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側弯症とは?原因・症状・治療方法・検査方法を解説
側弯症(そくわんしょう)とは、背骨が左右に曲がり、ねじれが加わった状態を指します。
とくに、思春期の子どもに多く見られ、見た目に明らかな変化が出る一方で、痛みが少ないため見過ごされるケースも少なくありません。
進行して症状が重度になると、生活に支障が出る恐れもあり注意が必要です。
本記事では、側弯症の定義や種類、症状、診断方法、治療法、日常生活での注意点までを詳しく解説します。
正しい知識を身につけて、子どもの健やかな成長を支えてあげましょう。
なお、側弯症の進行に伴う神経症状や手術後の神経損傷に対しては、再生医療という治療の選択肢もあります。
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目次
側弯症とは
背骨が本来のまっすぐな状態から左右に曲がり、ねじれも加わって骨格が変形する状態が「側弯症」です。
とくに、成長期の子どもに多く見られ、放置すると曲がりが進行し、姿勢の悪化や将来の健康に影響を及ぼす可能性があるため注意しなければなりません。
学校検診の前屈検査で発見されることが多く、早期発見が治療の鍵です。
側弯症には、大きくわけて以下のような種類があります。
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| 特発性側弯症 | 原因不明。全体の約6~7割を占め、思春期の女子に多く見られる(文献1) |
| 先天性側弯症 | 背骨の形成異常により、生まれつき曲がっている |
| 神経・筋原性側弯症 | 脳性麻痺や筋ジストロフィーなどに伴って起こる |
側弯症の種類によって対応が異なるため、専門医による正確な診断が必須です。
定期的に真っ直ぐ座れるか?をご飯中にでもこそっとチェックしてみてくださいね。
側弯症の原因
側弯症の原因はひとつではなく、いくつかのタイプに分類されます。
種類によって発症の背景が異なるため、適切な治療を行うには原因の特定が欠かせません。
| 構築性脊柱側弯症 | 特発性側弯症 | ・原因が明らかではない側弯症 ・10〜15歳の女子に多く、成長期に急速に進行する場合がある |
| 症候性側弯症 | ・先天的な背骨の奇形や、筋ジストロフィー・脳性麻痺などの病気に伴って起こる ・基礎疾患への対応も必要 |
|
| 機能性側弯症(構築性ではない側弯症) | ・背骨自体に異常はなく、姿勢や脚長差、痛みなど一時的な要因で背骨が曲がって見える ・原因が解消されると、自然に改善する |
|
上記のように、側弯症が構造的な問題によるものか、一時的な状態かを区別し、原因に応じた対処が大切です。
側弯症の原因については、以下の記事でも詳しく解説しています。
側弯症の症状
側弯症は、進行しても痛みを感じにくい特性があります。
本人や家族が気づかないまま、見過ごされるケースも少なくありません。
ただし、見た目に明らかな変化が現れる場合もあり、以下のような代表的な外見上の変化を見逃さないように注意しましょう。
- 肩の高さが左右で異なる
- 肋骨や肩甲骨の片側が突出して見える
- ウエストラインが左右で不均等になっている
- 骨盤の高さが左右非対称になっている
上記のような変化は、学校の前屈検査や保護者によるセルフチェックで気づくケースが多く、早期発見のきっかけになります。
なお、側弯症が進行して背骨の湾曲で胸郭が変形すると、以下のような健康上の問題が起こる可能性があるため注意が必要です。
- 肺が圧迫され呼吸が浅くなる、息切れしやすくなる
- 心臓や肺の機能が低下する
また、胃や腸が圧迫されて消化不良や便秘を引き起こすなど、まれに消化器系に重度な影響が生じるケースもあります。
大人の側弯症の症状
大人の側弯症は、思春期に発症して成長後もゆっくりと進行するケースと、大人になってから新たに発症するケースに分けられます。
大人になってから発症するケースは、加齢に伴う骨や椎間板の変性、姿勢の崩れなどが原因です。
背骨のゆがみにより体のバランスが崩れ、以下のような症状が現れる場合があります。
- 腰や背中の慢性的な痛み
- 長時間の立位や歩行での疲労感
- 身体の左右差による服のずれ
- 神経圧迫による足のしびれや筋力低下
大人の側弯症は、見た目の変化よりも日常生活への影響が現れやすい点が特徴です。
痛みや不調を感じた場合は、早めに整形外科を受診しましょう。
側弯症の症状や治療法については、以下の記事でも詳しく解説しています。
側弯症の診断
側弯症の診断では、まず問診と身体検査を行い、X線で背骨の湾曲の程度を確認するレントゲン検査で確定診断されます。
身体検査は、背中の左右差や隆起の有無を観察する「前屈検査(前屈テスト)」が基本です。
レントゲン検査では背骨の曲がりの程度を示す「コブ角」という角度を測定し、湾曲の程度を数値化することで、治療方針を決定します。
なお、全国の中学校では2016年度から「運動器検診」が導入されており、検診をきっかけに医療機関を受診する児童生徒が増加しています。(文献2)
とくに、成長期の子どもは側弯症が進行しやすいため、学校検診の結果を軽視せず、整形外科で正確な評価を受けましょう。
側弯症の治療法
側弯症の治療は、発症年齢や側弯の進行度によって異なります。
主に「思春期特発性側弯症」と「変性側弯症」に分けて治療方針が立てられ、次の治療法があります。
- 装具治療:進行を抑える目的で使用され、成長期の子どもに有効
- 運動療法:筋肉のバランスを整えるリハビリやストレッチ
- 手術:重度の湾曲や症状が進行した場合に検討
以下で、それぞれ詳しく解説します。
思春期特発性側弯症の治療法
思春期特発性側弯症は、成長期に突然現れる原因不明とされる側弯症です。
多くは痛みがなく、学校検診がきっかけで発見されるケースが少なくありません。
治療方針は主に、背骨の曲がりの角度「コブ角」によって決まります。
- 軽度(おおむね20度未満):定期的な経過観察
- 中等度(おおむね20〜40度):装具による治療
- 重度(おおむね40度以上):進行防止のため、進行状況で個別に手術を検討(文献3)
とくに、成長期の子どもは軽度な状態で早期に治療を開始することで、進行を抑えられる可能性が高くなります。
中程度の場合は、装具を使用しながら日常生活を過ごせます。
ただし、重度になると手術が検討されるため、やはり早期発見と治療が欠かせません。
矯正前と後では、矯正後の人生の方が長いですから、ちょっと我慢して向き合ってみましょう。
変性側弯症の治療法
変性側弯症は、加齢による椎間板や関節の変形が原因で、背骨が徐々に曲がっていく病気です。
中高年に多く見られ、慢性的な腰痛や神経症状を伴うケースがあり、状態に応じて以下のような対処法が検討されます。
- 初期〜中等度:痛みの緩和を目的とした薬物療法や運動療法
- 重度または神経症状あり:神経の圧迫を除去する手術を検討
治療は、症状の程度や日常生活への影響をもとに個別に判断されます。
定期的な整形外科の受診とあわせて、筋力を維持するための運動が進行予防に役立ちます。
側弯症でやってはいけないこと|腰痛に注意
側弯症は、軽度であれば日常生活に大きな制限はありませんが、日常の行動が腰痛を発症させる場合があります。
とくに、中高年の変性側弯症では、以下のような行動を避けてください。
| 避けるべき行動 | 理由 |
|---|---|
| 長時間の同じ姿勢 | 座りっぱなしや前かがみの姿勢は、背骨に負担をかける |
| 過度な運動や重い荷物の持ち運び | 左右非対称な負荷が、背骨をさらにゆがませる可能性がある |
| 柔軟性の低いマットレスや寝具 | 体にフィットしない寝具は、腰や背中に悪影響を与えることがある |
上記のような行動を避けるのとあわせて、痛みが出ている場合は無理せず整形外科で適切な指導を受けましょう。
側弯症でやってはいけないことについては、以下の記事も参考にしてみてください。
まとめ|側弯症が気になるから早めに受診しよう
側弯症は、正しく理解して適切に対処すれば、日常生活に大きな支障をきたさずに過ごせます。
とくに思春期特発性側弯症は、成長期に進行を抑えることが重要です。
学校検診やセルフチェックを通じて早期に気づいたら、整形外科を受診してください。
もし側弯症と診断されても、過度に不安になる必要はありません。
今回の記事を参考にしていただき、正しい知識と行動で改善を目指しましょう。
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側弯症に関するよくある質問
側弯症に美人が多いという噂は本当ですか?
「側弯症の人は美人が多い」という説には、医学的な根拠は一切ありません。
思春期特発性側弯症は、やせ型の女子に多い傾向があるため、体型的な特徴からそのようなイメージが広まった可能性があります。
このような噂は一部の印象に過ぎず、科学的なデータに基づくものではない点を理解しておきましょう。
側弯症は老後に悪化することはありますか?
側弯症は、老後に悪化するケースがあります。
思春期に発症した側弯症が軽度でも、高齢期に入ると背骨や椎間板の変形により、少しずつ湾曲が進行する場合があるのです。
加齢による筋力の低下と、姿勢の悪さが主な要因となります。
定期的な整形外科でのチェックと適度な運動、正しい姿勢を保つ意識が大切です。
側弯症は寿命に影響しますか?
側弯症そのものが、直接寿命を縮めるという医学的根拠はありません。
しかし、進行して重度になると、肺や心臓の機能低下、慢性的な腰痛や姿勢の悪化による活動量の低下など、間接的に健康に影響を及ぼす可能性があります。
とくに、高齢期に入ってからの側弯症悪化は、転倒や骨折のリスクにもつながるため注意が必要です。
早期発見と適切な治療、日常生活での管理が健康寿命を延ばすことにつながります。
側弯症はスポーツ禁止ですか?
側弯症だからといって、スポーツが全面的に禁止されるわけではありません。
むしろ、適度な運動は筋力の維持や姿勢の安定に役立つとされています。
医師による個別の指示がある場合を除き、痛みがなければ問題ありません。
ただし、片手で行うスポーツや左右非対称な動きが多い競技(テニス、ゴルフ、野球の投球など)は、背骨に偏った負荷がかかる傾向があります。
運動を継続する際は整形外科医と相談しながら、体に無理のない範囲で行いましょう。
側弯症でクッションを活用できますか?
長時間の座位が続くと、背骨に負担がかかりやすくなります。
姿勢を安定させるための骨盤サポートクッションや低反発クッションを使用すると、腰や背中への負担を軽減できる場合があるので試してみましょう。
ただし、クッションは補助的なアイテムとして活用するものであり、根本的な治療には医師の診断と指導が欠かせません。
関東地方で側弯症の名医を教えてください。
側弯症に関する治療実績が豊富な医師は存在しますが、「名医」と断定することは難しいのが現状です。
信頼できる医療機関を探すには、日本側彎症学会の公式サイトが参考になります。(文献4)
専門医が所属する医療機関一覧が掲載されており、関東地方などの地域や病院名から検索が可能です。
参考文献
(文献1)
「側弯症」|日本整形外科学会
(文献2)
学校での運動器検診|運動器の健康・日本協会
(文献3)
SRS|Surgery
(文献4)
医療機関一覧|日本側彎症学会










