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血圧を下げる方法|基準値や自分で測定する方法を解説

血圧を下げる
公開日: 2024.04.15 更新日: 2025.10.31

高血圧を放置すると、脳卒中や心疾患、腎臓病など、命に関わる病気を引き起こすリスクがあります。

しかし、日本の推定4,300万人の高血圧患者のうち、適切に治療できているのはわずか3分の1程度であり、多くの人は未治療で自覚がないケースも少なくありません。(文献1

高血圧は自覚症状が乏しいまま進行するため「サイレントキラー」とも呼ばれており、血圧を下げる方法を知っておくことが大切です。

本記事では、血圧を下げる方法や基準値、自分で測定する方法などを解説します。

血圧に関する正しい知識を身につけて、改善や予防につなげていきましょう。

なお、高血圧を放置すると、脳卒中や糖尿病などの深刻な合併症を引き起こすリスクが高まります。万が一これらの疾患を発症した場合、脳卒中の後遺症や再発予防、糖尿病に対しては、再生医療という治療の選択肢があります。

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血圧を下げる方法

高血圧と診断されたら放置せず、早期の対応が重要です。

血圧をコントロールするには生活習慣の見直しと、必要に応じて薬物療法の組み合わせが基本です。

ここでは、血圧を下げるために有効とされる対策を詳しく解説します。

塩分を制限する

血圧を下げるには、まず塩分を制限しましょう。

減塩の目安としては、1日あたりの塩分摂取量を6g未満に抑えることが推奨されています。

一方で、厚生労働省の「令和元年国民健康・栄養調査」によると、日本人の平均的な塩分摂取量は1日約10.1gとされており、多くの人にとって6g未満の食事はかなり薄味に感じるかもしれません。(文献2

減塩を実践する際のコツとしては、出汁や酢、スパイスなどをうまく活用し、塩分に頼らず風味を引き立てることがポイントです。

漬物やハム、ソーセージなどの加工食品は塩分が多く含まれているため、できるだけ控えてください。

さらに、加工食品や外食に含まれる大量の塩分にも注意しましょう。

外食では汁物を控えめにするなど、塩分の摂取を抑える工夫も必要です。

食事を見直して血圧を下げる

食事全体のバランスは血圧に大きく影響するため、食事内容を見直しましょう。

野菜や果物、きのこ類などをしっかり摂り、脂質は控えめにするのが基本です。

野菜や果物、きのこ類などに含まれるカリウムやマグネシウム、カルシウムは、ナトリウムの排出を助けて血圧の安定に役立ちます。

ただし、腎臓病の方はカリウム摂取に制限が必要な場合もあるため、通院中の方は主治医の指示に従ってください。

また、肉や高脂肪の乳製品などに多く含まれる飽和脂肪酸が過多になると、血中のコレステロールが増え動脈硬化が進み血圧が上がります。

特定の食品だけでなく、日々の食事内容をトータルで見直し、血圧の正常化につなげていきましょう。

適正体重をキープする

肥満は高血圧の大きなリスク要因のひとつです。

とくに、内臓脂肪が多いと交感神経が刺激されやすくなり、血圧を上げるホルモンの分泌も増えるため注意が必要です。

体重を1kg減らすことで、収縮期血圧が約1mmHg下がるとされており、適正体重の維持は降圧効果をもたらします。(文献3

ただし、過度なダイエットは体調を崩す原因になるため気を付けましょう。

バランスの取れた食事と適度な運動による、無理のない体重管理が理想です。

血圧を下げる運動を続ける

定期的な運動は血管を柔軟に保ち、血流を促進して自然に血圧を下げる効果があります。

なかでも有酸素運動が推奨されており、以下のような運動がおすすめです。

  • ウォーキング
  • ジョギング
  • 水泳
  • サイクリング
  • エアロビクス

自分で楽しいと感じられる運動なら、継続しやすくなります。

「少しきつい」と感じるくらいの運動強度で毎日30分以上、または週180分以上が推奨されていますが、まずは無理のない範囲から始めましょう。(文献1

運動を習慣化すると体重管理やストレス解消にもつながり、長期的な血圧管理に有効です。

肥満や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病の予防や改善にも寄与するので、ぜひ積極的に取り組みましょう。

飲酒を制限する

過度の飲酒は一時的に血管を拡張させるものの、長期的には交感神経の興奮を引き起こし、かえって血圧を上昇させてしまいます。

高血圧がある方の飲酒量の目安は、1日あたりエタノールで男性20~30mL、女性10~20mL以下です。(文献1

〈1日あたりの飲酒量の目安:男性の場合〉

  • 日本酒 1合
  • ビール 中瓶1本
  • 焼酎 0.5合
  • ウイスキー ダブル(約60mL)
  • ワイン 2杯

女性の場合は、上記の半分を目安にしてください。

また、毎日飲むのではなく、週に2日は休肝日を設けるなど飲酒の頻度にも配慮しましょう。

禁煙する

喫煙は血管を収縮させて血圧を一時的に急上昇させるだけでなく、長期的には動脈硬化を進行させる原因にもなります。

喫煙者は非喫煙者に比べ、高血圧に伴う心血管疾患のリスクが著しく高くなる可能性が報告されているので注意しましょう。(文献4

また、ニコチンの影響で交感神経が刺激され、血圧のコントロールが難しくなるケースもあります。

禁煙は血圧の改善だけでなく、全身の健康維持にもつながる重要な取り組みです。

禁煙外来を利用する方法もあるので、自力で禁煙できない場合は受診を検討しましょう。

喫煙が血圧に与える影響については、以下の記事で詳しく解説しています。

血圧を下げる薬を使う

生活習慣の改善だけで血圧の管理が難しい場合、医師の判断で以下のような降圧薬が処方されます。

  • ACE阻害薬、ARB:血圧を上昇させるホルモンの作用を阻害する
  • カルシウム拮抗薬:血管を拡張させて血圧を下げる
  • 利尿薬:余分な水分やナトリウムを体外に排出する
  • β遮断薬:交感神経を抑制して心収縮を抑えて血圧を下げる

個々の体質や合併症に応じて選択されるので、血圧が気になったらまずは医師に相談してみましょう。

薬物療法と生活習慣の改善を並行して進めれば、より効果的な血圧管理が可能になります。

ただし、降圧薬は長期的に使うことで安定した効果を発揮するため、自己判断での中止や変更は避けましょう。

高血圧の薬(降圧薬)の種類については、以下の記事でも解説しているので参考にしてみてください。

高血圧の原因|何が血圧を上げるのか

高血圧は、大きく分けて「本態性高血圧」と「二次性高血圧」の2つに分類されます。

それぞれのタイプによって対処法が異なるため、正確な理解が重要です。

二次性高血圧

二次性高血圧とは、明確な原因となる疾患が存在し、その疾患によって血圧が上昇している状態を指します。

以下のような疾患が主な原因です。

  • 腎臓病
  • 内分泌疾患
  • 睡眠時無呼吸症候群

上記の病気を治療することで、高血圧の改善が期待できます。

とくに、若くして急に高血圧になった場合や薬が効きにくい場合には、二次性高血圧の可能性を疑いましょう。

本態性高血圧

本態性高血圧は、原因が特定できないものの、さまざまな生活習慣や体質、遺伝的背景が複雑に関係して起こる高血圧です。

日本人の高血圧の約8~9割は本態性高血圧に該当します。(文献1

主な関係因子は以下のとおりです。

  • 遺伝的体質
  • 食塩の過剰摂取
  • 肥満
  • 運動不足
  • 喫煙・過度な飲酒
  • ストレス
  • 加齢

とくに、塩分は血圧上昇と深く関係しており、日本高血圧学会も1日6g未満の塩分摂取を推奨しています。(文献1

血圧を下げるためには、減塩を基本とした食習慣の見直しや適度な運動、禁煙などの生活習慣の改善が不可欠です。

血圧の基準値

血圧は、診察室で測った血圧が「120/80mmHg未満」、自宅で測った血圧が「115/75mmHg未満」が正常な基準値です。(文献5

病院で測定すると高くなる傾向があるため、まずは診察室血圧を測定して「140/90mmHg以上」であれば自宅でも測定し、「135/85mmHg以上」なら高血圧の確定診断となります。

自宅で血圧が測定できない場合は、複数回の診察室血圧だけでも高血圧と診断されます。

ただし、高血圧でなくても、正常血圧より高いグレーゾーンがある点に注意しましょう。

以下の表にあるように、病院での測定値「120〜139/80〜89mmHg」、家庭血圧「115〜134/75〜84mmHg」の場合はグレーゾーンに該当します。

区分 診察室血圧 家庭血圧
正常血圧 120/80mmHg未満 115/75mmHg未満
グレーゾーン 120〜139/80〜89mmHg 115〜134/75〜84mmHg
高血圧 140/90mmHg以上 135/85mmHg以上

高血圧の診断基準を満たさなくとも、血圧が高くなるにつれて脳卒中や心筋梗塞などの「脳心血管の疾患」が起こりやすくなります。

また、グレーゾーンの方は生涯のうちに高血圧の基準を満たす可能性も高くなるため、たとえ診断に至らなくても血圧が高めの方は対策が大切です。

なお、自宅での血圧が高血圧に該当しなくても、診察室血圧のみが高血圧の基準を満たす場合は「白衣高血圧」と呼ばれています。

白衣高血圧の方は高血圧でない方と比べて、将来的に脳心血管の病気を起こすリスクが高いため要注意です。

自宅血圧測定の方法|計測する時間帯や回数

自宅での血圧測定は、高血圧の診断において欠かせない要素です。

治療中においても、家庭血圧は降圧治療の効果を判断するための重要な指標となります。

高血圧と診断された場合、毎日家庭血圧を測定し、自分の血圧の傾向を把握することが大切です。

ここでは、家庭で正しく血圧を測るためのポイントを解説します。

家庭血圧測定のポイント

血圧測定は、朝と夜の2回行うのが基本です。

【朝の測定】

  • 起床後1時間以内
  • 朝食前
  • 血圧の薬を飲む前
  • トイレを済ませた後

なお、水分を摂るのは問題ありません。

【夜の測定】

就寝前が目安です。

測定時の注意点

血圧は、1〜2分間座って落ち着いてから測定することが大切です。

動いた直後や急いで測ると、正確な値が出ない場合があります。

深呼吸をしてリラックスした状態で測定しましょう。

測定回数と記録の仕方

原則として、1回の測定で2回ずつ測り、両方の結果を記録します。

  • 朝:2回
  • 夜:2回
  • 1日あたり:4回測定

2回分の血圧の値を平均して評価します。

診断や治療効果の判定には、5〜7日間の平均値を使うのが一般的なので、毎回の数値に一喜一憂せず一定期間の変化を見ることが重要です。

できるだけ毎日同じ時間帯に測定するのが理想ですが、生活リズムに合わせて調整しても問題ありません。

難しい場合は、かかりつけの医師に相談しながら、無理のない方法で続けましょう。

高血圧の自覚症状|頭痛・肩こりとの関係と潜むリスク

高血圧は、人によっては軽度の頭痛や肩こりなどの症状が現れる場合がありますが、自覚症状がないケースも少なくありません。

ただし、血圧が急激に高くなると危険な状態に陥る場合もあります。

180/120mmHg以上の高度の血圧上昇は「高血圧緊急症」と呼ばれ、脳・心臓・腎臓・大きな血管などに障害をきたし、放置すると命に関わるため注意が必要です。

高血圧緊急症になると、次のような疾患を発症するリスクが高まります。

  • 高血圧性脳症
  • 脳卒中
  • 急性大動脈解離
  • 急性心不全
  • 急性心筋梗塞
  • 急性腎不全

なかでも、「高血圧性脳症」は耳慣れない言葉かもしれません。

急激に血圧が上昇することで、脳の血流が必要以上に増加して脳がむくむ病気です。

そのまま放置すると脳出血や昏睡状態を引き起こし、命を落とす危険性もあります。

また、頭痛・吐き気・嘔吐・視力の障害・意識障害・痙攣などの症状があれば、速やかに受診しましょう。

まとめ|高血圧は食事・運動・薬でコントロール!

高血圧の多くを占める本態性高血圧では、塩分のとりすぎをはじめとした生活習慣が大きく関わっています。

症状がないからといって高血圧を放置すると、命に関わる病気を起こしかねません。

血圧が気になるのであれば、まずは定期的な血圧測定を行い、日々の血圧がどのくらいかを把握するように努めましょう。

高血圧対策の第一歩は、生活習慣の改善です。

運動や食事を一気に改善するのが難しければ、できるところから始めてみましょう。

高血圧による合併症を予防したい方や、再生医療について詳しく知りたい方は、当院「リペアセルクリニック」の公式LINEをご確認ください。

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血圧を下げることに関するよくある質問

血圧を下げるのに即効性のある食べ物は何ですか?

即効性があるとされているのは「減塩食」です。

塩分の摂取を急に減らすと、早い人では数日で血圧の変化を感じることがあります。

とくに、高血圧の方は塩分感受性が高いため、減塩の影響が出やすい傾向があります。

血圧を下げる飲み物にはありますか?

血圧を下げる働きが期待される飲み物には、以下のようなものがあります。

  • カリウムを含む「トマトジュース」「野菜ジュース」
  • GABA配合の「機能性表示飲料」
  • ポリフェノールを含む「緑茶」や「カカオ飲料」

血圧を下げる効果がある成分を含んだ飲み物を継続して摂取することで、血圧の安定化が期待できます。

ただし、塩分や糖分の含有量には注意が必要です。

血圧を下げるサプリはありますか?

血圧対策に使われる代表的な成分「γ-アミノ酪酸(GABA)」や「ラクトトリペプチド」は、機能性表示食品に多く利用されています。

ただし、サプリメントはあくまで補助的な存在であり、医師から高血圧と診断されている場合は、必ず医療機関の指示に従いましょう。

血圧を下げる呼吸法を教えてください。

深呼吸を意識的に行うと副交感神経が優位になり、血管が拡張しやすくなります。

軽度の血圧上昇であれば、一時的な改善が期待できるでしょう。

とくに、ストレスが原因で血圧が上がっているケースでは、深呼吸を習慣にすると精神的な安定も得られます。

一週間で血圧を下げる方法はありますか?

医学的には、薬を使用せず確実に血圧を下げる即効性のある方法は存在しません

ただし、個人差はありますが、減塩や睡眠改善、運動、アルコール制限などの生活習慣の見直しを一気に行えば、短期間である程度の効果が見られるケースもあります。

参考文献

(文献1)
一般向け「高血圧治療ガイドライン2019」解説冊子|特定非営利活動法人日本高血圧学会・特定非営利活動法人日本高血圧協会・認定特定非営利活動法人ささえあい医療人権センターCOML

(文献2)
令和元年 国民健康・栄養調査報告|厚生労働省

(文献3)
PubMed Central (PMC) – U.S. National Library of Medicine|Lowering weight equals reduction of mortality: How far are we from the “Ithaka” of ideal weight control?

(文献4)
喫煙と循環器疾患|厚生労働省

(文献5)
高血圧治療ガイドライン2019|日本高血圧学会