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【医師監修】後縦靭帯骨化症とは|症状・原因・治療法を詳しく解説

「手足のしびれや歩きにくさを感じる」
「手足が自由に動かせず、生活に支障をきたしている」
その症状は、後縦靭帯骨化症と呼ばれる指定難病によって起こっている可能性があります。
後縦靭帯骨化症とは、背骨の中を走る後縦靭帯が骨のように硬くなり、脊髄や神経を圧迫してしまう疾患です。
進行すると日常生活に大きな支障をきたしますが、早期発見と適切な治療・生活管理により、症状の進行を抑えられるケースも少なくありません。
本記事では、現役医師監修のもと、後縦靭帯骨化症の症状・原因・治療法についてわかりやすく解説します。
- 後縦靭帯骨化症の症状
- 後縦靭帯骨化症の原因
- 後縦靭帯骨化症を放置するリスク
- 後縦靭帯骨化症の治療法
- 後縦靭帯骨化症における日常で気を付けるべきこと
記事の最後には、後縦靭帯骨化症についてよくある質問をまとめていますので、ぜひご覧ください。
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後縦靭帯骨化症について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。
目次
後縦靭帯骨化症とは
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 疾患の概要 | 背骨内を走行する後縦靭帯が骨化し、脊髄や神経根を圧迫する疾患。日本人に多く認められ、指定難病に分類されている |
| 起きる場所 | 主に頸椎に発生し、胸椎・腰椎に広がる場合もある。頸椎では上肢症状、胸椎・腰椎では下肢症状が主体となる傾向がある |
| 原因 | 遺伝的素因、糖尿病などの代謝異常、カルシウム代謝異常、頸部への慢性的負荷など、複合的要因の関与が示唆されている |
| 症状の進み方 | 初期は軽微な感覚異常から始まり、骨化の進行に伴って脊髄圧迫が増強し、運動機能や感覚障害が顕在化していく経過をたどる |
| 進行速度 | 数年単位で緩徐に進行することが多く、無症状で経過する例もある |
後縦靭帯骨化症は、脊椎の後縦靭帯が骨化して脊髄や神経根を圧迫する疾患です。
頸椎に多く発症し、手足のしびれや歩行障害、巧緻運動障害などが現れます。初期は軽い違和感程度ですが、進行すると日常生活動作に支障をきたします。
原因は遺伝的素因、加齢、代謝異常など複数の要因が関与すると考えられています。
後縦靭帯骨化症の症状
| 症状 | 詳細 |
|---|---|
| 手足のしびれ・感覚の変化 | 指先や足先のしびれ、感覚鈍麻、巧緻動作障害(ボタン操作困難、物の落下など)を呈し、温痛覚の低下を伴う場合がある症状 |
| 歩行・運動機能の低下 | 足のもつれやふらつき、階段昇降困難、長距離歩行時の易疲労性、転倒リスクの増加など、歩行の安定性低下を示す症状 |
| 排尿・排便障害(進行した場合) | 排尿困難、残尿感、便秘、失禁傾向など、自律神経障害により生じる排泄機能異常であり、進行の指標となる重要な症状 |
後縦靭帯骨化症の症状は、脊髄や神経根の圧迫によって生じます。初期には手足のしびれや感覚の鈍さ、細かい動作のしにくさが現れ、進行すると歩行障害やふらつき、転倒しやすさが目立ちます。
さらに重症化すると排尿・排便のコントロールが困難になり、症状は緩やかに進行しても一度悪化すると改善が難しいため、手足のしびれや歩きにくさを感じた場合は早急に医療機関を受診しましょう。
手足のしびれ・感覚の変化
| 区分 | 詳細 |
|---|---|
| 原因 | 後縦靭帯の骨化による脊柱管狭窄と脊髄・神経根圧迫に伴う神経伝達障害 |
| 頸椎の場合(上肢中心) | 手指や腕のしびれ・異常感覚、物をつかみにくい巧緻運動障害、片側に偏る症状 |
| 胸椎・腰椎の場合(下肢中心) | 足のしびれ・張り感、歩行時のふらつき、骨化部位より下の感覚異常や歩行不安定 |
| 進行による悪化メカニズム | 骨化拡大に伴う圧迫増強、しびれの範囲拡大と持続、感覚消失や筋力低下の進行 |
(文献2)
靭帯が硬く厚くなることで脊髄や神経が圧迫され、手足のしびれや感覚異常が起こります。
頸椎では手指のしびれや細かい動作の障害が目立ち、胸椎・腰椎では足のしびれや歩きにくさが現れます。
症状は骨化が進むほど強くなり、範囲も広がります。進行すると感覚が失われたり筋力が低下する場合があり、早期の受診と経過観察が重要です。
以下の記事では、手足のしびれについて詳しく解説しています。
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手足のしびれの原因となる病気の症状や予防法を解説!前兆も紹介
歩行・運動機能の低下
| 区分 | 詳細 |
|---|---|
| 原因 | 後縦靭帯の骨化による脊柱管の狭窄、脊髄や運動神経への慢性的圧迫、神経伝達の障害 |
| 頸椎骨化の場合(四肢・体幹への影響) | 足の筋力低下、膝反射の過剰反応、歩幅の減少や足引きずりの出現、体幹バランスの不安定化 |
| 胸椎・腰椎骨化の場合(下肢特異的) | 下肢の神経障害、張り感や足のつっぱり、長距離歩行後の疲れやすさ、スリッパが脱げる、足がもつれるといった症状の発生 |
| 進行メカニズムと急性悪化要因 | 神経の血流低下、神経変性の進行、転倒による急性麻痺の発症、年齢による靭帯硬化の進行 |
(文献3)
後縦靭帯骨化症では、硬くなった靭帯が脊髄や運動神経を圧迫し、足の筋力低下や筋肉のこわばりを引き起こすことで歩行が不安定になります。
初期は軽いふらつきですが、進行すると足を引きずる、歩幅が狭くなるなど症状が顕著になります。
頸椎では広範囲に、胸椎・腰椎では下半身に症状が現れ、転倒で急速に悪化するため早期診断が必要です。
以下の記事では、後縦靭帯骨化症による寝たきりのリスクについて詳しく解説しています。
排尿・排便障害(進行した場合)
| 区分 | 詳細 |
|---|---|
| 原因 | 骨化による脊柱管の狭窄、脊髄への圧迫、自律神経中枢の障害、神経信号の伝達異常 |
| 頸椎・胸椎骨化の場合(広範影響) | 膀胱収縮力の低下、排尿時の勢いの減少、残尿感、直腸感覚の鈍化、夜間頻尿や便秘の出現 |
| 腰椎骨化の場合(下部特異的) | 尿意切迫感や排便困難、進行に伴う両側性失禁、尿路感染の合併リスク |
| 進行メカニズムと緊急性 | 神経変性と血流低下、転倒などによる急性悪化、完全失禁への進行、緊急受診の必要性 |
後縦靭帯骨化症が進行すると、骨化による脊柱管狭窄が脊髄や自律神経を圧迫し、排尿・排便機能が障害されます。
膀胱直腸障害として残尿感、夜間頻尿、便秘、尿意切迫感が現れ、進行すると失禁や尿路感染をきたします。
慢性的圧迫による神経変性に加え、転倒などを契機に急性悪化する場合もあり、完全失禁に至ることがあるため、早期評価と適切な対応が重要です。
後縦靭帯骨化症の原因
| 原因 | 詳細 |
|---|---|
| 遺伝的な要因が関与するとされている | 家族内発症の報告があり、骨・靭帯の骨化傾向に関連する体質や特定遺伝子型の関与が示唆されている |
| 加齢や基礎疾患が影響する可能性 | 加齢に伴う代謝変化や靭帯硬化に加え、糖尿病・肥満・高血圧などの生活習慣病、長期的な姿勢負荷の影響が関与していると考えられている |
| 複数の要因が絡み合って発症する疾患である | 遺伝・代謝・加齢・生活習慣など多因子的背景が重なり、慢性的に進行する複合的な病態である |
後縦靭帯骨化症の原因は完全には解明されておらず、遺伝的素因、加齢、代謝異常など複数の要因が関与すると考えられています。
糖尿病や肥満との関連も指摘されており、生活習慣や基礎疾患が影響する可能性があります。
骨化の進行や症状の出現には個人差があり、発症を完全に予防することは困難です。診断後は適切な管理により進行を緩やかにし、身体機能の維持を図ることが欠かせません。
遺伝的な要因が関与するとされている
後縦靭帯骨化症は遺伝的素因が主要因とされ、特定の遺伝子多型が靭帯組織の異常骨化を促進します。
ある研究では、家族性発症率は兄弟で約30%、一卵性双生児で85%と高く、患者の血縁者の23%に骨化がみられました。(文献2)
また、全ゲノム解析(GWAS)では6p21.1、8q23.1など6つの疾患感受性領域が同定され、遺伝的寄与率は53%に達するとされています。(文献5)
一方で、遺伝素因を持つ方に糖尿病や肥満などの環境因子が加わることで発症や進行が誘発される可能性が示唆されており、遺伝と環境が複合的に影響する疾患と考えられています。
加齢や基礎疾患が影響する可能性
後縦靭帯骨化症は、加齢や基礎疾患が骨化進行に影響する可能性が指摘されています。
50歳前後から靭帯の石灰化・硬化が進み、代謝変化(ビタミンD低下)により異常骨形成が誘発され、中年以降の変性蓄積が骨化閾値を超えて進行を加速すると報告されています。
また、後縦靭帯骨化症患者には糖尿病や肥満、脂質異常などの代謝異常を合併する例が多いのも特徴です。(文献6)
糖尿病や肥満・過体重のある人では後縦靭帯骨化症の発症や進行リスクが高いことが示されています。(文献7)
さらに代謝異常(糖・脂質代謝異常、内臓脂肪蓄積など)が靭帯の異所性骨化に強く関連する可能性も報告されています。(文献8)
複数の要因が絡み合って発症する疾患である
後縦靭帯骨化症は、遺伝的要因(疾患感受性遺伝子多型)と環境要因(糖尿病・肥満・機械的ストレス)が相互作用する多因子疾患です。
単一遺伝子病ではなく、複数のSNPと生活習慣の複合が発症閾値を超えることで骨化が誘発されます。全ゲノム解析(GWAS)では遺伝的寄与率53%が示され、残りは環境因子とのエピジェネティックな相互作用とされています。(文献5)
遺伝素因保有者に代謝異常が加わると炎症性サイトカインを介して骨化が促進されますが、家族内発生率は30%であり環境因子との相互作用が必要です。(文献9)
後縦靭帯骨化症を放置するリスク
| 放置するリスク | 詳細 |
|---|---|
| しびれや動作の障害が進むことがある | 手足のしびれの悪化、細かい作業の困難、物を落としやすくなる動作障害 |
| 歩行が不安定になり転倒の危険が高まる | 足のもつれやふらつき、段差や階段での転倒リスクの増加 |
| 排尿・排便のトラブルが生じることがある(重度の場合) | 尿が出にくい、失禁しやすい、便秘や排便困難などの排泄障害 |
後縦靭帯骨化症は進行性の疾患であり、初期の軽い症状を放置すると重大な機能障害につながる恐れがあります。
初期には手足のしびれや動作のしにくさから始まり、進行すると歩行が不安定になり転倒しやすくなるため、注意が必要です。
さらに重症化すると脊髄への圧迫が強まり排尿・排便のコントロールが困難になります。
しびれや動作の障害が進むことがある
後縦靭帯骨化症を放置すると、骨化が徐々に拡大し脊髄への圧迫が進行します。慢性的な圧迫により脊髄虚血や神経変性が生じ、手足のしびれの範囲が広がり、歩行や細かい動作の障害が徐々に悪化します。
とくに注意すべきは、軽度の転倒でも骨化部の微小移動や脊髄外傷が発生し、急性麻痺(しびれの急増・四肢機能低下)が誘発されることです。この場合、回復率は50%未満とされています。(文献1)
長期間の脊髄圧迫は神経の回復力を低下させ、筋萎縮や関節拘縮を伴い、手術が遅れると、術後であっても神経障害の改善が難しく、後遺症が出る可能性があります。(文献10)
歩行が不安定になり転倒の危険が高まる
後縦靭帯骨化症では、骨化した靭帯による脊髄圧迫により運動神経と感覚神経の働きが妨げられます。
これにより下肢の筋力低下、感覚の鈍化、反射の異常が生じ、歩行に必要な神経の連携が乱れます。
バランス保持が不安定になると、階段、段差、滑りやすい床などで転倒しやすくなるため注意が必要です。
後縦靭帯骨化症の患者では、歩行障害やバランス感覚の低下、転びやすさを訴えるケースが報告されています。
症状は進行性であり、軽度の転倒でも急激な症状悪化を招く恐れがあるため、早期の対応と転倒予防が重要です。
濡れている地面など、足元が不安定な場合は十分気をつけてください。
排尿・排便のトラブルが生じることがある(重度の場合)
| 区分 | 詳細 |
|---|---|
| 脊髄・神経根の圧迫 | 脊柱管の狭窄による脊髄・神経根の圧迫、膀胱・直腸を支配する自律神経への影響 |
| 進行による障害範囲の拡大 | 骨化の進行による圧迫範囲の増加、手足の症状から排泄機能障害への進展 |
| 排泄制御の神経障害 | 神経因性膀胱・神経因性腸による排尿困難、頻尿、残尿感、失禁、便秘 |
| 軽微な外力による急変 | 軽い転倒や姿勢変化による神経圧迫の急増、排泄障害の急発症 |
| リスクが高い状況 | 頸椎・胸椎・腰椎など複数部位に骨化が存在する場合の排泄障害発生リスク |
後縦靭帯骨化症では、骨化による脊髄や神経根の圧迫により排尿・排便を制御する自律神経が障害されます。
初期はしびれのみですが、進行すると排尿困難、頻尿、残尿感、便秘、失禁などが現れるのが特徴です。
実際、後縦靭帯骨化症の重症例では膀胱直腸障害を含む報告が多く、尿意がわかりにくい、尿や便が出にくい、失禁が起こるなどの症状がみられます。(文献11)
軽い転倒や姿勢変化で急に悪化する場合もあるため、早期の受診と生活上の工夫が欠かせません。
後縦靭帯骨化症の治療法
| 治療法 | 詳細 |
|---|---|
| 保存療法(薬物療法・装具療法・生活調整) | 痛みやしびれの緩和、装具による姿勢補助、生活活動の調整による症状悪化予防 |
| リハビリテーション(身体機能の維持・悪化予防) | 筋力維持、柔軟性改善、転倒予防のための運動療法、日常動作の指導 |
| 手術療法 | 脊髄や神経の圧迫を解除し、症状進行を抑える外科的治療 |
| 再生医療 | 損傷した神経機能の回復を目指す新しい治療戦略、研究段階の医療技術 |
後縦靭帯骨化症の治療は、症状の進行や生活への影響に応じて保存療法、リハビリテーション、手術療法を組み合わせて行います。
保存療法やリハビリは痛みや機能低下の進行抑制を目的とし、手術は脊髄圧迫を解除して症状の悪化を防ぎます。
また、再生医療は神経機能の回復を目指す新しい治療として注目されていますが、実施している医療機関も限られるため、実施の有無を確認し医師への相談が必要です。
保存療法(薬物療法・装具療法・生活調整)
| 治療法 | 詳細 |
|---|---|
| 薬物療法 | 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)や筋弛緩薬による炎症と筋緊張の抑制、神経根痛やしびれの軽減、急性増悪時の第一選択 |
| 装具療法 | 頸椎カラーで首の動きを制限し、後屈動作による脊髄への動的圧迫を防ぐための固定 |
| 生活調整・リハビリ | 首の反らし動作や重労働の回避、リハビリで筋力を維持し、転倒予防と日常生活動作の維持を図る取り組み |
軽度から中等度の症状には保存療法を選択します。症状の緩和と進行の抑制を目的とし、骨化そのものを元に戻すことはできません。
保存療法は現状維持と進行抑制が目的のため、定期的な画像検査と神経所見のチェックが不可欠です。症状が進行する場合は、適切なタイミングで手術療法への移行を検討します。
リハビリテーション(身体機能の維持・悪化予防)
| 区分 | 詳細 |
|---|---|
| リハビリの目的 | 筋力低下や関節硬直の予防、血流改善、バランス向上による転倒予防と日常生活動作の維持 |
| 筋力強化訓練の理由 | 体幹や下肢の筋力向上による姿勢安定、骨化部位への負担分散、歩行安定と筋萎縮予防 |
| ストレッチ・可動域訓練の理由 | 筋緊張の緩和、関節可動域の維持、神経圧迫の軽減、動作の滑らかさの改善 |
| 歩行・バランス訓練の理由 | 協調性の向上、ふらつき改善、杖や動作指導による適切な歩行の獲得 |
| リハビリの注意点 | 骨化を元に戻す治療ではないこと、無理な動作で悪化する可能性、医師の指導のもと実施する必要性 |
(文献12)
リハビリテーションは症状の安定と日常生活の維持に重要な役割を果たします。
筋力訓練で姿勢や歩行を安定させ、ストレッチで筋肉のこわばりを軽減し、さらに歩行やバランス練習でふらつきや転倒を防ぐことで生活の自立に役立ちます。
ただし、リハビリは骨化を戻す治療ではなく、悪化しにくい身体づくりを目的とするため、無理な動作は避け、医師や理学療法士の指導のもとで行うことが大切です。
手術療法
| 区分 | 詳細 |
|---|---|
| 手術療法 | 骨化による脊柱管狭窄を解除し、神経圧迫を除去・緩和する治療 |
| 前方除圧固定術 | 骨化した靭帯を直接切除し、椎体固定によって圧迫を確実に解除する方法 |
| 後方椎弓形成術 | 椎弓を開いて脊髄を後方へ移動させ、前方からの圧迫を避ける方法 |
| 適応判断 | 筋力低下や歩行障害、排尿障害が出現した場合や画像検査で脊髄障害を認める場合の治療選択 |
神経症状が進行した場合や保存療法で改善しない場合に手術療法を検討します。手術は骨化による脊髄圧迫を取り除き、神経障害の進行を抑えることが目的です。
前方除圧固定術は骨化部を直接取り除く方法で、強い圧迫がある場合に有効です。後方椎弓形成術は脊髄を後方へ移動させて圧迫を回避する方法で、多椎体に適しています。
症状悪化の早期段階で適切なタイミングで手術を行うことが、生活機能の維持と後遺症の予防につながります。
後縦靭帯骨化症の手術成功率について
後縦靭帯骨化症の手術成績については、複数の報告があります。
ある報告では、手術後の成績評価で良好な結果が約89%、中等度が約11%でした。(文献13)
別の長期追跡研究では、手術後14年にわたる経過観察で満足できる結果が得られています。(文献14)
前向き研究では、手術から2年後の機能改善と生活の質(QOL)において、他の頸椎疾患と比べても遜色ない成績が示されています。(文献15)
一方、長期フォローでは術後1年時点で約70%だった有効性が、10年以上後には約50%に低下しました。(文献16)
手術は症状改善と悪化予防の有力な手段ですが、医師と慎重に相談して判断することが大切です。
再生医療
再生医療は神経修復と組織再生を促進し、残存症状の改善を目指す治療として注目されています。
幹細胞治療では、患者自身の脂肪由来幹細胞を用いて神経細胞の再生、血管新生、抗炎症作用を促します。
再生医療は、将来的に骨化抑制や脊髄修復を目的とした根本治療への発展が期待されています。
傷ついた神経を修復する方法として、幹細胞治療はとても良い選択肢です。傷ついた神経へアプローチし修復を促進することができます。
後縦靭帯骨化症に対する再生医療を用いた治療例は以下の記事をご覧ください。
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後縦靭帯骨化症における日常で気を付けるべきこと
| 日常で気を付けるべきこと | 詳細 |
|---|---|
| 首や腰への負担を減らす工夫 | 首を反らす動作や重い荷物の持ち運びを避け、正しい姿勢やクッション性のある椅子で負担軽減 |
| 転倒予防と生活環境づくり | 段差や滑りやすい場所の対策、明るい照明や手すり設置による転倒防止 |
| 身体機能の維持と症状の自己管理 | 軽い運動やストレッチによる筋力維持、症状変化の観察と早期受診 |
後縦靭帯骨化症を悪化させないためには、日常生活の工夫が欠かせません。首や腰に負担をかけない姿勢や動作を心がけることで、神経への圧迫を増やさない効果が期待できます。
また、ふらつきや転倒が起こりやすいため、住環境の整備や適切な対策が必要です。
さらに、適度な運動やストレッチで筋力や柔軟性を保つことが、歩行や姿勢の安定に役立ちます。症状が変化した際には自己判断せず、早期に医療機関を受診しましょう。
首や腰への負担を減らす工夫
後縦靭帯骨化症では、骨化した靭帯が脊髄を圧迫しているため、首や腰への過度な負荷が症状悪化や急性麻痺につながる可能性があります。
首を後ろに反らす、急にひねる動作は脊髄への圧迫を強め、しびれや歩行障害を悪化させます。そのため、枕の調整やスマートフォンの位置を工夫し、自然な姿勢を保つことが大切です。
重い荷物の持ち上げや長時間同じ姿勢でいることは、筋緊張や椎間内圧の上昇を招き、神経圧迫を持続させます。負担を軽減させるためにも適宜休憩やストレッチを行いましょう。
また、ふらつきや転倒は、軽微な外傷でも骨化部の変位や脊髄損傷を引き起こすリスクがあります。ふらつきや転倒事故を防ぐため、手すりの設置や段差の解消など、住環境の整備も大切です。
転倒予防と生活環境づくり
軽微な転倒でも骨化部の変位や脊髄損傷を引き起こし、急性麻痺や歩行不能に至る恐れがあるため、転倒予防と環境整備が欠かせません。
歩行補助具として、杖やシルバーカー、滑り止め靴を活用することでバランスを支え、転倒頻度を低減できます。医師の指導のもと、適切なサイズを選択しましょう。
住宅環境では、手すりの設置、段差のスロープ化、滑り止めマット、足元灯の配置により転倒リスクを最小化します。とくに転倒事故が起きやすい浴室、階段、廊下での対策は怠らないように注意が必要です。
身体機能の維持と症状の自己管理
後縦靭帯骨化症による筋萎縮や関節硬直、血流低下の進行を防ぐためにも日常的な運動と症状のモニタリングが不可欠です。適切な自己管理により身体機能を維持し、悪化の早期発見が可能になります。
定期的なストレッチと運動習慣として、首・肩・背筋のゆっくりしたストレッチや軽いウォーキング、水泳が有効です。
筋緊張の緩和と血流促進により、しびれの軽減と可動域の確保が図れます。長時間同じ姿勢を避け、適宜休憩を挟むことが重要です。
また、睡眠と栄養バランスも欠かせません。適切な枕の使用、飲酒を控えつつ野菜や魚中心の食事により炎症を抑制し、骨代謝を正常化します。
後縦靭帯骨化症のお悩みは当院へご相談ください
後縦靭帯骨化症の進行を抑えるためには、早期発見と適切な管理が大切です。症状や生活への影響には個人差があるため、医療機関で正しい評価を受け、治療方針を決定する必要があります。
後縦靭帯骨化症の症状でお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。当院では、後縦靭帯骨化症の治療において、有効な選択肢のひとつとして再生医療を提案しています。
再生医療は幹細胞を用いた治療のひとつです。後縦靭帯骨化症における神経損傷を回復させるための効果が期待されています。再生医療は手術を必要としないため、感染症や後遺症のリスクが少ない利点があります。
ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けておりますので、お気軽にお申し付けください。
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後縦靭帯骨化症に関するよくある質問
後縦靭帯骨化症と寿命は関係ありますか?
後縦靭帯骨化症は寿命を直接縮める疾患ではありません。また、生命予後が大きく短くなる根拠は乏しいとされています。
しかし、重症化して歩行障害や排尿・排便障害から寝たきりになると、肺炎や尿路感染症などを起こし健康寿命が低下する可能性があるため、適切な治療と予防が欠かせません。
後縦靭帯骨化症で死亡するケースはありますか?
後縦靭帯骨化症が直接の死因となることは極めてまれです。
しかし、重症化して四肢麻痺や寝たきりになると、肺炎や尿路感染症、褥瘡などの合併症により死亡に至ることがあります。(文献17)
転倒や手術合併症が急性悪化の要因となるため、早期治療と予防管理が重要です。
後縦靭帯骨化症が治った事例はありますか?
後縦靭帯骨化症が「治った」という報告はなく、骨化が元に戻る完治は現時点で期待できません。
後縦靭帯骨化症は靭帯が骨化する構造変化を伴い、現在の医療では骨化した靭帯を元の柔らかい組織に戻す方法は確立されていません。
手術や保存療法、リハビリで神経圧迫を改善し症状を和らげることは可能です。しかし、骨化そのものが消失したり正常靭帯に戻ったとする医学的報告は確認されていません。
後縦靭帯骨化症でやってはいけないことはありますか?
首の後屈、急激な動作、飲酒後の転倒、無資格マッサージは脊髄圧迫の増大や急性麻痺を引き起こすため避けるべきです。
他にも以下の行動や医学的根拠のない治療法にも注意が必要です。
| 注意すべき行動 | 理由 |
|---|---|
| 首後屈・急ひねり動作 | 骨化部が脊髄に当たり、四肢麻痺や歩行不能を招くリスク |
| 高枕・背中反らしストレッチ | 首が大きく反り、神経圧迫が悪化するリスク |
| 飲酒後の階段・夜間歩行 | 協調障害や視認性低下で転倒し、脊髄外傷を起こすリスク |
| 泥酔・単独行動 | 転倒時の対応が遅れ、重症化の危険 |
| 無資格マッサージ・強い矯正 | 首の強い矯正で脊髄損傷を誘発する危険 |
| はり・灸など代替療法 | 症状が悪化する可能性があり、十分な医学的根拠が乏しいものも含まれる |
| 医師や理学療法士以外の運動指導 | 不適切な運動による悪化リスク |
(文献1)
これらの行動は避けるようにし、迷った際は自己判断せず必ず医師に相談しましょう。
後縦靭帯骨化症の家族ができるサポートや注意すべきことはありますか?
家族は転倒予防のために歩行介助や環境整備を行い、服薬管理や通院同行で治療継続を支えることが重要です。
段差解消や手すり設置により適切な生活環境を整え、精神的なサポートも欠かせません。
また、遺伝性の可能性も報告されている疾患であることから、家族も定期的な健康診断を受けることが推奨されます。
後縦靭帯骨化症を発症した有名人はいますか?
後縦靭帯骨化症を発症したことが、メディアで取り上げられている有名人として、以下の方々が挙げられます。
- 北方大地(格闘家)
- ISSOP(ダンサー)
- 加藤大晴(元力士)
- Suwa(元プロレスラー)
後縦靭帯骨化症は、選手生命を脅かす指定難病です。しかし、症状や治療に直面しながらも、引退後に活躍を続けている方もいます。
参考文献
後縦靱帯骨化症(OPLL)(指定難病69)|難病情報センター
後縦靭帯骨化症の原因|公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット
歩行や排せつに障害が出ることも「後縦靭帯骨化症」|一般社団法人 千葉市医師会
後縦靭帯骨化症の症状|公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット
脊柱後縦靭帯骨化症の発症原因の一端を解明 -日本人を対象とした世界最大規模のゲノム解析-(共同プレスリリース)|静岡県公立大学法人 静岡県立大学
The relationship between OPLL and metabolic disorders|Bone Research
頚椎後縦靱帯骨化症になぜなるのか?どういった症状が出るのか?(成因・病理・病態)
後縦靭帯骨化症のケア|公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット
isho.jp 医学専門雑誌・書籍の電子配信サービス|特集 脊椎外科最近の進歩―長期予後からみた問題点を中心として―(第28回日本脊椎外科学会より)














