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関節症で用いるステロイド薬は怖いのか?その効果とデメリット ステロイドという薬、名前をご存知の方も多いことでしょう。「変形性膝関節症」や、「変形性股関節症」をはじめ肩関節などの各種の関節症に対する保存療法(薬物療法)で痛み止めとして用いられるメジャーな薬です。 ご存知の方は、ステロイドは痛みを抑える薬として、その必要性は理解できるものの、デメリットである「ステロイド」の副作用が気になる!怖い!?という方もおられることでしょう。 そこで今回は、関節症の痛みに対して用いられることが多いステロイド薬を、その効果とデメリット、果たして怖いのか?といった観点からご説明いたします。 ステロイド薬の効果 関節症|ステロイド薬を使う第一の効果は「鎮痛効果(痛み止め)」 ステロイド薬を使用する効果として良い点は、「鎮痛効果」、痛みを止める「痛みの緩和」という効果です。 関節症の発症した初期には保存療法がおこなわれます。保存療法(薬物療法)は、各種関節症の初期におこなわれることが多い治療法の一つで、痛みを緩和させる目的があります。 ステロイド薬を用いるのは、その鎮痛効果で痛みから来る生活上の不自由を少なくするためと、運動療法による治療効果を高めるためです。 運動療法を行う上で痛みがあると、その部位を守ろうとするあまり、他の筋肉や組織に力が入いり、他の部位まで痛める結果になりかねません。また痛みがあると効果的な運動療法も難しくなるため、保存療法を有効に進めるためには、ステロイド薬で痛みを下げることが必要になるのです。 関節症|ステロイド薬の第二の効果は「抗炎症作用」 ステロイド薬には、痛みの原因である炎症を和らげる抗炎症作用があります。痛みの原因物質の産生を抑え、鎮痛(痛みを抑える)効果を期待することができます。 そのため各種の関節症の保存療法では、初期の段階ではステロイド薬を痛みを緩和しながら、炎症を防ぎ、リハビリ等の運動療法の効果を上げる目的で用います。問題は、ステロイド薬には、副作用の可能性があることです。 ステロイド薬のデメリット ステロイド薬の副作用 ステロイドという名前に悪いイメージがあるのは、この副作用を聞き及ぶことがあるからでしょうか。ステロイド薬の副作用のひとつに、「骨が脆くなる」というものがあります。そのため、事前の骨の検査や年齢によっては、ステロイド治療を行えない場合があります。 ステロイド薬が変形性膝関節症や、変形性股関節症、肩の関節症などの痛みに対して鎮痛、消炎という改善効果が得られますが、デメリットを過大評価すると使用をためらってしまいがちです。。 そこで、ステロイド薬を使用することによって考えられる実際のデメリットについて知っておくことがステロイド治療に対する判断の一助となり、医師の診断、意見を理解するために必要です。 長期使用を回避|医療機関等の管理下での治療なら怖くない ステロイド薬は、関節症の痛みで困っている場合に高い鎮痛効果が期待できます。とはいえ長期間、継続した使用はおすすめしません。なぜならステロイド薬には以下のような副作用があるためです。短期でも大量に使用したり、長期での使用は避けましょう。 そのため、ステロイドの使用にあっては、病院、医療機関等で医師の管理の下で治療を用うようにすることで「必要以上に怖がる必要はない」ということになります。 ステロイドの副作用 ・骨が脆くなる ・ステロイド薬を長期間、或いは短期間に多くの投与された場合、これが原因となって股関節の「大腿骨頭」、肩関節の「上腕骨頭」、「膝関節」の骨への血流が阻害され、骨の組織が壊死する危険性がある。 ・短期的に大量に用いたり、長期的に使用することで骨の代謝やホルモンの産生に影響を与えます。 ・長期的に使用すると骨を脆くする危険性があり、「大腿骨骨頭壊死」「上腕骨頭壊死」「膝関節骨壊死」という困難な症状を招くことも考えられます。。 骨粗鬆症のリスク ・ステロイド薬は、短期に多くの投与を受けたり、或いは長期間使用した場合に骨の代謝や、ホルモンの代謝に影響を与えかねません。 ・「骨粗鬆症」を引き起こす可能性があり注意が必要です。 感染症になりやすい ・ステロイド薬は、免疫を抑制するため、長期間、関節内に投与を行うと「化膿性関節炎」になる危険性があります。 ・関節炎になってしまった場合、抗生物質の内服での治療や、重症化した場合は、関節内の洗浄が必要になります。 ご注意!ステロイド薬は、根本治療にはならない ステロイド治療は、痛みの改善や、炎症を鎮めることには効果が期待できますが、軟骨のすり減り等、関節の状態を修復する効果はありません。 そのため、痛みを緩和させつつ、状況を見ることはできますが骨の変形や軟骨の修復といったことは期待できません。また病気の進行を止めることなどの根本的な治療を目的としたものではありません。 たとえば変形性関節症は、進行する病気です。 つまり、変形性関節症の人がステロイド治療をおこなっても最終的には手術が必要となる可能性があります。しかし、近年、手術や入院を避けられる再生医療という治療方法が発達し、軟骨を再生するなど、これまで手術しかなかった治療方法に革命を起こしている例はあります。 関節症に対するステロイド薬での治療 関節症でのステロイド治療は、内服薬と注射があり、内服薬で痛み対する効果が感じづらくなっ場合に関節内にステロイド薬を直接注射します。 ステロイドを関節に注射することにより、抗炎症作用が効果を発揮し、痛みを改善します。ただし、何度も申しますが長期的な使用、短期の大量投与は、副作用のリスクがあります。 また、関節症の症状が進行するとステロイドの効き目が減少し、そうなると外科的治療として手術の選択を迫られることになります。これまでは手術以外の治療法は無かったのですが近年、「再生医療」という分野が発達してまいりました。 再生医療の「幹細胞治療」という方法なら、すり減った軟骨そのものを再生させる効果を期待することができます。今後は治療の選択肢に入って来ることでしょう。 まとめ・関節症で用いるステロイド薬、その効果とデメリット ステロイド薬は、内服や、痛む関節に直接注射する方法があります。 ステロイド薬には鎮痛効果と、抗炎症作用というように炎症を鎮めることで痛みを緩和させる効果があります。ただし、ステロイド薬は、問題のある部位を修復できるなどの根本的な問題を解決することはできません。 ステロイドに後ろ向きなイメージがあるのは、そのメリットの反対の部分、骨を脆くして、特発性ステロイド性骨壊死症である、「大腿骨骨頭壊死」をはじめとして、「上腕骨頭壊死」、「膝関節骨壊死」という危険性があることや、骨粗鬆症、感染症などのリスクがあるからでしょう。 ステロイド薬には、メリットの反面、副作用があるため短期的な大量投与や、それ以外でも長期的なステロイドでの治療は避けるべきです。 ただ、治療に際しては病院をはじめとした医療機関を利用することで今回記したようなデメリットは回避することができるはずです。ステロイドの特性を知った上でメリットのある治療に用いて頂ければと思います。 以上、関節症で用いるステロイド薬のメリットとデメリットに関する情報を記事に致しました。 病院、医療機関等で医師の管理の下で治療なら「必要以上に怖がる必要はない」ということです。ご参考になれば幸いです。 No.0049 監修:院長 坂本貞範
最終更新日:2024.02.08 -
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膝や肩、股関節の関節痛の診断に何故MRI検査が必要なのか 長時間の立ち仕事、座ったままのオフィスワークはもちろん、日頃から運動やスポーツをよくされる方にとって、首や肩はもちろん、腰や膝の痛みは日々の大きな悩みです。これらの痛みについて、その原因をつきとめるためには画像による情報をもとにした診断がとても重要です。 中でも膝や腰の痛みについて判断する際には、画像検査の中でもMRIを使っての検査が重視されます。今回は、膝や腰、股関節など深刻な関節痛の診断にMRI検査を使う理由についてみていきます。 1、画像検査について 診察時の画像検査として、誰もがご存知のレントゲン検査に加えて、CT検査、MRI検査という画像診断の方法があります。それぞれの長所・短所があるのでご説明させて頂きます。 1)レントゲン検査 レントゲン検査は、多くの方にとってなじみのある放射線の一種であるエックス線を用いた検査方法です。短時間で簡単に行えますし、苦痛もほとんどないため、まずはレントゲンを撮る病院が多いかと思います。 レントゲン検査は、骨の状態、部分を詳しく見るのに適しています。たとえば骨折や、骨の変形などがその代表です。しかし、筋肉・軟骨・神経などの骨より柔らかい組織を撮影することができません。 また最近はデジタル化の影響で線量が格段に少なくなっているため通常の検査であれば問題はありません。ただ、放射線を用いる検査ですので、何度も繰り返して検索を行うなどの場合は被曝の可能性については気になるところです。 2)CT検査 (Computed Tomography) CT検査は、レントゲンと同じエックス線を用います。このエックス線をあらゆる方向から照射することで体の輪切りした画像を撮影することが可能にするものです。レントゲンと違って体の内部まで輪切りにした状態で確認ができます。 輪切り画像を重ね合わせて他の断面の画像を構築したり、三次元(3D)の立体画像で確認することもできる検査です。レントゲン検査よりもさらに詳しく骨の状態を評価することが可能ですが、レントゲンと同じく筋肉・軟骨・神経などの骨より柔らかい組織については判断しにくいことがあります。 3)MRI検査(Magnetic Resonance Imaging) MRI検査とは、大きな磁石(磁場)を利用して体の内部を画像化する検査です。レントゲン検査や、CT検査ではわからない筋肉や神経などの柔らかい組織を写し出すことを得意としています。また、何より放射線を使用しないため被曝も無く、患者さんの人体に無害な検査という点で優れています。 ただ、装置自体が大きく、とても高価なため、大学病院をはじめとした一部の施設にしか配置されていません。また、検査に際しては、筒状の装置の中で30分程度は検査時間として、じっと我慢する必要があります。 狭い筒の中で閉じ込められるため、(閉所恐怖症)がネックとなります。また機械の作動音が大きく、それが我慢できないという方もおられます。もちろん具合が悪くなったら係員に知らせるためのボタンなどがありますので安心してください。 その他の注意としては、MRI検査は、誰でもできる訳であはありません。仕組みとして非常に強力な磁石を用いた装置であることから、体内に金属があると検査できないことがあります。 整形外科等の骨折の手術等でボルトや、プレートなどが入っていたり、特に心臓にペースメーカーを入れている方は、MRI検査に対応したペースメーカーでなければ撮影することができません。これはペースメーカーに付属の手帳で詳細が案内されているはずですのでご確認ください。 また、歯科インプラントはチタンでできていますし、心臓や脳血管のステントも大丈夫なことが多いのですが年のため、主治医にご相談ください。 ただし、注意が必要なのは刺青です。 最近はファッションで手軽に刺青を入れる方が増えてきました。実はこの刺青の色素に金属成分が含まれることがあります。色素の金属がMRI検査により熱を持ち、火傷にいたる可能性があります。そのため注意が必要です。 2、腰が痛い場合のMRI検査 腰痛の原因は様々ですが、MRI検査でわかるのは、軟骨の変形や神経の圧迫などです。 腰にある筋肉が肉離れを起こしたような状態であるギックリ腰や、腰の筋肉の疲労からくる筋・筋膜性腰痛症はMRI検査では異常がわかりません。 一方、椎間板ヘルニアではMRI検査が重要です。腰の骨(腰椎)には椎間板と呼ばれる円盤状の軟骨部分があります。この部分が外に出てきたのが椎間板ヘルニアという訳です。 神経が圧迫されると、腰、お尻、下肢にまで痛みやしびれが出ることがありますが、椎間板が出ていても神経を圧迫しなければ、痛みはありません。この椎間板の飛び出てきた様子をMRI検査を用いることで確認することができ、診察に当って正確な診断が行えます。 3、膝が痛い場合のMRI検査 膝の痛みには、交通事故、スポーツによる外傷、運動のやりすぎ、中年以降に慢性的に起きるものなどがあります。外傷による代表的なものとして、膝半月板損傷および膝靱帯損傷、変形性膝関節症があります。 MRI検査による画像情報なら半月板、膝軟骨、ひざの靭帯が、どのように痛んでいるのかなどの疾患を正確に知ることができ、これらの症状の診断には欠かせません。 特に変形性膝関節症の場合は、レントゲン検査では骨の外観しか判断できないところ、MRI検査によれば骨の中の状態まで把握できるため、医師は骨の内部にまで損傷がおよんでいないか確認することができます。 1)膝半月板損傷 膝関節のすき間には、内・外側それぞれに半月板と呼ばれる三日月型の軟骨(膝半月板)があり、膝にかかる衝撃を分散させています。例えばスポーツ等で強く膝を捻ったときに損傷することが多く見られたりします。 損傷直後には、強い痛みと共に腫れたり、関節内に血液が溜まる事があります。しばらくして痛みが和らいでも、膝の中で引っかかる様な感じや動きにくい感じが続いたりします。 2)靱帯損傷 膝を支えるため、膝には内・外側の側副靱帯および前・後十字靱帯の計4つの膝靱帯があります。半月板の損傷と同じように、スポーツ等で膝を捻った時や交通外傷で発生する事が多くあります。 強い膝の痛みと共に皮下や関節内に出血が生じます。膝関節が不安定になることが一番の問題であり、膝のくずれや持続する痛みでスポーツが出来なくなることもよくあります。これら靭帯の状態を確認する上でもMRI検査を用いた検査が一番わかりやすい検査となります。 もし、上記のうちに気になる症状があれば、早めに専門医院の受診をお勧めいたします。その際にMRI検査での精査を勧められることがあるかもしれません。その折のご参考としていただけると幸いです。 以上、「膝や肩、股関節の関節痛の診断に何故MRI検査が必要なのか」について記させていただきました。 s002 監修:医師 加藤 秀一 ▼こちらも合わせてご覧ください MRI検査についてと、検査を受ける際の注意点 O脚とは?O脚の原因とおすすめの治し方を知りたい方へ必見です!
最終更新日:2024.02.29 -
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TFCC損傷とは、使いすぎたり転倒など強い衝撃で発症する手首の障害です TFCC損傷という聞きなれない症状をご存知でしょうか? このTFCCとは「三角線維軟骨複合体(Triangular Fibrocartilage Complex)」の略であり、手首の小指側にある関節の病気です。例えば外傷として転倒時に手をつく、あるいはバトミントンなどのスポーツ活動を行って手首を捻る動作を繰り返すことで引き起こされる障害です。 そもそも「三角線維軟骨複合体」とは、手首の小指側にあるぐりぐりした関節部に存在している軟部組織を指しています。本疾患を発症すれば、日常的に腕をひねる動作、もしくは手首を小指側に曲げることによって手関節部の疼痛症状を自覚するようになます。 そのため、患部安静を保持して手首にサポーターなどの装具を装着しながら運動を制限する必要が出てまいります。そこで、今回はTFCC損傷とはどのような病気なのか、その原因、症状、治療方法などに関する情報を中心に詳しく解説していきます。 ・TFCC損傷の原因 TFCCは、橈骨と尺骨の遠位端同士および尺側手根靭帯とを接合している靭帯の役割を担っています。 橈骨(とうこつ) ひじから手首まで2本ある前腕骨のうち、前腕の親指側の骨を指す 尺骨(しゃっこつ) ひじから手首まで2本ある前腕骨のうち、小指側にあり、橈骨と平行している骨を指す 解剖学的に前腕部の橈骨と尺骨間には、いくつかの靭帯あって、これらの骨を支持していますが、前腕の手首側の遠位部に位置するこのTFCCが損傷してダメージを受けると手関節全体において機能障害を引き起こすことが懸念されます。 TFCC損傷における主たる要因としては、手関節部に対する強い衝撃や手首における過剰な負荷の繰り返し動作によって引き起こされることが知られています。 したがって、テニスなどラケットを用いるスポーツ競技者において手首を構成している三角線維軟骨複合体(TFCC)という組織が損傷を受けることでTFCC損傷を罹患したり、あるいは自分で転倒したことによる外傷や、繰り返される振動など作業時に手関節を酷使することによって本疾患が発症します。 この症状は、テニス以外にもバトミントンや野球、ゴルフなどの道具を強振する動きに関連して発症するスポーツ外傷ですが、例えば重い鍋やフライパンを不規則に持ったり、振るような動作を継続的に続けた場合においてもTFCC損傷は起こります。 また、加齢によって手関節部の組織が変性することを原因として起こることがあります。更に外傷を認めることなく、尺骨が橈骨に対して長くなる、解剖学的な異常(尺骨突き上げ症候群)によっても引き起こされることがあります。 原因(繰り返しの動作が多い) スポーツ テニス、バドミントン、ゴルフ、野球など(道具を用いて強振) 職業 重い荷物の持ち運び、料理(重いフライパン) 加齢 手関節の変性 その他 解剖学的な異常 ・TFCC損傷の症状 TFCCとは、本来ふたつの橈骨と尺骨で構成されている遠位橈尺関節を安定化させている支持組織です。手関節部の尺側部(小指側)痛をきたす代表的な疾患としてTFCC損傷が挙げられます。 特に、手関節部のなかでも「尺骨茎状突起」と呼ばれる部位に局所的に疼痛を認めることがTFCC損傷における症状の特徴の一つでもあります。 通常では、患部の靭帯が損傷したことによる関節面の不安定性に伴って軟骨同士の適合性が悪化して、特にdiscと呼ばれる円盤状の軟骨組織が断裂することで痛みといった症状を引き起こすと考えられています。 具体的にはタオルを絞る、運転時に車のカギを回す、あるいはドアノブを回すなど手首を捻るような動作をした際に手関節部の特に尺骨側(小指側)において疼痛症状が顕著になって出現します。 一般的に、物を持つ際に手関節部に強い痛みを自覚して力が入らないこともあり、これらの症状は掌を上側に向けると少し軽減することが知られています。 病状が悪化して症状がさらに進展した場合には、安静時でも患部に痛みが出るといた症状を自覚することがありますし、同時に動作開始時に手が抜けそうになる感覚を覚える、あるいは手首が腫れて可動域が制限されるなどの所見を認めることもあります。 ・TFCC損傷の治療 まず、TFCC損傷を患った場合における初期的な治療としては運動を中止してサポーターやギプスによって患部を固定することで局所の安静を図り、消炎鎮痛剤などの服薬治療が行われます。 特に、装具を用いた治療方法に関しては軟骨の変性を悪化させないため、あるいは橈骨尺骨間の可動性を正常に復帰させるためにも前向きに実践されることをお勧めします。 疼痛症状がひどいケースでは、局所麻酔剤を含有して炎症を抑制する効果を狙ってステロイド注射を実施することで数か月単位で症状が改善することを期待します。 数か月間に渡ってこれらの保存的な治療策が奏効しない際には、手術加療が検討されます。 最近では、TFCC損傷している部位が深い場所にあって組織自体も小さいために切開手術よりも術野がよく確保できるように関節鏡や内視鏡を用いて病変部位の縫合処置や部分切除術なども頻繁に実施されるようになってきています。 まとめ・TFCC損傷とは、使いすぎたり転倒など強い衝撃で発症する手首の障害です 今回はTFCC損傷とはどのような病気なのか、その原因、症状、治療方法などについて詳しく解説してきました。 TFCC損傷とは、遠位橈尺関節を安定化させている支持組織である三角線維軟骨複合体が転倒して手をつくなどの外傷やスポーツや作業などで繰り返される過度の負担などでストレスがかかることで手関節部に疼痛症状が出現する疾患です。 尺側手関節痛の原因疾患は多岐に渡りますので、万が一普段の日常生活で手首の小指側が痛みを覚え、安静にしてもなかなか症状が改善しないという人は最寄りの手外科専門医の診察を受けて適切な治療に結び付けるように心がけましょう。 以上、TFCC損傷とは、その原因、症状と治療法について解説いたしました。今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 No.S059 監修:医師 加藤 秀一 ▼ TFCC損傷等のスポーツ外傷(筋・腱・靭帯損傷)に対する再生医療 当院の再生医療は、スポーツ選手のパフォーマンス(QOL)を維持する治療を推進しています
最終更新日:2023.12.28 -
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腱鞘炎とは!箸が持てない!原因と種類、治療に加え予防を解説 腱鞘炎の痛みで「お箸も持てない」「ドアノブも掴めない」などと、悩んでいる人はいませんか? 腱鞘炎になると手首や手の指に激痛が走り、日常生活にも支障をきたすようになります。「このまま痛みが続いたらどうしよう」「治らないとかも」と不安になりますよね。 しかし、腱鞘炎は適切に対応すれば、早期の回復が可能な病気です。ここでは腱鞘炎の種類と症状、原因と効果的な治療法。そして予防についても解説します。 腱鞘炎の原因 腱鞘炎は、指を動かし過ぎるために、腱の通り道にあるトンネル状の腱鞘が炎症のために厚くなることや、腱鞘の中を通っているロープ状の腱が腫れることで起きます。 以前は楽器の演奏者、ラケットを使う競技、テニスやバドミントン、ゴルフなどのスポーツ選手、作家や重い鍋を振る料理人など一部の人に多く現れるため、職業病とされていました。 ただ、最近では、パソコンやスマホで手指を長時間使用することから一般の人にも増えています。 その他、スーパーなどでレジの操作、子供の抱きおろしなど育児でも起こったり、編み物を頻繁にするなど普段手指をよく使うなど、手を頻繁に使う人に起こりやすい傾向があります。 またホルモン分泌の変化に伴い、妊婦や更年期の女性にもよく見られ、糖尿病やリウマチの患者さんにも多く発症しています。腱鞘炎は、痛みが生じるため、仕事や日常生活にも支障をきたしてしまいます。 腱鞘炎の原因(頻繁に繰り返される動作により起こる) ・スポーツ選手▷ ラケット競技の多い(テニス、バドミントン、ゴルフほか) ・事務▷ パソコンをはじめとしたキーボードを頻繁に使う職務 ・料理▷ 中華等で重い鍋を繰り返し使う職務 ・育児▷ 乳児の抱きおろしなど ・その他▷ 作家(文筆業)、一般人(スマホを頻繁に使う) ・その他▷ ホルモンの関係で妊婦や更年期の女性に多い ・その他▷ 糖尿病やリウマチへの罹患 腱鞘炎の種類 腱鞘炎は、2種類に分けられます。 一つは、手首に症状が現れる「ドケルバン病」と言われるものと、指に症状が現れる「ばね指」というものです。 ドケルバン病 ドケルバン病は、狭窄性腱鞘炎といい、親指側の手首の腫れや力が入らなくなるという症状が主な特徴です。これは指と手首を繋いでいる2本の腱と、その2本の腱を覆ってトンネル状になっている腱鞘といわれる部分が炎症を起こして痛みが生じます。 また圧倒的に女性に多いという特徴があります。 (こちらで詳しく解説 > ドケルバン病とは) ばね指 ばね指は指を曲げたり、伸ばす場合に痛みが出たり、動きにくくなるなどの症状が起こります。これは指の手のひら側にある腱をカバーするように覆っているトンネル状の腱鞘と呼ばれる部分に炎症が起こる病気です。 発症すると指を上手く動かせなくなります。症状が進むと急に指が伸びるようなバネ現象が起こる特徴があるため、ばね指と言われています。 (こちらで詳しく解説 > ばね指とは) 腱鞘炎の種類 ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎) ・手首に起こる ・女性に多い ばね指 指に起こる これら、いずれの症状も仕事や日常の動作が関係しているため、慢性化することが多くなります。中には腱鞘炎が原因で、やむを得ず転職するはめになったという方もいます。 手首や指に痛みや違和感を感じたら放置せずに、安静にし、それでも痛みなどが残る場合は、軽いうちに治せるよう整形外科等の病院、医療機関を受診してください。 腱鞘炎の治療 腱鞘炎の原因は手の使いすぎですから、軽症であれば一定期間、手の使用を控えるようにしていれば治ることがあります。 手に違和感がある場合は、湿布で冷やすことや、テーピングにも効果が期待できます。 1)保存的治療 まずは、親指や手首を休ませることです。添え木を用いて手首を固定し、安静にする場合もあります。湿布で冷やしたり、痛み止め、テーピング、痛み止めの内服などの使用が保存療法的な主な治療法です 2)ステロイド注射(トリアムシノロン) 投薬治療をしても改善されない場合は、ステロイドを注射する方法もあります。 3)手術 腱鞘炎の再発を繰り返し、改善がみられない場合は、手術という選択が必要になる場合もあります。手術は、局所麻酔による日帰り手術が可能です。 手指をよく使う腱鞘炎のリスクが高い職種の方は、日頃から手や指のストレッチや、マッサージなどのケアをしっかり行い予防を行うことが大切でしょう。 腱鞘炎の予防 腱鞘炎の予防は、日頃からのケアが大事です。腱鞘炎は、手の使い過ぎだけでなく、血行不足でも生じることがあります。その予防策について以下を参照してください。 予防法 ・手と手首のストレッチで血流を良くする▷ 仕事の前後、合間など気が付いたら行う ・手や指、手首に違和感や痛みがある▷ 温冷法(熱めのお湯と冷水を交互に30秒ずつ5セット) ・スマートフォンは、両手で操作する▷ 片手操作は、親指と手首に負担がかかる 普段から長時間同じ作業を続けないように意識しましょう。 ときどき休憩を挟んで手を休ませることが必要です。作業の前後にストレッチを取り入れるのも有効です。パソコンであれば、強くキーボードを叩かないなどの工夫をしてみることも効果があります。 そして、症状が軽いうちにケアをして、痛みを長引かせないことが大切です。 痛みが続くようなら病院等、医療機関を受診してください。症状に合わせて塗り薬を使う、炎症を抑えるステロイド薬を注射をする、またリハビリを行うなどの治療方法があります。 それでも改善が見られない場合は手術になることもあります。また、近年は、スポーツ医療の分野でも話題になっている「再生医療」で治療するという方法を検討することもできます。 まとめ・腱鞘炎とは!箸が持てない!原因と種類、治療法に加え予防を解説 腱鞘炎は、スポーツをはじめとして手や指を使う職業、そして育児など子供の抱きおろしでも発症します。 一度発症すると治るまでに時間がかかってしまう場合がありますが、治らない疾患ではありません。悪化する前に早めに対応してください。 また、手を酷使しないよう定期的に休憩をして手を休ませるなど予防に努めましょう。 腱鞘炎は手や指を頻繁に使う仕事に起こりやすい症状です。腱鞘炎というものを意識して日頃から予防をすれば避けることができます。 治療法については、保存的治療、注射、手術の3つの治療を説明しました。 近年は再生医療による治療を選択することもできます。手術以外の選択肢として、この治療法は、患者さんの負担を抑えることができ、副作用も少ないため、注目を集めている治療方法のひとつです。 慢性化した腱鞘炎の治療としては、薬物療法やリハビリテーション、手術、再生医療など、さまざまな方法があります。痛みや違和感が長く続く場合は、整形外科をはじめ専門の医療機関で相談してください。 以上、腱鞘炎!箸が持てない!そんな悩みを解消する治療法と予防についてを説明させていただきました。この記事が参考になれば幸いです。 No.S047 監修:医師 加藤 秀一
最終更新日:2024.04.17 -
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TFCC損傷は、どこに、どんな痛みが出るのか 「手首が痛い!」というとき、それは捻挫かもしれないし、腱鞘炎かもしれません。 転倒した際、手をついたり、その後に痛みが出れば「捻挫」かもしれない?と思うかもしれませんし、手首を酷使するような仕事やスポーツをした後なら「腱鞘炎」を疑うかもしれません。 しかし、実際に病院に行ってみたところ「TFCC損傷」だと診断されることがあります。ただ、多くの場合、TFCC損傷と言われても聞きなれない言葉で、どんな症状か不明なことが多いと思います。 そこで今回は「TFCC損傷について」どんな痛みが、どんな時に起こるのか解説してみたいと思います。また、併せてTFCC損傷の治療法についてもご紹介しましょう。 TFCC損傷は、「小指側の手首の付け根の部分」に痛みが出ます。ただし、安静にしているときは傷みません。 こんな動作をすると痛む ・手首の小指側を押したら痛い ・手首を外にひねると痛い ・手首をつくと痛い ・手首を小指側に曲げると痛い 日常生活の中で傷む場面 ・ドアノブやドアの鍵を回す ・タオルを絞る ・蛇口をひねる また、痛みを感じる場面としては調理時、フライパンや、水の入ったヤカンや鍋などの重みのあるモノを持つと痛みを感じます。スポーツではテニスのラケットを握ったときなどに痛みが出ます。 TFCC損傷の診断は難しい 実は、TFCCは骨の損傷ではないのでレントゲン写真では異常が見られず、捻挫として診断されてしまうことが多くあります。しかし、上記で紹介したような動作をしたときに痛みが出たり、痛みが長引いたりするようであれば、TFCC損傷の可能性があります。 そんな意味でも上で示したような痛みの部位と、痛みが出る動作を覚えておき、専門の医療機関を受診すると共に、その旨を伝えて正しい診断を得るようにしてください。 尚、TFCC損傷の診断は、触診、MIR検査や関節造影などを用いて行われます。 TFCC損傷の治療法 TFCC損傷の治療法は、安静を保つ保存療法が一般的で、保存療法では改善が見られない場合は手術を選択することもあります。しかし、TFCC損傷は完治が難しいです。 そこで紹介したいのが、体の自然治癒力を生かして完治を目指す「再生医療」という治療法です。 TFCC損傷の治療に効果的な再生医療「PRP療法」とは? 血液の中には多くの成長因子をもつ血小板が存在し、血小板は、損傷を受けた部位を修復する機能を持っています。 患者さん自身の血液から血小板を取り出し濃縮し、濃縮されることによって修復能力が増幅した血小板を損傷個所に注入し、修復するのがPRP療法です。 プロ野球選手の肘の治療にも使われるなど、スポーツ医療の分野で注目を集め、話題になっています。「慢性化した痛みがある」「早くスポーツに復帰したい」「薬剤アレルギーがある」などに当てはまる方にはおすすめの治療法です。 まとめ/TFCC損傷は、どこに、どんな痛みが出るのか TFCC損傷は、安静時に痛みは出ず、手首の小指側にひねると痛みが出ることが特徴です。 痛みは、大きなストレスになりますし、日常生活や仕事に影響が出ることもあります。早く治すためにも自分に合った最善の治療法を選ぶことが必要です。近年、話題になっている再生医療による治療も、選択肢の1つとして検討してみてはいかがでしょうか。 以上、TFCC損傷は、どこに、どんな痛みが出るのかについて記させて頂きました。参考にしていただけるなら幸いです。 No.S036 監修:医師 加藤 秀一 ▼ PRP治療法・再生医療に関する詳細は以下をご覧下さい TFCC損傷へのPRP(再生医療)治療に関してご説明しています
最終更新日:2023.10.09 -
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ヘバーデン結節やってはいけない!気を付けたいこと! ヘバーデン結節とは へバーデン結節をご存知でしょうか?ヘバーデン結節とは、手指部における第1関節に相当する箇所が変形し、曲がってしまうことで痛みを感じる原因不詳の病気です。 発症要因としては、関節にある軟骨がすり減り、骨が増殖する結果、痛みともに変形を引き起こすと考えられています。 この疾患は、手における変形性関節症の部類で最も罹患数が多く、特に日本人に多い病気であると言われています。そのため、痛みといった症状で悩まれている方が多い病気です。 ちなみに「ヘバーデン」とは、もともと英国人医師の名前です。1802年にヘバーデン氏が手指の第一関節のうしろ側にいわゆる慢性的な関節リウマチや痛風とは異なる病変が生じると指摘したことに由来して名づけられました。 へバーデン結節は、関節組織の加齢による変化によって、色々な変形所見が認められ、第1関節のうしろ(手背)側の中央付近に2つのコブのような結節所見を認めるのが特徴的とされています。 今回は、そんな「へバーデン結節」を発症した人が、基本的に日常生活などにおいて「やってはいけないこと」「注意すべきこと」を中心に詳しく解説していきます。 ヘバーデン結節の発症要因 実は、このへバーデン結節という病について、これまでの医学的研究の数々をもってしても、未だ発症させる明確な原因は不明なのです。しかし、これまでに何点か判明している要因も幾つかあり、それをご説明いたしましょう。 一般的に年齢を重ねれば、重ねるほどへバーデン結節など変形性関節症の発生率は高くなると言われていますので、「加齢というキーワード」は。本疾患の発症要因に該当するものの、唯一の原因ではないと考えられています。 まず、普段から生活面や、仕事内容などにより、「手や手指を頻繁に使用」する人に本疾患が表れやすいという傾向があります。 発症リスクの背景として、普段の生活歴にも関係があり、外傷によるものを除外して「裁縫や刺しゅう、農業関係の手仕事に従事」していた方々に発症しやすいと同時に、患者さんの概ね「8割が主婦」であったとの調査結果があります。 また、へバーデン結節は、「更年期以降の女性に多く発生」し、特に「女性は男性の約2倍以上の確率で発症」することが分かっていることから、本疾患の背景には「女性ホルモンの変調」が関与している可能性が推測されています。 また、「遺伝や環境」などといった様々な要素が複合的に組み合わさって発症するとも考えられています。ただし、明確に遺伝性というエビデンス(証明)には乏しいものの、これまでに母娘間、あるいは姉妹間などの家族内で多発する例が散見されているのも事実です。 それ以外にも、発症原因としては「外傷、甲状腺疾患、糖尿病」など各種疾患に合併して発症する場合や、特に誘因なく特発性に現れるケースも存在しています。 へバーデン結節、発症原因(発症リスク):明確な原因は未だ不明 ・加齢(年齢と共に発生率が上昇)ただし唯一ではない ・仕事等にて手指を頻繁に使用する ・裁縫や刺しゅう、農業関係の手仕事を業務といて日常的に行う ・発生者の8割が主婦 ・更年期以降の女性に多い(女性ホルモン) ・遺伝的要素(母娘間、姉妹間、家族内)証明できていない ・その他(外傷性、甲状腺疾患、糖尿病等の合併症) ヘバーデン結節の症状 へバーデン結節では、典型的な症状として「軟骨のすり減り」、「骨の骨棘形成によって出っ張り」、「関節部分が膨らみ」がみられます。特に、手指の中でも母指(親指)、あるいは示指(人差し指)から小指にかけて第1関節が赤く腫れあがり、過度に屈曲運動をすると疼痛症状(痛み)を合併します。 それらの所見が認められるのと同時に、関節を支える役割を有する「靭帯部分も緩む」とされていて、例えば物を指でつまむ時など、関節が不安定となり指の先の力が入りにくくなることもあります。 時間の経過とともに、痛みといった症状そのものは落ち着いてくることが多いのですが、手指が変形して指の動きがさらに悪化し、日常生活に支障をきたすことも十分に考えられます。へバーデン結節を発症した人は、早めに症状悪化を防止する対策を講じるべきです。 また、この疾患を発症した場合には、爪母(爪の根本部分)が第1関節に非常に近傍に位置しているために影響をうけて「爪が変形して凸凹になる」ことがありますので、そのような所見がみられた際には放置せずに皮膚科などでも診察を受けるように心がけましょう。 へバーデン結節の典型的症状 ・軟骨のすり減り ・骨の骨棘形成による関節の出っ張り、膨らみ ・母指(親指)、あるいは示指(人差し指)から小指にかけて第1関節の赤い腫れ ・屈曲運動(曲げると)疼痛(痛み)が起こる ・爪が変形(凸凹になることがある) へバーデン結節でやってはいけないこと へバーデン結節における治療方法としては、普段から指先に過度な負担が生じることを避ける、指の腫れや熱感があるときには患部を積極的に冷却する、軽くマッサージを実践する、あるいは装具などにより関節部の安静を保つことで痛み症状を軽快させることが期待されます。 したがって逆に言えば、へバーデン結節を発症した人が「やってはいけないこと」として、指先に過度の負荷がかかるような作業、あるいは患部を温める、強くマッサージを行う、関節部の安静を守らないなどの行動はやってはいけないということになります。 へバーデン結節でやってはいけないこと ・指先に過度の負荷をかけない ・患部を温めない ・強くマッサージしない ・重い鞄を手で持たない(ショルダータイプにする) ・スマホなどにも注意(指を動かしすぎない) ・指を使う作業を避ける へバーデン結節の治療方法 へバーデン結節の治療には、保存的治療、薬物療法、手術療法といった概ね3種類の方法から検討することになります。 保存療法としては、「テーピング、サポーター」、「外固定(金属のリング等)」によって関節を固定(安定)させたり、「アイシング」といった治療が行われることが一般的です。 薬物療法としては、関節内へのステロイド注射が用いられることが多くあります。これも、痛みや、変形といった症状が進行すると手術療法が必要となり、「関節固定術、関節形成術(コブ結節の切除)」といった手術を検討することになります。 高度変形や、強い疼痛が伴う場合には、手指の運動機能障害や、整容上(見た目)の問題が発生する為に日常生活で無理をせずに、早期に医療機関を受診されることをお勧めします。 へバーデン結節の治療法 ・保存療法:テーピング、サポーター、外固定(金属のリング等)で関節を固定(安定)、アイシング ・薬物療法:関節内へステロイド注射 ・手術療法:関節固定術、関節形成術(コブ結節の切除) へバーデン結節、発症後に気を付けたいこと 現代社会では、日常生活においてスマートフォンが手指の障害をきたすと言われ、特に小指でスマートフォンを持つ動作が小指のヘバーデン結節を誘発して症状を増悪させることも考えられますので、スマホの操作時に小指に痛みを自覚した際には画面操作は出来る限り両手で行うよう意識しましょう。 そして、前章で述べたように本疾患の発症リスクを上昇させる要素のひとつとして「女性ホルモン」があり、実は大豆に含まれている「イソフラボン」が女性ホルモンと成分が類似していることから「豆乳や豆腐、納豆、きなこ」などを日常的に摂取すれば症状改善に繋がる可能性はあります。 指の第1関節というのは、日常生活では意識していませんが、意外と知らず知らずのうちによく使っています。手指を動かすたびに強い疼痛症状が出現するようならばこれ以上痛みを悪化させないための対策や工夫を講じることが重要です。 例えば、ガーデニングが好きな方が小さな草取りなど実施する際には、どうしても指先に負担がかかりますので、極力手袋など補助となるものを装着して作業するなどの注意が必要です。 また、ペットボトル等の蓋を開ける際には、指先にどうしても力を加える必要がありますので、へバーデン結節を発症し、症状に苦悩しているなら、オープナーの使用を検討するなど対策が必要です。 さらに、かばんを持つ時には本体を持ち上げるとどうしても手指に荷重が加わって症状が悪化してしまうことが懸念されますので、出来る範囲で手提げバックなど鞄本体を持たずに手提げ部分を持つように心がけましょう。 このように小さなことでも日常生活で指を使うことが多く、たとえば靴を履く際にも手指を使わず靴ベラを使う、ドアの開け閉め、タンス、クローゼット、ボタン掛け、調理、掃除などちょっと思い起こすだけでも多くの動作があります。 このように普段の生活で徹底的に指を使う場面を徹底的に洗い出して、指を使わずにできる方法を工夫してみましょう。もちろん、ご家族の方々にも簡単な事であっても、できないことがあることを話して、理解と協力を得ることが大切です。 へバーデン結節、発症後に気を付けるべきこと ・スマートホンの操作や持つ方の注意 ・ペットボトル等のキャップの開閉(オープナーを使う) ・ガーデニング ・鞄は指で持たない(ショルダー等) ・ドアの開け閉め ・タンス、クローゼット ・ボタン掛け、調理、掃除、裁縫ほか 💡手指を使わない工夫を考える 💡家族にできることは依頼する(できないことを説明、理解を得る) まとめ・ヘバーデン結節!やってはいけない!気を付けたいこと! いわゆる50代など中年時期も過ぎてくると農作業やプライベートな趣味における草取りやペットボトルのキャップやふたを開ける際に手指の第1関節が痛くなることがあります。 放置すると、徐々に指の変形が進行して、極端の話では横を向いてしまうこともあります。これらの所見は、関節の変形で軟骨が減って骨変形が起こることにより発症する「へバーデン結節」という病気を指しています。 本疾患ではすり減った軟骨や骨の変形そのものは完全に元通り健常状態に回復しないですが、指の痛みなどの症状は日常生活における色んな工夫によって改善することが期待できます。 したがって、へバーデン結節を発症した人がやってはいけない事項を認識しながら、並行して前向きな対処策を実践することで痛みなどの症状を和らげて普段から手や指を使いやすくすることが可能になりますので出来るだけ諦めずに対策するように心がけましょう。 以上、ヘバーデン結節の発症リスクが上がる要因と発症後やってはいけないことについて記しました。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 No.S032 監修:医師 加藤 秀一 不安な方は一度お問い合わせ下さい。 > 無料相談 ▼ 再生医療に関する詳細は以下をご覧下さい 自分自身の自ら再生しようとする力、先端医療が自然治癒力を活かして治します
最終更新日:2023.08.25 -
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CM関節症とは?症状からわかるステージと治療法、筋肉のほぐし方をご紹介 CM関節症は一般的に50歳以上に発症しやすい疾患です。しかし、なぜCM関節症になるのか、またCM関節症になったらどのような治療が実施されるかを理解している人は多くいません。 そのため今回はCM関節症の原因と治療方法を理解するために詳しく解説します。 CM関節とは 聞きなれない名称ですが「CM関節」と呼ばれる関節があります。それは、母指(親指)の根本の骨である第1中手骨と、手首の小さい骨である大菱形骨の間に存在している関節をいいます。 母指が他の指と対立運動(つまみ動作)ができるのは、このCM関節の役割が大きくかかわっています。 CM関節症とは? CM関節は、「握る」「つまむ」などの動作を行う際に負担がかかる部位です。 ただ、「握る」「つまむ」などの動作は、けして特別なものではなく、日常生活においても比較的多く行われる動作です。そのため、CM関節には常に負担が掛かり続けていると言えるのです。 基本的に関節は、使い過ぎたり、加齢などによって変性する場合があります。それは、関節をスムーズに動かしたり、衝撃を和らげるクッションの役割を果たす軟骨がすり減ることで起こります。これが進行すると関節が腫れる・亜脱臼などが生じることとなり、これをCM関節症といわれるものです。 CM関節症の症状 CM関節症の場合、母指(親指)に力を入れた動作をした際、手首の母指の付け根付近に痛みが生じます。主に痛みが生じる場面は下記の場合です。 ・瓶やペットボトルのふたを開ける ・ホッチキス・ハサミ使用時 ・タオルを絞る ・ドアのノブを回す ・字を書く ・草むしり ・布団を挙げる ・ボタンをかける また、症状が進行すると、手首の母指の付け根付近が腫れて膨らんできて母指を開くことが難しくなります。 場合によっては、関節が変形して親指の指先の関節が曲がり、付け根の関節が反る「白鳥の首変形(スワンネック変形)」になる可能性もあります。 CM関節症の症状は、ステージで細かく分類されています ・stage1:レントゲン上での問題はみられない ・stage2:関節の隙間が少し狭くなり、骨硬化が少しみられる ・stage3:関節に隙間がほとんどなくなり、骨硬化や骨棘がみられる ・stage4:完全に関節の隙間がなくなり、骨棘の形成もみられる。 一般的にstage1、2は保存療法、stage3、4は重症になるため手術の検討が必要となりますが、必ずしもレントゲン上の結果と一致しないため、最初はサポーターなどの装具、テーピング、リハビリなどの手術以外の選択肢で治療を行います。 CM関節症の原因 CM関節症を生じる主な原因は、加齢・ホルモンバランスの変化・関節の変形です。それ以外にも、過去に母指に受けた外傷・怪我も原因になりえます。 CM関節が正常の場合は、軟骨がしっかり骨を覆っており、スムーズな曲げ伸ばしや、クッション性も豊なのですがCM関節症の場合、この軟骨がすり減ってしまった結果、骨と骨同士がぶつかり合い、関節への負担が生じることとなります。 一般的には下記の因子(原因)が当てはまる人はCM関節症になりやすいと推測されます。 ・女性 ・肥満 ・40歳以上 ・靭帯のゆるみなどの遺伝 ・親指周囲の骨折など過去の外傷・怪我 ・スポーツや労働で親指に強い負担のかかっている状況 CM関節症の治療方法 CM関節症は、まず保存的治療を実施します。 テーピング・サポーターなどの装具治療、リハビリをしっかり行うだけで多くの場合は症状の改善を期待できます。 装具治療の場合は、手の状態に合わせて取り外し可能な装具を作成します。症状が軽い場合は、寝るときに装具を付けて過ごすだけで数週間後には痛みが軽減する場合もあります。 装具治療でも痛みが軽減しない場合は、消炎鎮痛剤の内服・注射治療を実施します。 内服はNSAIDsと呼ばれるロキソニンなどの消炎鎮痛剤、トラマールというような痛み止めを使用します。また、注射治療は、比較的長時間効果のあるステロイド製剤が使われる場合があります。 上記の治療を実施しても症状が改善しない場合は、手術による治療法も選択の1つとしなければなりません。 手術の内容は「関節形成術」「骨切り術」「靭帯再建術」の3つ方法が主要となり、どの手術後も一定期間の固定が必要なため、母指を正常に使えるようになるまでに長い期間を要することがデメリットとなります。 関節症治療法 ・保存療法:テーピング・サポーターなどの装具治療、リハビリ ・薬物療法:消炎鎮痛剤、痛み止め、注射によるステロイド製剤 ・手術療法:関節形成術、骨切り術、靭帯再建術 CM関節症の筋肉への影響 手には多くの筋肉が存在するため、CM関節症になると、さまざまのな筋肉に影響が出ます。今回はその中でも主要な筋肉のほぐし方について解説します。 第一背側骨間筋 背側骨間筋は、第1中手骨(親指)と第2中手骨(人差し指)の間にある筋で、親指を内側(手のひら側)に曲げたときに背側へ盛り上がってくる筋です。 この筋肉が緊張すると、痛みが出る・指がこわばる・力が入りにくくなります。また、中手骨の間にも走行するため、場合によって、神経が圧迫されて、しびれの原因にもなります。 <背側骨間筋のほぐし方> ・ほぐす側の手の平を台に置けば安定します。手の甲を上に向けます ・逆側の手で第1中手骨と第2中手骨の間に指を入れて(親指と中指の間の筋をつかみます)押さえるようにほぐしましょう。 母指対立筋 母指(親指)を動かす筋は全部で4つあり、そのうち、短母指屈筋・短母指外転筋・母子対立筋の3つの筋で親指の付け根の膨らみである母指球を形成しています。 母指対立筋は短母指屈筋と短母指外転筋に覆われており、親指を手の平に近づける作用である対立運動に関与します。 <母指対立筋のほぐし方> ほぐす側の手の平を上に向けて指を広げます 反対側の手で母指を握り、母指CM(親指の根本)を手のひらとは反対側、伸展方向へ伸ばします まとめ・CM関節症とは?症状からわかるステージと治療法、筋肉のほぐし方をご紹介 CM関節症の主な原因は加齢・ホルモンバランスの変化・関節の変形・過去、親指に受けた外傷や怪我の影響です。症状が進行すると手術する可能性がありますが、全体的な割合でも手術になる割合は多くないため、ほとんどの場合は保存療法で治療が可能です。 主な保存療法は、今回解説した、装具治療やリハビリになります。しかし、CM関節症の進行度はレントゲン上などから判断するため、痛みなどが気になれば、我慢せずに一度病院に受診することが大切です。 以上、CM関節症とはと題して、その原因と症状、治療法について記しました。 No.S031 監修:医師 加藤 秀一
最終更新日:2023.10.06 -
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手指に起こる原因不明のヘバーデン結節!どんな病気なのか?その症状と治療法について へバーデン結節とは、どういう病気かご存知でしょうか? へバーデン結節は、手指部における「第1関節に位置するDIP関節*が変形して曲がってしまう」という、いまだ原因不詳の疾患とされています。関節リウマチなどの膠原病とは異なる病気だと考えられています。 このDIP関節*の変形という疾患については、大小があります。すべての症状で大きく曲がる(変形する)わけではありません。指の第一関節の後ろ(背側)、中央付近に親指から小指にかけて、2つのコブのような結節が見られる特徴があります。 現在、この指のふくらみは年齢に伴う変形性関節症であると判明しています。 ちなみに、この「ヘバーデン」という名称は、この疾患を報告したイギリスの医師、ウイリアム・ヘバーデン博士の名から付けられた呼称です。 へバーデン結節は、関節組織の加齢による変化を基にして発症する変形性関節症として手指部に認められる病変なのですが、いろいろな変形や所見が見られます。 一般的には、第1関節に変形や、疼痛があって、X線レントゲン写真にて「関節の隙間が狭い」、「関節が壊れている」、「骨棘」と呼ばれる骨のとげ所見が見られると、「へバーデン結節」ではないかと疑います。 そこで今回、へバーデン結節について、一体どのような病気なのか、その症状と原因を紐ひも解き、治療法についても解説してまいります。 ヘバーデン結節の診断 ・DIP関節に対してX線によるレントゲン検査で以下を確認 ・関節の隙間が狭い ・関節が壊れている ・骨棘と呼ぶ骨のとげ ※ 参考)DIP関節*とは 手指は指関節や骨、それを腱・靭帯が取り巻き、指の複雑な動きに対応できるように機能しています。 その指関節は以下のような呼称で分類されています。DIP関節は、指先に一番近い関節です。 ・第1関節:DIP関節(指先から1番目の関節)ヘバーデン結節が起こる部位 ・第2関節:PIP関節(指先から2番目の関節) ・第3関節:MP関節(指先から3番目の関節で、指の付け根) ・第4関節:CM関節(手の甲の中にある関節) へバーデン結節の原因を探る へバーデン結節の発症について、これまでの医学的な研究においても今だに明確な原因は不明なのですが、普段から手や手指を頻繁に使用する方が発症しやすい傾向があると言われています。 へバーデン結節は、疫学的に40歳代以降の中高年齢層の女性に多く発症します。つまり、本疾患の背景には女性ホルモンの変調、ストレス要素に加えて外的な環境、およびストレスを過度に受けやすい体質や性格なども関与している可能性も検討されています。 過去の調査では確固たる遺伝性要因の影響があると証明されていないものの、傾向的に母娘間、あるいは姉妹間で高率な頻度で発症すると言われています。 したがって、例えば自分の母親や祖母の家系がヘバーデン結節に発症した経験を有する場合には、予防として普段から指先や手の部分に過剰な負担をかけないよう意識して注意すべきでしょう。 へバーデン結節の原因といわれるもの ・今だ明確な原因は不明 ・女性ホルモンの変調、ストレス要素(手や手指を頻繁に使用すると発症しやすい傾向) ・疫学的に40歳代以降の中高年齢層の女性に多く発症 ・傾向的に母娘間、あるいは姉妹間で高率な頻度で発症する ・ストレスを過度に受けやすい体質 へバーデン結節の症状について 典型的な症状としては、手指の中でも母指(親指)、あるいは差し指(人差し指)から小指にかけて第1関節が赤く腫れあがり、屈曲して疼痛症状があります。 へバーデン結節に罹患すると、時には安静時にも痛み症状があるため、強く手を握ることが困難になりますし、指のこわばりを感じて十分に手指を動かせなかったりもします。 指の変形が進むにつれて痛みといった症状そのものは落ち着いてくることが多いのですが、その分、手指の動きがさらに悪化して日常生活に支障をきたすようになりがちです。 補足ですがこの症状のうち、第1関節のうしろ側に水ぶくれのような所見を認めることもあり、この水ぶくれをガングリオンや粘液嚢腫などと呼称されています。 へバーデン結節の診断について へバーデン結節を診断する際には、診察上の視診や触診などの理学的所見を基本としてエックス線による画像検査が実施されます。 第1関節の腫れや熱感、変形、運動障害、疼痛症状の有無などを診察によって確認して、レントゲン検査で関節間の隙間が狭い、又は骨棘と呼ばれる骨のとげが突出しているなど変形性関節症所見を認める際には、典型的な「へバーデン結節」と診断されることになります。 症状が類似しており本疾患と鑑別を要する疾患として最も重要なのは関節リウマチです。一般的には、関節リウマチにおける症状は、関節痛、自己免疫に関連した炎症による体の倦怠感、朝のこわばりなどが典型的です。 ところが、関節リウマチでは手指における好発部位(病変が起こりやすい部位)としてはPIP関節(指先から2番目の関節)、MP関節(指先から3番目)のことが多く、へバーデン結節のようにDIP関節(第1関節)に現れることは、ほとんど無いと言われています。 同様に、画像検査上でも両疾患には異なる所見を認めることが知られており、関節リウマチの場合には骨が炎症によって溶解する(溶けてゆく)のに対して、へバーデン結節では骨が逆に増殖していくことになり、その点が大きく違うため、両者を鑑別することが出来ると考えられます。 へバーデン結節と、関節リュウマチの違い へバーデン結節 ・部位:DIP関節(第1関節)に現れる ・骨が増殖していく 関節リュウマチ ・部位:PIP関節(指先から2番目の関節)、MP関節(指先から3番目) ・骨が炎症で溶解する へバーデン結節の治療法について へバーデン結節における治療策としては、普段から「指先への過度な負担が生じることを避ける」、「指の腫れや熱感があるときには患部を積極的に冷却する」、「軽いマッサージを実践する」、あるいは装具などにより、「関節部の安静を保つ」ことで症状からくる痛みを軽快にすることが期待できます。 へバーデン結節における手指関節の保護には、装具として一般的には「テーピング」や、「金属製リング」などを治療策として使用されることが多くあります。 どうしても疼痛症状が強い場合は、漢方や消炎鎮痛剤を服用する、湿布や塗り薬などの外用薬を積極的に使用する、あるいは少量の関節内ステロイド注射なども有効に働きます。 へバーデン結節は、多少の個人差はありますが概ね数か月から年単位で痛みの症状そのものが落ち着いていくため、手術の必要性に迫られる、あるいは何が何でも手術を希望されるという患者さんはそれ程多くないのが実情です。 それでも、保存的な治療で症状が改善しない場合、または手指部の変形がひどくなり日常生活に機能的に支障をきたすケースでは、手術療法を検討することになります。 具体的な手術法としては、「コブになっている結節部を切除する」パターンや、「関節を固定」してしまう方法が取り入れられています。 手術についてもう少し詳しく概説すると、でっぱった骨(結節部、骨棘)や水ぶくれ(嚢胞)を切除する関節形成術や、傷んだDIP関節(1番指先の関節)のグラつき(不安定性)を改善させる関節固定術が一般的に行われています。 関節形成術に関しては外観上の所見が改善する長所がありますし、関節固定術は最も機能的に良好で使いやすい位置で関節を固定することで術後に痛みも無くなる利点があります。 へバーデン結節における治療策 基本 ・指先への過度な負担が生じることを避ける ・指の腫れや熱感があるときには患部を積極的に冷却する ・軽いマッサージを実践する ・関節部の安静を保つ(装具※) 鎮痛(痛みが強い場合) ・漢方や消炎鎮痛剤の服用 ・湿布や塗り薬等、外用薬 ・関節内へのステロイド注射 手術 ・関節形成術:でっぱった骨(結節部、骨棘)や水ぶくれ(嚢胞)を切除 ・関節固定術:傷んだDIP関節(1番指先の関節)のグラつき(不安定性)の改善 装具 ※テーピング、金属製リング等 まとめ・手指に起こる原因不明のヘバーデン結節!どんな病気なのか?その症状と治療法について いわゆる「へバーデン結節」と呼ばれる病気では、親指や人差し指から小指にかけて、第1関節が赤く腫れあがり、変形して曲がってしまう症状を呈します。 また、第1関節の手のうしろ側(背側)に関節を挟んでふたつのコブ(結節性病変)ができるという特徴があります。 へバーデン結節は、いまだ原因不明の疾患であり中高年齢の女性に比較的頻度が多く認められる病気とされており、手指部の症状のために日常生活に支障をきたすことがあります。 痛みや症状がひどくなると心配も多くなり、医療機関を訪れる患者さんが多いようです。もし、指の痛みや、変形の兆候など、症状を我慢したり不安がある場合は、整形外科などのクリニックや病院を受診して医師に相談されることをおススメします。 専門医による診察や画像検査、血液検査などを実施することで、関節リウマチなど他の類似疾患との鑑別を行うこともできますし、本疾患の治療はもちろん、症状の解消法などのアドバイスを期待できるでしょう。 以上、ヘバーデン結節とは、どんな病気?その原因と治療について記してまいりました。 今回の記事の情報が少しでも参考になれば幸いです。 No.S030 監修:医師 加藤 秀一
最終更新日:2023.10.06 -
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人工関節の手術を受ける場合に知っておくべき安全性と危険性 股関節、膝関節、肘関節、指関節、足関節における関節疾患の多くは比較的ゆっくりと症状が進行するため、本人は症状に苦しんでいるにもかかわらず、ただ単に年齢によるものというだけで見過ごされてしまうことが往々にしてあります。 ところが、知らず知らずのうちに病気の進行が悪化してしまうと、関節患部に強い痛みや熱感を自覚して、日常生活において歩く、座る、投げる、持つ、立つなどの基本的な動作能力が低下して必要な動きが制限されてくる恐れがあることをご存知でしょうか。 このような関節の症状が出たのちに、保存療法等、種々の治療を繰り返しても元には戻りにくく、徐々に症状は進行します。そして、最終的に提案されるのが手術療法になります。 人工関節置換術 この手術が「人工関節置換術」として知られているものです。この手術は、読んで字のごとく、疾患によって悪くなって異常がある関節部分を取り除いたのちに、人工の関節に置き換える手術です。 例えば変形性膝関節症や、関節リウマチなど膝関節疾患を治療する際には、その代表的な手術療法のひとつとして人工膝関節置換術が挙げられるという具合です。 人工関節の置換術が可能な部位は膝関節や股関節、肩関節、手関節、手指関節、足関節、肘関節となっていて、置換える人工関節そのものも年々進歩しています。 材料的には主としてチタン合金、コバルトクロム合金、セラミック、ポリエチレンなどで構成されています。 人工関節置換術は、関節の疾患がもとになって起こっている疼痛の原因となっている部分を取り除くことを主眼としているため、他の治療法と違って、患者さんの慢性的症状である痛みを和らげる効果を期待するものです。 そこで今回は、そのような人工関節の手術に関して知っておきたい安全性と危険性について解説したいと思います。 人工関節置換術 治療可能部位 材料 膝関節や股関節、肩関節、手関節、手指関節、足関節、肘関節 チタン合金、コバルトクロム合金、セラミック、ポリエチレン 人工関節の手術|安全性について 人工関節置換術という手術療法は、各種の関節症、例えば変形性関節症や関節リウマチを患われている患者様に対して関節の痛みを緩和して日常生活をより快適に送れる事を目的とする治療手段として普及しています。 今や各種の関節症に対する人口関節置換手術でのアプローチは年間に約20万例前後という件数が報告されるまでになりました。このように比較的メジャーになってきた人工関節の手術は、術式としては確立されていて、置換える人工物の素材も進歩を遂げています。 ただし、手術を安全に確実に実践するためには、当たり前のことながら整形外科の専門医を始めとして、医療従事者の専門性が問われ、人工関節の特性や、軟骨などの組織が破綻するメカニズムに対する知識が不可欠です。 これら関節の再建方法などについて熟知している専門性が大切であり、これまでの経験、知見、熟練の度合いが手術に影響するとされています。 また、人工関節置換術においては、言うまでもありませんが手術そのものの安全性を高く施行するだけでなく、術前や術後における全身管理や、術後の安定した段階で早期に、個人に沿ったリハビリテーションを計画し、適切に行えることが非常に重要です。 これらの人工関節手術を安心して受けるためには、術後の体制、いわゆる人工関節の緩み、異物感染、関節脱臼やインプラント周囲組織の骨折を含めた様々な合併症が起こった際に迅速かつ、確実に対応できる医療体制の存在、あり方が必要不可欠です。 また術後のリハビリテーションに関しては、術前に担当の看護師や理学療法士などのリハビリの専門部門が積極的に患者さんに接触し、術後の早期に状態を見極めながら関節機能を中心とした全身状態の改善を目指さなければなりません。 万が一にもリハビリテーションが予定とは異なり順調に進まない時には、自宅への退院とは別途、リハビリ専門施設へ転院するような連携調整、あるいは自宅退院後の各種生活支援についてメディカルソーシャルワーカーに相談する必要があるでしょう。 このように「人工関節の安全性」は、専門性、術前、術後、リハビリなどをすべて含めて判断すべきだと考えます。 安全性は、総合的に判断 ・専門医(経験、知見、習熟度) ・術前の全身管理 ・術後の対応、フォロー ・リハビリ計画 人工関節の手術|危険性について 人工関節置換術は、疼痛症状を緩和して関節の機能の回復を望める手術である一方、関節以外の他手術と同様に一般的なリスクとして、全身麻酔に伴う合併症や、深部静脈血栓症および肺塞栓症の発症、あるいは輸血に関する問題点などがあります。 また、人工物や手術部分の感染、患部周辺の血管や骨組織、神経などの二次的な損傷、あるいは手術中における予測不能なことがが引き起こされる懸念も考えられます。 そして、人工関節手術の術直後においては傷口の疼痛が非常に強いことが懸念されており、関節部の機能回復を阻害するのみならず、手術を受けた患者さんの満足度とも直接的に関連すると言われています。 他にも心配なのは、人工関節の耐久性です。人工物ですので永久に使えるものではないからです。いつまで使えるかということに関しては、患者さん自身の生活背景などの使い方にもよりますが概ね15年前後であると考えられています。 人生100歳時代の現代、耐久性という面から、将来に人工関節を入れかえるため、再手術の可能性があることを知っておくべきです。その際は、年齢的にも術式的にも、あらゆる面で最初より、難しさがが増す可能性があります。 従来、人工関節置換術は、およそ60歳以上の高齢者を中心に適応がある手術とされてきましたが、近年では個々の価値観やクオリティ・オブ・ライフ/QOL(*)が尊重される時代となり、2回目の手術を勘案して50歳前後でもより快適な人生を過ごすために本手術を選択される方もいらっしゃいます。 (*)クオリティ・オブ・ライフ/QOL 治療を受ける患者さんの肉体的なことはもちろん、精神的なことや社会的、そして経済的など、すべてを含んだ生活の質を指す言葉です。 今回の場合では手術そのものや、その後の副作用などでリハビリを行っても手術前と同じようには生活できなくなる危険性あります。 そのことを理解した上で手術の利点と危険性に関して医師とよく相談し、リハビリも含めた治療内容全般にわたって理解するようにしましょう。そして、家族や周りの理解や、協力を得られるよう相談し、慎重に決定されることをお勧めします。 最後に手術を選択した場合の入院期間について、概ね1か月は最低必要で、年齢的なものや、術後の状態により2か月~必要な場合もあるため、日程的な融通が必要な手術です。 今回は、人工関節への置換手術について不安を感じておられる方への術前のアドバイスとして記してまいりましたが、治療法としては、「再生医療」という先端医療分野があることも知っておきましょう。 その特徴は、手術も入院も不要という治療方法で自分の自己治癒力を引き出す最先端医療です。興味がある方は、お問い合わせください。いずれにしましても先生と話し合って、聞きたいことを聞き、納得して進んでください。 まとめ・人工関節の手術を受ける場合に知っておくべき安全性と危険性 股関節や膝関節は、下半身の体重を支えながら日常生活で立つ、歩くなどの基本的動作を実践するうえで極めて重要な関節です。肩関節や肘関節が障害を受けると荷物が持てないなど非常に支障をきたして日常生活が大変不便になります。 その意味でも日々の健康を保ち快適な暮らしを送り続けるためにも、関節に負担の少ない優しい生活を過ごすように意識しましょう。 仮に関節症の疾患で、人工関節置換術を勧められた場合は、選択肢としてこちらの記事で記したような将来の再手術の可能性、手術そのものの危険性や、入院期間が長くなるといった手術であること知ったうえで臨んでください。 リスクは、どのような手術であっても伴うものです。ただ、上手くいけば関節の痛みが緩和されて、関節の機能が元通りに再生されるのみならず、普段の歩き方や、身体のバランスを整備することが可能な治療法です。 これからの時代、健康寿命を延伸して自分らしい快適な生活を営むためにも、関節疾患は、放置することなく、治療方法について整形外科の専門医もしくは専門院を受診して相談されるこをお勧めします。 安全性 ・術式としては確立 ・多様な部位に対応 ・素材の進歩 危険性/リスクを理解 ・クオリティ オブ ライフ ・専門医の相談、納得感 ・家族の理解、支え ・人工関節の耐久性 → 年齢から再手術の可能性を念頭に ・長期入院 → 1か月~2か月 ・リハビリ → 長期計画 ・手術としての危険性(合併症、その他) ・手術部位の疼痛 以上、人工関節手術に関する安全性と危険性について記しました。今回の記事、情報が少しでも参考になれば幸いです。 No.S022 監修:医師 加藤 秀一
最終更新日:2023.10.04 -
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PRP療法とAPS療法の比較|期待できる効果と治療法 「再生医療」という先端医療をご存知でしょうか?近代になって研究室での実験から、医療の現場で実施されるまでに至ってきた医療分野です。 いわゆる再生医療とは、怪我や病気によって低下あるいは喪失した生体機能を従来の医療方法では違うアプローチで治療する方法です。人為的に加工や培養して作製した細胞や組織などを用いて人体に元来備わっている修復能力を増大させて症状を改善させることが出来る可能性を秘めた未来的な治療方法です。 一昔前ならSFの世界、まともに語っていたなら「夢でも見てるの」かと夢物語にされかねない非現実的な医療でした。このような非現実的な治療方法であるだけに、実際にその治療を受けることが可能だとは、ほとんどの方がご存知ないのではないでしょうか。 それもそのはず現場の医師でさえ詳細を知る方は、まだまだ少ないのが現実なんです。そこで再生医療とは、どんな治療方法なのでしょうか? 今回は、PRP療法とAPS療法の比違いについて、比較を交えてお話しさえて頂きます。 そもそも私たちの血液中には、赤血球や白血球、あるいは血小板と呼ばれる成分が含まれていることはご存知ですね。これらの成分には、それぞれに特化した役割が存在しています。 その中でも血小板は外傷によって皮膚表面が傷ついた場合や、関節捻挫、あるいは筋肉打撲などで負傷をした際に損傷部位を治癒させる働きを有しています。つまり、自己治癒力です!傷ついたり、痛んだりした組織を自動で修復してしまう!すごい機能です。 このような働きができるのは血小板の中に含まれて、傷んだ組織部位を治す「成長因子」と呼ばれる成分のお陰お陰です。それが今回、ご紹介するAPS療法の基礎となるものです。 PRP療法とAPS療法 血液中の血小板から濃縮して大量の成長因子を含む「多血小板血漿」は、昨今の再生医療の分野で大変着目されており、英語表記でPlatelet Rich Plasma(略して以下、PRP)と呼称されているものです。 さらに、Autologous Protein Solution(略して以下、APS)を用いた療法は、自己タンパク溶液として、前述したPRPを特殊な過程で更に濃縮したものです。このAPS治療は、目下のところ慢性的な膝関節等の疼痛に対する再生医療という新たな最先端治療として注目されているものなのです。 今回は、再生医療の新人!APS療法について解説していきましょう。 [再生医療] PRPとAPSの比較 自己多血小板血漿、注入療法とも呼ばれるPRP療法については聞き覚えのない馴染みが薄い治療法に感じられるかもしれませんね。しかし、実のところ海外においては10年以上の使用実績がある方法なのです。 ケガなど、傷ついた部位の修復に作用する血小板に含まれる成長因子を取り出すPRP療法は、私たちがもっている治癒能力や組織の修復能力、再生能力を引き出すという目的があります。 それに対してAPS治療は、患者様自身の血液成分から特殊な専用医療機器を用いてAPS成分のみを抽出します。 このAPSの抽出方法は、基本的にPRPそのものを更に遠心分離器を活用して特殊加工することによって、炎症を抑制する役割を有したタンパク質と軟骨を保護して損傷を改善させる「成長因子」を高濃度に抽出したものになります。 このような抽出背景から「APS」は、まさに「次世代型のPRP」とも表現されることがあります。 抽出したAPSを関節内などの疼痛部位に向けて成分を注射することによって関節部の疼痛や炎症の軽減のみならず、軟骨の変性進行や組織破壊を抑制することが期待されるものです。 APS治療は、現在のところ、まだ「変形性膝関節症」に痛みなどを対象疾患を限定して使用されている段階ですが、これまでのPRP治療でも難渋していた患部改善にも一定の効果を示すことが徐々に判明してきています。 尚、APS療法では患者さんご自身の血液を基準にして作るために異物免疫反応が引き起こされる可能性は極めて低確率であると考えられています。 また、本治療はPRPと同じく、手技的に採血操作と注射投与だけですので、手術などのように患者さんの身体的な負担も大幅に少なくて済むという特徴があります。 ■PRP療法とAPS療法の比較 ・PRP療法 「PRP療法」は血液中の血小板から濃縮して大量の成長因子を含む「多血小板血漿」Platelet Rich Plasmaを略したもので、自己血液から血小板を取り出し、それを患部に注入する治療法です。 血小板には成長因子が豊富に含まれており、これらの成長因子が治癒を促進する働きがあります。具体的には、炎症を抑え、組織再生を刺激し、細胞の増殖と修復を促進します。主に関節炎や腱や靭帯の損傷、筋肉の損傷などに使用されます。 ・APS療法 「APS療法」は、Autologous Protein Solutionを略したものです。前述したPRPを特殊な過程で更に濃縮したもので抗炎症性のサイトカインとよばれるタンパク質と関節を健康に保つ成長因子を高濃度で取り出した⾃⼰タンパク質溶液を患部に注入する治療方法です。 再生させるという観点ではなく、現在のところ、関節内で痛みを引き起こすたんぱく質の活動を低下させることから症状緩和に焦点を当てた特化的治療といえるものです。 APS療法で期待できる効果や、実際の治療法 さて、ここからは変形性膝関節症に対してAPS療法で期待できる効果や実際の治療法などについて紹介しましょう。 ご注意頂きたいのは、APS療法は、再生医療ではありますが自己の血液から抗炎症成分のみを濃縮して抽出したあと、関節内に注射することで関節の軟骨を修復し、再生させるという観点ではなく、膝痛の症状緩和に焦点を当てた特化的治療であることです。 膝の変形性関節症では、疾患が進行することによって「半月板の損傷」や、「靭帯のゆるみ」など膝関節のバランスが崩れることで軟骨がすり減り、膝関節が変形して発症します。 また、変形性膝関節症では膝関節部における変形度の進行に伴って、軟骨がすり減り、半月板が擦り減って傷み、さらには滑膜炎など炎症が起きて膝部に水が溜まることがあります。 従来、治療としては繰り返し鎮痛剤を内服することや、ヒアルロン酸を関節内に注入するなどが代表的な治療法でした。しかし、鎮痛剤を飲み続ける是非や、ヒアルロン酸の効果が期待できなくなった変形性膝関節症の患者様の中には、このAPS治療によって症状が幾ばくかの改善を示すケースがあることが分かってきたのです。 一般的にAPS治療では、投与してからおよそ1週間から1か月程度で患部組織の修復が起こり始めて、だいたい治療してから約2週間から3ヶ月前後までには一定の効果が期待できると言われています。 海外のAPS治療に関する報告例では、APSを一回注射するだけで、最大約24ヶ月間にもわたって痛みに対する改善効果が継続するとの実例も紹介されていました。ただし、これは一例で実際の治療効果や症状が改善する持続期間に関しては、患者さんの疾患の程度、条件によって様々、個人差があり変化することをご理解ください。 また、このAPS治療は、PRPと同じく、患者さん自身の血液を活用して生成するために、通常ではアレルギー反応や免疫学的な拒絶反応は出現しないと考えられている点も良いい面でのポイントです。 APS治療の手順 1)まず約50~60mlの血液を採取 2)厚生労働省が認めている特殊な技術で処理し、血小板成分を濃縮したPRPを抽出 2)精製されたPRP物質をさらに濃縮してAPSを抽出 こうして抽出した後、痛みを自覚されている関節部位に超音波エコー画像を見ながらAPS成分を注射して投与する まとめ・PRP療法とAPS療法の比較|期待できる効果と治療法 従来におけるPRP療法(自己多血小板血漿注入療法)は、患者自身の血液中に含まれる血小板を活用した再生医療です。 そして、昨今特に注目されているAPS治療では、先のPRPを更に濃縮。このAPS成分を患部に注射投与してから平均しておよそ1週間から1か月程度で組織修復が促進されて更には疼痛緩和に繋がる可能性があります。 なおAPS治療を現実的に受けた当日は、入浴や飲酒、あるいは喫煙、また激しい運動やマッサージなどは出来る限り回避するように意識しましょう。 APS注射直後には、個人差はあるものの一時的に痛みや腫脹、発赤などの症状が出ることがありますが、疼痛があるために関節部位を全く動かさないと逆効果になってしまうこともあります。 ここのあたり治療後の行動については、くれぐれも十分に主治医と相談するようにしましょう。また現段階では、このAPS治療は保険適応外であり自費負担になります。 費用は、それぞれの対象医療施設や治療適応となる患部箇所などによって異なりますので、この治療法をもっと知りたい方は私どもほか、専門の外来へお問い合わせされることをお勧めします。 このAPS療法のほかにも再生医療として、私どもが推進する「幹細胞治療」という関節部分の軟骨を自己治癒力を用いて再生させるという正に未来的な治療法も存在し、この分野から目が離せません。 いずれにせよ関節に問題があって、「後は手術しかないと」言われた方は再生医療をご検討されてはいかがでしょうか。私たちは再生医療の幹細胞治療で1,600例を超える豊富な症例を有しています。いつでもご相談ください。 以上、PRP療法とAPS療法の比較|期待できる効果と治療法について記させていただきました。 S008 監修:医師 加藤 秀一 ▼ PRP療法をさらい詳しく PRPを使った再生医療は、人間が持つ自然治癒力を活かして治療する先端医療です
最終更新日:2024.02.08 -
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膝の痛みにグルコサミン、コンドロイチンのサプリは効くのか 膝の痛みや、腰・肩といった関節の痛みに対してテレビや雑誌で毎日のように見かける「グルコサミン」や「コンドロイチン」が配合されたサプリメントのCM! 飲むだけで歩行能力が向上する、関節の痛みが改善したり、楽になるといい!盛んに宣伝されています。ご年配の方が元気に歩いておられたり、走られたり、体操をされていたりと、お元気で活発な印象を受ける画像が多いですね。 このようなことが「グルコサミン・コンドロイチンのサプリ」を飲むむだけでOKという手軽さで実現できるのなら、こんなに良いことはありません! では実際のところ、本当に効果はあるのでしょうか?そのあたりを、分かりやすくご説明したいと思います。 そもそもグルコサミンやコンドロイチンって何だろう? グルコサミンは、アミノ糖の一種で、軟骨をはじめ爪や皮膚といったところに分布しています。コンドロイチンは、ムコ多糖と呼ばれ、グルコサミンなどのアミノ糖が連なってできた多糖体です。 どちらも体内で自然に生成される成分、関節を構成する成分として有名です。 ・グルコサミンやコンドロイチンの働きについて グルコサミンやコンドロイチンは、身体のあらゆる部分に存在しており、細胞同士をつなぎとめたり、水分を保持するといった性質を持っています。 関節内ではコンドロイチンはプロテオグリカンと呼ばれ、軟骨の構成成分としてクッションのような役割を果たし、骨と骨が接触しないよう保護してくれています。 ▼さらに知識を深めて、正しい使い方を学びましょう▼ ・軟骨成分、プロテオグリカンは本当に関節痛や美容に効果的なのか? ・コラーゲンのサプリやドリンクは関節に効果があるのか 膝や腰、肩などの関節が痛む原因 膝や腰、肩の痛みは多くの場合、加齢によるものが原因となります。 残念なことに体の機能は、年齢を重ねるにつれて徐々に衰えていきます。グルコサミンやコンドロイチンといった体内で生成される成分も加齢によって生産率は現象していき、関節内での柔軟性や弾力性がしだいに失われていきます。 関節を構成する成分が減ってしまうことで脆くなり、軟骨がすり減ることで骨がぶつかり合い、周辺の神経に伝わることで、痛みが出ます。重労働や激しい運動など膝や腰、肩を使いすぎてしまうような行動を継続することでも痛みの原因になります。 グルコサミンやコンドロイチンのサプリメントとしての効果 テレビや広告ではグルコサミンやコンドロイチンを含んだサプリメントが毎日のように数多く宣伝されています。 内容は、軟骨に豊富に含まれているグルコサミンやコンドロイチンといった成分をサプリメントとして体に補給してげることにより、軟骨の減少や膝や腰、肩の痛みといった症状の改善効果が期待されるといいます。 実際に、サプリメントを飲み続けることにより痛みが軽減したという声もありますが、本当のところ効果があるのでしょうか? サプリメントが痛みに効果があるか、影響するかの研究 米国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)が出資した主要な研究など一部の研究では、グルコサミンのサプリメントが痛みを軽減したというエビデンス(証明)は、ほとんど或いは、まったくありませんでした。 一部の研究発表では、コンドロイチンやグルコサミンといった成分をサプリメントとして服用することで膝の痛みや、腰、肩の痛みに対して痛みを軽減する可能性があると示唆しているものの・・・ 実際のところ「可能性レベル」であって、ほとんどの研究において「劇的な改善をもたらした!といえるほどの効果はない」と報告されています。 実際に大規模な研究の結果でもグルコサミンやコンドロイチンといった成分が関節の痛みに効果があるというエビデンス(証拠となるもの)を示していません。 つまり、グルコサミンやコンドロイチンといったサプリメントは、痛みを軽減するかどうかについては、十分なエビデンスが無いのが実際のところです。 グルコサミンやコンドロイチンは膝の痛みや、関節の痛みに効くのか マスメディアや、CMで大きく取り上げられている「グルコサミン、コンドロイチン」ですが研究結果をみると、これらの成分がもたらす効能というものは科学的な根拠に乏しく、膝の痛みをはじめ、各関節の痛みに効くとまでは断言できません。 痛みに効果がない要因として、口からの摂取による影響が考えられます。グルコサミンやコンドロイチンは、アミノ酸や糖質で構成されていますが、口から摂取することによって消化器官を通過します。 消化器官を通過するということは、胃液などにより消化および、分解されてしまうため、軟骨成分として身体に吸収され、軟骨まで到達するとは考えにくいからです。 また軟骨には血管がほとんどなく、栄養として成分が直接届くとも考えにくいところが本当のところです。 軟骨成分を摂取しても軟骨に届くのか?! ・口から接種すると胃液など消化器官で分解されてしまう ・軟骨には血管がほとんど無く、成分を届けることができない なぜ、サプリメントを飲むと膝痛など関節に効くと感じるのか? グルコサミン、コンドロイチン、プロテオグリカン、ヒアルロン酸など、膝の痛みをはじめとした各関節に対する効果・効能、改善を目的としたサプリメントが大手をはじめ、色々なメーカーから販売されています。 どの製品が良いかは、どの製品が効くのか正確には分かりませんが、実際に摂取された人の中で「痛みが軽くなった」「痛みが半減した」と声を上げている製品があるようです。 それなら聞くのではないか?思われたかもしれませんが、これについては「プラセボ(プラシーボ)効果が関わっている」のではないかと考えられています。 効いた!と感じる「プラセボ(プラシーボ)効果」とは? プラセボ(プラシーボ)効果とは、本来薬としての効能が全くない物質を摂取しているのにも関わらず、効能が得られたと感じる効果のことです。 ・実験してみた結果について 実際にアメリカの臨床研究では関節痛など問題を抱えている人を大人数用意し、以下のような二つに分けてモニタリングを行いました。 一方はグルコサミンやコンドロイチンの「本物のサプリメント」を与え、もう一方には、まったく何の効果もない「偽のサプリメント」を与えました。 その上で一定期間服用させたところ、確かにグルコサミン・コンドロイチンを服用した層から症状の改善を見ることができたのですが、それと同時に偽薬を服用させた患者さんの中からも「痛みが緩和した」「痛みが改善した」という結果が出ているのです。 ■臨床研究(プラセボ効果)の一例(アメリカ) ・グルコサミン・コンドロイチン入りのサプリメント ・どちらも効果を感じる層がいる ・何も入っていない二セのサプリメント ※結果 > グルコサミン・コンドロイチンは「入っていても」、「入っていなくても」効果が表れる これはどういうことでしょうか?! これがプラセボー効果といわれるもので一種の「思い込みによる心理的な働き」と考えられています。 「グルコサミンやコンドロイチンのサプリメントを摂取すると膝の痛みがとれる」といった情報や先入観、思い込み、イメージ等からそれを摂取することで実際に効いたように感じてしまう状態を指します。 これは、非現実的ですが、感覚的なものによって本当に効果が生み出されていると推察できるものです。つまり、痛みに効くというイメージに身体が騙された可能性が大きいといえるのではないでしょうか。 そのため、何の成分も入っていないサプリメントで膝の痛みなどが消えることがあっても、実際は思い込みということになるのです。つまり、成分が入っていても、入っていなくても効くということです。 しかし例え、思い込みだとしても、それはそれで実際に症状が改善した、良くなったのなら、ある意味、その方にとっての痛みの改善という「目的を達成できている」と見れば良いのかもしれません。 ということで痛みの改善にサプリメントを購入され、それで満足のいく結果が得られたのなら、それが正解でしょう。もし、残念ながら結果が得られなければ、この記事を思い起こしていただければと思います。 まとめ・グルコサミンやコンドロイチンは膝の痛みや関節に効くのか? グルコサミンやコンドロイチンといったサプリメントが色々なところで宣伝されていますが、腰や膝、肩の痛みに効くのかについてお話させていただきましたが、いかがでしたでしょうか。 確かにグルコサミンやコンドロイチンは、体の軟骨成分に豊富に含まれている物質です。ただ、医学的は、これらの成分をサプリメントとして補ったとしても膝や肩など関節に届く可能性は低くいと言わざるを得ません。 そういった面では、実際に痛みに効くとは言い切れないのが現状です。しかしながら、今後の臨床研究により何らかの効能が見つかる可能性がないわけではありません。 ネットやテレビの情報をそのまま鵜呑みにし、過大な期待をされるのを避けて、楽になったらよいな・・・程度の気休めでお考えになった方が良いかもしれません。それで本当に楽になれば儲けものです。 ただし現在、膝の痛みや、肩など関節の痛みに悩まされているなら、サプリメントに頼りすぎず、ぜひ整形外科など専門の医療機関を受診され、しっかりとした診断に基づく治療をお受けになることをおすすめ致します。 痛みには思わぬ病が隠れていたりもします。早期発見、早期治療が何よりの対処方法です。身体の痛みや違和感といった症状を放置されませんように! 以上、グルコサミンやコンドロイチンは膝の痛みなど関節に効くのか?について記させて頂きました。 No.S003 監修:医師 加藤 秀一 ▼ グルコサミンなどのサプリに頼らない膝の痛みなどに対する再生医療とは 自ら再生しようとする力、自然治癒力を活かす最先端の医療分野です
最終更新日:2023.10.04