捻挫の腫れ、これって病院に行くべき?5つの症状チェックで判断を!
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捻挫の腫れ、これって病院に行くべき?5つの症状チェックで判断を!
足を捻ってから痛みがあり、「軽い捻挫かな」と思っていませんか。
症状がひどい場合は病院に行くべきか、何科を受診するか迷っている方も多いと思います。軽症であれば湿布や安静による経過観察でいいかもしれませんが、しばらく経っても痛みが治らない場合は、ただの捻挫ではないかもしれません。内出血や腫れがひどい場合は、靭帯断裂や骨折の可能性もあります。
この記事では、捻挫で病院を受診するべき判断材料になる重症度を、5つのチェック項目に基づいて解説していきます。

捻挫とは
捻挫の多くは外傷が原因で、スポーツ中や歩行中などに段差を踏み外して、足関節を捻った場合などに生じます。
大部分は、距骨と足関節の外側にある腓骨(:ひこつ)を結び付けている外側の靱帯(前距腓靭帯)の損傷で、この部分の損傷が捻挫の90%を占めるという報告もあります。小児では靱帯よりも骨のほうが弱いので、靱帯が付いている骨の部分が剥離する「裂離骨折」も多くなってきます。
症状は、足関節外側の腫れ、痛みであり、体重をかけた場合に痛みが悪化することが多く、歩行が困難な場合もあります。
軽度の靭帯損傷が最も多く、その場合にはギプスやシーネ、サポーターで保存的に治療することが可能です。しかし、骨折の場合や靭帯の完全断裂、昔の捻挫によって足関節の不安定性がある場合には手術を要することもあります。そのため、初期の重症度の診断、治療が大切になります。
捻挫の重症度チェックリスト
足首を捻挫した時などに使われる重症度のチェックリストにOttawa Ankle Rule(以下、オタワ アンクル ルール)というものがあります。
このチェックリストは5項目からなり、該当する項目が1つでもあれば骨折が否定できないため、レントゲン写真を撮影した方がよいという指標です。逆にどれにも該当しなければ、骨折の可能性は低く、レントゲン写真は不要と考えてよいです。
オタワ アンクル ルールの5項目
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上の項目に1つでも当てはまる方は病院への受診をお勧めします。
一方で、靭帯の完全断裂については明確なチェックリストはないのですが、一般的に重症な靭帯損傷では痛みが強いため、オタワアンクルルールに該当することとなり、いずれにしても病院への受診を考えた方がいいという結果となります。
捻挫についてよくある質問
Q: 捻挫をした場合どうしたらいいですか?
A:まずは痛みの部位を確認して、体重をかけることができるか確認しましょう。痛みの部位はチェックリストを参考にして、くるぶしの内・外側、かかとの外側、足背から内側にかけて押して確認します。押して痛みがある場合や体重をかけることができない場合には、病院受診をお勧めします。
また、初期対応として「POLICE」を行ってください。
POLICEとは
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急性期には負荷をかけられないので、怪我をした直後は包帯で圧迫してアイシングを行い、足を挙上しておくようにしましょう。冷感湿布による冷却も、炎症の鎮静に効果的です。
Q:どのくらいで治りますか?
A:軽度の靭帯損傷で、手術が必要ない場合には足関節をシーネやギプスで最低3週間固定することが推奨されており、長い場合には6週間程度固定を行うこともあります。また、スポーツの復帰時期については症状経過によります。
一般的には痛みがなくなった後からサポーターをして、ウオーキング、ジョギングなどの軽いスポーツから復帰し、徐々に元の競技へ復帰とします。その間にチューブやタオルを使って足関節周囲筋を鍛えておき、必要であれば予防のためのリハビリも行う場合があります。
Q:捻挫をしてから時間が経過したが、痛みが残っている時はどうしたらいいですか?
A:捻挫による靭帯損傷は重症度により3段階に分類されます。このうち最も重症な「靭帯の完全断裂」では手術も検討されますし、治療が適切に行われなかった場合には足関節の不安定性を生じてしまいます。また、捻挫と思っていても、距骨という骨の軟骨が損傷してしまっていることもあります。
このように、痛みが残っている場合には、足関節の不安定性や軟骨損傷の有無など、原因を詳しく調べる必要があるため早めの病院受診が大切です。
まとめ・捻挫は病院での初期の診断と治療が大切!
捻挫はありふれた症状であり、軽く考えている方も多いかもしれませんが、症状が強い場合には、骨折や靭帯の完全断裂の可能性もあります。
また、多くの捻挫は怪我をしてから数ヶ月すると強い痛みは取れ、日常生活に支障はなくなります。しかし、症状が軽いからといって無理をすると関節内に二次的な損傷が進行することがあります。
このような関節内の損傷は、“変形性関節症”へと進行する原因にもなるため、早めに病院で診断・治療を受けることが大切です。
この記事がご参考になれば幸いです。
No.121
監修:医師 坂本貞範