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【医師監修】下肢静脈瘤を自分で治すことはできるのか|セルフケア方法とあわせて解説

「ふくらはぎの血管が浮き出ていて気になる」
「最近、血管がふくらんできているような気がする」
「足のむくみやだるさも出てきた」
このような症状があるときに、下肢静脈瘤を疑う方もいらっしゃるのではないでしょうか。下肢静脈瘤は自分で治せるものなのか、それとも病院へ行くべきなのか迷われる方も多いことでしょう。
結論として、下肢静脈瘤を自分で治すことは困難であり、医師による治療が必要です。しかし、正しいセルフケアにより症状の悪化を防げます。
下肢静脈瘤は命に関わるものではありませんが、放置するリスクは存在します。
本記事では、下肢静脈瘤を自分で治せない理由や放置のリスク、悪化防止のセルフケアについて紹介します。
下肢静脈瘤を悪化させないためにも、ぜひ最後までご覧ください。
目次
下肢静脈瘤は自分で治せない|医療機関で治療が必要
下肢静脈瘤は自分で治せないものです。運動やマッサージ、ツボなど自分で行えるセルフケアはありますが、これらはあくまでも予防および進行を抑えるものです。
下肢静脈瘤は、下肢の静脈圧が上昇し、逆流を防ぐ弁が壊れることで発症します。セルフケアで予防しつつも、発症した場合は医療機関での適切な治療が必要です。治療を受けながらセルフケアを続けることで、進行を抑えることが期待できます。
下肢静脈瘤を治療せず放置すると、さまざまなリスクがあるため放置は禁物です。
放置によるリスクの詳細は、次の章で解説します。
下肢静脈瘤を放置するリスク
下肢静脈瘤は命に関わる病気ではありませんが、自然に治るものではなく、徐々に進行していくため放置は禁物です。この章では、下肢静脈瘤を放置した場合に考えられる、2つのリスクについて紹介します。
静脈瘤性症候群(うっ滞性症候群)の発症
静脈瘤性症候群(うっ滞性症候群)は、下肢のむくみや湿疹、だるさや疲れ、色素沈着といった症状が出てくる疾患です。すねやふくらはぎに潰瘍ができてしまい、そこから強い痛みが生じることもあります。
原因の1つが下肢静脈瘤の放置です。症状改善のために、静脈瘤に対する手術治療が行われる場合があります。(文献1)
表在性血栓性静脈炎の発症
表在性血栓性静脈炎とは、下肢の表在静脈(皮膚のすぐ下にある静脈)で炎症および血栓が生じる疾患です。血栓以外では、皮膚の腫れや痛みなどの症状があります。(文献2)
血栓は静脈の壁にしっかりと付着しており、剥がれにくくなっています。また、表在静脈は筋肉に囲まれていないため、血栓が筋肉によって心臓や肺に押し出されることはありません。
表在性血栓性静脈炎は、エコノミークラス症候群(深部静脈血栓症)とは異なり、命に関わることはありません。しかし、表在静脈だけではなく深部静脈に血栓がある可能性も否定できないため、皮膚の腫れや痛みが強い場合は医療機関を受診しましょう。
深部静脈とは、太ももや膝の中心など身体の深い部分を走っている静脈です。深部静脈に血栓ができると重症化しやすく、命に関わる危険もあります。(文献3)
下肢静脈瘤のセルフケア
下肢静脈瘤の予防や悪化防止のためのセルフケアとしては、主に以下の3つが挙げられます。
- マッサージを行う
- ふくらはぎをこまめに動かす
- 医師の指示通りに弾性ストッキングを着用する
マッサージを行う
マッサージにより、足のむくみやだるさといった下肢静脈瘤の症状緩和が期待できます。
マッサージの主なポイントを以下に示しました。
- 足を前に伸ばした姿勢で行う
- 足先から膝裏(太もも)方向へマッサージする
- 手のひら全体が皮膚に密着するようにする
- 強い力を入れないで行う
力を入れ過ぎると逆効果になりますので、さするようにマッサージしましょう。
寝る前や入浴時などを利用して、毎日マッサージをおこなうことをおすすめします。1回につき2~3分で十分です。
ふくらはぎをこまめに動かす
ふくらはぎは第二の心臓と呼ばれています。ふくらはぎの筋肉が縮んだり膨らんだりする作用により、足に下がった血液を心臓に押し戻す役割、いわゆるポンプ作用があるためです。
ふくらはぎの筋肉をこまめに動かして、静脈の血流をスムーズにしていきましょう。
日中は、つま先もしくはかかとの上げ下げやスクワット、階段の昇り降り、ウォーキングなどの軽い運動がおすすめです。
寝る前には、あおむけの姿勢で両足を上げてブラブラさせてみましょう。
寝るときは、枕やクッションを膝下に入れて足を高くすると良いでしょう。
医師の指示通りに弾性ストッキングを着用する
弾性ストッキングとは、下肢静脈瘤治療で用いられる医療用ストッキングです。多くの場合、購入時には医師の処方を必要とします。
弾性ストッキングは日中の着用が推奨されています。日中は立ったり座ったりする時間が長くなり、重力の影響で血液が足の静脈にたまりやすいためです。弾性ストッキングの圧迫作用により血液循環の促進が期待できます。
ストッキング選びや着用方法については、医療機関での指導を受けるようにしましょう。
弾性ストッキングについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
下肢静脈瘤は治療とセルフケアで悪化防止に努めよう
下肢静脈瘤は、自分で治すものではなく医師の治療が必要な疾患です。本記事で紹介したセルフケアは「下肢静脈瘤を完全に治すもの」ではなく、「症状の悪化を防ぐもの」であると覚えておきましょう。
日常生活に支障をきたさないためにも、医師による治療とセルフケアの両方が大切です。下肢静脈瘤を放置するとさまざまなリスクで苦しむことになるため、必ず医療機関を受診してください。
リペアセルクリニックでは、メール相談やオンラインカウンセリングを行っています。
下肢静脈瘤の治療やセルフケアについて疑問や不安がある方は、お気軽にお問い合わせください。
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下肢静脈瘤を自分で治すことに関するよくある質問
下肢静脈瘤は何科を受診すると良いでしょうか?
下肢静脈瘤の受診先は主に血管外科です。しかし、地域によっては血管外科がない場合もあります。その際は、心臓血管外科、一般外科、皮膚科、形成外科などを受診しましょう。
該当する診療科が分からない場合は、かかりつけ医に相談しましょう。かかりつけ医に紹介状を書いてもらってから専門の科を受診すると、スムーズに診察を受けられます。
下肢静脈瘤にツボは有効ですか?
ツボは根本療法ではなく、対症療法的な位置づけです。東洋医学上では下肢静脈瘤を血流の停滞や血流不足と捉えており、この点にアプローチするためのツボがあります。
主なものとして挙げられるのが、内くるぶしから指4本分上にある「三陰交」というツボです。
それ以外のツボとしては、以下のようなものがあります。
- 委中(いちゅう):膝関節の後ろ側中央部分
- 委陽(いよう):委中よりも外側にある膝関節うしろのツボ
- 陰谷(いんこく):委中よりも内側にある膝関節うしろのツボ
ツボは、心地良い刺激を感じる程度の力加減で押しましょう。押すときに息を吐き、離すときに息を吸います。
ツボ押しのポイントは、こちらの記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
参考文献
創傷・熱傷ガイドライン委員会報告―5:下腿潰瘍・下肢静脈瘤診療ガイドライン|日本皮膚科学会雑誌