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不整脈に良い食べ物や飲み物とは?避けたいものも含めて現役医師が解説

不整脈に良い食べ物
公開日: 2025.06.29

「健康診断で不整脈の疑いがあると指摘された」

「病院を受診した方がよいのだろうが、怖い気持ちもある」

「不整脈に良い食べ物があるなら、まずはそれを試してみたい」

不整脈を患っている方の中には、このように考えている人もいるでしょう。

不整脈の治癒に効果のある食べ物や飲み物は存在します。一方で、摂りすぎると不整脈を悪化させてしまう食品も複数あるため、食事の管理は非常に大切です。

本記事では、不整脈と食事の関係について紹介します。食事での注意に加えて、病院受診の目安についても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

不整脈に良い食べ物・飲み物一覧

不整脈を良くするためには、心臓の筋肉に良い食事や、不整脈の原因のひとつでもあるストレスを軽減する食事を摂ることが大切です。

不整脈に効果のある栄養素や、その栄養が多く含まれる食品を紹介します。

カリウムが多く含まれているもの

カリウムは、人体に必要なミネラルの1つです。

ナトリウムを排出する働きがあるため、摂りすぎた塩分を調節する役目を担っています。

細胞や神経、筋肉が正常に機能するためにも必要な物質で、心臓の筋肉(心筋)の収縮にも関与しています。

カリウムの濃度が低下するとこういった働きに影響がでるほか、不整脈を起こすリスクも上がります。不整脈のほかにも脱力感、食欲不振などを起こす可能性があるため、積極的にとるようにしましょう。

「日本人の食事摂取基準(2025年版)」によると、カリウムの目標摂取量は男性3,000mg/日、女性は2,000mg/日です。(文献1)

カリウムが多い食品として、

  • バナナ(1本につき454mg)
  • ほうれん草1/4束(生で621mg茹でて311mg)
  • 干し芋(2枚588mg)

などがあります。

ただし、カリウム濃度が高くなりすぎても不整脈を招くことがあるため、食べ過ぎないようにしましょう。

マグネシウムが多く含まれているもの

マグネシウムは筋肉の収縮や神経情報の伝達、体温・血圧の調整に役立ちます。

心臓の筋肉が収縮するにはカルシウムも必要な要素になります。マグネシウムはカルシウムと競合することで、心臓の収縮をちょうど良い強さに調整しているのです。

また、マグネシウムは心臓の拍動を穏やかにし、不整脈の発生を防ぐ働きもあります。

マグネシウムの1日の推奨平均摂取量は男性で約350mg、女性で約300mgとされています。(文献1)

マグネシウムは以下の食べ物などに多く含まれています。

  • 乾燥カットわかめ(1人分10gにつき460mg)
  • 殻付きあさり(10個あたり100mg)
  • 納豆(1個につき100mg)

ノンカフェイン飲料

カフェインが含まれていない飲み物は、心拍への刺激が少ないため、不整脈が気になる方にとってはおすすめです。

寝る前にコーヒーやアルコールを飲む人は、ノンカフェイン飲料に切り替えると睡眠の質が高まり、不整脈のリスクの1つであるストレス軽減につながります。

ノンカフェインの飲み物としては、麦茶やルイボスティー、黒豆茶、小豆茶、白湯などがあげられます。

嗜好品としてコーヒーが好きな人は味が似ているデカフェをコーヒーの代用として飲むのもおすすめです。

スーパーやデパート、コンビニなどで購入できます。自分の好きな味を模索するのも良いでしょう。

不整脈のために避けたい食べ物・飲み物

不整脈を良くするためには、摂取量を減らすべき食べ物・飲み物を理解し食事の調整を行うことが重要です。

以下で紹介している避けたい食べ物・飲み物は、過度な摂取を控えれば食べても問題はありません。

塩分が多い食品

塩分を過剰に摂ってしまうと、心臓で「アルドステロン」と呼ばれるホルモンが作られやすくなります。

アルドステロンは、心臓の筋肉を硬くしたり、不整脈を誘発することが知られています。

また、塩分そのものが、心臓の正常な電気のリズムを乱す原因となり、不整脈が起こりやすい状態を作り出します。

塩分を摂りすぎると、体内の塩分濃度を下げるために血液中の水の量が増えます。その結果血液量が増加すると、心臓への負担が増えてしまい血管にも強い圧力がかかってしまうのです。

1日の適正な食塩摂取量は、男性7.5g未満、女性6.5g未満とされています。

塩分の多い食品は以下の通りです。

  • カップ麺などの超加工品
  • ハム、ソーセージなどの加工食品
  • パスタ料理(ミートソースやカルボナーラなどの味の濃いソース)
  • 漬物
  • 塩魚(塩鮭、塩さばなど)

重要なのは、1日当たりの適正量を守ることです。極端な塩分制限は心身のストレスになる可能性があるため控えましょう。

動物性脂肪が多い食品

脂質の摂り過ぎは肥満や生活習慣病の原因となります。とくに動物性脂肪が多い食品は飽和脂肪酸が多く含まれており、血中コレステロールの増加や、心筋梗塞などの循環器疾患のリスクを高めてしまいます。

肥満および心疾患は、不整脈を引き起こす大きな原因になります。動物性脂肪が多い食品は食べ過ぎないように心がけましょう。

動物性脂肪は

  • 脂身の多い肉
  • 乳製品、バターやラードを多用した料理(菓子パンや洋菓子など)

などに多く含まれています。

カフェイン飲料

カフェインは心臓を直接刺激して心拍数を増やし、心臓の収縮力を高める作用があります。アドレナリンのような興奮物質(カテコールアミン)の放出を促すためであるといわれています。

適量であれば不整脈の原因にはなりませんが、一日の推奨摂取量を越えると心臓の細胞に直接働きかけ、電気活動を乱してしまうことがあります。

その結果、頻脈(心拍が速くなること)、心室細動(命に関わる危険な不整脈)を引き起こすリスクが高まってしまうのです。

日本においては、カフェインの1日摂取量の目安は示されていませんが、カナダ保健省では健康な成人の場合最大400mg/1日(コーヒーをマグカップ3杯)までと設定しています。(文献2)

エナジードリンクやコーヒーの多量摂取は控えましょう。

アルコール

アルコールの多量摂取は心筋細胞の損傷や、自律神経を不安定にするため注意が必要です。

大量のアルコールを摂取すると、心臓に急性の電気的変化を引き起こし、心房細動と呼ばれる不整脈の発症リスクを高めてしまいます。

適切な飲酒量は、1日あたりの平均純アルコール量で男性は40g未満、女性は20g未満とされています。

純アルコール20gとは、日本酒1合、ビール500ml、缶チューハイ350ml程度の量です。

不整脈に良い食べ物を無理なく生活に取り入れる工夫

不整脈に良い食べ物を新たに取り入れることが難しいと感じる人もいるでしょう。

不整脈に良い食事習慣を長く続けるためには、少しずつ取り入れることが大切です。

  • 普段の朝食にカリウムが豊富なバナナやマグネシウムが含まれる納豆をプラスする。
  • 漬物を食べる量を今までより減らす。
  • 寝る前に飲むものをノンカフェインのお茶や白湯に切り替える。
  • 習慣としてコーヒーを飲んでいる人はノンカフェインのコーヒーに変える。
  • 調味料を減塩タイプのものに変える。

普段の生活の中で少しずつ取り入れ、無理なく食生活を変えていきましょう。

不整脈予防・改善にはバランスの良い食事と治療が大切

不整脈に良いものを食べることから始める食生活の改善は、生活習慣病予防の観点から見ても非常に大切なことです。

不整脈の症状を改善するためには「カリウム」「マグネシウム」を食事の中で取り入れましょう。

一方で、「カフェイン」「塩分」「動物性油脂」「アルコール」は過剰に摂取すると不整脈のリスクを高めます。

心室細動と呼ばれる不整脈を引き起こすこともあり、命の危険に及ぶ場合もあります。

食生活を変えてもあまり効果を感じない、症状が長期化するといった場合は、ほかの原因も考えられます。

必要に応じて医療機関を受診しましょう。

不整脈の現状を正しく知り、食生活の改善や必要な治療といった適切な対処を行うことが症状を良くする第一歩です。

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不整脈に良い食べ物に関するよくある質問

不整脈に良い飲み物の中にトマトジュースは含まれますか?

トマトはカリウム量が多く(1個当たり315mg)、トマトジュースには200mlあたり546mgのカリウムが含まれています。

トマトジュースは生のトマトよりカリウム量が多いので、1日1パック程度にとどめましょう。

慢性の腎臓病がある方は、カリウムを摂り過ぎると高カリウム血症を引き起こす可能性があるため、トマトジュースは控えてください。

カリウム濃度が高すぎても不整脈が起こりやすくなってしまうため、適量を見極めることが重要です。

また、普段塩分を摂りすぎている方は減塩タイプのトマトジュースを摂りましょう。

不整脈に効くサプリメントはありますか?

不整脈に直接作用するサプリメントはありません。

カリウムやマグネシウムなど、不整脈に良い栄養を補うサプリメントは市販されています。

しかし、サプリメントは足りない栄養素を補助するものであり、サプリメントを過剰摂取すると体に悪影響を及ぼす可能性があります。

マグネシウムのサプリメントの過剰摂取は下痢や吐き気、カリウムの過剰摂取は不整脈や心電図異常、四肢のしびれなどを引き起こす可能性があります。

サプリメントの摂取を希望される方は、医師や薬剤師に相談しましょう。

参考文献

(文献1)

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年)策定検討会報告書」 2024年

https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316585.pdf(最終アクセス:2025年6月26日)

(文献2) 厚生労働省「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A ~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170477.html(最終アクセス:2025年6月26日)

 

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