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「65歳以上の大腸がんの内視鏡検査はやめなさい」はほんと?高齢者のリスクについて解説
なぜ「65歳以上の大腸がんの内視鏡検査はやめなさい」という意見があるのでしょうか。それは高齢になるほどに、腸閉塞や腸穿孔などの合併症のリスクが高まるためであると考えられます。
本記事では「65歳以上の大腸がんの内視鏡検査はやめなさい」という意見がある理由の詳細をはじめとして以下を解説します。
検査を受けるべきかどうかは、その人の健康状態によって異なります。リスクを考慮した選択をするために本記事を参考にしてください。
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目次
なぜ「65歳以上の大腸がんの内視鏡検査はやめなさい」という意見があるのか
「65歳以上の大腸がんの内視鏡検査はやめなさい」という意見がある理由は、高齢者に対する内視鏡検査は、身体に与える負担や合併症のリスクが高いためと考えられます。
年齢が上がるほどリスクも増加し合併症の発生率は50〜64歳の方と比較して、75〜85歳の方は3倍ほど高いとの報告があります。(文献1)検査の利益がリスクを上回らない場合もあるため、慎重な選択をしなければなりません。
高齢者の大腸内視鏡検査のリスク
高齢者は大腸内視鏡検査により、以下のような合併症のリスクが高まるため、慎重に判断する必要があります。
それぞれの合併症について詳しく解説します。
腸閉塞
腸閉塞とは、なんらかの原因により腸管が塞がれてしまった状態のことです。もともと腸が狭くなっている方は、検査前に下剤や腸管洗浄剤を服用することで腸閉塞が誘発されるリスクがあります。
腸閉塞を疑う症状は以下の通りです。
- 冷汗
- 腹痛
- 吐き気・嘔吐
- 腹部の張り
とくに自宅で下剤を服用する場合は、これらの徴候が見逃されるおそれがあります。検査前に腸管の通過障害がないか確認が必要です。
腸管穿孔
腸管穿孔とは、胃や腸に穴があいてしまった状態のことです。前処置で行う下剤や腸管洗浄剤を服用したことにより、腸管の内圧が急激に上昇して引き起こされることがあります。
腸管穿孔が起きると以下のような症状が現れます。
- 激しい腹痛
- 腹部の張り
- 吐き気・嘔吐
- 発熱
こちらも腸管の通過障害がリスクとなるため、検査の前に評価をしなければなりません。
敗血症
敗血症とは、感染症がきっかけとなり体の防御反応が過剰に働いてしまうことで、全身に深刻な影響が及ぶ状態を指します。
進行すると意識障害や全身への血流低下などが現れ、命に関わる危険な状態になるおそれがあります。大腸内視鏡検査においては、腸閉塞や腸管穿孔が起きた際に敗血症が発症するリスクがあります。
腸閉塞や腸管穿孔により、腸管を保護する機能が壊れてしまい、腸管の細菌や毒素が体内に巡ってしまうためです。敗血症のリスクもあるため、腸閉塞や腸管穿孔を疑う症状には十分な注意が必要です。
65歳以上の方が大腸内視鏡検査を受ける必要性
大腸がんの発症率は40歳代あたりから上昇します。とくに50歳代以降からは年齢が上がるにつれて、発症率が高くなっています。(文献2)しかし、65歳以上の方が大腸内視鏡検査を受けるかどうかの必要性は、本人の健康状態と医師の判断によります。
なお、国立がん研究センターによる有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン(2024年度版)においては、大腸内視鏡検査を対策型検診(公共政策として行う検診)として実施しないことを推奨しています。(文献1)
これは年代関係なく初回の大腸内視鏡検査が「異常なし」であったにも関わらず、大腸内視鏡検査を継続的に受けることは、得られる利益よりも不利益が上回るためです。さらに、利益と不利益に関する情報について検査を受ける人と医療者で、適切に共有して判断できる仕組みを整えることが必要だと言われています。
大腸内視鏡検査を受けられない人
以下に該当する方は、腸閉塞や腸管穿孔のリスクがあるため大腸内視鏡検査を受けることは困難です。
- 急激に発症した腹痛がある方
- 腹膜に炎症がある方
- 腸管の通過障害がある方
そのほかにも、検査への協力が困難な障害者や認知症の患者様は、検査方法を個別に検討する必要があります。
一般的な大腸内視鏡検査の流れと費用
大腸内視鏡検査には、入院して下剤を服用する院内法と自宅で下剤を服用する在宅法があります。
下剤や腸管洗浄剤を服用して、準備が整ったら以下のように検査は進みます。
- 検査着に着替えて検査室に案内してもらう
- 腸の働きを抑える鎮痙剤(ちんけいざい)を注射する
- 体の左側を下にして検査台に横になる
- 肛門から内視鏡を挿入して腸管内を観察する
- 鎮痛剤や鎮静剤を投与した場合は、検査終了後にリカバリールームで1時間ほど安静にする
検査が始まると内視鏡を適切に挿入するために体の向きを変えたり、腹部を押さえたりすることもあります。強い痛みが現れた際は医師に伝えてください。
検査自体は通常15〜30分程度で終了します。便潜血検査で陽性となり、医師が検査を必要と判断した場合は保険が適用され自己負担は3割になります。費用は医療機関によって異なるため、受診予定の医療機関のホームページなどを確認してください。
大腸がんの予防方法
大腸がんの予防方法として以下が挙げられます。
それぞれの詳細を解説します。
定期的に検診を受ける
大腸がんを予防するには、定期的に検診を受けることが重要です。便潜血検査では、微量な出血でもポリープを発見できる可能性があるためです。がん化するおそれのあるポリープを早期に発見して、取り除くことができれば大腸がんの予防につながります。
日本においては、40歳以上の方は年に1回の便潜血検査が推奨されています。(文献3)便潜血検査で陽性反応が出た場合は、大腸内視鏡検査や大腸CT検査が選択肢として挙げられます。
食生活の乱れを改善する
大腸がんは食生活と密接に関連しており、食生活の改善で予防できる可能性があります。
以下のポイントを参考にして食生活の改善を心がけましょう。
| 食生活の改善のポイント | 詳細 |
|---|---|
| 食物繊維を十分に摂る |
・十分な量の食物繊維の摂取は大腸がんの予防効果があるとされている |
| 肉類の過剰摂取は避ける |
・赤身肉を多量に摂取すると大腸がんのリスクが高まる |
| 加工肉の摂取は極力避ける |
・ソーセージやハム、ベーコンなどはがんのリスクを高める |
| お酒を飲み過ぎない |
・毎日2合以上お酒を飲む人は飲まない人と比較して、2.1倍の大腸がんのリスクがある |
そのほかにも適正体重の維持や適度な運動習慣も重要とされています。
免疫力を高める
免疫力が低下すると、発生したがん細胞を消滅させることができなくなり、がんの発症リスクが高まります。免疫力を高めるには、前述した食生活の改善などが重要です。
また、免疫力を高める食生活の一例として以下が挙げられます。
- 炭水化物やたんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルなどをバランス良く摂取する
- 青魚に豊富に含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)の摂取割合を増やす
- 強い抗酸化作用のある緑黄色野菜や淡色野菜などを積極的に摂取する
ほかにも、免疫力を高める再生医療という選択肢もあります。当院「リペアセルクリニック」では、がん予防のために免疫力を高める再生医療を行っています。詳しくは、以下のページをご覧ください。
再⽣医療で免疫⼒を⾼めることができる時代です。
まとめ|65歳以上の方で大腸内視鏡検査を受けるかは医師に相談しよう
65歳以上の方が大腸内視鏡検査を受けるべきかは、本人の健康状態と医師の判断によって異なります。年齢が上がるほどに、検査時の腸閉塞や腸管穿孔、敗血症などのリスクが高まります。これらのリスクを考慮して、自身で納得できる判断をしなければなりません。
また、入院をする院内法を選択すれば、合併症を疑う症状が現れた際に迅速な対応ができます。しかし、自宅で下剤を服用して検査を受ける在宅法の場合は、医療機関に到着するまで対応が遅れることを考慮する必要があります。これらの検査の受け方も十分に検討しましょう。
65歳以上の大腸内視鏡検査に関するよくある質問
Q.高齢者が受けるには入院が必要?
大腸内視鏡検査では、自宅で下剤を服用する在宅法と、入院して下剤を服用する院内法を選択できます。院内法では、医療者が患者様の状態を確認できるため、合併症が疑われた際に迅速な対応が可能です。
Q.70、80、90歳代でも受けるべき?
70歳以上の方が受けるべきかどうかは、その人の健康状態と医師の判断によります。検査による利益と不利益を考慮して、医師と相談しながら検討する必要があります。
Q.異常なしから何年後に受けるべき?
大腸内視鏡検査を受けたあと「異常なし」と診断された場合は、通常の検診に戻ります。ポリープが発見された場合は、数や大きさによって大腸がんのリスクが高まるため、1〜5年後の間で再度大腸内視鏡検査を受けることを推奨されます。
Q.何歳まで受けられるのか?
日本の場合は年齢制限を設けていません。任意であれば何歳でも受けることができます。しかし、高齢であるほどに事前の診察と医師との相談が重要になります。
(文献1)
有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン2024年度版|国立がん研究センター
(文献2)
大腸がんとは|国立がん研究センター
(文献3)
大腸がん検査について|国立がん研究センター
(文献4)
がん予防|厚生労働省










