- 脊椎
- 脊椎、その他疾患
【医師監修】化膿性脊椎炎はMRIで診断できる?所見やCTとの違いについて解説
激しい腰痛や発熱を伴う化膿性脊椎炎が疑われた際、MRIは診断において極めて重要な役割を果たす検査です。レントゲンでは判別困難な初期の炎症も、MRIなら高い精度で捉えられるためです。
本記事では、化膿性脊椎炎におけるMRI診断の有用性、具体的な画像所見の意味、CTとの使い分け、治療後の経過観察について解説します。
ただし、画像検査の結果だけで自己判断はできません。
実際の診断は、患者の自覚症状や血液検査、細菌培養の結果などを踏まえた総合的な判断によって行われる点に注意が必要です。
当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。
化膿性脊椎炎について気になる症状がある方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。
目次
化膿性脊椎炎はMRIで診断可能
化膿性脊椎炎の診断において、MRIは中心的な役割を担うと位置づけられている画像検査です。
発症初期の段階から病変を確認できるため、早期治療の開始に役立ちます。
一方で、検査のタイミングによってはMRIのみで確定することが難しいケースも存在します。
化膿性脊椎炎について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
化膿性脊椎炎をMRIで評価する診断上のポイント
化膿性脊椎炎の診断においてMRIが優先される最大の理由は、感度の高さです。
脊椎感染の診断において、MRIは高い精度を示すとされており、感度78~90%、特異度60~90%という報告があります。(文献1)
一方、発症早期などは所見が明確でないケースもあるため、症状や血液検査、培養結果とあわせて総合的に判断します。
一般的に、単純X線(レントゲン)検査では、発症後2〜3週間が経過して骨の破壊が進行しなければ異常を捉えることが困難とされています。
これに対してMRIは、発症から数日程度の早期であっても、骨髄の浮腫や炎症性変化を捉えやすい点が特徴です。
椎間板や周囲の軟部組織(筋肉・硬膜外腔)の状態を同時に評価できる点も、他の検査にはない強みです。(文献1)(文献2)
MRI単独では確定診断できないケース
MRIは優れた検査ですが、発症直後は画像上の変化が明確に現れない「MRI delay」と呼ばれる現象が生じる場合があります。(文献3)
画像に異常が見られないものの強い症状が続く場合は、数日後に再検査を行い、経過を確認することもあります。
また、画像所見が腫瘍や結核性脊椎炎と類似している場合、画像のみで病名を特定することはできません。
診断の精度を高めるため、血液検査での炎症反応(CRPや白血球数)の確認や、血液・病変部からの細菌培養検査の結果と併せて判断されます。
化膿性脊椎炎におけるMRIとCTの違い
MRI検査とCT検査は、それぞれ得意とする評価対象が異なります。
CT検査は、骨の破壊や石灰化の程度、骨構造の変形といった骨性変化の評価に優れた検査です。
一部の症例では、椎体内や周囲組織にガス像(組織内の気体)を認めることがあり、CTはこうした所見の確認にも有用です。なお、椎間板内ガスは変性所見としてみられることもあり、感染を否定する所見ではありません。また、MRI検査が禁忌(ペースメーカー装着など)の場合には、CTが代替検査として選択されます。
一方、発症早期の炎症や骨髄内の浮腫といった微細な変化の確認にはMRIが適しています。
椎体だけでなく、椎間板や傍椎体軟部組織、硬膜外腔まで広範囲に評価できるため、膿瘍の形成や神経圧迫の有無を確認する上で重要な役割を担うのです。
このように、CTは骨構造の詳細な評価に、MRIは炎症や軟部組織の広がりの把握に強みがあり、臨床状況に応じて使い分けられます。
化膿性脊椎炎のMRI所見でわかること
MRI検査では、炎症や感染がどの部位に、どの程度の範囲まで及んでいるかを評価できます。評価の中心となるのは、椎体、椎間板、そして周囲の軟部組織です。
なお、画像上の病変の広がりは痛みの強さと必ずしも比例せず、あくまで客観的な病態を把握するための情報として扱われます。
椎体に現れるMRI所見の特徴
化膿性脊椎炎の典型的な所見として、感染を起こした椎体の信号変化が挙げられます。基本的なパターンとして、T1強調画像で「低信号」、T2強調画像やSTIR(脂肪抑制画像)で「高信号」を示すことがあります。(文献4)
これらは骨髄内が炎症によって浮腫(むくみ)を起こしている状態を反映したものです。炎症が進行している場合、造影MRIにより炎症部位の血流増加や膿瘍の境界が確認されることもあります。
椎間板・周囲組織の特徴
化膿性脊椎炎の特徴は、椎体の炎症が椎間板に及ぶことが多い点です。
脊椎腫瘍などの場合は椎間板が侵されにくい傾向にありますが、化膿性脊椎炎では隣接する椎体と椎間板の変化がセットで現れることが多く見られます。
さらに、背骨の周囲に膿が溜まる「傍椎体膿瘍」や、神経の通り道に膿が入る「硬膜外膿瘍」の有無も確認されます。
これら周囲組織への影響は、重症度の判定や緊急手術の必要性に直結する重要な所見です。
\無料オンライン診断実施中!/
化膿性脊椎炎におけるMRI鑑別診断の考え方
MRIで異常が見つかっても、細菌による化膿性であるとは直ちに識別できません。他の疾患と区別するには、MRI所見に加え、症状や血液検査、経過を含めた総合的な判断が行われます。
MRI所見による鑑別の評価軸
鑑別を行う際は、以下の3点を統合的に評価します。
- 椎間板:破壊の有無や信号強度の変化
- 周囲軟部組織:膿瘍の形成範囲や境界の明瞭さ
- 椎体:信号変化のパターンと破壊の形態
これらを分析することで、細菌感染なのか、それ以外の病態なのか絞り込んでいきます。(文献4)
他疾患と判別するための判断軸
たとえば、結核菌による「結核性脊椎炎」は、化膿性に比べて椎間板が比較的保たれやすく、複数の椎体に飛び火するように病変が見られるのが特徴です。
また、「圧迫骨折」による変化の場合は、周囲の軟部組織に膿瘍が形成されることはほとんどありません。
このように、MRI所見は似た症状を持つ疾患を判別するための、重要な手がかりとなります。
化膿性脊椎炎治療後にMRIで評価するポイント
治療開始後のMRIは、主に抗菌薬の効果判定や合併症の有無、経過の確認を目的として行われます。
注意すべきは、症状が改善していてもMRI上の異常所見が残ることは珍しくない点です。
これは、感染の制御と組織修復の進行が必ずしも一致しないためです。
治療効果の確認
治療後のMRIでは、初期に見られた病変の範囲が縮小しているか、あるいは新たな部位への進展がないかを確認します。とくに、新たな神経圧迫の有無や膿瘍の拡大がないかを評価します。
なお、治療初期には一時的に画像所見が悪化して見える「Lag現象(タイムラグ)」が生じることがあります。(文献5)これは感染の制御と画像所見の改善に時間差が生じるためで、画像所見は血液検査(CRPなど)の改善より遅れて変化することがあります。そのため、症状や検査結果を踏まえた総合的な判断が行われます。
化膿性脊椎炎の治療について知りたい方は、あわせてご覧ください。
合併症の有無
治療中であっても、傍椎体膿瘍や硬膜外膿瘍の進展により神経圧迫が生じ、麻痺などの神経症状を来す可能性があります。
MRIでは、こうした新たな合併症の発生がないかを確認します。これにより、神経障害の進行を防ぐための適切な対応につなげます。
後遺的変化の把握
炎症が収まった後も、MRIには骨の破壊痕や変形が残ることがあります。
細菌は死滅しても、破壊された椎体や椎間板に構造的な変形が残り、完全には元の形態へ戻らない場合もあります。
この構造的なダメージが、感染症としての治療が終了した後に残る慢性的な腰痛や不安定感の原因となります。
MRIで化膿性脊椎炎か診断し次の治療につなげよう
MRI検査によって化膿性脊椎炎と診断された場合、入院による抗菌薬投与と安静が治療の原則です。
早期に感染を食い止めることが、脊椎の破壊を最小限に抑える鍵となります。
しかし、抗菌薬によって感染がコントロールされた後も、骨や組織の欠損によって生じる痛みや機能障害に悩まされるケースは少なくありません。
現在は、このような標準的な治療後の組織ダメージに対し、自己の細胞を用いる「再生医療」など、新たな治療選択肢が検討される場合もあります。
感染後の生活の質(QOL)を保つためには、専門医と相談しながら、病期に応じた最適な治療計画を立てることが重要です。
当院「リペアセルクリニック」の公式LINEでは、再生医療の情報提供と簡易オンライン診断を実施しております。化膿性脊椎炎の治療法についてお悩みの方は、ぜひ一度公式LINEにご登録ください。
手術をしない新しい治療「再生医療」を提供しております。
化膿性脊椎炎のMRI診断に関するよくある質問
化膿性脊椎炎の完治期間はどのくらいですか
一般的に、化膿性脊椎炎の治療には数カ月から半年以上の長期間を要します。
抗菌薬は、6週間以上の投与が推奨されています。
ただし、画像上で炎症所見が消失するタイミングと、患者本人が痛みを感じなくなる状態は必ずしも一致しません。組織の破壊が強い場合は、痛みが残ることもあります。
完治までの期間は感染の程度や全身状態による個人差が大きいため、主治医による段階的な評価が必要です。
治療期間の目安については、以下記事もご参照ください。
腰椎MRIでわかる疾患は?
腰椎のMRI検査では、化膿性脊椎炎以外にも多くの疾患を特定できます。
代表的な疾患として、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、脊椎腫瘍、脊髄腫瘍、圧迫骨折、そして結核性脊椎炎などがあります。
MRIはレントゲンでは写らない神経や椎間板の状態を鮮明に映し出すため、腰痛の根本原因を特定する上で欠かせない検査です。
ただし、画像所見だけで確定診断ができるとは限らず、臨床症状や検査結果と併せて判断されます。
参考文献
Diagnosis and Management of Osteomyelitis
化膿性脊椎炎・椎間板炎・椎体炎のMRI画像診断のポイント!|画像診断まとめ
MR Appearances of the Temporal Evolution and Resolution of Infectious Spondylitis


















