パーキンソン病の主なリハビリ内容とは?進行度別のリハビリメニューも解説

パーキンソン病 リハビリ
公開日: 2025.12.13

「パーキンソン病に対して有効なリハビリは?」
「リハビリを行えば症状は改善する?」
「具体的なリハビリメニューを知りたい」

パーキンソン病において、リハビリは病気の進行抑制と症状改善に欠かせない治療の一つです。

本記事では、パーキンソン病に対するリハビリの効果をはじめとして以下を解説します。

進行度別にどのようなリハビリを取り入れていくべきかを紹介しています。パーキンソン病におけるリハビリの理解を深め、病気の進行や症状の改善に役立ててください。

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パーキンソン病に対するリハビリの効果

パーキンソン病におけるリハビリは重要です。適切なリハビリは、生活の質の維持・向上につながるためです。(文献1

パーキンソン病は進行すると以下のような症状が現れます。

  • 静止時に手足がふるえる
  • 手足の筋肉がこわばる
  • 転倒しやすくなる
  • 体の動きが遅くなる
  • 小刻みな歩幅やすり足により歩きにくくなる
  • 声が小さくなる
  • 飲み込みが悪くなりむせやすくなる

以上のような症状は、患者様の生活の質を低下させてしまいます。しかし、近年の研究により適切なリハビリは、体の動きに関する症状から声や飲み込みの問題まで幅広く改善し、生活の質の向上につながることが証明されています。

リハビリはパーキンソン病が進行してからではなく、発症初期の段階から始めることが重要です。医師やリハビリスタッフと相談しながら取り入れていきましょう。

パーキンソン病の主なリハビリ内容とは?

パーキンソン病の主なリハビリには以下のようなものがあります。

リハビリ 内容
運動療法 立位保持や歩行などのリハビリを行う
作業療法 腕や手指の細かな作業のリハビリを行う
言語訓練 発声や呼吸のリハビリを行う
嚥下訓練 飲み込みや咀嚼(そしゃく)のリハビリを行う

それぞれの詳細を解説します。

運動療法|立位保持や歩行などのリハビリを行う

運動療法では立位保持や歩行能力などの維持・向上を目指します。

運動療法の一例を紹介すると、以下のようなものがあります。

運動療法 詳細
歩行訓練 リズムや音に合わせた歩行訓練
自転車訓練 反復運動を促す訓練
基本動作訓練 寝返りや起き上がりなどの訓練

他にも、リラクゼーションやストレッチング、エアロビック訓練、ホームエクササイズなど、さまざまなリハビリメニューがあります。

適切な歩行訓練やストレッチングは、歩行能力や筋力増強に有効です。また、高強度の筋力訓練においては、低強度と比較して効果的であり、L-ドパの投与量を抑制できたと報告もあります。文献4

作業療法|腕や手指の細かな作業のリハビリを行う

作業療法では、腕や手指の動きの維持・向上をめざします。

作業療法の一例を紹介すると、以下のようなものがあります。

作業療法 詳細
起居動作 布団をめくり起き上がる訓練
食事動作 ばね付きの箸や先端を曲げられるスプーンなどの自助具を用いた訓練
更衣動作 上衣や下衣、靴下などの脱ぎ着の訓練
排泄動作 狭いトイレ内での歩行や方向転換、下衣の脱ぎ着、立ち座りなどの訓練
入浴動作 浴槽への出入りや頭や体を洗う動作などの訓練。

その他にも、ビーズなどを用いた細かな上肢運動、上肢の曲げ伸ばしを行う関節可動域の訓練などがあります。

作業療法を適切に取り入れて3〜6カ月間ほど経過を観察したところ、日常生活の動作が改善して介護者の負担を減らすことができたと報告があります。文献4

言語訓練|発声や呼吸のリハビリを行う

言語訓練では発声の音量や明瞭度の維持・向上を目指します。

言語訓練の一例を紹介すると、以下のようなものがあります。

言語訓練 詳細
リラクゼーション 首や肩、胸のストレッチを行い筋肉の緊張を緩める
胸郭可動性訓練 上体を伸ばしたり首や肩の可動域を広げたりすることで、空気を吐く量と吸う量の増加を促す
呼気筋力増強訓練 口をすぼめて空気を吐き出すことで、空気を吐き出す筋力の増強を促す

息を吐いたときに負荷がかかる訓練器具を用いた呼気筋訓練では、訓練前の声の大きさが67.2dBであったのに対して、訓練後では90.6dBまで増大したと報告があります。文献5

嚥下訓練|飲み込みや咀嚼のリハビリを行う

嚥下訓練では、飲み込みや咀嚼の機能の維持・向上を目指します。嚥下訓練は、大別すると以下に分けられます。

嚥下訓練 詳細
間接訓練 食べ物を使わない訓練。唇や舌、頬などの訓練を行い、飲み込みや咀嚼の機能の改善を図る
直接訓練 食べ物を使う訓練。姿勢や食事形態の調整を行い飲み込みの機能の改善を図る

そのほかにも「食物と水分を交互に摂取する」「飲み込みを何度か行う」「1口量を調整する」など、食事の取り方の工夫により、誤嚥(ごえん)のリスクを下げることができます。

嚥下訓練はパーキンソン病の患者様にとって重要なリハビリです。パーキンソン病で亡くなる方の24〜40%は、食べものなどが気管に入ることで起こる誤嚥性肺炎が原因とされています。文献5

パーキンソン病のリハビリの注意点

パーキンソン病におけるリハビリには、以下のような注意点があります。

  • 決まった時間に実施する
  • 体が動きやすいオンの時間帯に行う
  • 運動の強度は自分の状態に合ったメニューにする
  • 強い痛みが現れている場合は実施しない
  • 慣れてきたら少しずつ運動量を増やす
    文献3

リハビリを取り入れる際は、まずは医師への相談が大切です。心臓や背骨、膝などに問題がないか確認してもらいましょう。

パーキンソン病の進行度別のリハビリメニュー

パーキンソン病には、以下のようなHoehn-Yahr(ホーン・ヤール)重症度分類という、病気の進行度を評価する指標があります。

Hoehn-Yahr重症度分類 状態
Ⅰ度 ・片側の手足だけにふるえや筋肉のこわばりが現れる
・日常生活においてほとんど介助の必要はない
Ⅱ度 ・両側の手足にふるえや筋肉のこわばりが現れる
・日常生活が不便になってくる
Ⅲ度 ・明らかな歩行障害が現れる
・方向転換の際に不安定になり、姿勢保持にも障害が現れる
・日常生活に支障をきたすようになり、一部介助が必要
Ⅳ度 ・立ち上がりや歩行など日常生活の動作が難しくなる
・一人で歩行が可能な段階ではあるが、生活に介助が必要
Ⅴ度

・自力での日常生活が困難な状態
・介助による歩行は難しく、車椅子での移動やベッド上の生活が基本になる
・車椅子への移動も含めて全面的な介助が必要

ここでは、パーキンソン病の進行度別のリハビリメニューを解説します。

体幹の筋力増強を目指す|Hoehn-YahrⅠ・Ⅱ

Hoehn-YahrⅠ・Ⅱの段階では、体幹の筋力増強のためのリハビリを行い、姿勢異常が現れるのを予防します。(文献2

例えば、体幹を鍛えるリハビリには、椅子に座った状態でできる以下のようなメニューがあります。

  • 頭の後ろに両手を組む
  • ゆっくりと体を左右にひねる
  • ゆっくりと体を前に倒す後ろに伸ばすを繰り返す

1方向3〜5回を目安にすると良いでしょう。パーキンソン病は進行してからではなく、軽度の段階からリハビリを行うことが重要です。医師やリハビリスタッフと相談しながら取り入れていきましょう。

バランスや姿勢保持の維持・向上を目指す|Hoehn-Yahr Ⅲ

Hoehn-Yahr Ⅲは転倒リスクが高まる段階です。主にバランス訓練や姿勢保持、歩行練習、ストレッチなどを実施します。

例えば、すくみ足やすり足の症状を軽減させるためのリハビリメニューには、以下のようなものがあります。

  • 椅子に座り背筋を伸ばす
  • 膝をしっかりと上げてリズミカルに足踏みをする

1セット20回ほどを目安にしましょう。

言語・嚥下訓練を取り入れていく|Hoehn-Yahr Ⅳ

Hoehn-Yahr Ⅳの段階では、誤嚥予防のために嚥下訓練や言語訓練を取り入れます。

言語訓練の一例として、空気を吸う量と吐く量を増加させるリハビリメニューに、以下のようなものがあります。

  • 仰向けもしくは椅子に座った状態になる
  • 両手を組んで前に伸ばす
  • 息を吸いながらゆっくり両手を上げる
  • 息を吐きながらゆっくり両手を下げる

長く話ができない方や息継ぎが多い方などに有効とされています。

薬の調整が難しくなる段階ですが、適切にリハビリを進めないと廃用症候群(長期間の安静により心身の機能が低下すること)や関節の可動域の低下などにつながる恐れがあります。

精神症状も現れる時期ですが、適切にリハビリを進めることが大切です。

座位保持や関節可動域の訓練を行う|Hoehn-Yahr Ⅴ

Hoehn-Yahr Ⅴは最も重い段階です。関節可動域の訓練や座位保持の訓練などを行います。座位保持においては、クッションなどを活用して座っていられる時間を少しでも延長できるようにします。

食べることが難しくなるため、胃瘻(いろう:お腹にチューブを通して栄養を注入できるようにすること)を作るかどうかを判断する時期です。確実に薬を投与するために胃瘻は有効ですが、認知症状が加速して、寝たきりかつ意思疎通が困難になる状態に移行する恐れがあります。本人と家族の十分な話し合いが必要です。

パーキンソン病における再生医療

近年パーキンソン病における再生医療の研究が多く行われています。再生医療とは、人が本来持っている「再生する力」を活用した治療方法です。

パーキンソン病における再生医療では、iPS細胞を活用した従来の治療とはアプローチが異なる研究がされています。iPS細胞とは、あらゆる細胞に変化できる能力をもつ細胞のことです。iPS細胞を用いて、ドパミン細胞を体の外に作り出し、脳内に移植する治療方法などの研究が進められています。文献6

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まとめ|パーキンソン病の進行度に沿ったリハビリを取り入れよう

パーキンソン病では、リハビリを適切に取り入れることで病気の進行を抑制し、症状を改善することができます。これにより患者さんの生活の質の維持・向上が期待されます。

リハビリは進行度や症状に応じて取り組むことが大切で、例えばHoehn-YahrⅠ・Ⅱの段階では姿勢異常を予防するための体幹を鍛える訓練などが効果的です。

パーキンソン病では、症状が進行してからではなく早期の段階からリハビリを開始し、医師やリハビリスタッフと相談しながら適切なプログラムを取り入れていきましょう。

参考文献

(文献1)
パーキンソン病のリハビリテーション|慶應義塾大学病院 パーキンソン病センター

(文献2)
パーキンソン病のリハビリテーション|日本リハビリテーション医学会

(文献3)
パーキンソン病患者さんのためのリハビリテーション|小野薬品工業株式会社

(文献4)
パーキンソン病診療ガイドライン2018|日本神経学会

(文献5)
パーキンソン病のリハビリテーション|宇多野病院

(文献6)
「iPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞を用いたパーキンソン病治療に関する医師主導治験」において安全性と有効性が示唆|京都大学医学部附属病院