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【医師監修】寒いと血圧が上がる理由とは?医療機関受診のサインも含めて解説

寒いと血圧上がる
公開日: 2025.12.13

「いつも寒くなると血圧が上がる」

「なぜ寒いと血圧が上がるのだろう?」

「一度病院にかかる方が良いのだろうか?」

このような疑問や不安を抱えながら、寒い時期を過ごされている方も少なくありません。

寒くなると、もともと高血圧ではない方も血圧が上がりやすくなります。

しかし、寒い時期の血圧上昇を放置すると、思わぬ病気を引き起こすリスクがあります。主な例として挙げられるのは、心筋梗塞や脳梗塞などの血管系の疾患、そしてヒートショックです。

本記事では、寒くなると血圧が上がるメカニズムや医療機関受診が必要なサインなどについて解説します。ヒートショックの予防法もお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。

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寒いと血圧が上がる理由

寒いと血圧が上がる主な理由は、血管の収縮と自律神経の変化です。自律神経の変化とは、交感神経の活発化を指します。

寒さによる血管収縮と血圧上昇のメカニズム

寒いときには、体内からの熱放散を抑えるために、血管が収縮します。そのため皮膚への血流量が低下し、結果として体表面の温度も低下します。体表面と気温との差を小さくして、熱の放散を抑制するしくみです。(文献1)

末梢血管が収縮すると、血液がスムーズに流れにくくなります。血液をスムーズに流すため、動脈内の血液が血管壁を強く押します。これが血圧上昇のメカニズムです。(文献2)

寒さによる自律神経の変化と血圧への影響

寒い時期は交感神経が活発になり、以下のような現象が生じます。

  • 血管の収縮
  • 腎臓からのナトリウム排泄抑制に伴う体内の水分量増加
  • 血液量増加
  • 心拍数の増加

交感神経の活発化によるこれらの現象が、血圧を上昇させる因子です。

寒いと血圧はどのくらい上がるのか

この章では、気温と血圧変動の関係と血圧が上がりやすい時間帯について解説します。

気温と血圧変動の関係

外国の論文においても、温かいところから寒いところに移動すると、収縮期血圧と拡張期血圧の両方が著しく上昇したとの報告があります。(文献3)

イギリスでの研究では、リビングルームの温度が1℃低下すると、収縮期血圧が1.3mmHg、拡張期血圧が0.6mmHg上昇するとの結果が示されました。日本人高齢者15人を対象とした研究では、平均外気温が1℃低下すると、収縮期血圧が0.43mmHg、拡張期血圧が0.29mmHg上昇しました。(文献3)

血圧が上がりやすい時間帯と日常生活シーン

血圧が上がりやすい時間帯は早朝で、血圧上昇の要因は以下の通りです。

  • 夜間高血圧:夜間に上昇した血圧が朝も維持されるもの
  • モーニングサージ:早朝、起床前後に生じる一過性の血圧上昇

モーニングサージは、心筋梗塞や脳血管疾患との関連性が深いとされる現象です。

日常生活においては、あたたかいところから寒いところへ急に移動すると、血圧上昇のリスクがあります。

部屋があたたまっていないときにトイレに行く、薄着で外出する(ゴミ出しや散歩、雪かきなど)などの行動は避けましょう。

寒さで血圧が上がったときの受診サイン

寒さで血圧が上がった場合、医療機関受診が必要なケースがあります。主な受診サインは以下のとおりです。

  • 高血圧とされる数値が続く場合
  • 高血圧以外に自覚症状がある場合

高血圧とされる数値が続く場合

高血圧とは、繰り返し測っても血圧が正常より高い状況を指します。

日本高血圧学会による高血圧治療ガイドライン2019で示している、異なる測定法における高血圧基準値は以下のとおりです。(文献4)

測定法 収縮期血圧 拡張期血圧
診察室血圧 140mmHg以上 90mmHg以上
家庭血圧 135mmHg以上 85mmHg以上
自由行動下血圧
24時間 130mmHg以上 80mmHg以上
昼間 135mmHg以上 85mmHg以上
夜間 120mmHg以上 75mmHg以上

自由行動下血圧とは、24時間自動血圧計を装着して15〜30分間隔で行う血圧測定のことです。この間の日常生活は基本的に自由ですが、入浴や激しい運動は控えてください。

家庭血圧で高値が続く場合は、放置せずに医療機関を受診しましょう。高血圧を放置すると、脳梗塞や心筋梗塞など、命に関わる病気を発症する可能性があるためです。また、徐々に腎機能が低下して、人工透析を受ける可能性もあります。

血圧の正常値については、下記の記事でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

高血圧以外に自覚症状がある場合

高血圧に加えて以下のような症状がある場合も、医療機関を受診しましょう。

  • 頭痛(とくに早朝)
  • めまい
  • 肩こり
  • ふらつき
  • 呼吸困難
  • 足の冷え

これらの症状は、高血圧の合併症である可能性が高いためです。

寒い時期における高血圧対策

寒い時期における主な高血圧対策としては、以下の4つがあげられます。

  • 室温管理と防寒対策
  • 塩分を控えたバランスの良い食事
  • 適度な運動
  • 家庭での定期的な血圧測定

高血圧の予防および改善については、以下の記事でも詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

室温管理と防寒対策

あたたかいところから急に寒いところへ出ると、血管が収縮し、血圧が上がります。

冬は室温と外気の差が激しいため、温度差が5度以上開かないように対処しましょう。外出時は手袋やマフラー、帽子、マスクなどで防寒してください。

居間と浴室、居間と廊下、居間とトイレなどは、室内でも温度差が生じやすいため、寒い場所には暖房設備を整えると良いでしょう。

塩分を控えたバランスの良い食事

食塩の過剰摂取は、血圧上昇と深い関連があります。(文献4)食塩に含まれるナトリウムには、血圧を上げる作用があるためです。血圧が高めの方の場合、1日の食塩量の目標は6g未満です。

減塩食の工夫としては、以下のようなことがあげられます。

  • 汁物を具だくさんにする
  • 減塩しょうゆや減塩みそを使う
  • ハムやソーセージといった加工食品を減らす
  • 塩分の排出をうながすカリウムを積極的にとる

カリウムは、緑黄色野菜や海藻類、豆類などに多く含まれます。

バランスの良い食事とは、主食(炭水化物)、主菜(タンパク質や脂質)、副菜(ビタミン、ミネラル)をまんべんなく取り入れたものです。

適度な運動

高血圧患者の生活習慣改善法の1つが、適度な運動です。身体を動かす時間を増やすと、血圧低下に加えて体重や体脂肪の減少などがみられます。(文献4)目安としては、1日30分程度です。(文献5)

ウォーキングのような有酸素運動やストレッチ、スクワットのような筋トレなどを組み合わせて実施しましょう。

体調が悪いときや天候がよくないときは、運動を控えてください。

家庭での定期的な血圧測定

日本高血圧学会の高血圧治療ガイドラインにおいても、高血圧の判定は家庭血圧が診察室血圧よりも優先されています。(文献4)

家庭では、朝と夜、椅子に座った姿勢で血圧を測定し、血圧手帳に記録しておきましょう。体を動かしたあとは血圧が上がりやすいので1〜2分程度安静にしてから測るようにしてください。

家庭で血圧を測るときは、正確な数値が出やすいタイプがおすすめです。上腕(肘の上)にカフを巻くタイプを選びましょう。家庭で測定した血圧の記録は、病院受診時に必ず主治医へ見せてください。

寒さによる血圧上昇とヒートショックのリスク

寒さによる血圧上昇と関係が深い体調変化が、ヒートショックと呼ばれるものです。

本章では、ヒートショックの概要と予防について解説します。

温度差による血圧変動とヒートショック

ヒートショックとは、温度差に伴う血圧変動により、心筋梗塞や脳梗塞といった血管の疾患を起こす現象です。(文献6)

ヒートショックの可能性が高いのは、入浴時です。あたたかい室内では血圧が安定していますが、寒い脱衣所では血管の収縮により血圧が上昇します。浴室が寒い場合、さらに血圧が上昇します。その後熱めの浴槽に浸かると、血圧が低下してしまうのです。

ヒートショックの好発時期は、11月~2月頃です。

65歳以上の高齢者や、高血圧や糖尿病などの基礎疾患がある方、肥満気味の方はヒートショックを起こしやすいとされています。

日常生活でのヒートショック予防法

日常生活でのヒートショック予防法としてあげられるものは、主に以下のとおりです

  • 脱衣室と浴室をあたためる。
  • お湯の温度を41℃以下に設定する
  • 入浴前に水分補給する
  • 浴槽から出るときはゆっくりと立ち上がる
  • 食事直後や飲酒後の入浴を控える

脱衣室と浴室をあたためる方法としては、脱衣室に暖房器具を設置したり、浴室にシャワーをかけてあたためたりするなどがあります。

寒いと血圧があがる理由を理解した上で高血圧対策を実践しよう

寒いと血圧が上がるメカニズムには、血管や自律神経が関係しています。室内と屋外の温度差は血圧上昇および、心筋梗塞や脳梗塞を発症する可能性を高める要因の1つです。

血圧上昇予防のためにも、室温管理と防寒対策を心がけましょう。

寒さで血圧が上がっている方は、自分でも気づかないうちに高血圧を発症している可能性があります。朝と夜、家庭で血圧を測り、自分が高血圧かどうかを理解しておきましょう。

寒さと血圧の関係で考えると、ヒートショックも危険です。とくに入浴時は、室内と浴室、脱衣室の温度差を少なくするように工夫するように心がけましょう。

高血圧によって引き起こされる脳梗塞の後遺症改善や再発予防を目的とした治療法として、再生医療という選択肢があります。脳梗塞に対する再生医療の治療例については、以下の症例記事をご覧ください。

当院リペアセルクリニックでは、メール相談オンラインカウンセリングを実施しています。高血圧に関してお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

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寒いと血圧が上がることに関するよくある質問

足が冷えると血圧が上がるのですか?

血圧の変動は足元からの高さによって異なるとの研究結果があります。(文献7)

室内で高さ1.1mの部分の室温が10℃下がると、血圧が5mmHg上昇しました。高さ0.1mの部分の室温が高いと血圧が9mmHg上昇したとの結果も出ています。

室温が適温でも、足元が冷えていると血管が収縮し、末梢に血液を送る心臓の負担が増えるために血圧が上がる仕組みです。

寒い部屋での血圧測定は良くありませんか?

寒い部屋での血圧を測ると、血圧が高くなりやすくなります。そのため、正確な血圧かどうかわかりにくい状況です。

血圧を測るときは、少なくとも室温を20℃以上に設定しましょう。

参考文献

(文献1)

寒冷下におけるヒトの体温調節と運動時低体温症の発症メカニズム|新潟医療福祉会誌

(文献2)

血圧の生理学|動物の循環器

(文献3)

Winter Hypertension: Potential mechanisms|PubMed Central

(文献4)

高血圧治療ガイドライン2019|日本高血圧学会

(文献5)

一般向け「高血圧治療ガイドライン2019」解説冊子高血圧の話|日本高血圧学会ほか

(文献6)

冬場に多発‼温度差で起こるヒートショック|社会福祉法人恩賜財団済生会

(文献7)

第19回「足元のひえにご注意!気温感受性高血圧とは?」~気温と血圧、循環器病の関係~|公益財団法人日本心臓財団