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大人の側弯症の治し方は?子どもとは異なる症状や治療法を専門医が解説

側弯症
公開日: 2023.03.08 更新日: 2025.01.15

背骨が左右に曲がる側弯症は、思春期の子どもに多い病気ですが、大人になって急に発症し、進行が始まるケースもあります。

成人側弯症になると、腰痛や歩行困難、神経痛などの症状が起こり、症状が進行するほど日常生活にも支障をきたす場合があります。

まずは症状や治し方を把握した上で、整形外科への早めの受診がおすすめです。本記事では成人側弯症の症状や治し方、手術療法などについて解説します。

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側弯症とは?

側弯症は、体を正面から見たときに背骨が左右に曲がっている状態です。本来人の脊柱は、首にある頸椎が前方に湾曲し、胸椎が後方に湾曲し、腰椎が前方に湾曲しています。体を横からみると、ちょうどゆるやかなS字を描いた状態です。

前から見て、背骨が左右に10度以上傾いてしまう状態を側弯症といいます。 痛みを伴うケースはほとんどありませんが、症状が進行した場合、健康状態に悪影響を及ぼすことがあります。
側弯症の原因や症状については以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。

大人の側弯症(成人側弯症)とは

側弯症は、成長期の子どもが発症することが多い傾向ですが、大人になってから発症する場合もあります。大人になってから発症する側弯症を「成人側弯症」と呼ばれています

大人の側弯症の原因

成人側弯症には、次の2つの原因があります。

  • ・こどもの頃に発症した側弯症が老化により進行した
  • ・中高年になって加齢により急速に進んだ

大人の側弯症の症状

成人側弯症は、次のような症状が出ます。

  • ・腰痛になる
  • ・長時間立つ・歩くが困難になる
  • ・下半身に神経痛が出る
  • ・逆流性食道炎や便秘、嚥下障害(食べ物が飲みこみづらい)が起きる
  • ・呼吸がしづらくなる

とくに「腰痛になる」「下半身に神経痛が出る」といった症状は、側弯症のおもな症状であり、背骨や腰骨に負担がかかることによって起こる症状です。脊柱管狭窄症や腰部椎間板ヘルニアなどの合併症のリスクも高まるのでとくに注意する必要があります。

成人側弯症は、年齢と共に症状が進行しやすく、症状が進行するほど日常生活にも支障をきたすようになります。重度の場合は「後方矯正固定術」による手術が必要です。

【治し方】大人の側弯症の治療法

成人側弯症では、投薬や注射、コルセットといった保存的治療を行いつつ、側弯症が進行しているかどうかを判断するため医師による定期的な経過観察が行われます。

投薬などの保存的治療で症状が改善しない場合には、脊柱変形矯正手術による治療を検討します。

入院日数は10日前後ですが、背骨の曲がり方や骨質、症状、体力などに応じて入院日数が延びたり、数回に分けて手術をしたりすることを念頭においておきましょう。術後約5〜6か月間は、装具を装着した生活です。運動も制限されます。

大人の側弯症の手術は通常の背骨の手術と比較して大きな手術ですが、以前よりも身体の負担を抑えられるようになりました。リスクもありますが、痛みが改善して歩行が楽になることもあります。手術にはメリットとデメリットがありますが、当院ではご理解いただけるまで丁寧にご説明させていただきますので、まずはご相談ください。

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子どもの側弯症とは

子どもの側弯症は、学校検診で見つかるケースが少なくありません。2016年度から始まった「運動器学校検診」では、家庭で子どもの背骨を評価したあと、学校医が視触診によって見た目や背中を触って側弯症の疑いがあるかどうかを判定します。

成長期である子どもには、大人になるまで側弯症を発症する恐れがあるため、家庭でチェックをしたり、気になることがあれば整形外科を受診したりするなど、こまめな配慮が必要です。

子どもの側弯症の注意点

成長期の子どもが発症しやすい側弯症には、以下のような注意したいポイントがあります。

  • ・子どもの側弯症は思春期の女子に注意
  • ・軽度の場合は経過観察が基本
  • ・症状が進行すると装具療法や手術療法が必要な場合がある

とくに女子は、小学校高学年から中学生にかけて側弯症の発症率が高まります。13歳から14歳の女子の発症率は2.5%で、男子の約7倍といわれています。

ただし、医師から経過観察と言われたり、家庭で気をつけるようアドバイスを受けた子ども全員が、重度の側弯症になる可能性はほとんどありません。側弯が進行しやすい幼児期以降は症状の進行は個人差が大きいこともポイントです。

このように、子どもの側弯症は、軽度の状態のまま大人になるケースが大半です。軽い側弯症であれば障害が残る心配もないので、そのまま様子を見るだけで問題ないでしょう。

子どもの側弯症の治療法

重度の側弯症を放置すると、側弯の影響で胸郭が大きく変形し、心肺機能が低下するリスクが高まります。重い肺の病気や心臓病といった合併症も発症しやすくなります。
側弯症は、次のように進行の度合いに応じた治療を受けることが大切です。

軽度の側弯症(背骨の曲がり角度:30度未満)
  • ・学校や家庭で経過観察を続ける
  • ・症状の進行をチェックし、整形外科を受診する
中等度の側弯症(背骨の曲がり角度:30〜50度)
  • ・アンダーアームブレース、ミルウオーキーブレースといった矯正装具を使う装具療法を行う
重度の側弯症(背骨の曲がり角度:50度以上)
  • ・装具療法でも進行が悪化したら手術療法

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子どもの側弯症の手術療法

子どもの側弯症の手術療法には「後方矯正固定術」と「前方矯正固定術」の2種類があります。どちらの手術療法を採用するかは、症状によって異なります。

後方矯正固定術

背中の背骨に沿って切開して手術する方法です。背骨の後方から器具を挿入して、ロッドを調整しながら背骨がまっすぐになるようにねじれを減らしていきます。
次に紹介する前方矯正固定術に比べると固定する背骨の範囲は長くなりますが、矯正力や固定力が強力です。

前方矯正固定術

胸部など体の前側から器具を挿入して、ロッドによってねじれを調整していく方法です。後方矯正固定術より肯定範囲は短いものの、強い矯正力があります。

まとめ|側湾症は早期発見と適切な治療で進行を防げる

大人になってから背骨の変形が気になり始めた場合は、早めに整形外科を受診しましょう。成人側弯症は、年齢とともに病状が進行しやすい病気です。

早期発見と適切な治療が側弯症の進行を防ぎ、健康を守ります。腰痛や歩行で少しでも気になる症状がありましたら、まずは当院へご相談ください。

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側弯症に関するよくある質問

側弯症でやってはいけないことはありますか?

側弯症の方は、長時間の崩れた姿勢や過度な運動は歪み・痛みの原因になります。普段から正しい姿勢を保つよう心がけましょう

側弯症でやってはいけないことについて詳しく知りたい方は、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。

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