脳梗塞の予防・再発防止のために食べてはいけないものとは?理想的な食事の摂り方
公開日: 2022.12.14更新日: 2024.12.08
脳梗塞の予防や再発防止を図るためには、食事を見直すのが重要です。
脳梗塞の原因となる食品は数多くあり、普段から口にします。
したがって、脳梗塞の予防や再発防止のために食べてはいけない、食べすぎてはいけないものを把握した上で、食生活を築くのが大切。
本記事では、食べてはいけないものに合わせて予防や再発防止のために積極的に食べたいものも解説します。
脳梗塞のリスクを下げたいと考える人はぜひ参考にしてください。
目次
脳梗塞の予防・再発防止のために食べてはいけないもの一覧
脳梗塞の予防・再発防止をする上で食べてはいけない・食べすぎてはいけない食べ物の代表例は以下です。
- ・動物性脂肪・トランス脂肪酸が含まれる食品
- ・加工食品
- ・塩蔵品
- ・アルコール
- ・高GI炭水化物
上記は脳梗塞の原因であり、発症や再発を避ける上で食べるのは好ましくありません。
それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
①動物性脂肪・トランス脂肪酸が含まれる食品
まず、動物性脂肪やトランス脂肪酸を摂取するのは避けましょう。
<動物性脂肪・トランス脂肪酸が含まれる食品一例>
- ・肉料理全般
- ・卵
- ・チーズ
- ・バター
- ・牛乳
- ・チョコレート
- ・アイスクリームetc.
基本的に、肉類や乳が関係したものは、避けるようにしましょう。
動物性脂肪には、動脈を閉塞させるコレステロールを増やすはたらきがあります。
トランス脂肪酸は、血行を悪くする原因。
また後述する塩蔵品やアルコールとともに摂取する機会が多く、注意が必要です。
動物性脂肪とトランス脂肪酸の摂取を避けるためには、脂っこいものを避ける意識がポイントです。
②加工食品
脳梗塞の発症と再発を避けるためには、加工食品の摂取も避けたいところです。
<加工食品の一例>
- ・インスタントラーメン
- ・スナック菓子
- ・冷凍食品
- ・菓子パン
- ・デザート
加工食品は添加物や保存料、炭水化物などを多く含んでいます。
また保存性を保つため、前述のトランス脂肪酸も、多くの場合で含まれているでしょう。
脳梗塞の原因となるものが多いため、加工食品の食べ過ぎには注意が必要です。
③塩蔵品
また、塩蔵品(塩漬け)の類も避けましょう。
<塩蔵品の一例>
- ・漬物全般
- ・塩辛
- ・ハム
- ・ベーコン
- ・味噌漬け
- ・明太子etc.
塩蔵品は、動脈硬化や血栓形成の原因である塩分やナトリウムを大量に含みます。
また高血圧にも関係しており、脳梗塞の発症や再発のリスクが高い食品と言えるでしょう。
また、塩蔵品でなくとも塩分が多い食品にも同様のことが言えます。
塩蔵品も含め、食べすぎは避けるのをおすすめします。
④アルコール
種類にかかわらず、アルコールは可能な限り避けましょう。
アルコールは、高血圧や血液の凝固など、脳梗塞の発症につながる現象を引き起こします。
さらに高血圧や血栓形成にも関係します。
さらにアルコールが提供される場所では、脳梗塞を発症・再発させうる食品も口にしやすいでしょう。
そしてアルコールには食欲を増進させる効果もあり、さらに脳梗塞発症・再発のリスクを高める懸念があります。
⑤高GI炭水化物
また高GI炭水化物が豊富な食品も避けるようにしましょう。
GIとは「グリセミック指数」の略称です。
指標としては食品を食べたあとの血糖値の上昇の程度を示します。
<高GI炭水化物の一例>
- ・白米
- ・食パン
- ・パスタ
- ・じゃがいも
- ・うどん
- ・シリアルetc.
一般的に白い、やや黄色い食品は、高GIの傾向があると覚えておきましょう。
高GI炭水化物は血糖値を急激に高め、脳梗塞の原因となる血栓生成や高血圧を引き起こします。
また血管内に炎症をもたらす点も、脳梗塞のリスクになります。
予防・再発防止の観点から見れば危険な食品であり、意識的に避ける必要があるでしょう。
脳梗塞の遺伝的要因と食事の関係性
脳梗塞は日本でも死因上位の病気であり、脳梗塞のリスクとして食生活と遺伝が関係します。
下記では、脳梗塞と、食事や遺伝の関係性を解説します。
合わせて後天的要因にも触れているので参考にしてください。
脳梗塞は遺伝する!?「食事」が関係する理由
脳梗塞の発症には多因子の関与が知られており、この多因子は大きく後天的要因と遺伝的要因に分けられます。
それぞれ解説していきます。
脳梗塞の遺伝的要因
遺伝的要因としては年齢 、性別 、人種 、家族歴 、高血圧 、糖尿病 、高脂血症 、肥満 、過凝固状態(血液が固まりやすくなること)などの要素が挙げられます。
以下の3つに関してより詳しく解説していきましょう。
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脳梗塞はどの年齢でも発生する可能性がありますが、リスクは 1 歳未満の乳児と成人で高くなります。
成人では、リスクは年齢とともに増加します。
また、若い年齢では、男性は女性よりも脳梗塞を起こす可能性が高くなります。
しかし、女性は長生きする傾向があるため、脳梗塞になる生涯リスクは高くなります。
また、経口避妊薬やホルモン補充療法を使用している女性や、妊娠中および出産後の数週間もリスクが高くなります。
脳梗塞の家族歴に関しては、親または他の家族が脳梗塞を発症したことがある場合、とくに若い年齢で脳梗塞を発症するリスクが高くなります。
後天的要因とは?体質の遺伝は食事と関係する
そして後天的要因として、食事などの生活習慣なども関与し、危険因子と呼ばれます。
この後天的要因によって、脳梗塞が遺伝すると考えることもできます。
脳梗塞は稀ではありますが、遺伝に関係しているものはあります。
ほとんどの場合は生活習慣、とくに自宅で食べる際の食事の味付けに由来します。
たとえば塩辛い味が美味しいと感じる場合は、小さい頃から味付けが濃い食事を続けたことが影響していると言えます。
つまり、脳梗塞の家族歴があると、食生活も家族と同じようなものになる傾向があるため、高血圧症になりやすい体質が遺伝する可能性が高く、同様に発症リスクが高くなる考え方です。
脳梗塞の予防・再発防止のために摂りたい食事
脳梗塞の予防・再発防止のためには、食べてはいけないものを避けるのは大切です。
同じように、脳梗塞のリスクを下げる食品を食べるのも重要。
たとえば以下の食品は積極的に食習慣に取り入れましょう。
- ・全粒穀物
- ・青魚
- ・果物
- ・乳製品
- ・タンパク質を含む食品
それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
全粒穀物
まず、全粒穀物が予防や再発防止に役立ちます。
<全粒穀物の一例>
- ・玄米
- ・オートミール
- ・ライ小麦etc.
全粒穀物には、食物繊維が多く含まれています。
食物繊維は、脳梗塞の原因になる血糖値やコレステロールの上昇を防ぎます。
またビタミンEやフィトケミカルが含まれている点も重要。
血管の硬化を防ぎ、血栓形成などのリスクを下げます。
ただし白米や精白パンなどの「精製穀物」には上記の効果が期待できず、むしろ脳梗塞の原因になる点に注意してください。
なお、全粒穀物は、白米や精白パンなどの代わりに主食の役割を果たします。
少しずつ精製穀物から切り替えていくと良いでしょう。
青魚
また青魚も、脳梗塞の予防や再発防止に有効な食品です。
<青魚の一例>
- ・サバ
- ・アジ
- ・サンマ
- ・イワシetc.
青魚にはDHAやEPAなどの成分が含まれています。
DHAやEPAは血行を促進し、血栓の生成を予防します。
またコレステロール値を下げる効果も。
さらに高血圧を改善するはたらきもあり、脳梗塞の予防や再発防止には欠かせない食品です。
また青魚は安価であり、普段の献立にも取り入れやすいです。
果物
果物も積極的に食べておきたい食品です。
<脳梗塞の予防や再発防止に役立つ果物の一例>
- ・オレンジ
- ・リンゴ
- ・パイナップル
- ・桃
- ・ブドウ
- ・キウイetc.
果物には、血管や血行の状態を高める抗酸化物質、ビタミンなどが含まれています。
また血圧を下げるカリウムなども豊富。
さらに食物繊維も含まれているため、コレステロール値の低下も期待できます。
また、ほとんどの果物が安価かつ入手しやすいため、普段の食事に取り入れやすいでしょう。
乳製品
乳製品に関しては、効果的なものをきちんと選べば、予防や再発防止に役立ちます。
<乳製品の一例>
- ・牛乳
- ・チーズ
- ・ヨーグルトetc.
乳製品に含まれるカルシウムは、脳梗塞の発症リスクを大きく下げるはたらきを示します。
国立がん研究センターによれば、乳製品由来のカルシウム摂取量が多いと、脳梗塞を含む脳卒中のリスクは、摂取量の低い群の0.64倍まで低下するとのこと。
ただしバターやマーガリン、練乳などの乳製品はむしろ脳梗塞のリスクを向上させるので注意してください。
参考記事:国立がん研究センター
タンパク質
タンパク質を含む食品は、なるべく積極的に摂取しましょう。
タンパク質は、血圧を下げる、血行を促進する、血管をやわらかくするなど、脳梗塞のリスクを下げる上で欠かせないほとんどの効果を持っています。
とくにナッツや魚から得られる植物性タンパク質の摂取が好ましいでしょう。
一方で動物性タンパク質を含む肉類は、脳梗塞のリスクとなる動物性脂肪も多く含んでいます。
したがって口にする場合は注意が必要です。
ただし肉類でも、赤身のものを選択すれば、脳梗塞のリスクは低くなるでしょう。
脳梗塞の食事療法とは?
脳梗塞の時に摂るべき食事、控えるべき食事、さらに具体的にどのような工夫をすれば良いか解説していきます。
①毎食さまざまな色の野菜を取り入れる
果物や野菜に含まれる栄養素をバランスよく得るため
には、毎食、さまざまな色の食品を選ぶことが重要です。
濃い赤、オレンジ、鮮やかな黄色、濃い緑、青、紫など、さまざまな色の果物、野菜、豆類を選択することで、さまざまな栄養素を確実に取り入れられます。
②飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、コレステロールの摂取を制限する
脂肪やコレステロールは体の健康のために必要ですが、血中のコレステロールが多すぎると、脳梗塞や心臓病のリスクが高まる可能性があります。
飽和脂肪酸などは、肉、チーズ、卵黄、バター、アイスクリームなどの動物性食品、および一部の植物油 (パーム、ココナッツ) などに含まれています。
これらの食品から摂取する飽和脂肪、トランス脂肪酸、コレステロールの量を制限するのが、脳梗塞予防の鍵となります。
③食物繊維の多い食品を選ぶ
食物繊維はコレステロールと心血管疾患の全体的なリスクに関連します。
食物繊維の摂取量は、コレステロール値や脳梗塞のリスクに影響するだけでなく、血糖値をコントロールし、胃や腸などの病気を予防し、体重管理に役立つなどの利点があります。
④食事中のナトリウムを減らす
ほとんどの人が、必要以上にナトリウムを摂取します。
ナトリウムを摂りすぎると、体液が貯留し、血圧が上昇する可能性があります。
塩分を減らす方法としては、食卓塩の代わりにハーブやスパイスを使用しましょう。
塩味が控えめでも、風味が豊かになることで満足感を得られるのでおすすめです。
また、ナトリウムは食品の保存にも使用されるため、食品を加工すればするほど、ナトリウム含有量が高くなります。
したがって、加工食品や缶詰食品を使用しないことも大切です。
⑤健康的な体重を維持する
脳梗塞のリスクを減らすためのもう 1 つの重要な戦略は、健康的な体重を維持することです。
食事量に注意して、食物繊維が多く脂肪の少ない食品を食べる、活動を増やすことで、健康的な体重を達成できます。
減量は無理なく続けることが大切です。
きちんと計画を立てて、最初から現実的に達成可能な短期、または長期の目標を設定して行うことが成功のポイントです。
⑥糖分の摂取を減らす
糖分の過剰摂取は、高血圧、肥満、2 型糖尿病、脂質異常症と関連しており、これらはすべて脳梗塞の危険因子となっています。
砂糖の例としては、白砂糖、黒糖、蜂蜜、糖蜜、ゼリー、ジャム、加糖飲料などがあります。
使用頻度を減らすか、使用する量を減らすことが推奨されています。
⑦カリウムを十分に摂る
カリウムは果物、野菜、乳製品に豊富に含まれていますが、ほとんどの成人はカリウムを十分に摂取していません。
カリウムを摂るためには、バナナ、アプリコット、オレンジ、メロン、リンゴなどの果物がおすすめです。
野菜には、じゃがいも、さつまいも、ほうれん草、ズッキーニ、トマトなどがあります。
適切な心機能を維持するためには、十分な食事性カリウムの摂取が必要不可欠です。
関連記事:脳梗塞になりやすい人と?発症予防で注意しておくべきことはありますか?
脳梗塞のリスクについて食事療法で気をつけるべきことは?
では、食事療法の工夫の次に、注意点についても見ていきましょう。
ただ単に食事内容に気をつけるだけではなく、以下のような注意点もあります。
①肥満予防:食べる量に気をつける
満腹になるまで食べないことです。
肥満を防ぐためにも常に8割くらいに抑えて、食事量を調整しましょう。
②脱水症状予防:水分を一緒に摂る
水分不足にならないように、食事と共に必ずこまめに水分摂取してください。
ただし、水分を摂るといっても、以下のような水分は推奨されません。
水分不足は、血流が滞り血栓ができやすくなる原因と言われています。
水または麦茶など、カフェインの入っていない飲み物は利尿作用がなく、水分の排出が少なく済むのでおすすめです。
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③誤嚥予防:嚥下障害に気をつける
脳梗塞の後遺症として、飲み込みづらさなどがあり、飲み込みづらい場合は、ベット上で頭を上げるなど工夫して食事療法を行います。
誤嚥性肺炎などを引き起こす可能性もあるため、水分や固形物を飲ませる場合は、嚥下機能の評価を行ってからにしましょう。
まとめ・脳梗塞の遺伝的要因と後天的要因のリスク回避に食事療法を!
脳梗塞は食事療法を行うことで、予防できることもあります。
今回の記事でご紹介した、摂るべき食品、控えるべき食品を考えた食生活をすることで、血圧や体重をコントロールし、脳梗塞を再発するリスクを減らし、治療やその他の日常活動の負担を軽減できます。
より健康的な食事を摂るためにも、困った点があれば、栄養士に相談するのも大切です。
今回の記事をご参考にしていただき、ぜひ改善に取り組んでみましょう。ご参考になれば幸いです。
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