合わせてカットしてください。
肘の外側にテーピングを行う目的
肘の外側にテーピングを行う目的は、主に以下の3つです。
- 外傷予防
- 応急処置
- 再発予防
外傷予防
肘の外側にテーピングする目的の1つが、ねんざや打撲といった外傷の予防です。ケガをしていない部分をテーピングで固定し、関節の保護や可動域制限をはかります。
肘関節以外で外傷予防のテーピングが行われている部位は、足関節や手関節、指関節などです。(文献2)
応急処置
テーピングは、ねんざや打撲といった外傷に対する応急処置にも使われます。
以前、外傷の応急処置は、RICE(ライス)と呼ばれていました。
- Rest:休ませる
- Ice:冷却する
- Compression:圧迫する
- Elevation:挙上する
現在は一部変更されて、PORICE(ポリス)と呼ばれています。
- Protection:保護する
- Optimal Loading:適切な負荷をかける
- Ice:冷やす
- Compression:圧迫する
- Elevation:挙上させる
テーピングは、圧迫の役割を担います。
PORICEをはじめとする捻挫の応急処置については、下記の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。
再発予防
テーピングの目的で最も多いとされるものが、外傷の再発予防です。(文献2)
一度損傷した関節は不安定さが残り、通常とは異なる方向に動くこともあります。関節の動揺性と呼ばれるものです。不安定な関節をテーピングで補強および安定させることにより、動揺性が軽減され、同じ場所での外傷を防げます。
肘の外側へのテーピング効果
肘の外側にテーピングする効果は、主に以下の2つです。
- 痛みを軽減する
- 精神的な負担を軽減する
痛みを軽減する
テーピングは、関節の部分的な圧迫および可動域制限により、痛みを軽減する効果があります。
外国の研究論文では、テーピングはサポーターよりも肘の外側痛を軽減する効果があると示されました。(文献3)
ただし、テーピングに直接の治療効果はありません。テーピングをしていても、無理な運動をした場合は、ケガが悪化する可能性があります。
精神的な負担を軽減する
肘や膝といった関節のケガは再発しやすいといわれています。再発への不安がストレスになることもあるでしょう。
痛みやケガの原因にあわせた正しいテーピングにより、再発への不安を軽減できます。ストレス軽減のためにも、テーピングは正確に行いましょう。
肘の外側にテーピングする際の注意点
肘の外側にテーピングする際の注意点は、主に以下の2つです。
- 長時間のテーピングは控える
- 必要以上に圧を強めない
長時間のテーピングは控える
再発予防のために行う運動時のテーピングは、3~4時間が限度です。応急処置目的で行う安静時のテーピングは、一般的に3日間程度を目安とすることが推奨されています。
同じテープを長時間貼り続けると、皮膚に汗や汚れが付着して、かぶれを引き起こす可能性があります。
必要以上に圧を強めない
必要以上に強い圧でテーピングを行うと、痛みやしびれなどの血行障害および、筋肉や腱の損傷を引き起こす可能性があります。テーピングの過度な圧迫により、末梢神経が圧迫され、しびれや感覚異常などの神経障害が生じる可能性もゼロではありません。
テーピング時は、テープが皮膚に食い込んでいないか、痛みやしびれがないかなどを確認しましょう。
テーピングで肘の外側痛が改善しない場合は医療機関を受診しよう
テーピングの主な効果は痛みの軽減ですが、施術しても改善しないケースもあります。
強い痛みのため日常生活に支障をきたしている、腕を動かすことが難しいといったときには、速やかに医療機関を受診して診察や治療を受けましょう。
当院においても、肘関節痛の治療を行っております。メール相談やオンラインカウンセリングを実施していますので、お気軽にご相談ください。
肘の外側の痛みとテーピングに関するよくある質問
ここでは、肘の外側の痛みとテーピングに関するよくある質問を2つ紹介します。
寝るときはテーピングを外した方が良いですか?
基本的に寝るときはテーピングを外す方が良いでしょう。長時間のテーピングは、皮膚のかぶれや血行障害を起こす可能性があるためです。
またテーピングの効果は、関節可動域の制限による外傷および再発の予防です。寝ているときは関節を大きく動かすことが少ないため、テーピングの効果も少ないといえます。
肘の外側が痛いときの治し方を教えてください
肘の外側が痛むときの治療法は、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)の内服や湿布薬の利用、ステロイド注射、手術療法などです。
医療機関によっては、再生医療による治療も行っています。肘の痛みで手術を受けたくない方は、再生医療も選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。
リペアセルクリニックでは、再生医療による肘関節痛の治療を受けられます。メール相談やオンラインカウンセリングを実施していますので、お気軽にご相談ください。
参考文献
(文献1) 日本医事新報社「テーピングの基本」日本医事新報社ホームページ https://www.jmedj.co.jp/files/item/books%20PDF/978-4-7849-5873-3.pdf(最終アクセス:2025年3月19日)
(文献2) 日本スポーツ協会「テーピング 総論」日本スポーツ協会ホームページ
https://www.japan-sports.or.jp/Portals/0/data/ikusei/doc/AT/text2018.06taping.pdf(最終アクセス:2025年3月19日)
(文献3) Alireza Shamsoddini. (2019).The Immediate Effect of Taping and Counterforce Brace on Pain and Grip Strength in Patients with Tennis Elbow.Journal of Archives in Military Medicine, 7(1-2),pp.1-5.
https://brieflands.com/articles/jamm-86314.pdf(最終アクセス:2025年3月19日)
監修者

坂本 貞範 (医療法人美喜有会 理事長)
Sadanori Sakamoto
再生医療抗加齢学会 理事
再生医療の可能性に確信をもって治療をおこなう。
「できなくなったことを、再びできるように」を信条に
患者の笑顔を守り続ける。