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大腸がんの原因を整理し、ストレスや食習慣を見直すきっかけに

大腸がんの原因
公開日: 2025.04.30

大腸がんは日本人にとって決して他人事ではない病気です。

部位別のがん発生率では、大腸がんは男女どちらも上位を占めており、死亡数においても女性では最も多いがんとなっています(文献1)。

多忙な日々を過ごし自分は大丈夫と思っていても、誰もが発症しうる身近なリスクがあります。

この記事では大腸がんの主な原因やリスク要因をわかりやすく整理して分かりやすく解説します。

また、万が一大腸がんが見つかった場合の治療法についても触れ、最後に再生医療の可能性についても簡単にご紹介します。

大腸がんの原因とリスク要因

大腸がんの発生には生活習慣が深く関わっており、日々の食事内容や運動習慣、嗜好品の摂取状況などさまざまな要因がリスクを高めることがわかっています。

年齢が上がるにつれてリスクも増加しますが、近年では若い世代での発症増加も指摘されており、その背景には現代のライフスタイルの変化があると考えられています。(文献2

ここでは主なリスク要因について、いくつかの項目に分けて詳しく見ていきましょう。

食事内容と若年化の背景

近年、日本を含む先進国では大腸がんの発症率が年々上昇傾向にあり、50歳未満の比較的若い世代での大腸がん増加が世界的に報告されています。

この背景には食生活の欧米化が一因と考えられており、肉類(とくに赤身肉や加工肉)中心で野菜や食物繊維が不足しがちな食事は大腸がんのリスクを高める可能性があります。

若年層での発症増加という深刻な傾向を食い止めるためにも、日頃の食習慣を見直しバランスの良い食事を心がけることが重要です。

運動不足と肥満

運動習慣の欠如や肥満傾向もまた大腸がんのリスクを高める要因です。身体をあまり動かさない生活が続くと腸の働きが鈍くなり、腸内に有害物質が停滞しやすくなります。

肥満そのものもホルモンバランスや慢性炎症を通じてがん発生の下地を作ると考えられており、実際に肥満の人は大腸がんの発生率が高いことが報告されています。(文献7

喫煙と飲酒

タバコの喫煙習慣や過度の飲酒も大腸がんのリスクを上げることが明らかになっています。

喫煙といえば肺がんの原因として有名ですが、たばこに含まれる有害物質が血流を通じて全身に巡るため、大腸の細胞にも悪影響を及ぼします。

国立がん研究センターの研究によると、喫煙者は非喫煙者に比べ大腸がんの発生率が高い傾向が認められています。(文献6

また、アルコールそのものと体内で代謝されてできるアセトアルデヒドには発がん性があり、大量の飲酒習慣は大腸がんの危険性を高めます。

日常的にタバコやお酒を嗜む方は、大腸がんを含むさまざまながん予防のために禁煙・節酒を意識しましょう。

遺伝と家族歴

大腸がんには遺伝的な要因も一部存在し、とくに家族性大腸腺腫症やリンチ症候群といった遺伝性疾患のある家系では若いうちから大腸がんを発症する率が高いことが知られています。

また、遺伝的要因とは別に炎症性腸疾患と総称される難治性の腸の病気(潰瘍性大腸炎やクローン病など)を患っている人も、大腸に慢性的な炎症がある状態が続くため大腸がんの発生率が上がることがわかっています(文献4)。

家族歴がある方や腸の持病がある方は、より注意深く定期検診を受けるなど早期発見に努めましょう。

大腸がんの予防策

生活習慣の影響が大きい大腸がんは、日々の習慣を改善すると予防効果が期待できます。

過去の研究からも禁煙、飲酒をひかえること、バランスの良い食事、適度な運動、適正体重の維持が、がん全般の予防に有効であると確認されています。大腸がんにとくに有効とされるのは運動習慣で、活発に身体を動かしている人ほど発症リスクが低いことがわかっています。(文献7

日常生活で取り組める大腸がん予防策を項目別にまとめるので、できることから少しずつ取り組んでみましょう。

食事

食習慣の見直しは大腸がん予防の柱となります。まず、食物繊維を十分に摂取するよう心がけましょう。野菜や果物、海藻、豆類、全粒穀物(玄米や全粒パンなど)には食物繊維が豊富に含まれており、食物繊維の摂取量が多い人ほど大腸がんの発症リスクが16〜24%低いとの研究結果も報告されています。(文献2

日々の食事を見直し、大腸がんになりにくい食事を意識しましょう。

運動

定期的な運動は大腸がんの強力な予防策です。運動によって腸の働きが活発化し、消化管の内容物の通過時間が短くなるため、有害物質が腸粘膜に接触する時間を減らせます。運動習慣がある人では大腸がんの発症リスクの低下が確認されてます。(文献7

激しい運動である必要はなく、毎日30分のウォーキングや軽いジョギング、ストレッチなど自分に合った形で構いません。大切なのは継続ですので、ぜひ今日から意識的に体を動かす時間を作ってみてください。

体重

適正体重の維持もがん予防には欠かせません。肥満は大腸がんリスクを高める要因であると同時に、糖尿病など他の生活習慣病の原因ともなります。実際に糖尿病を持つ人は大腸がんになるリスクが1.4倍高いとの報告もあり、肥満傾向の方は早めの対策が必要です。(文献2

予防のためにはまず自分のBMI(肥満度指数)や体脂肪率を把握し、緩やかな減量を目指しましょう。急激なダイエットは体に負担がかかりますので、バランスの取れた食事と適度な運動で無理なく減量しましょう。

禁煙

タバコを吸う人はぜひ禁煙に踏み切りましょう。喫煙は大腸がんを含むすべてのがんのリスクを高める最大要因の一つです。文献6

タールやニコチンなどタバコに含まれる有害物質は、吸い込んだ肺だけでなく血液を介して大腸の粘膜にも届き、細胞を傷つけDNAにダメージを与えます。

禁煙によって肺がんはもちろん、大腸がんやその他のがんになる確率も時間とともに減少していくことがわかっています。(文献8

禁煙開始直後はストレスを感じるかもしれませんが、禁煙外来の活用やニコチンパッチ・ガムなど補助剤の利用も検討し、健康な体づくりの一環として禁煙にチャレンジしてください。

飲酒

お酒を嗜む方は飲みすぎないことを肝に銘じましょう。過度の飲酒習慣は大腸がんのリスクを高めます。(文献6)一般的に節度ある適量の目安は、ビール中瓶1本または日本酒1合程度と言われますが、適量を超える量を連日飲酒する習慣は控え、飲む頻度も週に2日は休肝日を作ることが推奨されています。

お酒以外のリラックス法を見つけ、飲酒量を徐々に減らす努力が大切です。適切な飲酒量の管理は大腸がんのみならず肝臓や膵臓など他の臓器のがんにもつながりますので、飲酒量には注意しましょう。

大腸がんを早期発見するためのポイント

大腸がんは早期のうちに発見できれば、高い確率で治癒が望めるがんです。しかし初期段階では症状がほとんど出ないため、発見が遅れるケースもあります。

早期発見のためには自分の体のサインを見逃さないことと、症状がなくても定期的に検診を受けることの二つが大切です。

ここでは、大腸がんの初期に現れる可能性のある症状と、検診による早期発見の重要性について説明します。

初期症状に該当するかチェック

大腸がんは早期の段階では自覚症状がほとんどありません(文献3)。そのため少し進行してからようやく異変に気づくケースが多いです。

以下に大腸がんの代表的な症状を挙げますので、思い当たるものがないかチェックしてみましょう。

初期症状 チェックポイント
便に血が混じる、または便の表面に血が付着する

血便・下血と呼ばれる症状です。大腸がんが進行すると腸管内で出血が起こり、排泄物に鮮紅色もしくは暗赤色の血液が混ざることがあります。

痔など良性疾患でも起こる症状ですが注意が必要です

貧血の症状が出る 大腸がんからの出血が断続的に続くと慢性的な貧血状態になります。立ちくらみやめまい、動悸・息切れ、顔色の悪さなど貧血のサインが現れることがあります。
便通の変化(下痢や便秘を繰り返す)や便の形状変化 腸管が狭くなるために便秘と下痢を交互に繰り返したり、便が細くなったりすることがあります。また常に残便感(出し切れていない感じ)があるのも特徴です。
お腹の張りや痛み

腸にガスや便が溜まりやすくなることで腹部膨満感を感じたり、腫瘍が大きくなるとお腹が痛くなることもあります。

進行した場合、腸閉塞(腸詰まり)を起こして激しい腹痛や嘔吐を引き起こすこともあります。

頻度が高いのは血便や下血ですが、これらの症状は痔など良性の病気でも起こり得るため、「きっと痔だろう」と自己判断して放置してしまう例も少なくありません。

上記のような症状に心当たりがある場合は、お早めに消化器科・胃腸科・肛門科など専門医を受診しましょう。

初期症状がないからと言って油断せず、便や体調の変化には常に目を向けておくことが重要です。

健診を受けて初期段階で発見する

自覚症状だけに頼らず、大腸がん検診を定期的に受けることが早期発見には欠かせません。日本では40歳以上の男女に対し年に1回の大腸がん検診受診が推奨されています(文献3)。

市区町村によっては集団検診や職場健診で便潜血検査を実施しており、多くの場合費用の一部〜全額が公費負担となるため手軽に受けられます。

大腸がん検診の主な内容は問診と便潜血検査(後述)です。痛みもなく短時間で終わる検査ですので、「忙しくて時間がない」という方も年に一度はスケジュールを確保して受診しましょう。

大腸がんの検査方法

原因や症状を理解し、早期発見のポイントを抑えたら次は検査方法を押さえて、必要に応じて早めに検査を受けましょう。

大腸がんの検査方法は多くの医療機関で便潜血検査と大腸内視鏡検査が採用されています。どのような検査方法か具体的に見ていきましょう。

便潜血検査

便潜血検査(べんせんけつけんさ)は、便中に目に見えない微量の血液が混じっていないかを調べる検査です。大腸にがんやポリープがあると、ときに出血して便に血が混ざることがあります。

しかしその出血量はごく微量で肉眼では確認できないため、便潜血検査では専用の試薬と検査紙を用いて血液の痕跡を化学的に検出します。

検査のやり方は自宅で便を少量採取し、検査キットに塗布して提出するだけです。結果が陽性(反応あり)の場合でも、必ずしも大腸がんが見つかるとは限りません。

痔による出血や月経血の混入などで偽陽性となることもありますので、陽性と指摘された場合は落ち着いて精密検査(大腸内視鏡など)を受けることが大切です(文献3)。

逆に陰性だったからといって安心とは言えず、微小ながんがある場合など見逃しの可能性もゼロではありません。そのため便潜血検査は毎年定期的に受けることが重要です。まずは年1回の便潜血検査を習慣づけて早期発見に努めましょう。

大腸内視鏡検査

大腸内視鏡検査(だいちょうないしきょうけんさ)は、肛門から内視鏡(カメラ付きの細い管)を挿入し大腸の内側を直接観察する検査です。内視鏡を用いることで、大腸粘膜のわずかな病変も直接目で確認できるため、大腸がんの確定診断には欠かせない検査です。

便潜血検査が陽性だった場合や、大腸がんが疑われる症状がある場合には精密検査として大腸内視鏡が行われます(文献3)。検査前日から専用の下剤を服用し、腸内をきれいに空っぽにしてから検査を行います。

検査中は空気や水で腸を膨らませながら隅々まで観察するため、一時的にお腹が張る感じがありますが、最近では鎮静剤を使ってうとうと眠った状態で受けられる施設も多く、不快感に配慮した検査が可能です。

医師は内視鏡映像を確認しながら病変部位を探し、もしポリープ(腫瘍の芽)が見つかればその場で切除することもできます。採取した組織は病理検査に回し、良性か悪性か詳しく調べます。

大腸内視鏡検査は半日〜1日かかる検査ですが、早期がんなら内視鏡治療で切除して完治させられる場合もあり、検査と治療を兼ねられる点で非常に有用です。定期検診の便潜血で陽性が出たら放置せず必ず内視鏡検査を受けるようにしましょう。

また、症状が強い場合は便潜血を待たずに直接内視鏡検査を受けた方が良いこともあります。医師と相談の上、自分に必要な検査を受けてください。

大腸がんを発見後の治療内容

早い段階の大腸がん(0期〜I期)なら、お腹を切らずに内視鏡でポリープだけを切除できます。入院は2〜3日ほどで、体への負担がとても軽いのが特徴です。腸の壁やリンパ節に広がったステージI〜IIIでは、腹腔鏡手術で腫瘍と周囲のリンパ節をまとめて取り除きます。

進行状況によっては一時的に人工肛門(ストーマ)をつくりますが、術後に元の排便経路へ戻せるケースも少なくありません。手術後は再発を防ぐために、半年ほど抗がん剤や分子標的薬を使う補助化学療法を行います。

吐き気などの副作用は制吐薬や白血球を増やす薬で抑えられるため、仕事や家事を続けながら治療する人も増えています。特定の遺伝子型では、免疫のブレーキを外してがん細胞を攻撃する免疫チェックポイント阻害薬が高い効果を示すことが報告されています(文献1)。

さらに、当院「リペアセルクリニック」では患者様の免疫細胞を採取し、体外で活性化させて戻す再生医療の「免疫細胞療法」を提供しています。

免疫細胞療法について、詳細は下記のページをご覧ください。

手術しなくても治療できる時代です。

再⽣医療で免疫⼒を⾼めることができる時代です。

まとめ|大腸がんの原因を理解して生活習慣を改善しよう

大腸がんは年々増加している病気ですが、多くの場合生活習慣を見直せば予防可能です。今回、大腸がんの原因となりうる要因を整理し、解説しました。

日々のストレスを減らし、バランスの良い食事と適度な運動を心がけることは、大腸がんのみならず他の病気の予防にもつながりますので、忙しいからと後回しにせず、ぜひできる範囲で生活習慣を整えてみてください。

それでもすべてのリスクをゼロにするのは難しいため、40歳を過ぎたら定期検診を受けて早期発見に努めることも忘れないようにしましょう。当院「リペアセルクリニック」では、幹細胞治療やPRP療法などの治療を提供しております。

大腸がんの治療後のケアや再発予防にお悩みの方は、当院「リペアセルクリニック」へご相談ください。

\まずは当院にお問い合わせください/

参考文献
(文献1)国立がん研究センター がん情報サービス「最新がん統計」国立がん研究センター がん情報サービス, 2024年12月16日.
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html(最終アクセス:2025年4月22日)

(文献2)糖尿病ネットワーク「糖尿病の人は大腸がんリスクが高い 大腸がんは50歳未満の若い人でも増加 予防に役立つ3つの食品とは?」糖尿病ネットワーク, 2025年1月20日.https://dm-net.co.jp/calendar/2025/038744.php (最終アクセス:2025年4月22日)

(文献3)国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん(結腸がん・直腸がん)予防・検診」国立がん研究センター がん情報サービス, 2012年https://ganjoho.jp/public/cancer/colon/prevention_screening.html(最終アクセス:2025年4月22日)

(文献4)国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん(結腸がん・直腸がん)について」国立がん研究センター がん情報サービス, 2025年3月24日
https://ganjoho.jp/public/cancer/colon/about.html (最終アクセス:2025年4月22日)

(文献5)国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん(結腸がん・直腸がん) 治療」国立がん研究センター がん情報サービス, 2025年3月24日https://ganjoho.jp/public/cancer/colon/treatment.html (最終アクセス:2025年4月22日)

(文献6)国立研究開発法人国立がん研究センター「がん対策研究所予防関連プロジェクト」国立がん研究センターお酒タバコと大腸がんの関連について, 2024年12月31日.https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/259.html(最終アクセス:2025年4月22日)

(文献7)国立研究開発法人国立がん研究センター「がん対策研究所予防関連プロジェクト」国立がん研究センター身体活動量と大腸がん罹患との関連について, 2024年12月31日.https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/292.html(最終アクセス:2025年4月22日)

(文献8)国立研究開発法人国立がん研究センター「プレスリリース」がんゲノムビッグデータから喫煙による遺伝子異常を同定, 2016年11月4日.https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2016/1104/index.html(最終アクセス:2025年4月22日)

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