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脳卒中の中でも、血管が詰まることで発症する脳梗塞。一命を取り留めても、麻痺やしびれ、言語障害といった後遺症が残る可能性があり、人生を大きく変えてしまうほどの影響を及ぼすケースも少なくありません。 脳梗塞の後遺症は、発症場所や範囲、治療開始までの時間によって症状の重篤度が大きく異なり、早期の治療開始が後遺症を最小限に抑える鍵となります。 この記事では、脳梗塞の後遺症の種類や症状、そして後遺症と共に生きるための治療法やリハビリテーション、日常生活の工夫、社会支援まで、幅広く解説します。ご自身やご家族が脳梗塞に直面した際に、少しでもお役に立てれば幸いです。 脳梗塞後遺症の種類と症状 脳梗塞は、脳の血管が詰まることで脳細胞に酸素や栄養が届かなくなり、脳の機能が損なわれる病気です。一命を取り留めたとしても、後遺症が残ってしまう可能性があります。後遺症の症状や程度は、脳梗塞が起こった場所や範囲、そして治療開始までの時間などによって大きく異なります。一刻も早い治療開始が、後遺症を最小限に抑える鍵となります。 後遺症の種類や症状を正しく理解することは、患者さん本人だけでなく、ご家族にとっても、その後のリハビリテーションや日常生活の工夫、社会資源の活用を考える上で非常に重要です。 運動麻痺(片麻痺、対麻痺) 運動麻痺は、脳梗塞で最も多く見られる後遺症の一つです。脳梗塞によって運動機能を司る脳の領域が損傷すると、筋肉を動かす指令がうまく伝わらなくなり、手足の麻痺が生じます。 麻痺には、体の片側だけに症状が現れる「片麻痺」と、両側に現れる「対麻痺」があります。多くの場合、右脳に梗塞が起こると左半身に、左脳に梗塞が起こると右半身に麻痺が現れます。これは、脳の神経線維が交差しているためです。 麻痺の程度は、軽度であれば少し動きにくい、力が入りにくいといった症状ですが、重度になると全く動かせなくなってしまいます。また、麻痺が続くと、関節が硬くなって動かなくなる「関節拘縮」も起こりえます。 例えば、箸がうまく使えない、ボタンが留められない、歩行が困難になるといった日常生活の動作に支障をきたすだけでなく、寝返りが難しくなることで床ずれのリスクが高まったり、手足のむくみが生じやすくなるなど、二次的な合併症を引き起こす可能性も懸念されます。 脳梗塞後の痙縮に関する研究では、麻痺の重症度が高いほど、後遺症として痙縮(筋肉が異常に緊張した状態)が生じやすいことが報告されています。痙縮は、関節の痛みや運動制限を引き起こし、日常生活の質を低下させる一因となります。 麻痺の種類 症状 片麻痺 体の片側の麻痺(右半身もしくは左半身) 対麻痺 体の両側の麻痺 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「脳卒中の再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 感覚障害(しびれ、痛み) 感覚障害も脳梗塞の代表的な後遺症です。皮膚の感覚を司る脳の領域が損傷を受けると、触覚、温度覚、痛覚などを感じにくくなったり、逆に過敏になったりします。 「しびれ」は、感覚が鈍くなる症状で、手足の先端などによく起こります。まるで手袋や靴下を履いているように感じたり、何も触っていないのに何かが触れているような感覚が生じることがあります。 また、損傷を受けた神経が過剰に反応することで、「痛み」を生じることもあります。痛みの程度や種類は人それぞれで、ピリピリとした痛み、ズキズキとした痛み、焼けるような痛みなど様々です。 これらの感覚障害は、日常生活においても様々な困難をもたらします。例えば、温度感覚が鈍くなると、やけどに気づきにくくなります。また、触覚が鈍いと、物を持つときに適切な力加減ができず、物を落としてしまったり、逆に握りすぎて物を壊してしまうこともあります。 言語障害(失語症) 脳梗塞によって言語中枢が損傷すると、言葉の理解や発話が難しくなる失語症が起こることがあります。失語症は、単に言葉が出ないだけでなく、言葉の理解にも影響を及ぼすことがあります。 失語症には、大きく分けて3つの種類があります。 表出性失語: 言葉を発することが難しくなる症状です。話したい言葉がなかなか出てこなかったり、間違った言葉を使ってしまったり、言葉がつっかえたりします。 受容性失語: 相手の言葉が理解できない症状です。相手が何を言っているのか理解できず、会話が成立しなくなります。 混合性失語: 表出性失語と受容性失語の両方の症状が現れるものです。 失語症はコミュニケーションを大きく阻害するため、社会生活や日常生活に大きな影響を与えます。 高次脳機能障害(記憶障害、注意障害) 高次脳機能障害は、記憶、注意、思考、判断など、高度な精神活動を司る脳の機能に障害が起こることを指します。 記憶障害: 新しいことを覚えられなくなったり、過去の出来事を思い出せなくなったりします。 注意障害: 集中力が続かなかったり、気が散りやすくなったり、複数のことに同時に注意を払えなくなったりします。 その他にも、計画を立てたり、物事を順序立てて行うことが難しくなる「実行機能障害」、体の片側を認識できなくなる「半側空間無視」、意図した動作ができなくなる「失行」、対象が認識できなくなる「失認」など、様々な症状があります。 嚥下障害 嚥下障害は、食べ物や飲み物をスムーズに飲み込めなくなる症状です。脳梗塞によって、飲み込むための筋肉や神経がうまく働かなくなると、食べ物が気管に入ってむせてしまったり、うまく飲み込めずに口の中に残ってしまったりします。 嚥下障害があると、誤嚥(食べ物が気管に入ること)を起こしやすく、誤嚥性肺炎のリスクが高まります。誤嚥性肺炎は、命に関わる危険性もあるため、食事の際には細心の注意が必要です。 排尿障害・排便障害 脳梗塞によって、排尿や排便をコントロールする神経が損傷すると、排尿障害や排便障害が起こります。尿意や便意を感じにくくなったり、逆に頻繁に感じたり、我慢できずに失禁してしまうこともあります。また、尿や便が出にくくなることもあります。これらの症状は、生活の質を大きく低下させる可能性があります。 これらの後遺症は、単独で現れることもあれば、複数組み合わさって現れることもあります。脳梗塞は、後遺症の種類も多岐にわたり、その症状の程度も人それぞれです。 脳梗塞後遺症の治療とリハビリテーション 脳梗塞の後遺症は、患者さん一人ひとりの生活に大きな影を落とす可能性があります。後遺症の種類や重症度は、脳梗塞が発生した場所や範囲、そして迅速な治療開始の可否によって大きく異なります。 後遺症による様々な困難を少しでも軽減し、より良い生活を送るためには、適切な治療と地道なリハビリテーションが欠かせません。 薬物療法 薬物療法は、脳梗塞の再発予防と後遺症の症状改善を目的として行います。脳梗塞は再発率の高い病気であるため、再発予防は特に重要です。 用いられる薬剤の種類や服用方法は、患者さんの状態や病歴、他の病気の有無などを考慮して決定します。主な薬剤として、血栓を溶かす薬(血栓溶解剤)、血小板がくっつくのを防ぐ薬(抗血小板剤)、血液が固まるのを防ぐ薬(抗凝固剤)などがあります。 血栓溶解剤は、発症早期に投与することで閉塞した血管を再開通させる効果が期待できます。しかし、投与可能な時間は限られており、全ての患者さんに適用できるわけではありません。 抗血小板剤と抗凝固剤は、血栓の形成を防ぎ、脳梗塞の再発リスクを低下させる薬です。これらの薬剤は、医師の指示に従って継続的に服用することが重要です。自己判断で服薬を中断すると、再発のリスクが高まる可能性があります。服用中に気になる症状が現れた場合は、自己判断せずに医師に相談しましょう。 リハビリテーション(理学療法、作業療法、言語療法) リハビリテーションは、脳梗塞後遺症による運動麻痺、感覚障害、言語障害、高次脳機能障害などの改善を目的として行います。患者さん一人ひとりの状態に合わせたオーダーメイドのプログラムを作成し、日常生活の自立を目指します。 理学療法では、体の動きや機能の回復を目指します。筋力トレーニングや関節可動域訓練、歩行訓練などを通して、日常生活に必要な動作の改善を図ります。 作業療法は、日常生活動作(食事、着替え、トイレ、入浴など)の改善を目的としています。患者さんの生活環境や生活スタイルを考慮し、自宅での生活をスムーズに行えるように訓練を行います。 言語療法は、脳梗塞によって損なわれた言語機能の回復を目指します。発声練習や言葉の理解・表現の訓練などを通して、コミュニケーション能力の向上を図ります。 リハビリテーションの効果を高めるには、早期開始と継続が重要です。根気強く取り組むことで、症状の改善や日常生活の自立に繋がる可能性が高まります。 再発予防(生活習慣改善、服薬管理) 脳梗塞の再発を防ぐためには、生活習慣の改善と服薬管理が重要です。高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病は脳梗塞の危険因子となるため、適切な管理が必要です。 バランスの取れた食事、適度な運動、禁煙、節酒など、健康的な生活習慣を心がけましょう。食生活においては、塩分や糖分、脂肪分の過剰摂取を避け、野菜や果物を積極的に摂ることが大切です。適度な運動は、血圧や血糖値の調整に役立ちます。また、禁煙は血管の健康維持に不可欠です。 医師から処方された薬は、指示通りに正しく服用しましょう。自己判断で服薬を中断することは危険です。 最新の治療法 近年、脳梗塞後遺症に対する新たな治療法として、再生医療が注目されています。 本来、人には、損傷したところを修復させる力があります。それを担っているのが、幹細胞です。この幹細胞を利用して、脳梗塞の後遺症の改善が期待できるのです。 リペアセルクリニックでは、脳梗塞の後遺症に特化した再生医療を行なっています。 詳しくはこちらをご覧ください↓ 再生医療の無料相談受付中! リペアセルクリニックは「脳卒中の再生医療」に特化した再生医療専門クリニックです。手術・入院をしない新たな治療【再生医療】を提供しております。 参考文献 Gurková E, Štureková L, Mandysová P and Šaňák D. "Factors affecting the quality of life after ischemic stroke in young adults: a scoping review." Health and quality of life outcomes 21, no. 1 (2023): 4. Wissel J, Verrier M, Simpson DM, Charles D, Guinto P, Papapetropoulos S and Sunnerhagen KS. "Post-stroke spasticity: predictors of early development and considerations for therapeutic intervention." PM & R : the journal of injury, function, and rehabilitation 7, no. 1 (2015): 60-7. Andalib S, Divani AA, Ayata C, Baig S, Arsava EM, Topcuoglu MA, Cáceres EL, Parikh V, Desai MJ, Majid A, Girolami S and Di Napoli M. "Vagus Nerve Stimulation in Ischemic Stroke." Current neurology and neuroscience reports 23, no. 12 (2023): 947-962. Wang L, Ma L, Ren C, Zhao W, Ji X, Liu Z and Li S. "Stroke-heart syndrome: current progress and future outlook." Journal of neurology 271, no. 8 (2024): 4813-4825. Zhao Y, Zhang X, Chen X and Wei Y. "Neuronal injuries in cerebral infarction and ischemic stroke: From mechanisms to treatment (Review)." International journal of molecular medicine 49, no. 2 (2022): .
2025.02.10 -
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- 頭部
突然の肩こりや、中々治らない肩こりに悩まされていませんか。 原因が思い当たらない肩こりが数日間続いたり、急に症状があらわれたりすると「ただの肩こりじゃなかったらどうしよう」「脳梗塞の前兆かもしれない」と不安になる方もいるでしょう。 突然の激しい肩こりが、実は脳梗塞の前兆である場合があります。「ただの肩こりだから」と軽視して放置すると病状が悪化する恐れもあるため、早期に医療機関を受診し、原因を的確に見極めることが大切です。 本記事では、肩こりが脳梗塞の前兆になる理由や、その他気を付けるべき症状について詳しく解説します。 最後まで読むことで肩こりから脳梗塞を早期に見つけられる方法がわかり、悪化を防げる可能性が高まるでしょう。 ぜひ本記事を参考に、今の肩こりが脳梗塞の前兆であるかどうかをチェックしてみてください。 当院「リペアセルクリニック」では、幹細胞を用いて脳梗塞の後遺症改善や再発予防を目指した治療を行っています。メール相談またはオンラインカウンセリングにて無料相談を受け付けておりますので、気になる症状がある方はぜひ当院までご相談ください。 「突然の」肩こりは放置厳禁!脳梗塞のリスクもあり 多くの人が肩こりを放置しがちですが「突然の」肩こりは、脳梗塞の前兆の疑いがあるため、注意が必要です。 脳梗塞から起こる肩こりは、首周辺の血流の滞りや神経の麻痺によって引き起こされます。その影響で筋肉が凝り固まり、肩周りの神経の動きが低下するため、肩こりがあらわれる可能性があります。 とくに以下の症状を伴う突然の肩こりの場合は、脳梗塞の前兆であるため注意が必要です。 片側だけ鋭い痛みを感じる 短時間で急速に痛みや肩こりが悪化する 目がかすんだり、見える範囲が狭くなったりする ほとんどの肩こりの場合は単なる筋肉のコリや重労働が原因であり、脳梗塞である可能性は非常に稀です。 しかし、デスクワークのしすぎや重たい荷物を持つといった原因が思い当たらないのに、突然原因不明の肩こりがする場合は注意が必要です。 軽視せずに他の症状が出ていないかを確認し、異変を感じたら自己判断で放置せず早めに医療機関を受診しましょう。 「首の後ろの痛み」も脳梗塞の前兆の可能性あり 肩こりと同様に、突然あらわれる「首の後ろの痛み」も脳梗塞の前兆である疑いがあります。 その理由の一つが、首の後ろを通る血管が損傷する「椎骨(ついこつ)動脈解離」です。 椎骨動脈解離が起こると、頭の後ろから首の付け根にかけて激しい痛みが生じ、めまいや吐き気を伴うことがあります。この状態が進行すると脳梗塞やくも膜下出血へ発展する可能性があります。(文献1) 脳梗塞や椎骨動脈解離はMRIやCTなどの検査でわかる場合が多いため、首の後ろの痛みがあれば早めに受診しましょう。 また、首の後ろの痛みは「くも膜下出血」の疑いもあります。くも膜下出血からくる首の後ろの痛みについて詳しく知りたい方は以下のコラムも参考にしてください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 【要チェック】肩こり以外脳梗塞の前兆4つ 肩こり以外の脳梗塞の代表的な前兆には、以下の症状があります。 痙攣・麻痺 言語障害 視覚障害 歩行困難 違和感のある肩こりがある方は、本章で解説している症状も一緒に出ていないかどうか確認してみてください。 1.痙攣・麻痺 脳梗塞の代表的な前兆として痙攣や麻痺があげられます。 脳梗塞が起こることで血管が詰まり、血流が遮断され、神経の働きが阻害されます。その結果、痙攣や麻痺といった症状が現れるのです。 痙攣や麻痺が脳梗塞によるものかどうかは「突然発症したものか」「片側だけに生じているか」がポイントです。 早期に治療を行うと後遺症が軽くなる可能性が高まります。片側のみや突然の痙攣・麻痺がみられる場合は、迅速に医療機関を受診しましょう。 2.言語障害 脳梗塞の初期症状で知られているのが「ろれつが回らない」「言葉を発するときに言葉が出てこない」といった言語障害です。 言語障害は、会話や言葉を理解する能力に関わる「前頭葉」や「側頭葉」などの脳部分が脳梗塞により損傷を受けることで生じます。(文献2) また「簡単な文章を書けない」「滑舌が突然悪くなった」といった症状も多く見られます。 このような言語障害が「突然」あらわれた場合は脳梗塞の可能性があるため、注意が必要です。 3.視覚障害 「視覚障害」も脳梗塞の初期症状としてあらわれる可能性があります。 脳梗塞で脳の血液の流れが滞り、視覚に関わる脳の部位が損傷すると視覚障害が起こるため、注意が必要です。 脳梗塞による視覚障害として、以下のような症状があげられます。 視野欠損(片側だけ欠けて見える) 複視(物が二重に見える) 突然の視力低下 見え方に突然違和感をもった場合は、早めに脳神経外科へ受診しましょう。 4.歩行困難 筋肉の麻痺による歩行困難があらわれるのも脳梗塞の前兆のひとつです。 脳梗塞により筋肉が無意識に収縮して硬直し、スムーズに体を動かせなくなります。このため、いつも通り歩くのが難しくなり、独特な歩き方となります。(文献3) 脳梗塞による歩行困難として、以下のような兆候が知られています。 歩行困難の種類 特徴 内反尖足(ないはんせんそく) つま先が下を向いたり、足首・足裏が内側に向いたりする 膝関節伸展 膝関節をまっすぐに伸ばして歩く 股関節屈曲 股関節が曲げられなくなる 脳梗塞の前兆のチェック項目については以下の記事で詳しく解説しております。気になる方は、合わせて参考にしてください。 肩こり含む脳梗塞の前兆が治っても油断は禁物!早急の受診が大切 前兆が治まった場合でも、再発リスクは否定できません。「脳梗塞の前兆かもしれない」と感じた症状が軽くなっても、その後すぐに受診しましょう。 症状が消失した場合「一過性脳虚血性発作(TIA)」の可能性があります。TIAは一時的に脳への血流が滞り、短時間のみ脳梗塞の症状があらわれるものの、24時間以内に回復する状態です。 TIAは脳梗塞の前触れ症状ともいわれています。TIAが消失したとしても、その後脳梗塞に発展するリスクが高いため、早急の処置が必要です。 脳梗塞の前兆が治っても放置せず、速やかに受診して専門医の治療を受けましょう。 また、脳梗塞を含む脳卒中のセルフチェックについては以下の記事で詳しく解説しています。気になる方は合わせてご確認ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 【今すぐできる】脳梗塞の予防方法3選 突然の肩こりを引き起こす脳梗塞は、日常生活でできる対策をすると未然に発症リスクを下げられます。 本章で紹介する方法を実践し、脳梗塞のリスクを減らしましょう。 1.減塩食を心がける 脳梗塞の予防には「減塩食」が欠かせません。 脳梗塞の大きな要因のひとつは「高血圧」です。塩分を摂りすぎると体内の水分のバランスや血管の負担が増えてしまい、血圧が上がり脳梗塞に発展するリスクがあります。そのため、日頃から塩分を控える食事を心がけることが大切です。 今すぐできる減塩食の対策には、以下の方法があります。 いつもの調味料を減塩タイプに切り替える 加工食品(ハムやソーセージなど)を避ける 揚げ物から蒸し料理・焼き料理へ調理方法を変更する また、厚生労働省は「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」において、高血圧の重症化予防のために成人の塩分摂取量を、男女ともに1日6g未満に抑えることを推奨しています。(文献4) 減塩を心がけ、脳梗塞の予防に努めましょう。 2.積極的に魚を取り入れる 脳梗塞を予防するもう一つの食事のコツは、積極的に「魚」を取り入れることです。 魚に含まれるEPAやDHAは、悪玉コレステロールや中性脂肪を減らして血液をサラサラにする効果があります。そのため血栓がつくられるのを抑えるため、脳梗塞の予防につながるでしょう。 とくに以下のような「青魚」は魚類の中でもEPAやDHAを多く含むためおすすめです。 サバ サンマ イワシ 食生活に乱れがあった人は、魚を日々の食事に取り入れてみてください。 また、脳梗塞予防に避けるべき食品については、以下のコラムで詳しく解説しています。詳しく知りたい方は、あわせて参考にしてください。 3.筋トレと有酸素運動を定期的に行う 運動面で脳梗塞予防に効果的なのが、定期的に筋トレと有酸素運動を両方行うことです。 運動を定期的に取り入れることで、高血圧が改善したり血行が良くなったりします。そのため、脳梗塞予防にも効果的です。 また、筋トレと有酸素運動は以下のように得られる効果が異なります。両方取り入れるとより健康により効果をもたらすでしょう。 運動の種類 効果 運動例 筋トレ 基礎代謝量を増やして体脂肪を減らす スクワット 腕立て伏せ 懸垂 有酸素運動 心肺機能を向上させ血の巡りを改善する ジョギング 水泳 ウォーキング 脳梗塞のリスクを下げるためにも生活習慣に合った運動を無理のない範囲で取り入れてみてください。 まとめ|突然の肩こりは脳梗塞の前兆の可能性あり!放置せず早めに受診しよう 何気ない「突然の肩こり」は、脳梗塞の前兆である可能性が否定できません。軽視せずにいつもの肩こりと違いがないか観察して適切な対策をとることが大切です。 とくに麻痺や言語障害など脳梗塞の代表的な症状と一緒にあわらわれた場合は、早急に医療機関を受診しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による脳梗塞の後遺症改善・再発予防治療を行っています。 メール相談またはオンラインカウンセリングにて無料相談を受け付けておりますので、気になる症状が出ている方や脳梗塞の後遺症にお悩みの方はぜひ当院までご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 脳梗塞の前兆についてよくある質問 肩こりはくも膜下出血の前兆ですか? 突然の肩こりは、くも膜下出血の前兆の可能性もあります。 突然の肩こりや首の後ろの痛みを伴う場合は、血管が破裂しかけている可能性も否定できないため注意が必要です。違和感を感じた場合は、迅速に受診しましょう。 くも膜下出血の原因と症状についてより詳しく知りたい方は、以下のコラムを参考にしてください。 軽い脳梗塞の前兆はどのような症状ですか? 軽い脳梗塞の前兆の一例は、以下のとおりです。 片側の手足に力が入らない 言葉がスラスラと出てこない 視界の一部が見えにくい 脳梗塞の前兆が軽度だったり一時的なものであると見過ごされるケースもありますが、のちに脳梗塞を発症するリスクが高まります。 予後が大きく変わるため放置せず、早めに受診して適切な治療を受けましょう。 参考文献 (文献1) 弘中 康雄,西村 文彦 ほか「椎骨動脈解離に対する外科治療 ─再出血予防と穿通枝温存を目指した microneurosurgery─」脳卒中の外科(44)」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/scs/44/1/44_31/_pdf (文献2) MSDマニュアル「脳の機能障害の概要」 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/09-%E8%84%B3-%E8%84%8A%E9%AB%84-%E6%9C%AB%E6%A2%A2%E7%A5%9E%E7%B5%8C%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E8%84%B3%E3%81%AE%E6%A9%9F%E8%83%BD%E9%9A%9C%E5%AE%B3/%E8%84%B3%E3%81%AE%E6%A9%9F%E8%83%BD%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E3%81%AE%E6%A6%82%E8%A6%81 (文献3) 川手信行,中島卓也「脳卒中歩行障害の総論|日本義肢装具学会誌 2022(38,3)」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspo/38/3/38_190/_pdf/-char/ja (文献4) 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」 https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf
2025.02.07 -
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健康のために振動(ブルブル)マシンを使用してみたいものの、脳に良くないとの情報を耳にして不安になる方も多いでしょう。過去に脳梗塞になったことがあり、後遺症がなく過ごせている方も心配かもしれません。 体のために運動をしたいと思いつつも、振動(ブルブル)マシンで脳梗塞を再発させてしまったら本末転倒ですよね。 振動(ブルブル)マシンは脳に直接悪影響を与えるわけではないため、脳梗塞後の方も使用可能です。ただし、血行改善により血の塊が脳血管に詰まる恐れがあるため、一度医師に相談してから使用を開始しましょう。 本記事では、脳梗塞になったことのある方へ向けて、振動(ブルブル)マシンを使用する場合の注意点を中心に解説します。記事の内容を参考に、振動マシンを安全に活用し、健康的な体を目指してください。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による脳梗塞の再発予防の治療を行っております。 「メール相談」または「オンラインカウンセリング」にて無料カウンセリングを受付中です。気になる方はぜひ当院までご連絡ください。 振動(ブルブル)マシンが脳梗塞に与える直接的なリスクは少ない 振動(ブルブル)マシンは、脳に直接的な悪影響は及ぼしません。運動したときと同様に血流を改善する作用が期待できるため、健康に良い効果をもたらすでしょう。 ただしすでに血栓ができている状態で振動(ブルブル)マシンを使用すると、血栓が脳まで流れ、脳梗塞を引き起こすリスクがあるため注意が必要です。 また、以下のような初期症状が出た場合はすぐに使用を中止し、医師に相談してください。 片側の手足の麻痺 ろれつが回らない 歩けない 強いめまい また、振動(ブルブル)マシンを使ってみたいものの、脳梗塞の再発に不安がある場合は医師に相談したうえで適切に使いましょう。 振動(ブルブル)マシンの使用を注意すべき人 脳梗塞後の方に使用はできるものの、以下に該当する人は振動(ブルブル)マシンを使用する際に注意が必要です。 骨の病気の人 高血圧の人 乗り物酔いをしやすい人 本章を参考に、ご自身が当てはまっていないか確認してからマシンを使用しましょう。 1.骨の病気の人 骨の病気を治療している人は、専門医に相談のうえで使用しましょう。 とくに骨粗鬆症の方は、健常人より骨が脆くなっている状態です。振動マシンが骨密度に良い効果をもたらしたとの報告があるものの、振動の強度が大きすぎると骨折リスクが高まるため、注意が必要です。(文献1) 最初から高振動で使用せず、低振動かつ短時間でマシンを使って様子を見ましょう。 また、骨粗しょう症の治療や予防については下記のコラムにて詳しく解説しています。気になる方はあわせて参考にしてください。 2.血圧が高い人 血圧が高いと指摘された方、あるいは高血圧の治療中の方も注意が必要です。 振動(ブルブル)マシンを使用すると、振動による筋肉への刺激で血流が促進されます。これにより、通常よりも血流が速くなる可能性があります。 健康に良い効果をもたらす一方で、突然血圧が上がることもあるため注意が必要です。 ただし、適切な振動(ブルブル)マシンの使用や運動が高血圧を急激に悪化させるわけではありません。適度な使用であれば血圧への影響が小さいため、正しい頻度と時間を守ることが大切です。 高血圧の予防や改善に効果的な食事・運動については以下のコラムにて詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。 3.乗り物酔いをしやすい人 普段から乗り物酔いをしやすい人も、振動(ブルブル)マシンの連用に注意が必要です。 人は耳にある三半規管により振動をキャッチし、平衡感覚を保つ役割があります。しかし、過剰に揺れを感じると脳へ渡す情報量が過多になり、乗り物酔いの症状があらわれます。 以下のような乗り物酔いの症状があらわれたら、振動(ブルブル)マシンの使用を控えゆっくり休みましょう。(文献2) めまい 嘔吐(吐き気) 蒼白 自動車や船などと同じように、振動(ブルブル)マシンでも乗り物酔いの症状があらわれる可能性があります。自覚のある方は慎重に使用を検討しましょう。 振動(ブルブル)マシンを安全に使用するための注意点 振動(ブルブル)マシンを使用する際の注意点は、以下の3つです。 振動が弱いモードから使用する 長時間の使用は避ける 説明書を確認してから使用する 本章を参考に、適切に振動(ブルブル)マシンを使用して思わぬ事故を防ぎましょう。 1.振動が弱いモードから使用する 初めて振動(ブルブル)マシンを使用する際は、低振動のモードから始め、徐々に負荷を上げていきましょう。 使い始めは弱い振動でも、強く感じる場合があります。突然強い振動で機械を使用すると思わぬけがや体調悪化につながるため、注意が必要です。 転倒が不安な場合は手すりを掴むか、誰かのサポートを受けると安心でしょう。 2.長くても1日1時間までの使用にする 振動(ブルブル)マシンの長時間にわたる使用は、体調不良や血栓リスクを高めます。1日の合計使用時間は1時間以内に控え、短時間ずつ分けて利用しましょう。 過度な長時間の使用で消費カロリーは多くても、乗り物酔いや転倒のリスクが考えられます。 機械の使用で症状が出ないか不安な方は、最初は1日10〜20分程度にとどめておくと安心です。 3.説明書を確認してから使用する 機種によって使用方法や振動の強度、推奨される使用時間が異なる場合があります。説明書をよく確認してから振動(ブルブル)マシンを使用しましょう。 妊婦や高齢者一人きりでの使用など使用が推奨されない機種もあります。誤って使用すると思わぬ体調不良を招く危険性があるため注意が必要です。 説明書はインターネットでも閲覧できる可能性があります。自分が使用できるか不安な方は、購入の前に調べてから検討すると良いでしょう。 まとめ|脳梗塞と振動(ブルブル)マシンの関係性 今回は、振動(ブルブル)マシンと脳梗塞のリスクについて解説しました。振動により脳に直接的なダメージはないものの、血流の変化により血栓が脳血管まで運ばれるリスクがあります。 また、誤った使用は体調悪化や事故の危険性を高めるため、適正使用を心がけましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、人体にある幹細胞を利用し、脳梗塞の再発予防や後遺症の治療を行っております。 無料で「メール相談」または「オンラインカウンセリング」も受付中です。気になる方はぜひ当院までご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 脳梗塞の振動(ブルブル)マシンについてよくある質問 振動マシーンは血栓予防に効果的ですか? 振動マシーンで血流を改善するため、血栓予防に効果的です。しかし、既に形成された血の塊がある場合、脳血管に届き血流が滞るリスクもあります。 過去に脳梗塞のような血栓が関連する病気にかかったことのある方は、使用する前に医師に相談してください。 脳梗塞になりやすい人の特徴と予防について詳しく知りたい方は、以下のコラムを参考にしてください。 振動(ブルブル)マシンは危険ですか? 適切に使用すると、マシンが体に悪影響を及ぼす可能性は少ないです。危険性が高くないとはいえ、個人の体質によっては体調不良を招くため注意が必要です。 乗り物酔いの症状が出る場合や、血行促進により血圧が一時的に上がるリスクが考えられます。 使用前に自身の持病や体調をチェックし、問題ないことを確認してから使用しましょう。 参考文献 (文献1) Abeer M ElDeeb,Amr A Abdel-Aziem「Effect of Whole-Body Vibration Exercise on Power Profile and Bone Mineral Density in Postmenopausal Women With Osteoporosis|A Randomized Controlled Trial,43(4)」 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32868028/ (文献2) MSDマニュアル プロフェッショナル版.「動揺病」 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/22-%E5%A4%96%E5%82%B7%E3%81%A8%E4%B8%AD%E6%AF%92/%E5%8B%95%E6%8F%BA%E7%97%85/%E5%8B%95%E6%8F%BA%E7%97%85
2025.02.07 -
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BAD(脳梗塞)ってなんだろう? 一般的な脳梗塞と何が違うのかな? この記事を読んでいるあなたは、BAD(脳梗塞)という耳慣れない病気を聞き、とまどっているのではないでしょうか。 「今後どうなるのか知りたい」と思っているかもしれません。 BAD(脳梗塞)はラクナ梗塞の特徴を持ちながら、アテローム性病変が原因で起こる、近年注目されているタイプの脳梗塞です。 本記事では、BAD(脳梗塞)の症状やラクナ梗塞との違い、予後について詳しく説明します。記事を最後まで読めば、病気について一通りの知識が得られ、今度の見通しを立てやすくなるでしょう。 BADとは「脳の細い血管の分岐部が詰まり進行しやすい脳梗塞」 BADとは、「Branch atheromatous disease」の頭文字を取ったもので、脳梗塞の一種です。コレステロールや脂などが溜まってできた「アテロームプラーク」と呼ばれるこぶが、脳の血管が詰まるために起こります。(文献1) BAD(脳梗塞)がよく起こる場所は、脳の主幹動脈からの穿通枝分岐部(太い血管から小さな枝状の血管がわかれる部分)です。英語をそのまま日本語に直すと「分岐アテローム性疾患」となりますが、日本語での病名が付けられていないため「ビーエーディー」と呼ばれています。 また、BAD(脳梗塞)は、脳梗塞を含む「急性虚血性脳卒中」全体の約10〜15%を占めるという報告があります。(文献2) 当院「リペアセルクリニック」では、BAD(脳梗塞)後の治療として再生医療(幹細胞治療)をおこなっています。壊れた脳細胞を再生治療で修復し、後遺症の回復やリハビリ効果の向上が期待できます。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」から気軽にお問い合わせください。 \まずは当院にお問い合わせください/ BAD(脳梗塞)の症状 BADであらわれる症状の多くは、脳の細い血管が詰まって起こる「ラクナ梗塞」と同じです。代表的な症状を、以下に紹介します。(文献3) 構音障害:ことばの障害 感覚障害:感覚の鈍さやしびれ 運動片麻痺:片方の手足に力が入らなくなる しかし、BAD(脳梗塞)の最大の特徴は、運動片麻痺が進行性に悪化しやすいことです。数日間は、脳梗塞が拡大したり麻痺が進行したりしやすく、後遺症が出やすい傾向もあります。 また、初期症状としてTIA(一過性脳虚血発作)が起こるケースもあります。 BAD(脳梗塞)の原因 BAD(脳梗塞)の原因は、動脈硬化の過程で血管内にできた「アテロームプラーク」です。 アテロームプラークとは、血管の膜に血液中の悪玉コレステロールが入り込んでできたものです。血管を細くして脳への酸素供給を妨げたり、破裂して血小板による血栓生成を引き起こし、脳の血管を詰まらせたりします。 アテロームプラークの危険因子は、以下のとおりです。(文献1) 年齢 性別 喫煙 高血圧 糖尿病 脂質異常症 これらの危険因子を減らすためには、生活習慣の改善が重要です。 具体的には、塩分を控える、運動や食事に気を付けて肥満を防ぐなどが有効です。アテロームプラークを作りにくい生活を心がけ、BAD(脳梗塞)の予防につとめましょう。 脳梗塞の原因については、以下の記事で詳しく説明しています。 BAD(脳梗塞)とラクナ梗塞との違い BAD(脳梗塞)とラクナ梗塞は症状が似ているものの、梗塞する場所や原因が異なります。おもな違いは、以下のとおりです。(文献3)(文献4) BAD(脳梗塞) ラクナ梗塞 梗塞する場所 穿通枝の根元 1本の穿通枝 梗塞の範囲 やや広い 狭い おもな梗塞の原因 アテロームプラーク(動脈硬化も原因) 高血圧による動脈硬化 梗塞の大きさ 15mm以上 15mm未満 特徴 進行しやすいが、比較的再発は少ない 比較的再発しやすい 血管が詰まり脳細胞の機能が失われることは共通しますが、細かな内容が違うといえるでしょう。 \まずは当院にお問い合わせください/ BAD(脳梗塞)の診断基準 BAD(脳梗塞)かどうかは、MRIの画像で診断します。(文献5) 細かな基準は梗塞した部分によって異なり、以下とされています。 中大脳動脈(MCA)穿通枝:拡散強調画像で3または4以上の横断面を含む直径15 mm以上の梗塞があること 椎骨脳底動脈穿通枝:脳橋腹面に達し、分枝動脈の主幹動脈の狭窄や閉塞がないこと しかし、「病因不明」と分類されたり、状況によってはラクナ梗塞と診断されたりするケースもあります。 BAD(脳梗塞)の治療 BAD(脳梗塞)は、一般的な脳梗塞の治療法であるt-PA療法の効果が得にくいケースが多く、抗血小板薬がよく使用されます。また、複数の治療薬を併用するケースもあります。 治療効果があらわれにくいケースもあり、BAD(脳梗塞)へ有効性の高い治療法は、今後の研究が待たれる内容です。 一般的な脳梗塞の治療法については、以下の記事で詳しく紹介しています。 BAD(脳梗塞)の予後やリハビリ BAD(脳梗塞)は命を失うケースが少ない反面、運動機能に麻痺が残りやすい特徴があります。 また、病変部位別に神経症状が悪化する確率は以下であったという報告もされています。(文献6) 橋傍正中動脈領域:43.6% レンズ核線条体動脈領域: 30.1% 「運動機能に関する予後は、脳卒中患者における機能障害につかわれる評価(FMA)で予測できる」「高血圧の合併があると神経症状が悪化しやすい」などの報告もあります。 BAD(脳梗塞)は麻痺が残りやすいため、多くの場合で継続的なリハビリが必要となります。 後遺症の改善のために、リハビリを継続的におこないましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、BAD(脳梗塞)の予後改善やリハビリの効果アップに効果が期待できる再生治療(幹細胞治療)をおこなっています。 理学療法士、柔道整復師、鍼灸師、トレーナーによるチーム体制を取っており、再生治療と並行したリハビリも可能です。ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」から気軽にお問い合わせください。 まとめ|BAD(脳梗塞)を疑われる場合は受診しよう 本記事では、BAD(脳梗塞)の症状や予後・ラクナ梗塞との違いについて詳しく説明しました。 BAD(脳梗塞)は、ラクナ梗塞に似た症状を示す脳梗塞の一種です。梗塞の部位や大きさはラクナ梗塞と異なり、進行性に症状が悪化しやすい傾向があります。 後遺症が出た場合は、退院後も症状に応じたリハビリをおこないましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、BAD(脳梗塞)をはじめとする脳梗塞に対して再生医療(幹細胞治療)を提供しています。 再生医療(幹細胞治療)は、失われた脳細胞を修復し、後遺症の改善やリハビリ効果の向上が期待できる治療法です。 早くから治療を始めた方が効果を得やすいため、気になる場合は気軽にご相談ください。ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けております。 \まずは当院にお問い合わせください/ BAD(脳梗塞)に関するよくある質問 BAD(脳梗塞)の読み方は? BADは「ビーエーディー」と読むのが一般的です。悪いという英語の「Bad」ではないため、「バッド」という読みではありません。 BAD(脳梗塞)にならないためにできることは何? BAD(脳梗塞)を防ぐには、動脈硬化の原因となる以下の病気の予防・治療につとめることが大切です。 高血圧 糖尿病 脂質異常症 喫煙や肥満、塩分の摂りすぎや運動不足も動脈硬化のリスク因子です。毎日の生活のなかで、できることから少しずつ気を付けてみましょう。 脳梗塞を防ぐ方法については、以下の記事もぜひ参考にしてください。 参考文献 (文献1) 北川一夫,Branch Atheromatous Disease の病態と治療,脳卒中 31:550–553,2009https://www.jstage.jst.go.jp/article/jstroke/31/6/31_6_550/_pdf (文献2) Duan H, Yun HJ, Geng X, Ding Y. Branch atheromatous disease and treatment. Brain Circ. 2022 Dec 6;8(4):169-171. doi: 10.4103/bc.bc_56_22. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10167853/ (文献3) 山本康正,Branch atheromatous disease の概念・病態・治療,臨床神経 2014;54:289-297https://www.neurology-jp.org/Journal/public_pdf/054040289.pdf (文献4) 星野晴彦ら,Branch atheromatous disease における進行性脳梗塞の頻度と急性期転帰,脳卒中 33:37–44,2011https://www.jstage.jst.go.jp/article/jstroke/33/1/33_1_37/_pdf (文献5) Deguchi I, Takahashi S. Pathophysiology and Optimal Treatment of Intracranial Branch Atheromatous Disease. J Atheroscler Thromb. 2023 Jul 1;30(7):701-709. doi: 10.5551/jat.RV22003. Epub 2023 May 13.https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10322737/ (文献6) 徳田和宏ら,Branch Atheromatous Disease の急性期運動機能予後に関連する要因の検討,理学療法学 第 47 巻第 2 号https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/47/2/47_11643/_pdf
2025.02.07 -
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症状はないのに 健康診断で「軽い脳梗塞がある」と言われて不安になっていませんか。治療の必要性や、重症化のリスクが気になる方も多いかもしれません。 症状が軽い、または無症状の脳梗塞を「無症候性脳梗塞」といいます。早急に大きな治療の必要はありませんが、放置すると重症化する恐れがあります。重症化を防止するためにも、軽度のうちに治療を行うのが望ましいでしょう。 本記事では、軽い脳梗塞の発見方法や原因、対策について詳しく解説します。無症状でも侮らずに適切な治療を受け、未然に悪化を防ぎましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、脳梗塞の後遺症改善や再発予防として再生医療を行っています。 気になる方は、当院の「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 症状が軽い脳梗塞は「無症候性脳梗塞」と呼ばれる 脳梗塞の中でも、症状が軽い場合は「無症候性脳梗塞」に分類されます。 無症候性脳梗塞は、症状があらわれないまたは非常に軽微なものにとどまることが特徴です。そのため患者自身が脳梗塞に気づかず、健康診断やCT・MRIなどの検査で偶然発見されることも多いです。 無症候性脳梗塞は早急な手術は必須ではないものの、将来的に重篤な脳梗塞を引き起こすリスクが高まります。早期の発見と治療により、悪化のリスクを大幅に低減できるでしょう。 無症候性脳梗塞の多くは「ラクナ梗塞」 脳梗塞は、主に以下の3種類に分類されます。この中でも、無症候性脳梗塞の主な原因となるのが「ラクナ梗塞」です。 脳梗塞の種類 特徴 原因 ラクナ梗塞 小さな血管が詰まる 高血圧・動脈硬化 心原性脳梗塞 心臓から血栓が飛び血管が詰まる 心房細動・心疾患 アテローム血栓性脳梗塞 コレステロールが沈着し大きな血管が詰まる 高脂血症・動脈硬化 無症候性脳梗塞の大部分を占めるラクナ梗塞は、比較的軽度な症状が特徴です。 ただし、放置すると脳梗塞の再発や悪化のリスクがあります。診断を受けた際は早期に適切な治療を受けましょう。 脳梗塞の原因と種類について詳しく知りたい方は、以下のコラムを参考にしていただければ幸いです。 ほとんどは「検査」によって見つかる 無症候性脳梗塞は、自覚症状がほとんどなく、検査によって発見されることが一般的です。 そのため、定期的な健康診断やMR・CTなどの画像検査を受けることが早期発見のポイントとなります。 無症候性脳梗塞は、発見が遅れるほど治療が難しくなる可能性があります。 定期的な検査を行い、早期発見を心がけましょう。 無症候性脳梗塞は「早期発見」で治る 無症候性脳梗塞は、速やかに適切な治療を受けることが大切です。 血流が途絶えていた部分が回復して脳機能が正常に戻り、後遺症を残さずに治癒できる可能性があります。 また、無症候性脳梗塞のような軽症の場合、入院期間は約1カ月前後であることが多いです。 脳梗塞の範囲が狭く、早期に発見された場合は、さらに短期間での改善が見込まれます。 ただし、治療には悪化防止のため定期的な通院が必要です。こまめの受診を怠らないようにしましょう。 軽い脳梗塞の3つの前兆・前触れ 脳梗塞の初期症状は、軽度であっても見逃がさないことが早期発見のポイントとなります。 以下の3つの症状は、脳梗塞の前兆としてあらわれることが多い症状です。 脳梗塞の前兆 症状例 備考 言語障害 上手に会話できない 他の人の話が理解できない 繰り返される場合は注意が必要である 顔面麻痺 片側の顔が垂れさがる 笑うと左右が不自然に非対称になる 突然症状があらわれた場合は脳梗塞の疑いがある 腕の麻痺 片方の腕や手が突然力を失う しびれを感じる 一時的な症状でも脳梗塞の前兆である可能性が高い これらの症状があらわれたら、自覚症状が軽い場合でも速やかに受診しましょう。 症状軽い脳梗塞が起こる4つの原因 症状が軽い脳梗塞の原因として、以下の4つがあげられます。(文献1) 高血圧症 コレステロール症 糖尿病 心房細動 上記の疾患の治療を医師の指示どおり受けることで、無症候性脳梗塞の予防につながります。該当する方は、まずは持病の改善に努めましょう。 1.高血圧症 高血圧症は、脳梗塞の比較的多い原因のひとつです。 血圧が高い状態が続くと、脳の血管が収縮して血流が滞ります。 この状態が続くと血栓が発生しやすくなり、脳梗塞を引き起こす可能性が高まります。 そのため、治療により血圧を正常値までコントロールすることが大切です。 高血圧を予防または治療するためには、減塩や運動習慣の改善、病院での適切な治療が必要です。 2.コレステロール症 コレステロール値が高い状態が続くと、血管が硬くなる「動脈硬化」を進行させて脳梗塞のリスクが高まります。(文献2) とくに悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が高い場合、血管内に脂肪の塊が形成されやすくなります。 血管が詰まり脳梗塞の原因となるため、コレステロールを減らす治療が必要です。 脂肪分の高い食生活の改善や定期的な運動、必要に応じて薬物治療を受けることで、脳梗塞の予防につながります。 3.糖尿病 血糖値が高い状態が長期間続くと血管にダメージを与え、血液がドロドロになりやすくなります。 高血糖状態が血栓形成のリスクを高め、脳梗塞を引き起こす原因となります。 そのため、糖尿病の治療を確実に行うことが脳梗塞の予防につながるのです。 糖尿病をコントロールするには、食事療法や運動、血糖値を安定させるための薬物治療に専念しましょう。 4.心房細動 心房細動は、心臓のリズムが乱れることで心房が不規則に収縮する病気です。 心房細動により血液が滞ることで、血栓が形成されやすくなります。 形成された血栓が脳に到達すると、脳梗塞になる可能性も考えられるでしょう。 心房細動をはじめとする心臓の病気からくる脳梗塞は「心原性脳梗塞」と呼ばれています。 専門医の指導のもと心房細動を治療することが、心原性脳梗塞の予防につながります。 症状軽い脳梗塞こそ早めの治療が大切!3つの予防・対策法 軽度の脳梗塞のうちにできる予防策は、以下の3つです。 食事や運動の改善 禁煙 抗凝固薬の使用 専門医の指示のもとで、適切な治療を受けて悪化を防ぎましょう。 1.食事・運動の改善 不健康な食生活や運動習慣がないことは、高血圧や高コレステロール血症の原因となり、脳梗塞の発症リスクを上げる可能性があります。 そのため、食事や運動の改善は脳梗塞の予防に効果的と言えるでしょう。 以下のような工夫をして、生活習慣の改善を心がけてみてください。 野菜を中心とした食事を意識する ウォーキングやストレッチを日常生活に取り入れる 脳梗塞の予防に大切な食事のポイントについて詳しく知りたい方は、以下のコラムを参考にしていただければ幸いです。 2.禁煙 タバコは脳の病気に限らず、全身に悪影響を及ぼします。 喫煙は脳梗塞のリスクを著しく高める要因のひとつです。タバコの煙が血管を収縮させ、脳梗塞のリスクを高めます。 そのため、禁煙は脳梗塞の予防に効果的です。 自力での禁煙が難しい方は、禁煙外来のような専門機関を活用する方法もあります。 脳梗塞を防ぐためにも、タバコを止めるようにしましょう。 3.抗凝固薬の使用 医師の判断によっては、脳梗塞の再発防止の目的で抗凝固薬が使用される場合があります。 抗凝固薬は血液をサラサラにし、血栓による血管の狭窄を予防できます。 そのため抗凝固薬が処方された方は、医師の指示に従い正しく服用することが大切です。 なお、副作用や個人の体調に応じて使用方法が異なります。 抗凝固薬で副作用があらわれた場合は必ず医師に相談しましょう。 すぐに受診すべき脳梗塞の症状は「FAST」 脳梗塞の初期症状は「FAST」で覚えましょう。 「FAST」は、以下の4つの要素です。 F(Face: 顔) 顔面麻痺 A(Arm: 腕) 腕の麻痺 S(Speech: 言葉) 言語障害 T(Time: 時間) 発症時刻 脳梗塞の治療は「時間」が重要です。迅速な処置でその後の経過を大きく左右します。 FASTの症状があらわれたら、すぐに受診しましょう。 脳梗塞の前兆について詳しく知りたい方は、下記のコラムを参考にしていただけますと幸いです。 まとめ|脳梗塞は症状軽いうちに適切な検査・治療をしましょう 無症候性脳梗塞のような軽い脳梗塞は、無症状であったとしても後々悪化するリスクがあります。 早めの段階で適切な検査や治療を受けることで、脳梗塞のリスクが低減できるでしょう。 症状が軽いからと侮らずに、定期的な検査や受診を行うようにしてください。 当院「リペアセルクリニック」では、脳梗塞の後遺症改善や再発予防として再生医療を行っています。 気になる方は、当院の「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 症状軽い脳梗塞についてよくある質問 症状軽い脳梗塞は入院になりますか? 医師の判断により、発症の程度や合併症の有無を加味して入院を促される場合もあります。 とくに心房細動のような脳梗塞の引き金となる病気を持つ方の場合、予防もかねて入院が推奨されるケースがあるでしょう。 一方、症状が非常に軽い場合や基礎疾患がない場合は、通院による治療が選ばれる場合があります。 いずれにしても、医師の判断に従いましょう。 脳梗塞の治療法について詳しく知りたい方は、以下のコラムを参考にしていただけますと幸いです。 症状軽い脳梗塞を放置するとどうなりますか? 緊急の手術や治療は必須ではないものの、軽い脳梗塞の放置で、将来的に脳血管障害の進行や脳梗塞の再発、さらには認知症になるリスクが高まります。 そのため、脳梗塞が軽度の段階で早期発見と生活習慣の改善が大切です。 日常の習慣を見直し、医師の指導のもとで定期的な治療・検査を受けましょう。 参考文献一覧 (文献1) 四條克倫.脳卒中ガイドライン 2021(改訂 2023). 日大医誌 82 (6): 325–332 (2023) ,p325-33 (文献2) 有屋田 健一. 動脈硬化(どうみゃくこうか). e-ヘルスネット(厚生労働省)2024.7.18. https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-082.html,2024.12.26.
2025.01.24 -
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「陳旧性脳梗塞(ちんきゅうせいのうこうそく)と言われたけど、手術や治療は必要ないの?」「後遺症が出ないか心配......。」 陳旧性脳梗塞という病名が聞き慣れず、治療の必要性や再発リスクについて不安になる方も多いのではないでしょうか。 陳旧性脳梗塞とは「脳梗塞の痕」です。くも膜下出血や急性の脳梗塞のように早急の治療を行うことは少ないものの、再発するリスクが高いため、定期通院が必要となる場合もあります。 本記事では、陳旧性脳梗塞について詳しく解説します。本記事を参考に、陳旧性脳梗塞の診断後も再発予防に努めて健康寿命を延ばしましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、脳梗塞の後遺症改善や再発予防として再生医療を行っています。 気になる方は、当院の「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 陳旧性脳梗塞とは「脳梗塞になった痕」 陳旧性脳梗塞とは、いわゆる「脳梗塞」が起こった痕跡が脳内にある状態です。 脳梗塞が起こった部位の血管が詰まると、血流が止まります。その結果、脳細胞がダメージを受けて意識障害や麻痺など重篤な症状があらわれるのです。 適切な治療や時間の経過によって血流は回復する可能性もありますが、ダメージを受けた部分は脳内に痕跡として残ります。この状態が画像検査によって確認されるものが「陳旧性脳梗塞」です。 陳旧性脳梗塞は無症状のまま気づかれないケースもあり、健康診断や別の病気の検査中に偶然発見される場合があります。無症状であっても脳梗塞の再発リスクがあるため、注意が必要です。 定期的な検査や予防に努めることで、再発のリスクを低減できるでしょう。 陳旧性脳梗塞はCTとMRIでわかる 陳旧性脳梗塞は、画像診断技術で過去に脳梗塞を発症した痕跡を確認できます。とくにCTやMRIといった画像検査では、陳旧性脳梗塞の有無や程度が把握できるため、定期的な検査が大切です。 どちらにも特徴があり、両方の画像検査を受けることで正確に陳旧性脳梗塞があるかどうかがわかります。 本章で違いを把握し、定期的な検査を受けるようにしましょう。 MRI MRI(磁気共鳴画像)では、磁場と電波を利用して撮影します。脳内の詳細な構造がわかり、CTでは見逃されやすい小さな病変も検出可能です。 とくに、陳旧性脳梗塞による脳の損傷やその周辺の変化を高解像度で観察できる点が特徴です。MRIは、陳旧性脳梗塞の診断には欠かせないツールと言えるでしょう。 ただし、MRI検査ができる方には制限があります。 体内に金属が埋め込まれている 閉所恐怖症である 上記に該当する方はMRI診断を受けられないため、必ず医師に申し出ましょう。 CT CT(コンピュータ断層撮影)は、主にX線を使用して脳の断面を撮影する検査方法です。検査時間が10〜30分前後と比較的短く、高齢者や緊急性の高い状況ではすぐに診断できる手段として活用されています。 陳旧性脳梗塞の痕跡がCT画像に写ることがあるものの、新しい脳梗塞や小さな病変はCTで見つけにくい場合があります。そのため、MRIと併用で使用される場合が多いです。 陳旧性脳梗塞の主な原因は生活習慣病!今からできる予防法3選 陳旧性脳梗塞の主な原因は生活習慣病です。 基礎疾患の治療はもちろんのこと、以下3つの方法で生活習慣病や脳梗塞の予防ができます。 禁煙 減塩食や低脂質食 こまめの水分補給 上記を参考にして、今から陳旧性脳梗塞の予防を心がけましょう。 禁煙する 喫煙は脳梗塞の大きなリスク要因のひとつであるため、禁煙してリスクを低減することが大切です。 タバコの煙に含まれる有害物質には血管を傷つけ、血管が硬くなる「動脈硬化」の悪化や血管を狭める作用があります。また、喫煙は血の塊を作りやすい作用があるため、脳梗塞のリスクを高めるのです。 自力での禁煙が難しい方は、専門医に相談の上で禁煙外来の受診を考えましょう。 減塩食・低脂質食を心がける 塩分の過剰摂取は血圧を上昇させ、高血圧や脳梗塞のリスクを高めます。また、高脂質の食事は血中のコレステロール値を上げ、血管内に脂の塊を作る要因です。 脂質の高い食事を繰り返すことで、動脈硬化を進行させ脳梗塞のリスクが高まります。脳梗塞を予防するためには、減塩を意識した食事や脂質を控えた食事を心がけることが大切です。 今から予防できる食生活の改善方法の一例として、以下のような方法があります。 カリウムが豊富な食材(バナナやホウレン草など)を取り入れる 減塩タイプの調味料に切り替える 蒸す・ゆでるなど油の使わない方法で調理する 脂質の少ない食材(鶏ささみや白身魚など)を取り入れる 食事の改善が脳梗塞の予防につながります。今から食生活を見直してみてください。 こまめに水分補給をする 脱水症状は血液を濃縮させ、血栓ができやすい状態を作ります。そのため、こまめな水分補給を行うことで、血液の循環を促進して血栓の予防につながります。 とくに高齢者や糖尿病の方は脱水になりやすいため、意識的に水分を摂りましょう。 水分補給のポイントは、一日を通して少量ずつ水を飲むことです。飲み物としては水や無糖のお茶を選ぶようにしましょう。 陳旧性脳梗塞における病院での治療法 陳旧性脳梗塞の診断を受けた後は、以下のような脳梗塞の再発予防のための治療を行う場合があります。 定期的な検査 抗凝固薬の使用 リハビリ 専門医の指導のもと、適切な治療を受けて脳梗塞の再発予防に努めましょう。 1. 定期的な検査 陳旧性脳梗塞は、無症状であっても新たな脳梗塞や脳出血を引き起こすリスクを伴います。そのため、定期的な検査を受けて脳の状態を確認することが予防のポイントです。 継続して再発がないか定期的に検査することで、新しい症状やリスク因子を早期に発見・治療を行えます。 医師の指示があった際は、定期的な検査を怠らないように注意が必要です。 2. 抗凝固薬の使用 血管が再び詰まるのを防ぐために、必要に応じて抗凝固薬が処方されることがあります。 抗凝固薬は血液を固まりにくくして血栓の形成を防ぎ、脳梗塞の再発リスクを低減する効果が期待できます。 ただし、抗凝固薬の使用により副作用が出るリスクも否定できません。そのため、治療は医師の指示に基づいて行われ、副作用の有無を確認しながら調整される場合が多いです。 抗凝固薬が処方された際は用法を守って服用し、副作用があらわれたら早めに医師へ相談するようにしましょう。 3. リハビリ 陳旧性脳梗塞の後遺症が残っている場合、以下のようなリハビリが必要となります。 リハビリの方法 内容 運動療法 麻痺した部分を動かせるようになるための訓練 言語療法 発症前のように会話ができるようになるための訓練 作業療法 日常生活で必要な行動をひとりで行えるようになるための訓練 リハビリをつづけることで、後遺症を最小限に抑えられることが期待されます。 脳梗塞の後遺症を改善するリハビリについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしていただければ幸いです。 まとめ|陳旧性脳梗塞後は病院の治療や検査で再発予防しましょう 陳旧性脳梗塞は過去に発症した脳梗塞の痕跡であることを解説しました。 無症状であっても脳梗塞の再発は伴うため、予防に努めることが大切です。 専門医の指導のもと、定期的な検査や適切な治療・生活習慣の見直しで脳梗塞の再発を予防しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、脳梗塞の後遺症改善や再発予防として再生医療を行っています。 気になる方は、当院の「メール相談」もしくは「オンラインカウンセリング」にてお気軽にご相談ください。 メール相談 オンラインカウンセリング 陳旧性脳梗塞についてよくある質問 脳梗塞でも長生きできますか? 脳梗塞を経験しても、適切な治療と予防を行うことで、健康寿命を延ばすことが期待できます。 とくに早期の治療や定期的なリハビリの継続により、症状が改善するケースが多いです。 脳梗塞の診断を受けた後は定期的な通院とリハビリを欠かせないようにしましょう。 また、脳梗塞と似ている脳の病気として、くも膜下出血が知られています。 くも膜下出血の10年後の生存率について詳しく知りたい方は、以下のコラムを参考にしていただければ幸いです。 再検査や大きな治療は必要ですか? 陳旧性脳梗塞そのものに対して手術などの大きな治療が行われることは少ないものの、再発予防のために定期的な通院が大切です。 脳の状態を継続的に確認することで、新たにできた脳梗塞を早めに発見・治療ができます。 また、生活習慣病の治療も脳梗塞の再発防止に重要です。 生活習慣病を患っている方は、持病の治療に専念して脳梗塞の予防に努めましょう。 \まずは当院にお問い合わせください/
2025.01.24 -
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目の奥の痛みを感じてインターネットで検索すると「脳梗塞の前兆で目の奥が痛むことがある」という情報を見かけることもあるかもしれません。 一般的な眼精疲労の症状なのか、重大な病気の前兆なのか見分けがつかず、不安になる人もいるでしょう。 結論からいえば、ごく稀に脳梗塞をはじめとする脳の病気の初期症状として目の奥の痛みが出る場合があります。 ただし、ほとんどの場合は目の病気が原因です。目を休めて痛みが緩和される場合は、眼精疲労やドライアイなどの目の病気の可能性が高いと考えられるでしょう。 本記事では、脳梗塞からくる目の症状や、目の病気との見分け方について解説します。 本記事を参考に、目の奥の痛みの原因から適切な対処をとれるようになりましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、人体にもともとある「幹細胞」を利用した再生医療により、脳梗塞の治療が可能です。 メールやオンラインでの無料カウンセリングも実施しているので、気になる方はぜひ当院までご連絡ください。 「我慢できないほど目の奥が痛い」ときは脳梗塞の疑いもある 目の奥が痛む原因の多くは目の病気からくるものですが、我慢できないほどの痛みの場合は脳梗塞の疑いも否定できません。 本章では、一過性脳虚血発作(TIA)と脳梗塞の初期症状としてあらわれる目の症状について解説します。 目の奥の痛みは脳梗塞の「一過性脳虚血発作(TIA)」の可能性 目の奥の痛みが脳梗塞の初期症状としてあらわれる場合、一過性脳虚血発作(TIA)の可能性があります。 一過性脳虚血発作(TIA)とは、脳の血流が一時的に止まる状態です。一定時間脳梗塞のような手足のしびれやろれつが回らないなどの症状が続いたあと、多くは24時間以内に回復することが特徴です。(文献1) TIAは「脳梗塞の前兆」とも言われており、症状が回復しても早期に脳梗塞に移行するリスクが高いといわれています。 目の奥の痛みとともに手足のしびれや見えにくさも同時にある場合、一時的なものであっても脳神経外科や眼科での検査をおすすめします。 脳梗塞の原因と種類を詳しく知りたい方は、以下のコラムも参考にしてください。 脳梗塞が疑われる目の症状 脳梗塞が疑われる目の症状は、目の奥の痛みだけではありません。以下のような目の症状も、脳梗塞の初期症状としてあらわれる可能性があります。 症状 特徴 複視 物が二重に見える 視野欠損症 視界の一部が見えなくなる状態。 飛蚊症と間違われやすい 眼瞼下垂 瞼が垂れ下がってくる 視力障害 視界が白くぼやける 脳梗塞の前兆を詳しく知りたい方は、以下のコラムも参考にしてください。 脳梗塞と眼の病気の見分け方は「しびれ・麻痺があるか」 目の奥の痛みが脳梗塞によるものか、目の病気によるものかを判断するには「しびれや麻痺などの症状の有無」の確認が大切です。 脳梗塞の初期症状として、麻痺やろれつが回らないなどが脳梗塞の初期症状としてあげられます。一方で症状が軽度かつ痛みが目のみである場合は、眼精疲労やドライアイなど眼科の病気である可能性が高いです。 麻痺や言語障害がある場合は早急に救急車を呼び、軽い目の痛みのみの場合は眼科を受診しましょう。 目の奥が痛いのは「眼の病気」が多い! 目の奥が痛む原因は、脳梗塞より目の病気による場合が多いです。 代表的な目の病気として以下3つがあげられます。 眼精疲労 ドライアイ 視神経炎 特徴を詳しく知り、症状がつらい場合は眼科の受診も検討しましょう。 1:眼精疲労 眼精疲労は、目を酷使することで痛みやかすみなどを感じる症状です。眼精疲労でも目の奥が痛くなる可能性があります。 主に長時間のパソコンやスマートフォンの長時間使用が原因であるとされています。コンピュータを使用する50%以上が眼精疲労になる報告もあり、近年増えている病気です。(文献2) 眼精疲労かもしれないと感じた方は、こまめに画面から目を離して休めるようにしましょう。 2:ドライアイ ドライアイは涙の分泌不足や涙の質が原因で、目の表面が乾き痛みや不快感を伴う病気です。 原因はさまざまですが、以下がドライアイになる一因としてあげられます。 部屋の湿度が低い エアコンやストーブの使用 パソコンやスマートフォンの長時間使用 とくにパソコンやスマートフォンの使用によりまばたきの回数が減り、ドライアイになるリスクがあります。 ドライアイが疑われる場合は、意識的にまばたきの回数を増やす、加湿するなど対策を行って目の乾燥を防ぎましょう。 セルフケアにて症状が改善しない場合は、眼科を受診してみてください。 3:視神経炎 視神経炎は、目の神経の炎症により目の奥に痛みや視覚の異常があらわれる病気です。 自己免疫疾患の症状のひとつとしてあらわれる場合が多く、目を動かしたときに強い痛みを感じる場合もあります。(文献2) 視神経炎はセルフケアでは治りにくく、病院での治療が必要です。視神経炎が疑われる場合は、早期に眼科で検査を受けるようにしましょう。 目の奥が痛いときに効果的な対処法3選 目の奥が痛いときに効果的な対処法として、以下の3つがあります。 目を閉じて休める 目を温める 症状に合った目薬を使用する 「麻痺」や「言語障害」など、脳梗塞の症状がない目の奥の痛みの場合は、本章で紹介する方法を試してみてください。 1:目を閉じて休める 目の使いすぎによる眼精疲労やドライアイが原因である場合は、目を閉じて休めると、痛みの軽減が期待できるでしょう。 仕事などでどうしても画面を長時間見なければならない方は、1時間ごとに数分間目を閉じてこまめに休めると効果的です。 とくに長時間パソコンを使うデスクワーカーや普段スマホを使用する方は、意識してこまめに目を閉じて休めましょう。 目を閉じて休めても改善が見られない場合は、眼科の受診を検討してください。 2:目を温める 眼精疲労やドライアイが原因で目の痛みが表れている場合は、以下のような方法で目を温めてみてください。 蒸しタオルを目元にのせる ホットアイマスクを使用する 入浴時に温かいシャワーを目元に優しく当てる 目を温めると血行が促進され、目の筋肉が緩むため目の痛みの緩和が期待できるためおすすめです。 ただし、目が充血している場合は炎症が起こっている可能性があります。温めると悪化するリスクがあるため、充血時は冷やして様子を見ましょう。 3:症状に合った目薬を使用する 目の奥の痛みの原因がわかっている場合は、症状に合った目薬を使用してみても良いかもしれません。 たとえば、眼精疲労が原因であれば疲れ目に効果のある成分が含まれた目薬を、ドライアイの場合は潤い成分が含まれた目薬が効果的です。市販の目薬もあるため、ドラッグストアで探してみてください。 ただし、症状に適した目薬がわからなかったり、市販の目薬を数日使用しても改善されなかったりする場合は、眼科を受診するようにしてください。 まとめ|目の奥が痛い症状から脳梗塞を早期発見しましょう 目の奥の痛みが激しい、手足の麻痺やろれつが回らないなどいつもと違う症状があると脳梗塞の疑いがあります。目の奥の痛み以外の症状に目を向けて、脳梗塞の疑いがある場合は早めに受診するようにしましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、人体にもともとある「幹細胞」を利用した再生医療により、脳梗塞の後遺症や再発予防に効果が期待できる治療を行っています。 メールやオンラインでの無料カウンセリングも実施しているので、気になる方はぜひ当院までご連絡ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 目の奥が痛い症状についてよくある質問 頭痛でも目の奥が痛くなりますか? 以下の頭痛により目の奥が痛くなる可能性があります。 片頭痛 緊張型頭痛 群発頭痛 上記は、目の周囲の神経に異常をきたして頭や目の痛みが生じている可能性があります。頭痛と目の奥の痛みが頻繁に続く場合は一度頭痛専門外来に相談してみると良いでしょう。 頭が痛いときの対処法について詳しく知りたい方は、以下のコラムを参考にしてください。 目の奥が痛い症状が出る危険な病気はありますか? 脳梗塞以外にも、以下のような重篤な病気の前兆として目の奥が痛い症状があらわれる可能性があります。 くも膜下出血 脳出血 急性閉塞性緑内障 脳腫瘍 など 脳梗塞と同様、上記の病気は目の奥の痛みに加えて視力低下や意識障害などの症状を伴う場合が多いです。 激しい目の奥の痛みが続いたり、他の症状も伴う場合は医療機関で検査を受けるようにしましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による脳梗塞の治療を行っています。詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。 参考文献一覧 文献1 David E. Levy, MD. How transient are transient ischemic attacks?.Neurology.May 1, 1988.38 (5) 674 文献2 Sheppard, A.L., & Wolffsohn, J.S. (2018). Digital eye strain: prevalence, measurement and amelioration. BMJ Open Ophthalmology, 3.
2025.01.24 -
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こめかみの痛みが続き「脳梗塞だったらどうしよう……」と悩んでいませんか。 こめかみは脳にも近い部位であり、大きな病気なのではないかと不安になりますよね。 結論、こめかみが痛いだけであれば、脳梗塞の可能性は低く、偏頭痛や緊張性頭痛といった「一時性頭痛」である可能性が高いです。 ただし、会話ができない症状や手足のしびれも伴う場合は、脳梗塞の可能性も否定できません。こめかみの痛み以外の症状もみられる場合は、早めに医療機関を受診することをおすすめします。 本記事では、こめかみの痛みや原因、脳梗塞の関係性や受診のサインについて詳しく解説します。 記事を参考に、自分のこめかみの痛みが脳梗塞の症状なのかを見極め、受診すべきかどうか検討しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、脳梗塞の後遺症改善や再発予防として再生医療を行っています。可能です。 メール相談またはオンラインカウンセリング にて無料相談を受け付けています。気になる方はお気軽にご相談ください。 こめかみが痛いだけなら脳梗塞の可能性は少ない こめかみが痛む原因の多くは、偏頭痛や緊張型頭痛などの「一次性頭痛」と呼ばれるものです。 脳梗塞による頭痛(二次性頭痛)が発生する場合手足のしびれやろれつが回らないなど他の症状もあらわれることが多くあります。 よって「こめかみが痛い」のみの症状の場合は脳梗塞を強く疑う必要はありません。 ただし症状の程度や頻度によっては注意が必要です。 普段よりも激しい頭痛の場合は、脳梗塞の可能性も否定できないため、すぐに受診するようにしてください。 脳梗塞の前兆について詳しく知りたい方は、以下のコラムも参考にしていただけると幸いです。 こめかみが痛くなる主な原因3つ こめかみが痛くなる主な原因は、以下の3つです。(文献1) 偏頭痛 緊張型頭痛 群発頭痛 頭痛のタイプによって原因が異なるため、それぞれの症状や特徴を知り、自分の頭痛が上記にあてはまるかどうか確認してみてください。 1:ズキズキ痛む「偏頭痛」 偏頭痛の特徴は、頭の片側が脈に合わせて「ズキズキ」と痛む症状です。 偏頭痛の一因として、以下があげられます。 ストレス 睡眠不足 ホルモンバランスの乱れ など 光や音などが刺激となり、脳血管が急激に拡張することで周辺の神経を刺激して痛みが起こります。痛みの悪化により吐き気が伴う場合も考えられるでしょう。 また、偏頭痛が脳血管疾患の中でも頻度の高い症状です(文献2)。 こめかみがズキズキするタイプの方は、まずは安静にして様子を見るようにしましょう。 痛みが強い場合は鎮痛剤の使用で改善も期待できます。 2:ギューッと痛む「緊張型頭痛」 こめかみがギューッと締め付けられるような痛みの場合は「緊張型頭痛」が考えられます。 緊張型頭痛は肩や首の筋肉が凝り固まって血流が悪くなることで引き起こされます。 とくに現代はパソコンやスマートフォンの長時間使用で緊張性頭痛が誘発されるケースが多く見られます。 長時間下を向いたり、パソコン作業をする姿勢が悪かったりすると緊張型頭痛が起こる原因になりかねません。 頭痛と一緒に肩や首のコリも感じる方は、ストレッチやマッサージなどを定期的に行いましょう。 3:激しい痛みが繰り返される「群発頭痛」 こめかみ目の奥に我慢できないほど強い痛みが繰り返される場合は「群発頭痛」の疑いがあります。 群発頭痛は、数週間から数カ月にわたり毎日同じ時間帯に繰り返し生じる特徴的な頭痛です。 また、以下の症状を伴うケースも多く見られます。(文献3 ) 目の充血 鼻づまり 発汗 まぶたの腫れ など 群発頭痛の原因は明確になっていませんが、脳神経や血管の異常が原因との諸説もあります。(文献1) セルフケアのみでの改善は困難なため、群発頭痛の可能性がある場合は、早めに専門医を受診して適切な治療を受けましょう。 こめかみの痛みだけじゃない!脳梗塞の可能性がある症状 こめかみの痛みが脳梗塞のサインである場合、以下のような他の症状を伴うことが多いです。 手足のしびれ ふらつき ろれつが回らない 嘔吐 目が見えにくい 顔の片側が動かしにくい など 偏頭痛のような一次性頭痛は神経や筋肉の異常が原因で起こります。 一方で二次性頭痛は脳梗塞のような他の病気が原因で引き起こされます。 一時性頭痛と二次性頭痛の違いや見分け方について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。 【要チェック】脳梗塞になりやすい人の特徴 脳梗塞になりやすい人の特徴として、以下6つがあげられます。 1.血圧高い人 2.血糖値が高い人 3.コレステロール・中性脂肪が高い人 4.心臓の病気を持っている人 5.腎臓の病気を持っている人 6.肥満体質の人 上記が引き金となり、脳梗塞にかかるリスクがあります。 該当する方は、脳梗塞のリスクがあることを理解して、治療に専念しましょう。 1:血圧が高い人 高血圧は脳梗塞を引き起こしやすい要素の1つです。 血圧が高いと血管が傷つき、血のかたまり(血栓)ができやすくなります。 できた血栓が脳血管を詰まらせると、脳梗塞を引き起こすリスクがあります。 血圧の上昇を防ぐためには、以下のような基本的な生活習慣の見直しが大切です。 塩分控えめの食事を摂る 定期的な運動を行う 飲酒や喫煙を控える これらを日常で心がけると、血圧が正常値に近づき、脳梗塞のリスクの低減も期待できます。 高血圧症の治療を行っている場合は、専門医の指示のもとで適切な治療を継続しましょう。 2:血糖値が高い人 生活習慣病のひとつである「糖尿病」も脳梗塞のリスクを高めます。 血糖値が高い状態が続くと、血管が硬くなり(動脈硬化)、血流が妨げられます。 その結果脳梗塞のリスクが上がるため、糖尿病の方は血糖値の改善が大切です。 主に血液検査の項目にある「HbA1c」により治療の可否を判断する場合が多いです。 「HbA1c」の目標値は以下のとおりです。(文献4) HbA1cの目標 HbA1c(%) 血糖値の正常化 6.0未満 合併症予防 7.0未満 治療が困難な場合 8.0未満 血糖値を正常に保つためには生活習慣を整えるほか、専門医の指示に従って治療薬を継続することが大切です。 3:コレステロール・中性脂肪が高い人 悪玉コレステロール(LDLコレステロール)と中性脂肪(TG)の数値が高い人も注意が必要です。 血液中のコレステロールや中性脂肪が増加すると、血管内に脂質が蓄積され、血管が詰まりやすくなります。その結果、脳梗塞になる可能性も否定できません。 とくに以下の脳梗塞がコレステロール・中性脂肪の高値が原因となり、引き起こされます。(文献5) 脳梗塞の種類 詳細 アテローム血栓性脳梗塞 大きな脳血管が詰まる ラクナ梗塞 細い脳血管が詰まる 健康診断でコレステロールの数値を指摘された場合は、食生活の改善や定期的な運動を行いましょう。 4:心臓の病気を持っている人 心房細動や心筋梗塞などの心臓の病気を持っている人も、脳梗塞のリスクが高いといえます。 心臓の病気により、通常は一定のリズムで動いている心臓が不規則になると、血栓ができやすくなります。 この血栓が脳血管に詰まることで脳梗塞を引き起こすのです。 心臓の病気が原因で起こる「心原性脳梗塞」は、脳梗塞の中でも最も重症と言われています。そのため、早期の心臓病の治療や予防が大切です。 専門医により適切な治療を行えば、脳梗塞になるリスクを半数以上減らせることがわかっています。心臓の病気の治療中の方は、定期的な受診と治療を怠らないようにしましょう。 5:腎臓の病気を持っている人 慢性腎臓病(CKD)の人は、脳梗塞のリスクが高くなります。(文献6) 腎臓の機能が低下すると血圧コントロールや老廃物の排出ができなくなり、血管に負担がかかります。そのため、動脈硬化が進行し、脳梗塞のリスクを高めるのです。 腎機能の指標となる数値(糸球体ろ過率:GFR)の低下やタンパク質尿の存在も脳卒中の発症リスクを高める要因です。 腎臓病と診断された方は、専門医の指示で塩分控えめの食事や血圧管理など悪化を防ぎましょう。 6:肥満体質の人 肥満は前述した高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病を引き起こす一因です。 生活習慣病のリスクが上がることで、間接的に脳梗塞のリスクを高める可能性があります。 肥満には以下2種類のタイプがあります。(文献7) 肥満のタイプ 詳細 内臓脂肪型肥満(リンゴ型) 腹部に脂肪が蓄積 皮下脂肪型(ナシ型) 体の下半身(お尻や太ももなど)に脂肪が蓄積 とくに内臓脂肪型肥満の方は生活習慣病になりやすいため、注意が必要です。 肥満気味の方は無理のない範囲で食生活や運動の改善を心がけてみてください。 このほか、もやもや病でも脳梗塞のリスクがあります。詳しく知りたい方は、下記のコラムを参照してください。 【脳梗塞以外】こめかみが痛むときに考えられる危険な病気 こめかみの痛みが生じる脳疾患は、脳梗塞だけではありません。以下の脳疾患によりこめかみの痛みが生じる場合もあります。 脳疾患 頭痛の特徴 くも膜下出血 今までに経験したことがないほどの激しい痛み 脳腫瘍 弱い頭痛から激しい頭痛へ移行 側頭動脂炎 こめかみの激しい痛みで、押すと圧痛がある 急性硬膜下出血 何かにぶつかったような激しい痛み 上記の脳疾患も、脳梗塞と同様に意識障害や麻痺など他の症状を伴う場合があります。 「ただの頭痛だから」と侮らずにいつもと違う感じがしたらすぐに受診しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、脳卒中の後遺症や再発予防として再生医療を提供しています。詳しく知りたい方は、下記のぺージをご覧ください。 こめかみが痛いときにできる5つのセルフケア こめかみが痛い症状を軽減するためには、原因に応じた適切なセルフケアが効果的です。 具体的な方法は以下のとおりです。 頭痛の種類 セルフケア 偏頭痛 ズキズキする部分を冷やす 暗室で横になって休む 緊張型頭痛 首や肩のこりも感じたら温める 定期的な運動をする スマホの使用を控える 偏頭痛や緊張型頭痛といった一時性頭痛は、これらのセルフケアによって改善が期待できます。こめかみの痛みで悩んでいる方は、本章で解説している方法を実践してみてください。 1:【偏頭痛】ズキズキする部分を冷やす 偏頭痛の場合は、痛みがあるこめかみの部分を冷やすと改善する可能性があります。そのため、患部を冷やすことで広がった血管が収縮し、頭痛の緩和が期待できます。(文献1) 片頭痛の方は保冷剤や氷をタオルで包み、患部に数分間当ててみてください。 ただし、長時間冷やし続けると凍傷のリスクもあるため注意が必要です。 「冷やし過ぎた」と感じた場合は、一旦保冷剤を皮膚から離して休ませましょう。 2:【偏頭痛】暗室で横になって休む 偏頭痛は、光や音に敏感になっている状態です。そのため、暗室で横になりゆっくり休むようにしましょう。(文献1) 暗室で休むときが難しい場合は、以下の方法で光や音を遮ることもおすすめです。 遮光カーテン アイマスク 耳栓 など スマホやパソコン、テレビなどのブルーライトも偏頭痛を悪化させる一因です。頭痛が治まるまで、スマホの使用も避けるようにしましょう。 3:【緊張型頭痛】首や肩のこりも感じたら温める 首や肩の筋肉が緊張して凝り固まり、血行が悪化すると緊張型頭痛が引き起こされます。 そのため、温めることで筋肉をほぐすと、血行と頭痛の改善が期待できるでしょう。 緊張型頭痛の方の場合は、以下の方法で首や肩を温めると効果的です。 蒸しタオルを凝っている部分にあてる 湯船にゆっくりつかる など 首や肩の凝りとともに頭痛も解消される可能性があるため、ぜひ実践してみてください。 4:【緊張型頭痛】定期的な運動をする 緊張型頭痛になる一因として、運動不足も考えられます。思い当たる方は、日常的に軽い運動を取り入れてみましょう。 体を動かすことで血行が良くなり、頭痛の緩和が期待できます。 また、運動は継続が大切です。1時間ランニングするなどはハードルが高くなり、途中でやめてしまう可能性があります。 ウォーキングやストレッチなど、手軽で始めやすい運動がおすすめです。 無理のない範囲で、運動を習慣化しましょう。 5:【緊張型頭痛】スマホの使用を控える 長時間にわたるスマホの使用は、猫背やうつむき姿勢が続くため肩こりや頭痛の原因になります。 また、ブルーライトを浴びることで目の疲れや頭痛の悪化も考えられます。 こまめに画面から目を離して目を休ませることが大切です。 さらに、猫背の自覚がある方はスマホを使用する際に姿勢を正すように気をつけましょう。 また、頭の痛みはツボ押しでも改善されることが期待できます。詳細を知りたい方は下記のコラムも参考にしてください。 こめかみが痛いとき受診すべきサイン こめかみが痛いときに以下の症状がある場合は、すぐに受診しましょう。 手足のしびれ めまい ろれつが回らない 今までにない激しい頭痛 上記の症状は脳梗塞の初期症状として知られています。 脳梗塞の場合は治療が早いほどその後経過が良好となり、後遺症のリスクも下げられます。 また、群発性頭痛の場合も病院での治療が効果的です。群発頭痛の場合も早めに受診するようにしましょう。 脳梗塞の前兆は以下の記事でも解説しています。こめかみの痛みで脳梗塞かどうか不安な方はあわせてチェックしてみてください。 まとめ|こめかみが痛い症状と不安から解放されましょう こめかみの痛みのみの場合は、脳梗塞であるリスクは低いと考えられます。 しかし、手足のしびれやろれつが回らないなどの症状を伴う場合は、脳梗塞の可能性があるため迷わずすぐ受診するようにしてください。 当院「リペアセルクリニック」では、再生医療による脳梗塞の後遺症改善や再発予防治療を行っています。 もしすでに違和感があるなら、悩まず当院のメール相談もしくはオンラインカウンセリング にてお気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ こめかみの痛みで脳梗塞を疑うときによくある質問 脳梗塞の前触れ症状は? 脳梗塞の症状は突然あらわれることが多いため、以下のような前兆症状に注意が必要です。(文献8) めまい 激しい頭痛 ろれつが回らない症状 手足のしびれ ふらつき など 脳梗塞の早期発見・早期治療はその後の経過を大きく左右するため、些細な変化も見逃さないようにしてください。 脳梗塞の前兆のチェックリストを詳しく見たい方は、下記のコラムを参考にしてください。 脳梗塞になる前に予防できることは? 脳梗塞の危険因子となる高血圧や糖尿病などを改善・予防するためには、生活習慣の改善が大切です。 以下のように生活習慣を改善すると、脳梗塞の予防につながります。 塩分や糖分を控えめにした食事 禁煙 適度な運動 飲酒 など ひとつでもできそうなことを、ぜひ日常生活に取り入れてみてください。 脳梗塞の予防について詳しく知りたい方は、以下のコラムを参考にしていただけますと幸いです。 右のこめかみだけが痛むのはなぜですか? 片側のこめかみだけが痛む場合は、片頭痛の可能性が高いと考えられます。 片頭痛は片側のみの頭痛であることが多く、めまいや吐き気を伴うこともしばしばあります。 光や音に過敏に反応して悪化するケースもあるため、片側だけの頭痛の場合は暗室でゆっくり休みましょう。 片頭痛の原因としてはストレスや不眠、ホルモンバランスの乱れなどの生活習慣も考えられます。 片頭痛でお悩みの方は、一度自分の生活習慣を見直してみると良いでしょう。 (参考文献一覧) 文献1 日本脳神経学会 日本頭痛学会 日本神経治療学会 頭痛の診療ガイドライン2021., 医学医院, 2021p473 文献2 竹島多賀夫.片頭痛と睡眠. 神経治療 Vol. 39 No. 4(2022), p564-568 文献3 群発頭痛. 日本頭痛学会. https://www.jhsnet.net/ippan_zutu_kaisetu_04.html, 2024.12.18. 文献4 日本糖尿病学会 糖尿病診療ガイドライン2024,南江堂, 2024.p27-35 文献5 北川 一夫,脂質異常症と脳卒中.慢性腎臓病(CKD)と脳卒中 . 脳卒中36: 144–146, 2014, 文献6 勝又 俊弥.慢性腎臓病(CKD)と脳卒中 . 脳卒中 36 巻 2 号(2014:3), p120-124 文献7 肥満と健康e-ヘルスネット,2019.12.17,https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-001.html.2024.12.18 文献8 脳血管障害・脳卒中,2023.4.26.7,https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-006.html,.2024.12.18
2025.01.24 -
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閃輝暗点から脳梗塞になる確率が知りたい。 閃輝暗点が出たらどうしたら良いのだろう? この記事を読んでいるあなたは、「閃輝暗点」と脳梗塞の関係について、不安に思っているのではないでしょうか。 「受診の目安や受診先を知りたい」と思っているかもしれません。 結論、閃輝暗点が脳梗塞の前兆となる可能性はあります。過度に恐れる必要はありませんが、脳梗塞だった際のリスクを考えて受診をおすすめします。 本記事では、閃輝暗点が脳梗塞の前兆である確率や、脳梗塞だった場合の症状や治療法などを詳しく説明します。記事を最後まで読めば閃輝暗点と脳梗塞の関係がわかり、適切な対処ができるでしょう。 閃輝暗点が脳梗塞の前兆である確率は低い 調査自体が少なく、公的な統計は取られていませんが、閃輝暗点が脳梗塞の前兆である確率は低いでしょう。 しかし、今までの研究から脳梗塞の前兆として閃輝暗点があった人がいたのも事実です。脳梗塞は早めに受診すれば、悪化を防げるケースもあります。不安がある場合は、脳神経外科へ受診しましょう。 脳梗塞の前兆については以下の記事で詳しく解説しているので、気になる方はチェックしてみてください。 【症状例】閃輝暗点から脳梗塞を発症した2つのケース 閃輝暗点から脳梗塞になる際は、片頭痛発作の後になるパターンと頭痛なしで脳梗塞になるパターンが考えられます。 閃輝暗点が脳梗塞の前兆だったケースは以下2つのケースです。 閃輝暗点から片頭痛になり脳梗塞を発症する 頭痛のない閃輝暗点から脳梗塞を発症する 本章を参考に、自分の症状と照らし合わせてみましょう。 ケース1. 閃輝暗点から片頭痛になり脳梗塞を発症する 閃輝暗点とは、片頭痛の前兆の1つです。ギザギザ・ジグザグ状の光が視界にあらわれて見えにくくなり、数十分でおさまるケースが多く見られます。(文献1) 前兆のある片頭痛は、以下のように脳梗塞のリスクを増加させる可能性があるといわれています。(文献2) 45歳未満の前兆のある片頭痛患者(女性)は、脳梗塞の発症リスクが2倍 50歳未満の前兆のある片頭痛患者(女性)は、年12回より多い片頭痛発作があると脳梗塞の発症リスクが2~10倍 また、喫煙する人や経口避妊薬を服用している人は、脳梗塞の発症リスクが7〜9倍になるともいわれています。 もともと、若い人が脳梗塞になる確率は非常に低いのですが、閃輝暗点(前兆)のある片頭痛を持つ人はリスクが2倍以上になるのです。 閃輝暗点が出た後の片頭痛発作の様子や、全体的な体調がいつもと違う場合は、すみやかに受診しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、片頭痛後に起きた脳梗塞について再生医療(幹細胞治療)をおこなっています。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けています。どうぞ気軽にお問い合わせください。 \まずは当院にお問い合わせください/ また、片頭痛を含む頭痛の危険性については、以下の記事も参考にしてください。 ケース2. 頭痛のない閃輝暗点から脳梗塞を発症する 閃輝暗点の原因は、「脳の血流減少が関与する」という説が現在有力とされています。(文献3) そのため、脳の「後頭葉」で脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA:24時間以内に症状はなくなるが、その後脳梗塞になる可能性が高い病気)が起きると、脳の血流が悪くなり閃輝暗点が出る可能性があります。(文献4) 脳の部位「後頭葉」は、目からの情報を処理する部位です。そのため、異常が起こると、「視野が欠ける」「見え方がおかしくなる」などの視覚異常が起こります。(文献5) 頭痛のない閃輝暗点が起きた場合、問題ない症状なのか脳梗塞なのかを自分で判断するのは困難です。脳梗塞であった際のリスクを考え、受診して脳の状態を確かめることをおすすめします。 【脳梗塞?】閃輝暗点が起こったらどうする?受診の目安とその後の流れ 閃輝暗点が起こっても、自分の状態を確認して適切に受診すれば、脳梗塞の重症化をはじめとする健康上のリスクを下げられます。 本章の内容をもとに、閃輝暗点が起きた場合の受診の目安や受診先を理解しておきましょう。 受診の目安は「麻痺や痺れがあるか」 片頭痛の前兆としていつもあらわれる症状と今回の閃輝暗点が同じなら、手持ちの片頭痛治療薬で対応しましょう。 しかし、以下の場合は脳梗塞の可能性があるため、受診をおすすめします。 閃輝暗点がはじめて出た 閃輝暗点の頻度が増えている 閃輝暗点に加えて麻痺や痺れがある 閃輝暗点に加えて目や顔面の痛みがある 症状が急激に悪化したり強く出たりする場合は、脳梗塞がすでに起きている可能性も考えられます。救急車での受診も検討してください。 受診先は眼科ではなく「脳神経外科」 閃輝暗点は、「目」ではなく「脳」が原因で起こる症状です。 そのため閃輝暗点の受診先は、眼科ではなく脳神経外科となります。片頭痛で定期的に通院しているならかかりつけの医療機関、かかっている医療機関がない場合は最寄りの脳神経外科を受診しましょう。 ただし、はじめて閃輝暗点が出た場合は「視野が狭くなった」「目がチカチカする」などと感じて眼科を受診する人もいます。 その場合、眼科では網膜に異常がないかを確かめ、必要に応じて脳神経外科に紹介するケースが一般的です。 CTやMRIで脳梗塞かを判定する 脳神経外科では、閃輝暗点が脳梗塞の前兆なのかを確かめるために、以下のような検査をおこないます。 問診/診察:症状の経過を聞き取り、麻痺やしびれ、しゃべりにくさなどがあるかを確認する 頭部CT:X線を使用した脳の輪切り画像を撮影し、脳内に出血があるかを確認する 頭部MRI:磁力を使って脳の輪切り画像を撮影し、急性期の脳梗塞があるかを詳しく確認する 頭痛やしびれ、麻痺などのない閃輝暗点のみなら、実際は何の問題もないケースが多くを占めます。 しかし、脳梗塞を見逃すと悪化して後遺症につながるケースもあるため、慎重な検査がおこなわれます。 MRI検査の所要時間や検査を受ける際の注意点は、以下の記事で解説しているのでチェックしてみてください 脳梗塞であった場合は「血栓を取り除く治療」をおこなう 検査で脳梗塞が見つかった場合は、すみやかな治療をおこないます。 代表的な脳梗塞の治療法は、以下のとおりです。 血栓溶解療法(t-PA治療) 血管内治療(血栓回収療法) 抗血栓療法(内服治療) とくに血栓溶解療法は、発症後4.5時間以内と早い時期に治療を始める必要があります。 治療が遅れると、脳の血流が長い時間滞り、失われる脳組織も増加します。そのため、早い治療開始が非常に重要です。 脳梗塞の治療については、以下の記事で詳しく解説していますのであわせてご覧いただければ幸いです。 後遺症の治療には「機能回復のリハビリ」が必要 治療をおこなっても後遺症が出た場合、機能が低下した部位のリハビリをおこないます。 時期の目安とよく行われるリハビリ内容は、以下のとおりです。 時期 時期の目安 よくおこなわれるリハビリ内容 急性期 脳梗塞発症~入院中 バランス保持 歩行訓練 飲み込み訓練 回復期 発症後3~6カ月 生活動作の訓練 運動機能の回復訓練 維持期 退院後 生活動作の訓練 運動機能の回復訓練 脳梗塞で失われた機能の程度により、必要なリハビリは異なります。 脳梗塞後のリハビリについては、以下の記事もぜひ参考にしてください。 脳梗塞を予防する2つの対策 普段からできる脳梗塞の予防策としては、以下2つがあげられます。 高血圧を防ぐ 片頭痛をコントロールする 脳梗塞になると、脳の機能低下による麻痺やしびれなどが残りがちです。本章の内容をもとに脳梗塞のリスクを軽減させましょう。 高血圧を防ぐ 脳梗塞の原因疾患でもっとも多いのは、「高血圧」といわれています。 そのため、脳梗塞のリスクを下げるには、適切な血圧の維持が大切です。 高血圧の予防には、以下を心がけると良いでしょう。 塩分を控える 禁煙する ストレスを溜めない 運動して肥満を防ぐ 規則正しい食生活を送る 腹八分目にとどめ、食べすぎによる肥満を防ぐ 脳梗塞の発症予防については、以下の記事も参考にしてください。 片頭痛をコントロールする 閃輝暗点をはじめとする「前兆のある片頭痛発作」がある女性は、脳梗塞のリスクが高いことがわかっています。(文献2) そのため、発作予防薬が処方されている人は正しく服用し、発作を起こさない生活を送るように気をつけましょう。 また、以下のものは片頭痛に関連する可能性があるとされています。(文献6) 空腹 運動 月経周期 天候の変化 光・におい・音・温度差 睡眠の乱れ(寝不足・寝すぎ) 食べ物(チョコレート・ナッツ・ワインなど) ストレス(ストレスを感じる・ストレスから解放される) 個人差がありますが、複数の要因が発作に関わるケースが多く見られます。 閃輝暗点の後に片頭痛発作が出る人は、正しい頭痛コントロールが生活の質の向上につながるでしょう。 まとめ|閃輝暗点から脳梗塞になる確率は低いが念のため受診しよう 閃輝暗点から脳梗塞になる確率は低いのですが、問題ない症状なのかを自分で判断することは困難です。 脳梗塞だった場合、治療が遅れると症状の悪化リスクが高まるため、不安な閃輝暗点があらわれた際は早めに脳神経外科を受診しましょう。 当院「リペアセルクリニック」では、脳梗塞後の治療として再生医療(幹細胞)をおこなっています。再生医療は、脳梗塞によってダメージを受けた脳細胞の修復や麻痺の改善、リハビリ効果の向上などに効果が期待できます。 再生医療へのご質問・ご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けております。気になる点がありましたら、どうぞ気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 閃輝暗点と脳梗塞の確率についてよくあるQ&A 閃輝暗点から脳梗塞になる原因はスマホですか? 閃輝暗点は脳の血流低下が原因で起こるため、スマホが直接的に閃輝暗点や脳梗塞を起こす可能性は低いと考えられます。 しかし、以下のようなパターンでは、スマホの使用が閃輝暗点や脳梗塞へ間接的に影響する可能性はあるかもしれません。(文献6) スマホの光から片頭痛発作が起こり、脳梗塞になる 疲れているときにスマホを操作し、片頭痛発作から脳梗塞になる 悪い姿勢でのスマホ操作が続き、脳を含めた全身の血流が低下する 操作姿勢やタイミング、使用時間などを見直し、適切なスマホ使用を心がけましょう。 閃輝暗点を放置するとどうなりますか? 閃輝暗点が片頭痛の前兆だった場合、その後頭痛発作が起きると考えられます。 また、閃輝暗点が脳梗塞の前兆だった場合は、痺れ、言葉が出なくなるなどの症状が出る可能性もあるでしょう。 閃輝暗点が脳梗塞に移行するかどうかを自分で判断するのは困難です。不安を感じる場合は、受診すると良いでしょう。 頭痛がない閃輝暗点は危険ですか? 頭痛がない閃輝暗点が出た場合、危険な状態になりかかっている可能性があります。 頭痛がない閃輝暗点とは、「片頭痛以外の問題が脳内で起きている」という状態のためです。 実際は問題のないケースが多いのですが、閃輝暗点が脳梗塞の前兆である可能性は否定できません。 脳梗塞は早めの処置ができるかにより、予後が大きく変わります。頭痛がない閃輝暗点が出た場合は、脳梗塞の前兆ではないかを確かめるために受診するのが良いでしょう。 参照文献 文献1 片頭痛/片頭痛の治療|日本頭痛学会 文献2 脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2023|日本脳卒中学会 文献3 廣瀬真由,大沼学,佐藤恵美,斎藤渉,河西雅之,薄井紀夫,内海通,片頭痛発症中に動的量的視野検査を成功し、一過性暗点を記録できた一例,日本視能訓練士教会誌,第46巻,2017 文献4 Wijman CA, Wolf PA, Kase CS, Kelly-Hayes M, Beiser AS. Migrainous visual accompaniments are not rare in late life: the Framingham Study. Stroke. 1998 Aug;29(8):1539-43. doi: 10.1161/01.str.29.8.1539. PMID: 9707189. 文献5 脳について学ぼう2|環境省国立水俣病総合研究センター 文献6 頭痛の診療ガイドライン2021|日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会
2025.01.24 -
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肝硬変の食事療法|非代償期における食事の注意点 非代償期肝硬変の治療において、食事療法はとても重要です。 腹水や肝性脳症などの合併症の改善のためには、水分・塩分・糖分・タンパク質を控えた、バランスの良い食事が必要となります。以下で詳しく解説していきます。 https://youtu.be/zA8QdURHEQU?si=sxhDupVHSR8Ekpl7 肝硬変における食事療法の重要さ 肝硬変は、B型・C型肝炎ウィルス感染やアルコール、自己免疫性疾患などが原因となり、慢性的に肝細胞の破壊と再生が繰り返された末、線維化によって硬くなり、肝臓の機能が低下し、進行すると肝癌や肝不全となり、死に至る怖い疾患です。 肝硬変になると低栄養に陥ってしまうことが多く、この低栄養が生命予後に関わってくると報告されています。また、低栄養が問題視される一方で、肥満や過栄養を呈する患者さんもいます。肥満による糖代謝異常は肝臓での発癌率を上げるため、注意が必要です。 身体の状態に合わせた栄養制限や栄養付与を行い、バランスのとれた食事を摂取するのが「食事療法」です。 医療を受けるだけでなく、食事という日常生活の大事な要素を自ら見直すことで、肝硬変症状を改善させたり、進行を食い止められる可能性があります。 この記事では、非代償期肝硬変の食事療法を中心に説明していきます。必要な知識を学び、効果的な食事療法による治療を目指していきましょう。 非代償期肝硬変での栄養スクリーニング 非代償期肝硬変において、食事療法を始める前にまず栄養状態を評価し、どのような栄養介入が必要か検討されます。 肝硬変における重症度は、Child-Pugh分類を用いて判断します。 下記の表に記すように、肝硬変の合併症の程度や採血検査の結果を点数化し、重症度を評価します。 アルブミンはタンパク質量、ビリルビンは肝臓の機能を表す値、そしてプロトロンビン時間は血液を固める能力を示します。 5~6点なら軽度、7~9点は中等度、10~15点をなら重度とみなし、中等度以上は非代償性肝硬変となります。 Child Pugh 分類 判定基準 1点 2点 3点 アルブミン(g/dL) 3.5< 2.8〜3.5 <2.8 ビリルビン(mg/dL) <2.0 2.0〜3.0 3.0< 腹水 なし 軽度 コントロール可能 中等度 コントロール困難 肝性脳症(度) なし 1〜2 3〜4 プロトロンビン時間(秒、延長) (%) <4 (70<) 4〜6 (40〜70) 6< (<40) Child-Pughスコアによる重症度評価を欧州肝臓学会のガイドライン4)を参考に、以下の図にまとめ詳しく解説していきます。 図に登場するサルコペニアですが、これは筋肉量と筋力の低下を意味し、通常は加齢に伴って起こる現象ですが、肝疾患においては栄養状態や代謝異常によって年齢に関係なく起こりうるため、評価する際には年齢制限がありません。 中等度肝硬変の場合、次にBMIを評価し、その結果に応じて対応が変わってきます。 肥満(30≦)の場合、栄養評価とともに運動や生活習慣などライフスタイルへの介入、さらにサルコペニアの評価を行います。 BMIが低体重や肥満の基準に入らない18.5~29.9の場合、タンパク質量や全体の栄養状態を評価したのちに、低栄養リスクがどの程度か判断されます。 そしてBMIが低体重(<18.5)を示す場合、重度肝硬変と同様に低栄養リスクは高度となります。 低栄養リスクが軽度の患者さんに対しては、年に1回程度のフォローアップで良いとされます。 低栄養リスクが中等度の患者さんにおいては、より詳細な栄養評価によって低栄養の有無が判断されます。 低栄養リスクが高度の患者さんには、より詳細な栄養評価の他、サルコペニアの評価も同時に行われます。 低栄養がなければ年に1回程度のフォローアップとなりますが、低栄養やサルコペニアを認めた際には適切な栄養補給と適切なフォローアップが求められます。 さらに、図には記載されておりませんが、腹水やタンパク質減少による体液貯留を認める場合、身体の水分が適切である体重を密に検討していくこととなります。 非代償期肝硬変が引き起こす身体の変化 代償期には肝臓の機能がまだ保たれているため、合併症は基本的にみられません。 しかし、非代償期になると肝臓の働きが障害され、関連する他の臓器にも影響を及ぼし、全身に以下のような様々な合併症を引き起こします。 ※非代償期肝硬変とは:肝硬変が進行し、本来の肝機能を代償する(果たすことがことできない)ことができず、肝硬変としての症状が現れる状態 代表的な合併症の一例 黄疸 腹水、浮腫 門脈圧亢進症 食道静脈瘤 消化管出血 肝性脳症 肝性糖尿病 等 合併症とそれぞれに合った食事療法 代償期の食事療法の基本は主に以下の内容となります。 代償期の食事療法 健康的で規則正しい生活 バランスの取れた食事 便秘の予防 年齢や身体活動レベルに見合ったカロリー摂取 アルコールを断つ 生ものは避ける しかし、非代償期では症状に合わせて食事の工夫や調整を加えていかなければなりません。 食事療法で改善を見込める、あるいは悪化を予防できる合併症は、腹水・浮腫や食道静脈瘤、肝性脳症、肝性糖尿病となります。 これらの合併症が起きる機序とその合併症に見合った食事療法をそれぞれみていきましょう。 腹水や浮腫が生じる機序と食事療法 腹水はお腹の中にタンパク質を含んだ液が大量に貯留した状態をいい、浮腫は主に手足のむくみとして現れます。 肝臓はアルブミンと呼ばれるタンパク質を生成する働きを持ちますが、肝機能の低下とともにアルブミンも減少していきます。このアルブミンは血管内に水分を留める役割も担っているため、不足すれば水分は血管外へと漏れ、腹水や浮腫となって現れるのです。 また、体内を循環する血液量が減少すると、それを補おうと腎臓が水分やナトリウムを再吸収するのですが、それが腹水や浮腫を増悪させる原因となります。 腹水や浮腫に対する食事療法のポイント 上記の通り、腎臓での水分・ナトリウム再吸収が腹水や浮腫を悪化させています。 よって、食事療法で重要なのは塩分と水分を控えることです。 塩分は1日5~7g程度に抑えましょう。 具体的には、味噌や醤油などの調味料は減塩にし、かつ使用する量も控えなくてはなりません。塩味の代わりに、酸味や出汁、新鮮な食材そのものの風味を活かすような調理をしましょう。 外食や加工食品はどうしても塩分が多くなりがちなので、自炊が推奨されます。 汁物はスープに塩分が多く含まれるので、スープは飲まない方が良いでしょう。 腹水や浮腫:食事療法のポイント 塩分は1日5~7g程度に抑える 味噌や醤油などの調味料は減塩に 使用量のコントロールをする 酸味や出汁で塩味を代用する 外食や加工食品は控え自炊する 汁物は飲まないようにする 水分コントロールに関しては、すでに利尿薬を内服している方も多いかと思います。 塩分制限や利尿薬だけでは不十分と判断された場合は、身体に見合った水分量を示す体重(ドライウェイト) も参考にしながら、水分制限にも努めましょう。 ドライウェイトの設定には、In Bodyという身体に微弱な電流を流して体内の水分量や筋肉量などを測定する機器を用いたり、医療者が胸部レントゲン画像や浮腫の程度などをみて決定していきます。 食道静脈瘤が生じる機序と食事療法 食道静脈瘤は門脈圧亢進症の影響で生じる合併症です。 門脈は、腸管などの腹部臓器からの血流を集めて肝臓に戻す大きな静脈のことを指します。 肝硬変になると、組織の線維化で肝臓が硬くなり、血流が阻害され、結果として門脈の圧が上昇します。門脈圧亢進で肝臓を通れなくなった血流は、別の血管を通って食道や胃に逆流していきます。そうすると食道表面の静脈がうねって凸凹してコブ状になり、食道静脈瘤となります。 食道静脈瘤に対する食事療法のポイント 食道静脈瘤の治療法として、内視鏡的に血管を縛る方法が一般的です。しかし、食事療法で静脈瘤の破裂を防ぐことはできます。 食道静脈瘤破裂は吐血を引き起こし、時に大量出血で命を脅かす怖い疾患です。 食道は食べ物の通り道になっているので、その表面上にある膨らんだ血管に尖ったものや硬いものが当たると、破裂する可能性が出てきます。 そのため、硬い食べ物や刺激になるような食べ物はなるべく避け、調理する際にはやわらかく仕上げましょう。 例えば、せんべいや小魚のおやつ、ナッツ、骨のある魚、フランスパンなどは硬いので適しません。また、香辛料の多いカレーやコーヒーは刺激が強いので、避けるべきです。 食道静脈瘤:食事療法のポイント 硬い食べ物や刺激的な食べ物はなるべく避ける 調理する際にはやわらかく仕上げる 刺激の多いカレーやコーヒーは避ける 逆に好ましい食品は、茶碗蒸しや麺類(うどんやそうめんなど)、お米、プリン、ヨーグルトなどの消化しやすい柔らかい食べ物です。 肝性脳症が生じる機序と食事療法 タンパク質を消化する際に生成されるアンモニアという毒素は、通常は肝臓で代謝して無毒化し、体外に排出されます。 しかし肝機能が低下するとアンモニアは代謝されなくなり、毒素のまま身体に溜まっていきます。 血液中のアンモニア値が高くなり脳にまで達すると、脳の機能が損なわれ、肝性脳症となって様々な神経症状を引き起こします。 具体的には、性格・行動変化や睡眠障害、意識障害、ひどくなると昏睡状態になります。 肝性脳症に対する食事療法のポイント タンパク質を多く摂取するとアンモニアが生成されてしまうため、タンパク質の制限は肝性脳症の予防や改善につながります。 肉は肝性脳症を引き起こしやすくするので、大豆などの植物性タンパク質をメインに摂りましょう。 また、アンモニアは腸管で生成されるのですが、便秘になると腸管環境が乱れ、悪玉菌が増加します。そうするとアンモニアの増殖が起こり、結果的に肝性脳症も悪化します。よって、便秘を防ぐためキノコなどの食物繊維を積極的に摂ることが推奨されます。 肝性脳症:食事療法のポイント 大豆などの植物性タンパク質を摂る 便秘を防ぐためキノコなどの食物繊維を摂る また、肝硬変による低タンパク血症は、アミノ酸製剤で補います。 実は肝臓の他にも筋肉でタンパク質を生成することができるのですが、その際に必要なのが分岐鎖アミノ酸と呼ばれるもので、これは体内で産生できないので外から摂取する必要があるのです。 この分岐鎖アミノ酸製剤は、経口剤の他にも点滴があるので、経口摂取できない方でも大丈夫です。症状が落ち着いていれば、食事でのタンパク質摂取は0.5~1.0g/kg程度可能になるかと思います。上記の食事に気を付けながら摂取しましょう。 肝性糖尿病が生じる機序と食事療法 肝臓は糖代謝においてとても重要な役割を担っています。 腸管で吸収された糖は血流に乗って肝臓に届けられ、そのほとんどはグリコーゲンという物質に変換されたのち、エネルギー源として貯蔵されます。残りの糖は身体を巡り、血糖の維持のため筋肉や脂肪で利用されます。 肝硬変によって肝機能が低下すると、肝臓での糖代謝も障害され、糖がそのまま血液へ流れ込んでしまい、食後高血糖を引き起こします。 慢性的な高血糖はやがて血糖を正常に戻す能力に害を及ぼし、二次性の糖尿病が生じるのです。 肝性糖尿病に対する食事療法のポイント 食後の血糖が急激に上がらないよう、一度に大量に食べることは避け、少量の食事をこまめに摂るほか、時間をかけてゆっくり食べましょう。 また、砂糖の入った菓子類や果物、炭水化物は効率良く糖分が吸収されるため、控えなければなりません。 肝性糖尿病:食事療法のポイント 少量の食事をこまめに摂る 時間をかけてゆっくり食べる 菓子類や果物、炭水化物などの糖分を控える 夜食を食べた方がいい? 前項の肝性糖尿病の機序で述べたように、肝臓は糖分をエネルギー源に変換して貯蔵する役割を持ちます。しかし、肝機能の低下によってエネルギー源への変換ができなくなると、貯蔵もできなくなります。 よって、食事を摂らない就寝中にエネルギーが枯渇し、倦怠感やこむら返りなどの症状を生じることがあるのです。 これを予防するため、肝硬変患者さんには夜食療法が推奨されているのです。 カロリーの摂りすぎは良くないので、朝昼晩の食事を少し減らし、その分を夜食に回すのがポイントです。 大体200kcal程度で、メニューとしては例えば、 おにぎり一個+お茶 バナナ1本+牛乳 フレンチトースト+牛乳 等のすぐに栄養として吸収されるものが理想です。 まとめ・肝硬変の非代償期における食事療法は重要! 当サイトにて非代償期肝硬変での食事療法について知りたい情報は得られましたでしょうか。 低栄養や肥満の進行を食い止め、合併症を改善・予防する上で食事療法はとても重要です。しかし、食事療法を開始する前に、自分の疾患について理解し、知識として身につける必要があります。 さらに、医療者による評価や診断を経て、どのような治療介入が必要か見極める栄養スクリーニングも大切です。その時の症状や栄養状態に合わせて工夫や調整を行う必要があるので、適宜消化器内科の医師や栄養士とも相談しながら効果的な食事療法を目指しましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 参考文献一覧 Enomoto H, Ueno Y,et al. Transition in the etiology of liver cirrhosis in Japan : a nation- wide survey. J Gastroenterol. 2020;55;353-362. Plauth M, Bernal W, et al. ESPEN guideline on clinical nutrition in liver disease. Clin Nutr. 2019;38:485-521. Wu D, Hu D, et al. Glucose-regulated phosphorylation of TET2 by AMPK reveals a pathway linking diabetes to cancer. Nature. 2018;559:637-641. European Association for the Study of the Liver. EASL Clinical Practice Guidelines on nutrition in chronic liver disease.J Hepatol. 2019;70:172-193. ▼こちらもあわせてお読みください。
2024.06.18 -
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脳梗塞にはどんな合併症があるのだろう? 合併症が起きたらどうなるのかな。 この記事を読んでいるあなたは、脳梗塞にはどのような合併症が起こるのか、不安に思っているのではないでしょうか。「どのように治療されるか知りたい」と思っているかもしれません。 結論、脳梗塞には代表的な5つの合併症があります。各合併症は原因や症状が異なり、完全に防ぐのは困難です。 本記事では、脳梗塞の合併症について、種類や治療法、予防法を解説します。記事を最後まで読めば、脳梗塞の合併症についての基本的な内容がわかり、看護・介護にも役立つでしょう。 脳梗塞の代表的な5つの合併症 脳梗塞には、以下5つの合併症があります。 【発熱して熱が続く】体温調節障害 誤嚥性肺炎 脳や消化管からの出血 血管性認知症 サルコペニア 本章の内容をもとに、合併症の症状・概要を理解しておきましょう。 【発熱して熱が続く】体温調節障害 脳梗塞の合併症として、発熱が続く体温調節障害が起こることがあります。 体温は脳の中枢で管理されており、脳が障害を受けると体温調節中枢も障害され、発熱することがあるのです。 なお、重度の脳卒中の場合、発症から数時間後に大幅に体温が上昇するケースもあります。(文献1) 誤嚥性肺炎 誤嚥性肺炎とは、自分のつばや痰、食べ物などが、食べ物の通り道「食道」に入らずに、呼吸をつかさどる「気管」に入るために起こります。食べ物が気管に入ったときに細菌をいっしょに吸い込むことで、肺炎となるのです。(文献2) 誤嚥性肺炎は、脳梗塞の影響で飲み込み機能が落ちている方や、意識障害が起きている方によくみられます。 代表的な症状は、以下のとおりです。 発熱 咳 膿のような痰 しかし、「なんとなく元気がない」「食欲がない」など、呼吸に関係のないあいまいな症状のみが出るケースも珍しくありません。 脳や消化管からの出血 脳梗塞を起こした人は、再発を防ぐために「血液をサラサラにして詰まりにくくする薬」を服用するケースが多くあります。 しかし、血液をサラサラにする薬には、血管が詰まりにくくなる効果がある一方、脳や消化管(胃や腸)の出血が起こりやすくなる副作用もあります。 脳や消化管からの出血による健康上の不安点は、以下のとおりです。(文献3) 脳出血:麻痺の悪化や死亡のリスクがある 消化管出血:貧血によって全身状態が悪化するリスクがある 副作用はあるものの、血液をサラサラにする薬は脳梗塞の再発予防に欠かせない薬です。 医師・看護師・薬剤師による薬の説明をよく聞き、注意点を守ることが大切です。 血管性認知症 脳梗塞によって、「血管性認知症」という記憶の乱れや運動麻痺などの認知症があらわれるケースがあります。血管性認知症は、認知症の中でアルツハイマー型認知症に次いで2番目に多い病気で、おもな症状は以下のとおりです。(文献4) 認知症:実行機能障害や注意障害 非均一な高次機能障害:俗にいう「まだら認知症」 局所脳機能障害:運動麻痺、構音・嚥下障害、脳血管性パーキソニズム どのような症状が出るかは、脳梗塞によって機能が低下した脳の部位や、機能障害の程度によって異なります。 サルコペニア サルコペニアとは、全身の筋肉量が減り、筋力が低下する状態です。筋肉が落ちると寝たきりになりやすく、死亡リスクも高くなることがわかっています。(文献5) 脳卒中を発症して2週間たった状態では、45.5%の人がサルコペニアになっていたという報告もあるのです。 当院「リペアセルクリニック」では、脳梗塞を含む脳卒中に対する再生医療(幹細胞治療)をおこなっています。また、治療と並行して理学療法士、柔道整復師、鍼灸師などを含むチーム体制によるリハビリテーションも可能です。 ご質問やご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けています。どうぞ気軽にお問い合わせください。 脳梗塞の合併症が起こる原因は症状によって異なる 脳梗塞の合併症が起こる原因は、以下のとおりです。(文献6) 合併症の種類 原因 体温調節障害 視床下部の損傷 脳血流の病理学的変化 代謝異常 神経性炎症反応 誤嚥性肺炎 細菌感染(肺炎球菌・口の中の常在菌) 脳や消化管からの出血 血液をサラサラにする薬の効きすぎ 血管性認知症 脳梗塞による脳細胞のダメージ サルコペニア 寝たきりによる筋肉量の低下 それぞれの合併症は起こる原因が異なり、完全な予防は難しいのが現実です。 脳梗塞の合併症が起こったときの対処法 脳梗塞の合併症が起こったときのおもな対処法は、以下のとおりです。(文献2)(文献4)(文献7) 合併症の種類 対処法 体温調節障害 通常は解熱鎮痛薬で対処的に治療 誤嚥性肺炎 基本的には抗菌薬の投与をおこなう 場合によっては酸素を投与する 口腔ケアの徹底や飲み込む力を高めるリハビリにより、予防に努める 脳や消化管からの出血 血液をサラサラにする薬を一時的に中止する 血液製剤や血小板輸血等の投与を考慮する 脳内出血の場合は血圧を下げる出血を止める薬を投与する 血管性認知症 血圧コントロールや生活習慣の適正化による脳梗塞の再発予防が重要とされる 脳の循環をよくする薬を投与するケースもある 身体機能の低下を防ぐリハビリをおこなう サルコペニア リハビリをはじめとする運動療法をおこなう アミノ酸の摂取を増やす栄養療法をおこなう サルコペニアを防ぐために、早めからのリハビリをおこなう 脳梗塞の発症後は、合併症ができるだけ起こらないよう、薬の量や体調変化を慎重に観察しながら治療をおこないます。どの合併症も早めの対応が重要なため、気になる症状がある場合はすみやかに受診しましょう。 脳梗塞後のリハビリについては、以下の記事も参考にしてください。 まとめ|脳梗塞の合併症がみられたらすぐに受診しよう 脳梗塞は、「体温調節障害」「誤嚥性肺炎」「脳や消化管からの出血」「血管性認知症」「サルコペニア」などの合併症リスクがあります。 合併症を完全に防ぐのは困難なため、気になる症状がみられたらすぐに受診するようにしましょう。 当院「リペアセルクリニック」は、脳梗塞をはじめとする脳卒中に対して再生医療(幹細胞)をおこなっています。再生医療は、脳梗塞後の後遺症が改善する、リハビリ効果を高める、再発予防になるなどの効果が期待される治療法です。 再生医療へのご質問・ご相談は、「メール」もしくは「オンラインカウンセリング」で受け付けております。気になる点がありましたら、どうぞ気軽にご相談ください。 \まずは当院にお問い合わせください/ 脳梗塞の合併症についてよくある質問 脳梗塞になりやすい人の特徴は何? 脳梗塞の危険因子として「生活習慣病」が挙げられます。 高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、肥満などがリスクとなるため、健診で異常を指摘されている方は早めに治療を受けるようにしましょう。 脳梗塞になりやすい人については、以下の記事で詳しく説明しています。 脳梗塞の前兆にあたる症状は? 脳梗塞の前兆とは「急に手足や顔の麻痺やしびれが出る」「言葉が出てこない」などです。 これらの症状は時間が経つと改善するケースもありますが、「一過性脳虚血発作」といわれる脳梗塞の前兆の可能性があります。原因は、動脈硬化や心臓の病気などにより一時的に脳の血流が悪くなることです。 脳梗塞になる危険性があるため、一過性脳虚血発作がみられたらすぐに受診しましょう。 脳梗塞の前兆については、以下の記事も参考にしてください。 脳梗塞の合併症を予防する方法は? 現代の医学でも、合併症の完全な予防は困難です。合併症のリスクを下げるために、医師、看護師の指示を守り、適切な治療を受けましょう。 また、胃潰瘍の既往がある方は、胃酸の分泌を抑えるお薬を服用して消化管出血のリスクを下げる場合もあります。 参考文献一覧 文献1 Boysen G, Christensen H. Stroke severity determines body temperature in acute stroke. Stroke. 2001 Feb;32(2):413-7. doi: 10.1161/01.str.32.2.413. PMID: 11157175. 文献2 誤嚥性肺炎|日本呼吸器学会 文献3 重篤副作用疾患別対応マニュアル|出血傾向 文献4 猪原 匡史,血管性認知症,日本内科学会雑誌109:1519~1525,2020 文献5 田中 勝人,田中 健太,巨瀬 拓也,高橋 雅幸,釜﨑大志郎,大田尾 浩,急性期脳卒中患者のサルコペニアの有病率と特性,理学療法さが・第7巻第1号・21~27,2021年2 月 文献6 Gowda R, Jaffa M, Badjatia N. Thermoregulation in brain injury. Handb Clin Neurol. 2018;157:789-797. doi: 10.1016/B978-0-444-64074-1.00049-5. PMID: 30459041. 文献7 サルコペニア診療ガイドライン2017年度版|日本サルコペニア・フレイル学会
2023.04.19 -
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ある日突然起こる脳卒中にご注意!その症状と原因、予防法 脳卒中は、脳血管障害とも呼ばれる脳の重い病気です。 ケースによっては、からだを動かすのが不自由になる、言葉が出づらくなる、など後遺症が残ることも少なくありません。身近で脳卒中について話題になったこともあるでしょう。 この記事では、脳疾患である「脳卒中」にスポットを当てながら、病気の症状や原因、予防するための方法についてわかりやすく解説します。 脳卒中は、脳の血管障害によって発症する病気全般を指します! 脳卒中とは、脳の血管が詰まる、あるいは血管が裂けることで起きる脳の病気全般を指す言葉です。 例えば、腹痛と一口にいっても、下痢や便秘もあれば盲腸炎や大腸がんなど、原因となる病気はいくつも考えられるでしょう。 脳卒中には、大きく分けて次の 3 種類があります。 脳梗塞 脳出血 くも膜下出血 それぞれわかりやすく説明していきます。 脳梗塞 脳の血管が詰まる脳卒中の一種です。血管が詰まった先は血液の流れが悪くなるので、脳細胞が壊死していきます。 脳出血 脳の血管が、高血圧などにより内側から強い圧力がかかり、破けてしまう脳卒のことです。出血した血液が塊になって、脳が働かなくなります。 また、脳を圧迫するため、他の脳の部分にもダメージを与えます。 くも膜下出血 脳の太い血管にできた、動脈瘤というこぶが破れて起こる脳卒中のひとつです。 脳梗塞や脳出血は脳の中で起こりますが、出血した血液が脳の表面を覆って発症することがポイントです。 ここまでの説明を表にすると、以下のようなイメージです。 病名 病気の種類 病気が起きる原因 脳卒中 脳梗塞 脳の血管が詰まって血液が行き渡らなくなる 脳出血 脳の血管が切れて出血して、脳の細胞が壊死する くも膜下出血 脳の血管にできた「動脈瘤」(こぶ)が破けて、脳の表面を覆うように出血が広がる もうお分かりですね! この表からもわかるように脳梗塞とは、あくまで脳卒中といわれる病名の中にあって、その種類のひとつなのです。このあたりは、知っている人に取っては当たり前ですが、知らない人にとってはごっちゃになっている部分だと思います。 最近は、脳卒中より脳梗塞という病名が知られるようになったため、別々の病気と思っている人も少なくありませんが、実は同じ病気だということです。 脳梗塞は脳の血管が詰まる・狭くなることで起きる ここまで説明してきたように、脳卒中と脳梗塞は異なるものではなく、脳卒中という大きな病気のひとつの種類に脳梗塞がある、とわかりました。 そして、 脳梗塞は、脳の血管が詰まって血液の流れが悪くなり、脳の神経細胞が死んでいくことによって発症します。 脳の血管が詰まる原因は、血栓と呼ばれる血の塊です。 年齢とともに血管の動脈硬化によってできる血栓や、心臓にできる血栓が脳に移動して、脳の血管を詰まらせます。血管が詰まると脳に血液が行き渡らなくなって、酸素や栄養が届かなくなり、脳が壊死してしまうのです。 脳梗塞の状態が重いほど、後遺症が強く残りやすくなります。 このように、脳梗塞や脳出血といった脳卒中は、寝たきりや認知症、高次機能障害といった後遺症を引き起こす重大な病気なのです。 脳卒中は年齢に関係なく突然起きる病気 代表的な脳卒中によくある症状は次の 5 つです。 症状 半身がしびれたり、麻痺が続く ふらふらしたり、歩く・立つができなくなる ろれつが回らず、言葉が出ない 視野の半分が暗くなる、二重に見える 激しい頭痛が突然起きる 脳梗塞をはじめ脳卒中は、ある日突然起きる病気です。脳の血管が詰まる、裂けるといった脳卒中の原因が突然起きると、一気に重い症状が現れることがポイントです。 脳卒中かもしれないと思ったら 「半身がしびれたり、麻痺がつづいている」「ろれつが回らなくなった」こうした脳卒中の症状に気づいたら、すぐに医師に診てもらいましょう。 脳梗塞や脳出血は似たような症状が起きることが多いため、日頃から脳卒中の代表的な症状を覚えておくことが大切です。 気になる症状があったときは、できるだけまずはかかりつけ医に電話で相談する、少しでも症状に不安を感じたら迷わず救急車を呼んでください。 脳卒中のリスクと予防 脳卒中は死に至ることもある重い病気で、後遺症が残ることも多いため、日常的に予防に努めることが大切です。 脳卒中の 5 大リスクとして知られているものは、次の 5 つです。 高血圧 糖尿病 脂質異常症 不整脈 喫煙 ここで挙げたリスクは、生活習慣病といわれていて、以下のような食事や運動、睡眠などの生活習慣の改善で予防できるものです。 食生活に気を配ることで予防が可能 塩分制限をする バランスの良い食事を心がける 適度に運動する 十分に睡眠をとる お酒や喫煙を控える 脳卒中は、起こってしまってからでは取り返しがつきません。 予防のためにも、まずは生活習慣を見直すことからスタートすることが何より大切です。 また、病院で血圧や血液検査などの異常を指摘された方も、薬による治療を続けると脳梗塞をはじめ脳卒中のリスクをコントロールすることができます。あわせて、定期的な健康診断や通院で、病気を管理することも忘れずに行いましょう。 まとめ・ある日突然起こる脳卒中にご注意!その症状と原因、予防法 脳卒中と脳梗塞の違いについて解説してきましたが、次のポイントを改めてチェックしておきましょう。 脳卒中は脳の血管障害による病気全般を指す言葉 脳卒中と脳梗塞は別々の病気ではなく、実は同じもの 脳卒中の種類のうち、脳の血管が詰まるのが「脳梗塞」 脳卒中は生活習慣病が大きな原因 脳卒中の症状や、脳梗塞の特徴を覚えておいて、ぜひ病気の予防に努めましょう。 この記事がご参考になれば幸いです。 ▼こちらも参考にしませんか 脳卒中の種類と原因|発症を予防するため、注意すべき生活目標と修正方法とは
2022.12.26