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大腸がんの症状チェックリスト|検査・治療法も解説

大腸がん 症状チェック
公開日: 2025.04.30 更新日: 2025.11.29

大腸がんは、日本で年間約15万人が発症している、部位別で最も多い「がん」です。(文献1

初期症状がわかりにくく、「痔かも」「体調のせいかな」と見過ごされがちですが、血便や便通の変化、腹部の張りなど、日常のわずかな異変が大腸がんのサインであるケースも少なくありません。

本記事では、大腸がんを早期に見つけるための症状のヒントや、今からできる予防法、検査や治療をまとめました。早期発見のきっかけとなる情報を求めている方は、ぜひ参考にしてみてください。

なお、当院「リペアセルクリニック」では、がん予防を目的とした再生医療の「免疫細胞療法」を行っております。

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大腸がんの症状チェックリスト

大腸がんの主な症状を表にまとめました。

ひとつでも当てはまる症状があれば、早めに医療機関を受診しましょう。

症状 チェックポイント
血便・下血 ・便に赤い血が付着する、または黒色の便が出る
・便に繰り返し血が混ざる
便通の異常 ・便秘と下痢を繰り返す
・便が細くなる
・排便後に残便感が続く
お腹の張り・痛み ・ガスが溜まって腹部が張る
・鈍い痛みが続く、腹部にしこりがある
体重減少・貧血 ・食事量に変化がないのに体重が減る
・めまい・疲れやすい・動悸など貧血の症状が出る
おならの回数・においの変化 ・おならが以前より増える
・においが強くなる

以下では、それぞれの症状について、さらに詳しく解説します。

血便・下血

大腸がんを患うと、腸壁に腫瘍ができて微量の出血を起こす場合があり、便に血が混ざる「血便」や排便時の「下血」が現れるのが特徴です。鮮やかな赤色の場合もあれば、出血箇所によっては便の色が黒ずんだり、茶褐色になったりもします。

便に目に見える血が混ざっているのを確認したら、痔などと思い込まず、速やかに専門医を受診しましょう。

便通の異常

便通の頻度や形状、残便感などの変化も大腸がんの重要なサインです。たとえば、便が極端に細くなる、下痢と便秘を繰り返す、排便してもすっきりしない感覚(残便感)などが挙げられます。

こうした便の変化が数日以上続く場合は、生活習慣による一時的な影響と片付けず、大腸がんの検査を受けましょう。

お腹の張り・痛み

お腹の膨張感(腹部膨満・張り)や鈍い痛み、しこりなどの自覚は、進行した大腸がんによる腸の通過障害や腫瘍圧迫が原因のケースがあります。

大腸がんが大きくなると腸の内側(内腔)が狭まってガスや便が詰まりやすくなり、腹痛や張りを感じる場合があるのです。

症状をはっきりと確認できる段階になると、がんが進行している可能性もあるため、違和感を感じたら放置せずに早期の受診を検討してください。

体重減少・貧血

意図しない体重の減少や貧血は、大腸がんの初期症状の可能性があります。

微量の出血が長期にわたって続いたり、体重が減少したり、疲れやすさ・息切れなどの症状を伴う貧血になったりする場合は注意が必要です。原因が明らかではない体重減少や慢性的なだるさがあれば、医師に相談しましょう。

大腸がんの初期症状を早期発見するポイントについては、以下の記事でも詳しく解説していますので、参考にしてみてください。

おならの回数・においの変化

おならの回数やにおいに変化があれば、腸内環境に異変が起きている可能性があります。腫瘍が大きくなると腸の内腔が狭まり、便やガスの通過が妨げられて腸内にガスが溜まりやすくなるのです。

その結果、おならの回数が増加したり、普段より強いにおいが出たりする場合があります。

食生活の変化やストレス、風邪などによる一時的な腸内環境の乱れでもおならの変化は起こりますが、「最近明らかにおならの回数やにおいが変わった」と感じたら、注意深く観察しましょう。

必ずしも典型的な大腸がんの症状ではないものの、排便の状態やお腹の調子とあわせてチェックし、少しでも不安があれば専門医に相談してください。

大腸がんの初期症状とおならの変化については、以下の記事でも詳しく解説しています。

大腸がんのリスクを高める生活習慣チェック

体質や遺伝的な要因も影響しますが、むしろ食事・運動といった生活習慣(環境因子)の方が大腸がんの発生に大きく関わっていると考えられています。(文献2

ここでは、大腸がんを防ぐために意識したい生活習慣の主なポイントを見ていきましょう。

食事のバランスが偏っている

食生活の偏りは、大腸がんのリスク要因のひとつです。

とくに、「欧米化」と呼ばれる肉類・揚げ物中心の高脂肪食、脂肪分や赤肉の多い食事がリスクを高めます。(文献2

食物繊維は腸の働きを整え、発がん物質を捉えて排出する作用が期待されるので、野菜・果物・海藻類など、食物繊維を豊富に含む食材を意識的に摂りましょう。

運動する習慣がない

日常的に体を動かさない習慣も、大腸がんのリスクを高めます。

運動不足になると腸の動き(ぜんどう運動)が鈍り、発がん性物質が大腸の粘膜に長く留まる可能性があるのです。(文献2

ウォーキング・軽いジョギング・サイクリングなど、身体状態に合わせて継続できる運動を取り入れましょう。たとえば、通勤で一駅歩く、階段を使うなど、日常生活の中で体を動かす工夫も効果的です。

定期的な運動習慣は腸の動きを促し、便通も整いやすくなります。

飲酒・喫煙している

喫煙や過度の飲酒は、大腸がんのリスクを高める要因のひとつです。

タバコを吸う人は、非喫煙者と比べて大腸ポリープや大腸がんの発生が高いことが確認されています。(文献6)また、アルコールの大量摂取は大腸の粘膜を傷つけ、がんのリスクを促進します。(文献3

大腸がん予防のためには、なるべくお酒を控えるのが理想です。難しい場合は、「休肝日を設ける」「一度に飲む量を減らす」など、できる範囲でコントロールしていきましょう。

ストレスを発散できていない

慢性的なストレスや睡眠不足が大腸がんの直接的な原因とはいえませんが、免疫やホルモンバランス、自律神経を通じて間接的にがんのリスクを高める可能性があります。

過剰なストレスは生活習慣の乱れを促し、結果的にがん発症につながる恐れがあるのです。

忙しい中でも、軽い運動や趣味の時間を確保し、自分なりのリフレッシュ方法を見つけて、心身をリラックスさせましょう。

ストレスが大腸がんに関与するのかについては、以下の記事でも解説しています。

睡眠不足になりがち

睡眠時間が不足しがちな状態が続くと、体の修復機能が追いつかず、腸の調子も乱れやすくなります。

理想的な睡眠時間は個人差がありますが、日中に疲労感や眠気を感じない程度の睡眠を最低限確保しましょう。

働き盛りの30〜50代は休息を後回しにしがちですから、自分の体をいたわるという視点が大切です。ストレス解消と十分な睡眠を両立させ、がんに負けない健康的な体づくりを心がけましょう。

肉類をよく食べる

赤肉(牛・豚など)の摂取量が多いと、男女ともに大腸がんのリスクが上昇することが示されています。

日本人を対象とした研究では、赤肉の摂取量が多いグループで結腸がんリスクが上昇したことが明らかになりました。(文献4

女性では赤肉の摂取量が多いグループ、男性では肉類全体の摂取量が多いグループで、リスク上昇が認められています。とはいえ、肉をまったく摂らない食生活は、栄養バランスの観点からおすすめできません。

あくまで肉類の過剰な摂取を避け、野菜・果物・大豆など植物性たんぱく質もあわせてバランス良く摂取するようにしましょう。

身長が高い

身長が高い人は、低身長の人と比較して大腸がん・結腸がんのリスクがやや高いとするデータがあります。

身長が最も高い群(男性170 cm以上、女性157 cm以上)は、最も低い群(男性160 cm未満、女性148 cm未満)に比べて、男性で全大腸がん1.23倍、女性で1.21倍というリスク上昇が報告されているのです。(文献5

身長そのものは変えられませんが、身長が高めな方はリスクが多少高めという認識を持ったうえで、定期検診や生活習慣の見直しに一層の注意を払いましょう。

大腸がんの初期症状は気づきにくいため定期健診が重要

大腸がんは、初期段階で自覚症状がほとんど出ずに進行するため、症状の有無にかかわらず定期的な検診が極めて重要です(文献2)。

日本では、40歳以上の男女に対して年1回の便潜血検査が推奨されており、多くの自治体や職場健診で検査を受けられます。

大腸がんの初期は、血便・便通異常・腹部の違和感などが現れにくく、症状が出た時点ではすでに進行しているケースも少なくありません。

また、家族に大腸がんの既往がある方、若年で発症した近親者がいる方は、遺伝性腫瘍などによって発症リスクが高まります。

大腸がんは早期発見して迅速に対処することが重要なので、定期健診を欠かさないようにしましょう。また、検診で異常がなくても安心とは言い切れません。

検診後にがんが発生・進行する例もあるため、血便・便通異常・便が細くなるなどの体の変化を感じたら、次回の検診を待たずに受診しましょう。

大腸がんの検査と治療の進め方

便に血が付着した、もしくは健診で要精密検査となったといった場合には、速やかな対処が不可欠です。

ここでは、大腸がんの代表的な検査の流れと、早期がん・進行がんそれぞれの治療の特徴を解説します。

便潜血検査の流れ

便潜血検査は、大腸がん検診の第一段階として非常に有用です。肉眼で確認できない、便中の微量な出血を化学的に検出します。

検査の手順は以下の通りです。

1.市区町村の検診案内や職場健診で配布されるキットを受け取る
2.採便は別々の日に2回行う
3.2日分採取し容器は健診機関などへ提出
4.結果を待つ

陽性は必ずしも大腸がんを意味しませんが、ポリープや痔などなんらかの出血源がある可能性を示しています。

陽性となった場合は放置せず、速やかに大腸内視鏡検査などの精密検査を受けることが大切です。陰性は、便に血液反応がなかったことを示していますが、がんを完全に否定するものではありません。引き続き、体調や便の状態に留意していきましょう。

内視鏡が難しい場合は、注腸X線やCTコロノグラフィーといった代替検査も医療機関によっては選択できます。

大腸内視鏡検査の流れ

大腸内視鏡検査は、便潜血陽性や大腸がんが疑われる症状がある場合に実施する精密検査です。肛門から細い内視鏡を挿入し、大腸内部を直接観察します。

一般的な流れは、以下の通りです。

1.検査前日は消化の良い食事に切り替える
2.当日朝は下剤と水分で腸内を洗浄する
3.看護師の指示に従って検査室へ
4.横向きになり医師が内視鏡を挿入
5.医師が直腸から盲腸まで観察

検査中は、空気や二酸化炭素で腸を膨らませるため、一時的にお腹が張る場合があります。

不安な方は、鎮静剤を使用して半睡眠状態で受けることも可能です。

検査中に炎症やポリープ、がんが見つかれば、その場で組織を採取したり、小さなポリープを切除したりもできます。

粘膜表面にとどまる早期がんなら、内視鏡切除だけで完全に取り切れる可能性もあります。(文献1

所要時間は、通常20〜30分程度です。鎮静剤を使用する場合は、回復後に帰宅できます。検査後のお腹の張りは、ガスが出れば解消するので安心してください。

結果は1週間程度で判明し、医師から説明を受けて検査終了です。

早期発見の治療法と進行がんの場合

大腸がんの治療は、「ステージ(進行度)」に応じて大きく異なり、早期発見であれば負担が少ない治療で済む可能性があります。

ステージ0〜I期の早期がんでは、腫瘍が腸壁の内側(粘膜内)にとどまっているため、内視鏡切除や腹腔鏡(小さな切開による手術)などを用いた患部のみの切除が中心です。再発リスクが低く、入院期間も短くなります。

一方で、ステージII〜III期では腸壁を越えたり、リンパ節転移を伴ったりするため、根治手術で腸と周囲リンパ節を広範に切除した上で、再発予防目的の抗がん剤治療が数か月行われます。

さらに、ステージIV期では肝臓や肺などへの転移を伴う場合が多く、完治よりもがんの進行を抑え、生活の質(QOL)を保つことを目的とした治療が中心です。抗がん剤・分子標的薬・放射線治療・症状緩和手術などが組み合わされます。

また、がん治療においては、年齢・体力・希望を踏まえた個別の治療計画が不可欠です。(文献2

早期に発見できれば、便潜血検査・内視鏡検査を活用した負担の少ない治療で済む場合もあるため、定期的な検診が欠かせません。

がん予防を目的とした免疫細胞療法について

がん予防を目的とした免疫細胞療法とは、免疫力を高め、がんをはじめとした病気の発症リスクを下げることを目指す再生医療の一種です。

免疫とは、体内に侵入するウイルスや細菌、あるいは体内で異常化した細胞を排除する自己防衛機構であり、働きが正常であることで健康が保たれています。

しかし、ストレスや睡眠不足、偏った食事、運動不足、喫煙や過度の飲酒といった生活習慣の乱れが続くと、免疫力は徐々に低下します。

その結果、感染症にかかりやすくなるだけでなく、がん細胞を監視・排除する力も衰え、がんのリスクが高まると考えられているのです。

免疫細胞療法では、患者様自身の免疫細胞を体外に取り出して活性化・増殖させた上で体内に戻し、全身の免疫力底上げを目指します。

また、がん細胞の発生や増殖を抑えるだけでなく、健康維持や感染症予防などに寄与する可能性もあるとされています。

まとめ|大腸がんの症状チェックリストが当てはまるなら専門家に相談しよう

大腸がんは日本で患者数の多い病気ですが、早期に発見できれば内視鏡治療など負担の少ない治療で済む可能性も高まります。

「血便などの症状がないから自分は大丈夫」と油断せず、定期検診を受けて早期発見に努めることが何より重要です。

今回ご紹介した症状チェックリストに該当するものがあれば、放置せずに消化器の専門医に相談しましょう。

とくに、便に血が混じる、便秘と下痢を繰り返すなどの異変は、大腸がんに限らず体から異常を知らせる大切なサインです。「恥ずかしい」「時間がない」などと躊躇せず、早めに受診してください。

当院「リペアセルクリニック」では、がん予防を目的とした免疫細胞療法を行っています。免疫細胞療法について詳しくは、以下のページをご覧ください。

手術しなくても治療できる時代です。

再⽣医療で免疫⼒を⾼めることができる時代です。

大腸がんの症状チェックに関するよくある質問

20代・30代はどんな症状をチェックすればいい?

若年層でも、大腸がんになる可能性があります。

以下の症状がある場合は、早めに受診しましょう。

  • 血便が出る
  • 便が以前より細くなった
  • 便秘と下痢を繰り返す
  • 腹痛が断続的に続く
  • 腹部の張りや違和感がある
  • 痔と思っていた出血が長引く

上記の症状があっても、必ずしも大腸がんを患っているわけではありませんが、早期発見のためには見逃さず、速やかな医師への相談が大切です。

大腸がんの症状かもと、気にしすぎはよくない?

気になる点がある場合、自己判断して放置するのは危険です。

大腸がんは早期であればあるほど治療効果が高く、内視鏡で切除して完治する可能性もあります。自覚症状が少ないのが大腸がんの特徴なので、「気にしすぎかも」と思うくらいの意識でチェックしましょう。

たとえば、以下のような状況であれば、躊躇せず受診を検討してください。

  • 血便や便の異常が1週間以上続く
  • 排便後にすっきりしない感覚がある
  • 慢性的な腹痛や張りがある

小さな体調の変化を軽視せず、「いつもと違う」違和感を見逃さないようにしましょう。

大腸がんに気づいたきっかけになった体験談は?

実際に大腸がんと診断された方々の多くは、以下のようなサインがきっかけで検査を受けています。

  • 会社の定期健診で便潜血検査が陽性だった
  • 痔と思っていた血便が1か月以上続いたため病院へ行った
  • 便秘と下痢を繰り返す症状が続き、不安になって内視鏡検査を受けた
  • 急に体重が減り、疲れやすくなったことで病院を受診した
  • 腹部の張りや痛みが強くなったので検査したら、腫瘍が見つかった

これらの体験からわかるのは、「なんとなくおかしい」と感じた時点で検査を受けることの重要性です。

少しでも違和感があれば放置せず、医療機関を受診しましょう。

参考文献

(文献1)
大腸がんとは|国立がん研究センター 中央病院

(文献2)
大腸がん(結腸がん・直腸がん)について|国立がん研究センター がん情報サービス

(文献3)
大腸がん検診の意義と目的|公益財団法人 日本対がん協会

(文献4)
赤肉・加工肉摂取量と大腸がん罹患リスクについて|国立がん研究センター

(文献5)
科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究|国立がん研究センター

(文献6)
お酒・たばこと大腸がんの関連について|国立がん研究センター