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脂質異常症と高脂血症の違いを医師が解説!

脂質異常症 高脂血症 違い
公開日: 2025.07.30

「健康診断で脂質の数値を指摘されたけれど、脂質異常症と高脂血症って何が違うの?」「放っておくとどうなるのか不安」
健康診断の結果を見て、不安を感じた方もいらっしゃることでしょう。

脂質異常症と高脂血症は、よく混同されがちな言葉ですが、近年、医療の現場では「脂質異常症」が正式な病名として使われています。

以前の「高脂血症」よりも対象となる病態が広がったため、名称が変更されました。

脂質異常症は自覚症状がないまま動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳卒中など命に関わる病気を引き起こす可能性があります。

だからこそ、症状がなくても早めに正しい知識を得て対策を始めることが大切です。

本記事では、脂質異常症と高脂血症の違い、原因や基準値、ご自身でできる予防・治療法、そして再生医療までを解説します。

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脂質異常症と高脂血症の違いとは?

「脂質異常症」と「高脂血症」、どちらも血液中の脂質に関する言葉ですが、この二つの違いをご存知でしょうか。

結論、現在では「脂質異常症」が正式な診断名で、「高脂血症」は古い呼び方です。

以前は、血液中のコレステロールや中性脂肪といった脂質が、基準値よりも「高い」状態をまとめて「高脂血症」と呼んでいました。

しかし、研究が進むにつれて、脂質の中でも「HDLコレステロール(善玉コレステロール)」のように、基準値より「低い」ことが体に悪影響を及ぼす脂質があることがわかってきました。文献1

そこで2007年に日本動脈硬化学会が診断名を変更し、脂質の量が基準値から外れた状態をすべて含める形で「脂質異常症」という名称が使われるようになったのです。

以下の表で、脂質異常症と高脂血症の違いを整理してみましょう。

脂質の種類 脂質異常症
(現在の診断名)
高脂血症(以前の考え方)
HDLコレステロール
(善玉)
低いことが問題 (基準に含まず)
LDLコレステロール
(悪玉)
高いことが問題 高いことが問題
トリグリセライド
(中性脂肪)
高いことが問題 高いことが問題

このように、高脂血症の悪玉コレステロールや中性脂肪が高い状態に善玉コレステロールが低い状態も含むものを脂質異常症と呼びます。

より広い範囲の異常を捉えるための、より的確な診断名なのです。

脂質異常症(高脂血症)の種類とそれぞれの基準値

脂質異常症は、血液検査によって「どの脂質の数値が基準から外れているか」が確認され、主に3つのタイプに分けられます。

ご自身の健康診断の結果と見比べながら、どのタイプに当てはまる可能性があるのかを確認してみましょう。

ここでは、以下の3つのタイプについて、それぞれの特徴と日本動脈硬化学会が定めている診断基準値を解説していきます。(文献2

これらの基準値は、あくまで診断のための目安です。

他の病気(糖尿病や高血圧など)の有無やご家族の病歴などによって、治療を開始すべき目標値は一人ひとり異なりますので、正確な診断については必ず専門医にご相談ください。

高LDLコレステロール血症

高LDLコレステロール血症は、血液中の悪玉コレステロールが基準値よりも多い状態です。

増えすぎたLDLコレステロールは血管の壁に入り込み、動脈硬化を進行させる「プラーク」というコブを形成します。これが心筋梗塞や脳梗塞の直接的な引き金となるため、注意が必要です。

診断基準は、空腹時の採血でLDLコレステロール値が140mg/dL以上とされています。

主な原因としては、肉の脂身やバターといった動物性の脂肪(飽和脂肪酸)の多い食事、運動不足、遺伝的な体質などが挙げられます。

低HDLコレステロール血症

低HDLコレステロール血症は、血管の余分なコレステロールを回収して肝臓に運び戻す善玉コレステロールが基準値よりも少ない状態です。

これが少ないと血管の掃除が行き届かなくなり、動脈硬化が進行しやすくなります。

診断基準となる数値は、空腹時の採血でHDLコレステロール値が40mg/dL未満の場合です。

主な原因には喫煙、運動不足、内臓脂肪型の肥満などが挙げられ、生活習慣の見直しが重要となります。

高トリグリセライド血症(中性脂肪)

高トリグリセライド血症とは、血液中の中性脂肪(トリグリセライド)が基準値よりも多い状態を指します。

中性脂肪はエネルギー源ですが、過剰になると内臓脂肪として蓄積され、動脈硬化を強力に促進します。

診断基準は、空腹時の採血でトリグリセライド値が150mg/dL以上です。

主な原因は、ご飯やパンなどの糖質の多い食事、アルコールの飲み過ぎ、食べ過ぎ、運動不足といった生活習慣にあります。

脂質異常症を放置するリスクとは?動脈硬化と関連疾患

「とくに症状もないし、数値が少し高いだけ」と、脂質異常症を軽視するのは非常に危険です。

この病気は「サイレントキラー」とも呼ばれ、自覚症状がないまま、血管の老化である動脈硬化を静かに進行させます。

動脈硬化とは、血管の壁にコレステロールなどが溜まってプラークを作り、血管を硬く、狭くしてしまう状態です。

このプラークが破れると、そこに血の塊(血栓)ができて血管を完全に塞いでしまい、命に関わる深刻な病気を引き起こすのです。

動脈硬化が原因で起こる代表的な病気には、以下のようなものがあります。

影響を受ける場所 主な病名
心臓 狭心症、心筋梗塞
脳梗塞、脳出血
足の血管 閉塞性動脈硬化症(痛み、しびれ)
腎臓の血管 腎機能の低下

これらの病気は、発症すると生活の質を著しく低下させてしまいます。

健康診断で脂質異常症を指摘されたら、それは体からの重要なサインだと受け止め、早期に対策を始めることが何よりも大切です。

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脂質異常症(高脂血症)の治療法

脂質異常症の治療の最終目標は、単に数値を下げることではなく、動脈硬化の進行を食い止め、将来の心筋梗塞や脳卒中といった深刻な病気を予防することにあります。

治療の基本となるのは、病気の根本原因である生活習慣の見直しです。具体的には、以下の3つが治療の柱となります。(文献3

まずは食事や運動の改善から始め、それでも数値が十分に改善しない場合や、リスクが非常に高い場合には薬物療法を並行して行います。

どの治療法を選択するかは、患者様一人ひとりの状態に合わせて医師が総合的に判断します。

食事療法|コレステロールを下げる食生活のポイント

脂質異常症の改善において、毎日の食事を見直すことは治療の基本であり、健康な血管を取り戻すための第一歩です。以下のポイントを意識して、できることから始めてみましょう。

【控えるべき食品】

  • 肉の脂身やバターに多い飽和脂肪酸
  • マーガリンや加工食品に含まれるトランス脂肪酸
  • ご飯やパン、お菓子などの糖質
  • アルコール

飽和脂肪酸やトランス脂肪酸は悪玉コレステロールを増やし、糖質やアルコールのとりすぎは中性脂肪の増加につながります。

【積極的に摂りたい食品】

  • 野菜、海藻、きのこ類に含まれる食物繊維
  • 青魚、オリーブオイルなどに含まれる不飽和脂肪酸

食物繊維はコレステロールの吸収を抑え、不飽和脂肪酸は血中の脂質バランスを整えてくれます。

これらのポイントを参考に、まずは1日1食からでも、食生活を見直してみましょう。

運動療法|脂質異常症改善に効果的な運動の種類と方法

食事療法とあわせて行いたいのが、脂質異常症の改善に大きな効果をもたらす運動療法です。運動には、善玉(HDL)コレステロールを増やし、中性脂肪を減らす直接的なメリットがあります。

効果的なのは、ウォーキングや軽いジョギング、水泳といった有酸素運動です。これらの運動を、ややきついと感じるくらいの強度で、1回30分以上、週に3日以上続けることが目標です。

一度に30分が難しければ、10分を3回に分けても構いません。大切なのは無理なく続けることです。一駅手前で歩くなど、生活の中に少しずつ運動を取り入れることから始めてみましょう。(文献5

ただし、心臓や膝に持病のある方は、運動を始める前に必ず医師に相談してください。

薬物療法|脂質を下げる薬の種類と作用

食事療法や運動療法を続けても脂質の数値が目標まで改善しない場合や、心筋梗塞などのリスクが元々高いと判断された場合には、生活習慣の改善とあわせて薬物療法を検討します。(文献4

薬はあくまで治療の補助であり、自己判断での中断はせず、必ず医師の指示に従いましょう。

脂質異常症の治療に主に使われる薬には、以下の種類があります。

薬の種類 作用の概要
スタチン系薬剤 肝臓でのコレステロール合成を抑える、最も基本的な薬です。
フィブラート系薬剤 肝臓での中性脂肪の合成を抑え、分解を促します。
EPA・DHA製剤 青魚の油の成分で、中性脂肪の合成を穏やかに抑えます。
小腸コレステロールトランスポーター阻害薬(エゼチミブ) 小腸でのコレステロールの吸収を妨げます。

どの薬にも副作用の可能性があります。筋肉の痛みや脱力感、肝機能障害などがみられることもありますので、服用中に気になる症状があれば、速やかに主治医に相談してください。

また、脂質異常症の薬については、以下の記事で詳しく解説しておりますので、気になる方はご確認ください。

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脂質異常症(高脂血症)の予防法|今日からできる生活習慣の改善

脂質異常症は、生活習慣の見直しで予防・改善が可能です。将来の深刻な病気を防ぐため、以下の点を心がけましょう。

予防のポイント 具体的な方法
食生活の改善 食物繊維(野菜・海藻)や青魚を積極的に摂り、肉の脂身や糖分、アルコールは控えることが大切です。

運動習慣と禁煙

ウォーキングなどの有酸素運動を週3日以上続けましょう。また、動脈硬化の大きな原因となる喫煙はやめることが重要です。

定期的な健康診断 自覚症状がない病気のため、年に一度は健康診断で血液の状態を確認し、早期発見に努めましょう。

一つひとつの小さな積み重ねが、10年後、20年後のあなたの健康を守る大きな力となります。今日からできることから、ぜひ始めてみてください。

脂質異常症(高脂血症)は早期発見と継続的な対策が重要

本記事では、脂質異常症と高脂血症の違いから、リスク、治療法、予防法について解説しました。

脂質異常症は、悪玉コレステロールが高い状態だけでなく、善玉コレステロールが低い状態も含む広範囲な異常を指します。

この状態を放置すると、自覚症状がないまま動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳卒中の引き金となりかねません。

脂質異常症は「サイレントキラー」と呼ばれ、症状が出た時には病状が進行している場合が多いため、食事や運動などの生活習慣改善が重要です。

症状がないからと油断せず、年1回は健康診断を受けて数値を把握しましょう。

脂質の異常を指摘されたら、それは体からの重要なサインです。異常を放置せず、早めに専門医を受診し、継続的な対策を始めることが大切です。

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参考文献

(文献1)
脂質異常症(高脂血症)|日本医師会 健康の森

(文献2)
動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版|日本動脈硬化学会

(文献3)
脂質異常症|厚生労働省 e-ヘルスネット

(文献4)
脂質異常症治療のエッセンス|日本医師会編

(文献5)
健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023|厚生労働省

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