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下肢静脈瘤でやってはいけないことを現役医師が解説|日常生活から意識して悪化を防ごう

下肢静脈瘤やってはいけないこと
公開日: 2025.07.31

「ふくらはぎや太ももの血管が浮き出てきた」

「これは静脈瘤ではないだろうか」

「そのままにしていても大丈夫なのだろうか」

自分の足の変化を目にして、このような不安を抱えている方も多いことでしょう。

静脈瘤と聞いて、日常生活に支障をきたしたり、血管が詰まって命に関わったりするイメージを抱える方も少なくありません。

基本的に下肢静脈瘤は命に関わるものではなく、治療可能な疾患です。エコノミークラス症候群(急性肺動脈塞栓症)とは異なるものです。

ただし、下肢静脈瘤の悪化を防ぐために、やってはいけないことが複数存在します。

本記事では下肢静脈瘤でやってはいけないことや、悪化防止のためにやるべきことなどを解説します。

下肢静脈瘤に関する恐怖心を払拭するためにも、ぜひ最後までご覧ください。

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下肢静脈瘤でやってはいけないこと一覧

下肢静脈瘤でやってはいけないことは、主に以下の3点です。

  • 長時間同じ姿勢でいる
  • 締めつけの強い衣服や靴を着用している
  • 望ましくない生活習慣を続けている

長時間同じ姿勢でいる

長時間同じ姿勢でいることは、下肢静脈瘤の発症につながります。

立ちっぱなしや座りっぱなしなど長時間同じ姿勢でいると、下肢筋肉のゆるみや重力の影響で足の血流が滞ってしまいます。

その結果、下肢静脈の血圧上昇および血液逆流を防止する弁の損傷が生じます。弁が壊れると、本来心臓に戻るはずだった下肢の血液は行き場をなくして静脈内にとどまり、静脈瘤を発生させます。

締めつけの強い衣服や靴を着用している

ウエストがきついスカートやズボン、締め付けが強いガードルもしくはコルセットなどの着用は、下肢の血流を阻害します。

下肢の血流阻害は、静脈瘤の発生や悪化の原因です。同じ理由で、高いヒールの靴を長時間履き続けることも好ましくありません。ふくらはぎの筋肉の動きを制限し、ポンプ機能を阻害するためです。

市販の着圧ソックスも、選び方を間違えると下肢静脈瘤を悪化させる可能性があります。サイズが小さいものを選んだり、圧力が強いタイプのものを選ぶと、下肢が強く圧迫されるためです。

静脈瘤の予防や軽減のためには、医療用の弾性ストッキングを着用しましょう。医療機関で、自分に合ったサイズや正しい着用方法について指導を受けることが必要です。

望ましくない生活習慣を続けている

喫煙は、血管の健康状態を維持するために非常に重要な役割を持つ、血管内皮機能の障害につながります。(文献1)

コーヒーなどのカフェインには利尿作用があるため、摂り過ぎると尿量が増加します。その結果、筋肉に必要な水分やミネラルが不足して、こむら返りを引き起こす可能性もゼロではありません。

健康な成人においては、1日2~3杯のコーヒーまでが健康に悪くないカフェイン摂取量と考えられます。(文献2)

以下の記事では、下肢静脈瘤とコーヒーの関係について解説しています。あわせてご覧ください。

下肢静脈瘤悪化防止のためにやるべきこと

下肢静脈瘤の悪化防止のためにやるべきことは、主に以下の3点です。

  • 適度な運動でふくらはぎの筋肉を鍛える
  • 弾性ストッキングを正しく活用する
  • 就寝時に脚を少し高くする

適度な運動でふくらはぎの筋肉を鍛える

ウォーキングやスクワット、かかとの上げ下げ、階段の上り下りといった運動により、ふくらはぎの筋肉が収縮されます。ふくらはぎの筋肉が動くと、足先から心臓までの血流がスムーズになるため、下肢静脈瘤の予防や悪化防止につながります。

具体例を以下に示しました。

  • 職場内の移動手段を、できる範囲でエレベーターから階段に切り替える
  • 自宅から職場が近い方は歩いて通勤する
  • 立ち仕事や座り仕事の方は、休憩中にかかとを上げ下げする

WHOの「身体活動および座位行動に関するガイドライン(2020年)」においても、「座りっぱなしの時間を減らすべきである」と推奨されています。座っている時間を身体活動に置き換えることで、健康に良い効果を得られます。運動の強さは問わないとされていますので、今までより体を動かす時間を増やしてみましょう。(文献3)

弾性ストッキングを正しく活用する

弾性ストッキングとは、下肢静脈瘤治療の1つである、圧迫療法で使われるものです。

圧迫療法には、以下のような効果があります。(文献4)

  • ふくらはぎの筋ポンプ作用が強くなる
  • 静脈内の血流が速くなる
  • 静脈での血液逆流が予防できる
  • むくみが改善されるなどの効果がある

弾性ストッキングには、圧迫力やサイズ、形によってさまざまなタイプがあるため、自分に合ったものを選び、医師の指導のもと、正しく着用しましょう。購入時は医師の処方を受けてください。

就寝時に脚を少し高くする

寝るときに、クッションや枕で足を少し高くしてみましょう。重力の関係で、足の血液が心臓に戻りやすくなり、むくみや下肢静脈瘤の予防や改善が期待できます。

足を心臓より高い位置にし、膝を曲げた姿勢にすることがポイントです。膝を伸ばした姿勢で寝ると、足が疲れやすく、静脈還流の面でも望ましくありません。

静脈還流とは、心臓から出た血液が動脈を通って体中に行き渡った後に、静脈を通って心臓に戻ることを意味します。

下肢静脈瘤悪化予防のためのセルフケアについては、下記の記事でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

下肢静脈瘤における受診の目安

この章では、下肢静脈瘤において医療機関を受診すべき症状および、具体的な治療内容について解説します。

医療機関を受診すべき症状

医療機関を受診すべき症状としては、主に以下のようなものが挙げられます。

  • 足にこぶが見える
  • むくみやだるさがある
  • こむら返りを繰り返す
  • 足が疲れやすい

自分にとって不快な症状が現れて、すぐに治らない場合が受診の目安といえるでしょう。

下肢静脈瘤自体は緩やかな経過で命に関わるものではないため、治療を急ぐ必要はありません。しかし、他の疾患が隠れている可能性もあるため、気になる症状が出てきた場合は早めに受診しましょう。

受診先は、血管外科や内科、皮膚科、形成外科などです。近くに血管外科がない場合は、かかりつけ医に相談しましょう。

医療機関での治療内容

医療機関で行われる、下肢静脈瘤の主な治療内容を表に示しました。(文献5)

治療内容 詳細
圧迫療法

医療用弾性ストッキング、もしくは弾性包帯を使用して下肢を圧迫する方法。

下肢のむくみやだるさといった諸症状緩和や、静脈瘤の進行防止が目的。

硬化療法

静脈瘤の中に硬化剤を注入し、原因血管を固めて消失させる方法。

外来通院でも可能な方法で、クモの巣状静脈瘤や網目状静脈瘤など細い静脈瘤において適用となることが多い。

ストリッピング手術

特殊なワイヤーを用いて、静脈瘤の原因血管を除去する方法。

伏在型静脈瘤が主な適応だが、それ以外の静脈瘤に対しても治療の選択肢になりえる。再発も少ない。

高位結紮術

小さく切開した皮膚から静脈を糸で縛り、血液の逆流を止める方法。

日帰り手術が可能である。

血管内焼灼術

皮膚に小さく穴を空けて、そこからカテーテルを通して静脈に熱を加える方法。

熱を加えて血管を閉塞させることで血流や血液の逆流を止める。ラジオ波焼灼術とレーザー焼灼術がある。

治療内容は、下肢静脈瘤の種類や患者の症状によって異なります。

やってはいけないことを理解して下肢静脈瘤の悪化を防ごう

下肢静脈瘤は命に関わるものではなく、治療可能な疾患です。しかし、悪化防止のためには、やってはいけないこと、逆にやるべきことが存在します。

やってはいけないことは、長時間の同じ姿勢や、締め付けの強い衣服や靴の着用、望ましくない生活習慣などです。

やるべきことは、適度な運動や、正しい方法での弾性ストッキング着用、寝るときに足をあげることなどです。

下肢静脈瘤の予防および悪化防止のためにも、やってはいけないことと、やるべきことの両方を意識して、日常生活を送りましょう。

リペアセルクリニックでは、メール相談オンラインカウンセリングを実施しています。下肢静脈瘤についてお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。

下肢静脈瘤のやってはいけないことに関するよくある質問

下肢静脈瘤とコーヒーの関係性は?

1日2~3杯程度であれば、大きな影響はないとされています。ただし飲み過ぎると、利尿作用により尿量が増えて、血液が濃くなり、血流が悪くなる可能性があります。下肢静脈瘤に悪影響を及ぼしかねません。

そのため、水分補給の際は水や白湯、ノンカフェイン飲料などの摂取を心がけましょう。

下記の記事も参考にしてください。

下肢静脈瘤におけるマッサージは禁忌ですか?

力を入れたマッサージは逆効果ですが、適度な強さで実施すると足のむくみやだるさなどの症状緩和が期待できます。

足先から膝裏へと、下から上の方向でマッサージしてください。手のひらが皮膚に密着するような体勢でマッサージすると良いでしょう。

太ももに触れるときは、手に力を入れないようにしましょう。

下記の記事も参考にしてください。

参考文献

(文献1)

【第15回禁煙推進セミナー】 〈喫煙による健康被害 個人から社会へ〉2.血管内皮機能|日本循環器学会専門医誌

(文献2)

カフェインと睡眠 | NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター

(文献3)

WHO身体活動・座位行動 ガイドライン (日本語版)|日本運動疫学会

(文献4)

圧迫療法:基礎と理論|日本フットケア・足病医学会誌

(文献5)

下肢静脈瘤|慶応義塾大学病院 医療・健康情報サイト

 

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