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血圧の正常値とは?内科医師が詳しく解説!

血圧の正常値とは 医師が解説
公開日: 2025.02.10 更新日: 2025.02.14

健康診断での血圧測定、気にしていますか? 実は、高血圧は自覚症状がないまま進行し、脳卒中や心筋梗塞など、命に関わる病気を引き起こす可能性がある“サイレントキラー”なのです。

日本高血圧学会によると、家庭血圧の正常値は115/75mmHg以下。あなたは大丈夫ですか?

年齢や生活習慣によって正常値は変化し、20歳から80歳までの平均家庭血圧は、上の数値(収縮期血圧)で115.9mmHg~133.9mmHg、下の数値(拡張期血圧)で68.1mmHg~74.5mmHgと幅があります。

この記事では、高血圧・低血圧それぞれの症状や合併症、家庭での血圧管理、最新のデバイス情報まで網羅的に解説! 知っておくだけで日々の健康管理に役立つ知識が満載です。 さあ、一緒に健康寿命を延ばすための第一歩を踏み出しましょう。

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血圧の正常値とは?

健康診断で必ず測る血圧。普段は意識しないかもしれませんが、実は全身状態を反映する重要な指標です。高血圧は自覚症状がないまま進行し、ある日突然、脳卒中や心筋梗塞といった命に関わる病気を引き起こす危険因子となります。

「自分はまだ若いから大丈夫」と考えている方もいるかもしれません。しかし、新生児でさえ、出生体重や在胎週数によって血圧は異なるように、年齢や身体の状態によって「正常」の範囲は変化します。若くても血圧管理を意識することは、将来の健康を守る上で非常に重要です。

血圧の正常値の範囲(日本高血圧学会の基準値)

血圧の正常値は、家庭で測る家庭血圧」と病院で測る「診察室血圧」で基準が異なります。日本高血圧学会では、家庭血圧で115/75mmHg以下、診察室血圧で120/80mmHg以下を正常血圧としています。

血圧の種類 正常値
家庭血圧 115/75mmHg以下
診察室血圧 120/80mmHg以下

血圧の正常値とは?「正常高値血圧」や「高値血圧」にも注意が必要です。家庭血圧で115/75mmHg~135/85mmHg、診察室血圧で120/80mmHg~140/90mmHgの場合は、将来的に高血圧へと進行するリスクが高いため、早めの生活習慣の見直しが重要です。

スペインの診療ガイドラインでは、診察室血圧140/90mmHg以上を高血圧と定義し、家庭血圧測定の重要性を強調しています。家庭でリラックスした状態で血圧を測ることで、より正確な状態を把握できるからです。

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年齢による血圧変化と正常値の目安

血圧は年齢とともに変化します。血管の老化などにより、年齢を重ねるごとに上昇する傾向があります。

20歳から80歳までの平均的な家庭血圧は、収縮期血圧(上の数値)が115.9mmHg~133.9mmHg、拡張期血圧(下の数値)が68.1mmHg~74.5mmHgです。

しかし、これはあくまでも平均値です。一人ひとりの体質や生活習慣によって、血圧値は大きく変わります。年齢を重ねるごとに血管は変化していくため、定期的な血圧測定と適切な管理が重要となります。

家庭血圧と診察室血圧の違い

家庭血圧は、自宅でリラックスした状態で測る血圧です。一方、診察室血圧は病院という非日常的な環境で、医師を前にした緊張から高めに出やすい傾向があります。これは「白衣高血圧」と呼ばれ、家庭血圧との差が大きい場合は、家庭血圧を基準に治療方針を決定することが多いです。

家庭血圧は、日々の血圧の状態をより正確に反映していると考えられています。多くの研究で、家庭血圧の方が診察室血圧よりも心血管疾患のリスク予測に優れていることが示されています。だからこそ、家庭での血圧測定が重要視されているのです。

測定時間帯による血圧の変化

血圧は一日の中でも常に変動しています。朝起きた直後や、運動後、食後などは一時的に上昇します。また、精神的なストレスによっても変化します。

日本高血圧学会は、起床後1時間以内と就寝前の毎日同じ時間帯に、朝食や服薬の前に血圧を測ることを推奨しています。毎日同じ時間に測定することで、血圧の変化をより正確に捉えることができるからです。

血圧の測り方:家庭での正しい測定方法

家庭で血圧を測る際は、正しい測定方法を守ることが重要です。

  1. 測定前に5分程度、椅子に座ってリラックスしましょう。トイレも済ませておきましょう。
  2. カフ(腕に巻く帯状のもの)は心臓と同じ高さに巻き、肘の内側に指が1~2本入る程度のゆとりを持たせます。
  3. 測定中は、腕を机の上に置いて支え、話したり体を動かしたりしないようにしましょう。
  4. 1~2分間隔で2~3回測定し、平均値を記録しましょう。

正しい測定方法で得られた数値を記録することで、ご自身の血圧の状態を正しく把握し、適切な対応につなげることができます。

血圧が高い/低いとどうなる?

血圧は、健康のバロメーターとも言える重要な数値です。健康診断でチェックされる項目の一つですが、皆さんは自分の血圧をきちんと把握していますか? 「まだ若いから大丈夫」「自覚症状がないから心配ない」と考えている方もいるかもしれません。しかし、血圧の異常は自覚症状がないまま進行し、ある日突然、命に関わる病気を引き起こす可能性があるのです。

高血圧も低血圧も、放置すると様々なリスクを伴います。

ここでは、高血圧と低血圧それぞれの場合に起こりうる症状や合併症、そして緊急時の対応について詳しく解説します。ご自身の血圧の状態を理解し、健康管理に役立てていただければ幸いです。

高血圧の症状と合併症(脳卒中、心臓病、腎臓病など)

高血圧は、まさに「サイレントキラー」です。初期段階ではほとんど自覚症状がないため、気づかないうちに血管に負担がかかり続け、動脈硬化を進行させます。そして、ある日突然、脳卒中や心筋梗塞といった生命に関わる病気を引き起こす危険因子となるのです。

2017年に発表された小児・青年期高血圧症のスクリーニングと管理に関する臨床診療ガイドラインでは、高血圧は深刻な合併症のリスクを高めることが示されています。

高血圧の合併症を具体的に見ていきましょう。

高血圧が引き起こす可能性のある合併症は多岐に渡ります。例えば、脳の血管が詰まったり破れたりする脳卒中心臓の血管が狭くなったり詰まったりする心臓病(狭心症、心筋梗塞)腎臓の機能が低下する腎臓病、さらには大動脈が裂ける大動脈解離など、命に関わる深刻な病気が含まれます。

脳卒中は、脳の血管が破れたり詰まったりすることで、半身まひや言語障害などの後遺症を残す可能性があります。

心筋梗塞は、心臓の血管が詰まることで心臓の筋肉が壊死し、突然死のリスクも高い危険な病気です。

腎臓病は、腎臓の機能が低下することで、最終的には人工透析が必要になることもあります。

大動脈解離は、大動脈の壁が裂ける病気で、突然の激しい胸や背中の痛みが特徴です。迅速な治療が必要で、放置すると命に関わる危険性があります。

若いうちから血圧管理を意識することは、将来の健康を守る上で非常に重要です。

▼脳卒中の後遺症について、併せてお読みください。

低血圧の症状と原因

血圧の正常値とは?低血圧は、高血圧とは異なり、比較的自覚症状が現れやすい傾向があります。代表的な症状としては、立ちくらみ、めまい、ふらつき、倦怠感、頭痛、吐き気などがあります。これらの症状は、脳への血流が一時的に不足することで起こります。

低血圧の原因は多岐に渡ります。体内の水分量が不足する脱水症状、血液中の赤血球が減少する貧血、自律神経のバランスが乱れる自律神経失調症、心臓の機能が低下する心臓疾患など、様々な原因が考えられます。また、特定の薬の副作用として低血圧が起こることもあります。

緊急性の高い血圧の数値と対応

家庭で血圧を測定した際に、上の数値(収縮期血圧)が180mmHg以上、または下の数値(拡張期血圧)が110mmHg以上の場合、緊急性が高い状態と判断されます。このような数値が出た場合は、速やかに医療機関を受診してください。

特に、激しい頭痛やめまい、吐き気、胸の痛み、呼吸困難、ろれつが回らない、意識がもうろうとするなどの症状がある場合は、一刻を争う事態です。迷わず救急車を呼ぶようにしましょう。

血圧の変動に影響する要因(ストレス、睡眠、飲酒、喫煙など)

血圧は、様々な要因によって変動します。日常生活におけるストレス、睡眠不足、過剰な飲酒、喫煙などは、血圧を上昇させる要因となります。また、食生活においては、塩分の過剰摂取や肥満も血圧上昇に繋がります。

ストレスは交感神経を刺激し、血管を収縮させることで血圧を上昇させます。睡眠不足も自律神経のバランスを崩し、血圧上昇を招きます。アルコールは、少量であれば血管を拡張させて一時的に血圧を下げますが、大量に摂取すると逆に血圧を上昇させる可能性があります。タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、血圧を上昇させるだけでなく、動脈硬化を促進することで、将来的に高血圧のリスクを高めます。

血圧と他の病気との関係

高血圧は、糖尿病、脂質異常症、慢性腎臓病などの生活習慣病との関連が深く、これらの病気を合併している人は高血圧になりやすい傾向があります。反対に、高血圧はこれらの病気を悪化させる要因にもなります。2019年に発表された難治性高血圧のガイドラインでも、適切な血圧管理の重要性が強調されており、薬物療法をきちんと行うこと(服薬アドヒアランス)、家庭血圧のモニタリングによる血圧コントロールの重要性についても言及されています.

高血圧は単独で発症するだけでなく、他の生活習慣病と密接に関連していることを理解しておく必要があります。生活習慣病は、互いに影響し合い、悪化させる可能性があるため、総合的な健康管理が重要です。

血圧を正常に保つための生活習慣

血圧のコントロールは、健康な毎日を送る上で欠かせません。血圧計の数値が気になって病院を受診した方、健康診断で血圧が高いと指摘された方、または、ご家族に血圧が高めの方がいて心配な方など、様々な方がいらっしゃると思います。

若いうちは血圧を気にしない方も多いでしょう。しかし、高血圧は自覚症状がないまま進行し、ある日突然、脳卒中や心筋梗塞といった命に関わる病気を引き起こすことがあります。まさに「サイレントキラー」です。

血圧管理は、年齢に関係なく重要です。新生児でさえ、出生体重や在胎週数によって血圧が異なるように、年齢や身体の状態によって「正常」の範囲は変化します。若いうちから血圧管理を意識することは、将来の健康を守る上で非常に重要です。

この章では、血圧を正常な範囲に保つため、今日からすぐに始められる生活習慣の改善について、具体的に説明します。小さな積み重ねが、大きな成果につながります。一緒に、健康な未来を目指しましょう。

食事療法:高血圧/低血圧に良い/悪い食べ物

食事は、血圧コントロールに直結する重要な要素です。特に、塩分の摂りすぎは高血圧の大きな原因となります。厚生労働省は1日あたりの塩分摂取量の目標値を男性7.5g未満、女性7.0g未満に設定しています。

高血圧の方は、カリウムを多く含む食品を積極的に摂りましょう。カリウムには、体内の余分な塩分を排出する働きがあります。例えば、ほうれん草、小松菜、かぼちゃなどの緑黄色野菜、バナナ、キウイ、みかんなどの果物がおすすめです。

反対に、塩分の多い加工食品(ハム、ソーセージ、ベーコン、インスタントラーメンなど)、漬物などは控えましょう。

食品群 よい食べ物 控えるべき食べ物
野菜 ほうれん草、小松菜、かぼちゃ、ブロッコリー、アスパラガスなど 漬物、塩蔵野菜、梅干しなど
果物 バナナ、キウイ、みかん、りんご、ぶどうなど
肉・魚 鶏ささみ、鮭、たら、まぐろ(赤身)、いわしなど ベーコン、ハム、ソーセージなどの加工肉
乳製品 牛乳、ヨーグルト、チーズなど
主食 玄米、全粒粉パン、そばなど 塩分の多いインスタント食品など

低血圧の方は、バランスの取れた食事を心がけ、適度に塩分を摂ることも必要です。貧血気味の場合は、鉄分やビタミンB12を多く含むレバー、赤身の肉、魚介類なども意識して摂りましょう。

運動療法:効果的な運動の種類と強度

適度な運動は、血圧を下げる効果があり、心血管疾患のリスクを低減します。ウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリングなどの有酸素運動は、1回30分程度、週に3~5回行うのが理想的です。

運動強度は、「少し息が弾む程度」を目安にしましょう。無理なく続けられることが大切です。激しい運動は逆効果になることもあるため、自分の体力に合った運動を選び、継続することが重要です。

ストレスマネジメント:具体的な方法

ストレスは、交感神経を刺激し血管を収縮させることで、血圧を上昇させる要因の一つです。日常生活でストレスをため込まない工夫をしましょう。

  • 趣味の時間を作る: 好きなことに没頭することで、ストレスを発散できます。絵を描く、音楽を聴く、スポーツをするなど、自分が楽しめる活動を見つけましょう。
  • 休息時間を確保する: 十分な睡眠時間を取り、心身を休ませましょう。睡眠不足はストレスを悪化させる要因となります。
  • リラックスできる時間を持つ: アロマを焚いたり、好きな音楽を聴いたり、読書をしたり、ゆったりとした時間を取り入れるのも効果的です。
  • 呼吸法を取り入れる: 深い呼吸は、副交感神経を優位にしてリラックス効果を高めます。腹式呼吸を意識的に行う練習も有効です。
  • 瞑想やヨガ: これらは心身の緊張を解き放ち、ストレス軽減に効果的です。初心者向けのクラスやオンライン動画なども活用できます。

睡眠の質の改善:睡眠時間と睡眠環境

睡眠不足は、自律神経のバランスを崩し、血圧上昇のリスクを高めます。質の良い睡眠を確保するために、以下の点に気をつけましょう。

  • 規則正しい睡眠習慣: 毎日同じ時間に寝起きすることで、体内時計を整えましょう。
  • 適切な睡眠時間: 7~8時間の睡眠時間を確保するようにしましょう。個人差はありますが、睡眠時間が短すぎると、血圧にも悪影響を及ぼします。
  • 快適な睡眠環境: 寝室の温度や湿度、照明などを調整し、リラックスできる空間を作りましょう。室温は18~20度程度、湿度は50~60%が快適です。

家庭でできる血圧管理の方法:血圧手帳/アプリの使い方

家庭で血圧を測定し、記録することは、血圧管理に非常に役立ちます。血圧手帳やアプリを使って、毎日の血圧の変化を把握しましょう。血圧は常に変動するため、家庭での継続的な測定が重要です。診察室血圧は一時的な値でしかないため、家庭血圧を記録することで、より正確な状態を把握できます。

記録することで、生活習慣の改善効果を確認したり、医師に適切な治療方針を立ててもらったりする際に役立ちます。スマートウォッチなど最新の血圧管理デバイスと連携させれば、データ管理も容易になります。

最新の血圧管理デバイスの情報

最近では、家庭用の血圧計だけでなく、スマートウォッチやスマートフォンと連携して血圧を測定・管理できるデバイスも登場しています。これらのデバイスは、自動的にデータを記録し、グラフ化してくれるなど、血圧管理をより簡単にしてくれる便利なツールです。自分に合ったデバイスを選び、活用することで、日々の血圧管理をスムーズに行うことができます。

まとめ

この記事では、血圧の正常値について、家庭血圧と診察室血圧の違い、年齢による変化、測り方、そして高血圧・低血圧それぞれの症状と合併症、緊急時の対応、血圧に影響する要因、他の病気との関係、血圧を正常に保つための生活習慣、最新の血圧管理デバイスの情報まで幅広く解説しました。

血圧は全身状態を反映する重要な指標です。自覚症状がないまま進行し、脳卒中や心筋梗塞といった重大な病気を引き起こす可能性があるため、日頃から血圧を意識し、家庭での血圧測定を習慣化することが大切です。

高血圧の方は、塩分を控えたバランスの良い食事、適度な運動、ストレス管理、十分な睡眠を心がけ、低血圧の方は、バランスの取れた食事と適度な塩分摂取、そして貧血対策を意識しましょう。

血圧管理は、年齢に関係なく、健康な毎日を送る上で欠かせません。この記事を参考に、ご自身の血圧の状態を理解し、健康管理に役立てていただければ幸いです。

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参考文献

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  5. “Neonatal Blood Pressure Standards: What Is ‘Normal’?” Clinics in perinatology 47, no. 3 (2020): 469-485.

監修者

渡久地 政尚

渡久地 政尚 医師 (医療法人美喜有会)

Masanao Toguchi

日本再生医療学会 所属

日本内科学会 所属

再生医療の可能性を追求しながら、体への負担が少なく効果的な治療を提供し、患者様が早期に活動的な生活に戻れるよう、丁寧な診療を心がけてまいります。

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