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グロインペイン症候群でやってはいけないことは?回復ステップまで解説!

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公開日: 2025.05.30

「最近、鼠径部の痛みが強くなってきているけれど、どんな動きが良くないのだろう?」

「このまま練習を続けても大丈夫なのかな?」

「YouTubeで見たストレッチをやってみたけれど、本当に効果があるのか不安だ…」

このような悩みを抱えている学生さんは多いのではないでしょうか。

グロインペイン症候群は、一度発症すると長期化しやすく、間違った対処をしてしまうと症状が悪化して競技復帰が遅れてしまう可能性があります。

しかし、適切な知識を持って正しく対処すれば、症状の悪化を防ぎながら段階的に競技復帰を目指すことも十分可能です。

本記事では、グロインペイン症候群でやってはいけない具体的な動作、症状の見極め方、そして本格復帰するためのステップについて、医師の視点から詳しく解説いたします。

ぜひ最後までご覧いただき、あなたの症状改善と競技復帰にお役立てください。

グロインペイン症候群でやってはいけないこと

グロインペイン症候群を悪化させる行為は、痛みを我慢しながら無理に競技を続けることです。

とくに急性期と回復期では避けるべき動作が異なりますので、それぞれの段階に応じた注意点をしっかりと理解しておきましょう。

急性期(痛みが強いとき)にやってはいけないこと

急性期は炎症が強く出ている時期であり、この段階で無理をすると症状が慢性化しやすくなります。

以下の5つの動作は避けてください。

1. 痛みを無視して練習や試合を続行

痛みは体からの重要なサインです。無視して活動を続けると、炎症が悪化し、組織の修復が遅れてしまいます。

急性期はとくに、痛みを悪化させる動作を避け、適切な休息を取ることが大切です。

2. ランニングやダッシュなどの反復走行

鼠径部に繰り返し負荷がかかる走行動作は、炎症を増強させる危険な動作です。

全力ダッシュや方向転換を伴う走行は、股関節への負担が非常に大きくなりますので、避けてください。

3. キック動作

サッカーの基本動作であるキックは、鼠径部の筋肉や股関節に強いストレスをかける動作です。

軽いキックでも炎症部位を刺激してしまうため、急性期にボールを蹴る動作は避けましょう。

4. 急激な方向転換や体をひねる動き

切り返し動作やターン動作は、炎症を悪化させます。日常生活でも、急に振り返ったり、身体をひねったりする動作は慎重に行ってください。

5. 痛むカ所に負担をかける姿勢やストレッチ

痛くても伸ばした方が良いという考えは間違いです。急性期で正しい知識がないまま行うストレッチは炎症を悪化させ、回復を遅らせる原因となります。

これらの動作がなぜ禁止なのかというと、グロインペイン症候群の痛みの根本原因である恥骨結合や内転筋への過度なストレスを増強し、炎症の悪化と慢性化を招くためです。

回復期(痛みが軽い時)の注意点

痛みが軽減してきた回復期は、実は注意が必要な時期です。多くの選手がこの段階で誤った判断をして再発してしまいます。

痛みがなくなっても身体の内部では、回復途中の状態が続いてますので、段階的に負荷をあげていきましょう。

とくに、股関節周りの痛みや柔軟性だけでなく、体幹の安定度や可動域のチェックを入念に行なってください。

「試合が近いから」「レギュラーを取られたくないから」といった理由で、いきなり全力の練習に戻ってしまうケースも見られますが、段階的な復帰プログラムを無視すると、高い確率で再発してしまいます。

再発してしまうと痛みが慢性化し、2〜3カ月さらに復帰に時間がかかってしまうため、注意が必要です。

症状をチェック|グロインペイン症候群の見分け方

鼠径部の痛みがそのままグロインペイン症候群になるとは限りません。

適切な治療を受けるためには、まず自分の症状が本当にグロインペイン症候群に該当するかどうかを見極めることが大切です。

グロインペイン症候群は、鼠径部周辺にさまざまな原因で発生する痛みの総称であり、恥骨結合炎、大腿内転筋付着部炎、股関節炎、鼠径ヘルニアなど、複数の病態が含まれます。

そのため、正確な診断には専門医による詳しい検査が必要ですが、以下のセルフチェック方法で、グロインペイン症候群の可能性を確認できます。

アダクタースクイーズ(両脚を閉じるテスト)

このテストは、内転筋の機能と痛みの有無を確認する最も基本的なチェック方法です。

テスト方法

仰向けに寝て、両膝を軽く曲げた状態で股関節をやや開きます。

膝の間にタオルやクッションを挟み、両脚で力を入れて挟みます。

この動作で鼠径部に痛みが生じたり、力が抜けてしまったりする場合は、グロインペイン症候群の可能性が高いです。

確認ポイント

痛みの場所(鼠径部の内側、恥骨周辺、内転筋など)を確認してください。

また、左右差がある場合も注意が必要です。

健康な状態であれば、この動作で痛みが生じることはありません。

両脚開脚テスト

股関節の可動域と内転筋の柔軟性をチェックするテストです。

テスト方法

仰向けに寝て、両膝を軽く曲げ、足裏を床につけます。

そのまま両膝を外側に開いていきます。

正常であれば、膝が床に近づくまで開脚できますが、グロインペイン症候群のがある場合は途中で痛みが生じたり、十分に開脚できなかったりします。

注意点

無理に開脚しようとすると症状が悪化する可能性があるため、痛みを感じたらすぐに中止してください。

このテストは股関節の可動域制限も同時にチェックできる有用な方法です。

股関節抱え込みテスト

腸腰筋の機能と股関節前方の痛みをチェックするテストです。

テスト方法

仰向けに寝て、片方の膝を胸に向かって抱え込みます。

この動作で鼠径部前方や股関節前面に痛みが生じる場合は、グロインペイン症候群の可能性があります。

とくに腸腰筋や股関節の問題が原因となっている場合に、この動作で痛みが誘発されやすくなります。

確認ポイント

必ず左右両方で行い、痛みの程度や場所を比較してください。

健康な状態であれば、膝を胸に近づけても痛みは生じません。

重要な注意点

これらのセルフチェックで痛みや異常を感じた場合は、グロインペイン症候群の可能性が高いと考えられます。

しかし、鼠径部の痛みには鼠径ヘルニア、股関節炎、恥骨の疲労骨折、さらには内臓疾患など、さまざまな原因が考えられます。

そのため、セルフチェックで異常を感じた場合は、必ず専門の医療機関を受診して正確な診断を受けることが重要です。

グロインペイン症候群でも競技を続けたい方へ

「休むとポジションを失ってしまうかもしれない」「大事な試合が近いから練習を休めない」

このような思いを抱えている選手の気持ちは、よく理解できます。しかし、グロインペイン症候群に対する適切な理解があれば、必ずしもすべての活動を止める必要はありません。

重要なのは「完全に休む」か「今まで通り続ける」の二択ではなく、症状に応じた調整を行うことです。

痛みが強い急性期は安静が必要ですが、痛みが軽減している時期であれば、痛みが出ない範囲での代替トレーニングで体力を維持しながら治療を並行も可能です。

練習を止めないとダメ?それとも工夫次第?

この判断は症状の程度によって大きく異なります。

完全休止が必要なケース

  • 日常生活でも痛みがある
  • 軽い歩行でも痛みが増す
  • 炎症症状(熱感、腫れ)が強い
  • 発症から間もない急性期

これらの場合は、無理に活動を続けると慢性化のリスクが高まるため、安静にする必要があります。

工夫次第で継続可能なケース

  • 安静時に痛みがない
  • 特定の動作でのみ痛みが生じる
  • 炎症症状が落ち着いている
  • 適切な治療を並行して受けている

このような場合は、以下のような代替トレーニングで体力を維持できます。

代替トレーニングの例

  • 有酸素運動の代替
    • ランニング → エアロバイク(座位)
    • ダッシュ → プール歩行(浮力を利用)
  • 技術練習の代替
    • キック練習 → 戦術理解・映像分析
    • 激しい動き → 基本技術の反復練習
  • 筋力トレーニングの調整
    • 痛みが出る動作を避けた部位別トレーニング
    • 体幹強化(痛みが出ない範囲で)

最も重要なのは痛みが悪化しない範囲内で活動することです。

活動後に痛みが増したり、翌日に痛みが残ったりする場合は、その活動は現段階では適切ではありません。

このような判断は個人では難しいため、必ず医師に相談して適切な活動レベルを決めてもらいましょう。

診察を受けて身体の状態を確認し、医師の指導のもとで段階的に負荷を上げていくことが大切です。

また、必ずチームの指導者や医療スタッフとの相談も重要です。短期的な休養によるパフォーマンスの低下を恐れるより、長期的な視点で競技人生を考える必要があります。

適切な対応によって、症状を悪化させることなく可能な限り競技を続けながら回復を目指せるでしょう。

本格復帰するまでの段階別リハビリ

グロインペイン症候群から競技に本格復帰するには、症状の程度に応じて段階的にリハビリを進めることが不可欠です。

本記事では、2つのステージに区切って説明していきます。

ステージ1|痛みを抑えながら筋肉を目覚めさせる

このステージの目的は、炎症を悪化させずに筋肉の機能を回復させることです。

痛みがある状態でも低負荷のトレーニングから開始しましょう。

主なトレーニング内容

  • 基本的な体幹安定化エクササイズ
    • プランク(20-30秒から開始)
    • サイドプランク(痛みが出ない範囲で)
    • ブリッジ(お尻を上げる運動)
  • 腹横筋の活性化
    • 仰向けで膝を立て、へそを背中に近づけるように軽く力を入れる
    • 呼吸と連動させて10回×3セット
  • 内転筋のストレッチ
    • 股割り
    • 伸脚
    • ペアを組んで内転筋のストレッチ

このステージでの注意点としては、痛くない範囲で必ず行うことです。運動後に痛みが増すようであれば、強度を下げるか一時中止しましょう。

継続性を重視し、毎日少しずつでも症状に応じて2週間〜4週間続けます。

痛みの改善とともに、これらの運動が楽に行えるようになったら次のステージに進んでください。

ステージ2|負荷を上げて競技動作に近づける

ステージ1で基本的な筋機能が回復したら、より競技に近い動作への適応を図ります。(文献1

主なトレーニング内容

  • 内転筋の段階的強化
    • チューブを使った内転筋トレーニング
    • 横向きでの脚上げ運動
  • 動的な体幹安定化
    • プランクからの手脚上げ
    • キック動作を確認する
  • スポーツ動作の導入
    • 軽いジョギングから徐々にダッシュへ
    • ボールを使ってパスを短い距離から徐々に長くする

負荷は段階的に上げるのがポイントですが、どのように上げていけば良いのかなどわからないことがある場合は専門医に相談しましょう。

このステージは個人差が大きいため、症状の変化を注意深く観察しながら進めましょう。

グロインペイン症候群の治療選択肢「再生医療」について

再生医療は、スポーツ選手の腱や筋肉の損傷に対して適用されており、競技復帰を目指すアスリートにとっても選択肢となる治療法です。

ただし、再生医療を検討する場合でも、基本的なリハビリは継続する必要があります。

再生医療と並行してリハビリを実施して、スポーツへの早期復帰を目指しましょう。

再生医療について詳細は、以下をご覧ください。

手術しなくても治療できる時代です。

スポーツ外傷は⼿術しなくても治療できる時代です。

まとめ|痛みを繰り返さないために出来る最後のひと押し

グロインペイン症候群は決して治らない病気ではありません。適切な知識と対処法があれば、症状の悪化を防ぎ、競技復帰が可能です。

グロインペイン症候群かな?と思ったら、セルフチェックで現在の痛みの場所や程度を正確に把握しましょう。

そして、重要なのはやってはいけない動作を徹底的に避けることです。急性期の無理な運動継続、回復期の急激な競技復帰は、症状の慢性化と再発の要因になってしまいます。

痛みがなくなりリハビリのフェーズに入ったら、医師に相談の上で症状が悪化しない範囲内で改善を目指します。

自己判断で症状を悪化させる前に、スポーツ整形外科や再生医療に詳しい医療機関を受診し、あなたの競技人生を守るために、今できることから始めましょう。

リペアセルクリニックでは、グロインペイン症候群などのスポーツ外傷に対して再生医療を提供しております。症状でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

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グロインペイン症候群に関するよくある質問

グロインペイン症候群はどのくらいで治りますか?

症状の程度と治療開始時期によって大きく異なります。

軽症の場合は適切な安静と保存療法で1-2カ月で改善することが多いですが、重症の場合や慢性化している場合は数カ月かかることもあります。

早期発見・早期治療が回復期間を大きく左右するため、症状を感じたら早めに専門医を受診しましょう。

また、単に痛みが取れるだけでなく、根本的な原因(筋力バランス、柔軟性、動作パターン)を改善することで、再発を防げます。

効果的なストレッチはありますか?

急性期に痛みが出るようなストレッチは症状を悪化させる可能性があるため避けてください。

回復期以降は、内転筋のストレッチが効果的とされていますが、痛みが出ない範囲で行うことが重要です。

具体的には、座位での股割りストレッチや、仰向けでの内転筋ストレッチなどがありますが、必ず専門家の指導のもとで正しいフォームで行ってください。

間違ったストレッチは症状を悪化させるリスクがあるため、自己流ではなく専門医やトレーナーに相談をおすすめします。

自転車でのトレーニングは続けても良いですか?

自転車トレーニングは、一般的にグロインペイン症候群に対して比較的負担の少ない運動とされています。

ただし、症状の程度と自転車の乗り方によって判断が変わります。痛みが出ない回復期であれば、エアロバイクでの軽度な有酸素運動は体力維持に有効です。

しかし、ペダルを強く踏み込む動作や、前傾姿勢での長時間のサイクリングは鼠径部に負担をかける可能性がありますので、まずは短時間・低強度から始めて、症状の変化を注意深く観察してください。

運動後に痛みが増すようであれば一時中止し、専門医に相談をおすすめします。

参考文献

(文献1)日本スポーツ整形外科学会(JSOA)「スポーツ損傷シリーズ 11.鼠径部痛症候群(グロインペイン症候群)」2023年 https://jsoa.or.jp/content/images/2023/05/s11.pdf (最終アクセス:2025年5月25日)

 

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