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熱中症の後遺症はなぜ起きる?残る症状と治療・回復の目安を解説

「熱中症に後遺症はあるのか」「熱中症の後遺症にはどのような症状があるのか」と気になっている方も多いでしょう。
熱中症は、回復後に後遺症を起こす可能性があり、なかには重篤な症状を引き起こすケースも存在します。
本記事では、熱中症の後遺症を詳しく解説します。
後遺症の代表的な症状や原因、回復までの目安、そして予防のポイントまで紹介しているので、熱中症後の体調不良に悩んでいる方や、予防策を知りたい方はぜひ参考にしてください。
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目次
熱中症の後遺症とは?どんな症状が残るのか
熱中症は、重症化すると命に関わるだけでなく、適切な治療を受けて一時的に回復しても、体の機能や神経系に影響が残る場合があります。
後遺症は数日〜数週間続くこともあれば、まれに長期間続くこともあります。
以下は、熱中症の主な後遺症の例です。
- 頭痛
ズキズキ・締め付けられるような痛みが続く - 食欲不振・倦怠感
体のだるさや食欲の低下 - めまい・ふらつき
回転感や足元の不安定感 - 臓器の障害
心臓・肝臓・腎臓などの機能低下 - 中枢神経障害(高次脳機能障害)による認知機能の変化
記憶力や判断力の低下、情緒の変化 - 自律神経の乱れ・体温調節障害
体温がうまくコントロールできず、ほてりや冷えが続く
日常生活に影響を及ぼす症状はもちろん、重篤な症状を引き起こすリスクもあるため、注意が必要です。
熱中症の後遺症について詳しく見ていきましょう。
頭痛
熱中症から回復した後も、慢性的な頭痛に悩まされるケースがあります。
頭痛を起こす原因としては、熱中症によって脳の血管が一時的に収縮したり、脱水による影響が残ったりすることが考えられます。
とくに、頭痛が長く続いたり、頻繁に発生したりする場合は、単なる体調不良と片付けてしまうケースも少なくありません。
熱中症の後に日常生活に支障をきたすほどの頭痛が続く場合は、医療機関を受診し、医師の診断と適切な治療を受けましょう。
食欲不振・倦怠感
熱中症の後遺症として、食欲不振や強い倦怠感が続く場合があります。
これは、熱中症によって体内の水分や電解質のバランスが崩れ、自律神経に影響が出るためです。
食欲がない状態が続くと、必要な栄養が摂れず、さらに倦怠感が悪化する悪循環に陥るケースもあります。
熱中症後に食欲不振や倦怠感が生じる際は、無理せず消化の良いものを摂取し、十分な休息をとりましょう。
症状が長引く場合は、医療機関へ相談してください。
めまい・ふらつき
熱中症による脱水や脳への血流不足が原因で、回復後もめまいやふらつきが続くケースがあります。
これらの症状は、三半規管や脳の機能に一時的な障害が残っている可能性があるためです。
症状は立ちくらみのような一瞬のものから、フワフワとした浮遊感が続くものまでさまざまです。
めまいやふらつきが続くと、転倒によるけがのリスクも高まります。
症状が改善しない場合や悪化がみられる場合は、医療機関の受診を検討しましょう。
臓器の障害
重度の熱中症の場合、体温が異常に高くなることで肝臓や腎臓などの臓器に深刻なダメージが及ぶことがあります。
たとえば、腎臓機能が低下して急性腎不全を起こしたり、肝細胞が破壊されて肝機能が悪化したりするケースです。
こうした臓器障害は、熱中症からの回復後も長期的な影響を及ぼすことがあり、場合によっては定期的な検査や治療が欠かせません。
さらに、重症例では永久的な機能障害が残る可能性もあるため、重症熱中症の既往がある方は、医療機関での定期的な検査が必要です。
中枢神経障害(高次脳機能障害)による認知機能の変化
熱中症の後遺症の中でも重篤なものの1つが、中枢神経障害や高次脳機能障害です。
これは、熱中症により脳への血流が不足し、神経細胞が損傷を受けることが原因です。
症状としては、記憶力や判断力の低下、感情の起伏が激しくなる、神経が過敏になる、さらにはけいれん発作などがあげられます。
こうした障害は、発症から時間が経つほど回復が難しくなり、場合によっては永久的に機能が失われる可能性があります。
そのため、少しでも異変を感じた場合は早急に医療機関を受診し、必要な検査や治療を受けることが大切です。
自律神経の乱れ・体温調節障害
熱中症を経験した後、一部の方に自律神経の乱れが残る場合があります。
自律神経は、体温や心拍、血圧、発汗などを自動的にコントロールする神経で、暑さや寒さに対する体の反応を調整するものです。
重度の熱中症では、脳や脊髄の視床下部など、自律神経の中枢がダメージを受けることがあり、その結果、体温調節機能が低下します。
主な症状は以下のとおりです。
- 以前より暑さや寒さに弱くなる
- 急に汗が出なくなる、または過剰に汗をかく
- めまい・立ちくらみが起こりやすくなる
- 倦怠感や集中力の低下が続く
このような体温調節障害は、日常生活にも影響を与える可能性があります。
症状が長引く場合は、神経内科や自律神経外来での検査・治療が推奨されます。
回復のためには、十分な休養と水分・塩分補給、生活リズムの安定が重要です。
また、徐々に体を暑さに慣らすことで、体温調節機能の改善が期待できます。
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熱中症の後遺症が起こる原因
熱中症は、体温が異常に上昇した状態が続くことで、体や脳に深刻なダメージを与える病気です。
とくに脳は高温に弱く、わずか数分〜十数分の高体温でも神経細胞に障害が生じることがあります。
さらに高温状態が長く続くと、そのダメージは回復しにくく、後遺症として残ってしまう可能性があります。
ここでは、熱中症の後遺症を引き起こす主な原因を3つ解説していきます。
高体温による脳細胞・神経へのダメージ
高体温の状態が続くと、脳の細胞や神経は大きな負担を受けます。
とくに体温が41℃を超えるような状況では、脳のたんぱく質が変性しやすくなり、神経伝達が正常に行われなくなる可能性があります。
これにより、意識障害やけいれん、記憶障害などの症状が現れることがあるのです。
さらに、脳細胞は一度損傷すると再生が難しいため、後遺症として記憶力や集中力の低下などが残るケースもあります。
そのため、高体温が疑われる場合は早急な体温の低下と医療機関での対応が重要です。
脱水と動脈硬化による血栓・脳梗塞のリスク
脱水は血液の水分量を減らし、血液をドロドロの状態にさせます。
このような状態は血栓(血の塊)ができやすく、動脈硬化が進んでいる場合には血流がさらに悪化します。
結果として脳の血管が詰まり、脳梗塞を引き起こす危険性が高まるのです。
とくに高齢者や生活習慣病を抱えている方は、熱中症による脱水が重大な合併症のきっかけとなるため注意が必要です。
ホルモンバランスや臓器機能の乱れ
熱中症により体温が異常に上昇すると、体は生命維持のために防御反応を起こします。
防御反応を起こす際、「サイトカイン」と呼ばれる生理活性物質が過剰に生成されます。
サイトカインは、炎症反応を調整する重要な役割を持つタンパク質です。
通常サイトカインは健康を保つ上で重要な役割を持っていますが、過剰に生成されるとバランスが崩れ、炎症の悪化や脳・臓器への異常を引き起こす原因となります。
この状態が続くと臓器機能の低下やホルモンバランスの乱れが長引き、後遺症につながる可能性があるため注意が必要です。
早めの受診が命を救う|迷ったときは救急車を
熱中症や熱中症の後遺症は、初期対応が遅れるほど重症化しやすく、脳や臓器に長く影響を残す危険があります。
とくに意識がもうろうとしている、呼びかけに反応が鈍い、吐き気やけいれんがある場合は、一刻を争う状態です。
自己判断で様子を見るのではなく、迷ったらすぐに救急車を呼んでください。
医療機関での迅速な処置によって、回復の可能性は大きく高まります。
早期の受診は、命を守るだけでなく、後遺症を予防する最も確実な方法です。
熱中症の後遺症が残りやすい人の特徴とリスク要因
熱中症の後遺症は誰にでも起こり得ますが、とくに以下のような条件に当てはまる方はリスクが高くなります。
- 高齢者や乳幼児など、体温調節機能が未発達または低下している人
→ 発汗や血流による放熱がうまくできず、体温が上がりやすい。 - 心疾患や糖尿病などの持病を持っている人
→ 循環機能や代謝が制限され、体温管理が難しくなることがある。 - 暑さに慣れていない、または急激に気温が上がった環境にいる人
→ 汗のかき方や血流の調整が間に合わず、体温が急上昇しやすい。 - 屋外での肉体労働やスポーツを長時間行う人
→ 筋肉運動による発熱が多く、さらに直射日光や高温環境で熱がこもりやすい。 - 水分補給や塩分補給が不足している人
→ 発汗で失った水分・塩分を補えず、脱水や電解質バランスの乱れを起こしやすい。
これらに当てはまる場合、軽症の熱中症でも油断は禁物です。
体調の変化を見逃さず、早めに涼しい場所で休息を取り、必要に応じて医療機関を受診しましょう。
高齢者や既往症がある人は注意が必要|軽症でも油断は禁物
高齢者や心疾患、糖尿病、腎臓病などの既往症がある人は、体温調節機能や循環機能が低下しているため、熱中症の影響を受けやすくなります。
軽症であっても回復に時間がかかり、後遺症が出るリスクが高まります。
症状が軽くても、自己判断せずに早めに医療機関を受診することが大切です。
一度熱中症になると再発リスクが上がる?
熱中症を一度経験すると、その後しばらくは体温調節機能が十分に回復せず、再び熱中症を起こしやすくなるといわれています。
とくに発症から数週間は、同じ環境下で再発する可能性が高いため、炎天下での作業や運動は避け、水分・塩分補給や休憩をこまめに行うことが重要です。
熱中症の後遺症は治る?治療と回復までの目安
熱中症の後遺症に対する治療は、症状の程度によってアプローチが異なります。
めまいや倦怠感など比較的軽度な症状の場合、十分な休息と水分・塩分補給が基本となります。
経口補水液などで体内の電解質バランスを整えることが大切です。
必要に応じて、頭痛や吐き気などの症状を和らげるため、投薬治療が行われるケースもあります。
一方、脳機能への影響や神経障害など重度の後遺症に関しては、現時点で根本的に治す方法は確立されていません。
ただし、症状の軽減や機能回復を目指すため、継続的なリハビリテーションが可能です。
理学療法や作業療法、認知機能訓練など、専門家による継続的なケアが、失われた機能の回復につながる可能性があります。
また、近年では再生療法による後遺症の治療も提供されています。
リペアセルクリニックでも再生療法を提供しているため、気になる方はぜひご相談ください。
いずれのケースでも、症状が長引く場合は自己判断せず、速やかに医療機関を受診し、専門医の診断のもと適切な治療を開始するのが重要です。
自然回復するケースと長引くケースの違い
熱中症の後遺症は、症状の程度によって回復までの期間が大きく異なります。
軽度の熱中症であれば、数日から1週間程度で自然回復することが多いです。
軽い頭痛や倦怠感、集中力の低下などは、十分な休養と水分・塩分補給を行うことで改善が期待できます。
一方、長引くケースは、重度の熱中症によって脳や神経、腎臓などにダメージが及んだ場合に見られます。
この場合、自律神経の乱れや慢性的な疲労、記憶力の低下、めまいなどの症状が数週間から数か月続くこともあります。
とくに高齢者や基礎疾患を持つ方は回復が遅れやすく、後遺症が長期化しやすいです。
症状が長引く場合は「そのうち治る」と自己判断せず、早めに医療機関を受診して必要な検査や治療を受けることが大切です。
病院は何科を受診すれば良い?
熱中症の後遺症が疑われる場合は、症状に合わせて受診する診療科を選ぶことが大切です。
頭痛・めまい・倦怠感などの全身症状がある場合
まずは内科(一般内科)を受診しましょう。
熱中症後の全身状態をチェックしてもらい、必要に応じて精密検査を行います。
しびれ・手足の動かしづらさ・言葉の出にくさなど神経症状がある場合
脳神経内科や神経内科の受診がおすすめです。
脳や神経系に異常がないかを確認できます。
物忘れ・集中力の低下・情緒不安定などの精神的な症状がある場合
精神科や心療内科の受診が適切です。
必要に応じて心理士や作業療法士によるサポートも受けられます。
当院では、熱中症の後遺症にお悩みの方の診察が可能です。
熱中症の後遺症が疑われる方や、治療法を探している方は、ぜひ一度リペアセルクリニックのメール相談やカウンセリングにてご相談ください。
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後遺症の治し方と回復のための生活習慣
熱中症の後遺症を改善するには、医療機関での治療に加えて、日常生活でのセルフケアが重要です。
回復を促すための生活習慣のポイントは次の通りです。
十分な睡眠を取る
睡眠は自律神経や脳の回復に欠かせません。
できるだけ規則正しい時間に就寝・起床するようにしましょう。
栄養バランスの取れた食事
たんぱく質・ビタミン・ミネラルをバランス良く摂取することが、体力の回復や神経機能の改善につながります。
とくにビタミンB群やマグネシウムは神経の働きを助けます。
適度な運動
体調が安定してきたら、軽いストレッチやウォーキングなどから始めましょう。
血流が改善され、疲労回復が促進されます。
水分補給を意識する
後遺症がある間も、体は水分不足の影響を受けやすくなります。
こまめな水分補給を心がけてください。
ストレスをためない
精神的なストレスは自律神経の乱れを悪化させる可能性があります。
深呼吸や軽い瞑想など、リラックスできる時間を作ることが大切です。
こうした生活習慣を取り入れることで、熱中症の後遺症からの回復を早め、再発の予防にもつながります。
熱中症の後遺症を防ぐポイント
熱中症の後遺症は、長期にわたり生活に影響を及ぼす可能性があります。
後遺症を起こさないためには、熱中症を予防するのが大切です。
もし熱中症になったとしても、重症化を阻止すれば、重篤な後遺症のリスクを軽減できます。
ここでは、熱中症の後遺症を防ぐポイントを2つ紹介します。
熱中症を予防する
熱中症の後遺症を根本的に防ぐためには、熱中症そのものにならないことが大切です。
具体的には、以下の予防策が挙げられます。
- こまめな水分・塩分補給をする
- 暑さを避ける
- 吸収性や速乾性に優れた衣服を着用する
気温が高い時期は、のどが渇いていなくても定期的に水分を摂りましょう。
とくに汗をたくさんかくときは、スポーツドリンクや経口補水液などで塩分やミネラルも補給するのが大切です。
吸湿性や速乾性に優れた素材の服を選んだり、日傘や帽子を着用したりするのも熱中症対策に効果的です。
暑さによる体調不良が疑われる場合は、無理をせず涼しい場所で涼みましょう。
体調変化の早期察知と正しい対処が重要
熱中症は、発症後の初期対応の速さが後遺症の有無を大きく左右します。
たとえ軽い症状であっても、「いつもと違う」体調の変化を感じたら放置しないことが大切です。
めまい、倦怠感、頭痛、吐き気、集中力の低下などが見られたら、まずは涼しい場所で休み、水分と塩分を補給しましょう。
「ただの体調不良かもしれない」「様子を見れば治るはず」と自己判断して対応が遅れると、重症化して後遺症が出るリスクが高まります。
些細な体調不良でも放置せず、念のため医療機関を受診するのが大切です。
まとめ|熱中症の後遺症は早期対処と予防が大切
熱中症の後遺症として、頭痛や食欲不振、めまいなどの比較的軽い症状から、臓器の障害や高次脳機能障害といった重篤な症状までさまざまです。
重症化すると生活に大きな影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。
後遺症は、熱中症によってホルモンが過剰に生成されたり、血栓ができたり、臓器や神経が損傷を受けることによって発生します。
予防の基本は、そもそも熱中症にならないことです。
気温の高い日や湿度が高い日は、こまめに水分や塩分補給を行い、通気性の良い衣服を身に着け、直射日光を避けるなどの対策を心がけましょう。
また、頭痛やめまい、倦怠感などの体調不良を感じた際は、無理はせず休憩を取り、必要に応じて医療機関を受診してください。
なお、熱中症の後遺症に対しては再生医療という治療の選択肢もあります。
再生医療をご検討の際は、お気軽にお問い合わせください。