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【医師監修】グロインペイン症候群の治し方|セルフケアと治療法について解説

グロインペイン症候群治し方
公開日: 2025.05.30 更新日: 2025.10.31

「サッカーの練習中に足のつけ根に痛みを感じるようになった」

「ランニングをしていて股関節のあたりに違和感があるけれど、病院に行くほどのことなのかな?」

激しい運動や長時間の練習を続けることで、股の付け根あたりに違和感を覚える方は少なくありません。走る、蹴る、方向転換など、瞬発的な動作を繰り返す競技では、筋肉や腱への負担が積み重なり、違和感が慢性化することがあります。

痛みを改善したいと考えても「休めば治るだろう」と放置してしまうと、症状が長引き、競技復帰が遅れるケースも見られます。

本記事では、現役医師がグロインペイン症候群の治し方について詳しく解説し、記事の最後にはよくある質問をまとめていますので、ぜひ最後までご覧ください。

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グロインペイン症候群における初期段階の治し方|セルフケア方法

初期段階の治し方(セルフケア) 詳細
安静・アイシングを実施する 痛みのある動作を避け、患部を安静に保つ。氷や保冷剤で15〜20分冷却し、炎症や腫れを抑える
テーピングで痛みを和らげる 股関節や内ももをサポートするように貼り、動作時の負担を軽減。筋肉や腱を安定させる
股関節を覆う幅広タイプのサポーターを活用する 股関節から骨盤を包み込み、可動域を制限して痛みを軽減。股関節周囲の安定を保つ

ランニング中に股関節まわりに違和感を感じた場合は、痛みが軽いうちにセルフケアを行うことが重要です。

運動前は、股関節を回す・足を前後に振るなどの動的ストレッチで筋肉を温めましょう。運動後や就寝前は、筋肉を静止した状態で伸ばす静的ストレッチで疲労を和らげます。

加えて、体幹(お腹まわり)を鍛えるプランクなどのトレーニングは、股関節への負担軽減に有効です。痛みが強い場合は無理をせず安静にし、症状が続く際は整形外科を受診してください。

安静・アイシングを実施する

グロインペイン症候群の初期は、股関節や鼠径部の筋肉・靭帯に炎症が生じている状態です。この時期は無理に動かさず、安静を保ちましょう。

過度な負荷を避けることで炎症の悪化を防ぎ、自然な回復を促します。また、痛みや腫れがある場合はアイシングが有効です。冷却によって血管が収縮し、炎症や腫れを抑えることで痛みを軽減し、回復を早める効果が期待できます。

運動後や痛みが強いときに、保冷剤をタオルで包み、1回15〜20分を目安に冷やします。アイシング時は肌への直接接触を避け、低温による皮膚トラブルを防ぐことが大切です。痛みや違和感が長引く場合は、早めに整形外科などの医療機関を受診してください。

テーピングで痛みを和らげる

順番 正しいテーピングの方法(股関節まわり)
手順.1 肌を清潔にし、必要に応じて毛を剃る。テープの密着性を高めるための準備
手順.2 鼠径部(足のつけ根)から約3cm下にテープの端を固定。起点の安定化
手順.3 テープを軽く伸ばしながら、太ももの内側に沿って貼る。筋肉のサポート
手順.4 2本目を1本目に半分重ねるように平行に貼る。補強と固定力の向上
手順.5 貼り終えたら手で軽くこすって密着させる。剝がれ防止と持続性の確保

テーピングは、太ももの内側を走る筋肉に沿って貼るかどうかで、効果が大きく変わります。

テーピングをするときは、強く引っ張りすぎないように注意しましょう。

皮膚が弱い方は、アンダーラップ(肌を保護するテープ)を巻いてからテーピングを行うと良いでしょう。

関節を覆う幅広タイプのサポーターを活用する

順番 股関節を覆う幅広タイプのサポーターの装着方法
手順.1 サポーターを装着する前に、肌を清潔にし乾いた状態に整える。装着時の肌トラブル予防
手順.2 サポーターを股関節の位置に合わせ、骨盤と太ももを包み込むように当てる。正しい位置の確認
手順.3 前面または側面のマジックテープやベルトで締め具合を調整。圧迫感を感じない程度の適度な固定
手順.4 立ち上がりや軽い動作をしてズレがないか確認。安定性と動きやすさの確認
手順.5 長時間使用する場合は、1〜2時間ごとに着脱して肌の状態を確認。血流障害やかぶれの予防

グロインペイン症候群は痛みの範囲が広いため、サポーターを選ぶときは、股関節全体を覆う幅広タイプがおすすめです。

締め付けが強すぎると血行を妨げるので、立ったまま深呼吸して苦しくない程度のフィット感を基準にしましょう。

サポーター選びのチェックポイントとしては、以下の通りです。

項目 内容
素材 通気性の良いメッシュ素材
サイズ 腰まわりのサイズを正確に測定
固定力 適度な圧迫感があるもの
着脱 マジックテープタイプで調整しやすいもの
洗濯 家庭で洗えるタイプ

運動中はもちろん、通勤・通学時の長時間歩行にも有効で、痛みを感じた瞬間に着脱できるのがメリットです。

サポーターは股関節だけでなく腰や骨盤も支え、体のバランスを整える効果が期待できます。ただし、サポーターそのものが治療となるわけではなく、炎症が強い時期の補助的な役割にとどまります。

長期間の使用は筋力低下を招くおそれがあるため、症状の改善に合わせて少しずつ使用時間を減らしていきましょう。

グロインペイン症候群の医療機関での治し方|治療方法

治し方 詳細
保存療法 安静やストレッチ、リハビリを中心に行い、筋肉の柔軟性回復と炎症の軽減を図る。体幹や股関節周囲の筋力強化による再発予防
薬物療法 炎症や痛みを抑えるために消炎鎮痛薬を使用。必要に応じて湿布や塗り薬を併用。痛みの緩和と炎症抑制
手術療法 保存療法で改善がみられない場合に実施。損傷した腱や筋膜の修復、癒着の解除を行う。重症例への根本的治療
再生医療 自己の血液や細胞を用いて損傷部位の自然治癒を促す治療法。PRP療法などによる組織再生と回復促進

グロインペイン症候群の治療は、原因となる筋肉や腱への過度な負担を軽減し、損傷した組織の回復を促すことが目的です。初期段階では安静やストレッチ、物理療法などの保存療法が基本となります。

痛みや炎症が強い場合は、薬物療法で症状を抑えながらリハビリを進めます。重度や長期化した場合は手術や再生医療を検討し、症状に応じた適切な治療を医師が段階的に行うことが大切です。

自己判断で運動を再開すると再発の原因になるため、回復過程を確認しながら慎重に進める必要があります。

保存療法

グロインペイン症候群に対する保存療法は、炎症を抑えて痛みの悪化を防ぎ、自然な回復を促す基本的な治療法です。手術や注射と比べて身体への負担が少なく、軽度から中等度の症状にとくに効果的です。

炎症が落ち着いた後は、股関節まわりの筋力強化や柔軟性向上を目的としたリハビリを段階的に行い、再発予防や競技復帰を目指します。文献1

多くの症例で保存療法のみで改善が見られます。軽症から中等度の場合、1〜2カ月ほどの継続で症状が軽快し、長期的なスポーツ復帰が可能になることが報告されています。

薬物療法

グロインペイン症候群における薬物療法は、炎症と痛みを抑えることで日常生活の負担を軽減し、回復を促す有効な治療法です。

主に非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や筋弛緩薬を使用し、急性期の痛みを速やかにコントロールします。これにより、安静やリハビリといった保存療法を並行して行いやすくなり、症状の改善と機能回復が期待できます。

外用薬(湿布や塗り薬)は患部に直接作用し、副作用を抑えながら効果を発揮します。一方、内服薬を長期間使用すると、胃腸障害や肝腎機能への影響などのリスクがあるため、医師の指導のもとで適切な管理が欠かせません。

手術療法

効果・特徴 詳細
根本的な原因の解消 腱や筋肉の損傷、血管や関節の構造的異常を直接修復・除去し、原因を根本から改善
早期の痛み緩和と復帰促進 痛みを速やかに軽減し、スポーツや日常生活への早期復帰を促す。反復性の痛みに対する高い効果
長期的な改善効果 症状の持続的な改善と再発予防が期待できる。血管内治療や構造修復術による根本的アプローチ
適用条件とリスク管理 重度や慢性化した症例が対象。術後のリハビリや合併症リスクへの注意が必要
総合的な治療意義 保存療法で改善が難しい場合に有効。痛みの除去と再発防止を目的とした根本的治療法

文献2

保存療法や薬物療法で十分な改善が得られない場合には、手術を検討します。手術の対象となるのは、慢性的な腱の損傷や付着部の炎症が進行し、日常生活や競技動作に支障をきたしているケースです。

主な手術法には、損傷した腱や炎症組織の切除、骨付着部の修復、腱の再縫合などがあります。術後はリハビリを通じて筋力と柔軟性を回復させ、再発防止のために段階的に運動を再開します。

手術は最終的な治療選択肢であり、症状や目標に応じて医師と十分に相談した上で方針を決めることが大切です。

再生医療

グロインペイン症候群に対する再生医療は、体が本来持つ自然治癒力を高め、損傷した筋肉や腱、軟骨などの組織修復を促す治療法です。代表的な方法として多血小板血漿(PRP)注入療法があり、患者自身の血液から抽出した血小板を濃縮し、成長因子を多く含む血漿を患部に注入します。

これにより炎症の抑制と組織再生が期待されます。手術のような侵襲がなく、身体への負担が少ないことが特徴で、通常は日帰りで行うこともできます。

自己の細胞を用いるため、副作用やアレルギーのリスクが低いのも特徴です。ただし、全身状態や疾患の有無によっては適応外となる場合もあるため、事前に医師による慎重な診断と評価が必要です。

以下では、再生医療について詳しく解説しています。

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グロインペイン症候群の再発予防策

再発予防策 詳細
身体機能の改善(柔軟性・筋力・動作) 股関節や体幹の柔軟性を高め、筋力バランスを整えるトレーニングの継続。正しいフォームによる動作改善
運動負荷と生活習慣の管理 急激な運動量の増加を避け、十分な休養と栄養補給を心がける。疲労の蓄積防止とコンディション維持
早期発見・早期対応 違和感や痛みを感じた時点で無理をせず、運動を中止して医療機関を受診。症状の重症化防止

グロインペイン症候群の再発を防ぐためには、股関節まわりの機能を整え、過度な負担をかけない身体づくりが大切です。

柔軟性や筋力が低下したり、フォームが乱れたりすると再発の原因となるため、ストレッチや体幹トレーニングで動作の安定性を高め、筋肉のバランスを保ちましょう。

また、日常生活では姿勢・睡眠・食生活を整えることも大切です。違和感や痛みを感じた時点で早めに対処すれば、重症化や慢性化を防げます。

身体機能の改善(柔軟性・筋力・動作)

改善ポイント 詳細
柔軟性の向上で負担軽減 股関節や内転筋の柔軟性を高め、筋肉や腱の緊張を緩和。ストレッチによる再発リスクの軽減
筋力バランスの回復で安定性強化 体幹や股関節周囲の筋力を整え、骨盤と股関節の安定性を向上。内転筋とのバランス改善
動作パターンの修正で負荷軽減 歩行・走行・キックなどの動作を見直し、正しいフォームを習得。股関節への過剰負担の予防
段階的な運動負荷調整で過剰負担の回避 運動強度を段階的に高め、組織の回復を促進。急激な運動復帰の防止
日常生活での姿勢・習慣の見直し 座り方や立ち方、荷物の持ち方を整え、股関節への負担を軽減。正しい姿勢の維持による再発防止

股関節や骨盤まわりの柔軟性を高め、動作時の負担を減らすことが再発予防の基本です。大腿内転筋や腸腰筋のストレッチを継続して可動域を広げることで、再発リスクを低下します。

さらに、体幹や下肢の筋力を鍛えて安定性を高めることも大切です。キックやランニング動作のバランスを整えることで、関節や筋肉への偏った負担を防止できます。

フォームの乱れを放置すると再発の原因となるため、リハビリや医師の指導を受けて正しい動作を習得することが欠かせません。

運動負荷と生活習慣の管理

管理のポイント 詳細
段階的に負荷を増やす 症状の回復に合わせて運動強度や時間を徐々に調整。痛みや違和感が出た場合は負荷を控える
ウォームアップとクールダウンの徹底 運動前の準備運動で筋肉と関節を温め、運動後のストレッチで緊張を緩和。怪我や再発の予防
定期的な休息 運動と休養のバランスを保ち、筋肉の過度な疲労や炎症を防止。回復促進
姿勢と動作の見直し 座り方・立ち方・荷物の持ち方を整え、股関節への負担を軽減。正しい姿勢の維持
適切な休息と睡眠 十分な睡眠と休養で身体の修復を促進。疲労やストレスの軽減
バランスの良い食事 タンパク質・ビタミン・ミネラルを含む食事で筋肉と関節の回復をサポート。栄養バランスの維持

運動負荷と生活習慣の管理は、グロインペイン症候群の再発予防に欠かせません。練習量を急に増やしたり、休養を取らずに運動を続けたりすると、筋肉や腱への負担が蓄積しやすくなります。

トレーニング後はアイシングやストレッチで身体を整え、疲労を翌日に残さないようにしましょう。

また、睡眠不足や偏った食事は組織の修復を妨げるため、十分な休息と栄養バランスの取れた食生活が大切です。運動・休養・食事のバランスを保つことが、長期的なコンディション維持につながります。

早期発見・早期対応

グロインペイン症候群は、初期の違和感や軽い痛みを放置すると慢性化し、治療が長引くことがあります。早めに医療機関を受診し、正確な診断と適切な治療を受けることが大切です。自己判断で様子を見るのではなく、専門医による診察やMRI検査で原因を明確にしましょう。

早期に治療を始めることで回復が早まり、スポーツや日常生活への復帰もスムーズになります。さらに、痛みをかばうことで生じる腰痛や膝痛などの二次的な障害も防止できます。

グロインペイン症候群の治療においてやってはいけないこと

早く治したい一心で無理をすると、かえって症状を悪化させてしまうことがあります。痛みを我慢して練習を続けたり、強いストレッチを無理に行ったりするのは逆効果です。

グロインペイン症候群の回復を妨げるNG行動を避け、適切な休養と段階的なリハビリを行うことが重要です。

具体的なNG行動は以下の5つです。

事例 理由
1.痛みを我慢して運動を続ける 炎症の悪化による治療期間の延長
2.強すぎるストレッチ 筋肉や腱の損傷による症状の悪化
3.自己判断での湿布の長期使用 皮膚トラブルの発生や治療遅延の原因
4.マッサージの強すぎる刺激 炎症部位の刺激による痛みの増強
5.過度な安静 過度な安静による筋力低下のリスク

とくに注意が必要なのは、痛み止めを服用して練習を続けることです。

痛みは身体からの警告信号であり、薬でごまかして運動を続けると、損傷が悪化するおそれがあります。

一方で、軽度の症状では動かないことも逆効果です。痛みを悪化させない範囲で軽い運動を行うことは、血流を促し筋力を維持するのに役立ちます。症状に応じた判断が必要なため、医師の診察を受けて、指示に従いましょう。

以下の記事では、グロインペイン症候群でやってはいけないことについて詳しく解説しています。

改善しないグロインペイン症候群のお悩みは当院にご相談ください

グロインペイン症候群の改善には、原因を把握し、安静を保った上で段階的に運動を再開することが大切です。

2週間以上休んでも痛みが残る場合や、就寝中にも違和感がある場合は医師の診察が必要です。適切な治療を早期に受けることで慢性化を防ぎ、競技復帰が早まります。

グロインペイン症候群についてお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、グロインペイン症候群に対して損傷した組織の修復を促す再生医療も取り入れています。従来の治療では改善が難しかった深部の筋肉や腱にもアプローチできるのが特徴です。

患者自身の血液や細胞を用いるため、身体への負担が少なく、自然な回復力を高める効果が期待できます。保存療法やリハビリで十分な改善が得られない場合の新たな選択肢として、再生医療をご提案しています。

ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。

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グロインペイン症候群の治療に関するよくある質問

グロインペイン症候群を早く治す方法はありますか?

グロインペイン症候群の改善には、まず痛みのある部位を安静に保ち、炎症を抑える治療を行うことが基本です。

症状が落ち着いた段階で、専門医の指導のもと、ストレッチや筋力強化を段階的に進めていきます。即効性のある治療法はなく、無理をせず継続的に治療を続けることが重要です。

グロインペイン症候群は全治何日かかりますか?

グロインペイン症候群の全治期間は症状の程度により異なります。

軽症では1~2カ月で改善することが多く、中等度では2~3カ月、重症や慢性例では半年以上かかることもあります。早期の治療と段階的なリハビリが回復を早め、再発予防にも重要です。

グロインペイン症候群は接骨院や整体でも改善しますか?

軽度の筋緊張による一時的な改善は見られることもありますが、根本的な治療には整形外科の診断が必要です。

グロインペイン症候群は筋や腱の微細損傷を伴うことが多く、画像検査やリハビリ計画が大切です。誤った施術は悪化の恐れがあるため、医師の指導のもとで適切に治療を行いましょう。

参考文献

(文献1)

11. 鼠径部痛症候群(グロインペイン症候群)|スポーツ損傷シリーズ

(文献2)

鼠径部痛症候群の定義は修正される~器質的疾患の発生要因を解明して診断・治療・リハビリ・予防を行う概念に進化する~|第27回日本臨床スポーツ医学会 学術集会 教育研修講演 8